GUNDAM WAR

-Destiny of Shinn-

PHASE-23「衝動と自由」

 

 

 ギルバートから下された指令。アークエンジェルの討伐を言い渡されて、タリアは当惑を覚える。

“アークエンジェルとフリーダムの乱入のために、戦況は混乱した。ザフトも被害を被り、ハイネやアスラン、多くの戦士を失うことになった。これ以上、そのような事態を繰り返させるわけにはいかないのだ。”

「それは承知しています。ですが彼らは先の大戦を終わらせた功労者です。今回のことは、何か理由があってのものかと・・」

 アークエンジェルの動向について語るギルバートに、タリアが言葉を返す。しかし真剣な面持ちのギルバートを見て、タリアは言葉を詰まらせた。

「分かりました・・・ただし、1つだけお許しいただきたいことがあります。」

 タリアが指令を聞き入れるも、ギルバートに進言をしてきた。

「アークエンジェルに、最後の警告をさせてください・・」

 タリアの発言を聞いて、ギルバートが少し間を置いてから口を開く。

“その警告、向こうが拒否した場合は?”

「・・そのときは、私たちが撃墜します・・」

 ギルバートの投げかけた問いに、タリアは気を落ち着けてから答えた。

 

 合流したオーブ軍の軍人たちをオーブに届けるため、アークエンジェルは航行を続けていた。

「デュランダル議長のあの宣言で、世界はロゴスを完全に敵視するようになった。ロゴスが関与していた地球軍と同盟を結んでいた、オーブも・・・」

 カガリがオーブも人々から不信感を持たれていることに苦悩する。

「早くオーブに戻らないといけない・・こんなことのために、オーブの民が傷つくようなことはあってはならない・・・!」

「うん・・僕もオーブを守るよ・・カガリの守ろうとしているものを・・」

 決意を固めようとするカガリに、キラが微笑みかける。

「急いでオーブへ向かうわ。オーブ軍1人、ムラサメ1機、欠かさずオーブへ連れていくわ。」

 マリューが微笑んでカガリに言いかける。

「すまない、ラミアス艦長。多大な協力に感謝する。」

「私もみんなも、平和を心から願っているのだから・・」

 謝意を示すカガリに、マリューが正直な思いを口にする。

 そこへアスランがやってきて、キラたちに目を向けた。アスランはギルバートの演説のことを考えて、複雑な気分を感じていた。

「アスラン・・・」

 キラがアスランに目を向けて、困惑を浮かべる。

「議長が本当に平和のために尽力しているのか、分からなくなった・・あのようなことをすれば、争いが拡大することになるというのに・・・」

「アスラン・・もう考えるな・・お前はこの前まで、オーブのために戦っていたはずだ・・」

 ギルバートのことで苦悩するアスランを、カガリがなだめる。

「戦いを終わらせようとしているのに、戦いを拡大させるようなことを・・心から平和を望んでいるなら、こんなことしないはずなのに・・・」

 キラがギルバートに対する不信感を募らせていく。

「だから、議長は信用できないということか・・」

 アスランが言いかけて、キラが深刻な面持ちを浮かべる。

「オレも議長を信じる気持ちが揺らいでいる・・でもだからといって、お前たちがやってきた戦いが正しいと認めるわけにはいかない・・・!」

 ギルバートだけでなく、キラたちの行動への不信感も絶やさないアスラン。

「お前たちの乱入のために、ハイネは死んだ。ミネルバのみんなも、オレが死んだと思っているだろう・・それが正しいことやなかったことにして、こんな戦いを続けていくことに、オレは納得できない・・」

「それでも僕は戦う・・争いを止めるために、僕は、僕の剣を使う・・・」

「そうやって周りの事情を聞かずに、力任せに相手の力を奪うつもりか・・・!?

 キラが自分の考えを貫こうとするが、アスランが不信感を募らせるだけだった。

「こういう戦い方や自己中心的な正義感が、お前自身を世界の敵にしてしまうことになるんだぞ・・・!」

「アスラン、いい加減にしろ!キラだって必死なんだぞ!」

 キラを非難するアスランに、カガリが不満の声を上げる。キラが苦悩を強いられて、表情を曇らせる。

 アスランとキラのすれ違いは、まだ解消されてはいなかった。

「こちらに接近する部隊あり!これは・・ザフト軍です!」

 そのとき、マリューたちに報告が投げかけられた。

「ザフトが、アークエンジェルに!?

