仮面ライダークロス&マックス
-Final Burning-
第4章
ライとノゾムが戻ってきたことで、トワはツバキをさらうことができないまま、撤退することになった。ツバキを庇ったまりが、トワに捕まることになった。
「大塚ツバキではなく、そんな女を連れてくるとは・・・」
キョウがまりに目を向けて、トワに不満を口にする。
「すみません。さすがにマックスとクロスの2人を、1人で同時に相手をするのは不利だと思いまして・・」
トワが謝って頭を下げる。
「ですが彼女はクロスの知り合いのようです。彼女を捕まえている限り、クロスもマックスもこちらに来るでしょう。」
「そうだといいが・・何にしても、マックスはオレが倒す・・邪魔をするヤツにも、容赦はしない・・!」
トワの言葉を聞いて、キョウがマックスへの敵意を浮かべる。
「今度こそ邪魔が入らないようにします。お任せください。」
「たとえ邪魔が入っても、オレがまとめて始末するだけだ・・・!」
トワがさらに言いかけるが、キョウは意思と態度を変えない。
「ヤツがいなければ、オレは不自由な生活を続けられた・・それをヤツが・・・!」
父親を手にかけて神崎グループを壊滅させたノゾムに、キョウはさらに怒りをふくらませていた。
まりを連れ去ったキョウとトワに、ライは強い怒りを感じていた。
「ゴメンなさい、ライくん・・まりちゃんを守れなくて・・・」
ツバキがまりを心配して、ライに謝る。
「ツバキさんは悪くない・・悪いのは、まりちゃんをさらったアイツらだ・・!」
ライがツバキに言い返して、改めてキョウたちへの怒りを噛みしめる。
「アイツの元々の狙いはオレだ・・オレを倒すために、ヤツらは必ずまたオレの前に現れる・・」
ノゾムがキョウたちのことを考えて、いら立ちで体を震わせる。
「そのときに、今度こそアイツらをブッ倒して・・!」
「まりちゃんを助け出す・・アイツらのいいようにさせてたまるか・・!」
ノゾムに続いてライも怒りと決意を口にする。2人ともキョウとトワを倒すことを、心に誓っていた。
「2人だけで何でもかんでも抱え込むなって。」
「オレたちも一緒に戦うぞ。ツバキちゃんを狙うなんて、ひどいヤツだからな。」
シゲルとソウマがライたちに呼びかける。シゲルたちもキョウたちとの戦いに臨もうとしていた。
「ライ、ノゾムさん・・まりちゃんを助けて・・・!」
かなたがライたちに頼み込んできた。
「僕に力があったら、すぐにでもまりちゃんを助けに行きたい・・でも、それだけの力はない・・・図々しいのは分かってるけど、ライたちにお願いするしかな・・・!」
「かなた・・・!」
かなたからの本音と願いに、ライが戸惑いを浮かべる。
「オレも元々、まりちゃんを助けるつもりでいるんだ・・かなたの分まで、この怒りをアイツらに叩き込んでやる・・!」
「ライ・・ありがとう・・まりちゃんに、よろしくね・・!」
自分の意思を口にするライに、かなたが微笑んで感謝した。
「それじゃ、オレたちもヤツらの顔を拝みに行くとするか。」
「アイツらの好きにはさせない。すぐに終わらせてやるから!」
シゲルが呼びかけて、ソウマが意気込みを見せる。ライとノゾムが頷いて、まりを助けてキョウたちを倒すために動き出した。
「みんなはここで待っててくれ。みんな一緒に戻ってくるから。」
「うん。みんな、気を付けて・・・」
ソウマが呼びかけて、ツバキが答える。ソウマとシゲルもライたちとともに走り出した。
まりとキョウ、トワの行方を追うライたち。しかしキョウたちがどこにいるのか、ライたちは見当もついていなかった。
「まりちゃん、どこにいるんだ・・・!?」
ライが必死になってまりを捜して、周りを見回す。
「仕方がない・・オレが捜し出す・・・!」
ノゾムが言いかけて、目を閉じて意識を集中する。彼は感覚でキョウたちの気配を探った。
「いた・・アイツら・・そんなに離れてないぞ・・・!」
ノゾムが声を上げて、ライが驚きを覚える。
「どうして、分かるんだ?・・ライダーに変身していないのに・・・!」
ライが問いかけると、ソウマとシゲルが深刻な顔を浮かべた。
「オレもビースターだ・・正確には、人間だったのにビースターになったのが正しいんだけどな・・」
「えっ!?・・ノゾムも、ビースター・・!?」
