Knight Of Strikers

ACT20「羽咲消滅」

 

 

梅雨が明けた7月上旬の天宮市

 

深夜の海浜公園に風濫の姿が有った

風濫の目の前には2人の女性

否、女性を象った金属の像

「我は汝等に命を与える。汝等我を主とし、我が命に従わん。」

風濫の詠唱に二体の金属象の足元に魔方陣が現れる

そのまま光を放ち、数秒程で光が止むと、2体の金属象が目を開ける

「「おはようございます、マスター。」」

「成功したみたいね。私の名前はシルヴィー。シルヴィー=ラス=フィーリアよ。

呼び方はマスターで良いわ。」

風濫の言葉に頷く二体の金属象

「それと、貴女達の名前だけど、蒼い方がルーティア。紅い方がエスキスよ。」

「ルーティア。」

「エスキス。」

それぞれ与えられた名を口にする

「私が死するその時迄、私の命に従い、私と共に闘い、私を、守りなさい。」

「「はい、マスター。」」

2人の返事を聞くと口を開く風濫

「さて、後ろに隠れてるお二人さん。私に何か用かしら?」

 

翌日

 

天宮市立中央高校

 

音楽室

 

昼休みを利用し、練習をする桜・カレン・楓・ルナ

そこに風濫とフェンが入ってくる

「やっほう。練習はどう?」

「上々、って所ですかね?シル姉。」

「そう。それよりも、空いた所にフェンを入れるわ。大丈夫。腕前は保障するから。」

風濫の言葉に驚きつつも納得する一同

ふとその時校内放送が入る

間宮先生。間宮先生。いらっしゃいましたら支給第一相談室迄お越し下さい

何だろう?ちょっと行ってくるわね。」

そう言うと音楽室を出て行く風濫

 

第一相談室

 

ドアをノックする風濫

「間宮です。」

入り給え

「失礼します。」

そう言うと相談室の中に入る風濫

そこには校長と仁科の姿が有った

「校長。それに仁科さん。」

「間宮君、座り給え。」

校長に言われソファーに座る風濫

「では、仁科君。」

校長の言葉に頷くと口を開く仁科

「直球に言おう。周囲3市を含み、羽咲が地図から消えた。」

仁科の言葉に驚く風濫

「ツテを使って聞いた確かな情報だ。住民は恐らく。」

そこ迄言うと俯く仁科

犯人は、解って居るんですか?」

「恐らく米軍だろう。心当りは、有る筈だ。」

仁科の言葉に頷く風濫

ふとそこに教員が一人入って来ると校長に耳打ちする

校長が頷くと去って行く教員

「校長。今のは?」

疑問を投げかける風濫

「間宮君。君に首相官邸から出頭命令が来ている。」

解りました。校長、迷惑を掛けますが、音楽室に私の仲間が居ますので、

上手く言っておいて下さい。」

風濫の言葉に頷く校長

「一人で、行くのか?」

「えぇ。これは有る意味私自身のケジメですから。失礼します。」

そう言うと相談室を出て行く風濫

 

海浜公園

 

一人砂浜に立つ風濫

「エスキス、ルーティア。」

風濫の言葉に姿を現す金属肌の女性二人

「私はこれから東京へ行くわ。付き合って。」

「「はい。」」

「それと、アルト。ヴァイス。」

風濫の言葉に姿を現す魔族の女性二人

「私の仲間を、お願い。秘密にして行くから、貴女達にしか頼めないの。お願い。」

解りました。ですが、必ずお帰り下さい。」

解ったわ、アルト。ヴァイス共々、お願いね。」

そう言い、2人の頷きを見ると海を向き何かを出す風濫

「もう、使わないと決めたんだけどな〜。来たれ漆黒の戦女神。我が前に姿を現さん。」

風濫の言葉に巨大なロボットが現れる

黒のカラーリングながらも、神話のヴァルキリーを連想させる装甲を持つ

その機体に乗り込むと手のひらにエスキスとルーティアを乗せる

 

コクピット内

 

「システムオールグリーン。行ける。」

そう言うと飛び立つ漆黒の戦女神

 

放課後

 

音楽室

 

そこには桜・カレン・楓・ルナにフェンリルの姿が有った

フェンリルから風濫は急な出張が入ったと聞く一同

 

ほぼ同時刻

 

都内

 

首相官邸

 

そこに降り立つ漆黒の戦女神

それから降り立つ風濫・エスキス・ルーティア

それと同時に一斉銃を向ける米軍兵

それを見て構えるエスキスとルーティア

2人を制すると口を開く風濫

[間宮風濫よ。そちらに従うわ。]

「エスキス、ルーティア。貴女達はここに居て。」

そう言うと米軍兵に連れられ官邸内へと入って行く風濫

 

官邸内

 

会議室のような部屋に入るとそこには各大臣に総理

それと米軍関連の人物も何人か居た

「間宮風濫です。何用でしょうか?」

「良く、来てくれた。用件は解っていると思うが。」

首相の言葉にやれやれっと言った感じで口を開く風濫

「過ぎし日の米軍に寄る羽咲侵攻の時の私、

及びSKの生き残りに寄る米軍への行為ですね。」

風濫の言葉に頷く一同

「何か弁明は、有るかね?」

「自らが生まれ育った町を蹂躙されたのです。これは正当防衛と私は主張します。

それに、爆撃等で多数の死傷者が出ています。そちら。この場合米軍兵ですね。

にもそれ相応の覚悟がご有りと思うのですが。何か違いますか?」

違くは、無いが。それではアメリカが納得しないのだよ。」

「なら、どうするおつもりですか?

