ザ・グレイトバトル外伝

ウルトラマンフォース

-光の戦士の大決戦-

第7章

 

 

 モルド、ギナ、ジュダにロッソ、ブル、グリージョが立ち向かっていた。
「小僧と小娘ごときが、我らグア軍団の3兄弟に勝てると思っているのか!」
 モルドがロッソたちに斧の先を向けて言い放つ。
「思ってる!オレたち兄弟は、力を合わせればできないことはない!」
 するとロッソがモルドを指さして、高らかに言い放つ。
「カツ兄(にぃ)、かっこよく言おうとしたんだろうけどかっこよくないぞ・・」
「うるせぇなぁ!文句が多いんだよ、お前は!」
 ブルが呆れると、ロッソが指先を彼に移して不満を言う。
「2人とも、ケンカしてる場合じゃないよ!あたしたちであの3人を止めなくちゃ!」
 グリージョが止めに入って、ロッソが落ち着きを取り戻す。
「どっちも3人。勝負するには丁度いいってところか。」
「こういうところは公平ってことだな!」
 ブルが呟いて、ロッソが意気込みを見せる。
「私たちを前にして、ずいぶん余裕なこと・・」
「それが愚かであることを、我らの力と共に思い知らせるまで。」
 ギナが彼らを見て微笑んで、ジュダが呟く。
「地獄へ落ちるがいい、3人のウルトラ戦士!」
 モルドが言い放ってギナ、ジュダとともに走り出す。ロッソがモルドを、ブルがジュダを、グリージョがギナを迎え撃つ。
 ジュダが振りかざす剣「バットキャリバー」をかわして、ブルが回し蹴りを繰り出す。体に蹴りを当てられるジュダだが、平然としていた。
「この程度が必殺の光線か?やはり小僧でしかないな。」
「パワーはあっちが上か・・だったら悠長にはできないかもしれないね・・・!」
 笑みをこぼすジュダの力を、ブルが分析する。
「アクアストリューム!」
 ブルが水のエネルギーを集めて、両腕をL字に組んで光線を発射した。
「はっ!」
 ジュダがバットキャリバーを振りかざして、光線を真っ二つにした。
「僕の光線を・・なんてヤツだ・・!」
「まずは貴様が私の手に掛かり、地獄に落ちるがいい!」
 驚くブルに言い放って、ジュダがバットキャリバーを振りかざす。
「うあっ!」
 ブルがバットキャリバーに切られて絶叫を上げる。ジュダが再びバットキャリバーを振りかざすが、ブルはジャンプしてかわした。
「力で押し切るだけが勝負じゃないよ!」
 着地したブルが振り返って、ジュダに言い返した。
 一方、ギナが電磁鞭を振りかざしてグリージョを攻め立てていた。
「この私から逃げられると思わないことね、お嬢さん。」
 ギナが笑い声を上げて、鞭を伸ばす。
「キャッ!」
 鞭が左腕に巻き付いて、さらに鞭が電撃を発してグリージョが苦しむ。
「ほら!悲鳴を上げるのはこれからよ!」
 ギナが鞭を動かして、グリージョを振り回していく。
「これじゃやられちゃう・・早く抜け出さなくちゃ・・・!」
 鞭を振り払おうとするグリージョだが、ギナのそばまで引っ張られていく。
「覚悟するのね。もっと追い込んでいくから・・」
 ギナがグリージョに顔を近づけて微笑む。
「グリージョキュアバースト!」
 グリージョが全身から衝撃波を発して、ギナを吹き飛ばして遠ざけた。
「そういういじめはよくないと思います!そういうのじゃなくて、みんなが笑顔でいられるほうがいいです!」
 グリージョが自分の思いを込めて、ギナに向かって言い放つ。
「みんなが笑顔?くだらないことを言うのね・・」
 ギナがあざ笑って、再び鞭を振りかざしてきた。グリージョは軽やかな動きで鞭をかわした。
「グリージョショット!」
 グリージョが両腕を十字に組んで光線を出した。
「うっ!」
 光線が手に当たって、ギナが鞭をはじかれる。
「小娘・・いい気になるんじゃないよ!」
 ギナがいら立ちを覚えて、口から炎のような光を発した。
