仮面ライダークロス&マックス
-Final Burning-
第6章
“フォックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
“オックス・ロードスマッシュ。”
ソウマとシゲルがジャンプして、エネルギーを足に込めたキックを繰り出した。カメレオン怪人3人のうちの2人が、キックを受けて爆発した。
「これで残り1匹だな。1匹だけじゃ、オレたちに敵うわけもないな。」
「今なら尻尾巻いて逃げてもいいぞ。また攻撃してくるなら、他のヤツらの後を追わせてやる。」
シゲルが気さくに言って、ソウマがカメレオン怪人に向かって呼びかける。
「さぁ、どうする?決めないなら、オレたちは先に行くぞ。」
「オレたちはのんびりというわけにはいかないからな。」
ソウマとシゲルが言いかけて、カメレオン怪人を置いて、ライたちを追いかけようとした。
そのとき、カメレオン怪人が蹴り上げられて、空中で爆発した。
「な、何だ!?」
突然のことに、ソウマとシゲルが振り向いて驚く。2人の前に現れたのは1人の戦士。その姿はジオウに似ていた。
「何だ、お前は?オレたちを助けに来たのか?」
「仮面ライダーってヤツ・・・にしちゃ、感じがちょっと違ってないか・・?」
ソウマが声を掛けて、シゲルがその戦士に疑問を投げかける。戦士、アナザージオウは答えることなく、ソウマたちに飛びかかる。
ソウマがジャンプしてアナザージオウを飛び越えて、シゲルが横に転がってよける。アナザージオウがシゲルに振り向いて、続いて突っ込む。
「おわっ!」
アナザージオウの突進を受けて、シゲルが突き飛ばされる。
「シゲル!」
ソウマが声を上げて、アナザージオウに飛びかかる。アナザージオウが彼に振り向いて、両手を握りしめた。
その瞬間、ソウマの動きが突然止まった。まるで時間が止まったかのように、彼は駆け込もうとした体勢から体が固定されていた。
「どうしたんだ!?・・動けない・・・!」
「ソウマ!?」
声を振り絞るソウマに、シゲルが驚きの声を上げる。アナザージオウが右腕を振りかざして、ソウマを殴りつけた。
「ぐあっ!」
ソウマが殴り飛ばされて、地面に倒される。無防備の状態で攻撃されて、ソウマは大きなダメージを負うことになった。
「ソウマ!・・コイツ!」
シゲルが叫んでから、アナザージオウに向かっていく。アナザージオウが両手を握ると、シゲルも動きを止められた。
「動けない!?・・アイツの力か・・!?」
うめくシゲルがもがくが、完全に体の自由が利かない。動きを止められている彼に、アナザージオウが迫る。
「ぐあっ!」
アナザージオウの繰り出したパンチを体に受けて、シゲルが突き飛ばされる。
「シゲル・・簡単に動きを止められたら、どうにもならないじゃないか・・!」
立ち上がるソウマがアナザージオウの能力に毒づく。時間のように動きを止めてくる力に対して、ソウマは攻略法を見出せなくなっている。
ソウマが一気にスピードを上げようとするが、アナザージオウに再び動きを止められた。
「くそっ!これじゃやられる一方じゃないか・・!」
絶体絶命を思い知らされて、シゲルが苦痛を噛みしめる。身動きの取れないソウマを狙って、アナザージオウが構えを取った。
そのとき、アナザージオウが突然飛んできたビームを受けて、攻撃を止めた。彼の意識がそれたことで、ソウマが自由を取り戻す。
「まさか、ジオウのアナザーライダーが出てくるとはな・・!」
そこへ1人の青年が現れて、アナザージオウを見て呟く。
「アナザーライダーを倒して、オーマジオウを倒す試しになる・・オレに取っては好都合ということか・・」
“ジクウドライバー!”
青年はさらに呟いて、ジクウドライバーを取り出して装着した。
「お前は誰だ!?そこのおかしなライダーと関係しているのか!?」
ソウマが青年に向って声を掛ける。
「関係?そういうことになるか。オレは明光院ゲイツ。コイツらアナザーライダーの敵だ。」
青年、ゲイツが答えて、ライドウォッチ「ゲイツライドウォッチ」を手にして起動した。彼はゲイツライドウォッチを、ジクウドライバーにセットした。
「変身!」
ゲイツがジクウサーキュラーを回転させる。
“ライダーターイム!”
