まじかる☆ふらりん 〜幻夢幻想曲〜
第25楽章「混沌の羽咲」

 

 

「説明をする前に、聖杯と言うのを、知っているかしら?」

ルイの口から質問が投げ掛けられる

「少しばかりなら。」

そう答えるフィーナ

「そう。聖杯。どんな願いでも叶えると言われている万能の聖杯。

この聖杯を巡る戦いが、羽咲で起きているのよ。」

ルイの言葉に驚くフィーナ達

その中で口を開く風濫

「万能の器。聖杯。前にフィーリアさんから聞いた事が有ったけど、まさかここで。

「私自身も驚いたわ。まさか羽咲で起きるなんて。

今思えばこの事を解っていたのかも知れないわね。シスターイリアは。」

ルイの言葉に心臓が高鳴るフィーナ

「アーチャー!!!」

ふと聞こえる女性の声

その声の直後キャスターに向かい剣を携え突撃する見知らぬ女性の姿が有った

その斬撃をE―フェルディアで防ぐルイ

「マスター!彼女はアーチャーです!」

「みたいね。けど剣を扱うアーチャーなんて聞いた事ないわよ!」

そう言うとアーチャーを剣ごと弾くルイ

「三十二の魔術連弾(フェル・レンティエア)!!!」

その直後間髪入れずにアーチャーへと向かい魔術砲弾を放つキャスター

「全を防ぐ楯(イージス)!!!」

そう言い右手を出すと目の前に巨大な楯が現れ、キャスターの魔術砲弾を防ぐ

「なっ!」

その光景に驚くルイとキャスター

それにアーチャーのマスター

「アーチャー!貴女本当にアーチャーなの!」

怒鳴る声

その声の主は、

「青葉。貴女が彼女の?」

風濫の声に気付く青葉

「くっ!アーチャー、退くよ。」

青葉の声に青葉と共にその場から去っていくアーチャー

「青葉!」

そう叫ぶと青葉を追う風濫

「風濫!」

風濫を追うとする雪を制するフィーナ

「フィーナさん!」

「シルメリア。」

フィーナがそう言うと現れるシルメリア

「風濫を、アーリィを追って。手は出さないでね。」

「はい。」

そう言うと風濫の消えた方へ去っていくシルメリア

「とりあえずこれであっちの方はOKね。」

そう言うとルイの方を向くフィーナ

「説明してもらえるかしら?青葉の側に居た女性と言い、

貴女の側に居る女性の事。」

「ふぅ。今羽咲で起きているのは聖杯を奪い合う戦いよ。

その為に彼女が、サーヴァントと呼ばれる存在が必要なのよ。」

そう言うとフィーナとは反対の方を向く

「どうする気?」

「私は私独自で聖杯を奪うわ。…安心して。貴女達と戦う気は無いから。

キャスター、行くわよ。」

そう言うとその場から姿を消すルイとキャスター

「フィーナさん。」

「とりあえず、風濫達を追いましょう、雪。」

「はい。」

 

羽咲貨物駅

 

青葉を追い掛けてきた風濫

落ち着くとシルメリアに気付く

「シルメリア、着いて来てたのね。」

そう言うと正面を見据える風濫

「追いかけて、来たんだ。」

そこには青葉の姿が有った

「青葉、何でルイさんに向かって攻撃したの?」

「何故?決まってるじゃない!私は聖杯に選ばれたの!

私は私自身の為に聖杯が欲しいのよ!」

「そんなの間違ってる!一体何を願うのよ!」

「五月蝿い!アーチャー!」

青葉がそう叫ぶと風濫の真横から多数の矢が飛んでくる

それを避けると叫ぶ風濫

「青葉!」

「アーチャー!!!」

青葉の言葉に双剣を構え風濫に向かってくるアーチャー

その双方から繰り出される斬撃を交わす風濫

「往生際が悪いよ、風濫!」

「止めて、青葉!」

風濫がそう叫んだ瞬間

風濫の左手に痛みが走る

「えっ?何?」

疑問に思い左手を見ると3線の模様が現れる

「何これ?」

そう疑問に思った瞬間

風濫の目の前に黒髪で長髪の女性が姿を現していた

「…貴女は、誰?」

「私はライダー。マスターのサーヴァントです。」

「ライダー?」

「はい。マスター、命令を。」

ライダーの言葉に気合を入れる風濫

「近くにアーチャーが居るわ。凝らしめてあげて。」

「はい、マスター。」

そう言うとその場から何処かに居るアーチャーに向かい飛び立つライダー

「さてと、どうする?青葉。私と戦うの?」

「ま、まさか。アーチャー!退くわよ!」

そう言うとその場から姿を消す青葉

それと同時にライダーが風濫の側に姿を現す

「マスター、追いますか?」

「追わなくて良いわ。やれやれ、問題が一杯よ。」

そう言うと溜息を付く風濫

「マスター、これからどうするのですか?」

「私の仲間が来るから、合流するわ。それと、霊体化出来る?」

風濫の疑問にその場から姿を消すライダー

「サンキュ。それとシルメリア。この事は言わないでね。アーリィも。」

「「はい。」」

風濫の言葉に素直に頷くアーリィとシルメリア

 

5分後

 

