まじかる☆ふらりん 〜幻夢幻想曲〜
第16楽章「妖艶なる者」

 

 

セシリアの事件から3ヶ月後

魔族と化した風濫は雪・青葉達と一緒に普通の生活をしていた

 

中軽井沢のオープンカフェ

 

そこに2人の女性が座っている

「セシリアも対した事無いようね。」

「はい。その通りです。」

「ならば次は私達の番。必ず成就させてやるわ。その為には、頼んだわよ、セツナ。

「はい。承知致しました。ハイネ様。」

 

その三日後の大学

 

3号棟2―A

 

相変わらずエナメルメイド服に着替えている風濫達

新聞を見て何か感じる風濫

「ねぇ雪。」

「何?どうかしたの?」

風濫の呼びかけに風濫に寄る雪

「このさ、女性の誘拐事件、おかしいと思わない?」

「えっ?何処が?」

「ほらここ。現場に残っていたと言う小刀。いえ、クナイと言うべきね。」

「もしかして、また何かが起こりそうなの?」

「もしかしなくてもよ。案外、もう起こってるかもね。」

そう言うと新聞をたたむ風濫

「それで、どうするの?」

「とりあえず現場を調べてみたい。まぁ、そんなうまく行くかわ解らないけど。」

風濫がそう言うとドアが開く

「あれ?唯さん。何か用ですか?」

「風濫、車のキー貸してくれる?」

「それなら待ってて下さい。私も出ようと思ってた所ですから。」

そう言うと着替え始める風濫

 

33R車内

 

「唯さん。」

ふと口を開く風濫

「何?」

「昨日の女性の誘拐事件、ご存知ですか?」

「…現場に謎のクナイが残っていたって奴?」

「はい。その通りです。それで今からその現場に行こうかと思ってたのですが…。」

「奇遇ね。私もよ。」

「本当ですか?」

「えぇ。どうやら何処かから県警に漏れたらしいのよ。仁科ちゃん経由で来たわ。」

「そうですか。それでは、お願い致します。」

「えぇ。」

そう言うと現場に向かい車を走らす唯

 

現場

 

現場に到着し、車を降りる唯と風濫

「お疲れ様です。」

県警の捜査員に声を掛けられる

「全く、本当に何処から漏れたのかしら?」

そう言うと現場に入り声を掛ける

「現場はここで良いの?」

「はい。こちらで間違い有りません。

誘拐された女性の身元を確認出来る品が放置されてましたから。」

「そう。それと例のクナイは?」

「こちらです。」

別の捜査員が口を開く

「そう。見せてくれる?」

「はい。」

唯がクナイを見ている横でジッと現場を見つめたままの風濫

ふとそれに気付く唯

「風濫、どうしたの?」

風濫に声を掛ける唯

「風濫?」

唯の呼び掛けに反応しない風濫

その時

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

突然叫びだすとその場に屈み込む風濫

「風濫!」

直ぐに風濫の側に寄り風濫を宥める唯

「風濫!どうしたの?しっかりして!」

「あっ、嫌。何、この背筋が凍るような漆黒の気は。」

その言葉に何かに気付き風濫が見ていた方向を向く唯

「…何が有るって言うの?私には全然解らない。」

「何だ君は?ここは立ち入り禁止……。」

其処まで言いかけた警官の言葉が途切れる

それに気付き振り向く唯

そこには一人の女性が立っていた

「誰?名乗りなさい!」

「…これは失礼。私の名はセツナ。我がマスターハイネ様より伝言を預かっておりま

す。」

「伝言?」

「はい。私はセシリアより強い。私のする事を止められるかしら?との事です。」

「…成る程。女性の誘拐事件は貴女達の仕業って訳ね。」

唯の言葉に気付きセツナを囲む警官隊

「止めときなさい。彼女を捕まえる前に、死人が出るわよ。」

唯の言葉に引き下がる警官隊

「さて、それで貴女達は一体何をしたいのよ。」

「とあるお方の復活。それだけよ。生贄は既に2体。残り4体。さぁ、阻止してみな

さい。」

そう言うとその場から消えるセツナ

「…とあるお方。そして生贄は全部で6体。…まさかね。」

「水月さん。」

ふと警官隊の一人が声を掛けてくる

「ん?何?」

「俺達長野県警は、何をすれば良いんですかね?」

「なるべくなら動いてくれないのが良いんだけど、とりあえず夜間パトロールの強

化。

それと何か起きたら直ぐに連絡して。」

「は、はい。そ、それと。」

「ん?まだ何か有るの?」

「サイン下さい!」

突然の言葉に呆然とする唯

「ハハッ、そんな事ならお安い御用よ。」

苦笑いしながらサインに応じる唯

「ありあとうございます。」

「どうも。それと、無茶はしないでね。風濫、大丈夫?」

「…あっ、唯さん。私、一体何を?」

(記憶に無いのか。)ううん、別に。帰りましょう。」

「あっ、はい。」

そう言うと車に乗り込み現場から去っていく唯と風濫

 

33R車内

 

