まじかる☆ふらりん 〜幻夢幻想曲〜
第19楽章「過去を語る二人」

 

 

黒龍王クレスの復活

その後の事件から3日

不思議な事に何も起きていなかった

 

そんな日の横川駅前

 

そこには唯とカヤキスの姿が有った

「どうしたんだ?いきなり会いたいって。」

「気付いていると思うけど、黒龍王が復活したわ。」

唯の言葉に一瞬間を空けるカヤキス

「…やっぱりか。実に懐かしい気質を感じたからもしやとは思ったが。まさかな。」

「ここ数日は静かにしてるけど、どうするの?昔みたいに、私達だけで倒せるのか

な?」

「唯。そう深く考えるな。昔は俺とお前の2人だけだった。だが今は仲間居るだろ

う。

羽咲で出会った仲間が。紫聖から居た仲間だって居る!」

「仲間。」

「そうだ!だから、そんなに弱気になるな。それに、お前には俺が居る!そうだろ

う?」

「…そうね。ありがとう、カヤキス。」

そう言うとカヤキスに口付けをし、車に乗り込み横川駅前から去っていく唯

「…相変わらずだな。俺にだけは弱気な所を見せる。そこだけは変わらないんだな。

そう言うと灰皿の近くのベンチに座り煙草を吸い始めるカヤキス

「ふぅ。全く、可愛いモンだ。」

「誰がですか?」

「うわっ!」

突然の声に驚くカヤキス

「どうもです。」

「風濫か。驚かすなよ。……もしかして、聞いていた?」

「えぇ。過去の話の最初から今迄全部聞いてました。」

風濫の言葉に一瞬黙り込むカヤキス

「…なら、隠す必要は無いな。」

そう一息を付くと口を開くカヤキス

「今からかなり昔。西暦で言うと999年。俺は当時アレスと名乗り、

唯もまたエルティスと名乗っていた。」

 

―その当時、4年前から続く黒龍王の圧制の元に、民は居た

―その時、刃向かう奴は誰でも処刑。そんな状況下でも、俺はレジスタンスに居た

―1人。また一人と消えていき、最後には俺一人

―そんな時に、彼女がやってきた

当時の、唯さんですか?

―あぁ。その時の唯は、二つの剣を持っていた

―聖剣エクスカリバーと、魔剣ファレグ

―唯が聖剣。俺が魔剣を持って、黒龍王に挑んだ

結果は、勝ったんですよね?

―あぁ。その後俺達は別れ、それぞれ国を建てた

―そこから、王国歴が始まった

―俺は黒龍国をそのまま継ぎ、良い方向へ

―唯は、新たな地で聖ハルイを建国した

―そしてそれも、700年余りで滅びたが

 

「…これはまた別の話だな。」

「そんな事が。」

「あぁ。それから、俺と唯は幾度も転生し続けた。その輪廻の輪は、途切れる事無く

な。」

そう言うと煙草を吸うカヤキス

「それと風濫。前にフィーリアが言ってなかったか?唯との関係について。」

「…そう言えば言っていたような。」

「…王国歴3年。当時の俺の願望が生み出したコピー、カルナ=イーリュ。

転生しカイと名乗り、そしてフィーリアとなった。」

「じゃあ、フィーリアさんは、唯さんのコピー。いえ、クローン?」

驚いた表情の風濫

それに対し冷静に事を話すカヤキス

「アーリィ、居るなら出てきてくれ。」

カヤキスの言葉に姿を表すアーリィ

「フィーリアが、何か言っていなかったか?単なる独り言でも良い。」

「…いえ、特にそのような事は。」

「そうか。悪かったな。」

カヤキスの言葉の後姿を消すアーリィ

「風濫、悪いがここで話した事は誰にも言わないでくれ。唯にもだ。」

「…はい。」

「そんじゃ、俺は俺で去らしてもらうか。」

そう言うとその場から去っていくカヤキス

カヤキスが去ったのを確認すると口を開く風濫

「アーリィ。」

「はい。」

そう言うと姿を現すアーリィ

「嘘、ついてたね。」

「…バレましたか。」

「当たり前よ。本当は、何か言っていたんでしょう?」

「…はい。私はコピー、それでいて魔族。長く生きられないと。

だからこそ、私を託したと思います。」

「…そうでしょうね。自身を作ったカヤキスさんへの想い。

そしてオリジナルでも有る、唯さんへの想い。それら全てを、

託し、託された。そしてそれを伝えるのは、私の役目。」

「マスター。」

「行きましょうか?帰って報告しなきゃならないし。」

「…はい。」

 

