ザ・グレイトバトル外伝

ウルトラマンフォース

-光の戦士の大決戦-

第3章

 

 

 別の世界から陽輝たちのいる世界へ来たカナタ。彼はデッカーに変身して、ジャッカル星人たちと対峙していた。
「また別のウルトラマンが出てきたか!」
「何人出てこようとムダだ!蹴散らしてやるぞ!」
 ジャッカル星人たちがデッカーを前にしても、強気な態度を崩さない。
「セレーナもそのウルトラマンも始末してやるぞ!」
 ジャッカル星人たちがデッカーを狙って飛びかかる。
 ジャッカル星人たちの振りかざす槍を、デッカーが軽々とかわしていく。
「あのウルトラマンも強いぞ!」
「でも数じゃ全然敵わないのは変わらない・・僕たちも援護しないと・・!」
 ギンが喜ぶが、イズルが状況を把握して警戒を崩さない。
「陽輝、大丈夫か?」
「イズル・・フォースガンダムが負傷して、すぐに援護に行けそうにない・・・!」
 イズルが通信で声を掛けて、陽輝が現状を伝える。
「オレたちだけで援護してみせる!陽輝は安全なところまで離れてるんだ!」
 ギンが陽輝に呼びかけて、2機のGパニッシャーがジャッカル星人への交戦に向かった。
(フォース、回復までもう少しだ。オレたちもあのデッカーの協力を・・・!)
“いや、星人はまだまだ数が多い。状況を見てから変身するんだ・・・!”
 変身しようとした陽輝を、フォースが呼び止める。陽輝はデッカーたちの戦いを見守ることにした。
 デッカーが光の手裏剣「スライサーショット」を放って、ジャッカル星人の槍をはじいていく。
 ジャッカル星人たちが槍からビームを放って、デッカーが回避する。そこへ他のジャッカル星人たちが突っ込んで、彼にのしかかってきた。
「うわっ!そんなにいっぱい来るなって!」
 カナタが声を荒げて、デッカーがジャッカル星人たちを押し返そうとする。
「数が多い・・こうなったら、もっとパワーを上げて・・・!」
 思い立ったカナタが、別のウルトラディメンションカードを取り出した。
“ウルトラディメンション!”
 彼はウルトラディメンションカードをウルトラDフラッシャーに装てんした。
「はじけろ、ストロング!デッカー!」
 カナタがウルトラDフラッシャーのトリガーを押して、空へ掲げた。
“ウルトラマンデッカー・ストロングタイプ!”
 デッカーの体の青が赤に変わった。彼はパワー重視の形態「ストロングタイプ」となった。
 パワーを上げたデッカーが、のしかかるジャッカル星人たちを押し返して立ち上がった。
「コイツも姿を変えるウルトラマンか・・!」
「それで勝ったと思うなよ!戦力はオレたちが上なんだからな!」
 ジャッカル星人たちがいきり立って、デッカーに向かって槍を突き出した。槍を体に当てられたデッカーだが、耐えて押し返した。
 デッカーは槍の1本をつかんで振り回して、ジャッカル星人たちをなぎ払っていく。
「ビームの集中攻撃だ!」
「おう!くらえ!」
 ジャッカル星人が槍からのビームを集束させた。デッカーが握りしめた右手にエネルギーを集めていく。
 デッカーが右手を突き出して、炎の拳「ドルネイドブレイカー」を繰り出してビームをはじき飛ばした。
「何っ!?」
 収束したビームを破られて、ジャッカル星人たちが驚く。デッカーが近づいて、彼らにそのまま炎の拳を繰り出した。
「ぐおっ!」
 ジャッカル星人たちが炎の拳の威力と衝撃で吹き飛ばされた。
「すごい・・ウルトラマンデッカー・・・」
