仮面ライダークロス
-Endless Rider’s history-
第3章
ライダーソウルを頼りにして、ライたちは他の仮面ライダーを捜すことにした。
「それで、誰から尋ねる・・・?」
「僕たちの近くにいる人からのほうが効率がいいけど、居場所が分からないと・・」
聖也が問いかけて、かなたが腕組みをして考え込む。
「オレがライダーソウルから、ライダーのみんなの居場所を探る・・・!」
ライが力の失われていないライダーソウルを、改めて確かめる。
「ファイズ、ブレイド、電王、鎧武、ドライブ、マックス、BLACK、RX・・」
ライは次々にライダーソウルを取り出して、意識を傾ける。
「それでライ、ここから1番近いところにいるライダーは?」
「ここからだとファイズ・・乾巧さんだ・・・!」
主水が問いかけて、ライがファイズソウルを握ったまま答える。
「ライくん、私たちがいることも忘れないでほしい。」
聖也がライに向けて注意を投げかける。ライに落ち着きがないと、聖也は思っていた。
「分かっています。でも、みんなに甘えてばかりというわけにはいきません・・」
ライは答えて、かなたたちとともに歩き出す。しかしライの冷静さが揺らいだままだと、聖也は思い知らされていた。
1人の男が連絡を受けて答えていた。
乾巧。彼は携帯電話「ファイズフォン」を使って、連絡を取っていた。
「そんなヤツが暴れ回ってるのか・・・分かった。見つけたら1度連絡を入れる。」
巧は連絡を追えて、ファイズフォンをしまった。
(仮面ライダーを消して回ってるライダー・・厄介なのが出てきたもんだな・・)
巧がラストの行動に対してため息をついていた。
(オレは消されるつもりはない。オレは戦う・・徹底的に・・・!)
生き延びることを決意して、巧は戦いに備えた。
“巧さん・・・!”
そのとき、頭の中に声が響いて、巧が足を止めた。
(この声・・ライか・・!)
巧がその声がライのものだと気付いて、彼が近くに来ていると悟った。
地球から離れた星に存在する「ヘルヘイムの森」。そこを束ねる存在となった1人の男がいた。
葛葉紘汰。仮面ライダー鎧武である。
紘汰も世界が融合したこと、地球で新たな異変が起こっていることを知っていた。
(あのラストというライダー。いずれオレを倒しにここへ来る・・)
ラストのことを考えて、紘汰が深刻さをふくらませていく。
(オレから地球へ行って、他のライダーとともにヤツを迎え撃つのがいい・・)
思い立った彼は、ラストの動向を気にしながら地球に戻ることにした。
ライは聖也たちとともに、ファイズソウルを頼りにして巧のところへ向かった。ライたちは人気のない草原で、巧を見つけた。
「巧さん、無事だったんですね!」
「ライ・・やっぱお前らだったか。」
ライが声を掛けて、巧が彼らに振り向いた。
「ん?その3人は誰だ?もしかしてそいつらもライダーか?」
「はい。3人とも仮面ライダーです。」
巧が蓮太郎たちに目を向けて、ライが答える。
「それで乾さん、仮面ライダーを狙っている敵がいるんです・・」
「聞いてる。ラストってヤツのことだろ?」
話を切り出すかなたに、巧が答える。
「知っていたんですね、ラストのこと。」
「あぁ。さっき剣崎から聞いたとこだ。」
ライが言いかけて、巧が剣崎一真、仮面ライダーブレイドのことを話す。
「剣崎さんもラストの行方を追っているのか・・しかしラストと接触していないとも限らない・・・!」
ライが一真のことを考えて、焦りをふくらませていく。
「ライ、ライダーソウルでどこにいるか分からないか・・?」
「あぁ、やってみる・・」
主水が問いかけて、ライがブレイドのライダーソウル「ブレイドソウル」を手にして意識を傾けた。
(剣崎さん・・今、どこに・・・!?)
ライが念じて、一真とテレパシーを送っていた。
“その声は、ライくんか・・!”
