Knight Of Strikers

ACT30「終焉を告げる時」

 

 

王間前

 

扉越しに巨大な闇の気を感じ手を止める風濫とラムダ

「何?この気は?」

「深き漆黒の闇。以前私達が封印した巨大なる闇を持つ者。導かれたか。」

そう言うとラムダを見据える風濫

「聖ハルイの宮廷魔術師ラムダ=オーリ=ハルイ。貴女に、聖龍の加護を。」

そう言うと同時に風濫の足元に魔方陣が展開する

「来たれ、聖魔剣。」

静かにその名を言い放つ風濫

 

エクスティリバー

 

名を呼ぶと同時に魔方陣が現れる聖魔剣エクスティリバー

そのまま掴むと剣を振るい、後ろに向ける

「さぁ、来なさい。」

風濫の言葉と同時に無数の魔法の矢を放つラムダ

「ルーティア。」

風濫の言葉に姿を現し魔術障壁を展開するルーティア

「エスキス。間を作って頂戴。」

「はい、我が主。」

そう言うとルーティアの横に立つエスキス

「チャンスは一回よ。エスキス!ルーティア!」

風濫の言葉と同時に魔法の矢を弾くルーティア

その光景に驚くラムダ

それと同時に駆け出しラムダをその場に縫い付けるエスキス

「私が斬るのは、月の民の意思!!!

そう言うと同時にラムダを斬り抜く風濫

「私に、断てぬ物は、無い!」

風濫が言い終わると同時に倒れ込むラムダ

それと同時にエクスティリバーも消え去る

「ありがとう。エスキス、ルーティア。」

風濫の言葉と同時に消え去るエスキスとルーティア

「う、う〜ん。」

「気が付いたようね、ラムダ=オーリ=ハルイ。」

風濫の声に気付き風濫の方を向くラムダ

「貴女は?それに私は一体?」

「月女王ユーリの精神体による侵食。私はそれを断ち切っただけ。」

風濫の言葉に納得するラムダ

「そう。ありがとう。それと、クリス。いえ、私の妹がどうなったか、知っている?」

ラムダの言葉に王間に視線を向ける風濫

「この中で、私の可愛い妹と共に、最後の戦いをしているわ。」

 

王間

 

深き漆黒の闇の力を得たルナ

その手に持つレヴィンクライスの刀身は白と黒の光を放っていた

「そのような剣で私を倒せると思うのか?月夜。」

「倒す!」

そう言うと同時に駆け出すルナ

それと同時に魔力で桜へ呼びかけるルナ

 

東京ビックサイト

 

聖ハルイを見守るイシュタルと桜

ふとそこにルナから魔力による呼びかけが入る

桜、聞こえる?

「ルナさん?」

今すぐ私の居る所迄来て。お願い

「えっ?はい。けど、どうやって?」

疑問に思う桜

それと同時に具現化する桜花

「桜花姉さん。」

「桜、飛ぶよ。」

はい。」

桜花の問い掛けに頷く桜

それと同時にその場から消え去る桜花と桜

 

王間

 

ルナとユーリの戦いを見守るクリス

その横に転移魔方陣が現れ桜花と桜が現れる

「久住!」

「クリスさん。」

互いに呼び合うと桜花が口を開く

「桜。銀十字を。ネルビス王女を助けに行くよ。」

桜花の言葉に驚くクリス

「一緒に、行きますか?」

桜の問いかけに頷くクリス

「銀十字。力を貸して。月の女王に侵されし人を、助ける為に!」

そう言うと同時にその場に倒れ込む桜とクリス

桜花も同時に消えていた

 

 

 

―――見渡す限りの草原

空には蒼い月

そして草原の中に立つ神殿

そこに、桜・桜花・クリスの姿が有った

「草原?」

疑問を口に出すクリス

「行きましょう、クリスさん。」

桜の言葉に戸惑いながらも頷くクリス

しばし移動すると宮殿が見えてくる

「宮殿?」

「居ますよ、あそこに。」

桜の言葉に疑問に思い宮殿の入り口を見るクリス

そこには蒼い髪の女性が立っていた

驚きね。精神世界迄やって来るなんて

その声を聞き、口を開くクリス

「月の女王、ユーリ=ルナティック=フェレイト。」

「ネルビスを取り戻しに来たのかしら?けどもう遅いわ。」

そう言うと球体が現れその中には眠っているネルビスの姿が有った

「お母様!」

「既に彼女の殆どを乗っ取った。残るわ、この無意識下だけ。」

ユーリの言葉に剣を抜くクリス

「ならば、その前にお前を討つ!」

「光しか持たない貴女達にそれが出来るかしら?」

ユーリの言葉に俯く桜と桜花

「後ろの2人は図星みたいね。それでも良いのなら、相手をするわ。」

そう言うとユーリも剣を抜く

「さぁ、来るのなら来なさい。聖ハルイの聖騎士よ。」

ユーリの言葉に駆け出すクリス

「クリスさん!ダメ!!!

