まじかる☆ふらりん 〜幻夢幻想曲〜
第15楽章「魔獣王と黒薔薇の騎士」

 

 

魔獣王夜叉が治める街

 

ヴァーレ

 

ヴァーレ城下町

 

「魔界と言ってもさほど人間界と変わらないですね。」

「まぁ、そうだな。まっ、売ってる物が違うくらいだろ。逸れるなよ。」

「はい。」

そう言うとカヤキスについて行くフィーリア

 

ヴァーレ城正門

 

「何者だ?名を名乗れ!」

門で衛兵に止められる二人

「黒騎士カヤキスだ。王へ伝えてくれ。奪われた物を取り返して来たと。」

「…しばしお待ちを。」

そう言うと備え付けの無線機に話しかける衛兵

2〜3分くらい経ち、衛兵が口を開く

「もう少しお待ち下さい。迎えの者が参ります。」

その衛兵の言葉から1分足らずで向かえの者が来た

「お久し振りです、カヤキスさん。」

「こっちこそ、久し振りだな、リース。んで早速だが、会えるか?」

「えぇ。お連れの方とご一緒に付いて来て下さい。」

そう言うと城の中へ向かうリース

それについて行くカヤキスとフィーリア

 

王間前

 

ドアをノックするリース

「リースね。入りなさい。」

「はい。失礼致します。」

そう言うとドアを開けるリース

「お入り下さい。」

リースの言葉に王間の中に入る2人

入ったのを確認するとドアを閉めるリース

「夜叉様。お客人をお連れしました。」

「ありがとう。下がってて良いわ。」

「はい。失礼致します。」

そう言うと王間から去っていくリース

リースが去ったのを見て口を開く夜叉

「始めましてカヤキスさん。貴方の事は先代とリースから聞いております。

それで、今回の用件はどのようなご用件で?」

夜叉の言葉にヴォルケスを差し出すカヤキス

「そちらの家に代々伝わる炎槍ヴォルケスを取り戻して参りましたので、お返し致し

ます。」

「…ありがとうございます。このお礼は必ずさせて貰いますわ。」

「あぁ。解った。」

「それより、後ろの女性の方は?」

風濫に対し疑問を持つ夜叉

「あぁ、彼女は間宮風濫。黒薔薇の騎士フィーリアの名と意思を継ぐ者だ。」

「フィーリアの。…是非お手合わせ願いたいわ。」

夜叉がそう言った直後兵士が入って来る

「失礼致します!」

「どうしたの?」

「ハッ!城下町で荒くれ者が罪も無き民を人質に取っております!」

「夜叉、俺達も行こう。」

「すみません。」

 

城下町

 

「おらおら!早く金出せよ!金だよ、か〜ね。」

「じゃねぇ〜とこのお嬢ちゃんがどうなっても知らねぇぞ〜。」

そう言いながら一人残った幼い女の子に剣を当てるチンピラ

「こっちでも三流のやる事は変わらないんだ〜。」

そう言いながらいきなりその場に現れるフィーリア

「な、何だ貴様は!」

「い、今すぐここから消えな!この嬢ちゃんの首が飛ぶぜ。」

チンピラがビビリながら脅して来る

「ふぅ。全く。死をもって汝の罪を悔やみなさい。」

そう言うと一瞬で首が飛ぶ2人のチンピラ

その瞬間に女の子を抱えてその場を離れるフィーリア

「もう大丈夫だからね。」

そう言うと女の子を離すフィーリア

「流石だな、フィーリア。」

「カヤキスさん。別にどうって事ないですよ。」

「余裕の発言だな。」

ふとそんなやり取りを見ていた夜叉が口を開く

「カヤキスさん、フィーリア。一つ、頼み事をしてもよろしいでしょうか?」

 

夜叉の言葉に頷き城内の夜叉の私室で話を聞くカヤキスとフィーリア

「用は隣国の王様にこの親書を渡せばよろしいのですね。」

「えぇ。ただ隣国には友好を結ぼうとしているのを険悪している輩も

居ると聞いているから。」

そう言うと心配そうな顔をする夜叉

「安心しろ。俺やフィーリアはそんな簡単に死ぬ輩では無い。」

「えぇ、それは解っております。私が心配しているのは親書を渡してからです。

側近がもしも和平反対派だったら…。」

「…気にするな夜叉。俺達は俺達で何とかするさ。なっ?フィーリア。」

「えぇ。それでは、行って来ます。」

 

その言葉から5日後

フィーリアとカヤキスは隣国の宿屋で作戦を練っていた

「それでどうやって渡します。」

「夜になるのを見計らって王の寝室に侵入する。それが一番スタンダートだろ。」

「そうですね。もし発見された場合の引き付け役はどちらが?」

「それは俺が引き受けよう。フィーリアは渡す事だけ考えろ。」

「はい。」

「それじゃ、夜になったら行動開始だ。」

カヤキスの言葉に頷くフィーリア

 

深夜

 

