GUNDAM WAR
-Confusion of SEED-
第8章
サポートをしてくれたクライン派を失ったキラ。彼はフリーダムを駆り、別のデブリ帯まで来ていた。
フリーダムはその中の1つに到着した。そこには1つのハッチがあり、開かれた先にフリーダムが入った。
フリーダムは反転して、ゆっくりと奥に進んでいく。その先には1機の巨大武装があった。
「ミーティア」。フリーダム、ジャスティスのための巨大武装である。クライン派はミーティアを1機用意していた。
(次がシンたちとの決着のときになる・・だから、ザフトも連合も、完全に殲滅しなければ・・・!)
キラが心の中で意思を呟いていく。
(みんなが僕のために、ミーティアを残してくれた・・今度こそ、僕が全てを終わらせる・・・!)
世界への敵意を募らせるキラ。フリーダムがミーティアを装備する。
(アスラン、カガリ、マリューさん、バルトフェルドさん・・ラクス・・・)
キラが自分の大切な人たちのことを思い出していく。かけがえのない仲間たちはもういない。失わせた悲劇をもたらした世界を討つことが、キラの唯一の戦う理由となっていた。
(僕は戦う・・みんなが安心できる世界に、僕が変える・・・!)
「キラ・ヤマト、フリーダム、行く!」
キラの駆るフリーダムが、ミーティアを伴って発進した。
ミネルバとデスティニーたちの修繕が進む中、メイリンたちはフリーダムの捜索を続けていた。しかしフリーダムや他の勢力が動き出した形跡もつかめない状態だった。
「フリーダム、どこへ行ったのでしょうか?・・他に行く当てがあるのでしょうか・・?」
「分かんない・・他にも基地があるかもしれない・・警戒を怠らないで・・」
疑問を口にするマイに、メイリンが注意を言う。
「私たち、これからも戦っていくことになるのでしょうか?・・フリーダムを倒しても、また敵が出てきて・・・」
「その敵と戦うことが、ザフトである私たちの任務よ。」
不安を募らせるマイをメイリンが励ます。
「このフリーダムとの戦いは、最後までやり遂げるつもりよ。でもその後は、お姉ちゃんたちと一緒にまたステラに会いに行きたいと思っている。」
「メイリンさん・・・私も、行ってもいいですか・・?」
「ソラとハルも行くと思う。みんなで行こうね。」
「はい!」
メイリンとステラに会いに行く約束をして、マイが笑顔で答えた。
そしてクライン派の基地が暴かれてから1日が過ぎようとしていた頃に、ミネルバは修繕と整備を完了して、万全の体勢となった。
クライン派の基地を押さえたミネルバ。タリアからの報告を聞いて、ザフトの他の部隊が警戒を強めていた。
「フリーダムは一瞬にして距離を詰めてくる。レーダーに反応がないからといって油断するな。」
「はいっ!」
隊長の呼びかけにオペレーターたちが答える。彼らはレーダーやモニターへの集中を怠らない。
「それでもとても太刀打ちできる相手でないことは閃光承知だが・・・」
自分たちのすることが全て苦肉の策にもならないことを、隊長は痛感していた。
そのとき、レーダーに高速で動く反応が現れた。
「レーダーに反応!この速度・・フリーダムです!」
「何っ!?」
オペレーターの報告に隊長が声を上げる。次の瞬間、彼らのいる指令室が一瞬にして光に包まれた。
隊長の乗る艦を含めた艦隊が、次々にビームやミサイルに狙撃された。撃ったのはミーティアを装備したフリーダムだった。
「終わらせる・・僕が終わらせる・・全てを・・・」
キラが低く呟いて、プラントのほうに目を向ける。彼はフリーダムを加速させて、プラントへと進行した。
フリーダムがプラントに近づいているという知らせは、ミネルバにも伝わった。
「フリーダム・・動き出したのね・・・!」
「しかしミーティアを装備しているようです・・!」
タリアが言いかけて、アーサーが緊張を覚える。
「本艦はプラントに向かい、フリーダムを討ちます。キラ・ヤマトにこれ以上、世界を蹂躙させてはなりません。」
タリアは落ち着きを払って、アーサーたちに指示を出す。
「ミネルバ、プラントに向けて発進!」
アーサーが号令を出して、ミネルバがクライン派の基地付近の宙域から動き出した。
「グラディス艦長、オレを先に行かせてください!」
ミネルバの航行中、シンがタリアに閃光を申し出てきた。
「デスティニーならより速くプラントへ行くことができます!フリーダムに追いつくことができるのも、デスティニーだけです!」
「それでは、最悪あなただけでフリーダムと戦うことになるわよ・・」
「フリーダムとは・・キラとは決着を付けようと思っていました・・ムチャをするつもりはありませんが、1対1の状況になるなら、オレの望むところです・・!」
「シン・・そこまで覚悟が決まっているのね・・」
シンの言い放つ決意を、タリアが受け止める。
「シン、先行してフリーダムを食い止めて。ただし私たちが来るまで無理は禁物よ。」
「了解!」
タリアの指示に答えて、シンが発進に備える。
「シン、私たちもすぐに行くからね。」
「シンさんだけに負担を掛けさせるわけにいきませんからね!」
ルナマリアとソラがシンに声を掛けてきた。
「ルナ、ソラ、ハル、ありがとう・・みんなのことも頼らせてもらうよ・・」
「僕たちのできることで、みんなを守ってみせます・・!」
シンが感謝して、ハルが決意を口にする。
(オレにはまだ、大切な人もいるし、帰る場所もある・・だからキラを討ち、みんなで生きて帰るんだ・・・!)
