ザ・グレイトバトル外伝

ウルトラマンフォース

-光の戦士の大決戦-

第8章

 

 

 礼堂(らいどう)ヒカルとショウがウルトライブしているギンガとビクトリーが、ダークルギエルとファイブキングに立ち向かう。
「ルギエル、今日こそお前との決着を付けてやる!」
「お前たちに未来はない。私が全てを閉ざす・・」
 ヒカルが言い放って、ダークルギエルがあざ笑う。
「オレも貴様との因縁がある。それを今ここで絶ち切る!」
 ショウも言い放って、ビクトリーがギンガとともに構えを取る。
「我が力を受けて消えるがいい、ウルトラマンたちよ。」
 ダークルギエルが言いかけると、ファイブキングがギンガたちに向かってきた。ビクトリーが迎撃して、ファイブキングと組み合う。
 ファイブキングは超古代怪獣ゴルザ、超古代竜メルバ、宇宙海獣メルバ、奇獣ガンQ、宇宙戦闘獣スーパーコッヴが合体した怪獣である。
「コイツもオレが倒す!ヤツに引導を渡すなら今のうちだぞ、ヒカル!」
「ショウ・・・分かった!ルギエルは任せろ!」
 ショウが呼びかけて、ヒカルが頷いた。
 ギンガがジャンプしてダークルギエルに飛びかかる。しかしダークルギエルが繰り出した回し蹴りに蹴り飛ばされて、岩場に叩きつけられる。
「ぐっ!相変わらずとんでもないパワーだ・・!」
 ギンガが立ち上がって、ヒカルが毒づく。
「ギンガ、まずは貴様に私の闇の力を叩き込む・・!」
 ダークルギエルが右手から稲妻のような光線を放つ。
「うあっ!」
 ギンガが光線を浴びて、ヒカルが苦痛で顔を歪める。
「ヒカル!」
 ショウが光に叫ぶが、ビクトリーがファイブキングに押され出す。その直後にファイブキングが口と額から光線を発射した。
「ぐっ!」
 ビクトリーが光線を浴びて吹き飛ばされて、ショウがうめく。
「この程度でオレがやられると思っているのか!」
 ショウが言い放って、どくろ怪獣EXレッドキングのスパークドールズを取り出した。
“ウルトランス!EXレッドキング!ナックル!”
 ショウがアイテム「ビクトリーランサー」にスパークドールズをリードさせた。ビクトリーの右腕がEXレッドキングのものに変わった。
 ショウがビクトリーランサーを使って「ウルトランス」を行うことで、ビクトリーはスパークドールズの力を使うことができるのである。
 ビクトリーがレッドキングの腕でパンチを繰り出して、ファイブキングの体に当てた。突き飛ばされるファイブキングだが、その体から光の球を連射してビクトリーをけん制する。
 直後にファイブキングが右手から冷凍ガスを噴き出してきた。ガスを浴びて凍り付くビクトリーだが、レッドキングの腕の熱で氷を解かす。
 しかしファイブキングが続けて右手から放った炎で、ビクトリーが吹き飛ばされた。
 体を起こしたビクトリーが、右腕を元に戻してからV字に動かしてエネルギーを集める。
「ビクトリウムシュート!」
 ビクトリーが両腕をL字に組んで、光線を放つ。炎を突き抜けて飛んでいく光線だが、ファイブキングはガンQの形の左手で吸収した。
「光線ではヤツに吸収されてしまう・・直接ヤツを叩くまでだ・・!」
 ショウが思い立って、1体のスパークドールズを取り出した。彼の仲間であり相棒である聖獣、シェパードンのスパークドールズである。
「頼む、シェパードン・・オレに力を貸してくれ・・・!」
 ショウがシェパードンに信頼を送って、ビクトリーランサーにスパークドールズをリードさせた。
“ウルトランス!シェパードン!セイバー!”
 ビクトリーが1本の剣を手にした。シェパードンの魂と力を宿した聖剣「シェパードンセイバー」である。
 ファイブキングが放った光線と光の球を、ビクトリーがジャンプでかわす。彼は空から急降下して、シェパードンセイバーをファイブキング目がけて振り下ろした。
