仮面ライダークロス&マックス
-Final Burning-
第7章
ドラスの絶大な力に、ゲイツたちは防戦一方となっていた。
「どうしたの?これじゃ全然楽しくないよ・・」
ドラスがゲイツたちを見てため息をつく。
「マジでとんでもないパワーだぞ・・!」
「こっちも戦い方を変えないと勝てないな、こりゃ・・!」
ソウマとシゲルがドラスの力に危機感をふくらませていく。
「ここはパワーで攻め立てるのが最善手か・・!」
聖也が他界の糸口を探って、新たなライダーソウルを取り出した。仮面ライダークローズのライダーソウル「クローズソウル」である。
“クローズ!”
聖也がクローズソウルをクラールドライバーにセットする。
“ライダーソウール!”
彼はクラールドライバーの左レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クローズー!”
聖也の姿が青と黒の仮面ライダーに変わった。彼はクローズの姿と力を宿した「クローズフォーム」になった。
「他のライダーの力を使うか・・ならばオレも・・!」
思い立ったゲイツが、新たなライドウォッチを取り出した。仮面ライダーファイズの力を宿した「ファイズライドウォッチ」である。
ゲイツはファイズライドウォッチをジクウドライバーの左スロットにセットして、ジクウサーキュラーを回転させた。
“アーマーターイム!コンプリート・ファイズ!”
ゲイツの体を赤と黒の装甲が包み込んだ。装甲の両肩には携帯電話「ファイズフォン」をかたどった「フォンギアショルダー」が装着されていて、マスクの複眼は「ふぁいず」の形になっていた。。
ゲイツはファイズの力を備えた「ファイズアーマー」を身に着けた。
「へぇ。面白そうだね。まだまだ遊べそうだね。」
ドラスが喜びの声を上げて、ゲイツたちに近づいていく。
「いや、遊びは終わりだ・・!」
「お前はここで私たちに倒される。それだけだ。」
ゲイツと聖也がドラスに向けて言いかける。ゲイツたちが左右に分かれて、同時に走り出す。
「逃がさないよ。」
ドラスが笑みをこぼして、全身から光を放出する。ゲイツと聖也が爆発をかいくぐって、ドラスに近づいていく。
聖也が両手を強く握りしめて、ドラスにパンチを繰り出す。重みのあるパンチの連続を、ドラスは回避と防御をしていく。
ゲイツも続けて攻撃を仕掛けて、ドラスにパンチを当てる。ドラスが光を放出して、聖也とゲイツを遠ざける。
“チャージ・フォーックス!ソニックフォックス!ソリッドフォックス!ビース・ハイスピード!”
ソウマが元のフォックスに戻って、シゲルとともに構えを取る。
“フォックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
“オックス・ロードスマッシュ。”
ソウマとシゲルが走り出して、同時にジャンプして、ドラスに向かってキックを繰り出す。ドラスが両手を前に出して光を放って、ソウマたちのキックとぶつけ合う。
「今だ、2人とも!」
「分かった・・!」
ソウマが呼びかけて、ゲイツがアイテム「ファイズフォンX」を取り出して「555」と「ENTER」を押す。
“レディ!ポインターオン!”
ゲイツがアイテム「ポインター555」を右足に装着してジャンプする。突き出した彼の右足から赤い光が放たれて、ドラスに命中させて動きを止める。
聖也もクラールドライバーの右のレバーを右手で上げて回転を加える。
“ライダースマッシュ・クローズー!”
