仮面ライダークロス&マックス

-Final Burning-

第5章

 

 

 キョウと合流しようとするトワを追いかけて、ライが追撃を仕掛けようとする。

「お前はオレがここで倒す・・ノゾムがキョウを倒すように・・!」

「そうはいきませんよ。あなたもマックスも他のライダーも倒れることになるのですから・・その歴史を塗り替えられてね・・」

 言い放つライに、トワが微笑みかける。

 そのとき、トワの後ろから3人の戦士が現れた。

「何だ、コイツらは!?・・1人は、オレ!?・・クロスに似ている・・!」

 ライがその戦士たちを見て驚く。

「君は見るのは初めてかな?これはアナザーライダー。仮面ライダーの歴史を変えて、その力を別の者が宿したライダーです。」

「アナザーライダー!?確かジオウが戦っている敵・・タイムジャッカーのアナザーライダー・・!?

 トワが口にした話に、ライがさらに驚く。彼はジオウについてもTVで見たことがあった。

「私もタイムジャッカーと呼ばれる存在の1人です。マックスもクロスも歴史を塗り替えようとしたけど、次元の歪みによって、タイムジャックをしてもライダーの力と記憶が失われなかったようです。」

 トワがさらに語りかけて、自分の正体を明かす。

 歴史を変えて新たな魔王を誕生させようとするタイムジャッカー。彼らによって仮面ライダーの力を別の人に植え付けられて誕生したアナザーライダー。

 アナザーライダーが現れると、そのオリジナルのライダーは力を失う。しかし次元が歪んで合わさっている世界では、アナザーライダーのうちの1人、アナザークロスが現れても、ライがクロスの力を失ってはいなかった。

「ですがあなたがいなくなれば、彼が本物の仮面ライダークロスとなるのです。」

 トワがライに言いかけて、アナザークロスに目を向ける。

「自分との戦いだって言うんだろうけど、あくまで同じ力を利用しているだけの偽者だ!オレはそんなのには絶対に負けない!」

 ライが感情を込めて言い放つ。しかしトワは笑みを絶やさない。

「単純計算でもあなたに勝ち目はないですよ。体力を消耗していますし、1対3。とても切り抜けられる状況ではないです。」

「そんなことは関係ない!オレはお前たちを倒す!オレたちや仮面ライダー、世界をムチャクチャにしようとするお前たちを!」

 勝ち誇るトワにライが言い放つ。ライはトワたちを倒すことを諦めていない。

「では遠慮なく、あなたを倒すことにしましょう。」

 トワが言いかけてアナザークロス、他の2人のアナザーライダー、アナザーオメガとアナザーマックスをけしかける。アナザークロスたちがライを取り囲む。

“変身・ライダー!クロース!”

 ライがビルドフォームからクロスに戻って、アナザークロスたちを迎え撃つ。

 アナザークロスとアナザーマックスがライに向かって同時に回し蹴りを仕掛ける。ライがジャンプをしてキックをかわすが、彼の前にアナザーオメガが飛び込んできた。

「ぐっ!」

 ライがアナザーマックスからのパンチを受けて、体勢を崩して地上に落とされる。

「これは君の思った通りにはなりそうもないですね。私はその間にマックスの始末をさせていただきますね。」

 トワが言いかけると、ライの前から離れていく。

「待て!」

 ライがトワを追いかけようとするが、アナザークロスたちに行く手を阻まれる。

「このままじゃアイツがノゾムを倒しに行ってしまう・・・!」

 ライが焦りを感じながら、打開の糸口を探ろうとする。

「こうなったら・・・ノゾムー!敵の仲間がそっちに行ったぞー!」

 彼はとっさにノゾムに向かって、大声で叫んだ。

 

 ライがノゾムに向けての叫び。その声は彼に届いた。

「ライの声・・お前の仲間がこっちに来るみたいだな・・・!」

「トワのヤツ、邪魔をするなと言ったはずだぞ・・・!」

 ノゾムが声のしたほうに振り向いて、キョウがいら立ちを噛みしめる。

「邪魔が入る前に、マックス、お前をこの手で倒す・・・!」

「オレはお前に屈しない・・お前の思い通りには、絶対にならない!」

 敵意をむき出しにするキョウに、ノゾムが怒りを見せる。

「黙れ!オレはお前を倒す!お前を絶対に許しはしない!」

 キョウが怒号を放って、さらに力を高めようとする。

「ぐっ!」

 そのとき、キョウが体に激痛を覚えて、ふらついて地面に膝を付いた。

「どういうことだ!?・・力が上がるどころか、体が言うことを聞かない・・!?