ルナマリアたちに支えられていると感じ、シンは安らぎを感じて気を引き締める。
(ステラ、この戦いを終わらせて、みんなと一緒に帰るよ・・・)
彼はステラのことも思い出して、発進に備えた。
「シン・アスカ、デスティニー、行きます!」
シンの駆るデスティニーがミネルバから発進して、プラントに向かってスピードを上げた。
「私たちもシンに続くわよ。」
「了解!」
タリアの声にアーサーが答えた。ミネルバもデスティニーに続くように加速していった。
高速を維持したまま前進するキラのフリーダム。彼はついにプラントを視認した。
「着いた・・この手で終わらせる・・悲劇の全てを・・・!」
キラが目つきを鋭くして低く呟く。フリーダムがミーティアを構えて、狙いをプラントに向けた。
そのとき、1つのビームが飛んできて、キラが気付いてフリーダムが回避する。シンのデスティニーが駆け付けて、フリーダムの前に回り込んだ。
「フリーダム・・そいつがまだあったのか・・・!」
フリーダムが装着しているミーティアを見て、シンが苛立ちを覚える。
「それで今度はプラントを攻撃するつもりなのか!?・・そんなにみんなを滅ぼしたいのかよ、アンタは!?」
シンが激高し、デスティニーがビーム砲を発射する。フリーダムが回避してミサイル「エリナケウス」を発射して、デスティニーが回避する。
「そんな攻撃でやれないことは分かっているだろ!」
シンが言い放つが、フリーダムはミサイルの発射を続ける。デスティニーがビーム砲を発射して、ミサイルを爆破した。
「確実に・・確実にプラントを、討つ・・・!」
キラがその隙を見て、フリーダムがビームを放った。ビームがプラントのコロニー数基の先端に命中して、重力と圧力が乱れて、コロニー内の空気が外に一気にもれ出した。
空気が外へ飛び出す風の急流で、建物や人々が外に投げ出されていく。
「しまった・・プラントが・・・!」
損壊したプラントを目にして、シンが驚愕する。
「アンタは・・そこまで戦火を広げたいのか!?・・そこまで世界をムチャクチャにしたいのか!?」
彼がキラに対する怒りを強めていく。
「シン・・今度こそ、お前を倒す・・・!」
キラが目つきを鋭くして、フリーダムがミーティアの左右にある「ウェポンアーム」からビームソードを発して振り下ろす。デスティニーは素早く動いて、ビームソードをかわす。
ミーティアを装備したフリーダムは攻撃の破壊力が増したが、ミーティアの巨体故に大振りになっていた。その分デスティニーにかわされやすくなっていた。
「だったら、プラントからまず・・・!」
キラがプラントに狙いを変えて、フリーダムがミーティアからミサイルをデスティニーに向けて連射する。同時にプラントに向けてビームを放とうとした。
しかしシンのデスティニーは素早くミサイルをかわして、フリーダムに一気に詰め寄ってきた。
「そんなことでデスティニーを振り切れるか!」
シンが言い放ち、デスティニーがシュペールアロンダイトを手にして振りかざす。フリーダムがビームソードを掲げて、2つの刃が激しくぶつかり合う。
ビームの刃の衝突の相殺で、デスティニーとフリーダムが離される。直後、フリーダムがカリドゥスを発射してきた。
「そんなものに!」
シンが反応し、デスティニーがビームをかわす。デスティニーがすかさずフリーダムに向かっていく。
だがその先にはミーティアしかいなかった。フリーダムはミーティアを外して姿を消していた。
「いない!?」
シンが周囲に注意を向けてフリーダムを探す。彼はプラントに狙いを定めているフリーダムを見つける。
「そこか!」
シンが言い放ち、デスティニーがビーム砲を構える。しかしシンは直後、周辺にドラグーンが展開されていたことに気付く。
ドラグーンがデスティニーに向けてビームを放つ。シンが反応し、デスティニーが素早く動いてビームをかいくぐる。
しかし縦横無尽に放たれるビームの連射をかわし切れず、デスティニーが撃たれる。
「くっ!」
