仮面ライダー BLACK・RX・マックス
-地球を駆ける黒き勇者-
第9章
闇を取り込んで漆黒の体を手に入れて強化した邪眼。あらゆる攻撃や能力を全く受け付けず、絶対無敵の強さを発揮するはずのムテキゲーマーの攻撃が、今の邪眼に通用しない。
「ありえない・・今のオレは無敵状態なのに・・!?」
ゲームではキャラが無敵になればどんな敵にも攻撃にもやられず、敵をやっつけていく。その状態にあるムテキゲーマーになっている自分の攻撃が決定打にならないことに、永夢は信じられなかった。
「無敵に対抗できるのは、もう、同じ無敵でしか・・・まさか・・!?」
ムテキゲーマーが通用しない理由に、永夢が気付いた。
「パワーアップしたアイツも、無敵になったっていうのか・・!?」
「無敵って、アイツもか!?あんな手も足も出ない永夢のあの強さを、アイツも!?」
永夢が口にした言葉を聞いて、戦兎が驚く。
「誰だろうと、無限の闇に打ち勝つことはできん。」
邪眼が言いかけると、一瞬で永夢の目の前まで迫った。次の瞬間、永夢の体を連続で衝撃が襲った。
衝撃で押されただけではない。攻撃の痛みを永夢は感じていた。
「やっぱり・・今の邪眼も、無敵状態に・・!」
永夢は確信した。邪眼もムテキゲーマーと同じ無敵状態になっていると。
「アイツも邪眼も、どっちも反則じゃないか!あれじゃオレたちも手も足も出ないじゃないか!」
邪眼の無敵の力にソウマが動揺を見せる。
「お前が無敵状態だっていうなら、お前を止められるのはオレしかいないってことになる!みんなの運命は、オレが変える!」
永夢が言い放って、邪眼に向かって高速で飛びかかる。2人が目にも留まらぬ速さで攻防を繰り広げていく。
だが邪眼の攻撃に押されて、永夢が地面に叩き落とされた。
「永夢くん!」
光輝が叫んで、立ち上がる永夢に駆け寄る。
「光輝さん、危ないです!今のヤツには、僕以外では・・!」
「無敵になれる君の姿、心の焼きつけた・・精神力を高めれば、無敵の域に達することも不可能じゃないことが分かった・・!」
声を上げる永夢に光輝が笑みをこぼす。
「でも、どうやって・・!?」
「このオメガは精神力を力に変えるライダーだ。スピリットフォームになって、より強い力に変えられる。今の君みたいに無敵になれる力を発揮できるかどうかは、試したことはないが・・」
永夢の問いかけに、光輝がオメガについて説明する。ムテキゲーマーと同等の能力を発揮させることは不可能ではないが、膨大な精神力の消耗と負荷が不可避であることは、光輝は覚悟していた。
「やらなければ世界も人々も、自由も平和も守れない・・だからオレはやる・・!」
「光輝さん・・だったら僕も諦めないですよ!」
光輝の決意を汲み取って、永夢が自信を取り戻す。2人が立ち上がって邪眼に目を向ける。
「お前たちも無限の闇から逃れることはできぬ。」
邪眼が言いかけて、永夢と光輝に向かって急降下してきた。
「オレにも・・無敵の力を!」
光輝が意識を集中して、精神力を極限まで高めた。彼が永夢と同時に超高速を体現して、地面に着地した邪眼へ左右から足を振りかざした。
次の瞬間、邪眼の姿が一瞬消えて、永夢たちのキックが空を切った。
「なっ!?」
2人がかりの無敵の攻撃も通じず、永夢と光輝が驚きを隠せなくなる。邪眼が両手をかざして、念力で2人を持ち上げた。
「うあっ!」
邪眼が念力で吹き飛ばされて、強く壁に叩きつけられた。
「永夢くん!光輝くん!」
RXが声を上げて、BLACKとともに永夢たちに駆け寄る。永夢も光輝も力を使い果たして、立ち上がることもままならなくなっていた。
「2つのキングストーンを手にすれば、私の創世王としての力は完全なものとなる。私が全てを支配することができる。」
邪眼がRXとBLACK、シャドームーンに狙いを向ける。
「アイツ、あんな反則になっておいて、まだほしがってるのか!?」
ソウマが邪眼に対して不満の声を上げる。