“カメンラーイダー・ゲーイツ!”
ゲイツの体をマスクと赤いスーツが包み込んだ。マスクの複眼の形は「らいだー」と読めるものとなっている。
ゲイツは仮面ライダー、ゲイツへの変身を果たした。
「やっぱりオレたちの知らないライダーだな・・・!」
「しかも仮面に“らいだー”って・・」
ゲイツを見てシゲルが呟いて、ソウマが呆れる。
「とにかく、アンタはオレたちの味方と見ていいのか!?」
「さぁな。アイツの敵ということは間違いない。」
ソウマが問いかけて、ゲイツがアナザ−ジオウに目を向けたまま言い返す。
「だったらとりあえず、味方だってことでよさそうだな・・!」
ソウマが笑みをこぼして、シゲルとともに構えを取る。
「それならオレも味方ということになるか。」
そこへもう1人青年が現れて声を掛けてきた。
「今度は誰だ!?まさかアンタも仮面ライダーなのか!?」
「そういうことになるな。私は滝聖也。クラールだ。」
ソウマが問いかけると青年、聖也が名乗る。聖也がクロスドライバーとそっくりのベルト「クラールドライバー」とベルト「クラールドライバー」を手にした。
“クラール!”
聖也がクラールソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼はクラールソウルをクラールドライバーにセットした。
「変身!」
聖也は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、中心部「クラールタイフーン」を回転させた。
“変身・ライダー!クラール!”
彼の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。彼は仮面ライダー、クラールに変身した。
「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」
聖也がアナザージオウに向かって言い放つ。
「2人とも気を付けろ!そいつは動きを止める能力があるぞ!」
ソウマが聖也たちに向かって呼びかける。
「それならば複数で同時攻撃を仕掛ければいいだけのこと・・!」
「誰かの動きを止めている間、その者に注意が向くことになる。」
ゲイツと聖也が対処法を告げる。2人がアナザージオウに向かって走り出す。
アナザージオウが両手を握りしめると、聖也が動きを止められた。
「まずは私か・・!」
「だがその瞬間が貴様の弱点だ・・!」
聖也が毒づいて、その間にゲイツがアナザージオウに詰め寄る。ゲイツが繰り出したパンチが、アナザージオウの体に叩き込まれた。
アナザージオウが突き飛ばされて、聖也が自由を取り戻す。
「予想通りか・・誰かの動きを止めれば、そいつに注意が向く・・!」
「相手の隙を突くのも、オレの得意技だ!」
シゲルがアナザージオウについて呟いて、ソウマがアニマルカード「ジャッカルカード」を取り出した。
“ジャッカル!”
ソウマがビースドライバーにあるフォックスカードを、ジャッカルカードと入れ替えた。
“チャージ・ジャッカール!ジャックスピード・ジャックソウル・ジャックジャックジャッカル!”
フォックスのスーツが黒と茶色に変わった。ソウマは「ジャッカルフォルム」への変身を果たした。
「これで一気に攻めて、アイツを倒す!」
ソウマが言い放って、アナザージオウに向かっていく。ソウマのスピードが今まで以上に速くなっていた。
アナザージオウはソウマに目を向けて、両手を握りしめる。高速で動いていた双馬の動きで止まった。
「今だ、みんな!早くコイツを!」
「分かっている!」
ソウマが呼びかけて、ゲイツが言い返す。
“フィニッシュターイム!”
ゲイツライドウォッチの上のボタンを押してジクウサーキュラーを回転させて、ゲイツがジャンプする。アナザージオウも同時にジャンプする。
ゲイツとアナザージオウの間に、それぞれ「きっく」、「キック」の形をしたエネルギーが現れる。2人がそのエネルギーをその足に取り込んで、キックを繰り出してぶつけ合う。
ゲイツとアナザージオウのキックの威力は互角で、2人はキックの押し合いを演じることとなった。
「そのライダーと互角ならば、アナザーライダーに勝ち目はない!」
聖也が言い放って、クラークドライバーの右のレバーを右手で上げて回転を加える。
“ライダースマッシュ・クラール!”
