ザ・グレイトバトル
-トゥルースピリッツ-
第16章
オーブトリニティに変身したオーブ。ガイが武器「オーブスラッシャー」を手にした。
「オーブもまた意思の力、絆の力を備えているウルトラマン。彼もまた、未来を切り開く1人だ!」
アムロがオーブトリニティの姿を見て、その底力を感じ取った。
「そのようなものを合わせたところで、僕を止められると思わないことだ。」
リボンズがオーブを見て、態度を変えずに言いかける。
「自分だけが正しいと思っているお前に、この絆の力を超えることはできない!」
ガイが言い放って、オーブがリボーンズガンダムに向かっていく。オーブが右肩に装備されているオーブスラッシャーを外して手にする。
「フィンファング!」
リボーンズガンダムがフィンファングを操作して、オーブに向かってビームを放つ。オーブはオーブスラッシャーを振りかざして、ビームをはじく。
「前よりは強くなったようだ・・まずはその武器を叩く・・!」
リボンズは笑みを絶やさず、リボーンズガンダムがビームサーベルを手にしてオーブに向かっていく。ガイがオーブスラッシャーのスライドパネルを3回タッチする。
「トリニティウムブレイク!」
オーブが光の刃を放ってフィンファングをはじき飛ばして、リボーンズガンダムが振りかざしたビームサーベルにオーブスラッシャーをぶつける。
「ぐっ!」
リボーンズガンダムが力負けして、リボンズが目を見開く。
「僕が負けることはない・・世界を正しく導けるのは、僕だけだ!」
リボンズが感情をあらわにして、リボーンズガンダムが加速してオーブに向かっていく。
「リボンズ・アルマーク!」
アムロが叫んで、νガンダムが光を発したままリボーンズガンダムの前に立ちふさがった。νガンダムがリボーンズガンダムを組み合って、光をぶつけ合う。
「オレやオーブだけじゃない・・人の意思が、このνガンダムに集まって、力になっている・・!」
「バカな!?・・愚かな人間の力に、僕が負けるなど・・!?」
意思の力を感じ取って、アムロが戸惑いを覚えて、リボンズが毒づく。
「アムロさん、あなたたちの意思の絆に、感謝します!」
ガイがアムロに礼を告げて、オーブスラッシャーを3回スライドタッチして、ブーストスイッチを押した。オーブのオーブスラッシャーから巨大な光輪が現れた。
「トリニティウム光輪!」
オーブがオーブスラッシャーを振りかざして、光輪を放つ。その瞬間、νガンダムがリボーンズガンダムから離れた。
オーブの光輪がリボーンズガンダムの胴体を斜めに切り裂いた。
「僕が変革をもたらす・・僕こそが、全ての救世主なのだ・・・!」
声を振り絞るリボンズが、コックピットにまで及んだ爆発に巻き込まれた。リボーンズガンダムが爆発して、拡散する光とともに消えていった。
「世界をよくしていくのは誰か1人じゃない。その世界に住む1人1人だ・・!」
アムロが呟いて、オーブに目を向けた。
「オレたちの絆と意思の力は、これからも大きく強く広がっていく。そのことを、オレも理解しています。」
ガイが言いかけて、オーブも頷いた。オーブとνガンダムがジードたちとゼロダークネスの戦いに振り返った。
ジード、デスティニー、ゼロ、ダブルオークアンタがゼロダークネスに向かって攻撃を仕掛ける。しかしゼロダークネスは彼らの攻撃を正確にかわしていく。
「ゼロ、オレを他のヤツのような偽者とは違う。オレも本物。ベリアルの魂に憑りつかれたときのお前自身だ。」
ゼロダークネスがゼロを見てあざ笑う。ゼロの脳裏にベリアルに取り抜かれて体を乗っ取られたときのことの悲劇がよぎってきた。
「確かにあのときはベリアルに体を奪われて、仲間を傷付けた・・お前がそのときのオレだということは分かってる・・!」
ゼロが悲劇を痛感して、ゼロダークネスに鋭い視線を向ける。
「だからこそオレがお前を倒す!仲間が傷つくのは、オレが見ている前では絶対させないぞ!」
「面白い。またお前たちに絶望を与えてやるぞ。」
改めて決意を固めるゼロを、ゼロダークネスがあざ笑う。
「オレたちは1人じゃない!1人で敵わなくても、力を合わせれば絶対に負けない!」
「自分の歪みを乗り越えることができるのは自分自身だ。だが他の者が支えになることもできる。」
シンと刹那が続けてゼロダークネスに向けて言い放つ。
「僕もベリアルの力に翻弄された1人だ・・でも僕はベリアルとは違う!僕は、1人じゃない!」
リクも言い放つと、ベリアルカプセルの他、新しいウルトラカプセルを取り出した。伝説の超人、ウルトラマンキングのカプセルである。
「僕もゼロさんと出会い、たくさんのウルトラマンのみなさんも力を貸してくれた・・だから僕は1人じゃない。そうですよね、ウルトラマンキング・・」
キングのことを考えて、大切なこと、自分が見つけた答えを確かめるリク。
「ユーゴー!アイゴー!」
リクが装填ナックルにベリアルカプセルとキングカプセルをセットした。
「ヒアウィーゴー!」
彼がトリガーを押したジードライザーで、装填ナックルにセットされているカプセルをスキャンする。
“フュージョンライズ!”