一真からの応答がして、ライが目を見開いた。
「剣崎さん、無事だったんですね!・・巧さんから話は聞きました。ラストを倒してライダーのみんなを助けるために、あなたとも合流したいのですが・・!」
ライが一真の声を聴いて、安心を覚える。
「そのライダーは大丈夫だったみたいだ・・」
「しかし、ラストの動向が分からない以上、安心はできない。」
蓮太郎も笑みをこぼすが、主水はラストに対する警戒を浮かべたままだった。
「剣崎さん、ラストについて何か分かりませんか・・!?」
“オレもライダーを倒して回っていることぐらいしか、まだつかめていない。ライダーを倒すことに、何の意味があるのか・・”
ライが質問を聞いて、一真は深刻さを込めて答えた。
「ラストは自分以外のライダーを消して、世界の歪みを失くそうとしていた・・そんなことをしても、世界が落ち着くわけじゃないのに・・・!」
ラストの目論みに対する不満を口にして、ライが体を震わせる。
「世界の安定・・歪みを消すことが、ヤツの目的なのか・・・?」
レントがラストの目的に対して疑問を覚える。
「仮に他のライダーを消すことで世界が安定したとしても、怪人や敵はいずれ現れ、世界の脅威になる可能性は残る。」
「自分だけで怪人や脅威に立ち向かおうと考えているのか?それはムチャというものだ・・」
レントと蓮太郎がラストの考えに疑問を抱く。
「本気でそう考えてなければ、行動に映せないのかもしれない・・」
「世界の安定以外にも、ライダーを消そうとする理由があるみたいだ・・」
聖也と主水がラストの行動について、さらに考えを巡らせる。
「いずれにしろ、ヤツに会うことになるのは確かだ。そのときに問い詰めるだけだ。」
巧が口にした言葉に、ライたちが真剣な顔で頷いた。
「それでライくん、剣崎さんが今どこにいるか分かるか?」
「はい。すぐに剣崎さんのところへ・・」
聖也が一真のことを聞いて、ライが頷いた。彼らは一真と合流するため、行動を再開した。
仮面ライダー打倒のために行動しているラスト。彼は感覚を研ぎ澄ませて、ライダーの居場所を捉えていた。
「仮面ライダーは誰も、私から逃れることはできない。必ず発見して、確実に仕留める。」
仮面ライダーの対する敵意を秘めるラスト。
「ファイズは今、クロスたちといるのか。改めて一掃させてもらうぞ。」
巧とライたちを倒すため、ラストは動き出す。世界の安定のため、彼は仮面ライダー打倒の意思を強めていた。
ラストの動向と正体を探ろうと、一真はライたちとの合流も兼ねて動き出していた。
(ラストに関する情報が少ない・・みんなを頼るしかないのか・・・)
一真が橘朔也たち仲間のことを思い出していた。
(ジョーカーとなってからしばらく、オレは1人で戦ってきた・・命を奪ったり弄んだりする悪だけでなく、アンデッドの運命と・・運命を乗り越えてから、オレはみんなのところに戻ることができた・・)
一真がこれまでの自分の戦いを思い出していく。
アンデッドが生き残りを掛けて戦いを繰り広げる「バトルファイト」。ジョーカーである相川始が勝ち残ったことで起こった世界の破滅から、彼と人々、両方を救うために一真はブレイドの力を酷使して、自らもアンデッドとなった。
アンデッドの闘争本能という運命と戦うため、一真は始たちの前から姿を消した。彼は長い時間を経てその運命に打ち勝ち、仲間の元へ帰ってきた。
(始や橘さん、みんなのためにもオレはこれからも戦う・・1人の人間として・・!)
改めて戦う決意を固めた一真。彼は咲也たちと連絡を取って、ラストの情報を聞くことにした。
離れ離れにならずに集団行動を続けていたライたち。巧が蓮太郎、主水、レントのことを気にした。
「あの3人、どういうヤツらなんだ?」
「いや、オレも今日初めてあったばかりなので、詳しくは・・」
巧から問いかけられて、ライが正直に答える。
「私もヒューマノイド、みんなの言うところの機械人間だ。」
レントが2人に自分のことを話した。レントはライたちの会話を聞き取っていた。
「オレはみんなを守るために、この力を使って戦っている・・仮面ライダーシノビとして・・」
「オレはこの時代よりも未来から来た。最初は個人的な理由だったが、今はこの世界を守るためにこの時代に留まっている。」
蓮太郎と主水も自分たちのことを巧に話した。
「なるほどな。それぞれ事情があるわけか・・」
巧が蓮太郎たちの話に納得の素振りを見せた。
「誰だってそれぞれ事情はある。何にもないのに、深く問い詰めることもないだろう・・」
詮索しようとしない巧に、ライとかなたは笑みをこぼした。
「見つけたぞ、ファイズ。」
そのとき、ライたちの前にラストが姿を現した。
「ラスト!」
「巧さんもオレたちも消そうとしているのか!?」
かなたとライがラストに対して声を上げる。
「仮面ライダーは、私以外の全員を消す。新たに出現したライダーも例外ではない。」
ラストは低い声色で、ライたちに告げる。
「悪いが、おとなしくやられてやるほどお人よしじゃないんでな・・」
巧がラストに言い返すと、ベルト「ファイズドライバー」を装着して、ファイズフォンを手にして、「555」と「ENTER」を入力した。
“Standing by.”
