ザ・グレイトバトル外伝

ウルトラマンフォース

-光の戦士の大決戦-

第2章

 

 

 セレーナを追っていた兵士が倒されたことは、ジャッカル星人の本拠地であるジャッカル星に伝わっていた。
「セレーナが別のウルトラマンに救われただと?」
 ジャッカル星人を束ねる宇宙大魔王、ジャッカルがジャッカル星人に問い詰める。
「はい。かつて我々が攻め入った惑星F4の生き残りがいて、地球にいたのです。」
「そのウルトラ戦士と地球人がセレーナを救った模様です。」
 ジャッカル星人たちがジャッカルに報告する。
「我々に逆らうとは、愚かなことだ・・我々ジャッカル星人の力、思い知らせてくれる。」
 ジャッカルがフォースとセレーナ、地球に敵意を向けていた。
「次の標的はセレーナと地球、そして我々の邪魔をするウルトラ戦士だ。ジャッカル軍は地球に向けて進軍する。」
「はっ!」
 ジャッカルの命令を受けて、ジャッカル星人が答える。彼らは巨大戦艦に乗って、ジャッカル星から地球へ向かった。

 セレーナが地球に逃げて来て、1日が過ぎた。
 ナツがGフォースに復帰して、イズルとともにレーダー監視をしていた。
「大気圏エリアAからC、異常なし。」
「DとE、異常ありません。」
 イズルとナツが当時に報告する。
「隊長、ギンがパトロールを終えて、本部に帰還します。」
 イズルがトウジにギンのことを伝える。
「分かった・・ナツ、Gパニッシャーで出られるか?」
「はい。」
 トウジが出動を言われて、ナツが答える。
「ギンが戻ってきたら、Gパニッシャーで発進してくれ。」
「了解。」
 トウジからの指示に答えて、ナツは格納庫に向かった。
(我々は、いや、地球は警戒態勢となっている。1人でも多く人手がいるところだが、彼には別の任務を言い渡している。専念させなければ・・)
 思うことがありながらも、自分たちだけでジャッカル星人を警戒することを、トウジが決意する。
(彼も命懸けなのだ。我々も、我々の使命を果たさなければ・・)
 彼は気を引き締めて、ジャッカル星人への警戒と迎撃に専念した。

 ギンと入れ替わりにパトロールに出たナツ。彼女の乗るGパニッシャーが上空を進んでいく。
“これが地球の空と大地、街なのね。フランとは違う形ですばらしいところなのね。”
 セレーナがナツの中から周囲を見て、地球の風景に感動を覚える。
(セレーナの星は、地球とは違うんだね。フランという星はどういうところなの?)
“フランは城も街も輝かしい星よ。まるで宝石のような場所ね。”
 ナツが話を聞いて、セレーナがフランのことを語っていく。
(もしかして、地球で言う西洋のお城みたいかな・・私たちも、フランへ行けるかな?)
“フランもフォースの故郷も、地球からはかなりの距離があるから、行くのは難しいかも・・”
(そんなに遠いのね・・でもいつか行けたらいいね・・)
“そこから地球とフランの交流が本格的になるんだね。”
 ナツとセレーナがテレパシーで会話をはずませて、笑みをこぼす。
(今回の任務が終わったら、お出かけして、あなたに地球のことを教えてあげるよ。)
“ありがとう、ナツ。私のためにわざわざ・・”
(でもこの状態だと、あなたが直接見たり触れたりはできないね・・)
“それは分かっているよ。それでもこの星について知ることができるなら・・”
 ナツの誘いを受けて、セレーナが喜んだ。彼女の反応にナツが笑顔を浮かべた。
(地球を守る理由が、もう1つ増えたね、セレーナ。)
“そうね・・よろしくね、ナツ。”
 ナツはセレーナと言葉と思いを交わして、パトロールを続けた。