「うわっ!」
 グリージョが光をぶつけられて倒れた。
「もう容赦しないよ!八つ裂きにしてやるから覚悟するのね!」
「そうはいきません!必ずあなたを止めてみせます!」
 鋭く言い放つギナに言い返して、グリージョが立ち上がって構えを取った。
 同じ頃、ロッソはモルドの力のある斧の攻撃を回避していた。
「逃げてばかりではオレには勝てんぞ、小僧。」
 モルドがあざ笑って、ロッソを挑発する。
「だったらそろそろ反撃させてもらおうか!」
 ロッソが言い返して、モルドに向かっていってパンチを繰り出す。しかしモルドの掲げた斧に止められる。
「勢い任せなだけか・・やはり小僧だな・・・!」
 モルドが笑い声を上げて、斧を押し込んでロッソを突き飛ばす。さらにモルドが斧を振りかざして、ロッソの体を切りつける。
「ぐあっ!」
 ロッソが突き飛ばされて仰向けに倒れる。
「他愛もない。もっと本気を出せ。それともこれが限界か?」
「ちくしょう・・調子に乗りやがって・・!」
 手招きするモルドに、立ち上がったロッソがいら立ちを見せる。
「フレイムスフィアシュート!」
 ロッソが炎のエネルギーを集めて、両腕を十字に組んで光線を放った。
「フン!」
 モルドが斧を振り下ろして、光線を打ち破った。
「やはりこの程度か。退屈しのぎにもならんな。」
「今のままじゃ勝ち目がないか・・・!」
 ため息混じりに言うモルドと、焦りを感じていくロッソ。
「うわあっ!」
 ブルとグリージョがジュダとギナに攻められて、ロッソの近くに転がり込んできた。
「イサミ!アサヒ!」
 ロッソがブルたちに駆け寄って心配する。
「あの3人、みんなとんでもなく強いよ・・!」
「僕たちももっと力を出さないといけないよ・・!」
 グリージョとブルがモルドたちの力を警戒する。
「まずはオレとイサミで行く!」
「まだまだ相手の力は未知数だからね・・!」
 ロッソが呼びかけて、ブルが頷く。
「私だけ仲間外れになるのは残念だけど・・ここはお願いね!」
 グリージョが聞き入れて、1度後ろに下がった。
「まとうは極み!金色(こんじき)の宇宙!」
 ロッソとブルが融合して新たなウルトラマン、ルーブとなった。
「2人のウルトラマンが合体しただと!?」
「まだそんな能力があったとはね・・!」
 モルドとギナがルーブを見て驚く。
「所詮はこけおどしだ!我らの力には遠く及ばん!」
 ジュダが臆することなく、ルーブに向かっていく。ジュダが振り下ろしたバットキャリバーを、ルーブが素早くかわした。
 ジュダがさらにバットキャリバーを振りかざす。ルーブは回避して、彼の懐に飛び込んだ。
「はっ!」
 ルーブが繰り出したパンチが体に当たって、ジュダが突き飛ばされた。
「ジュダ!」
「おのれ、小僧どもが!」
 ギナが叫んで、モルドがいら立ってジュダに加勢する。モルドが振りかざす斧を、ルーブがジャンプしてかわす。
「逃がさないよ!」
 ギナが再び持った鞭を振りかざして、ルーブの左腕に巻きつけた。鞭を引っ張ろうとするギナだが、ルーブに鞭をつかまれて逆に引っ張られた。
「うあっ!」
「ぐっ!」
 ギナとジュダがぶつかって、激しく地面を転がる。
「ギナ、ジュダ!おのれ、ウルトラマン!」
 モルドが叫んで、ルーブに飛びかかって斧を振りかざす。
「うあっ!」
 回避しきれず、ルーブが体を斧に切りつけられる。
「やってくれたな!ルーブコウリン!」
 ルーブが胸部に収納されている武器「ルーブコウリン」を手にした。
「兄者、私も行くぞ!」
 ジュダがバットキャリバーを構えてモルドに加勢する。バットキャリバーと斧を、ルーブがルーブコウリンで受け止めていく。
「兄さん、ジュダ!」
 ギナも鞭を振るが、ルーブが掲げたルーブコウリンにはじかれる。
「ルーブボルテックバスター!」
