仮面ライダー BLACK・RX・マックス
-地球を駆ける黒き勇者-
第5章
ボスガン、マリバロン、ガテゾーン、ゲドリアン。クライシス帝国の4大隊長の攻撃に、ノゾムは絶体絶命のピンチに陥っていた。
「往生際が悪いことだ。抵抗をしなければ楽でいられたものを。」
「お前らの思い通りにされる楽なんか、死んでもするものか・・・!」
あざ笑うボスガンに言い返して、ノゾムが力を振り絞って立ち上がる。
「ならば貴様のその首、その屈辱とともに我々の前にさらすことね。」
マリバロンが光の鞭を振りかざして、ノゾムを叩く。
「ぐあっ!」
ノゾムが突き飛ばされて、地面を大きく転がる。
“スリービースト。”
ビースドライバーが外れて、ノゾムの変身が解けた。
「ケヘヘヘヘ!これでお前も終わりだな、マックス!」
倒れているノゾムをゲドリアンがあざ笑う。ノゾムは押し寄せる痛みのあまり、立ち上がることができない。
「悪いがとどめはオレがもらうぜ。さっきの借りを返しとかないとな。」
ガテゾーンが銃を構えて、ノゾムに銃口を向けた。
(トラはワタルを運んでるから呼べない・・もう1度、マックスに変身して・・・!)
ノゾムがビースドライバーに手を伸ばそうとするが、ガテゾーンたちの攻撃をかいくぐるには間に合わない。
そのとき、ノゾムたちの耳にバイクのエンジン音が入ってきた。
「何者かが来るのか・・・!?」
「トラのバイクじゃない・・音の感じが違う・・・!」
ガテゾーンが言いかけて、ノゾムが耳を澄まして感覚を研ぎ澄ませる。1台のバイクに乗って、1人の男が駆けつけた。
「クライシス帝国、復活していたのか・・何度現れようと、お前たちの好きにはさせない!」
男がボスガンたちに向かって言い放つ。
「貴様は、吉川光輝!?」
「オメガ、お前もここに来ていたのか!?」
ボスガンとマリバロンが男、光輝を見て驚きの声を上げる。光輝が1つの水晶「オメガクリスタル」を手にした。
「変身!」
オメガクリスタルを装着しているベルト「オメガドライバー」にセットした光輝。彼が光に包まれて、赤い装甲に身を包んだ。
「ア、アンタは・・!」
変身を果たした光輝を目の当たりにして、ノゾムがさらに驚く。
「仮面ライダーオメガ!」
オメガに変身した光輝が、高らかに名乗りを上げてポーズを決めた。仮面ライダーオメガがボスガンたちの前に現れた。
「おのれ、オメガ!お前もここで息の根を止めてやるぞ!」
ゲドリアンがいきり立って、光輝に飛びかかる。光輝がゲドリアンと組み付いて、至近距離からパンチを叩き込む。
ガテゾーンが光輝を狙って銃を発砲する。光輝が右足を突き出してゲドリアンを引き離して、左腕を構えてガテゾーンの射撃を受ける。
「オレの銃に耐えやがった・・なんてヤツだ・・!」
光輝の戦いにガテゾーンが毒づく。光輝が倒れているノゾムを支える。
「アンタも、仮面ライダーってヤツなのか・・!?」
「あぁ。オレは吉川光輝、仮面ライダーオメガだ。君がビーストライダー、マックスだね。」
声をかけるノゾムに光輝が答える。
「ここは1度下がって体勢を整える。君ももう1度マックスになって、そこから反撃だ。」
「くっ!・・今はそれしかないみたいだ・・!」
光輝の言葉を聞き入れて、ノゾムが頷く。
「メガブレイバー、行くぞ!」
「分かった、オメガ。」
光輝が呼びかけてバイク「メガブレイバー」が答える。メガブレイバーは意思を持っていて、光輝やみんなと会話することもできる。
光輝がメガブレイバーに乗って、ノゾムも彼の後ろに乗る。
「オメガ、マックス、逃げる気か!」
ボスガンが怒鳴る前で、メガブレイバーが彼らの前から走り去る。
「追うのよ、チャップ!オメガとマックスを絶対に逃がすな!」
マリバロンが戦闘員、チャップに命令を下す。チャップたちがノゾムと光輝を追って、駆けだした。
