ザ・グレイトバトル外伝

ウルトラマンフォース

-光の戦士の大決戦-

第4章

 

 

 ジャッカルからの宣戦布告に、地球の人々は騒然となっていた。恐怖に駆られて逃げ出す人、絶望してその場にうずくまる人など、様々だった。
 中にはGフォースの投降とフォースたちの引き渡しを求める人もいた。
「防衛隊は宇宙人に従え!」
「大人しく言う通りにするんだ!」
「ウルトラマンが勝てなかった相手に、地球人が勝てるわけがない!」
 Gフォースに対する抗議が、時間が経つにつれて増していく。
「これじゃオレたちのほうが悪者じゃないか!」
「みんな、死にたくないあまりに、生き残れると思っていることを優先させているのよ・・・」
 この状況にギンが不満を感じて、ナツが肩を落とす。
“フォースは、そこまでみんなから信頼されているんだね・・”
 セレーナがフォースの戦いに感動を感じていく。
(フォースだけじゃない。ウルトラマンも他の人も、地球や宇宙を守る人はみんなの希望だった・・でも敗北したから、みんな絶望してしまった・・・)
“そんな・・そんな簡単に揺れ動いてしまうなんて・・”
(そういうものよ。人間もウルトラマンも。完璧にできるのは、神様くらいなだけだよ・・)
“フォースもウルトラマンも、完璧じゃない・・・”
 ナツの話を聞いて、セレーナが戸惑いを覚える。フォースも完璧でないと聞かされて、彼女は複雑な気分を感じた。

 その頃、イズルはギャラクシーバスターのある格納庫に来ていた。彼はギャラクシーバスターを見回して、コンピューターをチェックしていた。
(本部のエネルギーと太陽エネルギーを取り込んで、強力なビームを発射する。この攻撃はかなり強力で、射線軸を考えないと地球に被害が出てしまう・・)
 ギャラクシーバスターの仕組みを把握していくイズル。
(仕組みが分かれば威力を調整できるけど、それにはやはり設計図がないと・・)
 細かい調整に踏み切ることができなくて、彼は肩を落とした。
(お願いします、隊長・・ここから先は、隊長が許可をいただくことでしか・・・)
 イズルはトウジのことを考えて、作業を待つことになった。

 地球防衛軍本部に、トウジはギャラクシーバスターの使用の進言と設計図の譲渡を申し出た。
“あの兵器を使うつもりか、桜井隊長。”
“しかしギャラクシーバスターの設計図を渡すわけにはいかん。”
 本部の上層部が状況を把握した上で、トウジの申し出を却下した。
“あれは地球の切り札。侵略者や悪人に利用されないよう、徹底しなければならない。たとえ君でも、その情報をもらすようなことはできん。”
「しかし、それでは宇宙人に数で攻め込まれます・・!」
“ヤツらを倒せば侵略者が完全にいなくなるわけではない。その敵が設計図を狙い、対策を立ててくるのは容易に想像できる。”
「今の危機を乗り越えなければ、この先のことを考えても意味はありません・・守るべきはこの星と、そこに住む全ての命です!」
 設計図を見せようとしない上層部を、トウジが必死に説得する。
“その命を守るための判断だ。”
“この戦いのために、未来を危機に陥れるわけにはいかんのだ。”
 それでも上層部の考えは変わらず、トウジが歯がゆさを感じていく。
“桜井隊長、このまま宇宙人の打倒を遂行せよ。ギャラクシーバスターの使用のタイミングは、君の判断に任せる。”
 上層部はトウジに指示を送って、通信を終えた。
「今の地球の危機だというのに、この先のことを考えるだけ・・・」
 考えを変えない上層部に、トウジが怒りをふくらませて、手を強く握りしめる。
「私も納得できないが、今はジャッカル星人を撃退するのが重要だ・・」
 彼は割り切って、ジャッカルたちとの戦いに集中するのだった。

