GUNDAM WAR SD
-神魔の銃剣士-
第9章「落日の秋葉」
リュウガ・デスティニーガンダム。
物心ついたときには、暗黒の銃剣士の中で生きていた。
両親が誰なのかは知らない。2人が暗黒の銃剣士の側にいたのか、別の住人だったのかも。
家族を知らないリュウガは、孤独が普通だと思い、1人で過ごすことが多かった。
孤独の生と戦いの中で、リュウガは強くなっていった。
その力の高さと冷めた態度で、彼は周りを寄せ付けなくなっていた。
1人でい続けていたリュウガに、近づいてきた1人の男がいた。
「かなり強い銃剣士がいると聞いてきたんだ。」
男が声をかけるが、リュウガは答えない。
「オレももっと強くなりたい。そのために君と切磋琢磨していけたらと思っている・・」
「消えろ・・オレは誰とも関わるつもりはない・・」
微笑みかける男だが、リュウガは冷たく言い返す。
「1人で腕を磨き続けるには限界がある。それは君も気付いていると思うが・・」
「消えろと言ったはずだ・・それとも、オレに倒されるのが望みか・・・?」
男が声をかけ続けると、リュウガが鋭い視線を向けてきた。
「敵だけでなく味方にも容赦なし・・噂通りだね・・言葉じゃなく力で理解し合う形も、悪くはないか・・」
男はため息をついてから、真剣な面持ちを浮かべて構えた。
「素手で戦うか?それとも銃剣を使うか?」
好きなやり方を選ばせようとする男に、リュウガは答えずに飛び掛かる。リュウガが繰り出す拳を、男は冷静に見切ってかわしていく。
「確かに力は高い。しかし猪突猛進では真に強いとは言えない。」
男が落ち着きを払って指摘して、リュウガの後ろに回り込んだ。
「うっ!」
男に背中に打撃を当てられて、リュウガが前のめりに倒れる。
「大切なのはただ力を高めることだけではない。相手の力と動きを見切り的確に対処すること、そして仲間と力を合わせることだ。」
男がリュウガに本当の強さについて語っていく。
「相手の言葉に耳は貸さない。敵対している以上、倒すか倒されるかしかない・・・!」
リュウガは聞かずに再び殴りかかる。しかし男に打撃を全てかわされる。
(強い・・今まで戦った相手の誰よりも強い・・・!)
男の強さを痛感して、リュウガが毒づく。
(だがオレはヤツを倒す・・敵を倒して生き残るのが、オレの戦いで生き方だ・・・!)
自身の信念を貫き、リュウガが背負っている紅龍刃を手にした。
「次は銃剣の戦いか。いいだろう。」
男は呟き、後ろに収めていた両刃の銃剣「双雷刃(そうらいじん)」を手にした。
「それにしても巨大な銃剣だ・・誰でも簡単に使いこなせるものではないはずだ。」
男が紅龍刃の大きさを目の当たりにして警戒する。
「しかし使い込んでいる・・使いこなせないわけではないようだ・・・」
リュウガが相応の力を持っていると理解して、男が目つきを鋭くする。
「オレの名はライアン・レジェンドガンダム。この双雷刃で、お前とお前の銃剣の相手をする。」
「ライアン・・オーガ・プロヴィデンスガンダムの子・・・!」
男、ライアンが名乗り、それを聞いたリュウガが緊張を覚える。
「オレを上回る力を持っているのも当然か・・だがオレは負けを認めるつもりはない・・・!」
リュウガがいきり立ち、ライアンに向かって飛びかかり紅龍刃を振り下ろす。ライアンが回避行動を取るが、紅龍刃が地面に当たった衝撃に押される。
「何という威力だ・・彼の銃剣を使った力が、これほどとは・・!」
ライアンが着地して、踏みとどまって衝撃に耐える。
「しかし直線的な攻撃であることに変わりはない。動きを読めば十分にかわせる・・」
彼が冷静にリュウガの動きを見計らう。
リュウガが再び紅龍刃を振り下ろし、光の刃を放つ。ライアンは衝撃が及ぶのも考慮して、横に動いて刃をかわした。
その直後、ライアンがリュウガの横に来て、すれ違い様に双雷刃を振りかざした。
「ぐっ!」