 セレーナがデッカーの戦いを見て、戸惑いを覚える。
「宇宙人の戦艦が撃ってくるわ!」
 ナツが声を上げて、セレーナが振り向いた。戦艦が光線の発射体勢に入っていた。
「危ない!」
 デッカーがセレーナの前に出たと同時に、戦艦から光線が放たれた。デッカーが炎の拳で迎え撃つが、光線に押されていく。
「君、早くここを離れるんだ!」
「いくら何でも、この攻撃を真正面で受けるのは危険よ!」
 カナタが呼びかけるが、セレーナは彼を心配して離れようとしない。
 光線を押し返したデッカーだが、カラータイマーが点滅を始めていた。
「早く逃げて!これ以上は持たない!」
 デッカーがセレーナに目を向けて、カナタが呼びかける。
「あのウルトラマンの言う通りよ!1回出直そう!」
「でも、このデッカーという人を放っておけないよ・・!」
 ナツも声を掛けるが、セレーナはデッカーを心配して動こうとしない。
「ヤツらは消耗している。2人とも始末しろ!」
「はっ!」
 ジャッカルが命令して、ジャッカル星人たちがデッカーたちに向かっていく。
「長い時間戦ってもキリがない・・こうなったら・・・!」
 思い立ったカナタが、新たなウルトラディメンションカードを取り出した。
“ウルトラディメンション!”
 彼はウルトラディメンションカードをウルトラDフラッシャーに装てんした。
「飛び出せ、ミラクル!デッカー!」
 カナタがウルトラDフラッシャーのトリガーを押して、空へ掲げた。
“ウルトラマンデッカー・ミラクルタイプ!”
 デッカーの体の赤が青に変わった。彼はスピードと特殊能力に長けた「ミラクルタイプ」に変身した。
「また姿を変えてきたか・・!」
「何をしてもムダだ!お前たちはここで終わりだ!」
 ジャッカル星人たちがデッカーに向かって襲い掛かる。デッカーが右手にエネルギーを集めていく。
「このエネルギー・・お前たち、ヤツに近づくな!」
 ジャッカルがデッカーの力の正体に気付いて、ジャッカル星人たちに命令する。デッカーが前に出した右手から、ブラックホールのような衝撃波「レアリュートウェーブ」を放った。
 ジャッカル星人の数人が、ブラックホールに吸い込まれて姿を消した。
「こ、こんな技も持っているのか・・!?」
「だが近づかなければよけられないことはない!」
「遠くから攻撃する!」
 デッカーの力に脅威を覚えて、ジャッカル星人たちが距離を取って、槍からビームを放った。デッカーはセレーナを抱えて、ビームをかわして星人たちから離れていく。
「逃がすな!2人を撃て!」
「了解!」
 ジャッカルが命令して、ジャッカル星人たちが答える。戦艦がビームを発射して、デッカーたちを追撃する。
「うあっ!」
 デッカーが背中にビームを受けて地上に落下して、カナタがうめく。
「あっ!2人が危ない!」
「セレーナ!デッカー!」
 イズルとギンが声を上げて、Gパニッシャー2機がビームライフルを発射する。しかし戦艦のビームでビームライフルが破壊される。
「やべぇ!オレたちも出直さねぇと!」
 ギンが危機感を覚えて呼びかけて、Gパニッシャーがデッカーたちを追うように撤退する。
「逃げられると思うな!」
 ジャッカル星人たちが追いかけて、Gパニッシャーたちがビームサーベルを持って槍を受け止める。
「みんな!・・もう待つわけにはいかない!」
 デッカーたちのピンチに耐えかねて、陽輝がフォースブレスに目を向けた。
「フォース!」
 陽輝がフォースブレスを掲げて、フォースに変身した。