 ギャラクシーバスターの調査を続けていたイズルのところに、トウジが来た。
「イズル、ギャラクシーバスターについて分かったことはあるか?」
「隊長・・いえ、操作方法以外は・・威力の調整は見る限りでは不可能です・・」
 トウジが問いかけて、イズルが振り向いて答える。
「隊長、ギャラクシーバスターの設計図はいただけましたか・・?」
「こちらもダメだった・・現状でできることをやるしかない・・・」
 イズルが問いかけて、トウジが顔を横に振る。
「ギリギリまで調べてみます。必ず有効活用できるようにしてみせます。」
「苦労を掛けるな、イズル・・頼むぞ。」
 調査を続けるイズルに、トウジが気を遣う。
(絶対に見つけてみせる・・隊長もみんなも全力を尽くしているのだから・・・)
 イズルは決心を強くして、調査を再開した。

 Gフォース本部の作戦室に戻ったトウジ。作戦室には、ジャッカル星人の動向を伺っていたギンがいた。
「隊長・・ヤツらはまだ動きを見せていません。こっちの返事を待ってるのでしょうか・・」
 ギンがトウジに敬礼して、現状を報告する。
「ナツとカナタくんは?」
「陽輝のいる医務室にいます。ナツ、すっかり陽輝のことを心配してるみたいで・・」
 トウジが質問して、答えたギンが表情を曇らせる。
「ギン、君も出撃に備えて、今のうちに休んでいくんだ。宇宙人の監視は我々でやる。」
「そんな・・隊長に負担を掛けるようなこと・・・!」
 休息をとるように言い渡すトウジに、ギンが言い返す。
「前線で戦うことになるのは君たちだ。厳しい戦いを前に負担を掛けることを、私はよしとは思わない・・」
「隊長・・・」
「戦いになったら頼りにさせてもらう。だから今のGフォースは私に任せてくれ。」
「分かりました・・」
 トウジに説得されて、ギンは作戦室を後にした。
(みんなそれぞれの戦いがある・・そのために互いに万全でいるようにするのが、Gフォース隊長である私の使命だ。)
 自分のできる最大限のことをやろうとするトウジ。彼はジャッカル星人の出方を伺った。