宿屋の窓を開け屋根の上に上がるカヤキスとフィーリア

「さてと、行くぞ。」

「はい。」

そう言うと一気に飛び上がる2人

その後簡単に城内へと侵入する2人

 

城内

 

異様なまでに静かな城内を徘徊する2人

「…静か、ですね。」

フィーリアの言葉に何かに気付くカヤキス

「静か過ぎる。衛兵の一人にも出会っていない。…急ぐぞ。」

カヤキスの言葉に走り出す2人

 

王の寝室

 

「き、貴様何をする。わ、我はこの国の王で有るぞ!」

「えぇ、解っています。ですが魔獣王と和平を結ばれては困るのですよ。」

そう言うと剣を向ける男性

「な、何だ?何が欲しい?富か?権力か?」

「そんなモンは要らない。欲しいのはアンタの首だけだ!」

そう言うと王に向かい斬りにかかる男性

窓ガラスを破り部屋の中に侵入してくる一人の人影

そしてそのまま男性の振り下ろした剣を受け止める

「何者だ貴様!」

「漆黒の戦女神。黒薔薇の騎士よ。」

そう言うと剣ごと男性を弾くフィーリア

「王!この者をどう致しますか?」

フィーリアが王に向かって口を開く

「こ、殺せ!我の命を狙う不届き者だ!」

「不届き者とは失礼な。この魔界をより良い方向へ導こうとしているのに。」

男性の言葉を聞いて口を開くフィーリア

「王。隣国との和平迄どのくらいかかりましたか?」

「なっ?…ふむ、200年くらいかのう?

全体の歴史から見れば10分の1にもならん時間じゃが。」

「大変、頑張られたのですね。私の名はフィーリア。

夜叉王より和平の為の親書を預かって参りました。」

「なんと、夜叉王から!」

「それは良い事を聞いたな。ならばアンタを殺させて貰う!ここで力が全てだ!

文句は言うなよ。」

男性がそう言った直後男性の真横迄移動するフィーリア

「貴方がね。」

そう言うと外に蹴り飛ばすとそのまま男性を追うフィーリア

そして空中で男性を捕まえると右手に気の塊を生成するフィーリア

「汝に神罰を!エーテルストライク!!!」

間近でエーテルストライクを喰らい跡形も無く消えうせる男性

それを見終わると王の寝室へと戻るフィーリア

 

寝室

 

丁度降り立った時にカヤキスおり、衛兵が部屋に入ってきた

「王!ご無事ですか?…この者達は?」

「和平を拒む者に襲われ、助けてくれた者だ。誰かヴァーレ城の夜叉王の下へ手紙

を。」

「ハッ!文面は?」

「和平を受け入れると。」

「ハッ!」

「それともうよい。下がって良いぞ。」

「ハッ!失礼致します。」

隊長格の男がそう言うと寝室から去っていく衛兵

それを見て口を開く王

「…そなた達にも感謝をしないとな。何か褒美を授けよう。」

王の言葉に向き合うカヤキスとフィーリア

「褒美と言われてもな〜。」

「えぇ。特にこれと言って無いし、褒美欲しさにしたわけでも無いし。」

「褒美を欲しがらないのか。面白いのう。」

「あっ、けどその代わり一つだけ約束して貰えますか?」

フィーリアの言葉に疑問に思う王

「何じゃ?守れる事なら守るが。」

「夜叉王の国との和平成立後、交流を深めて下さいね。」

「……解った。約束しよう。」

「ありがとうございます。」

そう言うと大きく伸びをするフィーリア

「フィーリア、これからどうするんだ?俺と一緒に帰るか、それともここに残るか。

「…帰りますよ。掛け替えの無い親友が待っていますから。」

「そうか。それじゃ帰るか。」

 

フィレンス教会

 

礼拝堂の前で一人帰りを待つ青葉

ふと顔を上げるとそこに人影が見える

「風濫!」

そう言うと走り出す青葉

それに気付き外に出て来る一同

そのまま風濫に抱きつく青葉

「お帰り、風濫。」

「ただいま、青葉。」

抱きつく二人を横目に口を開くカヤキス

「よっ、帰って来たぞ。」

「あのまま、魔界に居ても良かったのに。」

「ん?ば〜か、こんな良い彼女を置いて一人居られるかよ。」

「…それもそうね。」

そう言うとカヤキスにキスする唯

「なっ!」

咄嗟に事に照れるカヤキス

その一言が注目を集める

「あ〜もぅ見るなぁ!!!」

「良いじゃない別に。減るもんじゃないでしょ。ねっ♪」

そんなやりとりを見る風濫

「青葉、いつか必ず青葉の方が先に死んじゃうけど、

私と青葉は掛け替えの無い親友だよね?」

「…えぇ、雪も含めてそうよ。」

「…ありがとう、青葉。」

 

第2章終わり

 

次章予告

セシリアの暗躍。風濫の魔族化

色々な事が起きた事件から3ヶ月

新たなる事件の予兆が軽井沢に響き渡る

次回第16楽章「妖艶なる者」

 

 

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