「これ以上アイツにいい気にさせるか・・アイツが何をしてこようと、必ず叩きつぶす!」
ノゾムがいら立ちを見せて、邪眼に向かって駆け出す。彼がビースドライバーの左上のボタンを2回押す。
“マキシマムチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ノゾムがジャンプして、邪眼に向かって両足のキックを繰り出した。だがキックを体に受けても、邪眼は平然としていた。
「何人たりとも、私を阻むことはできぬ。」
邪眼が手を振りかざして、ノゾムを吹き飛ばした。ノゾムは激しく地面を転がって、戦兎たちの前で倒れた。
「ノゾムくん、大丈夫か!?」
RXがノゾムを支えて呼びかける。ノゾムは激痛を感じて、自力で立てないでいた。
「お前たちは無限の闇の前では滅ぶ他なし。覚悟するがよい、仮面ライダー。」
邪眼が瞬間移動をして、ノゾムたちに打撃を当てた。邪眼が移動を終えた直後、彼らが打撃の衝撃に襲われて倒された。
ノゾムたちのダメージが一気に高まって、ソウマと戦兎の変身が解かれた。
「み、みんな・・・!」
RXがノゾムたちに声を上げる。彼らと同じく大きなダメージを負っていたRXとBLACKだが、強い回復力でかろうじて動くことができた。
「今こそ、キングストーンをもらい受ける。」
邪眼がRXたちに迫る。
「邪眼・・ヤツの思い通りにさせるか・・オレこそが次期創世王だ・・・!」
そのとき、シャドームーンが残った力を振り絞って、意識を集中する。
「シャドーフラッシュ!」
シャドームーンが力を光にして放出する。光は邪眼が取り込んでいた闇を一瞬揺さぶらせた。
「今だ!アクロバッター!ライドロン!」
「バトルホッパー!ロードセクター!」
RXとBLACKがアクロバッターたちを呼んだ。4台のマシンにスピリットブレイバーも続いて、2人とノゾムたち、シャドームーンを乗せてこの場を離れた。
「逃げられはせん。我が闇からは、誰もが滅びるさだめにある。」
ノゾムたちを見失った邪眼だが、動じることなく歩き出した。RXたちのキングストーンを求めて。
邪眼から辛くも逃げ切ることができたノゾムたち。シャドームーンはBLACKとRXに支えられていた。
「シャドームーン・・その体で、オレたちのために・・・!」
「勘違いするな・・オレはシャドームーンだ・・ブラックサン、貴様を倒し、次期創世王となる男だ・・・」
戸惑いを見せるBLACKに、シャドームーンが声を振り絞る。彼は世紀王の戦いを邪眼に邪魔されたことが許せなかった。
「邪眼は時期にここへ来る・・ヤツの闇の力を止めなければ・・・!」
RXが言いかけて、BLACKが頷く。だが彼らに戦える力はほとんど残っていない。
「今の邪眼の無敵の力を止められるだけの力はない・・だが、闇の力を吹き飛ばす方法は見つかった・・!」
RXが打開の糸口を見出した。彼の言葉に永夢たちが動揺を覚える。
「これはここにいる全員が力を合わせなければ厳しくなるかもしれない・・しかし、やるしかない・・今やらなければ、邪眼に地球全体を闇で支配されることになる・・!」
BLACKも察して決意を固める。
「オレも行く・・アイツにやられたままで終われるか・・・!」
ノゾムが呼びかけて立ち上がろうとするが、体に痛みが走ってふらつく。
「ダメだ、ノゾムくん!君だって戦うだけの力は残っていないじゃないか!」
光輝がとっさにノゾムを支えるが、彼もふらつきそうになる。
「オレのことを勝手に決めるな・・オレは、アイツをブッ倒さないと気が治まらないんだよ・・!」
「君の命は君1人のものじゃない!君にだって、君を大切に思っている人がいる!」
「だからこそだよ・・オレが安心できる場所や、オレに優しくしてくれる人を守りたいから、オレはこんなところでくたばっているわけにはいかないんだよ!」
説得の言葉を呼びかける光輝だが、ノゾムは思いとどまろうとしない。
「オレは許しはしない・・身勝手を押し付けて、オレたちにイヤな思いをさせようとするヤツを・・!」