損傷は出なかったものの、デスティニーは爆発の衝撃に押されて、デブリの1つに叩きつけられる。
「不意を突かれただけじゃない・・正確、迅速にオレを狙ってきた・・!」
シンが狙撃されたことに毒づく。デスティニーが起き上がる中、フリーダムがまたプラントに狙いを向けた。
デスティニーを追うようにプラントに向けて航行していたミネルバ。その作戦室のモニターに、デスティニーとフリーダム、損壊したプラントが映し出された。
「か、艦長、プラントが・・・!」
「なんてことを・・・!」
アーサーとタリアがプラントの惨状を目の当たりにして驚愕する。メイリンたちも動揺を隠せなくなっていた。
「これ以上、プラントを攻撃させるわけにはいきません・・ルナマリア、ソラ、ハル、シンの援護に向かって!インパルス、ファルコン、発進!」
タリアが落ち着きを保って指示を出す。コアスプレンダー、ファルコンの前のハッチが開かれる。
「先に僕たちが行って、シンさんを援護します!」
「ファルコンのスピードでフリーダムをけん制してみせます!」
ハルとソラがルナマリアに進言をする。
「分かったわ。私たちもすぐに追いつくから、ムチャをしないようにね。」
「はい!」
ルナマリアが注意を言って、ソラとハルが答えた。
「ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー、いくわよ!」
「ソラ・アオイ・・」
「ハル・ソーマ・・」
「ファルコン、出ます!」
ルナマリアのコアスプレンダー、ソラとハルのファルコンがミネルバから発進する。続けて発進したチェストフライヤー、レッグフライヤー、フォースシルエットがコアスプレンダーと合体して、フォースインパルスとなった。
戦闘機形態のファルコンがスピードを上げて、デスティニーのところへ急ぐ。インパルスもミネルバと共にプラントを目指した。
フリーダムの攻撃に、デスティニーはプラントから離されていた。
「プラントをやらせない・・アンタの好き勝手にやらせるか・・!」
シンが力を振り絞り、デスティニーがフリーダムを追う。
「僕たちを傷つけたプラント・・絶対に許さない・・・!」
キラがプラントを見て目つきを鋭くする。フリーダムがプラントに銃砲の狙いを定める。
「間に合わない・・・!」
シンが攻撃を阻止しようとするが、デスティニーがフリーダムに追いつけない
そのとき、ファルコンが駆け付けて、フリーダムに向けてビームを発射した。キラが気付き、フリーダムがビームを回避してミーティアに近づく。
「シンさん、大丈夫ですか!?」
ファルコンがデスティニーに近づき、ソラがシンに向かって呼びかける。
「僕たちが注意を引き付けます!その間にシンさんは体勢を整えて・・!」
「気を抜くな!周囲にドラグーンがあるぞ!」
呼びかけるハルにシンが注意を促す。フリーダムのドラグーンがファルコンにもビームを撃ってきた。
「ぐっ!」
ハルが感覚を研ぎ澄ませて、ファルコンがスピードを上げてドラグーンのビームをかわす。
「くそっ!キラ!」
シンが声を上げて、デスティニーがビームライフルを手にして発射する。フリーダムが回避して、再びミーティアを装備する。
フリーダムがデスティニーに向けてビームを一斉発射する。デスティニーが素早く動き、ビームの撃ち合いを演じる。
「誰が何人出てきても、僕はお前たちを倒す・・!」
キラがデスティニーとファルコンに目を向けて、フリーダムがさらにビームを放つ。ハルが必死に反応して、ファルコンが加速してビームをかわす。
「ハル、交代して!逃げ回るだけじゃそのうち攻撃を受けてしまうよ!」
「ソラ・・分かった!頼む!」
ソラが声をかけて、ハルが頷く。彼はファルコンの操縦をソラに預ける。
「いつまでも逃げているつもりはないよ!」
ソラが言いかけて、ファルコンが2つのビームライフルを手にして、フリーダムに向けて構える。しかしドラグーンからのビームに阻まれて、ファルコンはフリーダムに射撃ができない。
「どこまでもしつこく・・!」