ノゾムが打ち明けたことに、ライが驚きの声を上げる。
「体はビースターになってしまったが、オレはオレだということに変わりはない・・オレの戦いをするだけだ・・」
「体が人間じゃないからといって、それが悪いってわけじゃない・・ノゾムのような境遇のライダーは、他にもいる・・」
自分の意思を示すノゾムに、ライが彼と似たような仮面ライダーについて語り出す。
「仮面ライダーファイズの乾巧さんは、“オルフェノク”という怪人の1人だったんだ。他にも“イマジン”という怪人の中に、電王というライダーに憑依して憑依して共に戦ってくれたのもいるんだ・・」
「他の怪人の中にも、人間を守っているヤツもいるってことなのか・・」
ライの話を聞いて、シゲルが頷く。
「それだけじゃない。仮面ライダーブレイドの剣崎一真さんは、世界と仲間の両方を守るために、自らの体をジョーカー、アンデッドになることを選んだ。仮面ライダー鎧武も、自分が人間でなくなることを覚悟で戦いを続けたんだ。」
「ホントに、仮面ライダーにもいろいろいるんだな・・」
ライがさらに語りかけて、ソウマが頷いた。
「他のみんなにも、それぞれ事情や生き方があるみたいだな・・それでもオレがオレだってことに変わりはない・・」
ノゾムが自分の考えを貫いて、ライに視線を向ける。
「お前だってそうだろ、ライ?」
「あぁ・・まりちゃんを助けて、アイツらを倒す・・!」
ノゾムが言いかけて、ライが頷いた。
「おしゃべりはこのくらいにして、早く行くぞ、みんな。」
ソウマが呼びかけて、ライとノゾムが頷く。ノゾムが走り出して、ライたちが彼についていった。
ライたちの接近にトワが気付いて、キョウに報告に来た。
「マックスたちが来ました。クロスだけでなく、フォックスとオックスも一緒です。」
「クロスたちは遠ざけろ・・マックスはオレが1対1で倒す・・!」
トワの報告を受けて、キョウが呼びかける。
「分かりました。うまく分断させます。」
トワは答えて、ライたちの迎撃に向かった。
(トワ、もしも邪魔を招くようなことをするなら、お前は覚悟を決めてもらうぞ・・・!)
心の中でトワに向かって忠告を送って、キョウもノゾムとの一騎打ちに臨むのだった。
まりとキョウたちを追い求めて、ライたちは荒野にたどり着いた。
「この近くのはずだ・・この辺りにいるはずだ・・・」
「アイツら・・コソコソ狙ってきているのか・・?」
ノゾムが言いかけて、ソウマが周りを見回す。
「この辺りじゃ隠れられる場所はほとんどにはずだ。遠くにいるかもしれないな。」
シゲルも周りを見回して、キョウたちの行方を探る。
「こちらが呼び出す前に、そちらからここまで来るとは・・」
トワがライたちの前に姿を現して、微笑みかけてきた。
「お前・・・まりちゃんはどこだ!?」
「この奥で眠っています。本当に寝ているだけで、他に危害は加えていないですよ。」
ライが問いかけて、トワが笑みを絶やさずに答える。
「キョウさんはマックスとの戦いを望んでいます。他の方々は邪魔しないでいただきましょう。」
「そうはいかないな。お前たちをさっさと倒して、みんなそろって帰ることにしてるんだから。」
言いかけるトワに、ソウマが言い返す。
「では、力ずくであなたたちを食い止めなければならないようですね。」
トワが言いかけて、クロスドライバーとセイントソウルを取り出した。
“セイント!”
“ライダーソウール!”
トワがセイントソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。
「変身。」
“変身・ライダー!セイーント!”
彼がクロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させて、セイントに変身した。
「コイツはオレが相手したほうがいいみたいだな!」
「オレも一緒にやらせてもらおうか。」
ソウマとシゲルが言いかけて、それぞれフォックスカードとオックスカードを手にした。
“フォックス!”
ソウマがフォックスカードをビースドライバーにセットした。
「変身!」
彼がビースドライバーの左上のボタンを押した。
“チャージ・フォーックス!ソニックフォックス!ソリッドフォックス!ビース・ハイスピード!”