自分の意思と敵意を貫こうとするノゾム。彼は自分たちの平穏を脅かす邪眼に、激しい怒りを燃やしていた。
「誰も、最初は自分に悲しい運命を強いられたことへ復讐しようとしたのがきっかけだった。だが、戦いを続け、人々を守っていくうちに、命と平和、大切なものを守ろうとする決意を持つようになった。」
BLACKが自分の戦いを思い返して、戦う理由を確かめていく。
「オレも、ただ憧れや正義感だけで戦おうとしたのが始まりだった・・だけど、戦いを続けていくうちに、何が正しいのかを考えるようになり、答えを見つけることができた・・」
光輝もこれまでの戦いを、正義の味方にとって大切なことを思い出していく。軽々しくヒーロー気取りをすれば、守ろうとする人を傷付けることになりかねないことを、彼は理解していた。
「患者の治療をすることも、患者の心のケアをすることも、並大抵のことじゃない。病気やケガで不安が大きくなっているしね・・医者は患者に真剣に、慎重に対応しなくちゃならないんだ・・」
永夢もこれまでの戦いと経験を思い出す。医者には医療技術だけでなく、患者の心身に対する最大の配慮も必要だと、彼は考えていた。
「オレも答えを見つけられたら、科学は正しいと証明できるということか・・あんまり悩みすぎるのも、最悪だ・・」
戦兎が納得したと思って、自分だけで肩を落とす。
「たとえ今は答えを出していると思っていても、この先いつか、本当の答えを見つけるときが来る。ノゾムくん、そのことを忘れないでくれ。」
RXがノゾムの肩に手を乗せて、激励を送る。
「RX・・その答え、オレもいつか見つけられたらいいな・・・」
ノゾムが頷くと、力を振り絞って自力で立つ。満身創痍であることを自覚しながらも、ノゾムは邪眼に立ち向かおうとしていた。
RXたちを追って前進する邪眼。彼は体から発する闇を電撃にして放って、周囲を破壊していた。
破壊行動も行う邪眼から必死に逃げ惑う人々。逃げ遅れた人たちを助けていた2人の男の前に、邪眼が迫った。
邪眼が左手で男の1人の首をつかんで持ち上げて、右手からの念力でもう1人の男を持ち上げてから吹き飛ばした。男は段ボールの山を突き破って倒れた。
邪眼につかまれていた男も投げ飛ばされて、建物の壁を破って中に放り込まれた。
「世界を闇で覆い尽くし、人間たちを排除する。人間たちが希望としている仮面ライダーを、この手で葬り去る。」
邪眼はRXたちのいる場所を目指して、前進を続けた。
邪眼を止めるため、BLACKとRXは先に前進した。未だに体力が戻らないノゾムを、永夢と光輝が支える。
「力が残りわずかのオレたちじゃ、バラバラだと戦うこともできない・・!」
「君の強い信念に、オレたちの力を託すよ・・・!」
光輝と永夢が自分たちの力をノゾムに託そうとする。
「オレは別に正義の味方というわけじゃない・・オレはオレの安らげるところを守ろうとしているだけだぞ・・・!」
「それでも、大切なものを守ろうとする信念は同じだよ・・!」
「それなら君を信じるには十分だ・・君なら、オレたちの信念も貫かせてくれると信じている・・!」
ノゾムが自分の考えを口にするが、永夢も光輝も彼に託そうとする気持ちを変えなかった。
そのとき、永夢と光輝がまとっているエグゼイドとオメガの装甲から光があふれ出した。
「この光・・オレと永夢くんの力が・・!」
「1つに、集まっていく・・!」
光輝と永夢が光を見て戸惑いを覚える。光は集まると、1枚のカードに変わった。
「これは、アニマルカード!?・・アンリミテッド・・・!?」
ノゾムが現れたアニマルカード「アンリミテッドカード」を手にして驚く。
「オメガとエグゼイドが描かれている・・もしかして・・!?」
戦兎が声を上げて、ノゾムが頷く。
「コイツを使うしかない・・使えなくちゃ意味がないだろう!」
ノゾムが感情を高ぶらせて、アンリミテッドカードをビースドライバーにセットした。
“アンリミテッド!”
