仮面ライダークロス

第3話「ビルド!天才とライダーは紙一重!?」

 

 

 ひろしにクロスへの変身を解くところを見られたライ。彼は信じてもらえないと思いながらも、ひろしにクロスのこと、ハイパーショッカーのことを話した。

「普通だったら、作り話だとしか思えなかったけど、さっきのアレを見せられちゃ、信じないわけにいかなくなってきたな・・」

 ひろしがライの話を聞き入れて、肩を落とす。

「オレだって信じられないですよ・・でもTVの中だけのはずの怪人が出てきて、オレが新しい仮面ライダーに変身したのはホント何ですから・・」

 ライは深刻な顔を浮かべて言いかける。

「それでライ、お前はこれからどうするんだ・・?」

 ひろしが真剣な顔でライに問いかける。

「分からない・・でももし怪人たちがオレやおやっさん、かなたたちに何かしてくるなら、オレはヤツらと戦う・・・!」

 ライは苦悩を感じながらも、自分の意思を口にする。

「そんな戦いは避けられないんだろうか?・・何もしなければ何も起こらないんじゃ・・・!?

「オレもそうしたいですけど、向こうがほっといてくれるかどうか・・・」

 心配するひろしに、ライがハイパーショッカーに対する不安を浮かべる。

「こっちから仕掛けるにしても、ヤツらがどこにいるのかも分かんないし・・」

「どっちにしても、こっちは後手に回るしかないってことか・・・」

 ライの答えを聞いて、ひろしが歯がゆさを浮かべた。

「とにかく、家に戻るぞ・・かなたとまりちゃんが心配してるぞ・・」

「はい・・2人には、このことは話せないかな・・いつかはばれそうな気がしてるけど・・」

 ひろしが呼びかけて、ライがかなたとまりのことを気にする。2人は不安を抱えたまま、家に戻ることにした。

 

 家へと戻ってきたライとひろし。そのとき、かなたとまりが家から飛び出してきた。

「ライ、おやっさん、おかえり!・・って、そんなことしてる場合じゃないんだよ!」

 かなたがライたちに慌ただしく挨拶する。

「どうしたんだよ、かなた?そんなに慌てて・・」

「仮面ライダーだよ!仮面ライダーが現れたんだよ!」

 ひろしが疑問を投げかけると、かなたが目を輝かせて言い放つ。

(新しいライダー・・オレのことがもう知られたのか・・・!?

 かなたの答えを聞いて、ライが息をのんで、ひろしが緊張を覚える。

「仮面ライダーって・・ホントなのか?イベントとかじゃないのか・・!?

「いや、ホントだって!しかもビルドだよ、ビルド!」

 ライが知らないフリをして問いかけて、かなたが答える。

「ビビビ、ビル・・!?

 ひろしがうまく聞き取れなくて疑問符を浮かべる。

「ビルドですよ!“フルボトル”ってボトルの力を使って変身する仮面ライダーです!そのビルドが現れたって!」

 かなたがひろしに顔を近づけて、ビルドについて語る。

(オレじゃなくて、ビルドのことか・・・でもビルドって・・・!)

 クロスのことでないことに安心するも、ライはビルドに対して1つの思惑を感じていた。

 

 たくさんの子供たちが2人の青年を追いかけていた。

「何でオレたちがこんなたくさんの子供に追いかけられなくちゃならねぇんだよ!?

「そんなことオレが知るわけないだろ!」

 2人の青年、万丈(ばんじょう)龍我(りゅうが)桐生(きりゅう)戦兎(せんと)が不満を言い合う。

「おめぇ、天才物理学者なんだろ!?