「フォース、また出たか!」
「くたばり損ないめ!ヤツも倒してやる!」
 ジャッカル星人がフォースにも狙いを向けて飛びかかる。フォースは星人の攻撃をかわして、デッカーたちと戦艦を追いかける。
「フォースがこちらに近づいてきます!」
「ヤツを迎撃しつつ、セレーナたちに向けて主砲を放つ。」
 ジャッカル星人が報告して、ジャッカルが指示を出す。戦艦が光線の発射体勢に入る。
「撃つつもりか!させない!」
「フォースチャージシュート!」
 陽輝が声を上げて、フォースが両腕を組んで光線を放った。彼の光線は戦艦に当たったが、光線のエネルギーチャージは中断されない。
「まずはセレーナたちだ。構わず発射しろ!」
「了解!主砲、発射します!」
 ジャッカルが命令して、ジャッカル星人が答える。戦艦がセレーナたちに向かって光線を発射した。
「セレーナ!」
 フォースが全速力で飛行して、セレーナたちの前まで来た。
「フォース!」
 ナツが声を上げて、フォースが両手を前に出して光の壁を出した。光の壁は光線を受け止めるも、押されて歪んでいく。
「このままじゃ、このウルトラマンがやられてしまう・・!」
 カナタが緊迫をふくらませて、デッカーがフラッシュタイプに戻って、両腕を十字に組んだ。
「セルジェント光線!」
 デッカーが両腕からセルジェント光線を発射して、戦艦に命中した。同時に光の壁が破られて、フォースに直撃した。
「うわあっ!」
 フォースが吹き飛ばされて、セレーナたちを飛び越えて地上に落下した。
「うおっ!」
 セルジェント光線を受けた戦艦が、中にも爆発が及んで、ジャッカル星人の数人が吹き飛ばされた。
「おのれ・・往生際の悪いことだ・・・!」
「だがフォースも大ダメージを受けたはずだ!他のヤツも倒す!」
 ジャッカル星人たちがいら立ちを覚える。
「フォース、しっかりして!フォース!」
 セレーナがフォースに近づいて心配する。フォースは動きを見せず、カラータイマーの点滅も遅くなっていた。
「食らえ、セレーナ!」
 ジャッカル星人たちが手に集めた光を球の形にして投げつけた。
「うわあっ!」
「ぐあぁっ!」
 星人の攻撃でセレーナとデッカーがフォースとともに吹き飛ばされて、Gパニッシャー2機も地上に叩きつけられた。
 フォースたちが力尽きて変身が解けて、陽輝、ナツ、カナタが元に戻った。
「へ、変身が解けたの?・・・は、陽輝くん・・・!?」
 体を起こしたナツが、陽輝がそばにいることを驚く。
「陽輝くんが、ウルトラマンフォースだったの・・・!?」
“ナツ、あなたも知ってしまったのね・・・”
 動揺する彼女に、セレーナが声を掛けた。
「セレーナ・・あなたは知っていたの・・・!?」
“ウルトラ戦士と一体化しているなら、その存在が分かる。でもフォースも陽輝も正体を隠しているようだったから・・”
 ナツがさらに驚いて、セレーナが説明をする。
“ごめんなさい・・お互いのためだと思って、あなたには言わなかった・・・”
「セレーナの考えは分かったわ・・ただ、フォースが陽輝くんと一緒だったことに驚いているだけ・・・」
 謝るセレーナに、ナツが顔を横に振って答える。
「2人とも、大丈夫ですか・・!?」
 カナタも起き上がって、ナツたちに声を掛ける。
「うん・・あなたも、ウルトラマンなの・・?」
「はい・・アスミ・カナタ、ウルトラマンデッカーです・・!」
 ナツが問いかけて、カナタが頷いて自己紹介をする。