ビースドライバーはアンリミテッドカードを正常に読み取った。
「よし・・このままやってやる!」
ノゾムがビースドライバーの左上のボタンを押した。
“チャージ・アンリミテーッド!ムテキ・カゲキ・エグゼイド!スピリット・スパイラル・オメガ!アンリミテッド・マーックス!”
ビースドライバーから音声が出て、マックスのスーツが金色へと変わって、輝きときらめきをあふれさせた。
「この感じ・・ものすごい力が湧き上がるみたいだ・・・!」
新たなマックスのスーツの力を感じて、ノゾムが戸惑いを覚える。彼はエグゼイド・ムテキゲーマーとオメガ・スピリットフォームの力を兼ね備えた「アンリミテッドフォルム」となった。
ノゾムに力を託したことで、永夢と光輝の変身が解けた。
「永夢、光輝・・!」
「僕たちに構わずに、ノゾムくんは行って・・!」
振り向くノゾムに永夢が呼びかける。
「僕たちの信念を、君に託したよ・・!」
「・・分かった・・オレを信じてくれて、ありがとう・・・!」
光輝も呼びかけて、ノゾムが感謝を口にしてから歩き出した。
「分かる・・あの無敵の力と、心の強さってヤツが・・・!」
エグゼイドとオメガの力を実感して、ノゾムが意識を集中する。
(いた・・アイツだ・・!)
彼が近づいてくる邪眼の気配を感じ取った。
「よし・・行くぞ・・!」
ノゾムが動き出すと、一瞬にして戦兎たちの前から姿を消した。彼はムテキゲーマーと同等の超高速を発揮した。
「は、速い・・!」
「ムテキゲーマーの動きだ・・間違いなくオレと光輝さんの力が宿っている・・!」
ソウマと永夢が今のノゾムの力を見て驚く。
(信じているよ、ノゾムくん・・後は頼みます、BLACK、RX・・・!)
