支配欲のスライム

 

 

 スパークガール。
 「グレイシティ」の平和を守るために戦う正義の稲光。
 彼女の1番の目的は、グレイシティや世界を騒がせる怪盗「シャドウレディ」に打ち勝ち、その正体を暴くこと。

 しかしスパークガールの活躍は悲惨なものだった。
 シャドウレディに戦いを挑み追い込むも、彼女の変身したキャットシャドウに衣装を切り裂かれて、公衆の面前に裸を見せてしまった。
 その後起こった美女の連続誘拐事件の犯人を追ったとき、その犯人の力で石化されて全裸のオブジェにされ、石化が解けるも全裸で帰る羽目になった。
 その後も大した活躍ができず、ライムは滅入っていた。
(ホントにおかしなことばっかりだよ~・・事あるごとに裸になってるんだから・・・!)
 ライムが屈辱を感じて、顔を赤くする。
(今度こそ悪い犯人を退治して、名誉挽回するよ!もちろんシャドウレディも倒して、正体を暴いてやるんだから!)
 悪やシャドウレディに対する怒りを燃やして、ライムは怒りを燃やした。

 シャドウレディの活動が見られない中、ライムは不穏な事件を耳にした。それは美女の行方不明である。
(また女性の誘拐事件!?貧富の差が激しいこの街だけど、またこんなふざけた悪人が出てくるなんて・・・!)
 ライムがこの事件の犯人に対して怒りを燃やす。
(この前の誘拐事件は解決できた記憶がないけど・・今回はあたしが解決してみせるよ!)
 彼女は決意を固めて、事件の犯人を追うことにした。

