ザ・グレイトバトル

-トゥルースピリッツ-

第13章

 

 

 カオスウルトラマンの前にコスモスとワイルドトウサイドデカキングが立ちはだかった。

「たとえ違う人種でも、誰でも分かり合うことができる!」

「この絆を壊そうとする邪悪と、オレたちは戦う!」

 ムサシと大和が決意と友情を口にする。

「あのウルトラマン、大和とどこか似てるね。」

「人間と他の種族の絆の橋渡し役というところか。」

 セラとタスクが2人を見て言いかけて微笑む。

「オレたちジューマンと大和たち人間はしっかりとつながってるんだ!他のヤツらともつながれるってもんだ!」

 レオが意気込みを見せて、アムと操が頷いた。

 カオスウルトラマンが腕を振りかざして、黒い光の球を放つ。コスモスとワイルドトウサイドデカキングが手を振りかざして、光の球をはじく。

「オレたちは闇の力を止める!」

「僕たちが戦うのは敵じゃない!心の中にある闇なんだ!」

 大和とムサシがカオスウルトラマンに向かって言い放つ。

 飛びかかるカオスウルトラマンが伸ばした手を、コスモスが身をひるがえしてかわす。彼はカオスウルトラマンが繰り出す打撃を、流れるような動きで受け流していた。

 ワイルドトウサイドデカキングが左足となっている「キューブキリン」の「キリンバズーカ」を発射する。コスモスに注意を向けていたカオスウルトラマンが、砲撃を背中に受けて怯む。

「今だ!」

 大和が呼びかけてコスモスが頷いた。コスモスが右手に光を集めて、ゆっくりと右手を前に出して放つ。

 コスモスの光がカオスウルトラマンを包み込んだ。この光は破壊ではなく浄化の光である。

「あの光で、あのウルトラマンの闇の力だけを消すつもりだ・・!」

 操が光を見て声を上げる。

 そのとき、カオスウルトラマンがエネルギーを放出して、コスモスの光をはじき飛ばした。

「コスモスの光が効かない!?

「それだけ闇の力が濃いということなのか・・!?

 アムとタスクがカオスウルトラマンを見て声を上げる。カオスウルトラマンが両腕にエネルギーを集めて、コスモスたちを狙って光線を放つ。

「うっ!」

「うあっ!」

 コスモスとワイルドトウサイドデカキングが光線を受けて火花を散らして、ムサシと大和たちがうめく。

「もっと浄化の力を注がないと・・!」

 ムサシが意識を集中して、コスモスが姿を変える。邪悪な敵と戦う赤い姿「コロナモード」。さらにそこから2つの姿の力を兼ね備えた「エクリプスモード」に変身した。

「オレたちもコスモスを援護しよう!」

 大和が呼びかけて、セラたちが頷いた。ワイルドトウサイドデカキングが全身にエネルギーを集めていく。

「ジュウオウドデカダイナマイトストリーム!」

 ワイルドトウサイドデカキングからキューブ型のエネルギーが連射される。カオスウルトラマンが再び両腕を組んで、光線を放つ。

 合計100個の光のキューブが、光線を押していってカオスウルトラマンに直撃していく。

「今だ!コズミューム光線!」

 コスモスが右手を前に出して光線を放つ。より強い浄化の効果を備えた光線が、カオスウルトラマンに命中して包み込んだ。

 闇の力が浄化されて、カオスウルトラマンの体が霧のように消えていった。

「やった!闇のウルトラマンに勝ったぞ!」

 レオが勝利を喜んでガッツポーズをする。

「あのウルトラマンは闇の力によって生み出された存在・・僕たちのしっているカオスヘッダーとは違う・・」

 今消えたカオスウルトラマンのことを気に掛けるムサシ。

「優しさや心の強さを持つ者なら、どんな相手とも絆を結べる。君たちにも強い絆がある。」

「オレたちだけじゃない。あなたともみんなとも、新しく出会う誰かとも・・」

 ムサシと大和が声をかけ合って、コスモスがワイルドトウサイドデカキングに向かって頷いた。

 