ノゾム、BLACK、RXを信じて、光輝は戦兎たちとこの場に留まった。
前進を続ける邪眼の前に、BLACKとRXが駆けつけた。
「来たか、2人のブラックサンよ。お前たちのキングストーンをいただくぞ。」
邪眼がRXたちを見て笑みをこぼす。
「そうはいかない!お前にキングストーンを渡せば、世界が破滅に瀕する!」
「邪眼、貴様の邪悪な野望は、オレたちが粉砕するぞ!」
BLACKとRXが言い放って構えを取る。
「愚かな。お前たちだけで私に敵うと思っているとは・・」
邪眼があざ笑うと、瞬間移動のようなスピードでRXたちに詰め寄った。
「うっ!」
目にも留まらぬ速さの邪眼のパンチを受けて、BLACKとRXが突き飛ばされる。体力はある程度回復していた2人だが、それでも無敵状態の邪眼に太刀打ちできる力を持ってはいない。
「まだだ・・オレたちは負けるわけにはいかないんだ・・!」
「たとえ力が足りなくても、オレたちには自由と平和を守る使命があるんだ・・!」
力を振り絞って立ち上がるBLACKとRX。2人は邪眼に立ち向かうことを諦めてはいない。
「今の邪眼の能力の前では、勝負は一瞬・・!」
「その瞬間に、光のエネルギーで邪眼の力の源となっている闇を吹き飛ばす・・!」
BLACKとRXが邪眼を倒すチャンスを見極めようとする。一瞬のチャンスを逃せば、邪眼を倒すチャンスがなくなる。
「太陽のキングストーンを手に入れ、その後、月のキングストーンもいただく。」
邪眼が次の攻撃でキングストーンを奪い取ろうとしていた。彼の瞬間的な動きに対して、RXたちが作戦を行うにはスピードが足りない。
そのとき、邪眼が突然後ろへ飛ばされた。彼とRXたちの前に、アンリミテッドフォルムとなったノゾムが現れた。
「ノゾムくん!」
「その姿・・!?」
ノゾムの姿を見てRXとBLACKが声を上げる。
「アイツの相手はオレがする・・アイツを何とかできる方法があるんだろう・・・?」
ノゾムがRXたちに呼びかけて、邪眼に視線を戻す。
「マックスか・・その姿、2人の仮面ライダーの力を持ったか。」
邪眼がノゾムの姿を見て呟く。
「お前は絶対にブッ倒す・・オレの落ち着ける場所を、お前なんかに壊させてたまるか!」
ノゾムが怒りの声を上げて、邪眼に鋭い視線を向ける。
「エグゼイドをも上回る我が闇の力。お前がエグゼイドの力を得ようと、私には敵わぬ。」
「今のオレはそれだけじゃない・・オメガの力も宿っているんだ・・!」
勝利を確信している邪眼に言い返すノゾム。彼が一瞬にして詰め寄って、邪眼に高速のパンチを叩き込む。
一瞬突き飛ばされた邪眼だが、すぐにノゾムの眼前に戻ってきた。2人が目にも留まらぬ攻防を繰り広げる。
「ノゾムくん、永夢くんと光輝くんの力を借りて、互角に戦っている・・!」
「一瞬でもいい!邪眼の動きが止まれば・・!」
RXとBLACKがノゾムと邪眼の戦いを見ながら、チャンスの瞬間をうかがう。
「我が闇は無限。お前たちが力を合わせようと、私を超えることはできぬ。」
「だったらやってやるよ・・お前を無限の闇ってヤツと一緒にブッ飛ばしてやる!」
邪眼が投げかける言葉にノゾムが言い返す。彼がビースドライバーの左上のボタンを2回押した。
“アンリミテッドチャージ!ライダースマーッシュ!”
