GUNDAM WAR -Encounter of Fate-
PHASE-34「アリカ」
ジーザス、クサナギの現状の把握に一区切りをつけたミドリとユキノ。
ひとまずジーザスを降り、体を休めるミドリ。ジュースを口にしているところへ、ユキノがやってきた。
「お疲れ様です、ミドリさん。」
「ユキノちゃんこそお疲れ様。はい、ジュース。私のおごり。」
「ありがとうございます。いただきます。」
ミドリから缶ジュースを手渡されるユキノ。微笑みかけてからジュースを一口する。
「マイちゃんたち、楽しんでいるでしょうか?」
「楽しんでるわよ、きっと。久しぶりの休みだもん。楽しまなきゃ損だよ。」
ユキノの唐突な問いかけに、ミドリが気さくに笑って答える。
“艦長、4時の方向より、1隻の小型艇が接近してきます。”
そのとき、ジーザスからアオイの通信が入ってきた。ミドリがジーザスに振り返り、耳を傾ける。
「船籍は?」
“船籍データは・・ダークサイドのものです!”
アオイの声が突然荒げ、ミドリとユキノも緊迫を覚える。ダークサイドが、再びライトサイドに攻め入ろうとしているのだろうか。
「第二級戦闘配備!移動用の小型艇といっても、攻撃してこないとも限らないからね!」
ミドリはアオイやジーザスのクルーたちに指示を出し、急いで艦内に戻ろうとする。
「あっ!待ってください!」
「えっ・・!?」
突然ユキノに呼び止められ、ミドリはとっさに足を止める。振り返った彼女の眼の前で、小型艇はジーザスの脇の草原に着陸する。
ユキノが真剣な面持ちで頷くのを見てから、ミドリは制服の内ポケットに護身用の拳銃があることを確認しながら小型艇に向かって駆け出す。小型艇の前に辿り着くと、彼女は拳銃を取り出して構え、警戒する。
ミドリ、そして後から駆けつけたユキノ、チエが見つめる中で、小型艇のハッチが開かれる。しかしパイロットがなかなか出てこず、ミドリたちは眉をひそめる。
「どういうことでしょうか・・・?」
ユキノが困惑の面持ちで訊ねてくる。
「待ち構えて不意打ちを狙ってるのでしょうか・・?」
チエも続いて疑問を投げかける。
「私が様子を見てくるわ。あなたたちはここにいて。」
ミドリはユキノとチエに言いかけてから、銃を構えつつ前進する。十分に警戒しながら小型艇の船体に足をつける。
そしてコックピットに向けて拳銃を構えながら中の様子をうかがう。だが、そこで彼女の表情が強張る。
「こ・・これは・・・!?」
ミドリは驚愕を覚えた。コックピットには疲れ果てて意識を失っていたセルゲイの姿があった。
マイたちが街で楽しい時間を過ごしている間、ユウは彼女たちより先に病院を訪れていた。シホの見舞いが目的だ。
マイとユウの駆るカグツチに撃退され、シホの搭乗していたスサノオーはヴィントブルムの地上に落下。意識を失った彼女が救出され、ヴィントブルムの病院に搬送されたのだった。依然として意識は戻っていないが、命や心身に別状はないらしい。
「さてと、アイツはどうしてるかな・・・?」
いきなり飛びつかれることも覚悟しながら、ユウは病院に入っていった。そこで彼は療養中のアキラを見つける。
「よう、アキラ。元気にしてるか?」
「あ、先輩。お久しぶりッス。」
ユウに声をかけられ、アキラが微笑んで答える。
「オレは大したケガじゃないッスよ。ここにいるMSパイロットたちも命に別状はありません。」
「そうか・・・」
アキラの言葉にユウは安堵の笑みをこぼす。
「親しくなりましたよ。シアーズのパイロットだったユカリコ・シュタインベルグさんとも。あの人も自分が描いていた平和のために戦っていたみたいで。退院したら、再び教会に戻って平和のために尽くすって言ってましたよ。」