 ナツとカナタに見守られる中、陽輝が目を覚ました。
「陽輝くん、目を覚ましたのね!」
「ここは?・・オレ、もしかして倒れてしまったのか・・・?」
 ナツが喜んで、陽輝が記憶を呼び起こす。
(フォースとなって戦って、ジャッカル星人にやられて・・・)
 ジャッカル星人たちとの戦いを思い出して、陽輝が緊張を覚える。
(フォース、大丈夫か!?フォース!)
“陽輝、私の体力は回復している。君は私とともに力を使い果たして、深い眠りについていたのだ。”
 陽輝が心配の声を掛けて、フォースが状況を説明した。
(フォース・・よかった、無事で・・・)
 陽輝が安心して、自分の胸に手を当てた。
“すぐにでも変身することができるが、不利な状況であることに変わりはない。”
(分かっている・・オレたちも全力を尽くさないと、地球や宇宙は守れないみたいだ・・・!)
 フォースが注意を言って、陽輝が覚悟を決める。
“これからは一緒に戦いましょう、フォース、陽輝。”
 そのとき、セレーナがテレパシーを送って、陽輝が驚きを覚える。
“セレーナ!?近くでテレパシーの会話をすれば、ナツにもこちらのことが知られてしまうぞ・・!”
“もう知っているよ・・フォースと陽輝が一心同体だということを・・”
 声を荒げるフォースに、セレーナが現状を話した。
(ということは、ナツ隊員はオレたちのことを・・・)
 陽輝が心を揺さぶられて、ナツに振り向いた。ナツも動揺を浮かべたまま、小さく頷いた。
「あなたがフォースから戻るのを、私、見たの・・あなたがフォースとして戦っていたなんて・・・」
「ナツ隊員・・騒ぎにしたくないと思って、黙っていたんだ・・すまない・・・」
 説明するナツに、陽輝が答えて謝る。
「ううん・・みんなやフォースのことを考えてのことでしょ?・・今の私も同じ立場にあるから・・」
 ナツが微笑んで陽輝を励ます。
“はじめまして、羽鳥ナツさん。私がウルトラマンフォースだ。”
 フォースがテレパシーでナツに挨拶をする。
“セレーナのために、君にも大きな負担を強いることになってしまった・・”
「それは気にしていません。むしろ私としては、こうしてあなたたちのことを知ることができてよかったと思っています。」
 謝罪するフォースに、ナツが気持ちを伝える。
「これからは私も戦うわ。セレーナと一緒に・・」
「ナツ・・セレーナ・・・」
 ナツの決意を聞いて、陽輝が戸惑いを浮かべる。
“フォース、これで遠慮せずに協力することができるね。”
“そうだな、セレーナ。だが他のみんなには秘密にしておこう。”
 セレーナとフォースも声を掛け合って、改めて協力を約束した。
「オレも戦います。オレたちみんなで、この世界を守りましょう!」
 カナタも呼びかけて、陽輝とナツが頷いた。
“Gパニッシャーのパイロットは全員出動!ジャッカル星人が動き出したぞ!”
 そのとき、トウジからの連絡が陽輝たちの耳に入った。
「隊長、オレも出撃します!」
 陽輝も通信機でトウジへ連絡を取る。
“陽輝、目が覚めたか。だがまだフォースガンダムの修理が完了していない・・”
「ならばオレは地上から攻撃します。」
“あの勢力相手にそれは無謀だ。修理完了を待て、陽輝。”
「隊長・・・」
 トウジに制止されて、陽輝が悔しさを覚える。
“整備班も全力で当たっている。完了まで長くはないはずだ。それまで待て。”
「分かりました・・本部で待機します・・」
 トウジに説得されて、陽輝は渋々待機することにした。
「オレが地上から攻撃します。ナツさんは他の人と一緒に行ってください。」
 カナタが地上からジャッカル星人を迎え撃つことを進言した。
「ありがとう、カナタくん。でもあなたは陽輝くんと一緒に出撃して。最初は私たちGパニッシャーが相手をするよ。」
 ナツがお礼を言って、自分の考えをカナタに伝える。
「地球人の力で、まずは地球を守る。そう全力を尽くした後に、ウルトラマンが現れるものだって・・」
「地球人が全力を尽くした後に・・・」
 ナツが口にした言葉を聞いて、カナタが戸惑いを覚える。
 地球は本来、地球人が守らなければならない。ウルトラマンや他の星や世界の人の助けがすばらしいと思っても、その助けに甘えてしまうのはよくない。
 ウルトラマンたちに感謝しながら、ともに力を合わせることが大切だと、陽輝とフォースは思っていた。
「陽輝くん、先に行くね。できるだけGフォースとしての力を発揮してみせるよ。」
 ナツが陽輝に微笑んでから、医務室を出ていく。
「ナツ・・・!」
 その瞬間に陽輝に名前を呼ばれて、ナツは1度足を止めた。彼女は戸惑いを感じるも、再び走り出した。
「オレもフォースガンダムのところへ行く。いつでも発進できるように。」
「一緒に行きましょう。オレもそこでできることがあるかもしれません。」
 陽輝とカナタも医務室を出て、ドックへ急いだ。