双雷刃による打撃と、その刀身から発せられた電撃で、リュウガはショックを受けて目を見開いた。彼は意識を保てなくなり、前のめりに倒れた。
「リュウガ・デスティニーガンダム・・父上がその大きな力に対して目を掛けている銃剣士・・・」
横たわるリュウガを見下ろして、ライアンが呟く。リュウガの力を確かめるため、ライアンは彼と会い対決を受けたのだった。
ライアンとの対決で倒れたリュウガは、暗黒の銃剣士の拠点「暗黒城」の医療室で目を覚ました。
「ここは・・・」
「目が覚めたか、若造。」
ベッドの上にいたリュウガが体を起こすと、医師のゲンム・ハイザックが声をかけてきた。
「ここに来ても戦いには勝っていたお前が、まさか負けてここに運ばれてくるとはな。」
「運ばれた?」
「あの方、ライアン様がお前を運んできたのじゃ。勝負で気絶させてしまったから手当てをしてほしいと・・」
「ライアン・・オーガの子である銃剣士・・・」
ゲンムの話を聞いて、リュウガがライアンのことを思い出す。
「たとえ同じ暗黒の銃剣士だろうと、オレに敵対するなら容赦はしない・・・」
「お前・・オーガ様やライアン様に対して無礼だろう・・」
静かな敵意を抱くリュウガに、ゲンムが苦言を呈する。
「オレはオレだけの力で生きていく。他の銃剣士も王族も、オレには関係ない。」
「本当にしょうがないヤツじゃ・・反逆者として追われても、わしは知らんぞ・・」
自分の考えと態度を変えないリュウガに、ゲンムが呆れ果てていた。
「大きなケガはなかったか?ないならオレは行くぞ。」
リュウガはベッドから起きて、医療室を出ていく。
「全く・・こんな調子で戦い続けて生き続けてるのが不思議なくらいじゃ・・」
彼に対して大きく肩を落としてから、ゲンムは他の怪我人の療養を行った。
リュウガとの勝負を終えたライアンは、父であるオーガに彼のことを話した。
「ほう。ヤツのことを気に入ったようだな、ライアン。」
「はい。彼の力は暗黒の銃剣士の中では指折りのものです。」
オーガがリュウガに関心を持ち、ライアンが話を続ける。
「それで父上、リュウガと共に戦いを行っていきたいと思っているのですが、よろしいでしょうか?」
「だがあの男は単独行動を続けている。戦いには加勢して勝利に貢献しているが、命令には従わんぞ・・」
「それでも私は彼と力を合わせることができると信じています。」
「そうか・・ならば好きにやってみるがいい。」
リュウガと仲良くなれると信じるライアンの進言を、オーガが了承する。
「ありがとうございます、父上。」
ライアンは一礼して、オーガに背を向けた。
「ライアン、私はそろそろ王座を退こうと思っている。ここにいる銃剣士を束ね前線で戦える力を出せなくなってきていると、私は感じている・・」
「父上・・・」
引退をほのめかすオーガに、ライアンが困惑を覚える。
「ライアン、お前なら暗黒の銃剣士を率いていける。それだけの力と精神を兼ね備えている・・」
「父上、私にはもったいないお言葉です。しかし父上、私はこの先、あなたに長生きしてほしいと思っています。」
「王座を退くつもりだが、まだまだ生きていくつもりだ。それでお前たちに助言や助力をしていくぞ。」
「父上、あなたのお言葉、了承いたしました。」
オーガの言葉を聞き入れて、ライアンは立ち去った。
(次期王者の座を狙う者は多い。他の上位の銃剣士がそれを狙って、邪魔者を蹴落とすことも十分にある・・)
王者争いが過激化することを予感して、オーガはライアンが狙われることを危惧する。
(だがライアンなら乗り越えられるはずだ。それだけの力が、お前の心身にあるのだから・・)
オーガはライアンを信じて、残りの王者の時間を過ごそうとしていた。
医療室を出たリュウガは紅龍刃を手にして意識を集中していた。
(負けた・・オレが、完膚なきまでに・・・)
ライアンに力でも技でも敗北したことを痛感し、リュウガは屈辱を感じていた。
(ヤツを上回るには、それだけの新しい力を手にしなくてはならない・・新しい力・・新しい技・・・!)
