仮面ライダークロス&マックス

-Final Burning-

第3章

 

 

 ノゾムの打倒を企むキョウが、ツバキを狙う。キョウはトワを伴って、ライたちの前に現れた。

「オレと一緒に来てもらうぞ・・お前がこちら側にいれば、マックスも下手には動けなくなる・・」

 キョウが言いかけて、ツバキに近づいていく。

「私はそんなことにはならないよ!仮に私を人質にしても、逆にノゾムを怒らせるだけだから!」

 しかしツバキはキョウに従おうとしない。

「ノゾムは人質を取られておとなしくする人じゃない・・それどころか、もしも人質を傷付けたらそれ以上に怒りをぶつける人なんだから・・!」

「そうしてきてもオレにとっては好都合。向こうがオレのところにわざわざ来ることに、変わりはないのだから・・」

 ノゾムのことを口にするツバキだが、キョウは態度を変えない。

「ということです。ご同行してもらえますか?」

 トワが呼びかけて、再びツバキに手を差し伸べてきた。その直後、ライが手を出して、トワを横に突き飛ばした。

「人のことを勝手に決めるな・・無理やり何かをされて、いい気がするわけがないじゃないか!」

 ライがトワとキョウに向かって怒鳴りかかる。

「ライくん・・・」

 まりがライの怒りを目の当たりにして、戸惑いを浮かべる。

「邪魔をするなら、お前も始末するぞ・・・!」

 キョウが鋭く言って、ライの体を殴りつける。

「うぐっ!」

 うめくライを、キョウが足を突き出して蹴り飛ばす。

「ライ!」

「くっ・・まりちゃん、逃げろ・・!」

 叫ぶまりに、ライが声を振り絞って呼びかける。

「ライ・・・ツバキさん、ノゾムさんのところへ!」

 ライに対して戸惑いを感じながら、まりがツバキを連れて逃げ出す。

「逃がしはしないぞ・・トワ、追うぞ・・!」

「はい。」

 キョウが呼びかけて、トワが答える。2人はツバキとまりを追って走り出す。

(まりちゃんが見ていない今なら、変身ができる・・!)

 立ち上がったライが、クロスドライバーとクロスソウルを手にした。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーを装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。

“クロス!”

 音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。

“ライダーソウール!”

 ライは意識を集中して構えを取る。

「変身!」

 彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。

「よし、行くか・・!」

 ライがキョウたちを追って走り出した。

 

 ツバキを連れて、まりがノゾムたちのところへ向かう。

「ノゾム!」

 ツバキが呼びかけて、ノゾムが手を止めて振り向く。

「男の人2人が、私を狙って・・!」

「何だって!?

 ツバキが説明して、タイチが驚きの声を上げる。

「ノゾムを倒すために私を・・本当の狙いはノゾムよ・・!」

「そういうことだ、神奈ノゾム。いや、ビーストライダー・マックス・・」

 ツバキがさらに言ったところで、追いついたキョウが声を掛けてきた。

「アンタたちか・・オレを狙っているのは・・!?

 ノゾムがキョウたちに振り向いて、鋭い視線を向ける。

「人間、ビースター問わず、敵だと認識した者を徹底的に排除しようとする・・その傍若無人のために、オレは父親を失ったんだぞ・・!」

 キョウもノゾムに対して目つきを鋭くする。

「オレの親父は神崎(かんざき)グループのトップに君臨していた・・だがマックスに攻撃されて、親父は命を落とし、グループは壊滅状態になった・・・!」

「神崎グループって、日本のたくさんの企業を牛耳ってきたグループだよ・・!」

 自分たちのことを語りかけるキョウの話を聞いて、タイチが神崎グループのことを思い出して声を上げる。

「だがそいつらは自分たちの目的のために、他のヤツを追い詰めたり利用したりして、それを正しいことにしていた・・そんな連中を野放しにはしない・・!」

「それで親父の命を奪ったのか!?・・親父たちは力があり、世界を導いてきた1人だったのに!」

 敵意を見せるノゾムに、キョウが怒りの声を上げる。彼の言い分が、ノゾムの怒りを逆撫でする。

「間違いを犯して、それを正しいことにしようと企んだヤツだぞ!敵を倒したことに不満を持つことこそがおかしいことだ!」

「ふざけるな!お前が親父を殺したことに変わりはない!自分の犯した罪を自覚するのは、お前のほうだ!」

 互いに怒号を放つノゾムとキョウ。

「こうしてお前を倒す機会が巡ってきたならば、ここで見せてやるぞ・・マックス、お前を倒すために新しく手に入れた力を・・!」

 キョウがノゾムに告げると、装着しているベルトを見せた。

「あれは、ライダーのベルト!?