 自分の思うように動けないことに、キョウが驚きを隠せなくなる。

「限界が来たからですよ。レックスの力も、あなた自身もね。」

 そこへトワが声を掛けて、キョウの後ろに立った。

「限界!?・・どういうことだ、トワ・・!?

「言葉通りの意味ですよ。怒りは無尽蔵にできても、力と体力は無限ではないということです。」

 問い詰めるキョウに、トワが語りかけていく。

「気持ちをどれだけ込めても、体には限界があるものです。マックスのように、ボロボロになっても無理やり体を動かしてその通りにしている人は、珍しい中でも珍しいですよ。」

「ふざけるな!オレはマックスを倒す!オレの体だ!言うことを聞かないわけではない!」

 トワの話に対して、キョウが怒りをふくらませる。それでもキョウは立ち上がることができない。

「残念ですが、あなたはあなたの全てを費やしても、マックスには勝てなかったことが分かりましたので・・」

「トワ、お前・・!」

 ため息まじりに言うトワに、キョウが怒りを爆発させる。次の瞬間、トワが足を振り上げて、キョウを蹴り飛ばした。

「あなたの役目は終わりです。マックスとクロス、2人のライダーの体力を消耗させることができたのですから。」

「何だとっ・・!?

 トワの口にした言葉に、キョウが驚きを見せる。

「私があなたの代わりに、マックスを倒しますのでご安心を。」

「ふざけるな!マックスを倒すのはオレだ!邪魔をするならお前でも・・!」

 言いかけるトワに不満を見せて、キョウが強引に立ち上がる。

「疲れ切っているあなたでは、私にも敵いませんよ・・」

 トワが冷たく言って、キョウに向けてパンチを繰り出した。

「ぐおっ!」

 キョウが突き飛ばされて、地面を激しく転がる。

「お前・・仲間を利用していたのか・・・!?

 ノゾムがトワに対して怒りを覚える。

「そういうことになりますね。あなたを含めて、全てのライダーを歴史の闇に葬るためにね。」

「コイツも許せないが、お前も許しちゃおかないぞ・・!」

 トワが態度を崩さずに答えて、ノゾムが怒りをふくらませていく。

「あなたにも私には勝てませんよ。体力を消耗している今のあなたには・・」

 トワが言いかけて、ノゾムに向かってゆっくりと近づいていく。

 そのとき、トワのそばに1人の戦士が現れた。アナザーライダーの1人、アナザーGである。

「何だ、アイツは・・!?

「あなたは初めて見るでしょうね。仮面ライダーの力を備えたアナザーライダーですよ。」

 声を上げるノゾムに、トワが語りかける。

「私と彼の2人がかりで、念を入れておきますよ。」

 トワが言いかけて、アナザーGがノゾムに向かっていく。アナザーGが繰り出した回し蹴りを、ノゾムは体勢を低くしてかわして、彼に詰め寄る。

 ノゾムが握りしめた右手を振りかざして、アナザーGをパンチで突き飛ばす。アナザーGは体勢を立て直して、ノゾムに視線を戻す。

「そのマックスの力は強力ですね。でも脅威と呼べるほどの威力は残っていないようです。」

 トワがノゾムの様子を見て笑みをこぼす。

「まずはマックス、あなたを倒させてもらいますよ。」

 トワがアナザーGに加勢してノゾムに向かっていく。

「待て・・マックスを倒すのは、オレだ・・・!」

 キョウがノゾムのとどめを自分が刺そうとするが、ふらついていて戦うのもままならない状態である。

 ノゾムもキョウとの戦いで力を使っていて、トワとアナザーGに対して悪戦苦闘を強いられていた。

「ぐあっ!」

 トワとアナザーGのキックを同時に受けて、ノゾムが突き飛ばされる。エクシードフォルムになっていても、彼は2人の攻撃に耐えきれなくなっていた。

「長引かせるわけにはいかないか・・一気にブッ倒す!」

 ノゾムが言い放って、エクシードスマッシャーを手にした。アナザーGがソムリエナイフの形をした剣を呼び出して手にした。

 ノゾムとアナザーGがエクシードスマッシャーと剣をぶつけ合う。ノゾムはアナザーGに対して攻めきれないでいる。

“ライダースマッシュ・セイーント!”