ソウマが黄色と茶色のスーツとキツネの形のマスクを身に着けて、フォックスに変身した。
“オックス。”
シゲルがオックスカードをビースブレスにセットした。
「変身!」
シゲルがビースブレスを着けた左腕を、リードライバーの中心部にかざした。
“スタートアップ・オックス。”
シゲルが茶色のラインの入った黒いスーツと、牛を思わせる模様の黒と銀の仮面を身に着けて、オックスに変身した。
「あなたたちだけではないです。クロス、あなたもここで足止めさせてもらいますよ。」
トワが言いかけて、ライに目を向ける。
「そうはいかない!まりちゃんのところに行くんだからな!」
ライがトワに言い返して、自分の意思を貫く。
「そうはいきません。キョウさんとマックスの戦いの邪魔はさせないと言ったはずです。」
「オレたちじゃ役不足だとは言わせないぞ。」
ライに言いかけるトワに、ソウマが声を掛けてきた。
「お前1人なら、オレたち2人いれば十分だろうが。」
シゲルも呼びかけて、ソウマとともにトワを挟み撃ちにする。
「仕方がないですね・・出てきなさい、怪人のみなさん。」
トワがため息をついてから呼びかける。彼の後ろから5体の怪人が現れた。
「今度は何だ!?」
「コイツらは、ゴルゴムのカメレオン怪人・・!」
ソウマが声を上げて、ライが5体の色違いの怪人たちがカメレオン怪人であると認識した。
「不公平ではありますが、これであなたたち3人を足止めするには十分です。」
トワが言いかけて、カメレオン怪人たちがライたちに迫る。
「うまく怪人を手なずけているようだな、トワ。」
キョウが姿を現して、トワに声を掛けてきた。
「これだけの人数でしたら、ヤツらの邪魔は入らないでしょう。」
トワが笑みを浮かべたまま答えて、キョウがノゾムに目を向ける。
「まりちゃんを返せ!狙いはオレたちなんだろうが!」
「オレの目的はマックスを倒すことだけだ。その邪魔をしなければ、勝手に連れ帰ればいい。」
ライが呼びかけて、キョウが言い返す。
「オレたちをムチャクチャにしようとするヤツは、誰だろうと許さない・・!」
ライが怒りの声を上げて、クロスドライバーとクロスソウルを手にした。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーを装着した。
“クロス!”
“ライダーソウール!”
彼がクロスソウルをクロスドライバーにセットした。
「変身!」
ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。
「そんなに相手がしたいなら、望み通り、オレがお前をブッ倒してやる!」
ノゾムもキョウに言い放って、マックスカードを手にした。
“マックス!”
彼がマックスカードをビースドライバーにセットした。
「変身!」
“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”
ビースドライバーの左上のボタンを押して、ノゾムはマックスに変身した。
「ライたちは他のヤツらを倒してくれ・・コイツの言う通り、1対1になっても、オレは絶対に負けない・・!」
「ノゾム・・・分かった!そいつは任せたぞ!」
ノゾムが呼びかけて、ライが頷いた。ノゾムがキョウに目を向けたまま横の動いて、彼をおびき寄せる。
「気を遣うはずが、気を遣われたな、こりゃ・・」
「とにかく、コイツらを倒してノゾムを追いかけるぞ。」
シゲルが苦笑いを浮かべて、ソウマが呼びかける。2人とライの前に、トワとカメレオン怪人たちが立ちはだかった。
ノゾムとキョウがライたちから離れて、1対1の対決を行おうとしていた。
「マックス、お前はオレが倒す・・オレの復讐を果たす・・・!」
「自分たちの間違いを改めようとせずに、逆恨みをする・・どこまで馬鹿げたことをするつもりだ・・・!?」
敵意を向けるキョウに、ノゾムが怒りをふくらませていく。
「馬鹿げているのはお前だ!お前が神崎グループを手に掛けなければ、オレたちは自由でいられたのだ!」
「思い上がるな!みんなの自由を踏みにじってきたのを棚に上げて!」
互いに怒号を言い放つキョウとノゾム。
“レックス!”
キョウがレックスカードを手にして、ビースドライバーにセットした。
「変身!」
“チャージ・レーックス!ティラノ・ブラキオ・グランドー!ビース・レックスライダー!”