 だがファイブキングは右手でシェパードンセイバーを受け止めて、光線を発射した。
「ぐあっ!」
 ビクトリーが光線に押されて、地面に叩きつけられた。
「これでも力が足りないのか・・いや、オレたちはオレとシェパードンだけではない・・・!」
 諦めないショウが、ウルトラマンヒカリのスパークドールズを手にして、ビクトリーランサーにリードさせた。
“ウルトランス!ウルトラマンヒカリ!”
“放て、聖なる力!”
 ビクトリーの体の色が青と銀がメインとなって、輝かしさを宿していた。強化形態「ビクトリーナイト」となった彼は、魔笛封印剣「ナイトティンバー」を手にした。
 ファイブキングが取り込んでいたビクトリーの光線を、左手から反射させた。ビクトリーがナイトティンバーをかざして、光線を両断した。
“1!ナイトビクトリウムフラッシュ!”
「ナイトビクトリウムフラッシュ!」
 ショウがナイトティンバーのポンプアクションを1回して、「ソードモード」に変えた。ビクトリーが回転して、ファイブキングに近づいて切り付けた。
 ファイブキングが一斉に光線と光の球を連射してきた。ビクトリーがナイトティンバーとシェパードンセイバーを構えて、射撃をかいくぐる。
“2!ナイトビクトリウムブレイク!”
 ショウが続けてナイトティンバーに2回ポンプアクションをする。
「ナイトビクトリウムブレイク!」
 ビクトリーがナイトティンバーとシェパードンセイバーを振りかざして、ファイブキングの両手と頭部を切りつけて負傷させた。これによりファイブキングは射撃ができなくなる。
「オレたちは1人ではない!どんな強敵だろうと、力を合わせれば勝てない相手はいない!」
 ショウが言い放って、ナイトティンバーにポンプアクションを3回行う。
“3!ナイトビクトリウムシュート!”
「ナイトビクトリウムシュート!」
 ビクトリーがナイトティンバーとシェパードンセイバーで十字を組んで、光線を発射した。ファイブキングが口から光線を出して迎え撃つが、ビクトリーの光線に押し切られて体を貫かれた。
 ファイブキングが倒れて、木っ端微塵に吹き飛んだ。
「オレは強くなる・・シェパードンやヒカル、みんなと一緒に・・」
 ビクトリーがナイトティンバーとシェパードンセイバーを見つめて、ショウが決意を口にして仲間との絆を確かめる。
「ギンガファイヤーボール!」
 ギンガが火の球を連射するが、ダークルギエルがかざした左手からの衝撃波ではじかれて、数発が地面に落ちて爆発を起こす。
 爆発の煙で視界がさえぎられる中、ギンガが両腕にエネルギーを集めていく。
「ギンガクロスシュート!」
 ギンガが十字に組んだ腕から光線を放つ。しかしダークルギエルが右手から放った黒い光に、光線が押し返される。
「うあっ!」
 ギンガが光を浴びて吹き飛ばされて、ヒカルがうめく。
「ヒカル!」
 ビクトリーがギンガのところに来て、ショウが光に呼びかける。
「すまない、ショウ・・手こずっちまった・・・!」
「気にするな。ここからはオレもヤツの相手をするぞ。」
 謝意を示すヒカルに、ショウが呼びかける。ギンガが立ち上がって、ビクトリーとともに構えを取った。
「見せてやるぜ、オレたちの絆!」
 ショウとヒカルが言い放って、それぞれビクトリーランサーと左腕に付けている「ウルトラフュージョンブレス」を構える。
「ウルトラタッチ!」
 2人がジャンプしてビクトリーランサーとウルトラフュージョンブレスを合わせる。
「ギンガー!」
「ビクトリー!」
 ヒカルとショウの結束で、ギンガとビクトリーが合体を果たした。
「ギンガビクトリー!」
 2人が合体した戦士、ウルトラマンギンガビクトリーが現れた。
「それが今のお前たちの真の姿か・・それでも我が闇の力には勝てぬ・・・!」