ノゾムが全身からまばゆい光を発して、邪眼に向かっていく。ジャンプして繰り出したノゾムのキックを、邪眼が体から闇を出してぶつけ合う。
まばゆい閃光と大爆発が起こって、周囲に広がった。
「うあっ!」
ノゾムが爆発と閃光の中から吹き飛ばされてきた。邪眼も押されて一瞬ふらついた。
「今だ!」
「キングストーンフラッシュ!」
RXが掛け声を上げて、BLACKとともにキングストーンの光を放出した。2人の光が邪眼に集まっていた闇のエネルギーを霧散させた。
「ヤ、ヤツらめ、闇の力を直接消しに来るとは・・!」
邪眼がRXたちを見てうめく。取り込んでいた闇の力が弱まり、無敵の力を発揮できなくなったことに、彼は焦りを感じていた。
「邪眼の闇の力が弱まった!これで邪眼を倒すことができる!」
「一気に決めよう!」
RXとBLACKが声をかけ合って、邪眼に立ち向かおうとした。
そのとき、不思議なことが起こった。BLACKとともに放ったキングストーンの光が、RXの体に集まり始めた。
「こ、これは・・!」
自身を包む光にRXが戸惑いを覚える。光が強まると、彼の体が3人に分かれた。
1人はRX、1人はロボライダー、1人はバイオライダー。RXの3形態がBLACKとともに一堂に会した。
「もしかして、オレたちのキングストーンのエネルギーが共鳴して、光が集まることでRXに力を与えたのか・・!」
BLACKがRXたちの変化について口にする。
「オレたちもまた、長い戦いの中で誕生したライダーだ。」
「オレたちも立派な仮面ライダーに含まれている!」
ロボライダーとバイオライダーが励ましの言葉を口にする。
「ロボライダー、バイオライダー、ありがとう・・ともに戦おう、BLACK!」
「あぁ!RX、オレたちは一心同体だ!」
RXとBLACKも声をかけ合う。2人とロボライダー、バイオライダーが手を重ねて、ともに戦うことを誓い合った。
「おいおい・・そっちも何でもありじゃないか・・・!」
ノゾムがRXたちを見て動揺を浮かべる。彼がRXたちと合流して、邪眼に目を向けた。
「仮面ライダー、BLACK!」
「オレは怒りの王子!RX!バイオ、ライダー!」
「オレは炎の王子!RX!ロボライダー!」
「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACK!RX!」
「オレの怒りは限界突破!仮面ライダーマックス!」
BLACK、バイオライダー、ロボライダー、RX、そしてノゾムが名乗りを上げた。5人の仮面ライダーが邪眼の前に立ちはだかった。
「この世に悪がある限り、オレはいつでもよみがえる!」
「この世に光がある限り、オレたちは何度でもよみがえる!仮面ライダーは、何度でも!」
BLACKとRXが邪眼に向かって言い放つ。
「ムダだ。私には無限の闇が・・」
邪眼が再び闇を取り込もうとしたが、飛び込んできたノゾムに打撃を叩き込まれる。
「いつまでもお前のいい気にさせるか!」
言い放つノゾムに闇の吸収を邪魔されて、邪眼は劣勢に立たされる。
「おのれ・・仮面ライダー・・!」
追い詰められていることに邪眼が毒づく。
「キングストーン、必ず手に入れる!」
邪眼が目から光線を放つ。RXたちが左右に動いて光線をかわして、バイオライダーが体を液化して、邪眼を取り巻いて動きを封じていく。
「バイオブレード!」
元の体に戻ったバイオライダーがバイオブレードを手にして振りかざして、邪眼を切りつける。
「ライダーパンチ!」
BLACKが邪眼に飛び込んで、エネルギーを集めたパンチを当てた。続けてバイオライダーがエネルギーを集めたバイオブレードを振り上げて、邪眼を切りつけた。
邪眼が体から電撃を放って、ノゾム、BLACK、バイオライダーが離れる。
「ボルティックシューター!」
ロボライダーがボルティックシューターを手にして、邪眼へ射撃する。
“チャージ・シャーク!シャーシャーシャーシャー・シャークソード!”
“ガンガン・シャークガーン!”
ノゾムもシャークソードをガンモードにして、邪眼を射撃する。
“ソーソー・シャークソード!”
彼はシャークソードをソードモードに戻して、RXと頷き合う。
「リボルケイン!」
RXがリボルケインを手にして、ノゾムとともに邪眼へ向かって走り出す。
“シャークチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ノゾムがビースドライバーの左上のボタンを2回押して、シャークソードの刀身にエネルギーを集める。彼とRXがシャークソードとリボルケインを突き出して、邪眼の体に突き刺さった。
「ぐおっ!」
うめく邪眼がたまらず後ずさりする。しかしシャークソードとリボルケインのエネルギーを体に注がれて、彼は致命傷を負っていた。
「お・・おのれ・・仮面ライダー・・・!」
うめき声を上げる邪眼がふらつく。
「もう終わりだ!2度とオレたちにふざけたマネができないように、全力でブッ倒す!」
ノゾムが言い放って、ビースドライバーにアンリミテッドカードをセットし直す。
“アンリミテッドチャージ!ライダースマーッシュ!”