聖也の両足にエネルギーが集まっていく。彼は大きくジャンプして、ゲイツとキックのぶつけ合いをしているアナザージオウにキックを繰り出した。
アナザージオウがゲイツ、聖也のキックに競り負けて、突き飛ばされて地面に叩きつけられた。
「大人数を相手にしている状況では、動きを止める能力はうまく使えないようだ。」
「その程度では本物のジオウには遠く及ばないな。」
聖也とゲイツがアナザージオウを見て言いかける。立ち上がるアナザージオウだが、受けているダメージが大きくなっていた。
「オレの止められていた動きが戻った・・今だ!」
自由を取り戻したソウマが思い立って、ビースドライバーの左上のボタンを2回押した。
“ジャッカルチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ソウマがさらにスピードを上げて、穴ざいージオウの周りを高速回転していく。その渦の中でソウマが立て続けに飛び込んで、アナザージオウにキックを命中させていく。
決定打を受けたアナザージオウが、空中で爆発、消滅した。
「やった!」
着地したソウマが勝利を実感して笑みをこぼした。
「やはりアナザーライダーでは、ジオウもこの程度か・・」
ゲイツがため息をついて、聖也が気分を落ち着けていく。
「とにかく、2人が来てくれたおかげで助かった。ありがとうな。」
シゲルがゲイツたちに近付いて、気さくにお礼を言う。
「別にお前たちを助けようとしたわけじゃない。アナザーライダーを倒したかっただけだ。」
ゲイツが突っ張った態度を見せて言い返す。
「オレたちは仲間を追いかける。みんなも戦っているはずだからね。」
シゲルが自分たちの考えを告げて、ソウマも頷いた。
「それならば早く行くことだ。」
聖也がソウマたちに言って、振り返る。彼らの前に1体の怪人が現れた。
「お兄ちゃんたち、強そうだね。僕と遊んでよ。」
怪人が聖也たちに向かって声を掛けてきた。不気味さのある姿とは裏腹に、発した声は子供のようだった。
「悪いがオレは暇じゃない。遊び相手なら他を当たってくれ。」
ゲイツが怪人、ドラスに言い返す。するとドラスが全身から光を放って、周囲が爆発を起こした。
「どうやら見逃しちゃくれないみたいだな・・!」
「さっきの偽者ライダーよりも手ごわそうだ・・」
シゲルとソウマがドラスのパワーを目の当たりにして、危機感を覚える。
「僕はお兄ちゃんたちと遊びたいんだよ。逃げたらダメだよ。」
ドラスが無邪気に言って、聖也たちに近づいてくる。
「これじゃ先を急ぐのが難しいみたいだな・・・!」
ドラスの相手をするしかないと考えて、毒づくシゲル。彼らは続けてドラスとの戦いを強いられることになった。
体勢を整えたノゾムが、トワの襲撃を迎え撃つ。ノゾムはエクシードの力を振るって、トワを攻め立てる。
「とどめを刺すのが遅れてしまったために、形勢を逆転されてしまったようですね・・」
不利になっていることに、トワが毒づく。
「お前が考えているような企みには、オレは絶対に従わない・・オレたちをどうかしようとするなら、オレはお前をブッ倒す・・!」
ノゾムが怒りをあらわにして、トワに近づいていく。
「コレを使うには危険が伴いますが、仕方がないですね・・・!」
トワが焦りを噛みしめて、1つのライダーソウルを取り出した。
“ルシフェル!”
トワがライダーソウル「ルシフェルソウル」のスイッチを押した。
「何をするか知らないが、これ以上好き勝手にさせるか!」
ノゾムが言い放って、トワに向かっていく。
“ライダーソウール!”
トワがクロスドライバーにルシフェルソウルをセットして、突っ込んできたノゾムから遠ざかる。
「逃げるな!」
ノゾムが怒号を放って、トワを追いかける。
「そう言われて素直に聞くつもりはないですよ・・」
トワが言いかけて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ルシフェール!”