 ダークルギエルが言い放って、黒い光を集めていく。
「オレたちは勝つ!勝って未来をつかみ取る!」
「お前などに、オレたちの道を閉ざされてたまるか!」
 ヒカルとショウが言い放って、ギンガビクトリーがダークルギエルに向かっていく。ダークルギエルが光を放つが、ギンガビクトリーに左手で止められる。
「合体で我に迫る力を身に着けるとは・・・!」
 ギンガビクトリーの力にダークルギエルが毒づく。
「ただの合体ではない!これがオレたちの、絆の強さだ!」
「ただ力を合わせるだけのお前たちには負けん!」
 ギンガビクトリーに込められた強さについてヒカルとショウ。
 ギンガビクトリーが真正面から突き進む。ダークルギエルが黒い光を放つが、ギンガビクトリーがそれを突き破って彼に迫った。
「ぐおっ!」
 ギンガビクトリーが繰り出したパンチを体に受けて、ダークルギエルが大きく突き飛ばされた。
「我がこうもたやすく押されるとは・・!」
 踏みとどまったダークルギエルが、ギンガビクトリーに脅威を覚える。
 ヒカルが左腕に付けている腕輪「ウルトラフュージョンブレス」のディスクを回す。これによりブレスに描かれたウルトラ戦士の力をギンガビクトリーが使うことができるのである。
 ヒカルがウルトラフュージョンブレスのディスクを、ウルトラマンコスモスに合わせた。
「ウルトラマンコスモスの力よ!コズミューム光線!」
 ギンガビクトリーの隣に、コスモス・エクリプスモードの幻影が現れた。彼とシンクロするように、ギンガビクトリーが光線を発射した。
「ぐっ!」
 ダークルギエルが光線を浴びて、体に宿る闇の力を弱められていく。
「闇の力が・・こんなことが・・・!」
 納得のいかないダークルギエルが力を振り絞って、右手にエネルギーを集める。ヒカルがウルトラフュージョンブレスのディスクを回して、ウルトラマンマックスを表示した。
「ウルトラマンマックスの力よ!マクシウムカノン!」
 現れたマックスの幻影とともに、ギンガビクトリーが両腕をL字に組んで光線を発射した。ダークルギエルも光を放ってぶつけるが、ギンガビクトリーの光線に押されていく。
 光線を体に当てられて、ダークルギエルがダメージを増してうめく。
「お前たちを・・確実に封じ込む・・・!」
 ダークルギエルがいら立ちを浮かべて、ウルトラ戦士や怪獣をスパークドールズに力を持つダークスパークを手にした。
「そうはいかないぞ!」
 ショウが言い放って、ヒカルがウルトラフュージョンブレスのディスクを回して、ウルトラマンネクサスを表示した
「ウルトラマンネクサスの力よ!オーバーレイシュトローム!」
 ネクサスの幻影が現れて、ギンガビクトリーが彼と同時に両腕を動かして光線を放った。ダークルギエルがダークスパークから光を放って、光線を迎え撃つ。
「ぐおぉっ!」
 ダークスパークが光線を浴びて破壊されて、ダークルギエルが押されて上空まで跳ね上げられた。
「オレたちの未来がよくなるか悪くなるかは、オレたち次第だ!」
「誰にも、オレたちの行く道を閉ざさせるわけにいくか!」
 ヒカルとショウが言い放って、ギンガビクトリーが両腕を振りかざしてエネルギーを溜める。
「ウルトラフュージョンシュート!」
 ギンガビクトリーが両腕を十字に組んで、光線を発射した。ダークルギエルが全身から光を放出するが、光線に体を貫かれた。
「光があれば闇が生まれる・・お前たちがいる限り、我は必ず復活する・・・!」
 全身に光が行き渡って、ダークルギエルが断末魔を上げて消滅した。
「勝った・・・」
 ショウがひと息ついて、ギンガビクトリーが合体を解除した。
「ルギエル、何度出てきても、オレたちは絶対に負けないぞ・・!」
 ヒカルが言いかけて、ギンガとビクトリーが握った手を軽く当てた。