強くなろうと考えて、彼は紅龍刃の柄を握りしめる。
「ここにいたのか、リュウガ・デスティニーガンダム。」
そこへライアンが現れ、リュウガが振り向いた。
「お前、またオレの前に来たのか・・!?」
「すっかり嫌われてしまったかな・・でも、オレは君が必要だと思っている。これからの戦いに。」
鋭い視線を向けるリュウガに苦笑いを浮かべて、ライアンが手を差し伸べる。
「ふざけるな・・オレは誰とも組むつもりはない。特にお前と慣れ合うつもりはない・・・!」
しかしリュウガは彼からの誘いを拒む。
「君はこれまで、単独行動を行いながらも、暗黒の銃剣士の勝利に貢献してきた。偶然と思っているだろうが、オレは君に感謝している。」
「感謝しても何にもならないぞ。それに、今のオレはお前を敵だと思っている。オレの前に立ちふさがる壁だとな・・」
礼を言うライアンに、リュウガが紅龍刃の切っ先を向ける。
「あくまでお前にとってオレは敵か・・ならオレのそばに来て、一緒の戦場で戦ってみたらいい。隙を突いて後ろから狙って構わない。」
「オレはそのような卑怯なことはしない。倒すなら正面から挑む・・」
「強情なことだ・・だけど、武人としての器量の持ち主のようで、オレは嬉しいよ。」
「オレは武人だとか正々堂々とか思ったことはない・・オレを勝手に計るな・・」
称賛するライアンだが、リュウガは冷たく言い返すだけである。
「そのうち、オレとお前が同じ戦場で、意図せずに共闘することになるかもしれない。そのときを楽しみにさせてもらうよ。」
ライアンはそう言ってから、リュウガの前から去っていった。
(どういうつもりだ、ヤツは・・オレを上回る力を持ちながら、オレを必要とするだと・・・!?)
ライアンの動向に疑問を感じ、リュウガは苛立ちに打ち震えていた。
暗黒の銃剣士が仕掛けた戦いが、「ビーストキングダム」で行われた。
この戦いにリュウガも参加していて、ライアンも小隊の指揮を行っていた。
リュウガが紅龍刃を振りかざし、ビーストキングダムの尖兵であるバグゥウルフたちをなぎ払っていく。
「強い・・これが噂に聞く紅蓮の銃剣士・・・!」
「パワーだけじゃなく、スピードもある・・・!」
バグゥウルフたちがリュウガの強さに脅威を覚える。
「情けないぞ、お前ら!それでもビーストキングダムの戦士か!」
そこへ檄が飛んで、バグゥウルフたちが緊迫を募らせる。リュウガの前に1人の男、ラゴゥタイガーが現れた。
「隊長、この男、かなりの強さで・・・!」
バグゥウルフの1人がラゴゥタイガーに言いかける。
「腑抜けたヤツらが・・ヤツの相手はオレがする!お前たちは他のヤツらを止めろ!」
「はっ!」
ラゴゥタイガーが命令して、バグゥウルフたちが答えてこの場を離れた。
「貴様の相手は、このラゴゥタイガーがする!」
「誰が来ても、オレはそいつを倒すだけだ・・・!」
ラゴゥタイガーが言い放ち、リュウガが迎え撃つ。
ラゴゥタイガーが腰に提げていた2本の剣を手にして飛び掛かる。彼がスピードのある剣劇を繰り出すが、リュウガが紅龍刃で防いでいく。
「そこだ!」
ラゴゥタイガーがリュウガの後ろに回り込み、剣を振りかざした。次の瞬間、リュウガが振り向き様に紅龍刃を振って、ラゴゥタイガーを吹き飛ばした。
「バカな!?・・オレが、こうも簡単に力負けするなど・・!?」
ラゴゥタイガーがリュウガの力に脅威を覚える。
「まだ続ける気か?それとも逃げるのか?」
リュウガが忠告して、紅龍刃の切っ先をラゴゥタイガーに向ける。
「逃げるわけにはいかない・・城や国を捨てて自分だけ生き残るくらいなら、死んだほうがマシだ!」
