まじかる☆ふらりん 〜幻夢幻想曲〜
第23楽章「光と闇と絆と」

 

 

洋館の廊下

そこで唯と2人っきりになるイシュタル

 

「それで、2人っきりにした用は何かしら?イシュ。」

唯の言葉に顔を埋め、何かを決心し顔を上げるイシュ

「姉さん。私からの一生のお願い、聞いてくれますか?」

「…余程の事じゃなければね。」

唯の言葉に少しだけ揺らぐが、再度決心し口を開くイシュ

「…私を、殺して下さい。」

イシュのその言葉に顔色を変えない唯

「…どうして、そんな事を言うのかしら?イシュ。」

「…姉さんに、力を継がせる為です。」

「イシュ、それってフリージ家の当主のみ伝わる禁断の継承法ね。」

唯の言葉に頷くイシュ

「実子以外への能力の継承方法。まさか本当に存在していたなんて。」

「えぇ。そしてその方法は継がせたい者に、殺される事。」

そう言うと俯くイシュ

「イシュ、貴女本当にそれで良いと思ってるの?それよりもフィーナはどうするの

よ!」

「あの娘は、一人でも大丈夫。風濫達が居るから。」

そう言うと唯を見つめるイシュ

「姉さんに、睨まれ役になって貰うのは致し方有りませんが、

これからの事を考えれば、姉さんには私の力が必要なのです。」

そう言うと一層強く唯を見るイシュ

それを確認して剣を抜き、突きの構えを取る唯

「行くよ、イシュ。」

「はい。姉さん。」

イシュの返事を聞き一気に間を詰めイシュの心臓を一突きする唯

「…ゴメン、イシュ。」

「…それは、私の言葉です。姉さん。……フィーナを、お願いします。」

そう言うと笑顔をし、静かに目を閉じるイシュタル

「ユリウス、貴方はどうするの?」

「娘の力になるつもりだ。何か悪い事でも有るか?」

「別に。けど、真相は話さないで。憎まれ役か、それもそれで良いわね。」

そう言うとイシュを剣から抜き血を拭くと剣を収めその場から去る唯

 

広間

 

奥の通路をただ見るフィーナ

そんなフィーナを横目に疑問に思う青葉

「ねぇ風濫。今の気の消失って、誰だったの?」

青葉の質問に黙り込む風濫

「ねぇ風濫。」

「青葉、言いたくないのよ。フィーナの為にも。」

「フィーリアさん。それってどう言う事ですか?」

風濫の次はフィーリアに疑問を投げかける青葉

ふとその時奥から唯が姿を現す

「フィーナ。」

「何故、殺したのですか?」

唯に向かっての開口一番が、イシュに関しての、問い

その質問に対しフィーリアを見る唯

「フィーリア。」

「解ってるわ。唯。」

フィーリアの返事を聞くと口を開く唯

「私が、殺したわ。殺戮と言う名の衝動と共にね。」

唯の言葉に衝撃を受けるフィーナ

「強くなりなさい。銀装・神装無しでも私の本気と対等に戦えるくらいに。」

そう言うとその場から去っていく唯

それを見て追うとする青葉

「青葉駄目!!!」

言葉で制する風濫

「風濫何で?」

「駄目なのは、駄目なのよ。」

そう言う風濫の目には、涙がこぼれていた

 

月宮邸ロビー

 

帰ってきたフィーリアから事の全てを聞き、納得するルイ

「唯様が取られた事です。何か意味が有るのでしょう。」

そうとだけ言い、口を閉ざすルイ

 

数日後

 

碓氷峠上の駐車場

 

唯のお下がりの33Rで出る準備をしていると目の前に紅い32Rが現れた

そのまま風濫先行で走り出し、下の駐車場に車を止める

そして紅い32Rからは、唯が降りてきた

「数日振りですね。唯さん。」

「えぇ。」

「今日は何の用ですか?」

「伝えたい事が有ってね。」

「伝えたい、事?」

唯の言葉に疑問に持つ風濫

「えぇ。フィーナに伝えといて。羽咲市で待つと。」

そう言うと車に乗り込みその場から去っていく唯

「ちょ、ちょっと。…羽咲市で待つって。どうして今更。」

疑問に思いながらも車に乗り込み碓氷峠を上って行く風濫

 

数日後

風濫の口から唯の伝言を聞くフィーナ

「…どうしますか?フィーナさん。」

「行くに決まっている。」

フィーナの言葉に納得した顔をする風濫

「それじゃお供は私に雪に青葉にルイさんで良いですか?」

「えぇ。構わないわ。それよりも、行きましょう。羽咲市へ。」

「はい。」

 

続く

 

次回予告

羽咲市で待つ

母イシュタルを殺害し、そう伝えた唯を追い羽咲へ戻って来たフィーナ達

そこで待っていたのは一体?

次回第24楽章「悲恋の羽咲」

 

 

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