 グローザムが両腕から氷の刃を出して振りかざす。ゼロが素早く動いて、刃をかわしていく。
「すばしっこいだけでは、このグローザムには勝てんぞ・・」
 グローザムがあざ笑って、口から冷凍ガスを吐き出した。ゼロがガスを浴びて、その中に取り込まれた。
 その直後、ゼロが回転して冷凍ガスを吹き飛ばした。彼は頭部に装着していた武器「ゼロスラッガー」を2本手にしていた。
「こんなもんでオレを止めようなんざ、2万年早いぜ!」
 ゼロがゼロスラッガーを構えて、グローザムに言い放つ。
 グローサムが再び飛びかかって、氷の刃を振りかざす。ゼロがゼロスラッガーで刃をはじいて、さらにゼロスラッガーを投げて刃に当てて翻弄する。
「おのれ、ゼロ・・オレの冷気を食らえ!」
 グローザムがいら立って、全身から冷気を放出した。ゼロが左腕に付けている腕輪「ウルティメイトブレスレット」に意識を傾けた。
「ルナミラクルゼロ。」
 ゼロの体の赤が青に変わる。彼はダイナのミラクルタイプとコスモスの「ルナモード」の力を宿した「ルナミラクルゼロ」となった。
「レボリウムスマッシュ。」
 ゼロが左手から衝撃波を発して、冷気を吹き飛ばした。
「ミラクルゼロスラッガー。」
 ゼロが射出したゼロスラッガーを分裂させて飛ばした。グローザムがゼロスラッガーをぶつけられて、氷の刃も切られた。
「全て凍らせてやる!」
 グローザムが冷気を放出して、ゼロスラッガーを吹き飛ばす。
「これだけ広範囲だとかわし切れない。だったら・・」
 グローザムの冷気の脅威を感じたゼロが、ウルティメイトブレスレットに意識を傾けた。
「ストロングコロナゼロ!」
 ゼロの体の青が赤に変わった。彼はダイナのストロングタイプとコスモスの「コロナモード」の力を宿した「ストロングコロナゼロ」となった。
 グローザムが放出する冷気を、ゼロは真正面から前進して突き抜けていく。
 スピードと特殊能力に特化したルナミラクルゼロと対照的に、ストロングコロナゼロはパワーが高まっている。
 ゼロが繰り出したパンチがグローザムの体を貫いた。後ずさりするグローザムだが、体に開けられた穴がすぐに塞がれた。
「なかなかの攻撃力だ・・だがオレは不死身だ!」
「だったら2度と復活できないように、完全に消し飛ばしてやる!」
 笑い声を上げるグローザムに言い返して、ゼロが彼に組み付いてきた。
「ウルトラハリケーン!」
 ゼロが竜巻を伴ってグローザムを投げ飛ばした。
「ガルネイドバスター!」
 ゼロが熱エネルギーを右手に集めて、上へ向けて放った。身動きが取れないグローザムが、熱を浴びて体を消されていく。
「まだ完全に消えたわけじゃない!また再生してくる!」
 ゼロが元の姿に戻って、両腕を振りかぶる。
「ワイドゼロショット!」
 彼がL字に組んだ腕から光線を放って、グローザムの破片に命中させた。
「これで勝ったと思うな・・オレは必ず復活し、お前たちを倒しに来る・・・!」
 グローザムが断末魔を上げて、完全に消滅した。
「だったら何度でも倒してやるぜ。オレじゃなくても、他のウルトラマンがやってくれる。」
 ゼロが決意を言って笑みをこぼす。自分やウルトラ戦士が必ず敵を倒せると、彼は確信していた。