「陽輝くん、目を覚まして!陽輝くん!」
 ナツが再び呼びかけると、陽輝が閉じている目をかすかに動かした。
「陽輝くん!・・意識を失っているだけみたいだけど・・・!」
“ジャッカル星人の攻撃を受けたダメージが大きくて、一気にエネルギーを消耗してしまったみたい・・”
 戸惑いを覚えるナツに、セレーナが陽輝の状態を伝える。
 体力を回復させたばかりの状態ですぐにフォースに変身した陽輝。万全でない状態でジャッカル星人の戦艦の光線を直撃されて、一気にエネルギーを消費することになった。
「とにかく、ここを離れて本部に運ばないと・・まずはGパニッシャーに・・・!」
 ナツが陽輝の上半身を起こして、自分のGパニッシャーのあるほうに目を向ける。
「あなたも一緒に来て。隊長やみんなにあなたのことを話さないと・・」
「分かりました・・お願いします・・・!」
 ナツがついてくるように促して、カナタが頷いた。ナツが誘導操作して、Gパニッシャーを呼び寄せた。
「隊長、陽輝くんが負傷しました・・彼を連れて本部に戻ります・・フォースガンダムの回収をお願いします・・・!」
“分かった。こちらで遠隔操作する。”
 ナツがGフォース本部に連絡して、トウジが応答した。ナツたちの前にGパニッシャーが来た。
「えっ!?ロボット!?」
 カナタがGを見て驚く。
「急いで。あの宇宙人たちに見つかっちゃう・・!」
「は、はい・・!」
 ナツに言われて、カナタは陽輝に肩を貸した。3人はGパニッシャーに乗って、本部に向かった。
 ギンとイズルも損傷しているGパニッシャーを動かして、本部に戻ってきた。フォースガンダムもトウジが本部から操作して帰投させた。

 フォースたちを撃退して、ジャッカル星人たちは大喜びしていた。
「フォースもセレーナも倒したぞ!」
「これで邪魔者はいなくなった!」
 ジャッカル星人たちが勝ち誇って、地球支配を確信する。
「浮かれるな。まだフォースたちを倒したわけではない。ヤツらを確実に倒し、それを地球人どもに見せつけるのだ。」
「はっ!」
 ジャッカルは冷静に檄を飛ばして、ジャッカル星人たちが落ち着きを取り戻す。
「戦艦の整備を済ませ次第、フォースたちの追跡と地球支配を開始する。それを我が同胞にも協力を要請するのだ。」
「あの宇宙人と怪獣を、この星に呼び寄せるのですか・・!?」
 ジャッカルが送った命令を聞いて、ジャッカル星人が驚きを覚える。
「我々のことに、他のウルトラ戦士が嗅ぎつけていないはずがない。ヤツらが来るのを利用し、一網打尽にしてくれる。」
「分かりました。別動隊に連絡し、宇宙人たちに地球へ行くよう進言します。」
 ジャッカルの言葉を聞いて、ジャッカル星人が通信を送った。ジャッカルは他のウルトラ戦士が来ることにも用心していた。

 各機体が損傷しながらも、ナツたちはGフォース本部に戻ることができた。
 陽輝は医務室に運ばれて、ベッドで体を休めることになった。
 そしてカナタはナツに案内されて、トウジたちと対面した。
「また別の世界からウルトラマンがやってきたんだね。」
「世界や宇宙は広いのか狭いのか、分からなくなってくるなぁ・・」
 イズルがカナタに声を掛けて、ギンがあたまをかいて吐息をつく。
「もしかして、他のウルトラマンもこの世界に来たことがあるのですか・・!?」
 カナタが戸惑いを覚えて問いかける。
「あぁ。君のようなウルトラマンの他、それぞれの正義や大切なものを守るために戦っている人たちが。」