「シスターねぇ・・それもそれでいいんじゃねぇかなぁ・・」
ユウは思わず苦笑を浮かべる。アキラも笑みをこぼしていたが、すぐに沈痛の面持ちになる。
「けど、タクミはアルテミスの爆発に巻き込まれて・・・すいません。オレがもっとしっかりしていれば・・・」
タクミを失った悲しみと救えなかった無力さを悔やみ、アキラは眼に涙を浮かべていた。ユウはその姿に対して笑みを作り、肩に手を当てる。
「お前のせいじゃないさ。お前はタクミを助けようと全力で戦ってた。タクミはきっと、お前に一生懸命に生きてほしいって思ってるはずだぜ。」
「先輩・・・」
「お前がタクミのことを大事にしてるなら、諦めるな・・」
ユウのぶっきらぼうな励ましを受けて、アキラは笑みをこぼした。
「先輩、シホさんの見舞いでしたね。オレが病院まで案内しますよ。」
「そうか。ワリィな・・」
アキラの言葉にユウは甘えることにした。
「けどまだ意識が戻ってないみたいで・・意識が戻れば、もう大丈夫だって医者は言ってましたが・・」
「意識が戻るまでの踏ん張りどころかぁ・・眼が覚めたらアイツ、前以上にオレに甘えてきそうだな。」
シホのことを思い、ユウは苦笑いを浮かべる。アキラも笑みをこぼして、2人はシホの病室へと向かった。
セルゲイが眼を覚まして見たのは、見知らぬ場所の天井だった。思い立った彼は体を起こすが、悲鳴を上げる体に思いとどまる。
「こ、ここは・・・?」
「気がついたようね。」
セルゲイが呟いたところで、部屋の中にはミドリの姿があった。ここはジーザスの医務室で、彼女のほかにヨウコ、チエ、アオイがいた。
「肩の傷は大事には至ってないわ。うまく弾が貫通していたようね。」
ヨウコがセルゲイの診察結果を淡々と告げる。呆然としている彼に、ミドリが真剣な面持ちで声をかける。
「さて、じっくりとお話を聞かせてもらいましょうか。あなたはダークサイド、アルタイ王国の大使館、セルゲイ・ウォンね?」
「あぁ・・確かにオレはセルゲイ・ウォンだ・・」
問いつめてくるミドリに、セルゲイは淡々と答える。
「あなたが乗ってきた小型艇は、間違いなくこのヴィントブルムに向かっていた。何の目的でここに来たのかしら?」
「オレは・・・そうだ・・・!」
セルゲイは思い立って再びベットから起き上がる。医務室を出て行こうとしたところを、ミドリとヨウコに止められる。
「待ちなさい。あなたは一応は捕虜として扱われる立場なんだから、勝手に動かないでよ。」
「それにまだムリできる体ではないのよ。もう少し安静にしていなさい。」
「ダメだ・・早くしないと、黒曜の君が・・・!」
セルゲイの口にした言葉に、ミドリたちは驚愕を覚える。
「黒曜の君・・レイト・バレルが来てるって言うの・・・!?」
「いや、違う・・真の黒曜の君が、ここに来ているんだ・・・!」
セルゲイの言葉の意味が分からず、ミドリたちは困惑していた。その隙にセルゲイが満身創痍の体を引きずって、医務室から、ジーザスから駆け出した。
アキラの案内で、ユウはシホの病室に行き着いた。病室内ではベットで眠っているシホの他、その横で彼女の様子を見つめているユカリコの姿があった。
「あら、アキラさん、ごきげんよう。」
ユカリコは微笑ましい姿をアキラとユウに見せてきた。
「あなたがシホさんのお兄さんの、ユウ・ザ・バーチカルさんね?」
「えっ?・・あ、はい・・」
唐突にユカリコに声をかけられ、ユウは少し戸惑いながら答える。
「シホさん、今はぐっすりと眠っていますわ。お医者さんも、もう少しで眼を覚ますのでないかと判断していますわ。」
「そうですか・・・」