ビースドライバーの左上のボタンを押して、キョウはレックスに変身した。
「マックス、今日がお前の最期の日だ!」
「オレは倒れない・・お前を必ずブッ倒す!」
キョウとノゾムが叫んで、同時に飛びかかる。2人が繰り出したパンチが、強くぶつかり合う。
「倒す!お前は絶対にオレが倒す!」
キョウがノゾムに対する怒りをふくらませる。その怒りがキョウの力を増加させていた。
「ぐっ!」
ノゾムがキョウの力に押されて、突き飛ばされて地面に倒れる。
「前よりもパワーが・・・だったら!」
ノゾムが立ち上がって、エックスカードを取り出した。
“エックス!”
彼はビースドライバーにセットされているマックスカードを、エックスカードと入れ替えた。
“チャージ・エーックス!アンリミテッド・ハイパワー!ビース・エックスライダー!”
ビースドライバーの左上のボタンを押して、ノゾムはエックスフォルムとなった。
「その姿になっても、オレは負けはしない!」
キョウが怒りをふくらませて、ノゾムに向かっていく。2人が再び同時にパンチを繰り出してぶつけ合う。
エックスフォルムになったノゾムだが、キョウのパワーを押し切れないでいた。
「エックスでも押し切れないか・・・こうなったら!」
ノゾムが怒りをふくらませて、新たなアニマルカード「エクシードカード」を2枚取り出した。
“エクシード!インフィニットマックス!”
彼がエクシードガード2枚を、それぞれ左右のエックスブレスにセットした。
“チャージ・エクシード!インフィニット・エックス!インフィニット・マックス!ビース・エクシードライダー!”
ノゾムをまとうマックスのスーツからまばゆい光があふれ出した。エックスフォルムの白から銀色になっていて、前と後ろに金のラインがX字になるように描かれていた。
ノゾムはマックスの更なる進化の姿「エクシードフォルム」となった。
「まだ上があるのか、マックスには・・!」
キョウがノゾムを見て毒づく。
「それでも、オレがお前を倒すことに変わりはない!」
いきり立ったキョウがノゾムに向かっていく。キョウが力を込めてパンチを繰り出すが、ノゾムは回避と手での防御でかいくぐっていく。
「おのれ・・おのれ、マックス!」
キョウがいら立ちをふくらませて、全身に力を込める。彼が繰り出したパンチを、ノゾムがジャンプでかわした。
「オレの怒りは、お前の身勝手を超える・・!」
ノゾムが言い放って、ビースドライバーの左上のボタンを3回押した。
“エクシードスマッシャー!”
ノゾムの手元に剣の形をした武器が現れた。柄と刀身の間に1つの画面があった。
エクシードフォルムの武器「エクシードスマッシャー」である。
ノゾムはエクシードスマッシャーの画面をスライドする。彼は画面にゾウのアイコンを出してから、そばのボタンを押した。
“エレファントスマーッシュ!”
エクシードスマッシャーを左手に持ち替えたノゾムの体に、力が宿る。
「その力も超える・・オレがその力ごと、お前を叩き潰す!」
キョウが怒鳴り声を上げて、ノゾムに飛びかかる。ノゾムがエクシードスマッシャーを左手に持ち替えて、右手のパンチを繰り出した。
「ぐおっ!」
キョウもパンチを繰り出すが、ノゾムのパンチに力負けして突き飛ばされた。
「バカな!?・・こうも簡単に押されるなど・・・!?」
完全に力で押されたことに、キョウは驚きを隠せなくなる。
「だが、ヤツはオレが倒す・・オレがヤツに負けることなど、絶対にありえない!」
キョウが怒りをさらにふくらませて、ビースドライバーの左上のボタンを2回押した。
“レックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
キョウがジャンプして、エネルギーを集めたキックを望む目がけて繰り出した。ノゾムがエクシードスマッシャーの画面をスライドして、「X」を表示させた。
“エクシードチャージ!エクシードスマーッシュ!”