 地球征服の始めにGフォースを壊滅させるため、ジャッカルたちはその本部に向かって移動していた。
「もう少しで地球の軍の本拠地に着きます。」
 ジャッカル星人がジャッカルに報告をする。
「第1部隊出撃。敵の地球人の本拠地を叩き、フォースたちを引きずり出せ!」
「はっ!」
 ジャッカルが命令して、ジャッカル星人の1部隊が戦艦から出撃。巨大化して本部に迫る。
 そのとき、ナツとギンのGパニッシャーが本部から出撃した。
「あなたたちの相手は私たちよ・・!」
「1人でもお前らの数を減らしてやるからな!」
 2人がジャッカル星人たちに向かって言い放つ。
「愚かな地球人が・・」
「身の程を思い知るがいい!」
 ジャッカル星人たちがナツたちをあざ笑って、槍を構えた。
“ナツ、すぐにでも変身したほうが・・・!”
(まずはGフォースとして、地球人として戦うよ。変身して戦うのに時間制限があるし・・)
 セレーナが呼びかけて、ナツが答える。
(いざとなったらあなたに頼るよ、セレーナ。)
“ナツ・・うん。ここは頼むよ。”
 互いに信頼を送るナツとセレーナ。
「まずはあのロボットだ!」」
「バラバラにしてやるぞ!」
 ジャッカル星人たちが敵意を見せて、数人がGパニッシャーに向かっていく。Gパニッシャー2機がビームサーベルを手にして、星人が振りかざした槍を受け止めた。
 ギンのGパニッシャーがビームサーベルを振りかざして、ジャッカル星人たちを遠ざける。
「オレたちの本部を土足で踏み荒らすな!」
 ギンが言い放って、Gパニッシャーが攻撃を続ける。
 ナツのGパニッシャーがビームライフルに持ち替えて、ギンを援護する。
「おのれ・・ムダな抵抗を・・!」
 ジャッカル星人たちがいら立って、槍からビームを放った。Gパニッシャーたちがビームをかわして反撃する。
「たった2機のロボットで、これだけの数を止められると思っているのか!」
 ジャッカル星人たちがさらにビームを放つ。Gパニッシャーたちがビームを当てられて体勢を崩す。
「まだだ!まだまだやれるぜ!」
 ギンが強気を見せて、Gパニッシャーたちが1度着地してからすぐに跳び上がった。
「ギン、深追いする必要はないわ!本部に近づけさせなければいいのよ!」
「倒すに越したことはないぜ!」
 ナツがなだめるが、ギンは攻撃することで頭がいっぱいになっていた。
「せめてギンが危険から遠ざかるように・・・!」
 ナツは気持ちを切り替えて、彼女のGパニッシャーがビームライフルで援護射撃を仕掛ける。
「こしゃくな蚊トンボどもめ!」
 ジャッカル星人たちがナツのGパニッシャーを狙って、槍からのビームを発射する。
「キャッ!」
 ビームの集中攻撃を受けて、ナツが悲鳴を上げて、Gパニッシャーが本部のそばに落下した。
「ナツ!ぐっ!」
 叫ぶギンもビーム攻撃で揺さぶられてうめく。
「このままじゃやられる・・早く立ち上がらないと・・・!」
 ナツが反撃に出ようと、Gパニッシャーを動かしていく。
「陽輝・・・!」
 彼女は陽輝のことを思って、操縦する手に力を入れていた。