シホの髪を優しく撫でるユカリコの言葉に、ユウは安堵の笑みをこぼした。
「オレ、医者とちょっと話をしてきます。アキラ、ユカリコさん、後は頼む・・」
「分かりました。」
「お任せください。」
ユウの言葉にアキラとユカリコが頷く。それを見て笑みをこぼし、ユウは病室を後にした。
それから1時間近く、ユウは医者と話をしていた。
シホの容態だけでなく、とりあえず自分の左足のケガについても聞いていた。当然もう完治していると指摘されて、ユウは同じ問いをしてしまったことに照れ笑いを浮かべるばかりだった。
「それじゃ、お大事に。妹さんも“お兄ちゃん”も。」
「もう、勘弁してくださいよ・・」
ユウは医者と別れ、再び病室に戻ろうとした。その途中、ふと喉が渇いて、何か飲み物を買おうと自販機に寄り道した。
お金を入れてボタンを押して缶ジュースを取り出そうとしたときだった。
「えっ・・・!?」
横目に入ってきた少年の姿に、ユウは驚きを覚えた。服装は異様なほど違っていたが、その顔がタクミに見えたのだ。
「タクミ・・・!?」
ユウは少年が行過ぎたほうに振り返る。
「タクミ!」
たまらず大声を上げるが、少年は振り返ることがないまま、忽然と姿を消してしまった。
「気のせいか・・・」
幻か人違いと思い、ユウは自販機から出てきた缶ジュースを取り出した。
その間、ユカリコは依然としてシホを見つめていた。アキラは用を足すといってひとまず病室を出ていた。
「あなたには神の御心があります。あなたのけがれなき心を、神は必ずお救いになることでしょう・・・」
ユカリコはシホの安否を神に祈っていた。常に神への祈りは、シスターを務めていた彼女の習慣となっていた。
そのとき、病室が唐突にノックされ、ユカリコはドアのほうに振り返る。
「はーい。」
ユカリコは清楚で明るい返事をして、ドアを開けようとする。
(先生でしょうか?・・でもこの時間はシホさんの検診の時間ではないはずですが・・・)
一抹の疑問を浮かべながら、ユカリコはドアを開けた。
そこには1人の少年が立っていた。幼く優しい面持ちをしているが、身に付けている黒い制服がその雰囲気を淀ませていた。
「あの・・どうしたのかしら・・・?」
ユカリコが微笑んで訊ねるが、少年は無邪気な笑みを浮かべたまま言葉を発しない。
「お父さんとお母さんは・・それともお友達と一緒なのですか?」
彼女がさらに聞くと、少年の表情が次第に鋭くなる。
「あなたがオーブのMSパイロット、ユカリコ・シュタインベルグさんですか?」
「はい。そうですが・・・?」
少年の問いかけにユカリコが疑問符を浮かべる。すると少年は腰に下げていた剣を鞘から抜くと、突然彼女を斬りつけた。
「えっ・・・!?」
一瞬何が起こったのか、ユカリコは分からなかった。体から力が抜け落ち、彼女はその場にくず折れた。
「シアーズの兵力はダークサイドに移っているはず。よってあなたは僕たちにとっては反逆者ということになります。」
少年、黒曜の君は冷淡な表情で、倒れて動かなくなったユカリコを見下ろしていた。
「さて、次は・・・」
少年は病室に入り、ベットで眠りについているシホに近づく。そして彼は剣を突き上げ、彼女に切っ先を向ける。
「シホ・ユイット、次はあなたの番ですよ。ユカリコさん同様、あなたも反逆者として命を終えるのです。」
少年が笑みをこぼして剣を振り下ろそうとする。
そのとき、病室を離れていたアキラが戻ってきた。事切れたユカリコに気付いたアキラは、危機感の募る事態に気付くが、少年に眼を向けた直後、眼を見開いた。
「お、お前は・・・!?」
驚愕するアキラの声に、少年は剣を引いて振り返り、笑みをこぼす。
「久しぶりだね、アキラくん。」