「それは関係ないだろうが!」

 龍我と戦兎が言い合いをしながら走り続ける。

「しかもみんな、オレとおめぇがクローズとビルドだって知ってるみたいだし・・!」

「ハァ・・ホントに最悪だ・・・!」

 龍我がさらに声を上げて、戦兎がため息をついた。

「とにかく、今は逃げ切ることが先だー!」

 龍我が叫んで、戦兎と一緒に子供たちから逃げ出した。

 

 ビルドを捜しに外に飛び出したかなたとまり。2人の様子とビルドのことを気にして、ライもついてきていた。

(藤岡さんは、今の世界はたくさんのパラレルワールドが合わさって1つになっているって言ってた・・その世界の中にビルドの世界があって、今ビルドが現れたのもおかしくはないけど・・)

 ライがながれの話を思い出して、ビルドの登場も不自然でないと考えていた。

(ホントに現れたっていうなら、オレも会いに行ったほうがよさそうだ・・・!)

 自分やクロス、ハイパーショッカーのことをよく知るため、ライはビルドを探し求めた。

 かなたとまりが捜索を続けて、街中の路地を差し掛かった。

「うわっ!」

 そのとき、かなたが何かにぶつかってしりもちをついた。

「アタタタタ・・す、すいません・・・!」

 かなたが痛がりながら謝って立ち上がる。その先にいたのは、1体の怪人。

「えええっ!?かか、怪人!?しかもスマッシュ”!?

 かなたが目の前にいる怪人、スクエアスマッシュを見て、驚きをあらわにする。

「えっ!?何、コレ!?着ぐるみ!?

 まりもスクエアスマッシュを目の当たりにするが、本物と思わずに疑問符を浮かべていた。

(あれは・・作り物じゃない・・!)

 ライは現れたスクエアスマッシュが本物であることを直感した。

「かなた、まりちゃん、すぐに離れて!」

 ライがかなたたちに呼びかけて、スクエアスマッシュに飛びかかる。ライがスクエアスマッシュと組み付いて、かなたたちから遠ざかっていく。

「ライ!」

 かなたがまりとともに追いかけようとするが、足をつまずいて転んでしまった。

「イタタタタ・・!」

「何でこうなるの〜・・!」

 痛がるかなたと悲鳴を上げるまり。2人はライを完全に見失った。

 

 スクエアスマッシュと組み付いて、ライは路地から飛び出した。スクエアスマッシュが右腕から出ている「エリアカットペン」を振りかざす。

 ライが慌てて横に動いて、エリアカットペンをかわす。エリアカットペンはその先の鉄柱を切り裂いた。

「やっぱり本物だ・・ほっといたら大変なことになる・・!」

 焦りを覚えるライが、クロスドライバーを手にした。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーに装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。

“クロス!”

 音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。

“ライダーソウール!”

 ライは意識を集中して構えを取る。

「変身!」

 彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。

 クロスに変身したライがスクエアスマッシュに向かっていく。ライがガムシャラにパンチを繰り出して、スクエアスマッシュを攻め立てる。

 スクエアスマッシュがエリアカットペンを振りかざして、ライを切りつける。

「ぐっ!」

 クロスの装甲から火花が散って、ライがうめく。スクエアスマッシュにさらに切りつけられて、ライが突き飛ばされる。

「すごい切れ味だ・・何とかしないと・・!」

 ライがスクエアスマッシュを警戒して身構える。スクエアスマッシュがエリアカットペンを振り上げた。

「ちょっと待ったー!」

 そのとき、スクエアスマッシュが横から蹴り飛ばされた。ライたちの前に現れたのは龍我だった。

「面倒なことになってんのに、スマッシュまで出てきやがって・・!」

 龍我が倒れているスクエアスマッシュを見て、不満を口にする。

「ん?・・おめぇ、誰だ!?新しい仮面ライダーか!?