 トウジが答えて、これまで別世界から訪れて、ともに戦った戦士たちのことを思い出す。
「他にもオレみたいに、ここに来た人がいるんですか・・!?」
「いや、今は君だけだ。仮に他にも人がいるとしても、我々のいる世界は我々が守るのが前提だ。」
 カナタが聞いて、トウジが自分たちの意思を伝える。自分たちのいる世界は自分たちで守ることを、トウジは信念としていた。
「もちろん君の協力がとても心強いということも確かだ。ともにこの地球と宇宙を守ろう。」
「はい!よろしくお願いします!」
 トウジが感謝して、カナタが答える。2人が握手を交わして、結束を果たした。
「しかし、かなりの規模と戦力の宇宙人に、地球が狙われることになるとは・・・」
 トウジがジャッカル星人の侵略に対して、深刻さを感じていく。
「3人のウルトラ戦士とオレたちが戦っても、数で押し切られちまった・・・!」
「いくら作戦を練っても、あまりにも多勢に無勢だよ・・」
 ギンが悔しさを感じて、イズルが苦悩を深める。
「でも諦めたら、それこそ地球がアイツらに支配されてしまいますよ!」
 カナタが感情を込めて、彼らに呼びかける。
「オレも全力で戦いますから、この地球を守りましょう!」
「そうよ!諦めたり誰かに丸投げしたりするのはよくないわ!」
 カナタに続いてナツも呼びかける。ギンとイズルが迷いを振り切って、2人に笑みを見せた。
「フォースガンダムとGパニッシャーは修理中だ。その間、次の出動に備えて十分の体を休めておくんだ。」
「はい!」
 トウジが指示を出して、ナツたちが答えた。
「私、陽輝くんの様子を見に行ってきます・・」
「オレも一緒に行きます・・」
 ナツが医務室に向かって、カナタがついていった。
「Gパニッシャーを使うだけじゃない。うまく使って、宇宙人の数を多く減らせる攻撃をしないとな・・」
「うん。現状の戦力以外にも、武器を開発しておかないと・・」
 ギンが打開策を考えて、イズルが新兵器を開発しようとする。
「それなのだが、本部に収納されている兵器がある。」
「えっ・・!?」
 トウジが口にした言葉に、ギンたちが驚きの声を上げる。
「Gフォースに秘密兵器があったんですね、隊長!」
 ギンが歓喜を覚えて、トウジに近づいた。
「だがそれはあまりにも破壊力が高すぎるために封印されたものだ。」
「それほど危険なものなのですか?・・いくら地球の危機でも、それを使って地球に被害が出たのでは・・・」
 説明をするトウジに、イズルが不安を口にする。
「あの宇宙人が乗っているものと同等の大きさの戦艦なら確実に破壊できる。フルパワーで撃てば小惑星を消滅させることも可能で、地球に直撃すれば壊滅的な被害は免れない・・」
「小惑星を破壊!?・・そこまで強力なのですか・・・!?」
 トウジが話を続けて、イズルが驚きをふくらませる。
「防衛軍開発部が開発し、Gフォースに託され封印した最終破壊兵器“ギャラクシーバスター”・・」
「ギャラクシーバスター・・・!」
 トウジが打ち明けたGフォースの封印されたエネルギー砲、ギャラクシーバスターのことを聞いて、ギンとイズルが息を呑んだ。

 陽輝の眠る医務室に来たナツとカナタ。陽輝はまだ眠り続けていた。
「陽輝くん・・私たちのために・・・」
“もう少しすれば陽輝の意識は戻ると思うけど、すぐにフォースになることはできないと思う・・そこまでエネルギーを回復させるには、時間がかかる・・”