彼が龍の形の青い炎をまといながら飛び上がって、ゲイツと同時にキックを繰り出した。キックを体に受けたドラスが、絶叫を上げて突き飛ばされる。
「まだだよ・・僕は、まだまだ遊びたいんだから・・・!」
ふらつくドラスが声を振り絞る。彼はゲイツたちに向かって閃光を放出する。
「ぐあっ!」
閃光が地面に当たって爆発が起こり、ゲイツたちが吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
「こ・・これほどのパワーを出してくるとは・・・!」
ゲイツが激痛に襲われながら、ドラスのパワーに対してうめく。
「こうなったら、お兄ちゃんの体をもらわないと・・・!」
力を大きく消耗したドラスが、ゲイツたちの体を奪うことで回復しようと企む。
「まずは電話のお兄ちゃんだよ・・・!」
ドラスがゲイツに近づいて、自身に取り込もうと手を伸ばす。
“スタートアップ・イグアナ。”
そのとき、1台の車が駆けつけて、ドラスを横から突き飛ばした。シゲルがアニマルカード「イグアナカード」を使って、イグアナの車「イグアカート」を呼び出した。
「お前の力の消耗も大きい・・イグアナでも十分勝てるはずだ・・!」
シゲルがドラスを見て笑みをこぼす。
「ちょっとー・・いいところだったのに、邪魔しないでよね・・・!」
ドラスが不満の声を上げて、イグアカートに向かって光を放つ。光を受けてイグアカートが爆発に襲われる。
「やらせるかよ・・!」
シゲルが声と力を振り絞って、リードライバーの中心部を回転させた。
“イグアナ・ロードスマッシュ。”
イグアカートにエネルギーが集まっていく。イグアカートがドラスに向かって突撃する。
「力が足りない・・跳ね返せない・・・!」
放つ光が弱まって、ドラスが押されていく。イグアカートが押し切って、ドラスを突き飛ばした。
「うわあっ!」
ドラスが悲鳴を上げて跳ね上げられる。地面に叩きつけられた彼が、力尽きて肉体を維持できなくなる。
「僕はまだ・・まだ遊びたいのに・・・」
弱々しく声を発するドラス。動かなくなった彼の姿が消えた。
「やったか・・・」
「しかし、私たちも体力を使い果してしまったようだ・・・」
ゲイツと聖也が声を発する。しかし彼らも力を使い切って、立ち上がることができなくなっていた。
「ノゾム、オレたちはそっちに行けそうにないな・・・」
「ツバキちゃんやみんなを守れなかったら、承知しないからな・・・」
シゲルとソウマがノゾムたちのことを思う。彼らは体力が回復して立ち上がれるようになるのを待つしかなかった。
ルシフェルフォームとなったトワの絶大な力の前にライ、ノゾム、ソウゴ、光輝は倒れた。
「これでここにいる仮面ライダーは全滅となりました・・もっとも、私もルシフェルソウルを使いすぎたために、休息が必要ですが・・」
勝利を確信するトワだが、消耗の激しさで疲れを感じていた。
“変身・ライダー!セイーント!”
彼は元のセイントに戻って、落ち着きを取り戻す。
「あなたたちを葬った後、あなたたちの仲間も後を追わせてあげますよ。さみしくならないように・・」
トワが笑みをこぼして、まずライのとどめを刺そうとする。
「仮面ライダー!」
そこへ目を覚ましたまりが出てきて、ライたちを目の当たりにして叫んだ。
「あなた、ここへ来たのですか。ではあなたには、仮面ライダーの最期の見届け人となっていただきましょうか。」
トワがまりに目を向けて微笑む。
“セイントセイバー!”
彼がセイントセイバーを手にして、切っ先をライに向ける。
「やめて!これ以上みんなを傷付けないで!」
まりがトワを呼び止めて前に出てくる。
「これ以上やったら死んでしまう!もうみんなに手を出さないで!」
「そうはいきません。私の目的は今の仮面ライダーを滅ぼして、新しい仮面ライダーの姿を示すことです。」
まりに言われても、トワは考えを変えない。
「邪魔はしないでいただきますよ。でなければライダーたちより先に、あなたの命が消えることになります。」
まりに警告して、トワは改めてセイントセイバーを構えた。
「やめて!」
まりが飛び出して、ライの前に来て彼を守ろうとする。
「私の話を聞いていなかったのですか?邪魔をすればあなたが先に死ぬことになりますよ。」
「それでも手は出させない!何かされそうになっているのを、黙って見ているなんてできない!」
冷たく告げるトワだが、まりはライの前から離れない。
