仮面ライダークロス

-Endless Riders history-

第8章

 

 

「エレクトロファイヤー!」

 ストロンガーが右手を地面に当てて、電気エネルギーを火花のように放って、ラストたちにダメージを与える。

「クロックアップ。」

Clock up.

 カブト、天道(てんどう)総司(そうじ)が超高速「クロックアップ」を発動して、ラストたちを次々に打撃を叩き込んで撃破していく。

 ストロンガーが集中力を高めて、右足に電気エネルギーを集めていく。彼が大きくジャンプして、その右足を前に出す。

「ストロンガー電キック!」

 ストロンガーのキックを受けて、ラストたちが爆発を起こす。生き延びながらも吹き飛ばされたラストが、掃除のいるほうへ向かう。

1,2,3.

「ライダーキック。」

Rider kick.

 総司がベルト「カブトドライバー」とセットされている「カブトセクター」を操作して、足にエネルギーを集める。彼は振り返り様にキックを繰り出して、飛んできたラストを打ち倒した。

「おばあちゃんが言っていた。最高の調味料は心。どんなにいい食材を使っても、心が込められていなければいい味を引き出せない。」

「野菜も果物も愛情を込めれば元気に育つし、料理も心を込めてやればおいしくなるってことだね。」

 総司が口にした言葉にアギト、津上(つがみ)翔一(しょういち)が共感してきた。

「何を言ってるんでしょうか、2人は・・?」

「そんなことオレが知るか・・・!」

 ウィザード、操真(そうま)晴人(はると)が口にした疑問を、ストロンガーが切り捨てる。

「さて、みんなが暮らしているこの世界を守らなくちゃね。」

「はい。オレたちが、みんなの希望だ!」

 翔一が呼びかけて、晴人が言い放つ。

“チョーイイネ!”

“キックストライク!サイコー!”

 晴人が指輪「ウィザードリング」の1つ「キックストライクウィザードリング」を指にはめて、ベルト「ウィザードライバー」の中央にある「ハンドオーサー」にかざした。翔一も構えを取って、足に力を集中させる。

 晴人が翔一と同時にジャンプして、目の前に現れた魔法陣を通る。2人が繰り出したキックが、ラストたちを蹴り飛ばした。

 1度倒れたラストたちが立ち上がるが、すぐに力尽きて爆発した。

「たとえ世界の形が変わっても、守りたい人や場所が変わっていなければ、オレたちのやりたいこと、やるべきことは変わらない。」

「みんなの希望も、今の世界にもちゃんとある・・・!」

 翔一と晴人が声を掛け合って、互いに笑みをこぼした。

「このまま黒い怪人どもを倒すぞ!」

「はい。オレがいれば敗北はない。」

 ストロンガーが檄を飛ばして、総司が落ち着きを払って答えた。2人も晴人たちに加勢していった。

 

 スカイライダーが飛行能力「セイリンジャンプ」を駆使して、ラストたちの頭上を飛び越えていく。注意を引きつけられたラストたちに、スーパー1が拳を振るう。

「冷熱ハンド!」

 スーパー1が両手の機能「ファイブハンド」を緑色の「冷熱ハンド」に変えた。彼が左右の手から冷凍ガスと火炎を放って、ラストたちを撃退していく。

「オレたちの力は、みんなの未来を切り開くための力だ!歯止めの利かない暴走は、オレたちが止める!」

 スーパー1が言い放って、構えを取ってから大きくジャンプした。スカイライダーも空中旋回してから、ラストたちに向かっていく。

「スカイキック!」

「スーパーライダー閃光キック!」

 2人が繰り出したキックを叩き込まれて、ラストたちが吹き飛ばされた。

「空も宇宙も、オレたちが守り続ける!これからもだ!」

 スカイライダーが言い放って、スーパー1と頷き合う。さらに押し寄せるラストたちに、2人は立ち向かった。

 

 (ダブル)に変身している(ひだり)翔太郎(しょうたろう)が、ラストの大群に包囲される。翔太郎には彼の相棒、フィリップの意識も内在していた。

「これだけ大勢に囲まれるのは、いい気がしないな・・」

“でもラストの能力には興味があるね。”

 翔太郎がため息まじりに言う一方で、フィリップがラストに興味を示す。

「フィリップ、こんなときに興味を持つなよ・・アイツにオレたちやられたんだぞ・・」

“分かってるよ。僕たちがやるべきなのは、僕たちのいるこの世界を守ることだ。”

 またため息をつく翔太郎に、フィリップが答える。

“それじゃいくよ、翔太郎。”

「OK、フィリップ。」

 フィリップに声を掛けて、翔太郎が答える。

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

 翔太郎がラストに向かって指さして、フィリップとともに言い放つ。

 翔太郎が緑の風をまとった回り蹴りで、ラストたちを攻め立てる。ラストたちが一斉にジャンプしてキックを繰り出すが、翔太郎もジャンプで回避した。

Joker,maximum drive!