トワのまとうセイントの装甲と仮面が黒く染まっていく。彼の体から不気味なオーラがあふれてくる。
「何だ、あれは・・!?」
浮遊するトワを見て、ノゾムが声を上げる。
「残念ですが、これであなたたちの勝機が完全になくなります・・!」
トワがノゾムたちを見下ろして、体に力を込める。
「トワのヤツ・・あのような力を隠し持っていたのか・・・!」
キョウが変貌していくトワに驚きと怒りを感じていく。
「オレを利用するとは・・許さんぞ、トワ!」
「別に許してもらおうとは思っていません。あなたの感情的で、怒りに振り回されている姿は、私にとってとても利用しやすかったですよ・・」
怒号を放つキョウを、トワがあざ笑う。
「貴様!」
激高した今日が、地上に降り立ったトワに飛びかかる。
「あなたのその野蛮なところ、不愉快でした・・・」
トワがため息をついて、握った右手を振りかぶる。
「うぐっ!」
叩き込まれたトワのパンチの威力が大きく、キョウがうめく。レックスのスーツから激しい火花が散った。
「それを我慢してきたのは、仮面ライダーたちを一網打尽にするため・・あなたの力と怒りが必要だったのですよ・・・」
倒れたキョウを見下ろして、トワが自分の考えを口にする。
「少し予定と違ってしまいましたが、もうあなたは用済みです。なので私はもう、あなたに危害を加えることへのためらいはないです。」
トワが冷たく告げると、伸ばした右手から黒い光を放つ。その光がキョウの体を貫いた。
声にならない絶叫を上げるキョウ。彼が力尽きて動けなくなった。
「お前・・どこまでふざけたマネを!」
ノゾムが怒りを爆発させて、トワに飛びかかる。ノゾムが力を込めてパンチを繰り出すが、トワの発する黒いオーラに押し返される。
「エクシードの消耗で、今の私に対抗できるだけの力は残っていないようですね。」
トワが笑みをこぼして、倒れたノゾムを見下ろす。
「コイツ・・!」
ノゾムがすぐに立ち上がって、再びトワに向かっていく。トワが黒い光を伸ばして、ノゾムにぶつける。
「ぐっ!」
ノゾムが突き飛ばされて地面を転がる。
「私が思っていた以上に、ものすごい野蛮ですね、あなたは。」
トワがノゾムを見下ろしてため息をつく。
「許せない相手に対して徹底的に逆らい続ける・・体がどのようになろうと、強引に逆らい続ける・・それで世界は変わるものではないですよ・・」
「何を言っている!?・・オレは、世界を変えようというわけじゃない・・明らかに間違っているのに正しいことにしている間違いを、正しているだけだ・・・!」
呆れているトワに、ノゾムが声と力を振り絞って自分の意思を貫こうとする。
「許せない相手をしらみつぶしにしていって、それで世界がよくなると思っているのですか?それどころか混乱を招くばかり。キョウさんのように逆恨みをする者や、無関係のはずなのに知り合いを殺されてあなたに怒りを覚える者も出てくることになりますよ。」
「間違いは間違いだ・・間違いを繰り返す敵に味方するヤツも、オレの敵だ・・!」
「その考え方は横暴というものですよ・・」
「敵のほうが明らかに横暴だろうが!お前も!」
さらにため息をつくトワに、ノゾムがさらに怒鳴りかかる。
「何を言ってもムダですか・・では黙ってあなたを葬るとしましょう・・」
呆れ果てたトワが、体から発していたオーラを集中させる。オーラは彼の手元で、黒い剣に変わった。
トワが剣を手にして、ノゾム目がけて振りかざす。ノゾムがエクシードスマッシャーを構えて、黒い剣を受け止める。
トワがさらに剣を振りかざして、エクシードスマッシャーを叩いていく。ノゾムが押されて、ついにマックスのスーツを切りつけられる。
「ぐあっ!」
スーツから火花が散って、ノゾムがふらつく。
「終わりです・・・!」
トワが低い声で呟いて、剣を振り上げる。
「オレはお前には屈しない・・お前のような身勝手な敵には絶対に負けない!」
ノゾムが怒りの声を上げて、エクシードスマッシャーの画面をスライドして「X」を表示させた。
“エクシードチャージ!エクシードスマーッシュ!”