彼がファイズフォンを閉じて、上に高らかに上げた。
「変身!」
“Complete.”
巧がファイズフォンをセットしたファイズドライバーから、赤い光の線が伸びた。光は黒、赤、灰色の装甲と仮面になって、彼を包み込んだ。
巧は仮面ライダー、ファイズへの変身を果たした。
「私たちも変身するぞ!多数でかかれば太刀打ちできないことはない!」
聖也が呼びかけて、ライたちが頷いた。
「変身!」
“変身・ライダー!クロース!”
“変身・ライダー!クラール!”
“ダークチェンジ・ルシファー。”
“誰じゃ・俺じゃ・忍者!シノービ・見参!”
“ファッション・パッション・クエスチョン!クイズ!”
“デカイ・ハカイ・ゴーカイ!仮面ライダー・キカイ!”
ライ、聖也、かなた、蓮太郎、主水、レントがクロス、クラール、ルシファー、シノビ、クイズ、キカイに変身した。
「思い知ることだな。どれだけ数をそろえても、覆せない状況があることを。」
ラストは動じることなく、ライたちを迎え撃つ。彼は左腕に装着している腕輪「ラストブレス」の画面にタッチしてスライドした。
“分身ライダー。”
するとラストの体が7人に別れた。
「何っ!?」
「分身!?」
複数のラストを目の当たりにして、主水と蓮太郎が驚く。
「1人ずつ相手をするしかなさそうだな・・!」
巧が毒づいて、ライたちとともにラストたちに攻撃を仕掛けた。
それぞれ力、あるいは速さを重視していくライたち。しかし力でも速さでも、ラストのほうが優位に立っていた。
「分身したからといって、戦闘能力が分散されることはない。そして私たちの誰もが本物となり得るのだ。」
ラストが自分たちの能力について、ライたちに告げる。
「だったら1人ずつ倒せばいいだけのこと・・!」
「それにオレたちは、7人だけじゃない!」
主水が言いかけて、蓮太郎が意識を集中した。蓮太郎の姿が3人になった。
「蓮太郎も忍者だ!分身の術なんて朝飯前だね!」
かなたが蓮太郎を見て感動を覚える。
蓮太郎が分身とともに、ラストの1人を取り囲んで刀を振りかざす。ラストは上にジャンプして、刀を回避した。
「お前のは所詮分身止まりのようだ。」
ラストが呟いて、ラストブレスの画面をスライドして、剣のアイコンにタッチした。
“ラストセイバー。”
ラストの手に剣「ラストセイバー」が握られた。ラストがラストセイバーを振りかざして、蓮太郎の分身2人を切り裂いた。
「何っ!?」
分身と本物を簡単に見極められたことに、蓮太郎が驚く。ラストが振りかざしたラストセイバーに、蓮太郎が刀をぶつけた。
ラストがラストセイバーをさらに振りかざして、蓮太郎を切りつけた。
「うぐっ!」
蓮太郎が突き飛ばされて、地面を転がる。
「蓮太郎!ぐっ!」
声を上げる主水も、ラストのキックを受けて押される。
“ラストシューター。”
ラストの1人がアスとブレスを操作して、銃「ラストシューター」を手にして射撃した。放たれたビームを受けて、レントが押される。
「レント!」
「これではバラバラに行動しているのと同じだ・・1人ずつ集中して倒していくしかない・・!」
ライが叫んで、聖也が焦りを感じていく。
「みんな、全員で1人ずつ倒していくぞ!」
「聖也さん!」
聖也が指示を出して、ライが答える。かなたたちも聖也の言葉を聞き入れた。
“ソードガン!”
“ブレイガン!”
“デスセイバー!”