 龍我がライに気付いて、驚きを見せる。

「バカみたいに騒ぐなって、万丈・・」

 そこへ戦兎がやってきて、龍我に呆れた態度を見せる。

「戦兎、おめぇ学者だからって調子に乗りすぎだぞ!」

「だってホントにバカなんだからしょうがないだろ・・」

 詰め寄ってきた龍我に、戦兎がため息まじりに言い返す。その2人の前に、スクエアスマッシュが立ちはだかった。

「まずはアイツを止めるのが先だな・・!」

「チェ!・・覚えてろよ・・!」

 戦兎が呼びかけて、龍我が不満を抱えたまま答える。戦兎が2つのフルボトル「ラビットフルボトル」と「タンクフルボトル」を手にして振る。

“ラビット。”

“タンク。”

“ベストマッチ!”

 戦兎が2本のフルボトルをベルト「ビルドドライバー」にセットする。彼はドライバーの右側にあるレバーを回して、フルボトルの成分を混ぜていく。

Are you ready?”

 戦兎の前後にプラモデルのランナーのような枠が現れた。

「変身!」

 構えを取った彼の体を、枠内の装甲が合わさるように包み込んだ。

“鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!”

 半分が青、半分が赤の装甲をした戦士へと変身した戦兎。彼がビルドで、ラビットボトルとタンクボトルの力を宿した「ラビットタンク」となった。

 龍我がベルト「スクラッシュドライバー」とパウチ型アイテム「ドラゴンスクラッシュゼリー」を取り出す。

“ドラゴンゼリー!”

 彼がスクラッシュドライバーを装着して、ドラゴンスクラッシュゼリーをセットした。

「変身!」

 スクラッシュドライバーの右にあるレンチを倒した。セットされているドラゴンスクラッシュゼリーが押しつぶされて、中の成分がスクラッシュドライバーに送られる。

“つぶれる!流れる!あふれ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブウルァァァ!!!”

 ドラゴンスクラッシュゼリーの成分を身にまとって、龍我は戦士「クローズチャージ」になった。

「ビルド・・クローズ・・あの仮面ライダーたち・・・!」

 ライが戦兎と龍我を見て動揺を覚える。

「それじゃ、実験を始めようか。」

 戦兎が言いかけて、龍我とともに構えを取る。

「ビルド・・仮面ライダーという夢をぶち壊した・・・!」

 ライが不満をあらわにして、戦兎たちに突っかかってきた。

「お前たちの取った態度で、どれだけみんなの心を傷付けたと思ってるんだ!?

「ち、ちょっと待て!何のことを言っているんだ!?

 問い詰めてくるライの言葉の意味が分からなくて、戦兎が声を上げる。彼らがもめている間に、スクエアスマッシュが逃げ出してしまった。

「おい、逃げられちまったぞ・・何で邪魔したんだよ!?

 龍我が肩を落としてから、ライに文句を言ってきた。

“変身カイジョー。”

 我に返ったライが、クロスへの変身を解除した。戦兎と龍我もビルド、クローズへの変身を解いた。

「詳しく話を聞かせてくれないか?オレたちがみんなの夢を壊したって、どういうことなんだ・・?」

 真剣な顔を浮かべて問いかける戦兎に、ライは説明をした。

 

 ライを追いかけて、かなたとまりも路地から出てきた。2人はライ、そして戦兎と龍我を目にした。

「あれはー♪ビルドとクローズ♪桐生戦兎と万丈龍我だよー♪」

 かなたが戦兎たちを見て目を輝かせる。

「知っているの、かなたくん?」

「2人の仮面ライダー・・まさか現実にいたなんて〜♪」

 まりが疑問を投げかけるが、かなたは戦兎たちに見とれていた。

「ね、ねぇ、かなたくん、ライくんもいるよ!」

「えっ!?