“ウルトラマンベリアル!ウルトラマンキング!我、王の名の下に!”
リクの手元に聖剣「キングソード」が現れた。彼は装填ナックルにセットされているキングカプセルをキングソードの上部にセットして、クリスタルに手をかざす。
「変えるぜ、運命!」
“ウルトラマンジード・ロイヤルメガマスター!”
ジードの姿が変化した。神々しさを宿した金銀、紫の姿に。
キングとベリアル、善悪両方の強大な力を宿した姿「ロイヤルメガマスター」である。
「ベリアルだけでなく、キングの力も発揮するか。」
ゼロダークネスがジードを見て呟く。
「たとえ僕の中にベリアルの力が宿っていても、それをどう使うかは僕自身だ・・!」
リクが自分の意思を口にして、ジードが同じく現れたキングソードを手にして、ゼロダークネスに向かっていく。
「それでオレを止められるかどうか、試してみるか・・」
ゼロダークネスが笑みをこぼして、ジードに向かってエメリウムショットを放った。光線が当たる直前、ジードの姿が一瞬にして消えた。
ジードが視界から消えても、ゼロダークネスは冷静だった。彼は振り返り様に再びエメリウムショットを放つが、その先にいたジードがまた消えた。
「瞬間移動か・・確かにキングの力も持っているようだな・・」
ゼロダークネスが笑みをこぼして、移動したジードに目を向けた。
「だがオレはベリアルとゼロの力を持っている・・能力としては、お前に負けず劣らずのはずだ。」
ゼロダークネスが言いかけて、ゼロスラッガーを放つ。ジードはこれも瞬間移動でかわした。
「瞬間でも空間の歪みをつかめれば・・!」
ゼロダークネスが呟いてから、ゼロスラッガーを動かす。その先に現れたジードが、光をまとった両手でゼロスラッガーをはじいた。
ゼロダークネスがゼロスラッガーを手にして、ジードに突っ込んだ。ジードはキングソードを掲げて、ゼロダークネスのゼロスラッガーを受け止めて受け流した。
「さすがだ・・だが無敵とは到底言えないな・・」
ゼロダークネスがジードに振り向いて笑みをこぼす。
「オレたちがいることを忘れるなよな!」
そこへゼロが呼びかけて、ゼロダークネスに向かって飛び込んできた。2人が組み合って、力比べをしながら降下していく。
「オレたちは1人じゃない!だからお前には負けない!オレもジードも、シンも刹那も!」
言い放つゼロの体からまばゆい輝きがあふれ出した。彼の姿が銀と金に彩られたものとなった。
「シャイニングウルトラマンゼロ!」
最強の形態「シャイニングウルトラマンゼロ」となったゼロが、ゼロダークネスを吹き飛ばした。
「その姿・・忌々しい・・!」
ゼロダークネスがゼロを見ていら立ちを覚える。
「オレは超えていく・・お前を・・そして、オレ自身の弱さを!」
ゼロが言い放って、ゼロダークネスと高速のぶつかり合いを繰り広げる。
「シャイニングエメリウムショット!」
ゼロがゼロダークネスと同時にエメリウムショットを放つ。2つの光線がぶつかり合うが、ゼロに競り負けてゼロダークネスが押し切られる。
「おのれ、ゼロ・・おのれ、ジード・・!」
「そこまでだ!」
いら立ちをふくらませているゼロダークネスに向けて、シンの叫び声が響く。デスティニーがビームソードを振り下ろして、ゼロダークネスが後ろに動いてかわしていく。