ライ、聖也、かなたがそれぞれラダーソウル「ソードガンソウル」、「ブレイガンソウル」、「デスセイバーソウル」を手にしてスイッチを押した。彼らに手に武器「クロスソードガン」、「クラールブレイガン」、「ルシファーデスセイバー」が握られた。
ライたちがラストの1人に向かって一閃を繰り出した。ラストが体を切りつけられて、消滅をした。
「全員が本物だというなら、全員倒せばいいってことだね!」
かなたが勝機を見出して笑みをこぼす。
“メガトン忍法!”
蓮太郎が刀を振りかざして、紫の竜巻を放ってラストの1人の動きを封じた。
“アルティメタルフィニッシュ!”
レントが両腕にエネルギーを集めて、ラストにパンチを叩き込んだ。氷結したラストが爆発して消えた。
「よし、もう1人倒した!」
かなたがまた喜んで、他のラストに目を向けた。
「他の私に集中すれば、残りも集中攻撃をすればいいだけのことだ。」
残り5人のラストが、巧を取り囲んで攻め立ててきた。
「いけない!巧さんが!」
ライが緊張をふくらませて、巧を助けようと駆けつける。
「ライくん、焦ってはいけない!」
「クロスも来るか。ならばお前も消し去ってやるぞ。」
聖也が呼び止めて、ラストの2人がラストシューターで射撃を仕掛ける。ライが射撃と爆発に耐えながら、ラストたちに突っ込む。
ライとラストの1人がクロスソードガンとラストセイバーをぶつけ合う。
「1人で渦中に飛び込むのは、格好の餌食になるだけだというのに・・」
もう1人のラストがラストシューターを発砲してきた。ライがクロスソードガンを射撃によってはじかれる。
「くそっ!」
ライが毒づいて、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加える。
“ライダースマッシュ・クロース!”
ライが足にエネルギーを集めてジャンプする。
「ライ!」
巧もトーチライト「ファイズポインター」を手にして、ファイズフォンにあるカード「ミッションメモリー」を取り出してセットした。
“Ready.”
彼はファイズポインターを右足にセットして、ファイズフォンの「ENTER」を押した。
“Exceed charge.”
ファイズフォンからファイズポインターにエネルギーが送られる。巧もジャンプして右足を前に出すと、ファイズポインターから赤い光の円錐が放たれて、ラストの1人の動きを封じた。
「クロスライダーキック!」
ライが巧と同時にキックを繰り出して、ラスト2人に命中して撃破した。
「私をここまで減らすとは・・だがここまでだ。」
ラストが残った2人の分身とともに、ラストドライバーの右のレバーを上げて、ラストタイフーンを回転させた。
“ライダースマッシュ・ラスト。”
3人のラストがジャンプして、ライを狙ってキックを繰り出してきた。
「ライ!」
巧がとっさにライを突き飛ばして、上にジャンプしようとした。しかしラストたちのキックをかわし切れず、体を蹴り飛ばされて激しく地面を転がった。
そのはずみでファイズドライバーが外れて、巧のファイズへの変身が解かれた。
「巧さん!」
ライが叫んで巧に駆け寄ろうとするが、ラスト3人に行く手を阻まれた。
「邪魔をするな・・ラスト!」
ライが怒りをあらわにして、新たなライダーソウル「カメンソウル」を取り出した。
“カメン!”
“ライダーソウール!”
彼はカメンソウルをクロスドライバーにセットした。
「超変身!」
ライがクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“超変身・カメーン!”
クロスの装甲とマスクが、緑と赤の横のラインの入ったものになった。ライはクロスの強化形態「カメンフォーム」となった。
ライが力を振り絞って、ラストの1人にパンチを叩き込んだ。ラストが大きく突き飛ばされて、その先の壁に叩きつけられた。
「クロスがさらに力を上げてきたか。」
ラストがライの高まった力を痛感して呟く。
ラストたち2人が同時にライに飛びかかる。ライが両手を振りかざして、ラストたちをパンチで押し返す。
「これ以上、お前の好きにさせてたまるか!」
ライが言い放って、クロスドライバーの右レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させる。
“ライダースマッシュ・カメーン!”