 ルーブがルーブコウリンを前に振りかざして、渦巻き状の光線を放つ。
「うあっ!」
 ギナが光線を受けて、空中へ跳ね上げられて地面に叩きつけられた。
「ルーブコウリンショット!」
 ルーブが立て続けにルーブコウリンを振りかざして、虹色の光輪を放った。ジュダがバットキャリバーを振り下ろして光輪にぶつけるが、光輪に押し切られた。
「合体したところで、オレたちを超えることはできんぞ!」
 モルドがいら立ちをふくらませて、斧を振り上げてルーブに向かっていく。ルーブがルーブコウリンを投げつけるが、モルドが斧で上にはじいた。
「ルービウム光線!」
 その直後、ルーブが両腕を組んで光線を放った。モルドが光線の直撃で大きく吹き飛ばされた。
「これがオレたちの絆の力だ!」
 起き上がったモルドたちに向かって、ルーブが言い放つ。
「ここまで力を上げてくるとは・・ならばオレたちも力を合わせるとするか・・・!」
 モルドが笑みをこぼして、ギナとジュダが彼に賛成した。
「私たちの魂は、常に1つ!」
「何事においても、ウルトラ戦士を我らは上回る!」
 ギナとジュダが言い放って、モルドと意識を集中する。
「我らの魂を1つに!」
 ギナとジュダが光となって、2人の顔を模したバットキャリバーとなってモルドの手に握られた。
「モルドもギナたちと合体した・・!?」
「合体?我らの真の姿を、その程度のことと一緒にするな・・!」
 身構えるルーブにモルドが言い返す。モルドの声がギナ、ジュダと重なっていた。
「我が名はグア!3兄弟の魂と力を1つにした、我が真の姿だ!」
 モルドたちが融合したグアが名乗りを上げて、バットキャリバーを振りかざして光の刃を飛ばした。
「うあっ!」
 ルーブが光の刃を直撃されて突き飛ばされる。
「もう1度!ルーブコウリンショット!」
 ルーブがルーブコウリンを振りかざして、虹色の光輪を放った。グアがバットキャリバーで光輪をはじき飛ばした。
「何っ!?」
 驚くルーブに向かって、グアがバットキャリバーから光の刃を飛ばした。ルーブが刃をぶつけられて倒れた。
「カツ兄!イサ兄!」
 グリージョがルーブに駆け寄って支える。
「大丈夫、2人とも!?」
「あぁ・・だけどアイツら、1つになってルーブも超えてきたぞ・・!」
 グリージョの声にルーブが答える。
「だったらこっちも1つになるときだよ!私たちが全力を出すときです!」
「あぁ!アイツらにオレたち兄弟の強さを見せるときだ!」
 グリージョがさらなる合体を呼びかけて、ルーブが頷いた。2人が立ち上がって意識を集中する。
「まとうは真!不滅の真理!」
 ルーブとグリージョが融合して、新たなウルトラマンとなった。ロッソ、ブル、グリージョのそれぞれのメインカラーを兼ね備えた姿をしていた。
「また合体しただと?貴様、何者だ!?」
 グアがそのウルトラマンを見て問いかける。
「ウルトラマングルーブ!」
 ロッソたち3人が合体したウルトラマン、グルーブが名乗って構えを取った。
「我らと同じように3人1つとなったところで・・!」
 グアがあざ笑って、グルーブ目がけてバットキャリバーを振り下ろしてきた。グルーブが左腕を振りかざして、バットキャリバーを押し返した。
「さらに力が増した・・だが我らの方が上だ・・!」
 グループの強さを実感するも、グアが再び攻撃を仕掛ける。
「グルービングスマッシュ!」
 グルーブがエネルギーを集めたパンチを繰り出して、グアの体に叩き込んだ。
「ぐっ!」
 威力のある打撃を受けて、グアが押された。
「おのれ、グルーブ・・だが、我らに勝てると思うな!」
 グアがバットキャリバーを地面に叩きつけて、連鎖的な爆発を引き起こす。グルーブが大きくジャンプして、爆発をかわす。
「グルービングインパクト!」
 上空から急降下して、グルーブが足にエネルギーを集めたキックを繰り出した。