軽井沢駅前ロータリー

 

そこに一組の男女が座っている

「はぁ〜、これだけ探しても見つからないってどう言う事なの。」

「まぁそう焦るな。警察頼れば直ぐだろう?」

「…けど。」

女性の言葉に呆れる男性

「解った。今日はこれくらいにしておこう。」

「…えぇ。」

そう言って立ち上がった瞬間

「どうしました?」

ふと声を掛けられる

その女性は…氷那雪とルイだった

「えっ?あっ、ちょっと探し物をしに高崎から来たんですよ。」

そう答える女性

ふとその女性を見て何かに気付くルイ

女性も同様に何かに気付く

「…それで、何をお探しなのですか?」

少し間を空けルイが口を開く

「あっ、えっと、その。昔の、知人を。」

「…それでしたら月宮邸に行けば会えると思いますよ。」

「そうですか。ありがとうございます。」

「タクシーでも拾って頂ければ解りますので。」

そう言うと周囲を探るルイ

「あっ、良いですよ。自分達で探しますから。」

「そぅ。それじゃ失礼しますね。」

そう言うと駅前から車に乗り去っていくルイと雪

「…今のは。」

「えぇ。ルイと雪。やっぱり、ここに居たのね。」

「…行こうか。」

「はい。」

そう言うとタクシーを捜す2人

 

月宮邸

 

ロビーにはいうもの通りのメンバーが集まっていた

 

「先ず最初に越後湯沢についてだけど、風濫。どうだった?」

「はい。こちらはガーラの方を中心に凍結していました。地域に見合った固まり方か

と。」

「そぅ。甲府と松本に関してはどうかしら?ルイ。」

「はい。一応全国から治癒系に特化した能力者を集めて解除してますが、

何分範囲が広すぎまして。」

「そぅ。ありがとう。それとクレスとハイネだけれども、

例の洋館から何か漂って来るのよね。」

「唯さん、それは私も感じました。」

唯の言葉に賛同する風濫

「俺も、同意見。」

カヤキスも同様

「なら居場所は確定ね。それじゃ、乗り込むメンバーを決めるわよ。」

唯の言葉に固唾を呑む一同

「私に風濫・青葉。それと。」

そう言うとカヤキスの方を見る唯

「一緒に、来てくれる?」

「あぁ。何処までも一緒だ。」

「ありがとう。以上のメンバーよ。ルイ、貴女は残りのメンバーの指揮をお願い。」

「はい。」

唯の言葉に答えるルイ

「今から行くわよ。良い?」

唯の問いに頷く一同

 

山奥の洋館のとある部屋

 

「ハイネ。居るかい?」

「はいクレス様。お側に。」

「私を討とうと光の奴らが来る。ハイネ、君はどう思う?」

「クレス様に勝てる訳がありません。クレス様の勝利で終わりますわ。」

「やはりそう思うか。」

「えぇ。そうとしか思えませんから。」

「…良い。それより、兵の配置は済んだか?」

「はい。下界よりさらって参りました女性約100名を素材に作りました人形兵士。

元の身体に戻りたければ侵入者を倒せと言っております。」

「そうか。だが、戻す気は無いのだろう?」

「はい。それ所か、元に戻る事すら不可能ですから。」

「フッ、流石だな、ハイネ。」

「はい。全てはクレス様の為に。」

 

洋館前

 

そこには既に武装したクリス・カヤキス・フィーリア・レイピアの姿が有った

「それじゃ、行くわよ。」

クリスの言葉に頷くと洋館へ足を踏み入れる

 

続く

 

次回予告

洋館へと突入したクリス達

そこには大量の漆黒の鎧を纏った女性達

その女性達は何故か「助けて」と悲願する

その理由は?そしてハイネとクレスは何処に?

次回第20楽章「漆黒の殺戮人形舞曲」

 

 

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