 ツバキがそのベルトを見て驚く。それは紛れもなくビースドライバーだった。

「親父の知り合いが、力がほしいと話をしたら、このベルトの開発をしてくれた・・マックスの力と能力を参考にしてな・・!」

 キョウが語りかけて、恐竜のアニマルカード「レックスカード」を取り出した。

“レックス!”

 彼はビースドライバーのバックルに、レックスカードをセットした。

「変身!」

 キョウがビースドライバーの左上のボタンを押した。

“チャージ・レーックス!ティラノ・ブラキオ・グランドー!ビース・レックスライダー!”

 キョウの体を黒と灰色の装甲と、恐竜を思わせる模様の入ったマスクが包み込んだ。

「ホントに、ビーストライダーになった!?

 タイチがキョウの姿を見て驚く。

「これがお前を倒すための力だ、マックス!」

 キョウがノゾムに鋭く言い放つ。彼の言葉と態度に、ノゾムも怒りをあらわにする。

「自分たちの間違いを正そうとせず、他のヤツが悪いと決めつける・・そんな思い上がりを、オレは許しはしない!」

 ノゾムが怒号を放って、マックスカードを取り出した。

“マックス!”

 ノゾムがビースドライバーにマックスカードをセットして、左上のボタンを押した。

「変身!」

“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”

 ノゾムがマックスに変身して、キョウに対して構えを取る。

「マックスとなったお前を、オレが完膚なきまでに叩き潰す・・オレたちの恨みを、徹底的に思い知らせる!」

「間違っていることを正して恨まれることこそがおかしいんだよ!」

 互いに怒りの声を上げるキョウとノゾム。2人が対峙するところへ、ライも追いついた。

「クロスも来たか・・トワ、そいつはお前が相手をしろ!」

「分かりました。」

 キョウが呼びかけて、トワが答える。トワが2つのアイテムを取り出した。

「それは、まさか!?

「君ならすぐに気付くと思っていましたよ、クロス。あなたと同じタイプのベルトと・・」

 驚きの声を上げるライに、トワが語りかける。

“クロスドライバー!”

 トワがクロスドライバーと装着する。彼もライのものとは別のクロスドライバーを入手していた。

「私専用のライダーソウルです。」

“セイント!”

 言いかけるトワがライダーソウル「セイントソウル」を取り出して、スイッチを入れた。

“ライダーソウール!”

 彼がセイントソウルをクロスドライバーにセットした。

「変身。」

“変身・ライダー!セイーント!”

 トワがクロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させる。彼が銀の装甲と仮面を身にまとった。

「お前はクロスと同じタイプのライダーか・・!」

「そういうことです。あなたがどれほどの力を備えているかは分からないですが、あなたに勝るとも劣らないものだと自負していますよ。」

 毒づくライに、トワが落ち着きを払って言いかける。

「ツバキたちはここから離れろ!巻き添えを食らうぞ!」

「うん・・みんな、行こう!まりさんも!」

 ノゾムが呼びかけて、ツバキがまりを連れていく。

「これで邪魔者はいない・・思う存分、お前を叩きのめせる・・・!」

「オレが狙いなんだろ・・だったらこっちに来い・・!」

 笑みをこぼすキョウに呼びかけて、ノゾムが動物公園から離れる。キョウも彼を追って走り出す。

「オレたちも場所を変えるぞ・・!」

「私は構わないですよ。2人の邪魔をしなければ・・」

 ライもこの場を離れて、トワも彼の言葉を聞き入れた。

 

 周りに人や動物のいない通りで、ノゾムとキョウが戦いを開始した。2人のパンチとキックが互いに激しくぶつかっていく。

「マックス・・オレはお前を許しはしない・・この怒りが、オレ自身の力を上げることになる・・!」

 キョウが言いかけて、全身に力を込める。

「オレは負けない・・オレは敵には絶対に負けない!」

 ノゾムが敵意を見せて、キョウに向かっていく。ノゾムがパンチを繰り出して、キョウの体に当てて押し込んだ。

 しかしキョウはダメージを受けた様子を見せない。

「この程度ではオレを返り討ちにすることはできない・・!」

 キョウが鋭く言って、右手を握りしめてパンチを繰り出した。

「ぐっ!」

 ノゾムがキョウのパンチを受けて、強く押される。彼は両足に力を入れて、地面を踏みつけて止まる。

「パワーが上がっている・・本当に怒りを力に変えているとでもいうのか・・・!?