 陽輝もフォースガンダムでパトロールを続けていた。
(フォース、セレーナとはどういう関係なんだ?幼馴染みとか・・)
“そんなところだ。F4とフランは友好関係が大きい星々だ。”
 陽輝が質問して、フォースが答える。
“その光流の中で、私とセレーナは出会った。セレーナはフラン王国の王女だったのだ。”
(えっ!?彼女、王女だったのか!?)
“といっても、いつも城を抜け出して遊びに行っていた。私と会ったのもその最中のことだった。”
(そうだったのか・・だけど、F4は滅ぼされて・・・)
“そのことはもちろんフランにも伝わったはずだ。セレーナたちが私が地球にいることを知ったのは、おそらく最近だろう。”
(フランがジャッカル星人に襲われて、セレーナはフォースに助けを求めて地球に来たのか・・)
 フォースからセレーナのことを聞いて、陽輝が納得する。
“セレーナは王女であるが、戦士としての能力も決して低くはない。しかし相手が強敵や大勢となると・・”
(オレたちで星人たちと戦うしかないな・・・)
 セレーナに叩かせるわけにいかないと、フォースも陽輝も思っていた。
“陽輝、本部のレーダーが、地球に接近する反応をキャッチしたよ!今、分かっているだけで反応が100以上!”
 そのとき、イズルが陽輝に向かって通信を送ってきた。
「もしかして、さっきの仲間が・・・落下予想地点はどこだ!?」
“ポイントAM7513だ。陽輝とナツはその地点に急行するんだ。”
 陽輝がイズルに問いかけると、トウジが指示を出した。
「隊長、分かりました!急行します!」
 陽輝が答えて、ジャッカル星人を迎撃するためフォースガンダムを加速させた。

 地球を目前としたところで、ジャッカル星人の戦艦は1度止まった。
「あれが地球か。環境は整っているようだな。」
 ジャッカルが地球を見て笑みをこぼす。
「たとえ地球の生物が反抗しようと、ウルトラ戦士が立ちはだかろうと、我らジャッカルの力を阻むことはできぬ・・」
 彼は椅子から立ち上がって、整列しているジャッカル星人たちを見下ろす。
「我が兵士たちよ、これより地球侵略を開始する。従う者は死ぬまで利用する。歯向かう者は全て始末する。」
「はっ!」
 ジャッカルの命令にジャッカル星人たちが答える。
「第一部隊、出撃!他の部隊も続けて地球に降下する!」
 ジャッカルの命令を受けて、ジャッカル星人の部隊の1つが戦艦から出て地球へ向かう。戦艦も再び動き出して、大気圏に突入した。