全身からまばゆい光を発するライ。彼はその光を右足に集めて、大きくジャンプする。
「カメンクロスキック!」
ライが繰り出したキックが、ラスト2人を吹き飛ばして倒した。
「やった!これで残り1人だ!」
かなたがラストを見て、勝機を見出す。
「巧さん!」
ゆっくりと立ち上がる巧に、ライが駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「あぁ。こんなもので倒れるわけにいかない・・」
ライから心配されて、巧がため息まじりに答える。
「まだまだ力が足りなかったようだ。だがさらに力を引き出せばいいだけのこと。」
残ったラストがライたちに向かって言いかける。
「私は負担を抑えるためのリミッターがある。しかし状況に合わせて、段階的に解除することができる。」
ラストが告げて、ラストドライバーの上部にあるスイッチを切り替えた。
“ラストパワー・2。”
ラストの戦闘能力が1段階が上がった。彼の体から黒いオーラが霧のようにあふれ出した。
「ヤツの戦闘エネルギーが増した・・!」
レントがラストの力を分析して、危機感を覚える。
「高まった私の力は、お前たちが束になっても止められないぞ。」
ラストは告げると、一気にスピードを上げてライたちとの距離を詰めてきた。
「ぐっ!」
ライと巧がラストのパンチを受けて突き飛ばされる。
「は、速い・・!」
「やはりさっきよりも格段に強くなっている・・!」
かなたと主水がラストの力に驚く。
「リミッターカットによって、私の力は増す。その分負担も増すことになるが、レベル2では苦にもならない。」
ラストが振り向いて、手を動かして感覚を確かめる。
「アイツ・・負けてたまるか・・・!」
立ち上がったライが、腰に提げていた剣「クロスカリバー」を手にした。
“クロス!”
彼がが続けてクロスソウルを手にして、クロスカリバーの柄にある2つのスロットの左側にセットした。
“クロスパワー!”
クロスカリバーの刀身にエネルギーが集まっていく。
「クロス・ライドカリバー!」
ライがクロスカリバーを振りかざして、怒りの刃を放った。
“ラストセイバー。”
ラストがラストセイバーを手にして、光の刃とぶつけ合う。彼はその状態のまま、ラストセイバーの柄の先にあるボタンを押した。
“ラストブレイク。”
ラストセイバーの刀身にも光が宿る。ラストセイバーがライの光の刃を打ち砕いた。
「バカな・・!?」
ライがこの瞬間を目の当たりにして、驚きをふくらませていく。
「お前たちが束になっても今の私には及ばないことは、これで証明されたようだ。」
ラストが言いかけて、ライに向かって歩いていく。
「オレもライくんたちに負けない力を持っているぞ!」
聖也が言い放って、ライダーソウル「ヴァイスソウル」を取り出した。
“ヴァイス!”
聖也がヴァイスソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットした。
“ライダーソウール!”
彼がヴァイスソウルをクラールドライバーにセットして、クラールタイフーンを回転させた。
“大革命・ヴァーイス!”
聖也のまとうクラールの装甲とマスクが白くなった。彼は強化フォーム「ヴァイスクラール」に変身した。
「強き正義で、悪に制裁を下す・・!」
聖也が鋭く言って、ラストに向かって走り出す。
「ライくん、力を合わせてヤツを倒すぞ!」
「聖也さん!」
聖也が呼びかけて、ライが答える。2人がラストに向かって、ヴァイスブレイカーとクロスカリバーを振りかざした。
ラストがジャンプして回避して、クロスカリバーとヴァイスブレイカーが当たる。ラストが着地して、振り返り様にラストセイバーでクラールの装甲を切りつけた。
「くっ!」
装甲から火花が散って、聖也がふらつく。ライとラストがクロスカリバーとラストセイバーを振りかざして、連続でぶつけていく。
“ラストシューター。”
ラストが左手でラストシューターを手にして、ライの体に射撃した。
「があっ!」
撃たれたライが押されて、地面を転がる。
「お前も最期を避けることはできない。私がもたらす最期から・・」
ラストがライに告げると、ラストシューターの上にラストセイバーをセットした。
“ラストフィニッシュ。”
ラストセイバーの切っ先にエネルギーが集まっていく。
「あれではやられるぞ・・!」
巧が左腕に着けているリストウォッチ「ファイズアクセル」から「アクセルメモリー」を取り出して、ファイズフォンにセットした。
“Complete.”
ファイズの胸部が展開して、赤色が黒になった。巧はファイズの高速形態「アクセルフォーム」となった。
“Start up.”