 夜になったところで、ライムは着替えて特殊やスーツと装備を身に着けた。彼女が変装した姿が、スパークガールである。
 外へ出たスパークガールは誘拐犯を追い求めて街中を進んでいく。
(女性の失踪は場所が段々と北西、北東、南東と移動してきてる。この辺りで見張れば、必ず見つけられる・・・!)
 スパークガールが思考を巡らせながら、高さのあるアパートの屋上に着地した。
(次に現れるとしたら、この辺りのはずね・・・!)
 誘拐犯の出現を予測して、スパークガールが街を見下ろす。
「イヤアッ!」
 そのとき、女性の悲鳴が響き、スパークガールがその声のした方へ振り向いた。
「あそこに女性が・・追われている・・・!」
 路地を走っていく長い黒髪の女性を見つけて、スパークガールが動き出した。女性を追って、フード付きの人物が移動していた。
「あれが例の誘拐事件の犯人のようね・・・!」
 スパークガールがその人物に狙いを定めて、屋上から動き出して追跡する。
 スパークガールがたどり着いた路地の行き止まりでは、女性は気絶して横たわっていて、誘拐犯がその前で立っていた。
「待ちなさい、誘拐犯!これ以上、女性に手出しはさせないわ!」
 スパークガールが言い放つと、誘拐犯が振り返った。
「1度に女と2人も会うことになるとは・・しかもわざわざ私を追ってくるとは・・」
 誘拐犯がスパークガールを見て喜びを感じていく。
「他の女性はどこにいるの!?みんなをすぐに解放しなさい!」
「せっかく手に入れたものを手放す愚か者はいない。目の前にいる獲物を見逃すのも同じだ。」
 スパークガールが問い詰めるが、誘拐犯は悠然と振る舞う。
「だったらアンタを倒して、後でみんなを見つけるだけよ!」
 スパークガールが言い放ち、誘拐犯に飛び掛かる。
「はっ!」
 スパークガールが誘拐犯に向けて回し蹴りを繰り出す。誘拐犯は滑らかな動きで、蹴りを紙一重でかわした。
 スパークガールはさらにパンチとキックを繰り出す。しかし誘拐犯に攻撃をことごとくかわされる。
(あたしの攻撃が当たんない・・何なのよ、コイツ・・!?)
 驚異の身体能力を見せる誘拐犯に、スパークガールは驚きを覚える。
(攻撃が当たらないなら、捕まえるだけ!)
 思い立ったスパークガールが、誘拐犯に詰め寄り手を伸ばした。彼女の右手が誘拐犯の左腕をつかんだ。
「もう逃がさないわよ!大人しくしなさい!」
 スパークガールが言い放ち、誘拐犯の腕を引っ張る。
「これほどの動きをする人がいるとは・・・仕方がない・・」
 誘拐犯がため息混じりに言ったときだった。彼の腕から粘り気のある液体が出てきた。
「えっ!?何っ!?」
 スパークガールが液体に驚いて、たまらず誘拐犯から手を放す。誘拐犯が腕から液体を伸ばして、彼女に向かわせる。
「うあっ!」
 液体が体に取り付いて、スパークガールがうめく。
「は、離れない!?・・何なのよ、コレ!?」
 彼女が振り払おうともがくが、液体はさらに張り付いてきて体を包んでいく。
「本当は連れていってからにしたかったが、抵抗されては敵わないからな・・」
 誘拐犯がスパークガールを見つめて呟く。
「い、息が・・・できる!?・・でも、体の自由が・・・!?」
 液体に包まれているにもかかわらず呼吸ができることに、スパークガールが驚く。
「これには空気が、酸素が含まれている。窒息することはない。」
 誘拐犯が液体について語っていく。液体はスパークガールを完全に覆った。
「だからってこんな・・・早く、抜け出さないと・・・!」
 スパークガールがもがいて、液体から出ようとした。
 そのとき、スパークガールの衣装と装備が突然崩壊を引き起こした。
「えっ!?」
 服が溶け出したことに驚愕するスパークガール。
「どうなってるの!?・・私に何をしたの!?」
 スパークガールが動揺を感じながら、誘拐犯に問い詰める。液体にからだを押さえられて、彼女はあらわになっていく胸や下半身を画すことができない。
「このスライムはただの物質に対して何でも溶かす。ただし生物には直接害を及ぼすことはない。」
 誘拐犯が出している液体、スライムのことを説明していく。スライムによって衣装も装備も溶けて、スパークガールは全裸にされて素顔もさらけ出されてしまった。
「これがシャドウレディに挑戦したスパークガールの正体か。」
 誘拐犯がライムを見つめて微笑む。
「もしかして、アンタがさらった人もこんな風に!?・・女を何だと思ってんのよ!?」
「これでまだ完了ではない。完成するのはここからだ・・」
 緊迫を募らせるライムに、誘拐犯がさらに微笑む。
「えっ!?・・体が・・思うように動かせない・・・!?」
 体の自由が利かなくなったと思い、ライムが驚く。
「このスライムは物質を溶かすだけではない。私の意思で固めることもできる。」
 誘拐犯が笑いながら、ライムに説明する。彼女を包んでいるスライムが、誘拐犯の意思を受けて固まり出した。
「それじゃあたし・・裸にされた状態で動けなくなるの・・・!?」
 ライムが緊迫を覚えて、力を振り絞って抵抗する。しかしスライムを跳ね除けられず、体の自由を奪われていく。
「冗談じゃない・・アンタの思い通りにはならないよ・・・!」
「お前ももはや私のものだ。抵抗できず固まることになる・・」
 恥じらいを覚えるライムに、誘拐犯が言いかける。スライムが変質して固まっていく。
「イヤよ・・こんな格好で、動けなくなるなんて・・・!」
 ライムが絶望を感じて、必死に抗う。スライムが固まり、彼女は体に力を入れられなくなる。
「イヤ・・こんなの、イヤだよ・・・ブーちゃん・・アイミちゃん・・・」
 想いを寄せている人と友達のことを思い、ライムが目に涙を浮かべる。
 スライムが完全に固まり、ライムは悲しい顔を浮かべたまま動かなくなった。彼女は全裸の姿で固められてしまった。
「また1人、美女が私のものとなった・・その素晴らしい姿のまま、お前を連れていくとしよう・・」
 誘拐犯がライムを見つめて満足する。彼は視線を先に狙っていた女性に移す。
「お前も後で同じように固めてやろう・・そこの正義の味方と同じく、最も美しい姿で・・・」
 誘拐犯は気絶している女性の腕をつかんで抱える。彼はライムを固めているスライムに手を触れて、彼女たちを連れて姿を消した。

 誘拐犯が訪れた大部屋。周辺にはライムと同じように全裸にされて固められた美女たちが置かれていた。
 ライムもその美女たちのそばに置かれ、誘拐犯は同時に連れてきた女性も出したスライムで包み込んでいた。
 女性も服を溶かされて、全裸をさらされていた。
「私のスライムの前では、全ての美女が私のものとなる。あのシャドウレディに挑んだスパークガールも例外ではなかった。」
 誘拐犯が呟きながら、スライムを固めて女性の動きを止めた。
「しかしまだだ・・もっと美しい女性を私のものにしていく・・私のコレクションをもっとすばらしくする・・」
 彼は欲望を膨らませて、コレクションを増やす野心を強くしていく。
「たとえば、このスパークガールが追い込んでいたシャドウレディとか・・」
 シャドウレディにも狙いを定めて、誘拐犯は行動を起こした。

 誘拐犯の動かす謎のスライムによって衣服を溶かされ、そこから固められた美女たち。
 スパークガールであるライムもその魔手に掛かってしまった。
 彼女が固まったスライムから解放されたのは、この誘拐犯が打ちのめされた後のことだった。
(また裸にされるなんて・・んもー!何でいつもこうなるのー!?)
 全裸にされる辱めを何度も受けて、ライムは不満を膨らませるばかりだった。

 

 

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