 フォースガンダムの整備が進められる中、陽輝はそのチェックを行っていた。
「よし。これで問題なく動かせるぞ・・!」
「よかった・・これでオレたちも行けますね、陽輝さん!」
 陽輝が整備とチェックを完了させて、カナタが喜んだ。
「乗ってくれ、カナタ。ナツたちの援護に向かうぞ。」
「はい!」
 陽輝の呼びかけに答えて、カナタもフォースガンダムのコックピットに乗った。
「隊長、フォースガンダムの整備、完了しました。これから発進します。」
“分かった。イズルから連絡があって、ギャラクシーバスターの威力調整の方法が分かったとのことだ。”
 陽輝が連絡をして、トウジが現状を話す。
“それでも威力が高いのは確実だ。発射時には君たちに指示を出す。”
「分かりました。それまで宇宙人を食い止めます。」
 トウジからの指示に答えて、陽輝が通信を終えた。
「カナタ、しっかり捕まっているんだ・・!」
「はい!」
 陽輝が呼びかけて、カナタがシートをしっかりつかむ。
「隼陽輝、フォースガンダム、いきます!」
 陽輝が掛け声を上げて、フォースガンダムがGフォース本部から発進した。
「ナツ、ギン、無事か!?」
「陽輝、来たか!」
 陽輝が呼びかけて、ギンが声を上げる。
「ギャラクシーバスターのことは聞いている。発射までもう少し。それまで凌ぎ切るんだ!」
「分かった!もうひと踏ん張りしてやるぜ!」
 陽輝が状況を伝えて、ギンが気を引き締めなおす。
「行きましょう、陽輝さん、ナツさん!」
「えぇ!」
 カナタも呼びかけて、ナツが微笑んで答えた。駆け付けたフォースガンダムに、Gパニッシャー2機が合流する。
「これから突撃するが、構わないか?」
「いいですよ。オレに遠慮しないで、どんどんやっちゃってください!」
 陽輝が問いかけて、カナタが大きく頷いた。
「なら、遠慮なく行くぞ!」
 陽輝が笑みを浮かべて、フォースガンダムを加速させた。フォースガンダムがビームサーベルを手にして突撃して、Gパニッシャーたちがビームライフルを手にした。
 ビームを槍ではじくジャッカル星人を、フォースガンダムがビームサーベルで切りつけていく。
“みんな、ギャラクシーバスターのエネルギーチャージを始めたよ!合図を出したら射線軸から離れて!”
 イズルから通信が入って、陽輝たちに呼びかけてきた。
「分かった、イズル!それまでアイツらをそっちには近づけさせない!」
 陽輝が答えて、戦いに集中する。
 ジャッカル星人が振り下ろしてきた槍を、フォースガンダムが盾で防ぐ。そこから盾で押し返して、フォースガンダムがビームサーベルで星人たちを切りつける。
「何をやっている、お前たち?それでもジャッカルの戦士か!?」
 ジャッカルがジャッカル星人たちに不満をぶつける。檄を飛ばされたジャッカル星人たちが、フォースガンダムたちに飛びかかる。
 フォースガンダムが応戦するが、槍によって盾がはじき飛ばされた。
「このっ・・!」
 陽輝が毒づいて、フォースガンダムが左手でビームライフルを持った。フォースガンダムはビームライフルで応戦しながら、近づいてくるジャッカル星人をビームサーベルで反撃していく。
“ギャラクシーバスター、発射体勢に入るよ!”
「了解!」
 イズルが呼びかけて、陽輝、ナツ、ギンが答える。Gフォース本部からギャラクシーバスターがせり上がって外に出てきた。
「あれが、ギャラクシーバスター・・この世界の防衛隊の切り札・・・!」
 カナタがギャラクシーバスターを見て息を呑む。
「あれが地球人の切り札ってヤツか?」
「あんなものは我々には通用しないが、一応破壊させてもらうか・・!」
 ジャッカル星人たちがギャラクシーバスターに狙いを変える。
「ギャラクシーバスターには近づけさせない!」
 ナツが言い放って、Gパニッシャーたちとフォースガンダムが攻撃を続ける。ジャッカル星人たちは本部やギャラクシーバスターに近づけないでいた。
「戦艦で砲撃だ。ヤツらをまとめて一掃する・・」
 ジャッカルが不快感をふくらませて、ジャッカル星人たちに命令する。
「しかしまだ、兵士が前線に出ていますが・・・!」