 キョウの発揮する力を痛感して、ノゾムが毒づく。

「たとえそうだとしても、オレはお前には絶対に負けない・・お前のような身勝手なヤツには!」

 ノゾムが怒りの声を上げて、キョウに向かって飛びかかる。

「身勝手なのはお前のほうだ、マックス!」

 キョウが怒号を放って、ノゾムに向かって再びパンチを繰り出す。ノゾムもパンチを出して、互いにぶつけ合う。

「うぐっ!」

 ノゾムが力負けして、キョウに突き飛ばされて地面を転がる。パンチをぶつけた手に痛みを覚えながら、ノゾムが立ち上がる。

「これがオレの新しい力・・お前に対する怒りだ!」

 キョウがノゾムに向かって鋭く言い放つ。

「そんなことで、オレが敵に倒れたりはしない・・!」

 ノゾムが言い放つと、新たなアニマルカード「エックスカード」を手にした。

“エックス!”

 彼がビースドライバーにセットされているマックスカードを、エックスカードと入れ替えて、左上のボタンを押した。

“チャージ・エーックス!アンリミテッド・ハイパワー!ビース・エックスライダー!”

 ノゾムのまとうマックスのスーツが白くなって、さらに真ん中に縦のラインが入り、マスクも「X」の形のラインが入った。彼の両腕に腕輪「エックスブレス」が装着された。

 ノゾムはマックスのさらなる強化形態「エックスフォルム」となった。

「どんな姿になろうと、オレがお前を倒すことに変わりはない!」

 キョウが言い放って、ノゾムに飛びかかって右のパンチを繰り出す。ノゾムが左手を出して、キョウのパンチを受け止めた。

 ノゾムは少し押されただけで、キョウの攻撃によるダメージはなかった。

「お前もパワーを上げたか・・それでもオレはお前を超える!」

 キョウが鋭く言って、さらに力を込める。

「また力を上げるつもりか・・それならオレも力を込めてお前を倒す!」

 ノゾムが言い放って、ビースドライバーの左上のボタンを2回押した。

“エックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 ビースドライバーとエックスブレスから光があふれ出す。光が彼の両足に集まっていく。

「オレの恨み、お前に思い知らせる!」

“レックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 キョウも言い放って、ビースドライバーの左上のボタンを押す。彼とノゾムが同時にジャンプして、それぞれ恐竜の牙のようなエネルギーをまとった右足のキックと、エネルギーを集めた両足のキックを繰り出した。

 2人のキックがぶつかり合って、爆発のような衝撃と閃光を巻き起こした。ノゾムが着地して、キョウがダメージを負って地上に落下した。

「ぐっ!・・オレの力は、今のヤツほどではないというのか・・!?