「ぐっ!」
 グアが蹴り飛ばされて、大きく押されてから踏みとどまった。
「バカな!?我らがここまで押されるとは・・!」
 グアがダメージが増していることを感じてうめく。
「これがオレたち兄弟の、絆の強さだ!」
 グルーブが彼に拳を向けて言い放つ。
「我らグアの魂が、貴様らごときのつながりに負けることはない!」
 グアが言い返して、バットキャリバーにエネルギーを集めていく。彼が振りかざしたバットキャリバーから、稲妻のような黒い光が放たれる。
「グルービング光線!」
 グルーブが両腕を十字に組んで光線を発射して、黒い光とぶつけ合う。
「このまま押しつぶしてやるぞ!」
「そうはいかない!」
 言い放つグアにグルーブが言い返す。
「オレたちには、ウルトラマンと人間には、強い絆の力があるんだ!」
 叫ぶグルーブが力を込めて、光線の威力を上げた。光線は黒い光を押し込んで、グアを貫いた。
「我らは死なん・・我らは不滅・・グア軍団に、栄光あれー!」
 絶叫を上げるグアが倒れて大爆発を起こした。エネルギーを消耗したことで、グルーブがロッソたちに分かれた。
「ふぅ・・何とか勝てたな・・」
「カツ兄は相変わらず行き当たりばったりなんだから・・僕も人のことは言えないか・・」
 ロッソがひと息ついて、ブルが呆れた素振りを見せる。
「いいじゃないですか♪こうして勝てたんですから♪」
 グリージョが喜んで、ロッソとブルも笑みをこぼす。
「だけど、まだ戦いが終わったわけじゃないよ。」
 ブルが落ち着きを取り戻して、近づいてきたジャッカル星人たちに目を向けた。
「しつこい人は嫌われますよ・・!」
「お前らも攻撃してくるなら、容赦なく倒してやるぞ!」
 グリージョが不満を口にして、ロッソが言い放つ。彼らが力を振り絞って、ジャッカル星人たちを迎え撃った。

 ドロボンの振りかざす棍棒に、ジードは苦戦を強いられていた。
「どうした、小僧?それでもベリアルの力を持つ者か?」
 ドロボンが棍棒を振り回して、ジードをあざ笑う。
「確かに僕の中にはベリアルの力がある・・でもこれをどう使うかは、僕自身に掛かっているんだ・・!」
 ジードが自分の力について確かめてから、再び構えを取る。
「お前が持て余しているその力、オレが存分に使ってやるぞ・・!」
 ドロボンが笑い声を上げて、攻撃を再開した。
「うあっ!」
 ジードが棍棒で殴られて、大きく突き飛ばされた。
「すごい力だ・・これが、ドロボン星の宇宙戦闘員・・・!」
 ジードがドロボンの力に脅威を感じていく。
「だけど、僕は負けるわけにいかない・・この世界のために、僕の大切なもののために・・!」
「たわけたことを・・大人しくその力をオレに差し出せ・・・!」
 自分の信念を口にするジードに向かって、ドロボンが手招きをする。
「レッキングバースト!」
 ジードがエネルギーを集めた両腕を十字に組んで、光線を発射した。ドロボンが棍棒を掲げて、光線を止めた。
「何っ!?」
 光線を破られたことに驚くジード。ドロボンが棍棒の先からビームを発射した。
「うっ!」
 ジードがビームを当てられて爆発に襲われる。後ずさりする彼を、ドロボンがあざ笑う。
「他愛もない。おとなしく自分の星にいれば、苦しまずに済んだものを・・」
 ドロボンがジードに近づいて、さらにあざ笑う。
「そうはいかない・・ジーっとしてても、ドーにもならない・・!」
 ジードが言い返して、力を振り絞る。
「力をものとしか考えないお前に、僕の力を使わせるわけにいかない・・この力でお前を倒し、この戦いを終わらせる!」
 彼が決意を言い放って、意識を集中する。
“ウルトラマンベリアル!ウルトラマンキング!我、王の名の下に!”
「変えるぜ、運命!」
“ウルトラマンジード・ロイヤルメガマスター!”