 まりが指さして言いかけたところで、かなたが我に返る。彼も戦兎たちのそばにいるライを目撃した。

 

 ライは自分の知っていることを戦兎と龍我に話した。様々な世界が1つになっていること、ビルドの世界がライの世界ではTVの中の物語の世界であることを聞かされて、戦兎たちは驚きを隠せなかった。

「オレたちが作り話の人間なんて・・冗談じゃねえぞ!」

「落ち着けって、万丈・・ここの人たちからしたらそういうことになっているだけだ。オレたちは今もこうして生きているじゃないか。」

 不満の声を上げる龍我に、戦兎が言いかける。

「オレたちもこうして生きている。パラレルワールドと、次元の歪みで世界が混ざってしまったのもあるけど、こうしてこの世界のみんなと会うことができた。」

「そうだ・・オレはこうしてビルドに会えた・・だけどオレは、ビルドの話をいいとは思ってない!」

 納得した戦兎だが、ライが不満をあらわにしてきた。

「いくら天才だからって、万丈を邪険にしていいってことにはならないだろ!話を聞かずに自分の興味や研究を優先させて人をおちょくって!」

 ライが戦兎に詰め寄って、不満を言い放つ。彼は作品としてのビルドに対する不満を、戦兎にぶつけていた。

「いや、だって、学者として探究心をくすぐられて・・!」

「そういういいわけをすれば、許されるとでも思ってるのか!?

 言い返そうとする戦兎に、ライが怒鳴りかかる。

「それにあの女も悪い!“刻むよ”って脅しつけて、自分を押し付けて!あんなの脅迫になることぐらい誰でも分かるだろうが!」

「あ、あの女って・・!」

 ライがさらに怒鳴りかかって、戦兎が声を荒げる。

「お前たちは自分たちが正しいと思い上がって、子供たちやみんなの夢や心を踏みにじっているのが分かんないのか!?

「ちょっと待て!オレは誰かに認めてほしいために戦っているわけじゃない!そういう見返りを求めるのは、正義じゃない!」

「だから勝手なことをしていいって理由になるか!夢や心を傷付けることのほうが、正義じゃないだろ!」

 戦兎が反論するが、ライは彼にさらに不満をぶつけていく。

「誰からも信じてもらえなくなっても、お前たちは平気でいられるのか・・・!?

 ライが口にしたこの言葉に、戦兎も龍我も戸惑いを覚える。

「誰かから信じてもらえてるから正義のために戦える、みんなを守れるんじゃないのか!?・・信じてもらうという見返りがなかったら、正義の味方は戦えないんだよ!」

 ライに問い詰められて、戦兎と龍我が後ずさりする。

「コ、コイツ、ある意味しつこい・・仮面ライダーのことを相当好きだっていうのは分かるけど・・・」

「最悪だ・・ものすごい神経質だ・・・」

 ライの感情を目の当たりにして、龍我があ然となって、戦兎が気まずくなる。

「ちょっとちょっと、ライ、2人にいきなり何を言い出すんだよ〜!」

 そこへかなたが飛び出してきて、ライを止めに入った。

「かなた!?・・まりも・・2人もここに来たのか・・!?

 ライがかなたとまりを見て、動揺を覚える。

(かなたたちはビルドたちのことを知ってる・・でもオレがクロスであることを知られたら、本格的に戦いに巻き込むことになってしまう・・・!)

 かなたたちを巻き込むことを恐れて、ライは息をのむ。

「この2人、お前の知り合いみてぇだな。」

「あ、うん・・」

 龍我が言いかけて、ライが頷く。

「市川かなたと緑川まりだ・・」

「はじめまして、戦兎さん、万丈さん♪」

 ライが紹介をして、あなたが挨拶する。

「2人もオレたちのことを知ってる・・マジでみんな知ってるってことかよ・・・」

 ライの言った通りの物語の人間だと思われていることに、龍我も滅入っていた。

 そのとき、逃げていたスクエアスマッシュが、ライたちの前に再び現れた。

「スマッシュ!」

「戻ってきやがったか・・今度こそケリを付けてやる!」

 戦兎が声を上げて、龍我が身構える。

「おおー♪あれはスマッシュだよー♪」

「待て、かなた!アイツも本物だ!」

 感動して目を輝かせるかなたに、ライが呼びかける。スクエアスマッシュがエリアカットペンを振りかざして、光の刃を飛ばしてきた。

「危ない!」

 戦兎が呼びかけて、龍我と同時に左右に動く。ライもかなたとまりを連れて走り出して、光の刃をかわした。

「3人は早く逃げろ!アイツはオレたちがブッ倒す!」

「万丈さん・・分かりました!」

 龍我が呼びかけて、かなたが頷いてライ、まりとともにこの場を離れた。

「もう1度実験を始めるか。」

 戦兎が言いかけて、ラビットフルボトルとタンクフルボトルを手にして振った。

“ラビット。”

“タンク。”

“ベストマッチ!”