 翔太郎が緑の竜巻をまといながら上昇する。

「ジョーカーエクストリーム!」

 翔太郎の右半身と左半身がずれる。その状態のまま繰り出された彼のキックが直撃して、ラストたちが吹き飛ばされた。

「この世界の風は、オレたちが守るぜ。」

 着地した翔太郎が強気に言ってみせた。だが彼の前にいたラストの分身は、全滅してはいなかった。

「何っ!?しぶといヤツが残ってたのかよ!?

 翔太郎がラストたちを目の当たりにして身構える。ラストたちが彼に向かって飛びかかってきた。

 そこへBLACKRXが駆けつけて、パンチを繰り出してラストたちを撃退させた。

BLACKRX!」

 翔太郎が声を上げて、RXたちに駆け寄った。

「油断してはいけない!オレたちが倒れたら、誰がこの世界を守るんだ!?

「この世に光がある限り、オレたち仮面ライダーは不滅だ!君たちも、みんなの希望の光になれるんだ!」

 BLACKRXが翔太郎とフィリップに激励を送る。

「はい。オレたちも、世界のみんなの希望の風です!」

“僕たちにしかできないことを、これからも続けていきますよ。”

 翔太郎がフィリップとともに意気込みを見せて頷いた。

「オレたちも行くぞ、RX!」

「オレたちも一心同体だ、BLACK!」

 BLACKRXが声を掛け合って、ラストたちに立ち向かう。

「ライダーパンチ!」

 BLACKが右手にエネルギーを集めるパンチを繰り出して、ラストの1人を打ち倒した。

 BLACKは攻撃の手を緩めず、RXと同時にジャンプをした。

「ライダーキック!」

RXキック!」

 2人が足にエネルギーを集めたキックを繰り出して、ラストたちの軍勢を蹴散らした。爆発に巻き込まれたラストたちだが、その1人が生き延びて、RXたちに向かっていく。

「リボルケイン!」

 RXがベルト「サンライザー」から剣状スティック「リボルケイン」を引き抜いた。彼は光を帯びたリボルケインで、向かってきたラストの体を貫いた。

 RXがリボルケインを引き抜いて、ラストが火花を散らしながら倒れて爆発した。

「やっぱ黒のライダーはすごいな。」

“そういう君も黒のジョーカーじゃないか。”

 感心する翔太郎に、フィリップが言いかける。

「そうだな。オレたちもラストを止めるぞ・・!」

 翔太郎が頷いてからBLACKRXとともにラストたちに立ち向かった。

 

 光輝とタケルがラストの大群に囲まれる。それでも2人は諦めることなく、反撃を続ける。

「たとえどのような状況になろうと、オレたちは負けない!」

「はい!命、燃やすぜ!」

 光輝とタケルが言い放って、ラストたちを迎え撃つ。しかしラストたちに包囲を狭まれて、2人が腕をつかまれる。

「くっ!・・こんなことで、やられるわけには・・!」

 光輝がラストの手を振り払おうとする。彼らに向かって他のラストが飛びかかった。

 そこへZOJが駆けつけて、パンチでラストたちを撃退して、光輝たちから遠ざけた。

「大丈夫か、オメガ、ゴースト!?

ZOJ・・はい!」

 ZOが声を掛けて、光輝が笑みをこぼして答えた。

「命は誰にとっても1つだ。オレたち仮面ライダーも同じ。死んだ後に生き返るのは奇跡であると思ったほうがいい。」

「はい・・命は、限りがあるからすばらしく強い・・でも命がもたらす強さの可能性は、無限大です!」

 ZOの投げかける言葉に、タケルが自分の思いを含めて答えた。

「命が宿っているのは人間だけではない。動物も虫も木も花も、力強く生きているんだ。」

 Jも光輝たちに命のすばらしさ、大切さを告げる。

「はい。生きとし生けるものには、命があり、魂もある・・!」

「みんなも、みんなのいる世界も守る・・それがオレたちの使命であり、願いでもある・・!」

 タケルが頷いて、光輝が自分たちのやるべきことを口にする。

「みんな、これからも戦うぞ・・大切なものを守るために!」

 ZOが呼びかけて、Jとともに大きくジャンプした。

「ライダーキック!」

 ZOJが繰り出したキックが、ラストの大群を蹴散らす。

“ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!”