 ジャッカル星人の落下予測地点に近づくフォースガンダム。陽輝がジャッカル星人が降下してくるのを目撃した。
「来た!ジャッカル星人だ!」
“先ほどよりも数が多いが、それでも軍勢の一部にすぎないだろう・・”
 陽輝が声を上げて、フォースが警戒を強める。
「フォースガンダムとGパニッシャーだけで対応するのは難しいか・・・!」
 勢力と戦力の差を痛感して、陽輝が意を決する。
(フォース、やるぞ!)
“分かった、陽輝!”
 陽輝が呼びかけて、フォースが答えた。フォースガンダムを自動操縦にしてから、陽輝はフォースブレスを構えた。
「フォース!」
 陽輝がフォースブレスを付けている左腕を前に伸ばした。彼が光を発しながら、フォースに変身した。
「いたぞ!あれがウルトラマンフォースか!」
「セレーナを追っていたヤツらはやられたが、今度はそうはいかないぞ!」
 ジャッカル星人たちがフォースに振り返って、持っている槍を構える。
「仲間も続々来るだろうが、ヤツの首はオレがいただくぞ!」
 ジャッカル星人の1人がフォースに向かって突っ込んできた。フォースは冷静に動きを見て、ジャッカル星人の出した槍をかわした。
「おのれ!」
 ジャッカル星人が再び攻撃を仕掛けるが、フォースに槍をつかまれた。
「何っ!?」
 驚くジャッカル星人が槍を引っ張られて、空へ投げ飛ばされた。
「見物している場合か!オレたちも行くぞ!」
 他のジャッカル星人たちも、フォースに飛びかかる。
 ジャッカル星人が振りかざす槍を、フォースは素早くかわしていく。槍から放たれるビームも、彼は飛行してかわした。
「フォーススラッシュ!」
 フォースが光の刃を飛ばして、ジャッカル星人数人の槍をはじき飛ばした。
「こしゃくな!」
 他のジャッカル星人たちが同時に槍からビームを放った。
「うっ!」
 フォースがビームを直撃されて、地上に落下した。彼に向かってジャッカル星人たちが飛びかかる。
「フォースチャージシュート!」
 フォースがとっさに両腕を十字に組んで、光線を出してジャッカル星人数人を倒した。しかし残りの星人がフォースに押し寄せた。
「数で押されるとパワーが足りない・・!」
「ここはフォースアーマーの力を借りないといけない・・!」
 陽輝とフォースが危機感を覚える。フォースが力を振り絞って、ジャッカル星人たちを押しのける。
「行くぞ、フォースガンダム!」
 陽輝がフォースガンダムに目を向けて、フォースブレスの画面をスライドしてマークを表示させた。
「フォースアーマー!」
 フォースガンダムが変形をして、フォースの体に鎧のように装着された。フォースガンダムはフォースを強化するための装甲「フォースアーマー」になった。
「ウルトラマンとあのロボットが合体した!?」
「ヤツにはあんな能力があったのか!?」
 ジャッカル星人たちがフォースへの警戒を強める。
 フォースがジャッカル星人に近づいて、パンチを繰り出す。攻撃力の増したパンチがジャッカル星人を突き飛ばしていく。
 他のジャッカル星人たちが槍を振りかざす。槍はフォースアーマーに命中したが、ビクともしない。
 フォースが力を込めてパンチを繰り出して、その衝撃でジャッカル星人たちを吹き飛ばした。
「何というパワーだ・・!」
「大勢で取り押さえても跳ね返される・・!」
 ジャッカル星人たちがフォースの発揮するパワーに脅威を覚える。
「うろたえるな!数では我々の方が上だ!」
「そうだ!数で攻めればオレたちが有利だ!」
 彼らは互いに檄を飛ばして、フォースを取り囲む。
 迫るジャッカル星人を見て、フォースが右手を振りかぶってエネルギーを集める。
「フォースチャージナックル!」
 フォースアーマーの剛腕に集められたエネルギーを、フォースはパンチとして繰り出した。
「うおっ!」
 ジャッカル星人たちがパンチで上空へ吹き飛ばされて、爆発して倒された。
「最初の星人たちは倒した・・」
「あぁ・・だがヤツらはまだまだ来る・・・!」
 ひと息つく陽輝と、緊張を絶やさないフォース。別のジャッカル星人の部隊が、続いてフォースの前に降り立った。
 再び構えを取るフォース。しかし彼は体力を消耗していて、カラータイマーが点滅を始めた。
「早く決着を付けて終わらせるには、数が多すぎる・・1回引き上げて、体勢を整えないと・・・!」
「しかし、我々が下がれば、ヤツらは地球を蹂躙するぞ・・・!」
「だけどオレたちが死んでしまったら、誰がこの地球を守るんだ!?誰がナツたちやセレーナを守るんだ!?」
「陽輝・・・分かった・・・!」
 陽輝の考えを聞いて、フォースは撤退を決めた。
「逃げる気か、ウルトラマン!?」
「追え!ヤツを倒せ!」
 ジャッカル星人たちがいきり立って、フォースを追う。