 彼が2つのフルボトルをビルドドライバーにセットする。

Are you ready?”

 そしてビルドドライバーの右のレバーを回す。

“ドラゴンゼリー!”

 龍我がスクラッシュドライバーにドラゴンスクラッシュゼリーをセットした。

「変身!」

“鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!”

“つぶれる!流れる!あふれ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブウルァァァ!!!”

 戦兎と龍我がビルド、クローズチャージに変身した。2人がスクエアスマッシュに立ち向かった。

 

 戦兎たちに助けられて逃げることができたライたち。しかしかなたは戦兎たちの活躍を気にしていた。

「ビルドとクローズ・・ライダーが2人いるから大丈夫だとは思うけど・・!」

 かなたが呟いて、ライが戦兎たちとスクエアスマッシュのことを気にする。しかしかなたとまりにクロスのことを知られてはならないと、ライは戦いに参加することができなかった。

 そのとき、ライたちの前にもう1人の怪人が現れた。

「えっ!?

「また怪人が出た!?

 まりとライが怪人、ストロングスマッシュを目の当たりにして、緊張をふくらませていく。

「スマッシュ!さっきのとは別のスマッシュだよ!」

 かなたがストロングスマッシュを指さして、動揺しながら言いかける。

(今は変身できない・・変身したら、かなたたちに知られる・・・!)

 ライはかなたたちのことを気にして、クロスに変身できずにいる。ストロングスマッシュが彼らに迫る。

「早く逃げろ、2人とも!オレがアイツを食い止める!」

「ライ!」

 呼びかけて飛び出すライに、かなたが声を上げる。ライがストロングスマッシュと組み合うも、横の倉庫に投げ飛ばされる。

「ライ!」

 飛ばされたライにかなたが叫ぶ。ストロングスマッシュがライを追って走り出した。

 

 倉庫の奥の木の箱の上に落ちたライ。起き上がった彼にストロングスマッシュが追いついてきた。

「アイツ・・・だけど、これでかなたたちに見られずに済む・・!」

“クロスドライバー!”

 起き上がったライが、クロスドライバーを装着した。

“クロス!”

“ライダーソウール!”

 彼がクロスソウルをクロスドライバーにセットした。

「変身!」

 ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。

「全てを、オレが正す!」

 ライが言い放って、ストロングスマッシュに向かっていく。

 ライがパンチを連続で繰り出す。しかしストロングスマッシュはパンチを当てられても平然としている。

「コイツ、とんでもない強さだ・・!」

 ストロングスマッシュの耐久力に、ライが息をのむ。ストロングスマッシュが振り上げたパンチが命中して、クロスの装甲から火花が散る。

「くっ・・このままだとやられる・・!」

 焦りを覚えるライが、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加える。

“ライダースマッシュ・クロース!”

 ライのまとっているクロスの装甲から光があふれ出す。彼がジャンプして右足を前に出して、足裏にあるX字から光を放つ。

 光を受けたストロングスマッシュが動きを封じられる。ライが急降下して、ストロングスマッシュにキックを当てた。

「ぐあっ!」

 吹き飛ばされたのはストロングスマッシュではなく、ライのほうだった。ストロングスマッシュの頑丈な体に、ライのキックが押し負けた。

「オレのキックが効かない・・・!?

 ストロングスマッシュに追い詰められて、ライが緊張をふくらませていく。歩を進めてくるストロングスマッシュに、ライは窮地に立たされていた。

 

 

 

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