 タケルもゴーストドライバーを操作してジャンプする。光輝もオメガクリスタルを右足の脚部に移して飛び上がった。

「ライダーキック!」

 光輝がタケルとともに繰り出したキックが、ラストたちを吹き飛ばした。

「やった!やりました!」

「うん!・・このままラストの暴走を止めよう!」

 タケルが喜んで、光輝が頷いた。2人がZOJとともにラストの大群に立ち向かった。

 

 さらに数を増やしていくラストたちだがクウガ、龍騎(りゅうき)、オーズに変身した五代(ごだい)雄介(ゆうすけ)城戸(きど)真司(しんじ)火野(ひの)映司(えいじ)の攻撃で押し返されていく。

「オレたちは戦いがしたいわけじゃない。戦いを止めたいだけなんだ。」

「お前が戦いを仕掛けてくるなら、オレたちが止める!」

 雄介と真司がそれぞれの意思を言い放つ。

「そして助けを求めている人を、オレたちは助けていく・・その人の手を、絶対に放さない!」

 映司も言い放って、アイテム「オースキャナー」でベルト「オーズドライバー」にセットされているメダル「オーメダル」をスキャンする。

“スキャニングチャージ!”

 彼の足に赤、黄色、緑の光が入り混じって集中していく。

Final vent.

 真司が左腕に着けている「ドラグバイザー」に「アドベントカード」をセットした。彼の周りを赤い龍「ドラグレッダー」が取り巻く。

 雄介も構えを取って、足に金の稲妻のようなエネルギーを集めていく。3人が同時にジャンプして、ラストたちに向かってキックを繰り出した。

 キックを受けたラストたちが、大爆発を引き起こして消滅した。その中心に雄介たちが着地した。

「やったね、2人とも。」

 雄介が真司たちに向かってサムズアップを見せた。

「オレたちが生きるこの世界、荒らさせはしない・・!」

「オレたちでみんなを守りましょう!これからも!」

 映司と真司が決意を言って、雄介が頷いた。彼らは他のラストたちに向かっていった。

 

 響鬼とモモタロスがラストたちを攻め立てる。2人に対してラストたちが警戒を強める。

「どうした!?今さらビビっちまったのかよ!」

「魂がこもってないし、鍛え方も足りてないってことだな。」

 モモタロスが高らかに言い放って、響鬼も気さくに言う。

「そっちが来ねぇなら、こっちから行ってやらぁ!」

 モモタロスがいきり立って、ラストたちに飛びかかる。次の瞬間、彼の左右から他のラストたちが飛び出してきた。

「うおっ!何だ、テメェら!?

 モモタロスが声を上げて、ラストたちの手を振り払おうとする。

「電王!」

 響鬼が彼を助けようとするが、他のラストたちに行く手を阻まれる。

 ラストたちがモモタロスを狙って、一斉にジャンプしてキックを繰り出した。

「ちくしょう!」

 モモタロスがデンガッシャーを構えて、ラストを迎え撃った。

「ライダーロケットドリルキック!」

 そこへ右腕に装備した「ロケットモジュール」のジェットで突っ込んできたフォーゼ、如月(きさらぎ)弦太朗(げんたろう)が、「ドリルモジュール」を着けた左足のキックを繰り出してきた。モモタロスにキックを仕掛けたラストたちが、弦太朗のキックで撃破された。

「お待たせしました、先輩!ここからはオレもタイマン張らせてもらうぜ!」

 着地した弦太朗が、モモタロスに高らかに言い放つ。

「せっかくこっから反撃しようとしてたのに、邪魔してくれんなよ!」

 モモタロスが不満を口にして、ラストを振り払ってデンガッシャーで切りつけた。

「そうだな!アンタもタイマン張りたい性格だったな!」

 弦太朗が気さくに言って、モモタロスに背を向けた。

「それじゃみんな、ここから気を引き締めなおして!」

 エグゼイドに変身した宝生(ほうじょう)永夢(えむ)も来て、モモタロスたちに声を掛けた。

「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 永夢が高らかに言って、ベルト「ゲーマドライバー」の左腰にある「キメワザスロットホルダー」のスロットに、アイテム「ガシャット」の1つ「マイティアクションXガシャット」をセットして、上部のボタンを押す。

“キメワザ!マイティ・クリティカルストライク!”