「世界や宇宙を混乱に導く歪みを断ち切り、その元凶を討つ!そのために戦い続ける!」
「地球や宇宙、命と平和を守るために、力を合わせて戦う!」
刹那とゼロが言い放って、ダブルオークアンタが端末「GNソードビット」を射出する。ゼロダークネスが黒い球状のバリヤーを張って、ソードビットの突撃を防ぐ。
「オレが!」
「オレたちが!」
刹那とゼロが叫んで、ダブルオークアンタがトランザムを発動して、ゼロとともに高速を発揮する。
「ガンダムだ!」
「ウルトラマンだ!」
ダブルオークアンタが剣「GNソードV」を手にして、振りかざす。ゼロダークネスがGNソードとゼロの手にしたゼロスラッガーに切りつけられた。
「ぐっ!・・この程度で倒れるオレでは・・!」
ゼロダークネスが痛みに耐えて、ゼロたちに目を向ける。次の瞬間、デスティニーがゼロダークネスの前に飛びだして、ビームソードを振り上げた。
「オレは戦い続ける・・お前たちのように、戦いを引き起こそうとする敵と!」
シンが決意を言い放って、デスティニーがビームソードを振り下ろした。
「ぐあっ!」
ゼロダークネスが体を切りつけられてうめく。リクがキングソードに手をかざす。
「バルカンスパークル!」
ジードがキングソードからキングソードから光の矢を連射する。ゼロダークネスが光の矢を当てられて、体勢を崩す。
「オレが・・ここまで追い詰められるとは・・・!」
ゼロダークネスが痛みに耐えて、視線を移す。ジードがゼロと並んで、キングソードを杖モードから剣モードに変えた。
「行くぞ、ジード!」
「はい、ゼロさん!」
ゼロとリクが声をかけ合う。
“解放せよ、宇宙最強の力!”
リクがキングソードをジードライザーでリードして、手で3回かざす。
「ロイヤルエンド!」
ジードがキングソードに左手を十字に当てて、高出力の光線を放つ。
「シャイニングワイドゼロショット!」
ゼロも両腕を組んで光線を放つ。2人の合わさった光線を、ゼロダークネスも黒いワイドゼロショットで迎え撃つ。
「たとえオレを倒したところで、お前たちが宇宙の希望になることはない・・愚かな生物の愚かな行為に絶望するしかない・・・!」
ゼロダークネスは押されながらも笑みを絶やさずにいる。
「誰かが僕たちを信じてくれているなら、宇宙に希望はある!」
「その希望を守ることも、オレたちの戦う理由だ!」
リクとゼロが人々からの信頼を口にする。ジードたちの光線に、ゼロダークネスが押し切られた。
「せいぜいいい夢を見ていることだな、ゼロ、ジード・・お前たちを待っているのは、絶望だけ・・・」
あざ笑うゼロダークネスが、光線の中で黒い霧のように消えていった。
「やった・・これで敵は全員倒したはず・・・」
ジードが周りを見回して、リクがひと息つく。オーブたちもジードたちのところに駆けつけた。
「シン、こっちは終わったわ。」
「地上のほうも、ライダーや戦隊のみなさんが終わらせたみたいですね。」
ルナマリアとハルがシンに言いかける。ノゾムたちも戦いが終わったと思って、ひと息ついていた。
「いや、ゴッズ、ガリウス・・今回も敵を呼び寄せた黒幕がいるはずだ・・!」