「このテンペラー星人と暴君怪獣タイラントの極暴タッグに勝てると思っているのか!?」
 タイラントと手を組んでいるテンペラー星人が、レオとアストラに言い放つ。
「オレたちは絶対に勝つ。どのような相手であろうと、負けるわけにはいかないんだ!」
「オレたちは大切なものを守るために、日々精進している。オレたちがやるしかないと、自分に言い聞かせて・・・!」
 アストラとレオがテンペラー星人に言い返す。
 レオたちの故郷「L77星」は滅ぼされた。レオは亡命してきた地球を守る使命を託されて、厳しい特訓を重ねて侵略者や円盤生物に打ち勝ってきた。
 どのような状況に置かれても、第2の故郷である地球のために敵に勝たなければならない。その覚悟と信念がレオとアストラにはある。
「ならば見事我らを倒してみるか!行くぞ、タイラント!」
 テンペラー星人が高らかに言い放って、タイラントとともにレオたちに向かっていく。
 テンペラー星人が手から発する電撃の鞭を振りかざして、レオが素早く動いてかわす。テンペラー星人が続けて両肩からガスを噴射して、レオに命中させた。
「フハハハハ!オレの力を存分に味わうがいい!」
 テンペラー星人が高笑いして、両手から火炎を放ってきた。レオが大きくジャンプして火炎をかわして、テンペラー星人の後ろに回った。
 振り返ったテンペラー星人に、レオが拳を繰り出した。速く重いレオの打撃で、テンペラー星人が突き飛ばされた。
「おのれ、ウルトラマンレオ・・!」
 倒れたテンペラー星人が起き上がって、いら立ちを浮かべる。
 一方、アストラもタイラントの口から吐く火炎をかいくぐっていた。
 タイラントはレッドキング、イカルス星人、シーゴラス、ベムスター、バラバ、キングクラブ、ハンザギランのそれぞれの部位が合体した怪獣である。
 タイラントが鉄球状の左手から鎖鞭を射出して、アストラの右腕に巻きつけた。アストラが振り回されて、地面に叩きつけられる。
「この程度のことで音を上げるわけにはいかない・・!」
 アストラが声を振り絞って、左手の手刀「ハンドスライサー」でタイラントの鞭を断ち切った。
「僕の左足には、ウルトラマンキングでも切れない鎖が今も付いている。僕はそれを、辛い過去を忘れないこと、僕たちと同じ思いを他の善意ある人に味わわせないようにすることの誓いの証とした・・」
 アストラが自分の左足にある鎖「マグマチックチェーン」に目を向ける。
 故郷が滅んだ後に捕虜となっていたアストラ。キングに助けられた彼は、マグマチックチェーンを自身の決意と覚悟を強めるために残している。
「お前たちが命や平和を脅かすなら、僕たちがお前たちを倒す!」
 アストラが言い放って、炎の球の形をした「エネルギー光球」を放った。しかしタイラントはベムスターの腹部で光球を吸収した。
 その瞬間、アストラが大きくジャンプした。彼は上空から急降下して、タイラントの頭にチョップを叩き込んだ。
「タイラント!?」
 倒れたタイラントに振り向いて、テンペラー星人が声を荒げる。
「貴様もウルトラ兄弟ならば、これを受けて無事では済まんぞ!ウルトラ兄弟必殺光線!」
 憎悪をむき出しにするテンペラー星人が、エネルギーを集めた両手から光線を発射した。ウルトラ兄弟に絶大なダメージを与えるウルトラ兄弟必殺光線である。
 レオは左腕に腕輪として装着していた「ウルトラマント」を手にして、マントの形状にしてひるがえして、光線の軌道を反らして跳ね返した。
「ぐおっ!」
 逆に光線をぶつけられて、テンペラー星人が絶叫を上げる。
「おのれ・・このようなことで、必殺光線を跳ね返すとは・・・!」
 テンペラー星人がダメージを負ってうめく。そこへアストラに突き飛ばされたタイラントが転がってきた。
「タイラント!?貴様、何をやっている!?しっかりしろ!」
 テンペラー星人がタイラントに怒鳴って、アストラがレオと合流する。
「アストラ、息を合わせるんだ!」
「分かった、レオ兄さん!」
 レオが呼びかけて、アストラが答える。2人が大きくジャンプして、タイラントに向かって足を伸ばして急降下する。
 高い身体能力とジャンプ力、急降下による熱エネルギーを活かして繰り出すキック「レオキック」と「アストラキック」が、タイラントの体に叩き込まれた。大きなダメージを受けたタイラントが、倒れて爆発した。
「タイラントが倒されただと!?・・おのれ、レオ兄弟!」
 怒りを増すテンペラー星人が、再び両手にエネルギーを集める。
「兄さん、ダブルフラッシャーだ!」
「よし!」
 アストラが声を掛けて、レオが頷く。アストラがレオの前で地面に膝をついて、2人が手を合わせて光線「ウルトラダブルフラッシャー」を放った。
 テンペラー星人がウルトラ兄弟必殺光線を放つが、ウルトラダブルフラッシャーに押されて直撃された。
「バカな!?・・この極暴タッグが、敗れるとは・・・!」
 驚きを込めた断末魔を上げて、テンペラー星人が倒れて爆発した。
「やったね、兄さん!」
「あぁ。ありがとう、アストラ。」
 アストラとレオが声を掛け合って、互いに握った手を軽く当てた。