「仕方がないですね・・ではあなたから始末させていただきます。」
トワが狙いをまりに変えて、セイントセイバーを振り上げた。
「待て・・・!」
そのとき、ライが立ち上がって、トワに目を向けてきた。
「クロス・・・!」
「あなた、まだ生きていましたか・・」
まりがライを見て戸惑いを覚えて、トワが毒づく。
「彼女に手を出すな・・お前の狙いは、オレたち仮面ライダーだろうが・・!」
ライが声を振り絞って、トワに言いかける。
「でしたら彼女を説得してください。私があなたたちを倒す邪魔をしないようにと・・」
トワがライに向かって、ため息まじりに言いかける。
「オレたちはお前の思い通りにはならない・・お前がどのような手を打ってきても・・・!」
ライが意地を見せて、トワへの怒りをふくらませていく。
「懲りないことですね・・2人まとめてあの世に送るのもいいかもしれないですね・・」
トワが呆れ果ててから、ライの眼前にセイントセイバーを付きつけた。
「他の仮面ライダーのみなさんも、すぐに後を追わせますので・・」
「他のライダーとは、オレのことかな?」
そこへ声がかかって、トワが振り向いた。直後、駆けつけたGが繰り出したキックで、トワが突き飛ばされた。
「あなたは、G・・!」
ライがGを見て、まりとともに戸惑いを覚える。
「不意を突いてオレを崖から落として遠ざけるとはね。おかげでお前に時間を与えてしまった・・」
トワに先に行かれてしまったことを悔やむG。立ち上がるトワが、Gを見て笑みをこぼす。
「あのときはあなたの相手を長くしていられなかったですからね・・予定とは違いましたが、これで仮面ライダーたちをあと一歩というところまで追い詰めることができました。」
「残念だがその計画もここまでだ。ここからはオレが相手をしてやる・・・!」
語りかけるトワに、Gが言いかけて構える。
「仕方がないです・・あなたも他の仮面ライダー共々、ここで倒させてもらいます。」
「途絶えることはない。ワインの味も、仮面ライダーの歴史も・・」
敵意を向けるトワに、Gが言い返す。
「ライダーの歴史・・タイムジャッカーである私が塗り替えてみせますよ。」
トワがセイントセイバーを構えて、Gに向かっていく。Gが剣を手にして、振り下ろされたセイントセイバーを受け止める。
トワとGセイントセイバーと剣をぶつけ合う。2人は互いに攻撃を命中できないでいた。
「ルシフェルソウルで力を使いすぎてますか・・いつものように動けないです・・・!」
自分の動きが鈍くなっていることを痛感して、トワが毒づく。
「しっかりしてください、ライダー!」
まりがふらつくライを支えて、呼びかける。
「オレは大丈夫だ・・それよりも、Gを援護しないと・・・!」
ライが落ち着きを取り戻して、トワに立ち向かおうとする。
「ムチャです!今、体を動かしたら・・!」
まりが心配してライを呼び止める。
「危険なのは分かっている・・でも今おとなしくしていたら、みんなが危険にさらされることになる・・・!」
ライはまりの制止を振り切って、トワに立ち向かおうとする。
「戦えるのは君とGだけじゃないよ・・・!」
ソウゴも立ち上がって、ライたちに声を掛けてきた。
「ジオウ・・お前も大丈夫なのか・・・!?」
「他の仮面ライダーのみんながまだまだやる気になってるのに、オレがのんびり休んでいるわけにいかないね・・・!」
心配の声を掛けるライに答えて、ソウゴが頷いた。
「お互いがんばろう、クロス・・!」
「あぁ・・ありがとう、ジオウ・・!」
ソウゴとライが声をかけ合って、手を取り合った。2人が互いを仮面ライダーの名で呼んだのは、ライがまりに正体を知られないようにして、ソウゴもそれを把握して気を遣ったからである。
「君は早くここから離れるんだ・・ここは君には危険だ・・・!」
ライがまりに視線を向けて呼びかける。
「でも・・・!」
「大丈夫。オレたちが力を合わせれば、いける気がする。」
それでに心配するまりに、ソウゴが気さくに言いかける。
「前向きだな、お前は・・」
「君の負けん気ほどじゃないよ・・」
互いに声をかけ合うライとソウゴ。2人は気を引き締めなおして、Gとトワの戦いに目を向けた。
Gの参戦によって、トワは窮地に追い込まれていた。
「これ以上使えばつぶれてしまうことになるが・・このまま敗北するよりはいいでしょう・・・!」
危機感をふくらませるトワが、ルシフェルソウルを取り出した。
“ルシフェル!”