シンは安心を感じてはおらず、周囲への警戒を続けていた。
「そうだ。数多くの戦士の偽者を呼び寄せ、我々への信頼をねじ曲げようとした者がいる・・!」
ゾフィーが言いかけて、ウルトラマン、1号、アカレンジャー、アムロが視線を移した。
「この戦いを見ていることは分かっているぞ・・!」
「姿を見せろ、我らの前に!」
1号とアカレンジャーが言い放って、ノゾムたちも振り返った。
「やはり気付いていたか。もっとも、オレは隠れていたつもりはないのだけどな・・」
ノゾムたちの前に1人の青年が現れた。青年が髪をかき上げる仕草を見せて、ノゾムたちを見て笑みを見せる。
「お前がこのおかしな事件の黒幕か・・!」
「お前、誰だ!?・・どうしてこんなマネをしてきた・・・!?」
戦兎が言いかけて、ノゾムが鋭く問いかける。
「私は全ての世界、全ての宇宙においての無敵の存在。とりあえずチードと呼んでもらおうか。」
青年、チードが自信を込めた笑みを浮かべたまま言いかける。
「無敵とはずいぶんと大きく出たな・・」
「ホント、すげぇ偉そうなヤツだ!」
チードを見て巧が呟いて、モモタロスが不満の声を上げる。
「事実を言っているまでだ。本当に無敵であることにふさわしい力を、私は持っている。」
「思い上がるな!・・無敵だっていえるのは神様ぐらいなんだよ・・!」
自信を絶やさないチードに、ノゾムが怒りを見せる。
「ならば私は神ということになるな。全てが私の思い通りにできる。」
「思い上がるなと言っているだろうが!」
自信と笑みを絶やさないチードに、ノゾムが怒号を放つ。ノゾムが感情のままにチードに向かっていく。
「口だけでは分からないか。」
チードはため息をつくと、左手を軽く振り上げた。
「ぐっ!」
チードに向かっていたノゾムが、突然後ろに吹き飛ばされた。
「ぐっ!このっ!」
ノゾムが抵抗するが、チードの発した力に抗えないままに、地面を大きく転がった。
「ノゾム!」
倒れたノゾムにソウマが叫ぶ。ノゾムを簡単に吹き飛ばしたチードに、戦兎が息をのむ。
「どういうことなんだ・・!?」
「ノゾムくんを簡単に吹き飛ばすなんて・・!?」
タケルと永夢がチードを警戒する。
「これが私の力。無敵の力のほんの一端を見せたに過ぎないが。」
チードが言いかけて、立ち上がるノゾムを見つめる。
「私が呼び出したヒーローを退けたみたいだが、お前たちが束になっても私に勝つことはできない。」
「思い上がるなと言っているのが分かんないのかよ!?・・お前はオレが絶対にブッ倒す・・!」
自信を絶やさないチードに、ノゾムがさらに怒りをふくらませる。
「その通りだぜ!お前のようなヤツにデカい顔させるかよ!」
モモタロスも言い放って、デンガッシャーを構えてチードに飛びかかる。
「お前も体で分からないと理解できないか。」
チードがため息をついてから、右手を軽く振りかざした。
「おわっ!」
モモタロスが横に吹き飛ばされて、地面を大きく転がった。
「モモタロス!」
「良太郎先輩!」
流星と弦太朗がモモタロスに向かって叫ぶ。
「イタタタ・・オレが、オレたちが簡単に吹っ飛ばされるなんてありかよ・・!?」
モモタロスが痛がりながら立ち上がる。
“大丈夫、モモタロス・・!?”
