まじかる☆ふらりん 〜幻夢幻想曲〜
第7楽章「闇を背負う彼女」

 

 

黒神装を纏い操られている円と対峙する風濫

両者の手には剣が握られていた

しばしの沈黙の後、風濫が口を開く

「…行くよ、円。」

そう言うと一気に間合いを詰め剣を振り下ろす風濫

それを受け止める円

そしてそのまま剣ごと風濫を弾く

弾かれ着地すると口を開く風濫

「流石ね。操られているのに、こんだけの力が有るなんて。」

そう言うと駆け出し、円の寸前で方向を変え、

円の後ろから剣を振り下ろす風濫

その攻撃に反応し、風濫の剣を受け止める舞

「舞!」

そう叫ぶと剣ごと弾かれ階下のロビーに着地する風濫

「くっ、1対2ですか。」

風濫がそうぼやいた瞬間

一過ぎの銀の光が舞を貫いた

「銀の閃光。青葉!」

「これで舞さんは元通り、風濫は円との戦いに集中して!」

「…ありがとう、青葉。」

そう言うと剣を構えて口を開く

「さぁおいで。円!」

風濫が言い終わると同時に風濫に向かい突っ込んで来る円

「これで、終わりよ!」

そう言うとすれ違う風濫と円

「…お帰り、円。」

風濫がそう言うと、兜が割れ、床に倒れこむ円

それと同時に周囲も終っていた

ふとその時窓から朝日が差し込んで来た

「…不穏な夜は終った。新しき朝が来る。…雪・青葉、帰ろう。」

風濫の言葉に頷く2人

 

数日後

 

軽井沢近くの病院

 

「円〜、入るよ〜。」

そう言うと円の病室へ入ってくる風濫

「間宮さん。毎日毎日すみません。私の為に。」

「良いのよ。それより、いつになったら名前で呼んでくれるの?」

「えっ?…恥ずかしいよ。」

そう言うと顔を真っ赤にする円

「それよりも、私が貴女達にしてた事って、本当に夢じゃないの?」

「えぇ。全て起きてしまった事。けど、過去を悔やんでも仕方無いわ。早く退院して

ね。」

「えぇ。そうさせて貰うわ。」

「それじゃ〜ね〜。」

「えぇ、さようなら。」

円の言葉を聞くと病室を出て行き屋上へと向かう風濫

 

病院の屋上

 

少し人気の無い場所で壁を背にし、もたれ掛かる風濫

「ふぅ〜。」

溜息を付く

「どうしたの?溜息なんか付いちゃって。」

「唯さん。…私の悩み、聞いてくれますか?」

「…自身の力の事についてかしら?」

一瞬驚いた表情をすると直ぐに落ち着いた顔に戻る風濫

「やっぱり、解ってますか。」

「えぇ。正直、今のままでは危険な状態。いつ闇に飲まれてもおかしくない。

いえ、むしろ既に飲まれててもおかしくない。

けど、風濫にはそれが起きてない。何故だが解る?」

考えると口を開く風濫

「もしかして、フィーリアさんですか?」

「えぇ。死して尚、貴女を守り続けているわ、彼女は。」

唯の言葉が終ると唯の胸元に飛び込んでくる風濫

「…泣きなさい。戦士として生きる以上、泣ける時に泣いときなさい。

そして、戦場では決して、涙を流してはいけないから。」

「…はい。…唯さん。」

泣きながら答える風濫

 

病院入り口前

 

「ねぇ唯さん。」

「何?風濫。」

「私は、フィーリアさんに守られている事が、とっても嬉しい。」

「…そぅ。」

「それじゃ車取って来ますね。」

そう言うとその場から去って行く風濫

「…風濫、もし貴女にその時が来たら、貴女は乗り越えられるかしら。

…いいえ、きっと乗り越えられるわ。貴女なら、きっと。」

 

続く

 

次章予告

若い女性が消える事件が多発した

それと同時にラバーキャットスーツに身を包んだ女性も目撃されている

一体誰が何の為に?

そして女性と事件の繋がりは?

次章第8楽章「忍び寄る魔」

―――フォル・フォーレ。我ら妖艶にして忠実な人形

 

 

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