“ライダーソウール!”
トワがルシフェルソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。
「これであなたも他のライダーも、終わりとなります・・・!」
トワが笑みを浮かべて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ルシフェール!”
セイントの装甲が黒く染まった。彼はルシフェルフォームへと変身を果たした。
「これは!?・・ただのパワーアップじゃない・・・!」
Gがトワに対して警戒を強める。
「私の力を何倍にもしますが、負担も大きい・・君たちでいうところのドーピングというものと同じですか・・・!」
トワが笑みをこぼして、両手を握ったり開いたりする。力を消耗している状態から再びルシフェルフォームになった彼は、落ち着きがなくなっていた。
「ワインにそういうことをしても毒にしかならない・・その毒の力、オレが消毒する!」
Gが言い放って、トワに立ち向かう。Gが繰り出すパンチとキックを、トワが軽々とかいくぐる。
「君でも私に勝つことはできないですよ・・」
トワが言いかけてから、Gの体にパンチを叩き込む。
「ぐふっ!」
体に激痛を感じて、Gがふらつく。地面に膝を付く彼を、トワが見下ろす。
「あなたを倒して、他の仮面ライダーも葬ります・・」
トワが笑みをこぼして、右手を握りしめて構える。
「時間がありません・・すぐに終わらせますよ・・・!」
「お前を倒してな・・!」
Gを倒そうとするトワに声を掛けたのは、駆けつけたライだった。ソウゴもともにトワに対して構えを取る。
「あなたたちもしぶといですね・・まとめて倒させていただきます・・・!」
トワがライたちを見てさらに笑みをこぼす。
「オレたちは負けないよ!クロスはお前のことが許せないし、オレもこれから王様になるんだからね!それも、みんなのことを大事にする王様に!」
ソウゴも笑みをこぼして、トワに言い放つ。
「歴史と未来は覆せませんよ、オーマジオウ。あなたがジオウであり続ける限り、あなたは最低最悪の魔王となる運命にあるのです。」
「それを聞いて安心しているよ。これから最高最善の王様になっていけばいいってことだよね。」
トワが投げかける言葉に対して、ソウゴが笑みをこぼす。
「王にしても魔王にしても、心や夢を傷付けないようにな・・」
「もちろん。そうでないと、それこそ最低最悪だからね。」
ライが投げかけた言葉に、ソウゴが頷いて答えた。
王となることが自惚れと破滅を招くのではないかという疑念はあるが、みんなのために行動するソウゴの姿勢を、ライは認めていた。
そのとき、ライ、ソウゴのまとうクロス、ジオウの装甲から光があふれ出した。2人の光はあふれ出してすれ違って、それぞれの手元に渡った。
光はそれぞれ新たなアイテム「ジオウソウル」と「クロスライドウォッチ」になった。
「これは・・!」
「オレのとクロスの・・・!」
ライとソウゴがジオウソウルとクロスライドウォッチを見て驚く。
「これを使ったら、クロスの歴史が・・・!」
「クロスの力は仮面ライダーの力を結ぶものだ。同じライダーの力でも悪くねじ曲げられたりはしない・・仮に変わっても、オレはオレだ・・!」
ためらいを見せるソウゴだが、クロスの力が変わることはないとライは確信していた。
「分かった・・それじゃ行くよ、クロス!」
「分かった、ジオウ!」
ソウゴとライが声をかけ合う。
“ジオウ!”
“ライダーソウール!”
ライがジオウソウルのスイッチを押して、クロスドライバーにセットした。彼はクロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ジオー!”
クロスの装甲がジオウそっくりの姿になった。ライは「ジオウフォーム」への変身を果たした。
ソウゴもクロスライドウォッチのスイッチを入れて、ジクウドライバーの左スロットにセットしてジクウサーキュラーを回転させた。
“アーマーターイム!ソウルライダー・クロース!”