ノゾムが体からエネルギーを放出する。彼がジャンプして、トワに向かってキックを繰り出した。
トワが剣を振りかざして、ノゾムのキックとぶつけ合う。爆発のような衝撃が巻き起こって、ノゾムが吹き飛ばされた。
「がはっ!」
地面に叩きつけられてうめくノゾム。ビースドライバーが外れて、彼はマックスへの変身が解けた。
「これが今の力の差です。それでも戦いを続けようとするならば、あなたの命はありませんよ。」
トワがノゾムに近づいて、黒い剣の切っ先を向けた。
「何度も言わせるな・・オレはお前には屈しないと・・・!」
声と力を振り絞るノゾムがゆっくりと立ち上がる。
「死にはしない・・絶対に殺されはしないぞ!」
言い放つノゾムの体に変化が起こる。彼は野獣の姿へと変貌を遂げた。
「これは・・・君もビースターだったのですね・・・!」
ノゾムの変身したビーストビースターを見て、トワが呟きかける。
「ですがあなた自身の体力が落ちていることに変わりはないです・・今度こそとどめを刺します・・・!」
トワが再び剣を振り上げた。その瞬間、ノゾムがトワに突っ込んで、力強く拳を振りかざした。
トワがとっさにオーラを強くして、ノゾムのパンチを防いだ。
「これほどのスピードとパワーを出してくるとは・・・!」
ノゾムの力にトワが驚かされる。
「これがビースターの力・・いえ、それだけでなく、彼自身の感情の力も合わさっている・・まだまだ侮れないですね・・・!」
トワは毒づいて、剣を構えてノゾムの出方をうかがう。
「オレはお前を許しはしない・・必ずオレがブッ倒す!」
ノゾムが言い放って、トワに向かって飛びかかる。ノゾムがパンチを繰り出して、連続でトワのオーラを叩いていく。
「本当にしつこく強情なことです・・相手をし続けるのは気が滅入ります・・」
トワはため息をついて、手にしていた剣を突き出す。剣はノゾムの左肩を切りつけたが、直後に折れてはじけ飛んだ。
「この力でも競り負けるとは・・でしたら全力まで力を上げなくては・・・!」
トワが呟いて、全身に力を込めた。発せられる黒いオーラが濃くなって、彼の右手に集中していく。
トワが右手を突き出して、ノゾムの体に叩き込んだ。
「うぐっ!」
体に激痛を覚えて、ノゾムがうめく。彼がふらついて倒れて、姿が元に戻る。
「ルシフェルでここまで力を使わせないと、止められないとは・・神奈ノゾム・・実に厄介です・・・!」
トワがため息をついてから、気絶しているノゾムを見下ろす。
「意識がなくなっては、拒絶の言葉も吐けないでしょう。ここで改めて言います・・終わりです・・」
トワが低い声で言いかけて、黒い剣を具現化して構えた。
「ノゾム!」
そこへライがソウゴ、光輝とともに駆けつけて、ノゾムに向かって呼びかけてきた。
「な、何だ、アレは!?」
ソウゴがトワを見て声を上げる。光輝が倒れているキョウを見て息をのむ。
「お前、トワってヤツか・・・!」
「気付きましたか・・ジオウとオメガも現れたのでは、さすがにアナザーライダーは止められなかったということですね・・・」
ライが声を上げて、トワが振り向いて言いかける。
「私の本性と本領、あなたたちにも披露することにしましょう。そして神奈ノゾムとともに、闇の底へ落ちてもらいますよ。」
「冗談じゃない!オレたちはお前の思い通りにはならない!」
笑みをこぼすトワに、ライが怒りの声を上げる。
「自分の目的のために、他の人を利用して欺く・・お前のような邪悪な存在を、オレは許さない!」
「みんなの未来を閉ざすようなこと、オレもさせちゃいけないと思う!だからお前の悪だくみ、オレも止める!」
光輝とソウゴがトワに向かって言い放つ。彼らと対峙しても、トワは冷静さを崩さない。
「束になっても敵いませんよ。今の私には・・」
トワは笑みをこぼすと、全身から黒いオーラを放出する。ライがノゾムに駆け寄って、ビースドライバーを拾う。
「ノゾム、しっかりしろ!ノゾム!」
ライが呼びかけて、ノゾムを連れてトワから離れる。
「まだ気を失っているだけですが、命を落とすことになりますよ。あなたたちもね・・」
トワがオーラを放出して、ライたちを攻め立てる。
「うあっ!」
オーラがぶつかって地面から爆発が起こって、ライたちが吹き飛ばされる。
「まとめて倒すのも、今の私には手馴れていることです。」
トワがライたちを見て笑みをこぼす。ライたちが立ち上がって、トワに鋭い視線を向ける。
「爆発の中を突破するには・・!」
思い立ったソウゴが、仮面ライダーフォーゼのライドウォッチ「フォーゼライドウォッチ」を手にした。
“アーマーターイム!3・2・1・フォーゼ!”