ノゾムの全身から光が放出される。飛び上がった彼がエネルギーを右足に集めて、キョウのキックを迎え撃つ。
2人のキックがぶつかり合って、閃光のような衝撃を巻き起こす。
「お前がいる限り、オレたちの気分は晴れないんだよ!」
「身勝手なヤツの気分を気にするつもりはない!お前のようなヤツは、絶対に1人も許しはしない!」
キョウとノゾムが怒号を言い放つ。
「オレは敵を徹底的に叩き潰す!絶対に野放しにはしない!」
ノゾムが言い放って、足にさらに力を込めた。
「ごあぁっ!」
キョウが突き飛ばされて、地面に叩きつけられた。着地したノゾムが息を切らす。
「エクシードは体力の消耗が激しい・・それでも、オレは倒れないぞ・・・!」
ノゾムが自分の両手を握ったり開いたりして、疲れに耐える。
「オレは負けない・・負けてたまるか・・・!」
キョウが力を振り絞って立ち上がる。
「いい加減に倒れろ・・大人しくしてれば、もう手出しはしない・・・!」
ノゾムがキョウに向かって鋭く言いかける。
「ふざけるな・・オレは・・お前を倒す以外の・・生きる道はない!」
キョウが怒りを増して、自分の体を強引に動かそうとする。
「そうまでして・・そうまでして自分勝手を押し付けたいのかよ、お前は!」
ノゾムが怒号を放って、キョウを迎え撃った。
トワ、カメレオン怪人たちとの戦いを繰り広げるライ、ソウマ、シゲル。カメレオン怪人たちが口から舌を伸ばして、ライたちの腕に巻きつける。
「気色悪いヤツがチョロチョロと・・!」
ソウマがカメレオン怪人たちに毒づく。カメレオン怪人のうちの2人の姿が、周りに溶け込んで消えた。
「本当にカメレオンだな。姿を消して不意打ちをしてくる・・厄介なことだ・・!」
「こうなったら、捕まえたら逃がさずに一気に叩けばいいってことだな・・!」
シゲルが毒づいて、ソウマが前向きに言う。2人が動きを止めて集中力を高める。
ソウマとシゲルの腕を、姿を消していたカメレオン怪人がつかんだ。その瞬間、ソウマたちがカメレオン怪人たちの腕をつかみ返して、投げて地面に叩きつけた。
「消える前に一気に倒す!」
ソウマが言い放って、ビースドライバーの左上のボタンを2回押した。
“フォックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ソウマがそのままエネルギーを集めた足を、カメレオン怪人に叩き込んだ。カメレオン怪人の1人が倒れて消滅した。
「消えた・・姿じゃなくて、体そのものが完全に・・!」
カメレオン怪人を倒したことを実感して、ソウマが頷いた。
「オレもやらせてもらうぜ!」
シゲルもカメレオン怪人をつかんだまま、リードライバーの中心部を回転させた。
“オックス・・ロードスマッシュ。”
その手にエネルギーを集めて、シゲルがカメレオン怪人にパンチを叩き込んだ。カメレオン怪人が力尽きて消えた。
「これでコソコソ隠れても意味がないって分かったか。」
ソウマが言いかけて、他のカメレオン怪人たちに目を向けた。カメレオン怪人たちは危機感を覚えて、後ずさりしていく。
「あれ!?トワってヤツがいないぞ!」
「何っ!?アイツ、どこに!?」
ソウマがトワがいないことに気付いて、シゲルが周りを見回す。
「オレがアイツを追いかける!」
ライが言いかけて、キバソウルを手にした。
“キバ!”
“ライダーソウール!”
彼はキバソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにあるクロスソウルと入れ替えた。
「変身!」
ライがクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!キバー!”
彼はキバフォームになって、上に大きくジャンプして下を見回す。
「いた・・アイツだ・・!」
“クロスレイダー!”