ドラグーンによるビームの包囲網に毒づくソラ。ビームの雨をかいくぐり反撃に転じられるのは、シンのデスティニーだけだった。
「どこまでも・・どこまでもしぶとく・・・!」
キラも攻撃を当てられないことに激情を募らせていく。
「このままじゃ、アイツの注意をプラントから引き離すしかできない・・!」
危機感を募らせていくシン。
フリーダムがデスティニーに向けて、ミーティアとドラグーンから同時にビームを発射してきた。シンが反応し、デスティニーが回避行動をとった。
「今度こそ・・今度こそプラントを・・・」
ドラグーンでデスティニーたちの接近を阻んでいる間に、キラはプラントへの攻撃を考えた。
そこへインパルスが来て、ビームライフルを発射した。キラが反応し、フリーダムが下がってビームを回避した。
「シン!ソラ!ハル!」
「ルナ!」
ルナマリアとシンが声を掛け合う。インパルスがビームライフルの銃口を、フリーダムに向ける。
「プラントから離れなさい!これ以上、好き勝手に暴れさせはしないわよ!」
「インパルス・・・!」
ルナマリアが言い放ち、キラがインパルスに鋭い視線を向ける。
「深追いするな、ルナマリア!インパルスじゃ敵わない!」
シンがルナマリアを呼び止めて、デスティニーが加速する。
フリーダムがドラグーンを操作して、インパルスを包囲してビームを放つ。デスティニーがインパルスを抱えて、ビームから逃れる。
「大丈夫か、ルナ!?」
「シン・・ゴメン、私のために・・・」
心配の声を掛けるシンに、ルナマリアが謝る。
「すまないのはオレのほうだ・・助かったよ、ルナ・・・!」
「シン・・・」
シンも謝って、ルナマリアが戸惑いを覚える。デスティニーとインパルスがシュペールアロンダイトとビームサーベルを構える。
「ルナはみんなと一緒にプラントを守ってくれ・・フリーダムとの戦いに集中したい・・・!」
シンがルナマリアに言って、追いついたミネルバに目を向けた。
「分かったわ、シン・・でも危なくなったら、すぐに援護に向かうからね・・!」
「ありがとう、ルナ・・必ず戻るから・・・!」
ルナマリアが聞き入れて、シンが感謝する。デスティニーがフリーダムに向かっていく。
「私たちはプラントの防衛よ・・フリーダムの攻撃を、絶対にプラントに通さないで・・・!」
「ルナマリアさん・・・分かりました・・・!」
ルナマリアが指示して、ソラが答える。インパルスとファルコンがミネルバと共にプラントに近づき、フリーダムの攻撃から防衛することに専念した。
「悔しいですね、艦長・・ここまで来て、シンの援護もできないなんて・・・!」
「今はシンが無事に戻るのを信じて、私たちは私たちのやるべきことをやるのよ・・私たちが、プラントへの攻撃を防ぐ・・・!」
アーサーが悔しさを感じて、タリアが彼らに激励を送る。ミネルバがインパルス、ファルコンと共にプラントの前で留まった。
フリーダムの攻撃を受けて、プラントは甚大な損害を被った。プラントのコロニーが外壁の破損で空気が外に漏れ、住人が放り出されていく。
ザフトのパイロットたちが動かすザク、グフが宙に投げ出された人々を受け止める。
「早くシェルターに避難するんだ!」
「今、脱出しようとしても、敵の攻撃に巻き込まれてしまいます!」
パイロットたちが避難誘導して、救った人たちをシェルターの入り口近くに降ろした。
「オレたちにできることは、救出活動しかないのか・・・!」
「オレたちの力では、フリーダムにはとても敵わない・・分かり切っていることだ・・・!」
パイロットたちが自分たちの無力さを痛感して悔しがる。その上で彼らは人々の救助に全力を注いだ。
プラントの防衛をルナマリアたちに任せ、キラとの対決に臨むシン。デスティニーがフリーダムの前に出てきた。
「キラ、何もかも自分の思い通りになると思っている・・あんたのしてきたことのために、世界はかき乱されてきた・・助かる命が失われ、罪のない人も傷ついた・・・!」
シンがキラへの怒りを募らせる。