 ジャッカル星人たちが槍からビームを放つ。フォースが回避を試みるが、全てをかわせずに体勢を崩す。
「そこだ!狙い撃ちだ!」
 ジャッカル星人たちがフォースに向かって走り出す。
 そのとき、ナツのGパニッシャーが駆け付けて、ビームライフルを発射してジャッカル星人たちを阻んだ。
「地球の兵器か!」
「邪魔者は誰だろうと始末するだけだ!」
 ジャッカル星人がナツにも敵意を向けてきた。
「ナツ!・・ナツとセレーナだけで敵うわけがない・・早く止めないと・・・!」
 陽輝が焦りを感じて、1度フォースへの変身を解いた。フォースアーマーから元に戻ったフォースガンダムのコックピットに、陽輝は戻った。
「ナツ、戻れ!迂闊に攻撃するな!」
「フォースがいなくなったから、私たちがやらないといけない・・そうじゃないの・・!?」
 陽輝が呼び止めるが、ナツは戦おうとする。
「撃て!」
 ジャッカル星人たちがGパニッシャーを狙って、槍からビームを放つ。ナツが反応して回避行動をとるが、Gパニッシャーはビームを当てられていく。
「キャッ!」
 Gパニッシャーが地上に落ちて、ナツが悲鳴を上げる。
“ナツ、大丈夫!?”
(私は平気・・でも、Gパニッシャーじゃあの数は対処できないよ・・・!)
 セレーナが呼びかけて、ナツが答える。
“私に変身して、ナツ!そうすれば星人たちと戦えるよ!”
(でも、いくらセレーナでもあれだけの数を相手にするなんて・・フォースも撤退してしまったのに・・・!)
 セレーナが呼びかけるがナツは不安を感じていく。
“だからこそ、私がいかないと地球がピンチだよ!お願い、ナツ!私もみんなを守りたいの!”
(セレーナ・・・分かった。私、あなたを信じるよ・・・!)
 セレーナの頼みを聞き入れて、ナツが右腕にあるセレーナリングに目を向けた。
(このセレーナリングを空に向ける・・・!)
「セレーナー!」
 やり方を思い出して、ナツが右腕を上げた。セレーナリングが光り輝いて、彼女はGパニッシャーの外へ飛び出して、セレーナに変身した。
「えっ!?・・私、セレーナになっている・・・!?」
 セレーナの中にいるナツが、自分も大きくなっているかのような感覚を覚える。
「これが大きくなったときの感覚だよ。普通の人間よりも、景色も動きも違ってくる。」
「これが、ウルトラマンの見ている景色・・・!」
 セレーナが説明して、ナツがウルトラマンとしての感覚を実感する。
「セレーナが戻ってきたぞ!」
「バカめ!わざわざ捕まりに来るとは!」
 ジャッカル星人がセレーナを見て笑みをこぼす。
「ダメだ!早く逃げるんだ!」
 陽輝がセレーナに向かって呼びかける。
「ナツ、ここからは私に任せて・・!」
 セレーナはナツに言って、ジャッカル星人たちを迎え撃つ。
「分かった・・私も、どうやって戦うのかを覚えるよ・・・!」
 ナツが頷いて、セレーナがジャッカル星人たちの動きを見計らう。ジャッカル星人が突き出す槍を、セレーナは軽やかに受け流していく。
「早い・・軽やかに攻撃をかわしている・・・!」
“水のように軽やかな動きと月のような輝きを秘めているのがセレーナの強さだ。だがそれでも、ジャッカル星人を大勢相手するのは危険だ・・!”
 陽輝がセレーナの動きに戸惑いを覚えるが、フォースは危機感をふくらませていた。
(フォース、体力は回復したか・・!?)
“いや、まだだ・・・!”
 陽輝の問いに、フォースが焦りを込めて答える。
「オレがフォースガンダムで援護するしかない・・・!」
 思い立った陽輝がフォースガンダムを操縦する。フォースガンダムがビームライフルを手にして、セレーナたちのところへ近づく。
 セレーナは回避から反撃に転じてジャッカル星人たちに打撃を当てていく。
「クレッセントブーメラン!」
 セレーナが右手を振りかざして、三日月の形の光の刃を放った。ジャッカル星人数人が刃に切りつけられて倒れた。
 ジャッカル星人の1人が槍をかざして、光の刃をはじいて空へ飛ばした。
「調子に乗るなよ、姫!」
 ジャッカル星人が槍からビームを放つ。。
「うあっ!」
 セレーナがビームを受けて吹き飛ばされる。
「うっ!・・私にも痛みが・・・!」
 彼女が受けたダメージを共感して、ナツが顔を歪める。
「一心同体になっている今、私たちは肉体を共有しているのよ・・・!」
「それってつまり、どちらかが傷ついたら、2人とも傷つくってこと・・・!?」
 セレーナが言ったことに、ナツが緊張をふくらませる。
 ウルトラ戦士は融合している状態で負傷すれば、その相手も同様の苦痛を受けることになる。逆も同じである。
「セレーナのためにも、私も体を気遣わないといけないわね・・」
 ナツは気を引き締めなおして、ジャッカル星人たちの動きを注視する。