次元を超えてRXの救援に駆け付けたBLACK。2人の黒の仮面ライダーを相手に、シャドームーンは追い詰められつつあった。
「動きを読んでも、2人相手では対応しきれないというのか・・!?」
RXたちの出方を警戒するシャドームーン。彼の戦況を見て、ダロムたちも焦りを感じていた。
「いかん・・このままではシャドームーン様が!」
「RXとBLACK、2人のブラックサンが手を組むとは!」
ダロムとバラオムが危機感をふくらませていく。
「シャドームーン様を援護しなくては・・トゲウオ怪人、アネモネ怪人、コウモリ怪人!」
「はっ!」
「お任せを!」
ビシュムが命令を下して、トゲウオ怪人、アネモネ怪人とコウモリ怪人が答える。3人がシャドームーンの援護のために飛び出す。
3人の怪人たちの奇襲に気付いて、RXとBLACKがが迎え撃つ。2人のパンチを受けて、コウモリ怪人とアネモネ怪人が横転する。
「シャドームーン様、ここは1度撤退を・・!」
「ふざけるな!まだブラックサンとの勝負はついていない!」
トゲウオ怪人が駆け寄って呼びかけるが、シャドームーンは引き下がらない。
「シャドームーン様、あなたの敗北はゴルゴムの破滅につながります!どうかお引きくださいませ!」
ダロムもシャドームーンに呼びかける。それでもシャドームーンはRXたちと戦おうとする。
アネモネ怪人が葉っぱの手裏剣を手にして投げつけるが、BLACKに手ではじかれる。アネモネ怪人はすかさず花粉を放つが、BLACKが大きくジャンプしてかわす。
「ライダーパンチ!」
エネルギーを集めたBLACKのパンチが、アネモネ怪人に命中した。アネモネ怪人が横転して、苦痛にあえぐ。
「今だ、RX!」
「分かった、BLACK!」
BLACKとRXが声をかけ合って、同時にジャンプする。
「ライダーキック!」
「RXキック!」
2人が繰り出したキックが、アネモネ怪人に命中した。突き飛ばされたアネモネ怪人が、致命傷を受けてふらつく。
「ゴルゴムは不滅・・何度でもよみがえる・・・!」
アネモネ怪人が断末魔の叫びを上げて、再び倒れて爆発を起こした。
「おのれ、ライダーども・・!」
「あなたたちの好きにはさせません!」
ダロムとビシュムがRXたちへの怒りを叫ぶ。
「逃がしはしないぞ、ゴルゴム!」
「オレたちの悲劇の元凶であるお前たちは、ここで倒す!」
BLACKとRXがシャドームーンたちに言い放って、追撃を仕掛ける。
そのとき、RXたちのいる場所に爆発が起こった。RXとBLACKがとっさに後ろに下がって、爆発に巻き込まれるのを避けた。
「何だ、今度は!?」
RXが声を上げて振り返る。彼らの前に1人の怪人が姿を現した。
「お前は!?」
RXが怪人を見て身構える。彼は怪人のことを知っていた。
「我は最強怪人グランザイラス。仮面ライダー、貴様たちを倒し、全てを破壊する。」
怪人、グランザイラスが言いかけて、RXたちに右手のかぎ爪の先を向ける。
「気を付けろ、BLACK!ヤツの力は並みではない!」
RXがBLACKに警告する。BLACKもグランザイラスからの威圧感を覚えて、警戒を強める。
「邪魔をするな!ライダーは、ブラックサンはオレの獲物だ!」
「貴様の指図は受けん。我を命ずることができるのは、あの方だけだ。」
シャドームーンが呼びかけるが、グランザイラスは聞く耳を持たない。
「グランザイラスはクライシス皇帝の使者。クライシス皇帝もよみがえったというのか・・!?」
RXがさらなる悪い予感を感じていく。彼の中で不安がさらに大きくなっていく。
「ここから立ち去れ。さもなくばヤツら諸共灰と化すことになる。」
シャドームーンたちに忠告を送って、グランザイラスがRXとBLACKに迫る。
グランザイラスが右手から炎を放つ。炎による爆発で、RXとBLACKが宙に跳ね上げられる。
「邪魔をするなと言ったはずだ!」