 ヴァサーゴ、アシュタロンの前に立ちはだかるジャンボット、ジャンナイン、キュータマジン。3体を見てシャギアとオルバが笑みを浮かべる。

「たまげたねぇ。君たちとジャンファイトができるなんてねぇ。」

「司令官なのに軽口を叩いてどうする?」

 呟くロンポーにジャンボットが注意を投げかける。

「戦隊もここまで大人数のチームが出るようになったのか。」

「それだけじゃないぜ!1人1人が強いし、力を合わせればもっと強くなる!」

「スーパースター&オールスターってことだね〜♪」

 ジャンナインが言いかけて、チャンプとバランスが答える。

「ロボットばかりだ。しかもうち2体には人工知能をがあるみたいだよ。」

「相手が誰だろうと関係ない。全ての世界に、我々兄弟の本当の存在価値を思い知らせるだけだ。破滅をもたらすことでな。」

 オルバとシャギアがキュータマジンたちを見て微笑む。アシュタロンとヴァサーゴがビーム砲を発射して、キュータマジンたちが回避する。

「どの宇宙もオレたちが守ってみせる!オレたちは救世主だからな!」

「我々の力を認めなかった世界など、守る価値はない。滅びを受け入れることで、己の愚かさを理解するしかない。」

 決意を言い放つラッキーを、シャギアがあざ笑う。

「自分たちが認められないからといって、何かを壊していいことにはならない・・!」

「どんなシェフも腕を磨いて披露して、みんなにそのよさと味を伝えていくものだよ。お客さんをないがしろにするなんてナンセンスだよ。」

 ナーガとスパーダがシャギアたちに向かって言いかける。

「みんなを守りたい、そのために強くなりたいって強く思えば、救世主、ヒーローになれるんだ!」

「世界や宇宙を滅ぼしたんじゃ、お前らも伝説を残せなくなるってもんだ。ま、オレ様のほうが宇宙により強く伝説を残すけどな。」

 小太郎とツルギも続けて言い放つ。

「救世主?伝説?そんなもので世界が変わると信じているとはね。」

「このような愚かな世界など守ってどうなる?滅びることで我々の望む世界が開かれるのだ。」

 しかしオルバとシャギアが彼らの言葉をあざ笑う。

「宇宙を滅ぼして生まれる平和はない!みんな一所懸命に生きて、大切なものを守ろうとしてるんだ!それをそんな勝手な理由で踏みにじるなんて間違ってる!」

 ラッキーが彼らに向かって言い返す。

「ならば止めてみせるのだな。この価値を踏みにじられた我々の力を。」

「あぁ、止めてみせる!フロスト兄弟、お前らの運、試してやるぜ!」

 自信を込めた笑みを浮かべるシャギアに、ラッキーが言い放つ。

 ヴァサーゴとアシュタロンが再びビームを放って、キュータマジンたちがかわす。

「ダブルジャンナックル!」

 ジャンボットとジャンナインが握った右手を飛ばす。ヴァサーゴが2本のカギ爪「ストライククロー」を伸ばすが、ジャンボットたちのパンチにはじかれる。

「オレたちがいることを忘れないでもらいたい・・」

「忘れてなんておらんぞ!」

「頼りにさせていただきます!」

 言いかけるジャンナインに、ガルとラプターが答える。

「手癖の悪いロボットだな・・だったらその体を切り裂いてやるよ・・!」

 オルバが笑みを浮かべたまま言いかけて、アシュタロンがビームサーベルを手にして向かっていく。ヴァサーゴもビームサーベルを手にして、後に続く。

 ジャンナインが両腕に力を入れて、アシュタロンのビームサーベルをはじき返す。

「バトルアックス!」

 ジャンボットが斧「バトルアックス」を手にして、ヴァサーゴのビームサーベルを受け止めた。ヴァサーゴがジャンボットを狙って、ストライククローを伸ばしてきた。

 次の瞬間、ジャンボットが回転してバトルアックスを大きく振りかざして、ストライククローをはじいた。

「必殺・風車!」

 ジャンボットがその勢いでヴァサーゴの胴体にバトルアックスを叩き込んだ。

「ぐっ!」

 ヴァサーゴが突き飛ばされて、シャギアが衝撃に揺さぶられてうめく。

「兄さん!」

 オルバがシャギアに向かって叫ぶ。

「ガンパッド!」

 ジャンナインがアイテム「ガンパッド」を手にして「ガンモード」にして構える。

「ジャンスターダスト!」

 ジャンナインがガンパッドから光の球を発射する。アシュタロンがバックパックにある「ノーズビーム砲」を発射して迎え撃つ。