 トワがクロスタイフーンを回転させて、光を集めて飛び上がる。彼が右足にエネルギーを集めて、ノゾムに向かって突っ込む。

「ぐあぁっ!」

 とっさにエクシードスマッシャーを掲げるノゾムだが、トワのキックを受け止めきれずに突き飛ばされる。地面に強く叩きつけられた彼から、マックスへの変身が解かれた。

「変身が・・まずいぞ・・・!」

 起き上がろうとするノゾムだが、体に痛みが走って覆うように動けない。

「あなたのほうも限界が来たようですね。」

 トワが勝利を確信して、倒れているノゾムを見下ろす。

「アナザーG、マックスにとどめを。」

 トワが呼びかけて、アナザーGがノゾムに迫る。

 そのとき、アナザーGが突然蹴り飛ばされて、ノゾムから引き離された。

「たとえ高級のラベルの張られたボトルを使っても、偽物のワインは本物とは似ても似つかない。」

 ノゾムたちの前に、1人の戦士が現れた。「G」の形が施されているマスクをしていた。

「そしてそれは、仮面ライダーにも言えることだよ。」

「あなたは、仮面ライダーG・・あなたがここに現れるとは・・」

 戦士、Gが言いかけて、トワが意外を覚える。

「ここからはオレに任せてほしい。長くは待たせないから。」

「アンタは、オレたちの味方なのか・・・!?

 Gが呼びかけて、ノゾムが戸惑いを見せる。

「本物のGが現れるとは・・彼はあなたに任せましたよ、アナザーG。」

 トワが呼びかけて、アナザーGがGに向かっていく。Gもソムリエナイフ型の剣を手にして、アナザーGを迎え撃つ。

 GがアナザーGの攻撃をかわして、剣で切りつけていく。

「本物に敵わないようですね。それでも私がマックスを倒す時間稼ぎはできそうですが・・」

 トワはアナザーGの戦いを見てから、ノゾムに視線を戻す。

「待て・・マックスに手を出すな・・・!」

 キョウがトワに向かって鋭く言いかける。

「本当にしつこい方ですよ、あなたは・・」

 トワがため息をついて、ライダーソウル「セイントセイバーソウル」を取り出した。

“セイントセイバー!”

 スイッチの入ったセイントセイバーソウルが変化して、十字架を思わせるかたちの剣「セイントセイバー」になった。

 トワがセイントセイバーを手にして、キョウの体に突き立てた。

「ぐがぁっ!」

 キョウが激痛を覚えてうめく。トワがセイントセイバーを引き抜くと、キョウが力なく倒れた。

「これでさすがに暴れられないでしょう。」

「このヤロー!」

 キョウを見下ろして笑みをこぼすトワに、ノゾムが怒りをふくらませる。彼は疲れがたまっている体を強引に動かす。

「そろそろメインディッシュといくか・・・!」

 Gがワインボトル型のベルトのワインオープナーを押し込む。ベルトから彼の左足にエネルギーが送られる。

「スワリングライダーキック!」

 Gが1回転をしてからジャンプする。アナザーGも同時にジャンプする。

 GとアナザーGが宙返りから体を回転させて、キックを繰り出す。2人のキックのドリルのようなぶつかり合いの果てに、アナザーGが突き飛ばされた。

 地面に倒れたアナザーGが、着地したGの前で消滅した。

「これが本物のワイン。偽物には届かない出来栄えさ。」

 Gが優雅に振る舞って、トワに目を向けた。

「キョウさんに邪魔されなければ、マックスのとどめを刺せたのですけどね・・」

 トワがため息をついて、Gに目を向ける。

「お前は仮面ライダーというワインに対するフィロキセラ。オレがお前を始末してやるぞ・・!」

「私を害虫扱いするとは、あまりいい気がしないですね・・」

 呼びかけるGに対して、トワがため息をついた。

 

 アナザークロス、アナザーマックス、アナザーオメガの3人に攻撃されて、ライは追い詰められていた。

「このままだと確実にやられる・・他のライダーの力を使わないと・・!」

 打開の糸口を探るライが、ライダーソウルの1つを取り出した。「響鬼(ひびき)ソウル」である。

“ヒビキ!”

“ライダーソウール!”

 ライが響鬼ソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。

「変身!」

 彼がクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!ヒビキー!”