 ジャッカル星人たちが再び槍からのビームを放つ。
「フルムーンシールド!」
 セレーナが円状の光の壁を出して、ビームを防いだ。
「フルムーンリフレクション!」
 セレーナが光の壁に力を込める。ビームが鏡のように光の壁に反射されて、ジャッカル星人たちに命中する。
「おのれ!小賢しいマネを!」
 ジャッカル星人たちが毒づいて、セレーナに向かっていく。セレーナが光の壁を解除して、彼らを迎え撃つ。
 そのとき、ギンとイズルが駆け付けて、Gパニッシャー2機がビームライフルを撃ってきた。ジャッカル星人たちがビームに行く手を阻まれた。
「ギン隊員とイズル隊員も来てくれた・・!」
 ナツがGパニッシャーを見て安心を覚える。Gパニッシャーたちがセレーナの近くに降下した。
「この前にウルトラマンか!・・あ、いや、女だから、ウルトラウーマンっていうのか・・!」
 ギンがセレーナを見て笑みをこぼす。
「フォースがいなくなっている・・エネルギーが少なくなって、いったん引き上げたみたいだ・・」
 イズルがフォースにいないことを確かめて呟く。
「ウルトラウーマンを援護して、あの宇宙人たちを追い払うぞ!」
「了解!」
 ギンが指示して、イズルが答える。
「ウルトラウーマン・・確かにそうだね。」
 2人の会話を聞いて、セレーナが笑みをこぼす。
「また地球の兵器が出てきたか・・!」
「まとめて倒してしまえばいいだけだ!その後はフォースだ!」
 ジャッカル星人たちがセレーナとGパニッシャーに向かって、槍からビームを発射した。ギンのGパニッシャーがビームサーベルでビームをはじいて、イズルのGパニッシャーがビームをかわしてビームライフルで応戦する。
 セレーナが走り出して、ビームをかいくぐってジャッカル星人たちに詰め寄る。彼女が打撃でジャッカル星人たちを打ち倒していく。
「また宇宙人がこっちに向かっているよ・・!」
「おいおい、マジかよ!?」
 イズルがレーダーで他のジャッカル星人の接近を確認して、ギンが目を疑う。彼らの前に他のジャッカル星人とその戦艦が降りてきた。
「あれがジャッカル星人の本隊か・・!」
“セレーナ、君ではとても敵わないぞ!”
 陽輝が息を呑んで、フォースがセレーナを心配する。
(フォース、まだエネルギーは回復しないのか!?)
“まだだ・・変身できても、またすぐにエネルギーが少なくなってしまう・・・!”
 陽輝の問いに、フォースが答える。
(まだオレがオレで戦うしかない・・・!)
 気を引き締める陽輝が、フォースガンダムを動かして、セレーナとギンたちに加勢する。
「ウルトラ戦士じゃ長時間戦えない!オレたちが宇宙人を倒すぞ!」
「陽輝・・あぁ!」
「うん!」
 陽輝が檄を飛ばして、ギンが笑みを浮かべて、イズルが頷いた。
「そういえばナツはどうしたんだ?・・ナツ、応答してくれ!」
「ナツ隊員は宇宙人の攻撃にやられた・・気を失っているだけだから大丈夫だ・・・!」
 ギンがナツを呼ぶと、陽輝が答える。ナツがセレーナであることを知られないため、陽輝はギンたちに詮索されないようにした。
「そうか・・ナツは心配だが、今はアイツらを全滅させるのが先だ!」
 ギンが納得して、Gパニッシャーとフォースガンダムがジャッカル星人たちに向かっていく。
 そのとき、戦艦から出力の高い光線が発射された。
「危ない!」
 陽輝が叫んで、フォースガンダムたちが回避する。フォースガンダムはかわせたが、Gパニッシャー2機は光線の余波を受けて、胴体から火花を散らす。
「ギン!イズル!」
「うわあっ!」
 陽輝が叫んで、Gパニッシャーが地上に落ちてギンたちが絶叫を上げる。
「ジャッカル星人は、あんな破壊兵器も持っているのか・・!?」
“数だけでなく戦力も大きい・・我々だけでしのぎ切れないかもしれない・・・!”
 陽輝とフォースがジャッカル星人の戦力を目の当たりにして、危機感をふくらませる。
「地球人、及びウルトラ戦士よ。無駄な抵抗はやめろ。」
 戦艦の中にいるジャッカルが、陽輝たちに声を掛けてきた。
「誰だ、お前は・・!?」
「この宇宙人たちの首領か・・・!?」
 ギンとイズルが戦艦に目を向けて問いかける。
「我が名はジャッカル星人を束ねる王、ジャッカル。地球人、ウルトラ戦士、我々に無条件降伏しろ。」
 名乗るジャッカルが陽輝たちに命令を下す。
「従わぬ者、歯向かう者に命はない。生き残るには、我々の奴隷となるしかない。」
「ふざけるな!そんな一方的に言われて、その通りにすると思ってるのか!?」
 ジャッカルに対して、ギンが怒りを込めて言い返す。
「この地球は地球人であるオレたちみんなのものだ。他の誰かが独占していいことにはならない!」