 ジャンナインの光の球がノーズビーム砲のビームを押し込んで、アシュタロンに直撃した。

「オルバ!・・・おのれ・・機械の分際で・・!」

 叫ぶシャギアがジャンボットたちに対していら立ちを覚える。

「オレたちがいることを忘れてもらったら困るぞ!」

 ラッキーが言い放って、キュータマジンがビームを放つ。ヴァサーゴとアシュタロンがビームをかわして、体勢を整える。

「思ったよりやるようだ。だが我々はここで思いとどまるわけにはいかない・・」

「遊びは終わりにしよう、兄さん。アイツらを一気に葬ろう。」

 呟くシャギアにオルバが言いかける。シャギアが笑みを取り戻して、ヴァサーゴとアシュタロンが組み付いた。

「2機にエネルギーが集中しています!」

「何か大技を使ってくるのかも!」

 ラプターとハミィがヴァサーゴたちを見て声を上げる。

「だったらこっちも、みんなの力を集めなくちゃね!」

「みんな、力を合わせるぞ・・!」

 ロンポーとスティンガーが呼びかけて、ラッキーたちとともにセイザブラスター、リュウツエーダー、ホウオウブレードを動かす。

“スーパーギャラクシー!”

 キュータマジンにもエネルギーが集まっていく。

「アルティメットメテオブレイク!」

 キュータマ型の12個のエネルギーが放たれる。

「サテライトランチャー、発射!」

 ヴァサーゴ、アシュタロンが月のマイクロウェーブを受けて、強力なビームを発射する。光の球とビームがぶつかり合って、激しい衝撃を巻き起こす。

「我々は我々の力で、愚かな宇宙を粛正する!」

「そんなマネはさせない!宇宙は、宇宙に生きるみんなのものだ!」

 互いに言い放つシャギアとラッキー。光の球がビームを押し込んで、ヴァサーゴとアシュタロンに命中した。

「そんな!?僕たちは・・僕たちはまだ!」

「我々の戦いの勝利は・・まだ果たされてはいない・・・!」

 自分たちの勝利を諦めないオルバとヴァサーゴだが、ヴァサーゴとアシュタロンが光の中に消えていった。

「宇宙はオレ様たちが取り戻す!」

「オレたちは、みんな誰もが究極の救世主だ!」

 ツルギとラッキーが高らかに言い放つ。ジャンボットとジャンナインがキュータマジンに目を向ける。

「宇宙は違えど、我々は宇宙を守る使命を帯びた者だ。」

「これからもそれぞれの居場所を、大切なものを守っていこう・・」

 ジャンボットとジャンナインが呼びかけて、ラッキーたちが頷いた。

「よっしゃラッキー!違う宇宙の、救世主の仲間が増えたぞー!」

「ラッキーは相変わらずのこの調子だけどね♪」

 喜びを見せるラッキーに、ハミィが笑みをこぼした。

「まだ浮かれるには早いぞ、お前たち。」

「そうだよ〜。また戦っているところがあるからね。」

 ジャンボットが注意を呼びかけて、ロンポーも続けて言う。

「この調子でみんなも助けるぞ!」

「オッキュー!」

 ラッキーの呼びかけにガルたちが答える。キュータマジンとジャンボット、ジャンナインは別れて、仲間たちへの援護に向かった。

 

 ネジジェラスに立ち向かうインパルス、ダブルエックス、パトカイザー。ネジジェラスが放つ光線を、3機は素早くかいくぐる。

「お前たち・・みんなまとめて、私が始末してやるわよ!」

 ネジジェラスが笑みをこぼしながら、インパルスたちを狙う。

「お前たちのような悪の暴挙を、私たちは阻止する!」

「君みたいな女はさすがに勘弁願いたいね!」

 つかさと咲也がネジジェラスに向かって言い放つ。

「あれが戦隊っていうのと警察っていうのか。軍人みたいにちょっと堅苦しそうだ・・」

「だけど戦隊にもいろいろあって、気が合う人たちばかりだぜ。」

 パーラが半ばあ然となって、ガロードが笑みを見せる。

「オレたちはオレたちの任務を果たす!お前たちの悪事を止めて、平和を守り抜くという任務を!」

 圭一郎が言い放って、パトカイザーが左腕のトリガーキャノンを発射する。ネジジェラスが射撃に耐えて、再びビームを放つ。

「なかなかタフだな、アイツ!」

「でも、私たちだって!」

 パーラが声を上げて、ルナマリアが言い放つ。インパルスがビームライフルを発射して、ネジジェラスの注意を引き付ける。

「サテライトキャノン、まだ発射できる!?