 ライの体を紫の炎が包んだ。その中から現れた彼は、紫の鬼を思わせる姿の仮面ライダーになった。

「ここは力で押し切ることになるか・・!」

 ライが呟いて構えを取って、アナザークロスたちを迎え撃つ。

 アナザーマックスが繰り出したパンチをかわして、ライが握った右手を振り上げる。アナザーマックスがパンチを受け止めて、ライと組み合う。

 そこへアナザークロス、アナザーオメガがスピードを上げてライに迫ってきた。

「ぐっ!」

 アナザーマックスを引き離したライだが、直後にアナザークロスたちが繰り出したキックを体に受けてうめく。

「た・・たとえ3人の偽者ライダーが相手でも、オレは倒れはしないぞ・・!」

 ライが声と力を振り絞って、アナザークロスとアナザーオメガにそれぞれパンチを叩き込んだ。アナザークロスたちが足に力を入れて踏みとどまる。

「1人ずつ倒していって、ノゾムと合流する・・!」

 ライが言い放って、クロスタイフーンの右のレバーを上げて回転を加えた。

“ライダースマッシュ・ヒビキー!”

 彼の手元に紫の炎の棒が現れた。

「爆裂強打の型!」

 ライが棒を振りかざして、向かってきたアナザークロスに叩き込んだ。強烈な音撃を叩き込まれて、アナザークロスが吹き飛ばされるように消滅した。

「1人は倒したが・・体が、思うように動かない・・・!」

 ライが体力を消耗して倒れそうになる。その彼にアナザーマックス、アナザーオメガが迫る。

「そこまでだ、お前たち!」

 そこへ声がかかって、ライたちが振り向く。彼らの前に1人の青年が現れた。

「アナザーライダー・・ここにも出てきていたのか・・!」

 青年がアナザーマックスたちを見て言いかける。

「あ、あなたは、もしかして・・!?

 ライが青年を見て声を上げた。

「君のことは聞いているよ、クロス。僕は吉川(よしかわ)光輝(こうき)。そして・・」

 青年、光輝がライに呼びかけると、1つの水晶「オメガクリスタル」を手にした。

「変身!」

 光輝がオメガクリスタルをベルト「オメガドライバー」の中央部にセットした。彼の体を赤い装甲が包み込んだ。

「仮面ライダーオメガ!」

 光輝が名乗りを上げてポーズを決めた。彼は仮面ライダーオメガに変身した。

「本物のオメガはオレだ!お前たちに、仮面ライダーの歴史は変えさせない!」

 光輝がアナザーオメガに向かって言い放つ。

「オメガ・・オメガが来てくれた・・・!」

 ライが光輝を見て安心を覚える。光輝とアナザーオメガが駆け出して、組み合って激しい攻防を繰り広げる。

「オレも戦わないと・・!」

 ライが光輝を援護しようと考える。しかし彼の前にアナザーマックスが立ちはだかった。

 アナザーマックスが詰め寄ってパンチを繰り出す。連続でパンチを叩き込まれて、ライがふらつく。

「がぁっ!」

 アナザーマックスのキックを受けて、ライが突き飛ばされる。そのはずみでクロスドライバーが外れて、ライの変身が解かれた。

「ま、まずい!・・早くまた変身しないと・・!」

 ライが危機感を覚えてクロスドライバーを拾おうとするが、その前にアナザーマックスが立ちはだかった。

「ベルトまで届かない・・やられる・・・!」

 絶体絶命を痛感して、ライが息をのむ。アナザーマックスが握りしめた右手を振りかぶる。

「ちょっと待った!」

 そこへ声がかかって、ライとアナザーマックスが振り向く。2人の前にまた新たに1人の青年が現れた。

「ここから先は、オレも参加させてもらうよ!」

 青年がライに声を掛けて、落ちていたクロスドライバーを拾った。

「君は常盤(ときわ)ソウゴ・・仮面ライダージオウ・・!」

「えっ!?オレのこと知ってるの!?オレ、そんなに有名になっちゃったかな〜

 ライが声を上げると青年、ソウゴが照れ笑いを見せた。アナザーマックスがソウゴに向かって近づいてくる。

「そら!」

 ソウゴがクロスドライバーを投げて、ライがキャッチした。ソウゴは新たにベルト「ジクウドライバー」とウォッチ型アイテム「ライドウォッチ」の1つ「ジオウライドウォッチ」を取り出した。

“ジクウドライバー!”

 ソウゴがジクウドライバーを装着する。彼はジオウライドウォッチをジクウドライバーの右スロットにセットする。

「変身!」

 ソウゴがジクウドライバーの「ジクウサーキュラー」を回転させる。

“ライダーターイム!”