咄嗟に叫ぶ桜

待ちなさい

同時に何処からか聞こえてくる女性の声

その声に歩みを止めるクリス

「誰?姿を現しなさい!」

叫ぶユーリ

「今の声、知らないけど、懐かしい声。」

疑問に思う桜

それと同時に銀十字がクリス目掛けて飛んで行く

「銀十字が!」

クリスの目の前に来ると周りながら滞空する銀十字

「銀、十字。レイピア、なの?」

クリスの言葉に銀装を纏った女性が具現化する

「何者?」

銀装、解除。」

女性の言葉に銀装が解かれ、その下から出て来た顔に驚くユーリ

「聖ハルイの、聖騎士!」

ユーリの言葉に口を開く女性

「半分正解で半分間違い。私は、未来の彼女。」

「レイピア。何故ここに?」

疑問の口を開くクリス

貴女を、助けに来たの。光を持つ貴女に、闇を付与する為に。」

レイピアの言葉に疑問に思うクリス

「アライメントリバース。来たれ、漆黒の妖精フェイト。」

レイピアの言葉と同時に黒装を纏う

「クリス、行きなさい。お母様を助ける為に。」

そう言うとクリスに吸い込まれるように消えるフェイト

「レイピア。ありがとう。混装!」

クリスの言葉に鎧が白と黒に変化し、左手に黒き剣が現れる

「ティリス=レイピア。いえ、クリス=ラス=レイピア。使わせて貰うわ。」

そう言うと静かに気を開放するクリス

それを後ろから見守る桜と桜花

「桜花姉さん。」

「桜。えぇ、解ってる。」

そう言うと同時に銀十字と同化し銀槍と成る桜花

「チャンスは一度。外したら。いえ、外さない。」

そう言いながら前方を見据える桜

桜の前方ではクリスとユーリが一進一退の攻防を繰り広げていた

「どうしたの聖騎士?防戦一方じゃ勝てないわよ!」

ユーリの言葉に焦るクリス

正直心の中で決定打を決めかねていた

一撃で葬れる技は有る

だが、チャンスが無い

「くっ!」

苦い声を出すクリス

一瞬間が空きそれに乗じて間を開けようとするクリス

それを追いかけるように追撃するユーリ

それと同時に一筋の銀閃がクリスとユーリの間に走る

それと同時に何者かの攻撃がユーリに襲いかかる

咄嗟に防御するユーリ

そこには銀装を纏った女性の姿が有った

「レイピア?違う。貴女は、誰?」

疑問を口にするクリス

「不思議な感じね。銀十字に導かれたと思ったらこんな所に出るなんてね。」

そう言うと同時にユーリを弾く

それと同時に新たな銀装の女性が新たに2人現れる

「何?貴女達は一体何者なの!」

驚きを隠せないユーリ

ユーリの言葉に口を開く真ん中の銀装の女性

「私はセフィリア=ティリス。銀十字を作りし者。」

そう言うとユーリから見て右側に視線を移すセフィリア

「彼女は3人目の銀装を継ぐ者。雷帝フィーナ=ラス=レイピア。」

そう言ってユーリから見て左側に視線を移すセフィリア

「彼女は4人目。桜の前任者。睦月青葉。」

それと同時に銀銃を構えるフィーナと、

銀槍を構える青葉

セフィリアも剣を構える

「クリス。銀十字を託し者。決めるのは、貴女よ。」

そう言うと同時に駆け出すセフィリアと青葉

それを援護するフィーナ

その攻撃を軽がると交わすユーリ

それを見ながら黒き剣を逆手に持ち身体を捻らせるクリス

「同時攻撃。それならば、決め手は双竜連撃のみ!」

そう言うと同時に剣が発する気が高まる

来る。」

後方で銀槍を構えている桜が呟く

桜が呟いたと同時にフィーナが銃から剣に持ち変えセフィリアと同時に攻め込む

その一瞬の隙を付き、青葉が突っ込みユーリを浮かす

それと同時に脇にそれるセフィリア・フィーナ・青葉

道が開かれると同時にユーリ目掛けて突っ込むクリス

「これで、終わりだぁぁぁ!!!

叫びながら光と闇の剣を振るうクリス

聖魔・双連

クリスの一撃が決まると口を開くユーリ

「まさか、この私が敗れるなんて。けど、彼女だけは。」

ユーリがそこ迄言うと、待っていたかの如く桜が突っ込んで来る

「貫いて!」

そう叫ぶと同時にネルビスの殻に槍の先端が当たる

「フフッ、無駄よ。その殻は敗れる事は、無い!例え私が消えてもね。」

ユーリの言葉を聞き口を開く桜

「そんな事は無い。数多の想いが宿ったこの一撃に、貫けぬ物等、無い!!!