「唯さん、聞いてくれますか?」

「…えぇ。」

「あの時、とても深い、底の見えない程の深さの、闇を垣間見たんです。

こんな事言っても、解らないですよね。」

風濫の言葉に黙る唯

「唯さん、私人間がどういう生き物なのか、解らなくなってきました。

人って、何でも出来る反面、心が脆いのかなって。」

「風濫。」

「だからこそ、他人との繋がりは、大事なのかもしれない。

…変ですよね、魔族になった私がこう言うのって。」

「いえ、変じゃないわ。私も人にあらず者で、人の事を良く知らないから。

それに、昔は私だって人間だったから。」

「唯さん。」

「…暗い話になっちゃったわね。もう止めましょう。

けどこれだけは忘れないで。風濫、貴女がどんな存在だろうとも、

貴女を仲間と認めてくれる人が居る事を、忘れないでね。」

「…はい、唯さん。解りました。」

 

軽井沢駅前

 

「挨拶は済んだようね、セツナ。」

「はい。これでどう動くかが楽しみです。」

「そうね。もし遊びに来てくれるのなら、歓迎しなくてはいけないわね、セツナ。」

「はい。ハイネ様の言う通りです。」

「セツナ、それと素体の方はどうなっているのかしら?」

「はい。その事でしたらこちらにお呼びしております。…噂をすれば。」

セツナがそう言って振り返るとそこには一人の女性の姿が有った

「さて、何用なのかしら?私を呼び出した理由は?」

女性の声に後口を開くハイネ

「お待ちしておりましたわ、雷帝フィーナ=ラス=レイピア。

私は月詠灰音。彼女は篠崎刹那よ。」

「そぅ。まぁ、経験上何考えてるのか解るけど、素直に従うとでも思う?」

そう言うと両手に剣を構えるフィーナ

「えぇ、解ってるわよ。」

そう言うと立ち上がり剣を構えるハイネ

「ハイネ様直々になど、この私が…。」

「セツナ。下がっていなさい。さて、解ってると思うけど。」

「そっちが勝ったら言う通りにするわよ。

けど、私が勝ったら…今してる事を止めて貰おうかしら。」

そう言うと再度構えるフィーナ

「勝てたらね。」

ハイネも再度構える

「それなら、全力で行くってのが、礼儀ね。」

そう言うと剣を収めるフィーナ

「何するつもり?素手で剣に挑もうって言うの?」

「えぇ。そう言う事よ。」

そう言った瞬間

フィーナの周囲に雷が発生する

その様子に一層構えを深くするハイネ

「…けど。」

ふとしたフィーナの言葉に雷が収まる

「また闇を身に宿すのも悪くないかな。」

フィーナの言葉にキョトンとするハイネとセツナ

「…あれ?私変な事言った?」

フィーナの言葉に笑い出すハイネ

「面白い事言うわね。一体その自身は何処から来るのかしら?」

「確かに。それは私も気になります。」

2人に言葉で攻められるフィーナ

「う〜ん、何て言うんだろう?闇のトップレベルを2人程宿してたから。

今は一人しか居ないけどね。メデュー。」

フィーナの言葉に姿を表すメデュー

「神話上の魔物メデューサ。その能力を引継ぎし者、それが彼女。邪王メデューよ。

フィーナの言葉に呆然とするセツナ

「成る程ね。だからそんな自信が有るのね。」

「そう言う事。さぁ、どうする?」

「素体としては申し分無いわね。伝説の黒龍王様を復活させるのに。」

ハイネの言葉にニヤリと微笑むフィーナ

「さぁ、付いてらっしゃい。」

そう言うと闇に姿を消す3人

 

2日後

 

長野県警軽井沢警察署管轄軽井沢駅前交番

 

そこには唯と風濫の姿が有った

「3件目?」

「はい。昨日中軽井沢にて帰宅途中の女性が何者かに誘拐。

こちらも防犯対策をしていたのですが、その裏をかかれました。」

警官の言葉に黙り込む唯

「唯さん。」

「確実にあと3回は起きる。それは多分防ぎようが無い。」

「そんな。どうすれば良いんですか?」

警官の言葉にニヤリと笑う唯

「非番の時とか暇な時とかで良いからここ二ヶ月以内にオープンした美術館や、

2ヵ月以内にオープンする美術館を探って欲しいの。」

「わ、解りました。けど何故過去未来4ヶ月の間の美術館なんですか?」

「…経験よ。大体そうだから。全く、やる事が変わってないと言うか。」

そう言って外を見るとスーツから洋服迄色々な服を着た男性が大量に居た

「………えっと、何?」

「長野県警が誇る私服捜査員です。今の話は全て聞いてましたよ。」

交番の警官が気軽に言う

「各捜査員は軽井沢一帯を調べて!本部待機班は車で着いてきて!」

「ハッ!!!」

そう言うと散って行く捜査員

「水月さん、誘拐された人達は戻って来るんでしょうか?」

「…大丈夫。心配しないで。風濫、本部班、行くよ。」

そう言うと車に乗り込み交番から去っていく唯達

 

月宮邸ロビー

 

「そう言う訳なの。協力してくれる?円。」

「良いわよ。唯の頼みだもの。断る訳無いじゃない。」

「ありがとう、円。…機材搬入して。直ぐにでも連絡取れるようにして!」

唯の言葉に次々と機材が搬入されてくる

「さぁ、どちらが先か。」

 

続く

 

次回予告

再び始まる光と闇の対決

4人・5人と誘拐され焦る唯

そんな唯の前に現れる一人の女性

その女性が唯に対し警告を言う

その内容とは?

次回第17楽章「迫り来る闇」

 

 

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