“カメンライダー・ジオー!”

 ソウゴが銀色の装甲と「ライダー」と読める形の複眼をしたマスクを身にまとう。彼は歴代のライダーの力を持つ仮面ライダー「ジオウ」に変身した。

「仮面ライダーの歴史を変えようとするアナザーライダー・・オレが止めてみせる!」

 ソウゴがアナザーマックスに向かって言い放つ。アナザーマックスがソウゴに向かって飛びかかる。

 アナザーマックスが繰り出すパンチを、ソウゴが回避と防御でかいくぐる。しかしだんだんと高まるアナザーマックスの攻撃力に、ソウゴが押され気味になる。

「パワーが上がっている・・受け続けたらやられる・・!」

 思い立ったソウゴがアナザーマックスを引き離して、距離を取る。彼はビルドのライドウォッチ「ビルドライドウォッチ」を手にして起動した。

「あれは、ビルドのライドウォッチだ・・!」

 ライがビルドライドウォッチを見て声を上げる。ソウゴがビルドライドウォッチをビルドドライバーの左スロットにセットして、ジクウサーキュラーを回転させた。

“アーマーターイム!ベストマッチ・ビルドー!”

 ソウゴが新たな装甲を身にまとう。その形状はビルドを思わせるもので、マスクの複眼も「ビルド」の形に変わった。

 ソウゴはビルドの能力を宿した装甲「ビルドアーマー」を身に着けた。

 アナザーマックスが力を込めて、ソウゴにパンチを繰り出す。ソウゴは両腕を掲げてパンチを防いで、平然としていた。

 ソウゴが反撃に出て、右腕に装着されたドリル「ドリルクラッシャークラッシャー」を振りかざす。アナザーマックスがドリルを突き立てられて、倒れて地面を転がる。

 アナザーマックスがすぐに立ち上がって、全身に力を込める。彼の力がさらに高まっていく。

「まだパワーが上がるのか・・ここは早くケリを付けるに限る!」

“ビルド!”

 思い立ったソウゴが、ビルドライドウォッチのスイッチを押す。彼はさらにジクウサーキュラーを回転させる。

“ビルド!フィニッシュターイム!”