言い切ると同時に殻が破れ崩壊する

落下するネルビスをキャッチするクリス

「まさか。そんな事が。」

そう言い放つと、ユーリは消滅した

「後は、このまま戻るだけです。」

「桜。」

桜の言葉にセフィリアが口を開く

「セフィリアさん。」

「もう、大丈夫ね。貴女なら、必ず相応しい後継者を見つけてくれるわ。」

セフィリアの言葉に口を開く青葉

「大丈夫ですよ、セフィリアさん。彼女なら、きっと。」

そうね。行きなさい、桜。未来を、守る為に。」

セフィリアの言葉に頷くとクリスと共に去っていく桜

フィーナ、ありがとう。」

「いえいえ。それじゃ私も戻ります。」

そう言うとその場から消えるフィーナ

「新しい光は、強く輝いているわね。」

ふと呟くセフィリア

それに答えるように口を開く青葉

「えぇ。楓とルナが居ますから。2人共、強くなったな〜。」

そう言うとセフィリアと共にその場から消える青葉

 

聖ハルイ王間

 

ユーリと一進一退の攻防を繰り広げるルナ

一度間を置き体勢を立て直すルナ

ふとユーリに異変が起きる

それを見て口を開くルナ

「ユーリ。最後の時ですね。」

そう言うとレヴィンクライスを構えるルナ

「月夜、私を滅ぼすと言うのか?」

「私は、蒼き星に住む者です。そして、ここには大切な友人が、仲間が居ます。

故に、侵略する貴女を、私は、討ちます!」

ルナの言葉に応えるかのように光と闇の気を増幅させるレヴィンクライス

「くっ、只では、死なぬ!」

そう言うとルナに向かい駆け出すユーリ

「往生際が、悪いですよ。」

そう言うと同時にユーリを切り裂くルナ

「月夜。」

「お帰り下さい。蒼光(そうこう)の月へ。」

ルナの言葉に倒れ込みユーリからネルビスへと戻る

そのネルビスの身体から精神体となって現れるユーリ

このままでは死ねぬ。ならば聖騎士を!

「ユーリ!」

ルナが叫んだ直後

倒れている桜とクリスの前に現れる男性

そのまま障壁を張るとその障壁に弾かれるユーリ

何者だ!

「聖さん。」

その男性を見てその名を口にするルナ

「月夜、ありがとう。ユーリ様。共に帰りましょう。我々は負けたのです。」

聖の話し方を聞き、月名(げつめい)を口にするユーリ

ユア。だが私は…―

「負けたのですよ、ユーリ様。」

聖がそう言うと起き上がる桜とクリス

「月の女王、ユーリ=ルナティック=フェレイト。私は、貴女を忘れない。」

クリスの言葉に驚くユーリ

「嬉しい事だ。さぁ、帰りましょう。ユーリ様。」

ユア。うむ

ユーリの返事を聞くとルナを見る聖

「月夜。もしカヤキスやユイに会う事が有ったら、済まないと言っといてくれ。」

「はい、解りました。お元気で。」

「月夜もな。」

そう言うとユーリと共にその場から消える聖

それと同時にルナの横に具現化する深き漆黒の闇

「漆黒の。ありがとう。」

「礼には及ばない。それに私を縛る封印はもう無い。なら、月夜の力になろう。」

深き漆黒の闇の言葉に驚くルナ

「漆黒の。どう言う事?」

「言った通り。力が必要な時は我が名を呼べ。力になる。」

そう言うとルナの中に消える深き漆黒の闇

それと同時に気が付くネルビス

「お母様!」

咄嗟に駆け寄るクリス

「クリス。ありがとう。」

「お母様。」

そんな2人の会話を見守る一同

その中にはドアの所に風とラムダの姿も有った

 

エントランスホール

 

突然倒れ込み何かが抜けて行く兵士に驚く楓と水冬

「どうやら、終わったみたいね。」

ふと女性の声が聞こえる

「フィーナさん。どう言う事ですか?」

疑問を口にする楓

「月女王ユーリが消失した。それ故に月の術も解けた。解る?私達は、勝ったの。」

フィーナの言葉に理解し、デバイスを待機モードにする楓と水冬

ふと外を見ると陽が差し込んでいた

「夜明け、か。」

そう言うと外に出る楓・水冬・フィーナ

「あとは帰って報告書と事後処理か。大変だ。」

「そうだね、楓。」

楓の言葉に答えるように口を開く水冬

 

続く

 

次回予告

月の民との戦いは終わった

全てが終わり平穏へと戻る首都

そんな中、聖騎士クリスは楓の元を訪れていた

次回Last Act「終わりから始まりへ〜聖騎士達の詩〜

 

 

 

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