 ジードの姿が変化した。神々しさを宿した金銀、紫の姿に。
 ウルトラの国の伝説の超人、ウルトラマンキングと悪のウルトラマンであるベリアル。2人の相反する強大な力を宿した姿「ロイヤルメガマスター」である。
「これが貴様の最高の力か!?ベリアルだけでなく、キングの力も持っているとは・・!」
 ドロボンがジードの姿を見て、喜びを感じていく。
「その力、オレがもらう!」
 ドロボンが飛びかかって、棍棒を振り下ろす。ジードが武器「キングソード」を手にして、棍棒を受け止めた。
「何だと!?この小さな武器で、オレの棍棒を受け止めるなど!?」
 打撃が通じないことに驚くドロボン。彼が続けて棍棒を振りかざすが、ジードにことごとく回避される。
「すばしっこいヤツだ・・だがいつまでも逃げられると思うな!」
 ドロボンがいら立ちを覚えて、棍棒を振りかざす。ジードが左手をかざして念力を発した。
「おわっ!」
 ドロボンが念力で吹き飛ばされて、地面に叩きつけられる。
「何という力・・キングとしての超能力か・・!」
 ドロボンが起き上がって、ジードの発揮する力に脅威を覚える。
「バルカンスパークル!」
 ジードがキングソードを前に出して、大量の光の矢を発射する。ドロボンが棍棒からビームを出すが、光の矢にかき消された。
「ぐ、ぐおぉっ!」
 ドロボンが光の矢を当てられて、また吹き飛ばされた。ジードがキングソードを「杖モード」から「剣モード」に変えた。
「スウィングスパークル!」
 ジードが回転しながら、刀身にエネルギーを集めたキングソードを振りかざす。ドロボンが棍棒を振り下ろすよりも速く、ジードがキングソードで切り付けた。
「ぐおぉっ!」
 ドロボンが激痛を覚えて、倒れて悶絶する。
「これで決める!」
“解放せよ、宇宙最強の力!”
 言い放つジードが、全身にエネルギーを集めていく。
「ロイヤルエンド!」
 キングソードと左手を十字に組んで、ジードが光線を発射した。ドロボンが棍棒を掲げて防ごうとするが、止め切れずに直撃された。
「キングとベリアルの力を宿したウルトラマンジード・・・強すぎる・・・!」
 敗北を痛感したドロボンが、倒れて爆発した。
「勝った・・僕だって、みんなを守れるんだ・・・」
 ジードがひと息ついて、落ち着きを取り戻していく。
「また終わりじゃない・・みんなのことも守らなくちゃ。」
 彼はロイヤルメガマスターから「プリミティブ」に戻って、他のウルトラ戦士の援護に向かった。

 エンマーゴの振りかざす剣を、オーブはかいくぐっていた。
「ウルトラ戦士よ、わしが貴様たちに裁きを下してやるぞ。」
 エンマーゴが言い放って、右手で持っている剣の切っ先をオーブに向ける。
「悪いが、お前の裁きを受ける程落ちぶれてはいないのでな・・!」
 オーブに変身している男、クレナイ・ガイが強気な態度を見せる。
「スペリオン光線!」
 ウルトラマンとティガの知方を宿した「スペシウムゼペリオン」となっているオーブが、両腕を十字に組んで光線を放った。しかしエンマーゴが左手で持っている盾で、光線を防いだ。
「そんなものがこの私に通じるか!」
 エンマーゴが高笑いして、オーブを狙って再び剣を振りかざしてきた。
「うっ!」
 オーブが体を切りつけられて倒れる。彼は痛みに耐えながら、ゆっくりと起き上がる。
 エンマーゴが剣を振り下ろしてきて、オーブが横に動いてかわす。外れた剣がその先の岩を真っ二つにした。
「あの剣を何度も食らうわけにはいかない・・ここは力で押し切るか・・・!」
 危機感を覚えたガイが、ウルトラ戦士の力を宿した「ウルトラフュージョンカード」を取り出した。
「ゾフィーさん!」
“ゾフィー!”
「ベリアルさん!」
“ウルトラマンベリアル!”
 彼がゾフィーとベリアル、2枚のウルトラフュージョンカードをアイテム「オーブリング」にリードさせる。
「光と闇の力、お借りします!」
 ガイがオーブリングを掲げて、ゾフィーとベリアルの力を身にまとう。
“ウルトラマンオーブ・サンダーブレスター!”