周囲3市を含み羽咲を地図から消しただけじゃ気が済まないのですか?」

風濫の言葉にざわつく一同

「知って、いたのか?」

「はい。こちらへお伺いする前に。」

黙り込む一同

米軍関連の人物が何か耳打ちをしている

「内緒話ですか?コソコソとするのが大好きなんですね。貴方達は。」

「間宮君!」

「失礼しました。」

風濫がそう言うとふと内線が入る

「私だ。どうした?」

ハッ、上空に突然巨大な飛行物体が現れました!

「飛行物体、だと?詳細は解らないのか?」

調査中です。なんだお前は止まれ!

通信先の兵士がそう言うと鈍い音が響く

「おい、どうした?応答しろ!」

総理が叫ぶ

その様子にざわつく一同

こんにちは。総理ですか?

ふと聞こえる女性の声

「誰だね?君は?」

尋ねる総理に対し確信している風濫

そうね。羽咲SKとでも名乗っておきましょうか

羽咲の名前が出て動揺し始める米軍関連の人物

風濫、居るんでしょ?貴女にお客さんよ

通信先の女性がそう言うと風濫の目の前に魔方陣が現れる

その様子に驚く一同

魔方陣からは黒き戦女神が姿を現した

その姿を見て風濫も驚きを隠せない

「お久振りね、間宮風濫。聖神クリスの名の元に、貴女に協力するわ。」

ありがとう、アーリィ。さてと、私はこれから仲間の所に戻りますが、

これだけは覚えておいて下さい。私達SKは、ただじゃ済みませんから。

アーリィ、外迄お願い。」

そう言うとその場から消える風濫

 

官邸外

 

魔方陣で転移して来る風濫とアーリィ

漆黒の戦女神の前に転移して来るとそこは米軍兵に包囲されていた

周囲を見て呆れる風濫

「やれやれ。」

そう言うと同時に漆黒の戦女神に乗り込む

 

コクピット

 

システムを起動させると目の前に小さくなったアーリィが現れる

その左右にエスキスとルーティアも現れる

「あれ?エスキスにルーティア迄。アーリィ、まさか?」

「えぇ、その通りです。」

アーリィの言葉に若干呆れるが直ぐに持ち直す

「アーリィ!周囲チェック!」

「了解。直ぐ上にエクスカリバー級高速戦闘艦エフィスが滞空しています。」

「エクスカリバー級。成程。エフィスに合流通信入れといて。飛ぶよ!」

風濫の言葉にその場から飛翔するダークネスヴァルキリー

 

エフィス格納庫

 

ハンガーにダークネスヴァルキリーをセットすると機体から降りる風濫

そこにはユイ・カヤキスにルイの姿が有った

「お久しぶりです、間宮さん。」

「ユイさん。御無事だったのですね。」

風濫の言葉に頷くユイ

「攻撃の前に彼女が現れて、教えてくれたから。」

ユイの言葉に姿を現す蒼い鎧の戦女神

その戦女神を見て口を開く風濫

「レナス。と言う事はシルメリアも?」

風濫の言葉に頷くと口を開くユイ

「はい。既にフィーナさんの元へ。」

ユイの言葉を聞き口を開く風濫

「それなら、こちらはこちらでやらせて頂こうかな?」

「それは良いですね。都合良く2機の戦女神が有りますから。」

そう言うと見上げるユイ

 

天宮市

 

中央高校

 

音楽室

 

校長から風濫に関しての話を聞く桜・カレン・楓・ルナ・フェンリル

校長が去ったのを確認して口を開くフェンリル

「成程。風濫らしいわね。」

「フェンリルさん。シル姉はまさか?」

ルナの言葉に「黙ってて」と言う仕草をするフェンリル

「さてと、楓。ルナ。これからどうするかは貴女達が先頭に立って考えなさい。」

フェンリルの突然の言葉に驚くルナと楓

「驚く事?私達SKはそう言う物よ。実質、

長野の時からSKは風濫が頭みたいなモンだったし。私とレイはそれのサポート。

世代交代。今が、その時期なのよ。」

フェンの言葉に俯く楓とルナ

そんな2人を見て口を開くフェン

「まだ、早かったかな?」

フェンのその言葉を聞き口を開くルナ

「そんな事は、無いと思います。以前シル姉に言われました。」

いつかルナと楓がSKを引っ張って行く時期が来る

「シル姉は、そう言っていました。そして、今がその時期なんだって。」

「良く言ったわね。次に事件が起きた時。その時こそ、SKの引き継ぎの時よ。」

「解っています。」

ルナの返答にルナの頭に手を置くフェンリル

「ごめんなさいね。私達の都合で振りまわして。」

「大丈夫です。海山の時で既になれましたから。」

笑顔で答えるルナ

ありがとう、ルナ。」

 

続く

 

次回予告

―――剣は、振り上げられた

SKを全て滅ぼそうと天宮市へと侵攻を開始する米軍

彼女達は戦う

自らが生まれ育った街を守るため

彼女達は戦う

自分達を、受け入れてくれた街を守る為に

次回ACT21「振り下ろされた剣〜真実を知った時〜」

 

 

 

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