ラゴゥタイガーが言い返し、再び飛び掛かり剣を振り下ろす。
「果たせない使命のために死に急ぐのか・・・」
リュウガがため息をついて、紅龍刃を振り上げた。
「ぐあっ!」
ラゴゥタイガーが跳ね上げられて、2本の剣もはじき飛ばされた。倒れた彼にリュウガが近づく。
「これ以上は戦うな・・ムダに命を散らすことは、愚かなことだぞ・・」
リュウガはそう言って、ラゴゥタイガーに背を向けた。
「ま、待て・・なぜ、とどめを刺さない・・・!?」
ラゴゥタイガーが倒れたままリュウガに問いかける。
「何の抵抗もできない相手にとどめを刺すのは、オレのが済まないだけだ・・それでもとどめを刺されたいというなら、もう1度反撃してくることだな・・」
リュウガはそう言って、ラゴゥタイガーから離れていく。
「おのれ・・行かせるか・・・!」
ラゴゥタイガーが起き上がろうとするが、体が言うことを聞かない。
「ここまでなのか・・オレの力は、ヤツに通用しないのか・・・!?」
彼が自分の無力さを痛感して、握った手を地面に叩きつけた。
それからビーストキングダムは暗黒の銃剣士によって陥落した。最後まで抵抗を続けた者以外を、ライアンはあえて見逃した。
(暗黒の銃剣士が全ての世界を統一する。その中に住む者がいなければ、統一が成り立たないからな。)
大量殺戮は世界のためにならないと考えていたライアン。彼は近くを通りがかったリュウガに気付き、視線を移す。
(この理想郷の実現には、リュウガ、お前のように力と志を兼ね備えた者が必要なんだ・・)
無闇に命を奪わない力の持ち主であることから、ライアンはリュウガに目を掛けていた。
リュウガとライアンが出会って1ヶ月が過ぎた。
銃剣士として戦い続けていたリュウガは、ライアンのいる戦場にいることが多くなった。
リュウガの戦いはいつも苦戦せずに勝ってきたわけではなかった。屈強の銃剣士に苦戦を強いられることもあった。
窮地に追い込まれたリュウガを救ったのはライアンだった。ライアンは双雷刃で相手の銃剣士を撃退した。
「危ないところだったね、リュウガ。」
「余計なマネをするな・・あの銃剣士の相手はオレがしていたのだぞ・・・!」
微笑んで手を差し伸べるライアンに、リュウガが不満を言う。
「お前が命を落としてほしくないと思っているからね・・お前にとってはお節介かもしれないけど・・」
「全くだ・・いつまでもオレに関わろうとして・・それでオレが気を許すと思うな・・・」
正直な気持ちを言うライアンだが、リュウガは冷たい態度を変えない。
「別にそのようなことは望んではいない。あくまでオレのわがままだ・・」
ライアンはそう言って、リュウガから離れていった。
「アイツ・・そこまでオレを仲間にしたいのか?・・オレがそんなことをしないと、いい加減に分かっているはずなのに・・・」
関わり続けようとするライアンのことを、リュウガは次第に気にするようになっていった。
それが、孤独の生き方を続けてきたリュウガの初めての友情のきっかけだった。
それから半月後、暗黒の銃剣士はグランドワールドを攻めていた。
リュウガの前に立ちはだかったのは、フォール・シャイニングガンダムだった。
「暗黒の銃剣士、お前たちにこの国は渡さん!」
「オレは強い相手と戦いたいだけだ。戦いに赴けば、それが1番叶いやすい・・」
言い放つフォールに、リュウガが自分の考えを告げる。
「そのようなことで他国を蹂躙しようとは・・許してはおけない!」
フォールが怒りを燃やし、全身に力を込める。彼の両手には銃剣「フォールナックル」が装備されている。