 相互の前にグラフの形の滑走路が現れた。しかし本物のビルドのものと違って、現れた数式が意味不明のものになっていた。

 アナザーマックスが右足に力を集中させてジャンプする。ソウゴも同時にジャンプして、滑走路を滑るように降下する。

 ソウゴとアナザーマックスが繰り出したキックがぶつかり合って、激しい衝撃を巻き起こす。ソウゴのキックがアナザーマックスを押し切って突き飛ばした。

 地面に倒されたアナザーマックス。1度立ち上がる彼だが、力尽きて爆発を起こした。

「やった・・君を助けられてよかったよ・・」

 ソウゴがライを見て笑みをこぼす。2人がアナザーオメガと戦っている光輝に目を向けた。

 光輝はアナザーオメガに対して優勢に攻めていた。光輝の繰り出したパンチを受けて、アナザーオメガが跳ね上げられる。

「仮面ライダーの正義と正しい心は、誰にも歪めることはできない!悪にも歴史にも次元の歪みにも!」

 地面に倒れたアナザーオメガに、光輝が正義を言い放つ彼がオメガドライバーからオメガクリスタルを外して、右足の脚部にセットした。

 光輝とアナザーオメガが同時にジャンプして、エネルギーを集めたキックを繰り出す。

「ライダーキック!」

 高らかに言い放つ光輝のキックが、アナザーオメガのキックとぶつかり合う。

「力をマネしても、本物の仮面ライダーの強さと魂をマネすることはできない!」

 光輝が言い放って、キックに力を込める。アナザーオメガが押し込まれて、突き飛ばされた瞬間に消滅した。

「ジオウも終わったみたいだな。」

 着地した光輝がライとソウゴに目を向けて言いかける。

「君たちは十時ライくんと常盤ソウゴくん、クロスとジオウだね。オレは吉川光輝。仮面ライダーオメガだ。」

「オメガ、ジオウ・・2人もオレの前に現れるなんて・・!」

 声を掛ける光輝に、ライが戸惑いを見せる。

「オレの知らない仮面ライダーがまだまだいるみたいだね。ビックリだよ。」

 ソウゴがライと光輝を見て、感動を見せる。するとライがソウゴに深刻な表情を見せた。

「ソウゴ・・ジオウ・・未来に“オーマジオウ”という魔王になると言われているんだよな・・?」

 ライがソウゴに向かって問いかける。

「そんなことまで知っているなんて・・!」

「もしかして、君のいた世界も、オレのいた世界のように、仮面ライダーがTVで放送されている世界じゃないのか?」

 ソウゴが驚きの声を上げると、光輝がライに問いかける。

「はい。ジオウのこともオメガのことも知っています。」

 ライが自分たちのことをさらに説明していく。

「いろんな仮面ライダーが登場してきました。誰かを守ろうとするために戦っている人たちばかりじゃない・・自分が正しいと考えて、他の人や夢を傷付けるヤツも・・・!」

「カブトとか、ディケイドのことか・・・!」

 ライの話を聞いて、光輝が深刻さを覚える。

「ディケイドはオレが倒した・・倒したはずだったが・・いろんな世界が1つになったことで、ディケイドのいる世界も合わさってしまったんだ・・・!」

「えっ!?あなたが、ディケイドを倒した!?

 光輝が口にした話に、ソウゴがさらに驚く。

「怒りと力を込めて、存在を完全に消滅させたはずだったが・・今回の世界の融合で、その均衡が崩れてしまったのか・・・!」

「それじゃ、ディケイドがまた、オレたちの前に・・・!?

 毒づく光輝に、ライが一抹の不安を覚えた。

「でも、同じ仮面ライダーなんだから、分かり合えるときが来るよ。」

 そこへソウゴがライと光輝に、気さくに呼びかけてきた。ソウゴはディケイドとも分かり合えると考えていた。

「それは不可能だ!ヤツはライダーの力を自分のためだけに使い、他のライダーをおもちゃのように扱う!世界の破壊者という通り名があるが、仮面ライダーというヒーロー像をけがす、夢の破壊者でもあるんだぞ!」

 光輝が感情を込めて反論する。彼はディケイドのしてきたことに強い怒りを感じていた。

「オレも光輝さんの言うことが正しいと思う・・目的のために手段を選ばないやり方を、オレは正しいことにはしない!」

 ライもディケイドに対する不満を口にした。

「でも同じライダーなんだから、何とかなるって・・」

「ならない!」

 ソウゴが気さくに言うが、ライと光輝が同時に反発する。

「君も他の仮面ライダーの力を使うなら、これは忘れちゃいけない・・誰かの心や夢を踏みにじるようなことは絶対にするな・・!」

 光輝がソウゴに向かって忠告を送る。

「そんなことをすれば、それこそオーマジオウ・・最低最悪の魔王になるってことだ・・!」

 ライも続けてソウゴに注意を呼びかける。

「よく言われるよ。オレは将来、最低最悪の魔王になるって。だからオレはそうじゃなくて、最高最善の王様になるよ!」

 ソウゴが自分の真っ直ぐな考えを告げる。

「王様って・・今はそういう考え方は自惚れだ!自分が正しいと言い張る考え方ややり方を、オレは認めるつもりはない!」

「みんなを守る王様もいちゃいけないの?」

「そうやって誰かを従えようとするのがダメなんだ!」

 ソウゴの王様になる夢を、ライが認めようとしない。

「ディケイドみたいに、他の仮面ライダーや夢を傷付けるようなことをしなければいい。そういうことだよね?」

「それはそうだけど、そういう言い方はちゃんと分かっているのか疑わせる言い方だ・・!」

 気さくに話を続けるソウゴだが、ライは不信感を消せずにいる。

「口だけなら何とでもなる・・分かっているつもりになって、全然分かっていないこともあるから・・・!」

 ライが真剣な顔でソウゴに呼びかける。

「だからきちんと考えろ・・不本意に傷つけてしまったとしたら、ちゃんと反省して間違いを繰り返さないようにしろ・・!」

「うん・・そこはちゃんと考えないといけないね・・・!」

 ライの言葉を聞き入れて、ソウゴも真面目に聞き入れた。ライが落ち着きを取り戻して、ひと息ついた。

「オレたちが納得したところで、マックスたちに合流しないと・・」

 光輝が呼びかけて、ライとソウゴが頷いた。

「ノゾム・・あのトワとかいうヤツは、何かとんでもないことを企んでいるみたいだ・・・!」

 トワに対する怒りを噛みしめて、ライはソウゴたちとともにノゾムと合流しようとしていた。

 

 

 

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