シャドームーンがグランザイラスに向けて、両手からビームを放つ。周囲に爆発が起こるが、グランザイラスはダメージを受けていない。
「シャドームーン、貴様も敵と認識する。」
グランザイラスがシャドームーンに向けて、目からビームを放つ。
「くっ!」
ビームを受けて体から火花を散らして、シャドームーンが突き飛ばされる。
「シャドームーン様!」
トゲウオ怪人がシャドームーンを支えて、ダロム、バラオム、ビシュムがグランザイラスの前に立ちはだかる。
「私は、ブラックサンのキングストーンを手に入れなくてはならんのだ・・!」
BLACK、RX打倒の野心を燃やすシャドームーン。
「いいや・・全てのキングストーンを手に入れるのは、この私だ・・」
そのとき、シャドームーンに向けて声が響いてきた。
「この声は!?・・オレにも聞こえる・・・!」
「何者なんだ!?・・ダロムたちでもない・・・!」
BLACKもRXもこの声を聞いて周りに目を向ける。しかし声の主の姿が見えない。
「何者だ!?貴様がこの怪人を差し向けたのか!?」
シャドームーンが声に対して問い詰める。
「この者は我の忠実なるしもべ。我に代わり、キングストーンを奪う者。」
声の主がグランザイラスのことを告げる。グランザイラスは声の主に代わって行動を起こしていた。
「お前は誰だ!?・・まさか、お前は・・!?」
問い詰めるBLACKが声の主の正体に気付く。
「邪眼・・創世王となる戦いに敗れた、5万年前の世紀王か!?」
「やはり同じ世紀王・・我が存在に気付いたか・・いかにも、我はかつて世紀王の1人だった・・」
BLACKの声を受けて、声の主、邪眼が答える。
ゴルゴムを束ねる創世王。怪人たちと同様に5万年ほどの生命力を持つ創世王は、5万年ごとに入れ替わる。
その創世王を選ぶために、ゴルゴムは2人の世紀王を作り出す。太陽と月、それぞれのキングストーンを宿した世紀王同士が戦い、相手のキングストーンを手にした勝者が、新たな創世王となるのである。
邪眼は5万年前の世紀王であり、創世王になるための戦いに敗れていた。
「だがお前は倒れて消滅したはずだ・・また復活したというのか!?」
BLACKが邪眼に対して疑問を覚える。かつて復活をした邪眼は、歴代の仮面ライダーたちに倒されたはずだった。
「我は不滅・・闇は消えぬ・・我は闇の力を持つ者・・・」
邪眼が不気味な声を発して、RXたちのいる場所の空に暗雲がうごめく。
「邪眼、ここまでパワーを上げていたのか!?」
稲光を発する黒雲を見て、RXが声を上げる。
「仮面ライダー、地獄の苦しみを味わうがいい!」
グランザイラスが全身から光を放出する。彼が火の球になって、RXたちに向かって突っ込んできた。
「ぐあっ!」
RXとBLACKが突き飛ばされて、火花を散らして横転する。ダメージが大きくなって、2人は立ち上がるのもままならなくなる。
「このままではやられてしまう・・1度脱出しなければ・・・!」
BLACKが声を上げて、RXが頷く。
「逃がしはせんぞ。貴様らはここで終わりだ。」
火の球から元の姿に戻ったグランザイラスが、かぎ爪の先をRXたちに向ける。
「RX!BLACK!」
そこへ光輝とノゾムの乗るメガブレイバーが駆けつけてきた。
「あれはオメガ!」
「オメガもRXたちの援護に来ていたのですね!」
ダロムとビシュムが光輝を見て声を上げる。
「クライシスめ、むざむざ2人を逃すとは!」
バラオムがノゾムたちに向けて、両手からビームを放つ。メガブレイバーが進行方向を変えてビームをかわす。
「大丈夫ですか、光太郎さん!?」
メガブレイバーがRXたちのそばで止まって、光輝が声をかける。
「なっ!?光太郎が2人なのか!?・・っていうか、1人はRXとは姿が違う・・・!?」
ノゾムがRXとBLACKを見て驚く。