 陽輝への思いを感じていくナツに、セレーナが彼とフォースの状態を告げる。
「それまでは、私たちでジャッカル星人を食い止めないといけないのね・・・」
「はい。オレも全力でアイツらの侵略を止めます。」
 覚悟を決めるナツに、カナタが答える。彼にもセレーナの声は伝わっていた。
「次の出撃のときまで、私はここで待つわ。もしも別の世界から来た人が他にいるなら、連絡が入るはずよ。」
 ナツはこのまま医務室に留まることを決めていた。
「詳しく聞かせてください。他にいる別の世界の人たちのことを・・その人たちは、ウルトラマンだけじゃないみたいですが・・」
「いいですよ。私たちの知っている範囲でしたら・・」
 カナタが別世界について聞いて、ナツが頷いた。
「まずこの世界のことね。このGフォースにはモビルスーツに分類されるメカが待機しているわ。私たちが乗るGパニッシャーと、陽輝くんのフォースガンダムがそうよ。」
 ナツがGフォースについて説明して、カナタが頷いていく。
「そして私たちと一緒に戦っていたウルトラマンが、陽輝くんと一緒になっているフォースよ。」
“私は今日この地球に来て、ナツと一心同体になったのよ。”
 ナツに続いてセレーナも説明していく。
「えっ?デッカーみたいにウルトラマンの力を持ったのではなく、ウルトラマンという人が実在していて、一心同体になっているというんですか・・!?」
 カナタが2人の話を聞いて、驚きを覚える。
「ウルトラマンの中にも、事情がそれぞれのようね。セレーナとフォースのように一心同体になっている人、地球人の姿に変身する人、あなたのようにウルトラマンの力を手に入れた人ね。」
「ウルトラマンも、いろいろな人がいるんですね・・!」
 多くのウルトラマンのことを聞かされて、カナタは戸惑いを覚える。
「ウルトラマンだけじゃなく、仮面とスーツを身に着けて戦う仮面ライダー、複数のチームで戦うスーパー戦隊もいる。もちろん、この世界以外のモビルスーツやガンダムのある世界もあるわ。」
「そ、そんなに!?・・すごすぎて多くて、全然ピンと来ないです・・」
 ナツが数々の戦士のことを語るが、話が大きくなっていると思ってカナタが動揺する。
「事情が様々だったり、中には悪い戦士もいるけど、私たちと協力して戦ってくれた人が多い・・」
「そうだったんですね・・すごい感動的な話じゃないですか!」
 ナツの語る戦士たちに、カナタが喜びを見せた。
「でも今はみんな、自分の世界に戻っているはずよ。現時点で他の世界から来た人は、あなただけ・・」
「そんな・・・」
 ナツが現状も告げて、カナタが不安を噛みしめる。
「それでも私たちはやるわ。私たちのいるこの世界は、そこにいる私たちが守らないといけないから・・」
「ここはオレのいた世界じゃないですが、オレもこの世界を守るために戦いますよ!」
 互いに決意を口にするナツとカナタ。2人が陽輝に目を向けて、彼が目を覚ますことも信じた。
“ナツ、あの宇宙人たちが世界中に向けて通信してきたぞ!”
 そのとき、ギンからの連絡がナツたちに届いた。
「行きましょう・・!」
「はい!」
 ナツが呼びかけて、カナタが答える。2人は医務室を出て、作戦室に戻ってきた。
「隊長・・宇宙人が・・・!」
 ナツが声を掛けて、ギンたちとともにモニターに目を向けた。モニターには空に映像として出現しているジャッカルの姿が映し出されていた。
(ジャッカル星人・・・!)
“その支配者の宇宙大魔王、ジャッカルだよ・・!”