 キョウが痛みを感じてうめく。立ち上がることもままならない彼を、ノゾムが見下ろす。

「お前もオレの敵に回った・・オレがこの手で、お前も倒す!」

 ノゾムが怒りの声を上げて、右手を強く握りしめる。そのとき、彼は周囲に気配を感じて、手を止めた。

「またおかしな連中が出てきたのか・・しかも、ビースターとは違うみたいだ・・・!」

 ノゾムが周りに視線を向けて警戒する。彼の近くの草むらがわずかに揺れた。

 ノゾムが右手を振り上げて、飛び出してきた影に攻撃を加えた。奇襲を仕掛けてきた狼の怪人、ウルフガルヴォルスがノゾムの反撃を受けた。

「くそっ!オレのスピードに気付くとは・・!」

 ウルフガルヴォルスがノゾムに鋭い視線を向ける。

「また違うバケモノが出てきたか・・!」

 ノゾムがウルフガルヴォルスに対して、鋭い視線を向ける。

「邪魔するな!マックスはオレが倒すのだ!」

 キョウがウルフガルヴォルスに向かって言い放つ。

「そのザマで任せられるか・・オレがとどめを刺してやる・・!」

 ウルフガルヴォルスが不満を口にして、ノゾムに視線を戻す。

「おっと。オレがいるのを忘れてもらっては困るぞ。」

 そこへもう1体、怪人が現れた。ワームの1体、フィロキセラワームである。

「もう1匹出てきたか・・何人出て、何をしてきても、オレが全員ブッ倒す!」

 ノゾムが怒りの声を上げて、2人の怪人たちにも敵意を向ける。

「いい気になるな。貴様だけでオレたち全員の相手が務まるものか!」

 フィロキセラワームがあざ笑って、ノゾムに向かっていく。その直後、フィロキセラワームの姿がノゾムの視界から消えた。

「どこへ行った・・!?

 ノゾムが驚きを覚えて、フィロキセラワームの行方を追う。次の瞬間、ノゾムが後ろから衝撃を感じて押される。

 ノゾムは一瞬後ろにフィロキセラワームの姿を目撃していた。フィロキセラワームは超高速で動いて、ノゾムに攻撃していた。

「なんてスピードだ・・普通の人間じゃ、何をされたのかも分かんなかっただろう・・・!」

 ノゾムがフィロキセラワームのスピードに毒づく。

「あれだけのスピードに追いつくのは厳しい・・だったらパワーで・・!」

 打開の糸口を探るノゾムが、マックスカードを取り出して、右のエックスブレスにセットした。

“エックスマーックス!ジェネラリーアクション!”

 マックスのスーツの右半分が白から赤に変わった。

「姿を変えたところで、オレの高速に敵いはしない・・!」

 フィロキセラワームがあざ笑って、再び高速で動き出す。ノゾムが右手を強く握りしめて、フィロキセラワームの行方を探る。

 フィロキセラワームがノゾムを狙って爪を振りかざした。ノゾムが爪を左肩に当てられるが、右手でその腕をつかんだ。

「ぐっ!」

 動きを止められて、フィロキセラワームがうめく。彼がもがくが、ノゾムの手を払うことができない。

 ノゾムが右手を振りかぶって、フィロキセラワームを地面に叩きつけた。

「ぐおっ!・・なんというパワー・・!」

「おのれ、マックス!」

 フィロキセラワームが毒づいて、ウルフガルヴォルスがノゾムに飛びかかる。ノゾムがマキシマムカードを手にして、左のエックスブレスにセットした。

“エックスマキシマーム!アンリミテッドパワー!”

 マックスのスーツの左側が赤に変わり、黒のラインが入った。ノゾムはマックスカードだけでなく、マキシマムカードの力も身にまとった。

 エックスブレスにはアニマルカードの力を体に宿らせる効果がある。

 ウルフガルヴォルスが爪を振りかざすが、ノゾムが繰り出したパンチを体に受けて、逆に吹き飛ばされる。

「ぐおっ!・・な、なんという力・・!」

「先ほどよりもパワーが増している・・ならば!」

 ウルフガルヴォルスがうめき声を上げて、フィロキセラワームがノゾムに頭の角からビームを放つ。ビームの直撃を受けるノゾムだが、平然と立っていた。

「いくらすばしっこくても、パワーはそこまでというわけではないようだな・・・!」

 ノゾムが鋭く言って、フィロキセラワームたちに向かっていく。

「待て!マックスを倒すのはこのオレだ!」

 キョウが立ち上がって言い放つ。彼が全身に力を入れて、ノゾムたちに向かっていく。

 そのとき、ノゾムとフィロキセラワームたちがキョウの高まっている力を感じて、緊張をふくらませる。

「また、アイツの力が増しているのか・・・!?

 ノゾムが毒づいて、キョウに対して身構える。

「マックス、お前はここで、オレに倒されるのだ!」

 キョウが言い放って、ビースドライバーの左上のボタンを2回押した。

“レックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 キョウの体からあふれる光が、さらに強いものとなっていた。

「邪魔をするヤツも全て、オレが倒す!」

 キョウが大きくジャンプして、エネルギーを両足に集めて急降下した。光は恐竜の顔の形になって、ノゾムたちに突っ込んだ。

「ギャアッ!」

 キョウのキックと光を受けて、ウルフガルヴォルスが爆発するように消滅した。フィロキセラワームが高速で回避するが、光によって体に切り傷を負わされた。

「あのライダーの力も高まっている・・これではオレも危険だ・・・!」

 フィロキセラワームが焦りを感じて、ノゾムたちから離れた。

 舞い上がる土煙を抜けて、キョウがノゾムを捜す。しかしノゾムの姿は見えない。

「マックス、どこへ行った!?・・・必ず見つけ出して、オレが倒す・・!」

 キョウはノゾムを捜して、周囲を捜し回った。

 