 永夢がジャンプして、同時にジャンプしたラストの1人にキックを命中させた。

“会心の一発!”

 キックを受けたラストが吹き飛ばされて、他のラストたちを巻き込んで爆発した。

「おい、コラ!オレの分までやるんじゃねぇよ!」

 モモタロスが不満をふくらませて、地団太を踏む。

「そんなことをやっている間に、オレたちが終わらせてしまうぞ。」

 響鬼が彼に声を掛けてから、音撃増幅剣「装甲声刃(アームドセイバー)」を手にした。

「響鬼、装甲!」

 アームドセイバーに声を吹き込んだ響鬼の体を赤い装甲が包む。彼は最強形態「装甲(アームド)響鬼」になった。

「鬼神覚醒!」

 響鬼が再びアームドセイバーに声を吹き込む。アームドセイバーの刀身に赤い光が宿る。

 響鬼がアームドセイバーを振りかざして、光の刃を放って、ラストたちを吹き飛ばした。

「全部倒されてたまるかよ!オレも行くぜー!」

 モモタロスが叫び声を上げて、ラストたちにガムシャラに向かっていった。

 

 モモタロスたちの様子を遠くから見て、巧とノゾムは呆れていた。

「相変わらず騒々しいヤツだな・・」

「オレもああいうのと関わるのは好きとは言えないな・・悪いヤツじゃないけど、どうしても落ち着かなくなる・・」

 巧とノゾムがため息まじりに呟く。

「いいんじゃないですか、そこは人それぞれで。」

 紘汰もやってきて、ノゾムたちに声を掛けてきた。

「オレたちはオレたちでやらせてもらうだけだ。」

 一真がノゾムたちに言って、ブレイラウザーを構えた。

「そうだな・・オレはオレのやり方で、大事なものを守っていく・・・!」

「はい・・ここからは、オレたちのステージだ!」

 巧がさらに呟いて、紘汰が高らかに言い放つ。彼らの前にもラストたちが続々と現れた。

「オレも、コイツらを叩き潰さないといけないな・・!」

 ノゾムが鋭く言って、ラストたちに向かっていく。

「オレの怒りは限界突破!」

 ノゾムが言い放って、ベルト「ビースドライバー」の左上のボタンを2回押す。

“マックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 ノゾムの体から赤い光があふれ出した。彼がジャンプして、ラストたちに向かってキックを繰り出した。

 ラストたちがノゾムに蹴り飛ばされて、次々に爆発を起こした。

「アイツもアイツで落ち着きがないな・・」

「オレたちもこのまま何もしないわけにいかない・・!」

 巧がノゾムの戦いを見て呟いて、一真が加勢しに向かう。巧が右手を軽く振ってから、紘汰とともにノゾムたちに続いた。

 

 キバ、ドライブに変身している(くれない)(わたる)(とまり)進之介(しんのすけ)が、主水とレントを援護していた。

「大丈夫、2人とも・・!?

「はい。ありがとうございます・・!」

 渡が心配の声を掛けて、主水が礼を言う。

「体が熱くなっていても、心の中はクールでいなければ、いい運転はできないからな。」

 進之介も主水とレントに激励を送る。

「体は熱くても、心はクールに・・オレのようなヒューマノイズでも・・いや、機械も人間もみんな、それを忘れてはいけない・・・」

 レントが進之介の言葉を胸に秘める。体は機械でも人間の心を彼は持っていると、進之介も渡も思った。

「行きましょう、みなさん。オレたちの答えはもう出ています・・!」

「あぁ・・脳細胞が、トップギアだぜ!」

 主水が呼びかけて、進之介が気を引き締める。

「行こう、みんなの命を守るために・・!」

「はい・・!」

 渡の声にレントが頷く。彼らもラストたちを迎え撃つ。

 渡と進之介がスピードを上げて、ラストたちを攻め立てる。そのスピードに翻弄されるラストたちを、主水とレントがパワーで押していく。

“ヒッサーツ!フルスロットール!”