 ナツが息を呑んで、セレーナもジャッカルを見て緊張を覚える。
“我が名はジャッカル。地球に逃亡したセレーナを追ってここへ来た。だがそれを妨害されたため、我々は地球支配に踏み切ることにした。”
 ジャッカルが名乗って、地球に対して宣戦布告をした。
“我々に従え。そうすれば命だけは助けてやろう。だが逆らうならば、その愚か者たちは破滅を辿ることになる。”
 ジャッカルが告げた言葉が、世界中の人々に衝撃を与える。
“まずは今日、地球に現れた3人のウルトラ戦士と、我々の邪魔をした地球人の軍隊を排除する。我々に逆らうことがいかに愚かなことかを、地球全体に思い知らせる。”
 ジャッカルが告げたこの言葉を聞いて、ナツたちが緊張をふくらませた。ジャッカルたちはフォースたちとGフォースを滅ぼすことを企んでいた。
「アイツら、オレたちまで敵だと思っているぞ・・!」
「僕たちを徹底的に叩き潰して、自分の力を見せつけるつもりみたいだ・・・!」
 ギンとイズルがジャッカルたちの言動に危機感を覚える。
“ウルトラ戦士とその地球人たちを我々に差し出せ。それが地球人に対する最初の命令だ。”
 ジャッカルが人々にフォースたちとGフォースの引き渡しを要求してきた。
“これに従わなければ、地球人は全滅するものと思え。”
 言い渡すジャッカルの姿が空から消えた。
「こんな一方的な要求、のめるわけがないわ・・!」
「そうだぜ!隊長、ヤツらを倒しましょう!」
 ナツがジャッカルたちに怒りを覚えて、ギンがトウジに振り返る。
「だが敵の勢力は強大だ。フォースたちが太刀打ちできないほどの数の多さだ。それほどの相手に、作戦なしで挑むのは危険だ。」
 トウジがジャッカル星人を警戒して、ナツたちが緊張をふくらませる。
「いくら大勢でも、一網打尽にできれば・・・」
 イズルが星人たちの撃破の作戦を考える。
「隊長、ギャラクシーバスターを有効活用できないんですか!?」
「ダメだ。地球にいるヤツらに向けて使うには、あまりにも危険だ。上空に集まっていれば話は違ってくるが、ヤツらがわざわざそんな誘いを受けるとは思えん。」
 ギンがギャラクシーバスターの使用を呼びかけるが、トウジが却下する。
「オレに行かせてください!オレがあの宇宙人たちを食い止めてみせます!」
 カナタが先陣を切ることをトウジに頼む。
「しかし君は体力を消耗している。フォースとセレーナも同じだ。君だけに負担を掛けさせるわけにはいかない。」
「ですが、オレがやらないと、この地球は・・・!」
「落ち着くんだ、カナタくん。この地球を守りたいと思っているのは君だけじゃない。我々も地球を守る。我々がまず、我々の住む星を守るために立ち上がらなければならないんだ。」
「桜井隊長・・・!」
 トウジの決意を聞いて、カナタが戸惑いを覚える。
「我々が先にヤツらを迎え撃つ。君たちウルトラマンが、この戦いの切り札だ。」
「ありがとうございます。一緒に戦いましょう!」
 トウジが信頼の言葉を送って、カナタが答えて彼と握手を交わした。
「隊長、ギャラクシーバスターを、設計図とともに見せていただけませんか?威力を調整することができれば、危険を和らげることができるかもしれません・・」
 イズルがギャラクシーバスターに関する提案を進言した。
「それはできない。設計図は防衛隊本部が所有していて、厳重に保管されている。Gフォースでも許可をもらうのは極めて厳しい。」
 トウジは深刻さを浮かべて顔を横に振る。
「せめて、バスターの実物だけでも見せてください。形状を見て操作方法を確かめれば、まだ希望があるかもしれません・・!」
「イズル・・分かった。私が本部に頼み、設計図を見ることの許可をもらおう。」
 頼み込むイズルに、トウジが決断して頷いた。
「だが許可をもらえなければ、ギャラクシーバスターのチェックは極めて危険なものとなる。それを覚悟して当たってくれ。」
「分かりました。慎重にやります。」
 トウジからの注意を聞き入れて、イズルが頷いた。
「アイツらが動き出すまで、どのくらいの時間があるかも勝負だな・・・!」
 ギンがレーダーと時間を確かめて、警戒を強める。
(私たちだけでやらなくちゃいけないのは分かっている・・・)
“でも、いくらそのギャラクシーバスターというものをうまく使えても、ジャッカルの大軍団を止められるかどうか・・・”
 ナツとセレーナはジャッカルたちとの戦いに、不安を感じずにはいられなかった。

 

 

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