 オーブの体格が大きくなって、顔つきや体の模様が鋭いものとなった。彼はゾフィーとベリアル、光と闇の力を兼ね備えた「サンダーブレスター」となった。
「闇を抱いて、光となる!」
 オーブが言い放って、エンマーゴに向かっていく。
「姿を変えたところで、この剣に切られることに変わりはないぞ・・!」
 エンマーゴがオーブに向かって剣を振り下ろす。しかしオーブの大きな体格に剣が跳ね返される。
「私の剣が効かない!?なんて体をしている・・!」
 驚くエンマーゴにオーブが拳を繰り出す。エンマーゴが盾で防ごうとするが、止め切れずに突き飛ばされる。
「おのれ・・それで私に勝ったつもりか!」
 エンマーゴがいら立って剣を振りかざす。オーブが剣をかわして右腕をつかんで、エンマーゴを振り回して投げ飛ばした。
「くっ・・2人の善悪のウルトラ戦士の高い力を兼ね備えている・・・!」
 起き上がるエンマーゴがオーブの力に脅威を覚える。
「ゼットシウム光線!」
 オーブが左右の手にそれぞれ光と闇のエネルギーを集めて、十字に組んで光線を発射した。エンマーゴが盾で防ぐが、光線に盾を破壊された。
「バカな!?私の盾が破られただと!?」
 驚くエンマーゴが剣を構える。
「だが所詮は巨大な力に頼っているだけ!それで勝ったところで、その力に溺れるだけだぞ!」
 エンマーゴがいら立ちを込めて、オーブに向かって言い放つ。
「確かにオレは、この巨大な力を制御できず、守るべき人を逆に傷つけた・・しかし本当の自分を思い出したとき、その力に負けない強さもつかんだ・・・!」
 ガイがこれまでの戦いを思い返していく。彼は始めはサンダーブレスターの力をコントロールできず、周りの被害も構わずに見境なしに戦い、それを苦悩したこともあった。
「今はこの力を使いこなし、本当の自分も取り戻した・・・!」
 オーブが言い放って、ガイが1枚のウルトラフュージョンカードを取り出した。カードに描かれているのは、オーブ本来の姿。
“覚醒せよ、オーブオリジン!”
 現れた剣「オーブカリバー」を手にして、ガイが柄にあるリングを回した。
「オーブカリバー!」
 ガイがオーブカリバーのトリガーを引く。オーブカリバーから彼が普段ハーモニカで奏でていた曲に似たメロディが流れ出して、オーブの姿も変化した。
「我が名はオーブ!銀河の光が、我を呼ぶ!」
 オーブが名乗って、オーブカリバーを構える。
「それが貴様の真の姿か・・次こそ貴様の首、落としてくれる!」
 エンマーゴが言い放って、剣を振りかざす。オーブがオーブカリバーを掲げて、剣を受け止めた。
「何っ!?ぐおっ!」
 驚くエンマーゴがオーブカリバーに切りつけられて、地面に倒れた。
「なんという威力の剣・・これが、オーブの真の姿と力・・・!」
 立ち上がるエンマーゴが緊迫をふくらませる。
「ならば、これならばどうだ!」
 エンマーゴが口から黒い煙を吐き出してきた。ガイがオーブカリバーのリングを回して赤に合わせた。
「オーブフレイムカリバー!」
 オーブがオーブカリバーを振りかざして、炎を発した。炎が黒い煙を吹き飛ばして、エンマーゴを燃やす。
「何という火力・・我が身をここまで追い込むとは・・・!」
 ダメージを増して、エンマーゴがうめく。
「お前は本物の閻魔様ではない!だからお前には、誰も裁く権利はない!」
 ガイが言い放って、オーブリングにオーブカリバーをリードさせる。
“解き放て、オーブの力!”