「あぁ!この宇宙でもマイクロウェーブを拾えるから、チャージすれば撃てる!」

 ルナマリアが問いかけて、ガロードが笑みを浮かべたまま答える。

「私が時間を稼いで隙を作るから、チャージが完了したら発射して!」

「任しとけ!それまで頼んだぞ!」

 ルナマリアの指示にガロードが答える。ダブルエックスが月からのマイクロウェーブを捉える。

「何かするつもりみたいだけど・・好きにはさせないわよ!」

 ネジジェラスがダブルエックスに振り向いて、攻撃を図る。そこへインパルスが飛びかかって、ビームサーベルを振りかざしてネジジェラスを引き離す。

「鬱陶しいヤツだ!消え失せろ!」

 ネジジェラスがいら立ちを感じて、インパルスに向かって触手を伸ばす。しかしパトカイザーのトリガーキャノンからの射撃で、触手がはじかれる。

「どうやらあっちは起死回生の1発ってヤツを狙っているみたいですよ!」

「私たちもあのロボを援護して、アイツの注意を引き付けるぞ!」

 咲也が言いかけて、つかさが呼びかける。

「お前の相手はこっちだ!」

 圭一郎が呼びかけて、パトカイザーが右腕のロッドを伸ばす。ネジジェラスが触手を振りかざして、ロッドに絡ませる。

 するとパトカイザーが右腕を引いて、ネジジェラスを振り回す。

「ぐっ!」

 ネジジェラスが体勢を崩してうめく。

「一気に畳み掛けるぞ!」

 圭一郎が呼びかけて、咲也とつかさが頷く。3人がVSチェンジャーを構えて、パトカイザーがエネルギーを集める。

「パトカイザー、弾丸ストライク!」

 パトカイザーがトリガーキャノンから強力なエネルギーの球を発射した。

「そんなもので、私を倒せるものか!」

 ネジジェラスがビームを放って、光の球を迎え撃つ。両者の攻撃が拮抗して押し合っていく

「私のほうが強い!どんなに束になっても、私には敵わないのよ!」

「そうとは限らないわよ!」

 ネジジェラスがあざ笑ったとき、ルナマリアが言い返して、インパルスがビームサーベルを突き出してきた。

「ぐっ!」

 後ろから右肩にビームサーベルを突き立てられて、ネジジェラスがうめいて体勢を崩す。その隙に光の球がビームを押し込んで、ネジジェラスに直撃した。

「あなたに、力を・・!」

 デンライナーにいたティファも意識を集中する。ダブルエックスへのマイクロウェーブのチャージが完了した。

「チャージ完了したよ!」

 パーラが呼びかけて、ルパンカイザーとインパルスがネジジェラスから離れた。

「ツインサテライトキャノン、発射!」

 ガロードがネジジェラスに狙いを定めて、ダブルエックスがツインサテライトキャノンを発射した。

「お・・おのれぇー!」

 ダブルエックスからの閃光に包まれて、ネジジェラスが絶叫を上げて消滅した。

「やったぜ!オレたちのチームワークの勝利だ!」

 ガロードが喜びの声を上げて、ルナマリアとパーラが笑みをこぼす。

「任務完了!」

 圭一郎たちが声をそろえて頷き合った。

「なかなかやるな、あなた。並みのパイロットじゃないようだ。」

「これでも“赤”なのよ、私・・あ、赤服は士官学校の成績が上だった人が着られるものなの。」

 つかさが言いかけて、ルナマリアが自信を込めて答える。

「そうして認められるのは強さのある証拠だが、その力を正しく使えるかどうかはその人の心がけ次第だ。」

「えぇ。それは分かっているわ。十分に・・」

 圭一郎が口にした言葉に、ルナマリアが真剣な顔で頷いた。

「オレたちは人々の幸せと安全を守るために、これからも戦い続ける。それを壊そうとする悪と、これからも・・」

 圭一郎が決意と使命を口にして、咲也とつかさは頷いた。

「堅苦しいけど、何かを守ろうとする強い気持ちは伝わってくる。」

 ガロードも呟いて、デンライナーにいるティファへの思いをふくらませていた。

 