 ライとトワも動物公園から離れて、激しい攻防を繰り広げていた。

「なかなかやりますね、新しい仮面ライダー。でも私のほうが力は上のようですね。」

「オレの力を勝手に決めるな・・それに、オレは1人じゃない・・!」

 落ち着きを見せて言いかけるトワに言い返して、ライが新しいライダーソウルを取り出した。仮面ライダーエグゼイドのライダーソウル「エグゼイドソウル」である。

“エグゼイド!”

“ライダーソウール!”

 ライはエグゼイドソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーの中心部にセットした。

「変身!」

 彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!エグゼーイド!”

 ライの体を新たなスーツとマスクが包み込んだ。その姿はエグゼイド・レベル2とそっくりだった。

「さぁ、ノーコンティニューでクリアしてやるぞ!」

 ライがトワを指さして言い放つ。

「他のライダーにもなれるのですか。楽しませてくれますね。」

 トワが笑みを浮かべて、ライを迎え撃つ。

 軽やかな動きで前進して、ライがトワに攻撃を仕掛ける。ライのパンチとキックが、トワをだんだんと追い詰めていく。

「動きも能力もそのライダーそのものですね。ですがそれでも私は簡単にはやられないですよ・・!」

 トワが笑みをこぼして、クロスドライバーの右のレバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“ライダースマッシュ・セイーント!”

 トワの体から光があふれ出す。彼が上空に浮遊して、ライを見下ろす。

「かなたたちには手は出させないぞ!」

 ライが言い放って、クロスタイフーンを回転させた。

“ライダースマッシュ・エグゼーイド!”

 ライもジャンプして、トワと同時にキックを繰り出した。

「クロスクリティカルストライク!」

 ライのキックがトワのキックとぶつかり合う。2人のキックは互角で、彼らが互いに押されて着地した。

「オリジナルのエグゼイドと比べても負けず劣らずの力を発揮しているようですね・・私も本気を出さないといけないようです・・」

 ライの強さを痛感して、トワが焦りを込めた笑みをこぼした。

 そのとき、ノゾムたちとの戦いから抜けてきたフィロキセラワームが、ライたちの前に現れた。

「クロス・・こんなところにいたのか・・!」

 フィロキセラワームがライを見て、緊張をふくらませる。

「こんなところで何をしているのですか、あなたは?」

 トワがフィロキセラワームに目を向けて言いかける。

「ここは作戦を変えましょう。客人を連れてね・・あなた、クロスの相手をしてあげてください。」

「くっ・・こんな状態だというのに・・・!」

 呼びかけるトワに不満を見せながらも、フィロキセラワームがライに目を向ける。

「クロス、もしまた会うことがありましたら、そのときは最後まで戦いましょう。ここを生き残れたらの話ですが・・」

 トワが微笑んでから、ライから離れていく。

「おい、待て!」

 ライがトワを追いかけようとすると、フィロキセラワームが高速で動いて、ライを突き飛ばした。

「くっ!ワームか・・!」

 ライがフィロキセラワームを見て毒づく。

「ワームの使う“クロックアップ”・・オレの持っているライダーソウルに、カブトやファイズのものはない・・!」

 打開の糸口が見つからず、ライが焦りを噛みしめる。

 ワームの能力である超高速「クロックアップ」。この高速に対抗できるのは、クロックアップを備えたライダーであるカブトや、同等のスピードを出すことができるファイズやアクセルなどだが、ライの持っているライダーソウルの中にそれだけのスピードを出せるライダーのものはない。

「今あるライダーソウルの中で1番速いのは・・!」

 ライが取り出したライダーソウルは、ドライブソウルだった。

“ドライブ!”

“ライダーソウール!”

 彼はクロスドライバーにドライブソウルをセットして、クロスドライバーの左レバーを上げてクロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!ドラーイブ!”