「この拳で、まずはお前を打ち倒す!」
フォールがリュウガに飛び掛かり、右の拳を繰り出した。リュウガも右の拳を出してぶつけ合うが、フォールの力に押された。
「格闘技に特化した銃剣士か・・・!」
リュウガが右手に痺れを感じて、フォールの力を痛感する。
「だが、総合的な力はどうか・・・!」
リュウガが紅龍刃を手にして、フォールを見据える。
「その銃剣がお前の最大の力か・・それを使ってきても、オレはお前に負けない!」
フォールが気圧されることなく、両手を握りしめて再びリュウガに向かっていく。
「その銃剣、オレの拳で打ち砕く!シャイニングナックル!」
フォールが力を込めた右の拳を、リュウガ目がけて繰り出した。
「紅蓮紅龍閃!」
リュウガが斜めに紅龍刃を振りかざして、フォールの拳にぶつけた。
「ぐっ!」
フォールが拳を押し返され、斬撃を体に受けて吹き飛ばされた。仰向けに倒れて、彼は起き上がれなくなる。
「体が動かない・・まさか、一撃で致命傷を負うことになるとは・・・!」
リュウガとの力の差を痛感し、フォールが愕然となる。彼に近づいて、リュウガが紅龍刃の切っ先を向ける。
「これでお前の敗北だ・・死に急ぎたいなら、すぐにまたオレに攻撃することだな・・」
リュウガは忠告を言うと、紅龍刃を下げてフォールから離れた。
「オレは倒れるわけにはいかない・・この国のため、妹のため・・必ずお前たちをこのグランドワールドから追い出してみせる・・!」
フォールが力を振り絞り、傷ついた体を無理矢理動かして立ち上がる。
「妹が大事なら、こんなところで倒れていないで、妹のところへ帰るのだな・・・」
リュウガはそう言って、フォールの前から去っていった。
「オータム・・すまない・・・グランドワールドを守れず、おめおめと生かされて、オレは悔しい・・・!」
妹、オータムのことを考えて、フォールは守れなかったことを悔やんだ。
「だったらこれでおしまいということにしようよ。」
そこへ声が掛かり、フォールが振り返った。彼の前に現れたのが、ソウマだった。
「何だ、お前は・・お前も暗黒の銃剣士か!?」
フォールが身構えて、ソウマに問いかける。
「そういうことになるね。彼の代わりに、僕がとどめを刺してあげるよ。」
ソウマは微笑んで、蒼天刃を手にした。
「オレはやられるわけにはいかない・・せめて、妹のところに帰らなければ・・・!」
オータムのことを想うフォールが、力を振り絞ってフォールナックルに込める。
「シャイニングナックル!」
彼がソウマに向かって拳を繰り出した。
「蒼天迅雷(そうてんじんらい)!」
ソウマが高速で飛びかかり、蒼天刃を振りかざした。
「ぐっ!」
フォールが体を切り裂かれて目を見開いた。
(オータム・・すまない・・オレ、戻れないようだ・・・)
彼が前のめりに倒れるも、地面に手をついて耐える。
「頑張るね。僕と会う前から疲れていたのに、それから僕の攻撃を受けてもまだ意識があるなんて・・」
ソウマがフォールに目を向けて感心する。
「だがその往生際の悪さもここまでだ。」
そのとき、ロアもフォールの背後に現れて、疾風双刃剣を振り下ろした。疾風双刃剣に体を貫かれ、フォールが目を見開いて倒れた。
「これでグランドワールド最強の銃剣士も倒れた。グランドワールドもオレたちの制圧下に置かれた。」
「そうだね。この調子でもっともっと領土を大きくしていこうね。」
ロアが呟いて、ソウマが微笑んで頷いた。
これがソウマとロアが暗黒の銃剣士に加わって初めての戦。2人がまだソウマ・フリーダムガンダム、ロア・ジャスティスガンダムだった頃のことだった。