再びビースドライバーのボタンを押して、ノゾムが右足にエネルギーを集める。BLACK、RX、ロボライダー、バイオライダーが頷き合って、ノゾムと同時にジャンプした。
「ライダーキック!」
5人のライダーが繰り出したキックが邪眼に命中した。決定打を受けた邪眼が、体からエネルギーをあふれさせる。
「ま・・またしても闇が、光に敗れるとは・・・!」
邪眼が声を振り絞って、ノゾムたちを睨みつける。
「だが闇は無限・・私が完全に滅ぶことは決してない・・いつかまた必ず蘇るぞ・・・!」
「何度も出てくるなら、何度でもお前をブッ倒すだけだ・・お前のようなヤツに、オレたちの居場所は壊させないぞ!」
断末魔を告げる邪眼に、ノゾムが感情を込めて言い放つ。敵は何度出てきても、何度でも倒すと彼は思っていた。
「自由と平和を守るため、オレたちは戦い続ける!貴様のような悪の使者と!」
「大切なものを守るために戦う!それがオレたち、仮面ライダーだ!」
RXとBLACKも邪眼に向かって言い放つ。
戦う理由が違っても、大切なものを守ろうとする志は同じ。そのために、それを脅かす敵に立ち向かう。それが仮面ライダーである。
「おのれ、ライダー・・仮面ライダー!」
絶叫を上げる邪眼が、爆発するように消滅した。闇もともに消えて青空が戻った。
「やった・・これで、終わったってことで、いいんだよな・・・?」
戦いが終わったと思って、ノゾムが肩を落とす。そのとき、ビースドライバーにセットされているアンリミテッドカードが光り出した。
ノゾムがビースドライバーから取り出すと、アンリミテッドカードが消えた。
「役目を終えたってことか・・・」
ノゾムが納得して、RXたちに振り返る。RX、ロボライダー、バイオライダーからも光があふれていた。
「3つに分かれていたオレたちの体も、1人に戻ろうとしている。」
「これからもともに戦っていこう。」
ロボライダーとバイオライダーがRXに呼びかける。
「ありがとう。オレたちはこれからも一心同体だ。」
RXが感謝して、ロボライダーたちが頷いた。3人は再び1人へと戻った。
「BLACKもありがとう。君が来たことで、力だけでなく、精神面でも支えられたよ。」
「君はオレの未来。この先の未来を守るため、RX、君と戦えたことを誇りに思うよ。」
RXとBLACKが声をかけ合って、高らかに手を合わせて握手を交わした。
「ノゾムくん、それは君やソウマくんたちも同じだ。」
「君の強さと揺るがない信念が、邪眼を倒すきっかけとなったんだ。」
BLACKとRXがノゾムに振り向いて、感謝を告げた。
「オレはオレの敵を倒しただけだ・・オレたちの居場所を壊そうとしたアイツが許せなかっただけ・・・」
ノゾムはあくまで自分の考えを口にするだけだった。
「だけど、あなたたちの言った答えっていうのが、オレも見つけることができるだろうか・・・?」
ふと言葉をもらしたノゾム。するとRXが歩み寄って、手を差し伸べてきた。
「君もオレたちも、これからも生き続け、戦い続けていく。君の答えは君しか見つけることができないが、強い心を持ち続けている限り、見つけるときが必ず来る。」
「そうか・・そうあればいいな・・・」
RXに励まされて、ノゾムが笑みをこぼす。彼は心の中で安らぎをふくらませていた。
「みんなのところへ戻ろう。オレたちが戻るのを、みんなが待っている・・」
BLACKが言いかけて、ノゾムとRXが頷いた。3人がソウマたちのところへ歩き出した。