「オレはこんなもん、大したことぁねぇぜ!」
良太郎が心配の声をかけて、モモタロスが答える。
「これで少しは分かったはずだ。私が無敵であることが。」
チードが言いかけて、戦兎たちに目を向ける。
「その気になれば全てを動かすことも、全てを作り直すことも私には不可能ではない。ただ、ヒーローとしてあがめられているお前たちに、身の程をわきまえさせるのもいいと思ったからね。」
「そのためにライダーや戦隊の偽者や、闇の戦士を呼び出したというのか・・!」
語りかけるチードに、戦兎が言いかける。
「愚かな人間、愚かな生物は簡単に騙される。そして簡単に考え方を変える。本来守ってくれていたはずのヒーローを、自分勝手に悪者扱いすることも。お前たちがいるからこっちが危ない目にあう、と。」
チードが話を続けて、人々とノゾムたちをあざ笑う。彼の言葉にリクが心を揺さぶられる。
「たとえお前たちが正義のためとか誰かのためとかで戦って敵を倒したとしても、他のヤツはそれを分かろうともしない。そんな愚か者たちのために命を賭けるなんて、さらに愚かなことだ。」
「それは違うぞ、無敵ヤロー!」
あざ笑っているチードに言い返してきたのは健太だった。
「確かに人間は不完全なところが多い・・弱さや間違いがあったり、恐怖のあまりに裏切ったり責めたりすることもある・・!」
「でも、みんなが愚かなんてことは絶対にない!私たちを信じてくれる人、最初は信じられなくても、最後に信じてくれた人がたくさんいるわ!」
耕一郎と千里も人々の心について語りかける。
「そんな人が1人でもいる限り、あたしたちは諦めない!」
「お前たちのように、命を弄んで平和と未来をねじ曲げようとする敵と、オレたちは戦う!」
みくと瞬も信じる気持ちを口にする。
「誰も認めてくれないのに戦い続けるとは、やはり愚かだな、お前たちは。」
しかしチードは健太たちをあざ笑ってくる。
「勘違いしているな、お前は。オレたちは誰かに認められたくて戦っているんじゃない!」
「命、平和、未来!守りたいものを守りたいから戦ってんだ!」
裕作と健太がチードに向かって言い返す。
守りたいものを守るために戦う。ただそれだけで体を張れる。それが健太たちの強さになっていた。
「さすが先輩!すっげーブレイブだぜー!」
ダイゴが健太たちに共感して喜ぶ。
「オレたちだって宇宙や世界を守るために戦ってるんだ!」
「たとえ居場所が違っても、たくさんの命が住んでいて、一緒に暮らしんでいる!」
「その命を守るために実力を行使する!それが我々の使命であり、我々が自らの意思で選んだ道だ!」
ラッキー、大和、圭一郎もそれぞれの意思を口にする。
「守りたいから守る、自分でそれを選んだ・・つくづく愚かだな、お前たちは。結局はただの自己満足。それをいいことだと言い張るとはな。」
チードがさらに笑い声を上げてから、大きく肩を落とす素振りを見せる。
「そんな自己中心的なのに、正義の味方が聞いて呆れるな。」
チードがさらにあざ笑っていたときだった。砲弾とビームが飛んできて、彼が目つきを鋭くしてはじき飛ばした。
「悪いが、オレたちみんなが正義の味方をやっているわけじゃねぇよ。」
「邪魔する敵をただやっつけるヤツもいるってことさ。オレたちみたいに。」
マーベラスと魁利が笑みを浮かべて、チードに自分たちの考えを言う。
「海賊とか怪盗とかはそういうことは気にしてないようだ。私に敵わないことには変わらないが。」
チードが態度を変えずに言葉を続ける。
「そんなことは関係ない。オレたちはオレたちのやることは変わりはしない。」
「あたしたちの邪魔をするヤツは・・!」
「力の限りぶっ潰す!」
透真と宇美花が自分たちの考えを告げて、ジョーたちが一斉に言い放つ。
「アイツらも相変わらず言ってくれるな・・まぁ、オレもかっこいい戦いができりゃそれでいい!相手が神を名乗っていようが何だろうがな!」
モモタロスも笑みをこぼして、デンガッシャーの切っ先をチードに向けて言い放つ。
「オレも正義の味方のつもりはない・・お前が許せないだけだ・・・!」
ノゾムも自分の考えを貫いて、チードに鋭い視線を向ける。
「我々は決して神ではない。救えない命、届かない想いもある・・」