 進之介が体にあるタイヤからエネルギーを射出して、ラストたちを包囲する。取り囲むエネルギーの壁を反射するように飛んで、彼が連続でキックを繰り出していく。

 渡も大きくジャンプして、進之介が離れたと同時にエネルギーの壁の中に飛び込んで、キックでラストたちを蹴散らした。

「やりましたね、渡さん!」

「はい!」

 進之介が声を掛けて、渡が頷いた。

「これが仮面ライダー・・いや、これが人間・・・!」

「正義や命、大切なものを守るために戦う・・その魂は過去から現代、未来へとつながっていく・・!」

 仮面ライダーとして大切なことを、主水とレントは教えられた気がしていた。

「オレたちもじっとしているわけにいかない・・!」

「オレたちも戦うぞ・・オレたちの大切なものを、未来と命を守るために!」

 レントと主水が声を掛け合って、進之介たちに加勢しに行った。

 

 ライ、聖也、かなた、ソウゴ、ゲイツ、ウォズは本物のシュウと対峙していた。

「仮面ライダー・・私が全滅させる・・・!」

 シュウがライたちに向かって鋭く言い放つ。

「ライダーに対する怒りで、自分を見失っているのか・・!」

「だったらあの人を止める理由はハッキリしているね。」

 ゲイツがシュウの状態を確かめて、ソウゴが笑みをこぼす。

「アイツを倒すというオレの考えに、変わりはない・・!」

「削るようにヤツの力を落とす・・そうすればヤツに隙ができるはずだ・・!」

 ライが鋭く言って、聖也が最善手を告げる。

「私は我が魔王の家臣。彼以外に従う義理はない。」

「そういうことにこだわっている場合じゃないと思うんだけど・・」

 優雅な態度を崩さないウォズに、かなたは呆れてため息をついた。

「オレたちがいるし、みんなもいる!これならいける気がする!」

 ソウゴが自信を見せて、ライが頷いた。彼らは3組に分かれて、シュウを包囲した。

 聖也とゲイツが力を込めたパンチを繰り出して、シュウを押し込む。シュウが握った右手を振りかざすが、聖也たちは後ろに飛んでかわした。

 ライとソウゴが同時にジャンプして、シュウにキックを当てた。

「おあっ!」

 しかしシュウはものともせずに突進して、ライたちが突き飛ばされた。

「ライ!」

「我が魔王!」

 かなたとウォズがライとソウゴに向かって叫ぶ。シュウがかなたたちに向かって両手を伸ばしてきた。

“デスセイバー!”

“ジカンデスピア!”

 かなたとウォズがジャンプして両手をかわして、ルシファーデスセイバーと武器「ジカンデスピア」を手にした。

“ヤリスギ!”

 ウォズがジカンデスピアを槍型の「ヤリモード」にした。かなたとウォズがルシファーデスセイバーとジカンデスピアを突き出して、シュウの体に当てた。

 シュウはかなたたちの攻撃でも平然としていた。彼がさらに両手を振りかざして、かなたたちが紙一重でかいくぐった。

「パワーはあるが、体が大きくなっている分、スピードはそれほどではない・・ならばスピードで攻めるだけだ・・!」

 思い立ったゲイツが、ジクウドライバーにセットされているゲイツリバイブライドウォッチを回転させた。

“スピードターイム!”

 彼はさらにジクウサーキュラーを回転させた。

“リバイ・リバイ・リバイ!リバイ・リバイ・リバイ!リ・バ・イ・ブ・シーップウー!疾風!”

 ゲイツリバイブの装甲が青色に変わった。ゲイツはゲイツリバイブのスピード形態「ゲイツリバイブ・疾風」となった。

「スピードならスピードのライダーで・・!」

 聖也が2つのライダーソウル、「アクセルソウル」とマッハソウルを取り出した。

「ソウルに色と力が戻っている・・ライダーのみんなが空間から戻ってきたから・・!」

 彼はライダーソウルの復活を実感した。

“アクセル!”

“マッハ!”

 聖也がアクセルソウル、マッハソウルのスイッチを入れて、ヴァイスブレイカーにセットした。

“スピードヴァーイス!”