 デスレムに果敢に立ち向かう80。彼の猛攻にデスレムは翻弄されていた。
「この私が、ここまで追い込まれるとは・・・!」
 80の力と戦法にデスレムが毒づく。
「君もかなりの力を持っているようだ。しかしここまでだ。おとなしくこの星を去れ。」
 80がデスレムに向けて警告をする。
「優勢になっているからといって、それだけで勝ったと思うな・・!」
 デスレムがいら立ちを浮かべると、Gフォース本部に向かって光線を発射した。しかしそれを予測していた80に回り込まれて、光線を腕ではじかれた。
「お前の卑怯なやり方は聞いている。無関係な人や人質を狙う手口は通用しないぞ!」
「おのれ、ウルトラマン・・!」
 言い放つ80にデスレムがいら立ちをふくらませる。
 80が両手を振りかざして、光の矢「ウルトラダブルアロー」を放った。デスレムが両手を振りかざして、ウルトラダブルアローをはじく。
 その直後に80がジャンプして、エネルギーを集めたキック「ムーンサルトキック」を繰り出した。デスレムが頭にキックを当てられて、大きく突き飛ばされる。
「80め・・許さんぞ!」
 デスレムが怒鳴り声を上げて、再び光線を発射した。80は両腕を交差させて光線を打ち破って、直後に腕をL字に組んで「サクシウム光線」を放った。
 デスレムがサクシウム光線を直撃されて、致命傷を受けた。
「私は勝つためにあらゆる策略を巡らせてきた・・この私が、正々堂々のやり方に敗れるなど・・・!」
 デスレムがうめいて、力尽きて爆発した。
「正義と平和のために戦い、その思いを未来を生きる人たちに伝えていく。心に宿るマイナスエネルギーに負けない強さを、私はこれからも教えていく。」
 みんなに正しい心を一所懸命に教えていく。それが平和と幸せにつながる。その決意と願いを、80は改めて感じていた。