 アスランがこの報告を聞いて声を荒げる。

「速度を上げて、部隊を振り切るのよ!」

「ダメです!包囲されています!」

 マリューが指示を出すが、アークエンジェルはザフトの艦に囲まれていた。しかしモビルスーツや戦闘機は出ておらず、攻撃を仕掛けても来ない。

(逃がさないようにしているだけ!?・・何かを狙っているのは間違いない・・・!)

 ザフトの出方をうかがい、マリューは緊張を募らせていた。

 

 アークエンジェル発見の知らせを受けて、ミネルバは急行した。シンは対フリーダムのシュミレーションを終えて、出撃に備える。

「シン、お前ならやれる。フリーダムに負けない力を、お前は持っている。」

「あぁ。お前が勝つチャンスを見つけてくれたんだ、レイ・・」

 呼びかけるレイに、シンが微笑んで感謝した。

「オレはきっかけを見つけたに過ぎない。そのきっかけも、ルナマリアの言葉があったからこそだ。」

「私はただ思ったことを言っただけ。そこからレイがひらめいたんだから・・」

 レイが言いかけて、ルナマリアが戸惑いを見せながら言い返した。

「ありがとう、レイ、ルナ・・オレが、フリーダムの攻撃を止めなくちゃいけないんだ・・・!」

 シンがレイたちにお礼を言ってから、自分に言い聞かせていく。彼は気を落ち着けながら、ドックへと向かっていった。

 

 ミネルバはついにアークエンジェルを視認できるまで距離を詰めた。

「アークエンジェル、発見しました!」

 メイリンが報告して、タリアが真剣な面持ちで頷いた。

「メイリン、国際救難チャンネルで回線を開いて。」

「艦長・・!?

 タリアの指示に、アーサーが声を荒げる。

「議長からはこのことは許可をいただいているわ。メイリン、お願い。」

「分かりました・・」

 タリアが言いかけて、メイリンが戸惑いながらも指示に従った。

「ザフト艦ミネルバ艦長、タリア・グラディスです。アークエンジェル聞こえますか?」

 タリアがアークエンジェルに向けて呼びかける。

「本艦は現在、司令部より貴艦の撃沈命令を受けています。ですが、貴艦が搭載機を含めた全ての武装を解除し、投降するなら、貴艦への攻撃を中止します。警告は1度です。以後の申し入れには応じられません。乗員の生命の安全は保証します。貴艦の賢明な判断を、望みます・・」

 アークエンジェルに向けて警告を投げかけたタリア。彼女はアークエンジェルの乗員が平和のため、戦いを終わらせるために尽力していると思い、わずかな希望を信じていた。

 

 タリアから投げかけられた警告は、アークエンジェルに伝わった。マリューたちは警告の通信でタリアの顔をモニターで見て、戸惑いを覚える。

「さすがグラディス艦長。冷静沈着で誠実。できることなら敵に回したくはないわね・・」

 マリューがタリアに対して評価と警戒を抱く。

「しかし、ここでザフトに投降などすれば、カガリ様が・・!」

 オーブの軍人の1人がカガリの身を案じて苦言を呈する。

「私としては、それでも今のザフトの言うことを聞くことはできない。でもカガリさんの信じる道を、私は信じることにするわ・・」

 マリューが自分の考えをカガリに告げる。

「私もラミアス艦長と同じ思いだ。ここで今のザフトに、デュランダル議長に従うことになれば、オーブの理念から外れることになる。」

 カガリが自分の正直な思いを口にした。それを聞いてオーブの軍人たちが感嘆の笑みを浮かべて、マリューが頷いた。

「分かったわ・・キラくんはいつでも出られるようにしていて。」

「はい、マリューさん。」

 マリューの呼びかけに答えて、キラがドックへ向かう。マリューがミネルバに向けて呼びかけた。

「アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスです。貴艦の申し入れに感謝します。」

 マリューの返答がミネルバに届く。

「しかし残念ながら、その申し入れを受け入れることはできません。本艦にはまだ仕事があります。連合かプラントか、今また2色になろうとしている世界の中で、私たちはただ、邪魔な色なのかもしれません。ですが、だからこそ、今ここで消えるわけにはいかないのです・・願わくば、脱出を許されんことを・・・」

 マリューは自分たちの意思を告げて、応答を終えた。彼女もキラもカガリたちもタリアの申し出を聞き入れるつもりはなかった。

 