「これ以上、誰かを傷付けることは、オレが許さない!」
その怒りを爆発させて叫ぶシン。彼の中で何かが弾け、感覚が研ぎ澄まされた。
デスティニーがシュペールアロンダイトを構えて、フリーダムに向かって加速する。フリーダムがビームを放つが、デスティニーは残像を伴って素早くかわしていく。
デスティニーがフリーダム目がけてシュペールアロンダイトを振り下ろす。フリーダムがミーティアのビームソードで受け止めて、衝撃が巻き起こり2機とも弾き飛ばされる。
「君は僕たちから全てを奪った・・君たちを倒さないと、みんながあまりにも辛すぎる・・!」
「そのオレから全てを奪ったのはアンタたちだ!自分のしていることを棚に上げて、他のヤツを力ずくで思い通りにしようとする!アンタたちは何も変わっていない!力と屁理屈で押し通すだけだ!」
敵意を向けるキラにシンが言い返す。
「だからアンタとオレの考えは、絶対に交わらない・・アンタが自分たちが絶対正しいと思い込んでいるから!」
「君たちのせいで、孤独も絶望も押し付けられている・・この苦痛、君たちに思い知らせる・・・!」
怒りをぶつけ合うシンとキラ。フリーダムがミーティアを構えてビームを一斉発射するが、デスティニーは素早くかわす。
デスティニーがビームブーメランを手にして投げ飛ばす。ビームブーメランがミーティアの左腕に突き刺さった。
しかしフリーダムは怯まず、ミーティアを動かして右腕のビームソードを振りかざす。
「くっ!」
デスティニーがシュペールアロンダイトで受け止めるも押されて、シンがうめく。
「君は必ず倒す・・君やこの世界がなくなれば、僕は安心できる・・・」
キラが呟き、フリーダムがドラグーンを操作してデスティニーを包囲する。
「キラ、これ以上やらせるか!」
シンが言い放ち、デスティニーがビーム砲を構えて発射した。放たれたビームがドラグーン数機を破壊した。
「必ず止める!アンタをオレが!」
シンが言い放ち、デスティニーがフリーダムに向かって突っ込んだ。
デスティニーとフリーダムがシュペールアロンダイトとビームソードをぶつけ合う。デスティニーがビームソードを跳ね除け、シュペールアロンダイトでミーティアの左のウェポンアームを叩いた。
「くっ・・!」
損傷したミーティアに、キラが毒づく。フリーダムがミーティアの右のビームソードを振り下ろすが、デスティニーが残像を伴った高速でかわし、シュペールアロンダイトを振りかざして右のウェポンアームを切り裂いた。
「僕はやられない・・君だけには、絶対に!」
キラも感情を高ぶらせて、フリーダムがミーティアを外して、向かってきたデスティニーに押し付けた。
「な、何っ!?」
ミーティアをデスティニーにぶつけられて、シンが驚愕する。身動きが取れなくなったデスティニーに対して、フリーダムが構える。
「やらせるか・・やらせるか、キラ!」
シンが言い放ち、デスティニーがミーティアから離れようとする。
フリーダムが全ての銃砲を一斉発射した。ビームはデスティニーのそばにいるミーティアに直撃して、爆発を引き起こした。
「うあっ!」
デスティニーが爆発で吹き飛ばされ、シンがその衝撃に揺さぶられて叫んだ。
「ミーティアはなくなったけど・・フリーダムだけでも、プラントは落とせる・・・」
キラはシンにその場で追撃はせず、プラントに向かって移動した。
フリーダムが再びプラントに近づいてくるのを、インパルスとファルコン、ミネルバが捉えた。
「フリーダムが近づいてきます!・・シンは、振り切られてしまったのか・・・!?」
迫るフリーダムにアーサーが焦りを見せる。
「生半可な攻撃では逆にやられてしまうわ・・タンホイザーで確実に倒すわ・・・!」
タリアがフリーダムを止める最善手を考える。
「しかし、あのフリーダムのスピードではよけられてしまいますし、あの剣で破られる可能性も・・!」
「デスティニー以外でフリーダムに対抗できるのは、タンホイザー以外にないわ・・・!」
声を荒げるアーサーに、タリアが檄を飛ばす。