ジオウが白の鎧を身にまとって、マスクの複眼が「フォーゼ」という形になった。ソウゴはフォーゼの力を宿した「フォーゼアーマー」を装着した。
「フォーゼの力を使って、ヤツの攻撃をかいくぐるか・・!」
光輝がソウゴを見て気を引き締めなおす。
トワが再びオーラを放出する。ソウゴが駆け出して、スピードとジャンプでオーラと爆発をかいくぐる。
ソウゴがトワに詰め寄って、「ロケットモジュール」が装着された両腕を振りかざす。ロケットモジュールがオーラとぶつかるが、トワがオーラを濃くしてソウゴを押し返す。
「うわっ!」
ソウゴが押し返されて、地面に叩きつけられる。
「ソウゴくん!」
光輝が声を上げて、倒れたソウゴに駆け寄る。
「大丈夫か、ソウゴくん!?」
「はい・・しかしアイツ、ますますパワーが上がっているみたいだ・・!」
光輝が呼びかけて、ソウゴは立ち上がりながら答える。
「オレもやる!同時攻撃をやるぞ!」
「それなら何だか、イケる気がする・・!」
光輝が呼びかけて、ソウゴが笑みをこぼす。ソウゴがフォーゼライドウォッチのスイッチを押して、ジクウサーキュラーを回転させる。
“フォーゼ!フィニッシュターイム!”
ソウゴがロケットモジュールをロケットモードにして、上空まで飛び上がって急降下する。光輝がオメガクリスタルをオメガドライバーから右足脚部に移して、大きくジャンプした。
「宇宙ロケットキリモミキック!」
「ライダーキック!」
ソウゴと光輝がトワに向かって同時にキックを繰り出した。しかし2人のキックはトワのオーラに阻まれる。
「そろそろ私も技というものを出しますか・・・!」
トワが言いかけると、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加える。
“ライダースマッシュ・ルシフェール!”
上昇していくトワの両足に黒いオーラが集まっていく。
「ルシフェルセイントスマッシュ・・・!」
トワが両足のキックを繰り出して、ソウゴたちを押していく。
「ぐっ・・!」
「パワーがさらに上がった・・気を抜けば押し切られる・・・!」
ソウゴがうめいて、光輝が危機感を覚える。
「オレも行かないと・・・!」
ライが思い立って、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加える。
“ライダースマッシュ・クロース!”
彼のまとっているクロスの装甲から光があふれ出す。
「クロスライダーキック!」
ライがジャンプして右足を前に出して、足裏にあるX字から光を放つ。彼がトワに向かってキックを繰り出して、ソウゴたちに加勢する。
「ライくん!」
「オレもコイツの企みが許せないから!」
光輝が声を上げて、ライが言い放つ。彼らが足に力を込めて、トワのキックを押し返そうとする。
次の瞬間、トワの両足の光が一気に強まった。
「おわっ!」
ライ、ソウゴ、光輝が押し返されて、トワのキックとオーラで吹き飛ばされる。3人は地面に強く叩きつけられて、倒れて動けなくなった。
「オ、オレたち3人のキックが跳ね返されるなんて・・・!」
絶体絶命に追い詰められて、ライがうめく。ゆっくりと着地したトワが、彼らを見下ろして笑みをこぼす。
「これで決まりましたね。あなたたちの完全敗北です。」
トワが勝利を確信して、ライたちに近づいていく。
「あなたたちを倒した後も、他の仮面ライダーも全員葬ってみせます。そして私が正しい仮面ライダーの形を築いていきます。」
トワが掲げた右手を握りしめて、黒いオーラを集める。大きなダメージを負って、ライたちは立ち上がるのもままならなくなっていた。