 クロスの装甲が変化して、さらに1つのタイヤが斜めに装着された。彼はドライブの姿と能力を宿した「ドライブフォーム」となった。

「これで少しはマシになったって思うしかない・・!」

 ライは自分に言い聞かせて、フィロキセラワームを迎え撃つ。

 フィロキセラワームが高速で飛びかかって、ライ目がけて爪を振り下ろす。ライが一気にスピードを上げて、爪をかわした。

 ライが反撃を狙って足を振りかざす。彼のキックがフィロキセラワームの体をかすめた。

「オレに当ててくるとは・・!」

 フィロキセラワームがライの発揮したスピードに驚きを覚える。その隙を見逃さずに、ライがフィロキセラワームの腕をつかんだ。

「逃がさない・・チョコマカされる前に一気に叩く!」

 ライが言い放って、そのまま腕を振りかぶって、フィロキセラワームを地面に叩きつけた。

「がはっ!」

 フィロキセラワームが激痛を覚えてうめく。

「これで決める!」

 ライが言い放って、クロスタイフーンの右のレバーを上げて回転を加えた。

“ライダースマッシュ・ドラーイブ!”

 ライがタイヤ型のエネルギーを放って、経ちあがたフィロキセラワームを包囲した。彼はタイヤの中に飛び込んで反射しながら、フィロキセラワームにキックを連続で叩き込んだ。

「ぐあぁっ!」

 蹴り上げられたフィロキセラワームが、絶叫を上げて爆発した。

「急いでアイツを追いかけないと・・!」

 ライがトワのことを気にして、ライダーソウル「クロスレイダーソウル」を取り出した。

“クロスレイダー!”

 ライがクロスレイダーソウルのスイッチを入れると、そばに光のトンネルが現れて、1台のバイクが飛び出してきた。彼はバイク「クロスレイダー」に乗って、トワを追いかけた。

 

 ツバキたちとともにキョウたちから離れたまりは、ライが戻ってこないことを心配していた。

「ライくんが戻ってこない・・もしかして、あの人たちに・・・!?

 まりが不安をふくらませて、ライのところに戻ろうとする。

「待って、まりちゃん!今行ったら危険よ!」

 ツバキがまりの腕をつかんで呼び止める。

「でも、ライくんをほっとけないよ!」

「僕が迎えに行くよ!まりちゃんはここにいて!」

 それでも行こうとするまりに、かなたが呼びかけて自分がライたちのところへ行こうとする。

「君もダメだよ、かなたくん!2人が戻ってくるのを待とう!」

 タイチがかなたも呼び止めて、かなたがまりとともに心配をふくらませていく。

「待ち人の心配をしている場合ではないですよ。」

 そこへ声がかかって、かなたたちが緊張を覚える。彼らの前に現れたのはトワだった。

「あなたは!?・・クロスはどうしたの!?

 まりが動揺しながら、トワに問いかける。

「クロスなら私の知り合いが相手していますよ。では私と一緒に来てもらいましょうか。」

 トワが言いかけて、ツバキを狙って近づいてくる。

「ツバキさん!」

 まりがとっさにトワに飛びついて、ツバキたちから引き離そうとする。

「まりちゃん、ダメ!」

 ツバキが呼びかけるが、まりがトワに拳を叩き込まれて、気絶させられた。

「まりちゃん!」

「邪魔をすると命はありませんよ。おとなしく来てもらえますね、大塚ツバキさん?」

 かなたが叫んで、トワがまりを抱えたまま、ツバキに呼びかける。ツバキは付いてくることを迫られて、焦りをふくらませていく。

 そこへクロスレイダーに乗ったライが駆けつけてきた。クロスレイダーが迫って、トワはまりを抱えたまま後ろに下がる。

「クロス、あのワームを倒して、こんなに早く来るとは・・」

 トワがライを見て呟く。

「ま、まりちゃん・・!」

 ライがトワに捕まっているまりを見て、驚きを覚える。その瞬間、トワがノゾムも戻ってきたことに気付いた。

「これは、ツバキさんも連れていくのは難しいですね・・キョウさんのところへ戻りましょうか・・」

 状況が不利であると感じたトワは、まりだけを連れてこの場を離れた。

「待て!まりちゃんを放せ!」

 ライが呼びかけるが、トワは去っていった。まりは彼によってさらわれた。

「ちくしょう・・まりちゃんが、連れてかれた・・・!」

 ライが怒りを抑えられず、ひたすら体を震わせていた。

 

 

 

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