 タリアからの警告を拒絶したマリュー。モニターで彼女の顔を見て、タリアたちは複雑な気分を覚える。

「やはり応じなかったわね・・その信念の強さ、並みでないようね・・・」

「艦長・・・!」

 深刻な面持ちを浮かべるタリアに、アーサーが動揺を見せる。

「コンディションレッド発令!本艦はこれより、アークエンジェルへの攻撃を開始します!」

 タリアが指示を出して、ミネルバが戦闘態勢に入った。

「シン、フリーダムが出てくるわ。アークエンジェルは私たちが戦うから、あなたはフリーダムを。」

「はい!今度こそフリーダムを討ちます!」

 タリアが続けて指示を出して、シンが答える。

「相手はおそらく、私たちが戦ってきた敵の中で1番の強敵よ。気を引き締めるわよ。」

「はい・・!」

 タリアからの忠告に、シンが真剣な面持ちで頷いた。

「インパルス、発進!」

 タリアが呼びかけて、ミネルバのハッチが開く。

(ステラは助けてくれたけど、アイツがハイネとアスランを殺したことは変わらない・・アイツを倒さなくちゃ、悲劇が繰り返される・・・!)

 シンがフリーダムの行動を思い出して、自分に言い聞かせる。彼の脳裏に、両親とマユが死んだときのことがよみがえる。

(オレがやってやる・・フリーダムは、オレが倒す・・!)

「シン・アスカ、コアスプレンダー、いきます!」

 決意を固めたシンがコアスプレンダーでミネルバから発進した。続けて射出されたチェストフライヤー、レッグフライヤー、フォースシルエットがコアスプレンダーと合体して、フォースインパルスとなった。

 

 一方、キラもフリーダムに乗って発進に備えていた。彼はカガリやマリューたちの思いを汲み取って、自分たちの意思を貫こうとしていた。

(僕は戦う・・オーブを守るために・・戦いを止めるために・・・!)

「キラ・ヤマト、フリーダム、いきます!」

 キラが改めて決意を固めて、フリーダムで出撃した。フリーダムの前にインパルスが立ちふさがった。

「ザフトの新型・・でも、ここでやられるわけにいかない・・・!」

 キラがインパルスを視認して、気を引き締める。

「どうして・・どうしてアンタが、ステラを助けたんだ・・・!?

 シンがキラに向けて声を掛けてきた。

「ステラを助け出してくれたことには感謝してる・・でもだからって、それまでアンタたちがしてきたことが、許されるわけじゃない!」

「そう思われるのは分かっていた・・でも戦いを止めるためには、僕がやらなくちゃいけないんだ・・・!」

 呼びかけるシンにキラが言い返す。

「そうやって一方的に攻撃するだけで、ホントに戦いを止められると思ってるのかよ!?そのためにみんなが傷ついたんだぞ!ハイネも、アスランも!」

「アスランも・・・ザフトは、アスランが死んだと思っているのか・・・!?

 シンの怒りの声を聞いて、キラが当惑を覚える。

「お前たちを野放しにすれば、悲劇がさらに大きくなる・・そうなる前に、オレが、アンタを倒す!」

 フリーダム打倒を口にするシン。インパルスがビームライフルを手にして、フリーダムに向けて射撃を放つ。

 キラが即座に反応し、フリーダムが一気にスピードを上げてビームをかわした。フリーダムもビームライフルを手にして反撃を仕掛ける。

 シンが反応し、インパルスがビームライフルを持つ手を引いた。その直後、その手があった地点を、フリーダムのビームが通り過ぎた。

 この瞬間にキラが一瞬動揺を浮かべる。フリーダムがすぐに射撃を仕掛けるが、インパルスはまた紙一重でビームをかわしてみせた。

「いつもそうやって、やれると思うな!」

 キラに向けて言い放つシンの中で、何かが弾けた。彼の感覚が研ぎ澄まされて、インパルスの動きがさらに機敏になった。

 キラも集中力を高めて、同様に感覚を研ぎ澄ませた。インパルスとフリーダムがビームライフルの打ち合いを繰り広げる。

 キラがインパルスを狙って射撃を繰り返す。しかしインパルスにかわされ、さらに盾でビームを防がれた。

(レイの言っていた通りだ・・アイツの戦い方が見える・・・!)