 オーブが構えたオーブカリバーに虹色のエネルギーが集まっていく。
「オーブスプリームカリバー!」
 オーブカリバーから虹色の光が放たれた。エンマーゴが光に貫かれて、木っ端微塵に吹き飛んだ。
「この宇宙は、まだオレの知らないことが多いということか・・・これからもお世話になります、先輩のみなさん・・」
 オーブとガイがオーブカリバーを見つめて、自身の決意とウルトラマンたちへの感謝を胸に秘めた。

 エレキングの放つ電機光線と三日月状の光を、エックスが素早くかいくぐっていた。
「よし!一気に距離を詰めるぞ!」
 エックスとユナイトしている青年、大空大地(おおぞらだいち)が呼びかける。エックスがエレキングに近づいて、肉弾戦を仕掛ける。
 そのとき、エレキングが尻尾を振りかざして、エックスの体に巻きつけた。
「ぐっ!」
 エレキングが尻尾を通じて電気を流して、エックスが大地とともに痛みを覚える。
「これは、普通のエレキングのパワーじゃない・・・!」
「アイツ自身の電気に、“ダークサンダーエナジー”が混じっている・・・!」
 大地とエックスがエレキングの力に対して、緊張を覚える。
 生物を凶暴化させる力、ダークサンダーエナジー。エレキングにはその力を浴びて凶暴化していた。
 エックスがエレキングの尻尾を振り払って、電撃を回避した。
「エックス、エレキングが・・!」
 大地が声を上げて、エックスがエレキングに目を向ける。ダークサンダーエナジーの黒い稲妻を発しながら、エレキングの姿が変化して、ヘビのような姿かたちとなった。
「あれが、変化したエレキング・・・!」
「まるで海蛇か電気ウナギだ・・・!」
 エックスと大地がエレキングを見て息を呑む。エレキングが強力になった電撃を放出した。
「うわっ!」
 エックスが電撃を受けて吹き飛ばされて、大地とともにうめく。
「このダークサンダーエナジーを取り払うのが先決だ!」
「そして1回、エレキングをスパークドールズにする!」
「行くぞ、大地!」
「あぁ!エックス、エクシードだ!」
 エックスと大地が声を掛け合う。
 ウルトラ戦士や怪獣が人形化した「スパークドールズ」。大地は新たな姿のエックスのスパークドールを手にして、アイテム「エクスデバイザー」に読み込ませる。
“ウルトラマンエックス、パワーアップ。”
 エクスデバイザーから音声が発すると同時に、大地の手元に虹色の剣「エクスラッガー」が現れた。
「エクシード、エーックス!」
 大地がエクスラッガーを振りかざすと、エックスがそのスパークドールと同じ銀色の姿に変わった。彼は2人のユナイトが強まった姿「エクシードエックス」となった。
 エレキングがダークサンダーエナジーが込められた電撃を放つ。エックスは残像を伴った高速で、電撃をかわす。
「エクスラッガー!」
 エックスが額に装着されているエクスラッガーを外して手にした。大地がエクスラッガーの虹色のパネルを下から上へ2回スライドタッチする。
「エクシードスラッシュ!」
 エックスが高速で飛び込んで、エレキングを切り付けた。ダメージを負うエレキングだが、エックスに体を巻き付けて電気を放出した。
 大地が電撃の痛みに耐えながら、エクスラッシュのパネルを3回スライドタッチする。
「エクシードイリュージョン!」
 エックスが高速でエレキングから抜け出して、分身を作り出して同時にエクスラッガーで切り付けた。エレキングがダメージを受けて倒れる。
「今だ、大地!」
「行くぞ、エックス!」
 エックスの呼びかけに答えて、大地がエクスラッガーの虹色のパネルを3回スライドタッチして、ブーストスイッチを押す。エックスが構えるエクスラッガーから虹色の光があふれ出す。
「エクシードエクスラッシュ!」
 エックスが突撃して、エレキングをエクスラッガーで切りつける。ダークサンダーエナジーが消えて、エレキングが元の姿に戻った。
 エックスが元の姿に戻って、両腕を振りかぶってエネルギーを集める。
「ザナディウム光線!」
 エックスが前でX字にした両腕から光線を発射した。光線を浴びたエレキングが爆発して、スパークドールズになって大地の手元に来た。
「エレキングを助けることができた・・よかった・・」
 大地がエレキングのスパークドールズを見つめて、安心を覚える。
「まだみんな戦っている。オレたちもみんなを助けに行くぞ!」
「分かった!行こう!」
 エックスが呼びかけて、大地が答える。エックスがみんなの援護のために、再び動き出した。

 

 

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