「詳しい話は後だ。ここは退くぞ・・ライドロン!」
RXがノゾムたちに指示を出して、ライドロンを呼ぶ。
「メガブレイバー、スピードモードで一気に駆け抜けるぞ!」
「分かった!」
光輝が呼びかけて、メガブレイバーがオフロードの「パワードモード」からオンロードの「スピードモード」に変形した。
「ノゾムくん、振り落とされないように捕まっているんだ!」
光輝が呼びかけて、ノゾムが仕方なくしがみつく。メガブレイバーが走り出して、一気にスピードを上げた。
同時にライドロンも駆けつけて、RXとBLACKを乗せて走り去った。
「逃がしはしないぞ、仮面ライダー・・!」
グランザイラスが光となって、ノゾムたちを追っていった。
「このままブラックサンの首を、あのようなヤツに取られてなるか!」
シャドームーンもノゾムたちを追って歩き出す。
「シャドームーン様!・・我々もライダーたちを追うぞ!」
声を上げるダロムに、バラオムたちが頷く。彼らもシャドームーンに続いた。
光輝の救援によってノゾムを仕留め損なったボスガンたち。彼らは1度ジャークのいるクライス要塞に戻った。
「申し訳ありません、ジャーク将軍・・オメガに邪魔をされ、マックスを逃がしました・・・!」
「それはいい。それよりも、ライダーどもとは別の力が動き出している。我らも出方を選ばねばならんようだ・・」
謝罪するマリバロンに、ジャークが深刻さを込めて告げる。
「この者も、皇帝の命ではなく、その力によって動いているようだ。」
ジャークが言いかけたところで、モニターにグランザイラスの姿が映し出された。
「あれは、グランザイラス!?」
「バカな!?ヤツはクライシス皇帝の使者のはず!?勝手な行動を!」
ボスガンとマリバロンがグランザイラスを見て驚く。
「ヤツは我々とは違う存在に操られている。RXたちを倒すために、ゴルゴムの妨害もしている。」
「おかしなヤツがオレたちの邪魔をしてるってことか。あるいはオレたちを利用しているとか。」
ジャークの言葉を聞いて、ガテゾーンが頷きかける。
「いずれにしろ、仮面ライダー打倒は共通の目的。今はその目的のために、我らも行動するのみだ。」
ジャークがさらに言いかけて、ボスガンたちに振り返る。
「我らもライダーを追うぞ。ヤツらを倒すことが、地球攻略につながる。」
「はっ!」
「アイアイサ!」
ジャークの命令に答えるボスガンたち。クライス要塞がノゾムたちを追って動き出した。
クジラ怪人とともに動物公園の近くにいたツバキとタイチ。彼らの元へワタルを乗せたタイガーランナーがやってきた。
「ワタルくん!無事だったんだね、ワタルくん!」
「タイチお兄ちゃん!」
駆け寄ってきたタイチに、タイガーランナーから降りたワタルがすがりつく。
「トラのバイク・・ノゾムが、あなたにワタルくんを連れていくように頼んだのね・・!」
安心を見せるツバキに声に、タイガーランナーが反応して肯定の意思を示す。
「ノゾムたちももうすぐ戻ってくるはずだよ。もしかしたら光の速さでビューンと・・」
タイチがノゾムたちも戻ってくることを信じて気さくに言ったときだった。ライドロンが走ってきて、彼らの近くで停車した。
ライドロンから2人の光太郎が降りてきた。
「こ、光太郎さん!?」
「何で光太郎さんが2人に!?」
ツバキとタイチが2人の光太郎を見て驚く。光輝とノゾムの乗ったメガブレイバーも到着した。
「1人はBLACKのときの光太郎なのか・・?」
「あぁ。お前もよみがえっていたのか、クジラ怪人。」
声をかけてきたクジラ怪人に、過去の光太郎が頷く。2人が再会の握手を交わす。
「ところであなたは・・?」
ツバキが光輝を見て声をかける。
「僕は吉川光輝。平和と正義を守るために、オメガとなって悪と戦っているんだ。」
光輝がツバキたちに自己紹介をする。
「仮面ライダー・・他にもまだまだたくさんいるんですね。」