巧がファイズアクセルのボタンを押して、「アクセルモード」を起動した。ラストがラストシューターを発射しようとする直前に、巧は加速して彼の右腕を叩いた。
巧は直後にライに駆け寄って、手で押してラストから遠ざけた。続けて彼はジャンプして、ラストを狙って光の円錐を出した。
その円錐と巧の姿が増えた。高速による残像が現れて、ラストを取り囲んでいた。
次の瞬間、ラストがラストシューターを地面に向けて発射した。放たれたビームの反動を利用して、彼は真上に飛んで、巧のキックをかわした。
“3,2,1...Time up.Reformation.”
巧が着地した直後に、10秒間だけ発動するアクセルモードが終了して、ファイズの姿が元に戻った。
「ファイズアクセルのスピードをかわした!?」
「あのスピードを、同等以上のスピードではなく、正確な動きで回避したというのか・・!?」
かなたと聖也がラストの動きに驚く。ラストがラストシューターを巧に向けた。
「そのスピードは厄介だ。他のスピードライダーは排除しているが。」
“ラストフィニッシュ。”
ラストがラストシューターを発射して、ビームが巧に直撃した。
「うあぁっ!」
ビームの閃光の中に、巧の姿が消えた。彼もラストの手にかかった。
「巧さん!」
ライが巧に向かって叫ぶ。ライは巧を倒された怒りよりも、1人突っ走った自分の失態を強く感じていた。
「これでまた1人、仮面ライダーを消すことができた。次こそお前の番だ、クロス。」
ラストが振り返って、ラストシューターをライに向けた。
「ライ、回避しろ!お前までやられてしまうぞ!」
主水が呼びかけるが、ライは動揺と絶望に囚われて、思うように動くことができないでいた。
“Lightning sonic.”
そのとき、ラストシューターが蹴り飛ばされて、ラストの手から離れた。キックを当てたのは、スピードを上げて駆けつけた一真だった。
「剣崎さん!」
「ブレイドの剣崎さんも、無事だったんだね・・!」
ブレイドに変身した一真に、ライとかなたが声を上げる。
「ブレイドも来たか・・わざわざこっちに来てくれるとは好都合・・」
ラストが呟いている最中に、一真が剣「ブレイラウザー」を振りかざしてきた。装甲が切られて火花を散らして、ラストが引き離される。
「お前たち、1度撤退するぞ!」
一真が呼びかけて、聖也とかなたがライに駆け寄った。
「ライくん、しっかりするんだ!」
「今は剣崎さんの言う通りにしよう!」
聖也とかなたに呼びかけられて、ライが我に返る。3人と蓮太郎たちはこの場から離れて、一真も続いて去っていった。
「ブレイドに助けられたか。しかしファイズは倒した。仮面ライダーが消えるのも時間の問題だ。」
仮面ライダーを1人消した手応えを感じていたラストは、ライたちをあえて追わなかった。
「仮面ライダーは、1人1人が大きな力を備えている。集合すれば空間の歪みが起こり、世界のバランスが崩壊する・・」
ライダー打倒への執念を抱いて、ラストもこの場から姿を消した。
一真に助けられて、ライたちは窮地から脱した。しかし巧がいなくなって、ライは絶望を痛感していた。
「オレが感情に任せて突っ走ったから、巧さんが・・・」
ライが自分を責めて、地面に握った手を叩きつけた。
「悔しがっている暇はない。ここへ来る途中で、ラストに関する情報を聞いた。」
一真がライたちに檄を飛ばして、ラストのことを話してきた。
「ラストのことが分かったんですか!?」
「あぁ。ヤツは別の世界から来た仮面ライダー。それも今のこの世界のように、数多くのライダーが集まっている世界だ。」
かなたが声を上げると、一真がラストについて説明する。
「こことは違う世界のライダーだったのか・・・!」
聖也もラストのことを考えて、表情を険しくする。
「その世界は、ライダーたちと怪人たちの戦いの激化によって空間が歪み、その変化の衝撃に押しつぶされて消滅してしまったんだ・・」
「ラストに、そんなことが・・・!」
一真の話を聞いて、蓮太郎が動揺を浮かべる。
「しかし仮面ライダーを消したところで、世界の消滅が免れるわけではない・・!」
「やはりラストの行動は止めなければならない。ライダーがいなくなって怪人たちの支配が達成されるという事態が起こる可能性が出てくる・・」
主水とレントがラストを警戒する。聖也たちもラストの行動を止めようと、気を引き締めた。
ライもラストを倒す決意をしていたが、冷静さを取り戻すことができないでいた。