「敵の基地の破壊にいつまでももたついているヤツらなど不要だ。せめて敵の引き付け役になって死んでもらう。」
 ジャッカル星人からの声に、ジャッカルが冷徹に言い返す。この言葉にジャッカル星人たちが息を呑んだ。
「主砲、発射準備に入ります!目標、敵大型兵器!」
 ジャッカル星人たちがコンピューターを操作して、戦艦がビーム砲のチャージを始めた。
「あの戦艦が撃ってくるぞ!」
「ギャラクシーバスターを狙っているのね・・!」
 ギンとナツが戦艦の様子を見て声を上げる。
「戦艦の主砲を叩く!2人とも援護してくれ!」
 陽輝が呼びかけて、フォースガンダムが戦艦へ向かった。
「陽輝、ムチャよ!」
「援護するしかねぇ・・!」
 ナツが呼び止めて、ギンが毒づく。Gパニッシャーたちがビームライフルを撃って、フォースガンダムを援護する。
「ヤツを本艦に近づけさせるな!」
 ジャッカル星人たちが戦艦の前に立ちふさがって、フォースガンダムを迎え撃つ。
「邪魔はさせない!突っ切らせてもらう!」
「陽輝さん、かなりムチャしますね・・!」
 言い放つ陽輝に困惑して、カナタが苦笑いを浮かべた。
 フォースガンダムがビームライフルの射撃でジャッカル星人たちを遠ざけて、戦艦目がけてビームサーベルを振り下ろした。
 その瞬間、戦艦が副砲であるレーザーとミサイルを発射してきた。フォースガンダムが射撃を受けて、戦艦から遠ざけられた。
「近づけない・・これじゃビームを発射される・・!」
「陽輝さん、ここはオレが・・!」
 焦りを感じていく陽輝に、カナタが変身することを伝える。
「くらえ、地球人!」
 そこへジャッカル星人からのビームが飛び込んで、フォースガンダムがその爆発に巻き込まれた。
「陽輝!うあっ!」
 ギンが叫び声を上げたとき、Gパニッシャーたちもビーム攻撃を受けて地上に落下した。
「いけない・・このままじゃ本部が攻撃される・・・!」
 ナツが戦艦からギャラクシーバスターに視線を移す。
「イズル、まだなのか!?」
“うん!チャージが完了したよ!みんな、衝撃に備えて!”
 ギンが声を張り上げると、イズルが答えた。ギャラクシーバスターの発射準備が完了した。
“みんな、発射するよ!衝撃に備えて!”
「イズル・・分かった!遠慮なくやれ!」
 イズルが連絡を入れて、ギンが笑みを浮かべて答えた。フォースガンダムとGパニッシャーたちが負傷している胴体を動かして、ギャラクシーバスターの射線軸から離れていく。
「撃て!敵の基地をあの兵器諸共破壊しろ!」
「発射します!」
 ジャッカルの命令で、ジャッカル星人が戦艦からビームを発射した。
「ギャラクシーバスター、発射!」
 イズルの掛け声と同時に、ギャラクシーバスターから高出力のビームが放たれた。2つの光がぶつかり合って、まばゆい閃光と激しい衝撃を巻き起こした。
 ビームがぶつかり合った近くにいたジャッカル星人たちが、その衝撃で吹き飛ばされて、中には消滅した人もいた。
「すごい力だ・・あれで周りに被害が出ないように調整されているとは・・・!」
「でも、向こうも反撃してきて、決定打にはなってないですよ・・・!」
 ギャラクシーバスターの威力に驚く陽輝に、カナタが声を荒げる。ジャッカルの戦艦のビームによって、ギャラクシーバスターは彼らを一掃することができなかった。
「もう1度撃て。これでヤツらの兵器は確実に破壊できる。」
「再び主砲発射を行います。」
 間髪入れずにジャッカルが指示を出して、ジャッカル星人が答えた。戦艦が再びビーム砲を発射しようとする。
「ダメだ!ギャラクシーバスターのチャージよりも、向こうが先に撃ってくるぞ・・!」
「今度こそ変身しないと、本部が危ない・・!」
 危機感を覚えた陽輝とカナタ。陽輝はフォースガンダムを自動操縦にして、カナタとともに外へ出る。
 同じくGパニッシャーから出てきたナツが、カナタたちと合流した。
「陽輝、カナタくん、行きましょう・・!」
「あぁ!」
「はい!」
 ナツが呼びかけて、陽輝とカナタが頷く。
「フォース!」
 陽輝がフォースブレスを付けている左腕を前に伸ばした。彼が光を発しながら、フォースに変身した。