ツバキが他の仮面ライダーの存在を知って、戸惑いを感じていく。
「敵はゴルゴム、クライシス帝国の他にも存在している。いや、その別の敵が、ゴルゴムとクライシスを陰から操っている可能性が高い。」
「まだ、黒幕がいるってことなの・・・!?」
光輝が語りかけた話を聞いて、ワタルが動揺を見せる。
「そしてその黒幕は邪眼。5万年前にゴルゴムの創世王になれなかった世紀王で、闇の力を集めて復活を果たした。」
「オレたちも倒してきたが、また復活を果たしたようだ・・」
2人の光太郎が邪眼のことをノゾムたちに話す。
「邪眼はオレたちとシャドームーンのキングストーンを狙っている。全てのキングストーンを手に入れ、世界の支配者になろうとしている。」
「僕もその動きがあると気付いて調べていたんだ。その中で、ゴルゴムとクライシスが復活したことも分かったんだ。」
光太郎と光輝が話を続ける。現状の深刻さをツバキたちが実感する。
「オレたちは決着を着ける。邪眼とも、シャドームーンとも。」
「世界とみんなのために、僕も戦う・・オメガとして・・!」
光太郎と光輝がそれぞれの決意を固める。
「オレもアイツらをブッ倒す・・あのままいい気にさせてたまるかよ・・・!」
ノゾムも光太郎たちとともに戦いに赴こうとする。
「オレは正義だとか平和だとかを守ろうとは思ってない・・オレたちの居場所をムチャクチャにしようとするアイツらが、許せないだけだ・・・!」
「ノゾムらしいね、いつでもどこでも・・」
自分の意思を貫くノゾムに、タイチが苦笑いを見せる。
「オレはオレだ。どんなときでもな・・」
ノゾムは突っ張った態度を見せてから、1人歩き出す。
「さっきはやられたが、今度はそうはいかない・・全員オレが叩きのめしてやる・・・!」
「ノゾムくん、君は1人じゃない。ツバキさんたちやオレたちがいることも忘れないでくれ。」
シャドームーンたちへの怒りをふくらませるノゾムに、光太郎が呼びかける。
「ここからは僕も一緒に戦う。邪眼とは僕も倒さなくちゃならない相手だから・・」
光輝もゴルゴム、クライシスと戦う決意を示す。
「勝手にしろ・・・」
突っ張った素振りを崩さないノゾム。しかし彼は心の中で安らぎを感じていた。
そのとき、ノゾムたちの前で爆発が巻き起こった。ノゾムたちが身構えて、ツバキたちが慌てて下がる。
「な、何だ・・!?」
「まさか、アイツが・・!」
ノゾムが声を上げて、光太郎が息をのむ。爆発の煙の中からグランザイラスが現れた。
「グランザイラス・・オレたちを追ってきたのか!」
「仮面ライダーたちよ、全員まとめて、この業火で焼き尽くしてくれる・・!」
言い放つ光太郎に、グランザイラスが右手のかぎ爪から炎を放つ。ノゾムたちが炎をよけて、ツバキたちがクジラ怪人に守られながら離れる。
「オレたちを倒すために、街や人々に魔の手を伸ばす悪・・ゴルゴム、クライシス、邪眼、貴様たちは絶対に許さん!」
「人々の平和と地球は、オレたちが守る!」
2人の光太郎が前に出て、グランザイラスに言い放つ。
「待て!ブラックサンを倒すのはこの私だ!」
シャドームーンがダロムたちとともに現れて、グランザイラスに呼びかける。
「仮面ライダー、お前たちもここで地獄へ落としてくれる!」
ダロムがノゾムたちに言い放って、バラオム、ビシュムとともに白いローブを外した。ローブの中から現れたダロム、バラオム、ビシュムは大神官とは違う怪人の姿となった。
「あれは、大怪人の姿!」
過去の光太郎がダロムたちの姿を見て身構える。ダロム、バラオム、ビシュムはそれぞれ三葉虫、サーベルタイガー、翼竜の大怪人へと変身した。
「我らの邪魔をする者は、全て始末してくれる!」
「そうはいくか・・お前らはオレが今度こそブッ倒す!」
言い放つダロムにノゾムが怒りをあらわにする。
“マックス!”