 突撃するサボテンダーを、メビウスとヒカリが受け止めて押し返す。倒れるサボテンダーが攻撃が通用しないことに翻弄される。
 メビウスとヒカリが両腕を十字に組んで、光線「メビュームシュート」と「ナイトシュート」を放った。サボテンダーが2つの光線を浴びて、倒れて動かなくなった。
「やった。サボテンダーを倒した・・!」
「待て!エンペラ星人だ!」
 頷くメビウスにヒカリが注意を投げかける。彼らの前にエンペラ星人が立ちはだかった。
「光の国のウルトラ戦士よ、予に宿る闇の力、その身に刻み付けるがいい・・」
 エンペラ星人が言いかけて、右手から稲妻のような光を放つ。
「うわっ!」
「ぐあっ!」
 メビウスとヒカリが光を浴びて、地面に叩きつけられる。エンペラ星人が右手に力を入れて衝撃波を発して、2人の周囲に爆発を巻き起こした。
「どうした、ウルトラ戦士?それでは世の中に渦巻くこの恨み、わずかも消えはしないぞ。」
 苦しむメビウスたちを見下ろして、エンペラ星人が告げる。
「僕は倒れるわけにはいかない・・地球や宇宙を、闇に覆わせはしない!」
 メビウスが立ち上がって決意を言い放つ。意識を集中する彼から炎があふれて、体の模様が変化した。
 メビウスは友情の炎を宿した強化形態「バーニンググレイブ」となった。
「それで予を超えたと思っているのか?笑止。」
 エンペラ星人が衝撃波を発して、メビウスがジャンプしてかわした。彼が全身から発する炎を大きくした。
「メビュームバースト!」
 メビウスが上空から炎を放出して、エンペラ星人目がけて飛ばした。
「レゾリューム光線。」
 エンペラ星人が手から禍々しい光を放出して、炎を破った。メビウスはとっさに動いて、光をかわした。
「この光線は、ウルトラマンの体を分解してしまう恐ろしい効果がある・・当たるわけにはいかない・・・!」
 エンペラ星人の光線を警戒して、メビウスがヒカルのところに戻る。
「オレたちの力を1つに合わせるぞ、メビウス。」
「あぁ、ヒカリ!僕たちは1人じゃない!」
 ヒカリの呼びかけに答えて、メビウスが絆の強さを思い返す。2人はお互いだけでなく、自分たちとともに戦う仲間たちのことを強く想う。
 するとメビウスたちが光を発して1つとなって、新たな姿へと変化した。メビウスの結束の姿「フェニックスブレイブ」となった。
「その光り輝く姿・・忌々しい光だ・・・!」
 エンペラ星人が不快感を覚えて、忌まわしい過去を思い出す。
 かつてM78星雲、ウルトラの星を、怪獣軍団を率いて襲撃したエンペラ星人。彼は若い頃のウルトラの父、ウルトラマンケンとの決闘で撤退を余儀なくされた。
 その戦いでケンも傷ついたが、そこへ駆け付けた今のウルトラの母、ウルトラウーマンマリーに助けられて、2人はその後結ばれたのである。
「その光、ここで消し去ってくれる。」
 エンペラ星人がメビウスに向けて、再びレゾリューム光線を放った。しかし光線はメビウスに当たった瞬間にかき消された。
「予のこの力を破るとは・・・!?」
「これが僕たちの、絆の強さだ!」
 驚きを覚えるエンペラ星人に、メビウスが言い放つ。
「ならば力で貴様をかき消すまで・・・!」
 エンペラ星人が両手にエネルギーを集めて、光にして放つ。メビウスが両腕を振りかざして十字に組んで、光線「メビュームナイトシュート」を発射した。
 メビュームナイトシュートが光を押し込んで、エンペラ星人を貫いた。
「闇は光に敗れるのが宿命なのか・・予は決して、ウルトラマンには勝てぬと・・・」
「そうじゃない!エンペラ星人、君の中にも光が存在するんだ!」
 敗北を痛感するエンペラ星人に、メビウスが言い放つ。
 光線を受けて体に光が宿っているエンペラ星人。しかしその光は光線のものだけでなく、彼自身の中にあったものもあった。
「これは、ウルトラマンの光だけではない・・・予の中にも、光が・・・」
 自分の中にも光が宿っていたことを実感したエンペラ星人。光線と自信の光に包まれて、彼は消滅した。
「どんな人にも、光と闇を持っている・・完全に闇に憑りつかれたと思われている人でも・・・」
 エンペラ星人や他の人にも光と闇を兼ね備えていることを理解するメビウス。大切なのは闇に囚われず、心に強く光を輝かせることだということも、彼らは分かっていた。
 メビウスがひと息ついて、ヒカリとの合体を解いた。
「兄さんたちもみんなも、必死に戦っているはずだ。」
「オレたちもみんなのところに戻るぞ。」
 メビウスとヒカリが声を掛け合って、他の戦況を確かめる。
「フォースもジャッカルと戦っているはずだ。」
 フォースとセレーナのことを気に掛けて、メビウスとヒカリは急いだ。

 

 

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