「だが1人でも多くの人を、1つでも多くのものを守るために、オレたちは戦う!」
「全員が正義のために戦っているわけではないが、これだけは同じだ!」
「チード、お前の敵であることは!」
ウルトラマン、1号、アカレンジャー、アムロもチードに向かって言い放つ。ジードたちもチードに目を向けて構えを取る。
「やれやれ。このまま偽のヒーローに倒されたら面白かったが、私が直接手を下さないといけないようだ。」
チードはため息をついてから、全身から光があふれ出した。光はロボットの胴体のような装甲をまとった巨人に変わった。
「何だ、あれは・・!?」
「ウルトラマン!?・・ガンダムにも、戦隊のロボにも見える形だけど・・・!」
ガイとリクが巨人を見て疑問と動揺を覚える。
「見かけは足し算みたいに適当だけど、強さは無敵だ。私の分身といえる戦士、インヴィーだ。」
チードが巨人、インヴィーを紹介する。
「私と同じく無敵だ。だからお前たちに勝ち目は全くない。」
「無敵、無敵って・・どこまで自分をデカく見せようとしてんだよ・・」
自信を見せるチードに、一海が呆れる。
「だったら証明してもらおうか・・アンタがホントに無敵かどうか・・!」
戦兎が言いかけて、龍我たちとともにチードの前に出る。
「百聞は一見にしかず。直接思い知らせた方が、お前たちには効果的のようだ。」
チードは言いかけると、右手を振りかざして衝撃波を放つ。
「うあっ!」
戦兎たちも押されて、大きく吹き飛ばされる。
「戦兎!ノゾム!」
魁利が戦兎たちに向かって叫ぶ。直後、インヴィーが動き出して、ルパンカイザーたちに迫る。
ルパンカイザーがガトリングを発射するが、インヴィーに当たる前に弾丸がかき消される。
「当たんない!?」
「コイツもホントに無敵だっていうのか・・!?」
宇美花と透真がインヴィーを見て驚く。
「無敵なんてものがあるか!神様以外の無敵なんてありえない!」
魁利が言い放って、ルパンカイザーがインヴィーに向かっていく。インヴィーが左手を出して、ルパンカイザーを押し返す。
「うあっ!」
ルパンカイザーが地上に叩き落とされて、魁利たちがうめく。
「ルパンレンジャー!」
「これ以上、お前たちの好きにはさせないぞ!」
健太が叫んで、圭一郎がインヴィーに鋭い視線を向ける。パトカイザーが左腕のトリガーキャノンを発射するが、これもインヴィーにかき消された。
「これも効かないんですかー!?」
「せめて攻撃を当てられないことには、話にならないぞ・・!」
咲也が声を荒げて、つかさが言いかける。
「ここはオレたちに任せろ!」
アスカが呼びかけて、ダイナがコスモスとともにインヴィーに向かっていく。
「ソルジェント光線!」
「コズミューム光線!」
2人は左右に分かれて、インヴィーに向かって光線を放つ。しかし2人の光線も、インヴィーに当たる前にかき消された。
「そんな!?僕たちの力も通じないのか!?」
ムサシがインヴィーの力に驚かされる。インヴィーが両手を振りかざして光線を放って、ダイナとコスモスに命中させた。
「があっ!」
「うあっ!」
ダイナたちが落下しかかりながらも、空中で踏みとどまった。
「大丈夫ですか、ダイナさん、コスモスさん!?」
「あぁ、平気だ!・・とんでもないパワーを発揮しているな、アイツも・・!」
オーブが駆け寄ってきて、ダイナが答えて気を引き締めなおす。
「オレがやる!必ず攻撃を当ててやる!」
シンが言い放って、デスティニーがビームソードを構えてインヴィーに向かっていく。
「シン、オレも行くぞ!」
ドモンも呼びかけて、ゴッドガンダムも続く。
「無闇に飛び出しても返り討ちになるだけだ・・!」
「僕たちも行きましょう!」
刹那が声を上げて、キオが呼びかける。ダブルオークアンタとFXもインヴィーに向かっていく。
デスティニーがビームソードを振り下ろすが、インヴィーに当たる寸前で止められる。ゴッドガンダムが繰り出したパンチも、寸でのところで止められる。
「オレのパンチも届かないだと!?」
攻撃が当たらないことに、ドモンが驚く。
「ビット!」
「ファンネル!」