 ヴァイスブレイカーから青い光があふれ出す。

「スピードブレイカー!」

 聖也が投げつけたヴァイスブレイカーが、シュウの体を連続で切りつけていく。シュウが叩き落とそうとするが、ヴァイスブレイカーに翻弄される。

 その最中にゲイツも一気にスピードを上げて、シュウの懐に飛び込んだ。ゲイツはヴァイスブレイカーが飛んでくるのをかいくぐりながら、シュウに高速で打撃を見舞っていく。

「オレたちもスピード勝負だ!」

 ソウゴがジオウの装甲にあるレリーフの1つにタッチした。そこに描かれたライダー、ドライブが現れて、聖也とゲイツに加勢する。

「ドライブでそろえるか・・ならオレも・・!」

“ドライブ!”

 ライもドライブソウルを手にして、クロスカリバーにセットした。

“トライドロンドライブパワー!”

 彼の構えたクロスカリバーの刀身に、赤い光が宿る。

「ドライブ・オールカリバー!」

 ライがクロスカリバーを振りかざして、速い一閃をシュウに命中させた。

「私はこのままギンガの力を使い続けよう。」

 ウォズが呟いて、ギンガミライドウォッチの「レボリュードセレクター」を操作して、ワクセイの絵柄を出した。

“水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかーい!ワクワク・ワクセイ・ギンガワクセイ!”

 ウォズの仮面の複眼が青い「ワクセイ」の形になった。彼は惑星の力を宿した「ギンガワクセイフォーム」になった。

“ファイナリービヨンドザタイム!”

 ビヨンドライバーのレバーを開閉して、ウォズが右手を振り下ろす。上空から光の球が大量に降ってきて、シュウに命中していく。

「僕だってやってやる!」

“デルタ!”

 かなたが意気込んで、仮面ライダーデルタのライダーソウル「デルタソウル」を取り出して、ルシファードライバーの左のソウルスロットにセットした。

“ダークチャージ・デルタ。”

 彼が構えたルシファーデスセイバーの刀身に、紫の光が宿る。

「ルシファーズハンマー!」

 かなたがルシファーデスセイバーを振りかざして、光の刃をシュウの体に当てた。かなたは直後にジャンプして、シュウにキックを繰り出した。

 キックを受けたシュウが、押されてふらついた。

「けっこうタフなヤツだな・・!」

「しかし私たちの攻撃で、ラストのパワーが落ちているのも確かだ・・!」

 ゲイツが毒づいて、聖也がシュウの様子うかがう。

「だったら一気に攻めればいいだけのことだ・・!」

 ライがいきり立って、シュウに向かって走り出す。

「功を焦るな、ライくん!体勢を整えてから・・!」

 聖也が呼び止めるが、ライがシュウに向かってクロスカリバーを振りかざす。だがシュウがかざした腕に、クロスカリバーが防がれた。

「ぐあっ!」

 ライがシュウに突き飛ばされて、地面に叩きつけられる。彼の手からクロスカリバーがはじき飛ばされた。

「ライ!」

 倒れたライにソウゴが叫んで、追撃を仕掛けるシュウに向かっていく。彼はグランドジオウの能力、時間停止を発動させてシュウの動きを止めようとした。

 だが、全身から電気ショックのような光を発したシュウは、動き続けてライに向かって手を伸ばしていた。

(時間が止まらない・・!?

 時間停止に影響されないシュウに、ソウゴが驚く。回避しようとするライだが、シュウの手が地面に当たった衝撃と爆風に押される。

 辛くも足に力を入れて手を地面に付けて倒れないようにしたライだが、シュウの追撃に対して体勢が整わない。

「ちょっと待ったー!」

 そこへ声が飛び込んできて、ライたちとシュウが振り向いた。彼らの前に1人の青年が現れた。

「誰だ、アイツは・・?」

「君、ここにいては危険だ!すぐに離れるんだ!」

 ゲイツが青年に疑問を感じて、聖也が逃げるように呼びかける。

「ご心配なく、先輩!オレも仮面ライダーの1人なんですよ!」

 すると青年が高らかに自分のことを言い放った。

「君は、いったい何者なんだ・・!?

「オレの名は飛電(ひでん)或人(あると)。これでも社長をやってます!」

 青年、或人が高らかに自己紹介をする。

「オレの夢は、みんなを笑顔にすること!ニッコニコの、ニコちゃんスマイル♪・・はい♪アルトじゃー、ナイトー♪」

 或人が夢とともにギャグも言い放った。彼は社長になる前はお笑い芸人を目指していた。しかし彼のお笑いセンスは絶望的だった。

 或人がギャグを言った直後、騒然となっていたこの場が静まり返った。

 

 

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