 ネジソフィアに攻撃を仕掛けるZガンダム、AGE-2、ビクトリー。ネジソフィアが振りかざす爪を、ZガンダムとAGE-2がビームサーベルで受け止める。

「おバカさんね、あなたたちは。私たちに勝っても、あなたたちが正義の味方になれるわけじゃないのに・・」

「オレたちは正義の味方というわけじゃない!お前たちのような、人を弄ぶ存在を許せないだけだ!」

 微笑みかけるネジソフィアに、カミーユが言い放つ。

「生きる者、争うにはそれぞれ理由がある!だがお前たちはその思いも命も弄ぼうとしているだけ!そんなこと、オレは認めるつもりはない!」

 アセムも自分の意思を口にして、AGE-2がビームサーベルを振りかざす。ネジソフィアが後ろに動いて、ビームサーベルをかわす。

「オレたちは生きる場所も、人種も考え方も世界も違う。時にぶつかり合うこともあるだろう・・だがその先に分かち合い、ともに戦うこともできる!お前たちのような邪悪を倒すために!」

 ショウも自分の考えを口にして、ビクトリーがネジソフィアに目を向けて、右腕をV字に振りかざす。彼はV字のエネルギーを身にまとう。

「ビクトリウムシュート!」

 ビクトリーが両腕を組んで、光線を放つ。ネジソフィアも体からビームを放って、ビクトリーの光線にぶつけて打ち消し合った。

「たとえ地球人でなくても、この程度では私は倒せなくてよ。」

 ネジソフィアがビクトリーをあざ笑う。

「力と知能を兼ね備えた私たちに、あなたたちが勝てる可能性はゼロよ。たとえ手を組んだところでね。」

「それは違うぞ!人の力は、お前たちが考えているよりもずっと強い!」

 勝ち誇るネジソフィアに、アセムが言い放つ。

「命の力は、合わせれば宇宙(そら)を支えることもできる!その強さを理解しようとしないお前たちに、オレたちは屈しない!」

 カミーユも続けて言い放つ。Zガンダムがビーム砲「ハイパーメガランチャー」を、AGE-2がビームライフルを手にして構えた。

「懲りないわね、おバカさんたち・・」

 ネジソフィアがあざ笑って、ビームを放って迎え撃つ。AGE-2のビームはかき消したが、ハイパーメガランチャーからのビームに押された。

「くっ!」

 ネジソフィアがとっさに動いてビームを回避する。

「少しはマシになったけど、まだまだね!」

 ネジソフィアがスピードを上げて飛びかかって、ZガンダムとAGE-2に爪を振りかざす。

「ぐっ!」

 爪をぶつけられてZガンダムたちが突き飛ばされて、カミーユとアセムがうめく。

「カミーユ!アセム!」

 ショウが叫んで、ビクトリーがネジソフィアに対して構えを取る。

「お前たちのような闇を、聖なる力で斬る!」

 ショウがアイテム「ナイトティンバー」を手にして、口元に当てて奏でる。彼がナイトティンバーを横笛の「ティンバーモード」から剣の「ソードモード」に変えた。

“放て、聖なる力!”

 ビクトリーの体に青が加わる。彼は新たな姿「ウルトラマンビクトリーナイト」に変身した。

「忌々しい音色ね・・姿を変えたところで!」

 ネジソフィアがあざ笑って、ビクトリーに向かって飛びかかる。ネジソフィアが振りかざした爪を、ビクトリーがナイトティンバーで受け止める。

「お前たちでは、このナイトティンバーの光は消せはしない!」

 ショウが言い放って、ビクトリーがナイトティンバーを振りかざして、ネジソフィアを切りつけて引き離した。

“1!ナイトビクトリウムフラッシュ!”

 ビクトリーがナイトティンバーのカバーを1回動かしてトリガーを引いた。

「ナイトビクトリウムフラッシュ!」

 ビクトリーが体を回転させて、ネジソフィアに向かって突っ込んだ。

「うっ!」

 ナイトティンバーを体に叩き込まれて、突き飛ばされたネジソフィアがうめく。

“3!ナイトビクトリウムシュート!”