少年は優しい笑顔をアキラに向けてくる。アキラにとって印象強い笑顔だったが、あまりにも凍りついて感じられるものだった。
「突然のことで驚いているみたいだね。でも心配しなくていいよ。僕はアキラくんの前にこうして戻ってきたから・・・」
「どうなってんだよ、こりゃ・・・タ・・タクミ・・・!?」
アキラは動揺を隠しきれず、後ずさりするばかりだった。眼前の少年、タクミ・エルスターは、アキラに対して笑みを絶やさなかった。
買い物をひとまずジーザス、クサナギに置いた後、マイたちは病院を訪れた。シホ、アキラ、そして他のMSパイロットたちの見舞いのためである。
とりあえずユウと合流しておこうと、マイは受付でシホの病室を確認をしていた。
その間に、アリカは受付前の広間にいる人たちとの会話を繰り広げていた。誰とでも気軽に話す彼女の姿に、エルスティンとイリーナは微笑ましく見守っていたが、ニナは気恥ずかしそうに見ていた。
そしてアリカが病院の正面玄関を通り過ぎようとしたとき、ふらつきながら病院に入ってきた青年の姿に気付く。
「あれ・・・?」
青年の様子にきょとんとなるアリカ。そんな彼女に、青年が脱力して寄りかかってきた。
「あ、あわわ、ちょっと・・・!?」
突然寄りかかられて、アリカが声を荒げる。その慌しさに、ニナたちが駆け寄ってきた。
「どうしたの、アリカちゃん!?」
エルスティンが慌てて、倒れこんできた青年を抱え上げる。彼の顔に、ニナが驚愕を見せる。
「お、お養父様・・・!?」
「えっ!?」
二ナの言葉にアリカたちが、後から駆けつけたマイとナツキも驚く。悲鳴を上げる体を起こして、セルゲイが呼びかける。
「ニナ・・早くシホ・ユイットたちのところに行くんだ・・黒曜の君が、彼女たちを反逆者として抹殺しようとしている・・・!」
「えっ!?シホちゃんが・・!?」
マイはとっさに、受付で聞いた病室に駆け出した。
「アリカ、ニナ、エルスティン、この男はお前たちに任せるぞ。」
「はい、お姉様。」
ナツキの言葉にニナが困惑の面持ちのまま頷く。ナツキとミコトもマイに後を追っていった。
「お養父様、しっかりしてください!」
「ニナか・・お前たち、オーブのメンバーのようだな・・・」
必死に呼びかけるニナに答えて、セルゲイがアリカ、エルスティン、イリーナに声をかける。
「落ち着いて、よく聞いてほしい・・今、ダークサイドは最悪の方向に向かおうとしている・・・」
「どういうことですか・・・!?」
深刻な面持ちを見せるセルゲイに、ニナも気を落ち着けて耳を傾ける。
「これまでライトサイドとダークサイドは、自分たちが描いている世界の在り方を巡って争ってきた・・どうすれば世界は安定するか、その食い違いによって戦いを迫られてきたんだ・・水晶の姫、マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルムも、黒曜の君、レイト・バレルも・・」
「でもマシロさんは亡くなって、レイトも私たちが追い返したはずだよ・・!」
アリカの問い返しにセルゲイは首を横に振る。
「お前たちが退けたレイト・バレルは、真の黒曜の君ではない・・・!」
「黒曜の君、じゃない・・・!?」
「レイト・バレルは影だったんだ・・レイト様自身、気付いていないことのようだった・・・真の黒曜の君は今、この病院に来ているんだ・・・!」
セルゲイの言葉にアリカたちは息をのむ。黒曜の君は、反逆者を始末すべく自らヴィントブルムに乗り込んできたのだ。
「みんな、お養父様を信用して。ダークサイド、アルタイ王国の大使館だけど、私を救ってくださった大切な人なの・・・」
「ニナちゃん・・・」