マックスカードをビースドライバーにセットするノゾム。光輝もオメガクリスタルを手にする。
「変身!」
“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”
ノゾムがマックスに、光輝がオメガに変身した。2人の光太郎が前に出て、互いに目を合わせて頷き合った
「変・・身!」
「変身!」」
光太郎たちがそれぞれポーズを取ってBLACK、RXに変身した。
「仮面ライダー、BLACK!」
「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACK!RX!」
「仮面ライダーオメガ!」
BLACK、RX、光輝がポーズを取って名乗りを上げた。
「オレの、いや、オレたちの怒りは限界突破だ!お前ら全員、オレたちがここでブッ倒す!」
ノゾムがシャドームーンたちに向かって言い放つ。
「身の程知らずが・・ならば見事オレを倒してみるか!」
グランザイラスがあざ笑って、ノゾムたちに向けて目からビームを放つ。ノゾムと光輝が前に出て、BLACKとRXがジャンプしてビームをかわす。
ノゾムと光輝が連続でパンチを繰り出していく。だがグランザイラスはパンチを受けても平然としている。
グランザイラスがカギ爪を振りかざして、ノゾムと光輝を切りつけて突き飛ばした。
「さすがクライシスの最終破壊兵器・・並みの戦闘力じゃない・・!」
「相手が何だろうとブッ倒すだけだ・・!」
グランザイラスの力を痛感して危機感を覚える光輝と、怒りをふくらませて向かっていくノゾム。グランザイラスが再びかぎ爪を突き出して、ノゾムを突き飛ばす。
「ノゾムくん!」
RXが呼びかけるが、シャドームーンが行く手を阻む。
「RX、今こそ決着を着けてやる!」
シャドームーンがRXに挑戦して、長短2本の剣「シャドーセイバー」を呼び出して手にした。
「BLACKはツバキさんたちを守るんだ!ボスガンたちとダロムたちが狙っている!」
RXがBLACKに指示を送る。
「オレも決着を着け次第、すぐに駆けつける!」
「分かった!みんなはオレに任せてくれ!」
RXの言葉を受けて、BLACKがツバキたちのところへ向かった。
「貴様を倒してから、仮面ライダーBLACKも倒せばいいだけのこと。」
シャドームーンはBLACKを追わず、RXとの戦いに専念する。
「オレはお前たちには負けない!邪悪な野望は、このRXが粉砕するぞ!」
「行くぞ、RX!」
正義を貫くRXに、シャドームーンが向かっていく。シャドームーンが振りかざすシャドーセイバーを、RXは素早くかわす。
「シャドームーン、お前がまたこうしてよみがえるまでの間に、オレは自由と平和を守るために戦い続けてきた!オレの強さも、人々を思う心も日に日に強くなっている!」
「だとしても、貴様の動きは全て見極めている!勝機があるのは私のほうだ!」
語りかけるRXの言葉をシャドームーンがはねつける。
RXはクライシス帝国との戦いが終わった後も、自分を鍛えるために旅を続け、地球の平和と人々の自由を守るために戦い続けた。そんな彼の強さと心は成長を続けていた。
「たとえお前がどれだけモニターを繰り返し、予測していったとしても、オレはそれを上回る!」
RXが言い放って、シャドームーンが振りかざしたシャドーセイバーをジャンプでかわす。
「甘いぞ、RX!」
シャドームーンがRXの動きを読んで、シャドーセイバーを振りかざす。彼はRXに確実に攻撃を当てられると思った。
次の瞬間、RXが足を伸ばして、シャドーセイバーの刀身を蹴ってはじいた。
「何っ!?」
攻撃が通じなかったことにシャドームーンが驚く。着地したRXが彼に振り返る。
「貴様の隙を正確に狙った!回避できるはずがない!」
シャドームーンがいら立ちを見せて、シャドーセイバーを振りかざして光の刃を飛ばす。RXはジャンプして光の刃をかわす。
「そこだ!」
シャドームーンが続けて光の刃を放つ。
「RXチョップ!」
RXがエネルギーを集めたチョップを繰り出して、光の刃をはじき飛ばした。
「ライダーチョップか・・だがこれもかいくぐるなど・・!」
シャドームーンがRXに攻撃が通じないことにさらにいら立つ。
「言ったはずだ!オレはゴルゴムとクライシスとの戦いの後も、みんなを守る戦いを続けてきたと!シャドームーン、お前がモニターしたデータも、オレは超えてみせる!」
RXがシャドームーンに向けて言い放つ。
RXだけではない。オメガも歴代の仮面ライダーも、世界や人々、大切なものを守る戦いを続けている。数多くの戦いを経て、彼らは百戦錬磨の戦士となっている。
「行くぞ、シャドームーン!リボルケイン!」
RXがサンライザーからリボルケインを引き抜いた。
RXとシャドームーンが飛びかかり、リボルケインとシャドーセイバーをぶつけ合う。モニターしていたデータを利用するシャドームーンだが、RXに攻撃を当てられない。
「おのれ・・このままで済むと思うな!」
シャドームーンがシャドーセイバーの1本を空中に放り投げた。
「シャドーパンチ!」
彼がRXに向けて、エネルギーを集めたパンチを繰り出した。
「ぐっ!」
RXがパンチを受けて、体から火花を散らしながら押される。しかし彼は痛みに耐えて踏みとどまる。
「オレは負けない・・信彦のために、オレ自身のために・・そして・・!」
RXがシャドームーンに向けて決意を言い放つ。
「この地球と人々のために!」
自由と平和を守るために、RXは果敢にシャドームーンに立ち向かった。