 陽輝もジャッカルの命令を拒絶する。イズルもナツもセレーナも同じ考えだった。
「ならばお前たちは死ぬことになる・・・」
 ジャッカルがため息混じりに言って、ジャッカル星人たちが数を揃えてセレーナたちに向かって一斉に襲い掛かってきた。
 フォースガンダムたちがビームライフルを発射して、ジャッカル星人を迎え撃つ。Gパニッシャーの1機が前進して、ビームサーベルを振りかざす。
「力がこっちのほうが上だし、数では圧倒的にこっちが多い!」
「お前たちには、万に1つの勝ち目もない!」
 ジャッカル星人たちが勝ち誇って、槍からビームを放つ。
「フルムーンシールド!」
 セレーナがフォースガンダムたちの前に出て、光の壁を出してビームを防いだ。
「フルムーンソーサー!」
 彼女はその光の壁を回転を加えて投げつけた。
「ぐおっ!」
 ジャッカル星人たちが光の円盤を当てられて突き飛ばされる。しかし光の円盤がジャッカル星人の槍にはじかれた。
 ジャッカル星人たちがさらにビームを放っていく。
「キャッ!」
 セレーナがビームを直撃されて倒れて、ナツが悲鳴を上げる。エネルギーを消耗して、セレーナのカラータイマーが点滅を始めた。
「いけない・・エネルギーが少なくなってきた・・・!」
「私も疲れてきた気がする・・どうしたらいいの・・・!?」
 焦りを覚えるセレーナに、消耗を痛感するナツが問いかける。
「この数を全部相手にするのは無理ね・・出直すしかないね・・・!」
「でも、ジャッカル星人たちを放っておくわけには・・・!」
 撤退を考えるセレーナだが、ナツは聞き入れようとしない。
「セレーナ、来るよ!」
 ナツが呼びかけて、セレーナが顔を上げた。ジャッカル星人たちがセレーナに向かって、槍を構えて突っ込んできた。
「うあっ!」
 セレーナが槍を体に受けて突き飛ばされる。倒れた彼女を、ジャッカル星人たちが槍からのビームで追い打ちをかける。
「このままじゃセレーナが・・・!」
 陽輝が我慢できず、フォースブレスに目を向けた。
“ダメだ、陽輝!君が危険にさらされる!”
「だけどセレーナが・・ナツが・・・!」
 フォースが呼び止めるが、陽輝は変身を試みようとする。
「陽輝、戦艦が撃ってきたぞ!」
 ギンが呼びかけて、陽輝が前に視線を戻した。戦艦が副砲のビームを発射してきた。
「うあっ!」
 フォースガンダムがビームを直撃されて、陽輝が衝撃に揺さぶられてうめく。フォースガンダムが地面に叩きつけられて、動きに異変が起こった。
「負傷して操縦を受け付けなくなった・・フォースガンダムで戦えない・・・!」
 動かせなくなったフォースガンダムから降りて、陽輝が戦艦をじっと見つめる。
「こうなったら・・たとえわずかの時間でも、変身してセレーナとみんなを助けるだけでも・・・!」
 陽輝が回復していないことを承知で、フォースに変身しようとした。
「ちょっと待った!」
 そのとき、1人の青年が現れて、陽輝に声を掛けてきた。
「みんなを助けるなら、ここはオレに任せてください!」
「任せてくれって・・君はいったい・・・!?」
 呼びかけてくる青年に、陽輝が驚きを見せる。
「オレはカナタ・アスミ・カナタです!」
 青年、カナタが陽輝に自己紹介をする。
「オレは隼陽輝だ。もしかして、この世界とは違う世界から来たんじゃ・・・!?」
 陽輝も名乗って、カナタに問いかける。
「違う世界・・・確かにオレがいた地球とは違うみたいですね・・」
 カナタが言われて、別世界に来たことを実感する。
「おっと、おしゃべりしている場合じゃなかった・・あのウルトラマンを助けないと!」
 思い立ったカナタが、ジャッカル星人たちに視線を戻す。
「助けるって・・・もしかして、君は・・!?」
 それを聞いた陽輝が戸惑いを見せる。
 カナタがアイテム「ウルトラDフラッシャー」とカード「ウルトラディメンションカード」を取り出した。
“ウルトラディメンション!”
 彼はウルトラディメンションカードをウルトラDフラッシャーに装てんした。
「輝け、フラッシュ!デッカー!」
 カナタがウルトラDフラッシャーのトリガーを押して、空へ掲げた。
“ウルトラマンデッカー・フラッシュタイプ!”
 カナタの姿が巨人へと変化する。
 巨人の名はウルトラマンデッカー。カナタはその基本形態である「フラッシュタイプ」に変身した。
「ウルトラマン・・ウルトラマンデッカー・・・!」
“別の世界から来た、新しいウルトラマンか・・!”
 陽輝とフォースがデッカーの姿を確認して、戸惑いをふくらませる。カナタが変身したデッカーが、ジャッカル星人たちの前に現れた。

 

 

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