「セレーナー!」
 ナツがセレーナリングの付いた右腕を上げた。セレーナリングが光り輝いて、彼女はセレーナに変身した。
 続いてカナタがウルトラDフラッシャーとデッカー・フラッシュタイプのウルトラディメンションカードを取り出した。
“ウルトラディメンション!”
 彼はウルトラディメンションカードをウルトラDフラッシャーに装てんした。
「輝け、フラッシュ!デッカー!」
 カナタがウルトラDフラッシャーのトリガーを押して、空へ掲げた。
“ウルトラマンデッカー・フラッシュタイプ!”
 カナタがデッカー・フラッシュタイプに変身した。フォース、セレーナ、デッカーがジャッカル星人たちの前に立ちはだかった。
「フォースたちが来てくれたか・・・!」
「3人そろったけど、まだ宇宙人の数は多すぎる・・・!」
 ギンが戸惑いを感じるが、イズルはまだ状況は悪いと思って緊張を絶やさない。
「イズル、ギャラクシーバスターは撃てるか!?」
 トウジがイズルに次の砲撃について聞いてきた。
「厳しく調整したため、ギャラクシーバスター自体に負担が掛かっています・・おそらく、撃てるのはあと1発かと・・・!」
 イズルがコンピューターをチェックして、トウジに報告する。
「1発でもいい。チャージをしてフォースたちを援護するんだ!」
「了解!チャージを始めます!」
 トウジからの指示を受けて、イズルがギャラクシーバスターのチャージを始めた。
「イズルがもう1度撃つつもりだ・・!」
「次は私たちが時間を稼ぐんだ・・!」
 陽輝がギャラクシーバスターのチャージに気付いて、フォースが声を掛ける。
「ジャッカル星人、今度は私たちが相手だよ!」
 セレーナが言い放ってフォース、デッカーとともに構えを取る。
「ウルトラ戦士がそろって出てきたか!」
「ヤツらもまとめて叩きのめしてやる!2度とオレたちに逆らおうと思わないようにな!」
 ジャッカル星人たちがいきり立って、フォースたちに向かっていく。
 フォースとデッカーが反撃のパンチとキックを当ててジャッカル星人たちを返り討ちにして、セレーナは軽やかな動きで星人の攻撃を受け流していく。
「まずは地球の軍の本部を壊滅させる。主砲発射だ!」
「はっ!エネルギーチャージ完了!主砲、発射します!」
 ジャッカルがギャラクシーバスターに狙いを付けて、ジャッカル星人が答える。
「戦艦が撃ってくるわ!」
「ギャラクシーバスターのチャージはまだ途中よ・・!」
 セレーナとナツが戦艦を見て声を荒げる。
「オレが攻撃を止めます!」
「カナタ!」
 カナタが言い放って、陽輝が叫ぶ。デッカーが戦艦の前に立ちはだかった。
“ウルトラディメンション!”
 彼はウルトラディメンションカードをウルトラDフラッシャーに装てんした。
「はじけろ、ストロング!デッカー!」
 カナタがウルトラDフラッシャーのトリガーを押して、空へ掲げた。
“ウルトラマンデッカー・ストロングタイプ!”
 デッカーがストロングタイプになって、握った右手に炎を灯す。
「デッカーが来たか・・!」
「ヤツもまとめて始末してやる!」
 ジャッカル星人がいきり立って、戦艦からビームを発射した。デッカーがドルネイドブレイカーを繰り出して、ビームをはじき飛ばす。
 ビームは本部やギャラクシーバスターに届く前に止められた。そのために一気に力を消耗して、デッカーがその場に膝をついた。
「デッカー!」
 セレーナが叫び声を上げた瞬間に、ギャラクシーバスターがエネルギーチャージを完了した。
「デッカー、伏せろ!」
 陽輝が呼びかけて、カナタもギャラクシーバスターに気付く。デッカーがとっさにその場に突っ伏した。
「今だ、イズル!」
「ギャラクシーバスター、発射!」
 トウジが呼びかけて、イズルがギャラクシーバスターを発射した。放たれたビームがデッカーの上を通り抜けて、戦艦に命中した。
「うおぉっ!」
 艦内にも爆発が起こって、ジャッカル星人たちが巻き込まれて悲鳴を上げた。戦艦が地上に落下して爆発を起こした。

 

 

第5章へ

 

その他の小説に戻る

 

TOPに戻る

inserted by FC2 system