「艦長・・・了解しました!」
アーサーが聞き入れて、タリアに従うことにした。
「ルナマリア、あなたたちもフリーダムを食い止めて。一瞬でもいいから、フリーダムの動きを止められれば、タンホイザーで当てることは不可能ではないわ・・!」
「分かりました、艦長・・やってみせます!」
タリアが続けて指示を送り、ルナマリアが答えた。
「ソラ、ハル、いいわね・・!」
「はい!私たちもやってみせます!」
ルナマリアが声を掛けて、ソラが答える。インパルスとファルコンの前に、フリーダムが戻ってきた。
「プラントは破壊する・・僕の全てを奪った象徴は・・・」
キラが呟き、フリーダムがプラントを狙って銃砲を展開する。
「フリーダム!」
ソラが言い放ち、ファルコンがビームライフルを発射する。フリーダムがビームを回避するが、プラントへの攻撃を阻まれる。
「ザフトも許してはならない相手・・・」
キラがインパルスたちに視線を移し、目つきを鋭くする。
「タンホイザー発射までの時間を稼ぎ、発射タイミングでフリーダムを止める・・」
「一瞬でも止めることができれば、まだチャンスはある・・・!」
ハルとソラがフリーダムに対する最善手を考える。
「シンは必ず戻ってくるけど、ここは私たちでやるしかないわ・・・!」
ルナマリアがシンのことを信じながら、キラと戦うことを心に決める。
「インパルス、ミネルバ・・ザフトの主力・・・今度こそ・・・!」
キラがルナマリアたちに狙いを変えて、フリーダムがビームライフルを構える。
「ルナマリアさん、僕たちが先に行きます!」
ハルがルナマリアに言って、ファルコンがフリーダムに向かっていく。
ファルコンがビームライフルを撃って、フリーダムが回避する。その間にミネルバがタンホイザーのチャージを進める。
「タンホイザー、チャージ90%です!」
マイがチャージを確認して報告する。
「みんな、発射に備えて!」
タリアが呼びかけて、ルナマリアたちがフリーダムを止めることに集中する。
ファルコンが加速して、フリーダム目がけてビームライフルを連射する。フリーダムが回避して、ドラグーンを操作してファルコンへビームを放つ。
ソラが反応し、ファルコンがビームをかいくぐっていく。
「ソラ、交代だ!僕がフリーダムに近づく!」
「分かったわ!」
ハルが呼びかけて、ソラが操縦を彼に任せる。ファルコンがビームライフルを左手に持ち替えて、ビームサーベルを右手で持った。
フリーダムがビームを連射するが、ファルコンはかいくぐって距離を詰めた。
「フリーダム!」
ハルが叫び、ファルコンがビームサーベルを振りかざす。フリーダムが回避して、ビームライフルで反撃する。
ファルコンが回避しながら、フリーダムに詰め寄っていく。
「ハル、私もいるから!」
ルナマリアが呼びかけて、インパルスがビームライフルを撃ってファルコンを援護する。
フリーダムがインパルスの射撃をかわした瞬間、ファルコンがビームサーベルを振りかざした。フリーダムもビームサーベルで受け止めたが、その瞬間に動きが止まった。
「今です!」
ソラがタリアたちに向けて呼びかける。タンホイザーのチャージは完了していた。
「ハル、そこから離れて!」
「タンホイザー、撃て!」
タリアがハルに後退を促し、アーサーが号令を出す。ミネルバがフリーダムに向けてタンホイザーを発射した。
ファルコンがビームサーベルでフリーダムを押さえ付けながら、スピードを上げて退避した。
「陽電子砲は僕には通じない・・・!」
キラが呟き、フリーダムが2本のビームサーベルを組み合わせてイペールラケルタにして振り下ろした。タンホイザーのビームが、フリーダムの一閃で真っ二つに切り裂かれた。
「なっ!?」
タンホイザーの砲撃を破られたことに、アーサーが驚愕する。
「動きを押さえても、タンホイザーのビームが通じない・・・!」
「私たちにはどうやっても、フリーダムを止められないの・・・!?」
マイとメイリンがフリーダムの力に脅威を覚えて、絶望感を隠せなくなっていた。