ソウゴの体をメタリックカラーの装甲が包んだ。マスクの複眼が「クロス」の形になった。
クロスの力を宿した「クロスアーマー」をソウゴは身に着けた。
「クロスとジオウが互いの力を身に着けましたか・・そのような小細工が通用する私ではないですよ・・・!」
トワは笑みを絶やさずに、ライたちの前に立ちはだかる。彼がそばにいたGを、放ったオーラで吹き飛ばす。
「G!」
倒れたGにライが叫ぶ。
「オレは大丈夫だ・・今はセイントを・・!」
Gが答えて、ライとソウゴが頷く。
ライが先にトワに向かっていって、トワにパンチを繰り出していく。
「ジオウの力を身に着けても、結局はジオウと戦い方は似ています。対応できないということはありません・・!」
トワが言いかけて、ライの腕をつかんで投げ飛ばす。ライは空中で体勢を整えて着地する。
「だけど、オレもクロスもまだまだ発展途上。つまり、お前の力を超えることだってできるんだ!」
ソウゴが強気に言い放って、トワに向かっていく。
ソウゴも立て続けにパンチを繰り出していく。トワは後ろに下がってパンチをかわして、空中に浮かび上がる。
ソウゴが両肩に装備されている「X」の形をした武器「クロスブーメラン」を1つ外して手にして、トワ目がけて投げつける。
トワが空中で身をひるがえして、クロスブーメランをかわす。
ソウゴがもう1つのクロスブーメランを手にして、さらに投げつける。1つ目のクロスブーメランも軌道を変えて戻ってくる。
トワが黒いオーラを放出して、2つのクロスブーメランをはじき返した。
「そのような小細工、私には通用しないですよ・・!」
トワがライとソウゴを見下ろして笑みをこぼす。
「オレたちはお前に勝つ!お前の企みに、オレたちは振り回されたりしない!」
ライが言い放って、トワに向かって大きくジャンプする。
「真正面から向かってきても、返り討ちにあうだけですよ・・!」
トワが右手にオーラを集めて、ライに向かってパンチを繰り出す。真っ直ぐにジャンプしてきたライに回避はできないと、トワは予測していた。
しかしその瞬間、トワの視界からライの姿が消えた。
「な、何っ!?どこに・・!?」
トワがライを見失って周りを見回す。次の瞬間、トワの後ろにライが現れた。
ライが足を振りかざして、トワの体にキックを当てた。
「ぐっ!」
トワが体勢を崩して、地上に落下する。
「いつの間に後ろに!?・・瞬間移動を使えるようになったというのですか・・・!?」
ライの動きを読むことができなくて、トワが驚きを隠せなくなる。上を見上げる彼だが、その先に既にライの姿はない。
「どこにいるのです!?・・これは高速さえも超えている・・・!?」
ライの行方が分からなくて、トワが動揺をふくらませていく。
「時間と仮面ライダーの力を司る力が、ジオウの力のようだ・・・!」
トワの前にライが姿を現した。次の瞬間、ライがトワの眼前まで一気に詰め寄ってきた。
「なっ・・!?」
驚くトワがライの繰り出したキックを受けて突き飛ばされて、地面を激しく転がる。
「くっ!」
全身に力を込めて、トワが踏みとどまる。体勢を整えたその瞬間、彼の後ろにライが回り込んだ。
「まさかあなた、時間を飛び越えて移動しているのですか・・・!?」
「そうだと思う。ホントに短いけど、時を超えて動いている・・オレが時間を止めているんじゃなくて、オレ自身が先の時間にジャンプしたってことだと思う・・」
驚きをふくらませるトワに、ライがジオウフォームとなっている自分の能力について口にする。
ジオウフォームとなったライは、時間を超えて移動していた。わずかしか時間を超えることはできないが、それでも相手からの対応は難しい。
「時を超えたり操ったりする能力の持ち主は聞いたことがありますが、ここであなたが使ってくるとは・・!」
ライの発揮する能力に毒づくトワ。
「ですが未来に行けたとしても、その時間に返り討ちにすればいいだけのこと・・!」
トワが笑みをこぼして、全身から出ている黒いオーラを濃くして、ライの攻撃に備える。
「それでもオレは、いや・・!」
「オレたちはお前を倒す!」
ライとソウゴがトワに向かって言い放つ。
“ライダースマッシュ・ジオー!”
クロスタイフーンを回転させて、ライがジャンプする。
“クロス!フィニッシュターイム!”