「風濫。」

フィーナと雪が合流する

「風濫、青葉は?」

「ごめん、逃げられた。」

「そう。」

フィーナを見るとフィーナの方へ戻っていくシルメリア

「フィーナさん、これからどうするんですか?」

フィーナに問いかける風濫

「そうね、仁科さんに連絡を入れたから、羽咲市警へ行こうと思うの。」

「羽咲市警、ですか?」

「えぇ。もしかしたら遠野君とか居ると思うから。」

「解りました。」

フィーナの言葉に従う風濫と雪

 

その後仁科が来て、仁科のランサーで羽咲市警へと向かうフィーナ達

その車内で先程のアーチャーについて考える風濫

(アーリィ、聞こえる?)」

(はい。)」

(先程の青葉のサーヴァントのアーチャー、私は見覚えが有る気がするの。)」

(見覚え、ですか?)」

アーリィの言葉に小さく頷く風濫

(凄く身近な人に似ているのだけど、その人物を思い出せないの。…不思議ね。)」

(そのうち思い出せるでしょう。その身近な人物を。)」

(…ありがとう、アーリィ。)」

 

羽咲市警

 

建物内の受付に姿を現す仁科・フィーナ・風濫・雪

その姿を見て口を開く受付嬢

「仁科さん?」

「おっ、知り顔。遠野は居るか?」

「あっ、はい。お待ちを。」

そう言うと電話を取り内線を掛ける女性

「受付です。………はい、仁科さんが来られてます。………はい。受付に居ます。

………解りました。」

そう言うと電話を切る女性

「今直ぐに参ります。」

「サンキュ。」

そう言うと椅子に座り煙草に火を点ける仁科

「まだ居たのか。」

そう言うとニヤツク仁科

「あれ?フィーナ。それに風濫と雪迄。」

ふと聞き覚えの有る女性の声が聞こえる

「羽純?」

その名前を出すと同時に振り返るフィーナ

そこには、羽純の姿が有った

ふと仁科の姿を見て口を開く羽純

「お帰りなさい。仁科恵一警視正。」

「警視、正?」

羽純の言葉に疑問に思う仁科

「えぇ。昇格したのよ。それと、遠野君だけど今出てるから連絡しとくね。」

「あ、あぁ。…昇格、か。」

そう言うと煙草を消す仁科

その側で誰にも聞こえないように小声で口を開く霊体化しているライダー

(マスター、近くにサーヴァントが居ます。)」

ライダーの言葉を聞き口を開く風濫

「ライダー!!!」

風濫の言葉に実体化するライダー

実体化したライダーに驚く仁科・フィーナ・雪

それに対し

「ランサー!!!」

そう叫ぶ羽純

それと同時に羽純の横に実体化するランサー

実体化したランサーに対し構えるフィーナ

それを見て口を開く羽純

「ランサー、貴女フィーナに対して何をしたの?」

「別に何も。力量を試そうとしただけよ。セイバーに邪魔されたけど。」

ランサーの言葉に溜息を付く羽純

「ランサー。令呪の下に命ずるわ。

こちらから仕掛ける戦闘行為はマスターの許可が無い限り禁止よ!」

「……解ったわ。」

 

その後戻っていた遠野と署長になっていた雫と話をし、署員寮へと引き返した一行

 

その日の深夜

 

寮の屋上

 

そこにはライダーとランサーの姿が有った

最初にライダーが口を開く

「何か喋ったらどうですか?ランサーのサーヴァント。」

「…別に。私にしろ貴女にしろマスターは優秀よ。見張りなんて必要無いと思うの

よ。」

「…夜間は無防備になります。見張りは必要になります。」

「…そう。それと、さっきから隠れて聞いてる方、出てきたらどう?」

ランサーの言葉に姿を表す女性

「セイバー。」

そう言い放つランサー

「何驚いてるの?それほど不思議なの?私が一人で居るのが。」

「…そうね。それで、何の用かしら?」

ランサーがそう言い放つ

「聖杯戦争の裏で何かが動いているの。知り合いが今探っているわ。」

ランサーの問いに答えるセイバー

「知り合い?サーヴァントの貴女に知り合いが居るのかしら?セイバー。」

ランサーの問いにしばしの沈黙の後口を開くセイバー

「ライダー、これから私達は真名で呼び合うけど、そこだけは聞かなかった事にし

て。」

セイバーの問いにしばし考えるライダー

「解りました。貴女達の真名に関しては聞いていないと言う事にします。」

「ありがとう。…セイナ、先程言ったわね?サーヴァントの私に知り合いが居るか

を?」

「えぇ。」

セイバーの言葉に頷くランサー

「貴女も良く知っている人間よ。いえ、人と言うか神と言うか。」

セイバーの言葉にピンと来るランサー

「…成る程。唯さんか。そして貴女は、セフィリアさん。」

「ご名答。そう言う訳よ。納得したかしら?セイナ。」

セイバーの言葉に素直に頷くランサー

「それよりも、アーチャーのマスターが気掛かりなのよ。」

セイバーが再度口を開く

「アーチャーのマスター。私のマスターのご友人であると聞いています。」

「そう。ライダーの言う通り。今の所彼女が一番の危険分子であると私は踏んでい

る。」

「セイバー、彼女とアーチャーが来るとしたら?」

「…もう、来てるわよ。」

そう言い放ったセイバーの後ろ、給水塔の上には青葉とアーチャーの姿が有った

 

続く

 

次回予告

音も無く始まる戦い

それは一体何を意味するのか?

悲しき戦いが今始まる

次回第26楽章「求む者・拒む者」

 

 

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