切実にアリカたちに弁解するニナに、エルスティンが戸惑いを見せる。アリカが立ち上がり、セルゲイに決意を見せる。
「私、世界の人々や平和のために、オーブ軍に入って、今まで戦ってきた。みんなが傷つかず、いつまでも幸せでいられるように。それは、ライトサイドもオーブも、ダークサイドも関係ないと思う。」
「アリカ・・・」
アリカの言葉にセルゲイだけでなく、ニナも戸惑いを見せる。
「みんなが幸せでいて、笑顔でいられる・・それが私の夢なの・・!」
涙があふれそうになるが、アリカは必死にこらえて言い放つ。彼女の描く夢は、まさにオーブの理念に沿った「平等」に相当していた。
「たいそうな夢じゃないか。しかもそれに見合うだけの力も持っている・・・」
セルゲイが笑みをこぼすと、アリカも喜びを感じた。
「ありがとう。えっと・・・」
「セルゲイだ。セルゲイ・ウォン。」
「分かったよ、セルゲイさん。私は・・」
「ニナから聞いているよ。確か君の名前は・・アリンコ。」
「アリンコ?・・・違うわよ!私の名前はアリカ!ア・リ・カ・ユメミヤ!」
セルゲイによからぬ間違いをされて、アリカがふくれっ面で抗議する。しかし周囲の病人や医者たちの冷たい視線を感じて、セルゲイもアリカも苦笑して押し黙るしかなかった。
「タクミ・・お前、生きてたのか・・・ていうか、何だよ、その格好は・・・!?」
驚愕を隠せないでいるアキラが、思い切ってタクミに問いつめる。しかしタクミは朗らかな笑顔を変えない。
「アキラくんには特別に教えてあげるよ。実は僕こそが、ダークサイドの黒曜の君なんだよ。」
「な・・何言ってんだよ、お前・・・お前が、黒曜の君なわけねぇだろ!」
タクミの発する言葉の全てが信じられなくなり、アキラは思わず声を荒げる。
「これが本当の僕なんだよ・・ゴメンね、アキラくん。アキラくんやお姉ちゃんを傷つけたくないと思って、言えなかったんだ・・・」
タクミの笑みが次第に冷淡なものへと変わる。
「でも、もう気に病む必要はないよ・・世界は僕たちの手で創りかえることになったから・・」
「やめろ、タクミ!」
タクミが再びシホに向けて剣の切っ先を向ける。その瞬間、アキラがとっさにタクミの懐に飛び込み、眠っているシホをベットから突き落とした。
シホの代わりに、タクミの振り下ろした剣がアキラを斬りつけた。愕然となったアキラの眼に飛び込んできたタクミの表情は、親友を手にかけたことなど全く感じさせなかった。
「タ・・・タク・・ミ・・・」
絶望感にさいなまれながら、アキラはベットにもたれかかるようにして倒れた。
「アキラ!」
そこへユウが叫び声をかけてきた。病室からもれてきたアキラの声に気付いて駆けつけてきたのだ。
ユウが振り返ったタクミと、病室内で倒れているアキラとユカリコの姿を目の当たりにして驚愕する。そこへマイ、ナツキ、ミコトが病室に駆けつけてきた。
「どうしたの、ユウ!?」
マイが声をかけるが、ユウは顔を強張らせたまま答えない。彼が見つめているほうに視線を向けると、彼女も眼前の光景に愕然となった。
「やぁ、久しぶりだね、お姉ちゃん。」
「タ、タクミ・・・!?」
以前と変わらない笑顔で声をかけてきたタクミに、マイは動揺を隠せなかった。
黒曜の君として姿を現したタクミの背後には、ハイネの駆る黒い機体、ヴェスティージの姿があった。
次回予告
マイたちの前に現れた黒曜の君。
それは、アルテミスとともに死んだと思われていたタクミだった。
しかし彼は、マイの優しい弟ではなくなっていた。
新世界に向けて、破壊の道を歩みだす闇の戦士。
それぞれの未来のため、今、少女たちが飛び立つ。
魔性の業火で、迎え撃て、ホムラ!