トワを見つけたライが、降下しながらクロスレイダーソウルを使った。現れたクロスレイダーに乗って、彼はトワを追いかけた。
カメレオン怪人たちから離れたトワは、キョウとノゾムの戦いを見に来た。
「追い詰められているようですね・・いくら怒りで力を高める効果があっても、1人ではここが限界のようですね・・」
トワがキョウの様子を見て呟く。そこへライがクロスレイダーに乗って駆けつけてきた。
「他のヤツに任せて自分だけ逃げるなんて、そうはいかないぞ!」
ライがクロスレイダーから降りて、トワに言い放つ。
「逃げたわけではありません。私にも私のやることがあるのですから・・」
「お前のやること?・・何を企んでいるんだ!?」
落ち着いた態度で答えるトワに、ライが疑問を投げかける。
「まだ詳しくは言えませんが、これだけは言っておきましょうか。私の目的は、あなたたち仮面ライダーを滅ぼすことです。」
「何っ・・!?」
トワが打ち明けたことに、ライが驚きを覚える。
「正確には、人間の味方をする仮面ライダーを滅ぼすことです。仮面ライダーは元々、怪人の組織の戦士として誕生した存在なのですから・・」
「お前、正義が気に入らないとでも言うつもりか!?」
「世界や地球を征服することを目的としている怪人組織。彼らによって生み出された仮面ライダーが、正義や平和のために戦うのは、とても矛盾していることなのですよ。」
驚きをふくらませていくライに、トワが自分の考えを語っていく。
「確かに仮面ライダーの1号は、ショッカーによって自分たちの尖兵となる戦士として体を改造された・・でも脳改造までされていなかったライダーは、ショッカーに世界が征服されたらいけないと考えて、ショッカーとの戦いを始めたんだ・・!」
「それじゃ矛盾なのですよ。悪の戦士となったなら、悪の道を突き進むべきなのに・・」
「悪の戦士として改造されても、このまま悪として生きる必要はない!悪の力だとしても、正義のために使ったらいけないことにはならない!」
ため息まじりに言うトワに、ライが仮面ライダーについて言い放つ。
怪人の組織によって元の日常をねじ曲げられてしまった仮面ライダー。たとえ悪から与えられた力でも、世界や人々、大切なものを守るために使うことはできると、彼らは考えていた。
素顔を隠して悪の怪人と戦う。それが仮面ライダーである。
「本当に矛盾していますね。あなたも他の仮面ライダーも・・」
トワはため息をつくと、1体の怪人が飛び出してきた。
「お前は、ゴルゴムのツノザメ怪人!」
ライが怪人、ツノザメ怪人を見て身構える。
「少し相手をしてもらえますか。」
「オレは獲物にありつければそれでいい・・仮面ライダーという獲物にな!」
トワが呼びかけると、ツノザメ怪人が笑みをこぼして言い返す。ツノザメ怪人が飛びかかって、ライがとっさにジャンプする。
「ぐっ!」
スピードを上げて突っ込んできたツノザメ怪人の角でクロスの装甲を切りつけられて、ライがうめく。彼が体勢を崩して地上に落下する。
「オレを甘く見るな!すぐに餌食にしてくれるぞ!」
ツノザメ怪人がライを見下ろしてあざ笑う。
「速いしパワーもある・・ここは正確な攻防をしないと・・!」
打開の糸口を探るライが、ビルドソウルを取り出した。
“ビルド!”
ライがビルドソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼がクロスドライバーの中心部に、ビルドソウルをセットした
「変身!」
ライがクロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ビルドー!”
彼がビルドの姿と力を宿した「ビルドフォーム」になった。
「違う姿んなったところで、オレからは逃げられん!」
ツノザメ怪人が飛びかかって、ライに爪を振りかざす。ライが手を伸ばして、ツノザメ怪人の腕をつかんだ。
「バカめ!」
ツノザメ怪人が口を開いて、ライの左肩にかみついた。
「ぐっ!コイツ!」
ライがうめきながら、右のパンチでツノザメ怪人を殴り飛ばした。
「ちくしょうが・・オレはいなばの白兎じゃないぞ・・!」
ライが不満の声を上げて、再び構える。殴られたことで口の歯が折れたツノザメ怪人だが、すぐに新しい歯が生え変わった。
ライがクロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転させる。
“ライダースマッシュ・ビルドー!”
ライとの前に、グラフの形をした滑走路が現れる。ジャンプした彼がグラフの上を沿うように飛び込んで、キックを繰り出した。
突っ込むツノザメ怪人に、ライがキックを叩き込んだ。
「ごあっ!」
ツノザメ怪人が突き飛ばされて、地面に倒れる。
「ぐぅぅ・・ギャアァァー!」
ツノザメ怪人は1度立ち上がるも、力尽きて爆発を起こした。
「さすがクロス。他のライダーの力も使いこなせる、手ごわいライダーですね・・」
トワがライの強さを目にして、笑みを浮かべながらも警戒を感じていた。
「今度こそ、お前をオレが倒す・・!」
ライがトワに鋭く言って、彼を倒そうと考えていた。