ソウゴがクロスライドウォッチのスイッチを押して、ジクウサーキュラーを回転させる。彼もライに続いてジャンプする。
「クロスタイムブレーク!」
ライとソウゴが言い放って、トワに向かってキックを繰り出した。2人の足の裏から「キック」の形のエネルギーが飛び出した。
ライとソウゴのキックがトワの放つオーラとぶつかる。キックはオーラを押し込んで、トワに迫る。
オーラがキックによってかき消されたものの、トワはライたちのキックを切り抜けた。
「なんという威力・・ルシフェルの力が押しつぶされた・・・!?」
トワがライとソウゴの力に驚かされる。
「ですがそれだけで私を止められると思わないことですね・・危険ではありますが、ルシフェルの力を高めることはまだまだできますよ・・・!」
トワが笑みを取り戻して、再び黒いオーラを発する。
「オレたちは諦めない!絶対にお前を倒す!」
「お前たちの企みは、オレたちが阻止してみせる!」
ライとソウゴがトワに向かって言い放つ。
「よし!オレの力も使ってくれ、2人とも!」
Gが立ち上がって、ライたちに向かって意識を傾けた。するとGの体から光があふれて、ライダーソウル「Gソウル」とライドウォッチ「Gライトウォッチ」となった。
「Gのライダーソウルとライドウォッチ・・!」
「ありがとうございます、G!あなたの力、使わせていただきます!」
GソウルとGライドウォッチを手にして、ライが戸惑いを覚えて、ソウゴが感謝する。
“G!”
“ライダーソウール!”
ライがGソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。
“変身・ライダー!ジー!”
クロスタイフーンを回転させたライの姿が、Gとそっくりになった。彼はGの姿と力を宿した「Gフォーム」となった。
ソウゴもGライドウォッチをジクウドライバーにセットして、ジクウサーキュラーを回転させた。
“アーマーターイム!スワリングワイン・G!”
ソウゴの体を装甲が包んだ。複眼も「G」の形へと変わった。
彼は胸部にGマーク、両肩がコルクの形になっている「Gアーマー」を身に着けた。
「今度はGの力・・どんどん姿を変えていきますね・・・!」
トワがライとソウゴを見ていら立ちを感じていく。
ライが飛び出して、トワの周りを駆け抜けていく。トワがオーラを放つが、ライは速いスピードでオーラをかいくぐっていく。
ソウゴがその隙を狙って、両腕から出た刃「Gブレード」を振りかざす。トワがオーラを駆使して、Gブレードを受け止めていく。
“ソードガン!”
ライがソードガンソウルのスイッチを入れて、クロスソードガンを手にした。彼がクロスソードガンを振りかざして、トワのオーラにぶつける。
「あなたたちでは、今の私を超えることはできません・・!」
トワが両手にオーラを集めて、光の球にしてライとソウゴに投げつける。ソウゴが2本のGブレードで、光の球を受け止める。
ライがクロスソウルをクロスソードガンにセットした。
“ライダーブレイク・ジオー!”
クロスソードガンの刀身にエネルギーが集まる。
「ギリギリクロスラッシュ!」
ライがクロスソードガンを振りかざして、光の刃を放つ。彼の一閃がトワのオーラを切り裂いた。
「今だ!一気に叩き込む!」
ライが呼びかけて、ソウゴが頷く。2人がそれぞれクロスタイフーン、ジクウサーキュラーを回転させる。
“ライダースマッシュ・ジー!”
“G!フィニッシュターイム!”
2人が構えを取って、回転を加えてジャンプする。
「クロス・・!」
「ジオウ・・!」
「スワリングキック!」
ライとキックが回転しながら、トワに向かってキックを繰り出した。
「ぐあっ!」
2人のキックに挟まれて、トワが激痛に襲われる。
「ルシフェルの力を破って、私に直接ダメージを与えてきただと・・・!?」
トワが地面に膝を付いて、苦痛と屈辱を痛感してうめく。
「みんながオレたちに力を貸してくれている!」
「だからオレたちは、お前には負けない!」
ソウゴとライがライダーたちの強さと思いを実感して言い放つ。優勢を見せる2人に対して、トワは危機感をふくらませていた。