 戦いの最中、シンはレイが見出した見解を思い出していた。

 

 対フリーダムの作戦を考えていたシンたち。ルナマリアの口にした言葉から、レイはその対策を見出した。

 レイがフリーダムの戦闘の映像を確認して、自分の推測が効果的なものであると確信した。

「やはり間違いない。」

「レイ・・どういうことなんだ・・?」

 レイが言いかけると、シンが疑問を投げかける。

「フリーダムは確かに動きが速い。射撃も正確だ。だがあの機体は、絶対にコクピットを狙わない。」

 レイが映像を再生、一時停止して、フリーダムの戦いについて指摘する。

「撃ってくるのは、決まって武装かメインカメラ。あくまで戦いを止めるための戦い方なのだろう。だがそれを逆手に取れば、フリーダムは絶対に勝てない相手ではなくなる。」

「そうか!それならフリーダムの攻撃をかわせる・・!」

 レイの説明を聞いて、ルナマリアが戸惑いを覚える。

「それでもフリーダムに勝るとも劣らない動きをしなければならない。だがシン、お前ならやれると、オレは信じている・・」

「レイ・・・」

 レイからの励ましを受けて、シンも戸惑いを見せた。

「フリーダムに負けない動き・・やるしかない・・!」

 シンは気を引き締めて、シュミレーション練習にさらに集中した。

 攻略の方法が分かっても、それを実行できるだけの力がなければ勝てない。シンはフリーダムの戦闘を止めるため、備えを万全にした。

 

 アークエンジェルを追走するミネルバ。射撃を連射するミネルバに対し、アークエンジェルは射撃で牽制しながら、戦場からの離脱を優先させていた。

「攻撃はミネルバが専念しているが、他の艦隊もアークエンジェルを逃がさないように展開している・・これではアークエンジェルが攻撃を受けるのは避けられない・・!」

 アスランが戦況を把握して、アークエンジェルの危機を痛感する。

「オレがミネルバに呼びかけます!そうすればザフトは攻撃を中止するはずです!」

「言っても攻撃をやめないわ・・こちらがザフトを欺こうとすると判断するだけよ・・!」

 アスランがザフトに呼びかけようとするが、マリューに止められる。

「ですが、このままでは落とされてしまいます!」

「振り切るのよ!必ずこの包囲網を脱出します!そしてムラサメ1機、オーブ軍1人欠かさず、オーブへ送り届けます!」

 アスランの反論に言い返して、マリューが意志を貫こうとする。

「キラ・・・シン・・・!」

 フリーダムとインパルスの対決に目を向けて、アスランは困惑を募らせていた。

 

 インパルスとフリーダムの対決は、さらに激しさを増していた。シンが反応し、インパルスがフリーダムの射撃を回避していく。

 フリーダムのビームを盾で防いだ直後、インパルスがその盾を投げつけて、即座にビームライフルを発砲した。放たれたビームが盾で反射して、フリーダムの右肩をかすめた。

 フリーダムの右肩が焼き付き、キラが一瞬息をのむ。その直後、フリーダムがビームライフルを速射し、インパルスの持っていたビームライフルを撃ち抜いた。

「くそっ!」

 シンが毒づき、インパルスがビームサーベルを手にして、フリーダムに飛びかかる。インパルスが振りかざすビームサーベルをかわして、フリーダムがビームサーベルでインパルスの右腕と頭部を切り裂いた。

「メイリン、チェストフライヤー、フォースシルエットを!」

 シンがミネルバのメイリンに呼びかけ、インパルスが分離して、上半身がフリーダムに突撃した。コアスプレンダーが機関砲を発射して、フリーダムと密接しているインパルスの上半身を攻撃、爆発させた。

「ぐっ!」

 フリーダムが雪原に落下して、キラが揺さぶられてうめく。その間に、分離したコアスプレンダーとレッグフライヤーが、ミネルバから新たに射出されたチェストフライヤー、フォースシルエットと合体して、再びインパルスとなった。

 雪原から上昇してアークエンジェルに向かおうとしたフリーダムを、インパルスはビームライフルで射撃して回り込んだ。

「逃がさないぞ、フリーダム!」

「ぐっ・・!」

 シンが言い放ち、キラが毒づく。インパルスがビームライフルを発射して、フリーダムを追い込んでいく。

「お前を倒さないと、お前達も身勝手で苦しむ人が増えることになる!そんなこと、オレがさせない!」

 シンがさらに感情を込めて言い放つ。彼の言葉を聞いて、キラが心を揺さぶられる。

“こんな戦いを続けても、戦いは終わらない・・お前に恨みを持つ者や、お前を倒そうとする者が出てくることになる・・・!”