 ビクトリーがナイトティンバーのポンプアクションを3回行う。

「ナイトビクトリウムシュート!」

 ナイトティンバーに左腕を当てて十字を組んで、刀身から光線を放った。ネジソフィアが両手からビームを放って、光線を迎え撃つ。

「うあっ!」

 ビームを押し込まれて、ネジソフィアが光線を直撃されて突き飛ばされた。光線の威力で、彼女は大きなダメージを受けた。

「こ、これほどの威力の攻撃をしてくるとは・・!」

 ネジソフィアがうめきながら、ビクトリー、そしてZガンダムとAGE-2に目を向ける。

「これほどの力を、他の者たちも持っているのなら・・・!」

 思い立ったネジソフィアの体が光り出す。彼女はそのままZガンダムに向かってきた。

 カミーユが目つきを鋭くして、Zガンダムがハイパーメガランチャーを発射する。するとネジソフィアが形を変えてビームをかわして、Zガンダムの中に侵入した。

「アイツ、機体の中に侵入した!?

 アセムが声を上げて、カミーユがZガンダムを操作しようとする。しかし操縦できず、Zガンダムが勝手に動こうとする。

「アッハハハハ!これでこのロボは私の思うがままよ!これであなたたちを同士討ちにさせてあげるわ!」

 Zガンダムのコックピットに、ネジソフィアの笑い声が響き渡る。

「アイツ、コンピューターウィルスみたいなことを!」

 アセムがネジソフィアの能力に毒づく。ネジソフィアがZガンダムを使って、ビクトリーとAGE-2に攻撃を仕掛けようとした。

「入り込む相手を間違えたな!」

 カミーユが言い放った瞬間、ネジソフィアが侵入しているZガンダムが再び動きを止めた。

「ど、どうしたのだ!?中に入って操作できる状態にあるのに、私の言うことを聞かない!?

 Zガンダムを操ろうとするネジソフィアだが、動かすことができない。さらにZガンダムから光があふれ出してきた。

「こ、これは!?

「これはオレを通して出ている力!みんなの思いと力が、オレを通してあふれているんだ!」

 驚きを覚えるネジソフィアに、カミーユが言い放つ。多くの命と思いを、カミーユとZガンダムは力にして体現していた。

「こ、これではこのロボを乗っ取るどころか、私の体の自由が利かなくなる・・!」

 自分さえも思うように動かせなくなるネジソフィア。彼女がたまらずZガンダムから外へ脱出した。

「お、おのれ・・こんなことが・・・!」

 ネジソフィアが体力を大きく消耗して呼吸を乱す。Zガンダムの力によるダメージは大きかった。

「これ以上、お前の好きにはさせない!」

 ショウが言い放つと、1つのスパークドールズを手にした。彼の仲間である地底の聖獣、シェパードンである。

“ウルトランス!シェパードン!セイバー!”

 ビクトリーの手元に新たな剣が現れた。シェパードンの力を宿した聖剣「シェパードンセイバー」である。

「これで決める!」

 ビクトリーがナイトティンバーとシェパードンセイバーを構える。

“2!ナイトビクトリウムブレイク!”

 ポンプアクションを2回したナイトティンバーの刀身に、エネルギーが集まる。ショウが意識を集中して、シェパードンセイバーにもエネルギーが集まる。

「まだよ・・私はまだ、倒れない・・!」

 ネジソフィアが声を振り絞って、全身からビームを放出する。

「ナイトビクトリウムブレイク!」

 ビクトリーが飛び出してビームをかいくぐって、ナイトティンバーを振りかざしてネジソフィアを切りつけた。彼は続けてシェパードンセイバーを叩き込む。

「ぐあぁっ!」

 体を切りつけられたネジソフィアが絶叫を上げる。

「まだ終わっていないわ・・・まだ・・終わりたくない・・・!」

 断末魔を口にして、体が光になったネジソフィアは消滅した。

「ありがとう、シェパードン・・カミーユ、アセム・・」

 ショウがシェパードンに、カミーユとアセムに感謝を告げた。

「これも命のつながり。人間と怪獣、宇宙人。違う種族でもつながることができるということだ。それは、このゼータに限ったことじゃない。」

「オレとゼハートのように、対立したけどつながることはできた・・地球とヴェイガンも最後には分かり合うことができた。」

 カミーユが思いを口にして、アセムがこれまでの自分の戦いを思い返す。形はそれぞれだが、つながりがあることで強くなれると、彼らは確信していた。

「オレはヒカルと合流する。2人も他のみんなの援護に行くのだろう?」

「あぁ。アセムもショウも気を付けるんだぞ。」

 ショウが言いかけて、カミーユが答える。アセムも2人に向かって真剣な顔で頷いた。

 ビクトリー、Zガンダム、AGE-2が別れて、激戦を続けている仲間たちの援護に向かった。

 

 

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