ダブルオークアンタとFXがソードビットとCファンネルを飛ばして、多包囲からビーム攻撃と突撃を仕掛ける。しかしビームがかき消されて、ソードビットとCファンネルがはじき飛ばされる。
「これも効かない!?・・うあっ!」
声を上げるシンが衝撃に襲われる。インヴィーの衝撃波でデスティニー、ゴッドガンダム、ダブルオークアンタ、FXが吹き飛ばされる。
次の瞬間、ヒイロが狙いを定めて、ウィングゼロがツインバスターライフルを発射した。しかしその大きなビームが裂けて、インヴィーの左右に分かれた。
「どの攻撃も当たりもしない・・全てがはじかれる・・!」
あらゆる攻撃を跳ね返すインヴィーを、ヒイロが警戒心を強める。
「だから言っただろう。私もインヴィーも無敵だと。」
チードが言いかけて、インヴィーが両手を動かして振りかざしていく。
「ぐあっ!」
「ごあっ!」
デスティニーたちが次々に吹き飛ばされて、シンたちがうめく。
「みんな!うあっ!」
ガイが呼びかけるが、オーブたちもキュータマジンたちも衝撃に押される。
「私たちは単に力が強いというだけではない。あらゆる事象を思い通りに操ることもできる。つまり、私たちが頭で考えるだけで、光線や弾丸を弾いたり消したりできる。当たる前に打撃や武器を止めたりできるということだよ。」
チードがインヴィーを見つめて、自分たちの力について語っていく。
「考えただけで、思い通りにできるだって・・!?」
「そんな反則、現実にあるわけがないだろうが!」
リクが耳を疑って、ゼロが言い放つ。ジードとゼロが高速で動いて、インヴィーに向かってパンチを繰り出した。
しかしジードたちの攻撃も、インヴィーに通らない。
「だからお前たちの攻撃や能力は、全て拒絶される。」
チードが呟いて、インヴィーが全身から閃光を放出する。
「うあっ!」
「ぐあぁっ!」
ジード、ゼロが閃光を避けられずに、吹き飛ばされて地上に叩き落とされた。
「バカな!?・・無敵の力を持ったジードの攻撃も通じないだと・・!?」
ロイヤルメガマスターの力も効かないことに、ガイが毒づく。
「お前たちの使っている無敵の力は、不完全な生き物が考えている不完全なものに過ぎない。真の無敵というのは、あらゆる障害を考えひとつで除外する絶対的なものだ。」
チードがさらに語りかけて笑みをこぼす。
「どこまでも思い上がるな・・お前だけは、ここで必ず叩きつぶす!」
ノゾムが怒りの声を上げて、チードに向かっていく。
「ノゾムくん!」
永夢もノゾムに続いて飛び出す。
“エックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ノゾムがジャンプしてキックを繰り出すが、これもチードに止められる。ノゾムは足にさらに力を込めて、強引にキックを通そうとする。
“キメワザ!ハイパークリティカルスパーキング!”
永夢がハイパームテキガシャットのスイッチを2回押して、高速化してジャンプキックを繰り出した。彼のキックは一瞬の間に、チードに命中したかに思われた。
「ぐあっ!」
ダメージを受けて地面に倒れたのは、無敵状態になっているはずの永夢のほうだった。
「永夢!?」
「無敵になっているはずの永夢くんが、ダメージを受けるとは・・!?」
永夢が返り討ちにされたことに、タケルとRXが驚く。
「言ったはずだ。不完全なお前たちのいう無敵が、真の無敵に敵うはずがないと。」
チードが永夢に告げると、ノゾムに視線を戻す。
「無理やり押し込もうとしても、押し通せないものがあることを、お前もここで思い知ることだな。」
チードが意識を傾けて、ノゾムの体を押さえつけた。
「ぐっ!」
ノゾムがうめき声を上げて、地面に強く押し付けられる。
「ぐあっ!・・こ、このヤロー・・!」
さらにうめくノゾムが、チードに鋭い視線を向ける。
「コイツもみんなも、私とインヴィーに勝つことは絶対にできない。消滅されることでそのことを覚えろ。」
チードが目を見開いて、閃光を放出する。
「ぐあぁっ!」
「うわあっ!」
ノゾムたちが閃光を受けて激痛に襲われて吹き飛ばされる。地面から次々に爆発が起こって、ノゾムたちは地面に叩きつけられた。
「これが私の力。本当の無敵というものだ。」
チードが自信を込めた笑みを見せたまま、勝利を確信していた。