 キラの脳裏にアスランの言葉がよぎる。

(僕の戦いが、僕の敵を呼んでしまったんだろうか・・僕自身が、敵を・・・!?

 決意を揺さぶられて、キラは冷静さを保てなくなっていた。彼が迷いを振り切ろうとして、フリーダムがビームサーベルを突き出す。

 次の瞬間、インパルスの上半身が下半身から離れて、フリーダムのビームサーベルが外れた。フリーダムの頭上を飛び越えたインパルスの上半身が、手にしていたビームライフルを発射して、フリーダムの背部にビームを当てた。

「ぐっ!」

 フリーダムがビームの爆発で押されて、キラがうめく。フリーダムが即座に体勢を整えて、インパルスが再合体を果たす。

(ここで倒れるわけにはいかない・・僕が倒れたら、みんなが、オーブが・・・!)

 キラは迷いを抱えながらも、アークエンジェルを守って戦場を離脱することを決意する。フリーダムが加速して、アークエンジェルに合流しようとする。

「逃がさない!アンタはオレが討つんだ・・今日、ここで!」

 シンが言い放つ、インパルスがフリーダムを追った。

 

 ザフトの包囲網に追い詰められながらも、アークエンジェルは退路を目指していた。しかし徐々に艦体に被弾するようになっていく。

「このままでは離脱する前に撃墜されます!」

「これでは持ちません!ムラサメで出撃させてください!」

 オーブの軍人たちが焦りを見せて呼びかけてきた。

「それはできません!ムラサメとオーブ軍は1機欠かさず、1人欠かさずにオーブへ連れていきます!」

 しかしマリューは彼らの申し出を拒んだ。

「ならばルージュを出せ!私が行く!」

「いや、オレが行ってザフトを止めます!」

 カガリとアスランも呼びかけて出ようとする。

「ダメよ、2人とも!ここはキラくんを信じましょう!」

「しかし、このままでは・・!」

 マリューはこれも拒否して、アスランが焦りを募らせていった。

 

 加速を続けてザフトの包囲網を突破しようとするアークエンジェル。それを追走するミネルバ。

“ミネルバ、ソードシルエット!”

 シンの指示がミネルバに伝えられる。ミネルバからインパルスに向けて、ソードシルエットが射出された。

「進行方向に海岸線あり!潜航する模様です!」

「潜られたら逃げられてしまいます!艦長・・!」

 メイリンが報告して、アーサーが声を荒げる。

「・・・タンホイザー、起動・・目標、アークエンジェル!」

 タリアが沈黙を置いてから指示を出した。ミネルバがタンホイザーの発射体勢に入った。

「非常隔壁閉鎖!潜行用意!」

 マリューが指示を出し、アークエンジェルが海中への侵入を始める。

「ってぇ!」

 ミネルバの陽電子砲が発射されて、ビームがアークエンジェルのいる海上に飛び込んだ。

 

 同じく海岸線に向かっていたフリーダムを、インパルスが追走する。インパルスとフリーダムが同時にビームライフルを発射して、互いにライフルを当てられて破壊される。

 インパルスが直後にビームサーベルを投げつけて、フリーダムが構えたもう1つのビームライフルを破壊した。

 シンの指示を受けたミネルバから、ソードシルエットが射出された。インパルスはソードシルエットと合体せずに、ビームブーメランをつかんで投げつけた。

 フリーダムがビームサーベルでビームブーメランを弾くが、その衝撃で体勢を崩す。

 インパルスが続けてエクスカリバーをつかんで、フリーダムに向かって加速する。

「アンタはオレが討つ・・今日、ここで!」

 シンが言い放ち、インパルスがフリーダムに突っ込み、エクスカリバーを突き出した。

 エクスカリバーがフリーダムの胴体を貫いた。その瞬間、フリーダムが突き出したビームサーベルが、インパルスの胸元に突き刺さった。

 2機の激突による爆発が、海上で巻き起こった。

 

 

次回予告

 

シンとキラの対決の行方は?

激戦を経たザフトに、追い詰められたロゴスが牙をむく。

満身創痍に陥った戦士たちに与えられる新たな力。

その先にあるのは、平和か、混迷か?

 

次回・「混沌の先へ」

 

新たな戦いへ飛び立て、ミネルバ!

 

 

作品集に戻る

 

TOPに戻る

inserted by FC2 system