ザ・グレイトバトル

-トゥルースピリッツ-

第12章

 

 

 悪のウルトラマンと野心を抱いたパイロットのガンダム、正体を現して巨大化したネジレンジャー。数多くの巨大な敵が、リクたちの前に立ちふさがった。

「たとえどれだけ数がいても、お前たちには負けない!」

「お前たちのように、宇宙や世界を自分たちの思うように変えようとするヤツと、オレたちは戦い続ける!」

 リクとシンがゼロダークネスたちに向かって、強い意思と決意を言い放つ。

「そんなマネをしたところで、宇宙を混乱させるだけだ。僕に従うなら、君たちの力を正しく使うことができる。」

 リボンズが嘲笑して、ジードたちに対して手招きをする。

「ずいぶんと自己中心的ね、アイツ・・!」

「世界は誰かのものじゃない!理不尽に屈することなく立ち向かおうとする勇気を持った人がいれば、正しい平和を導くことができるんだ!」

 ソラがリボンズの態度に呆れて、ハルが思いを込めて言い放つ。

「それができるほど人間は賢い存在ではない。救世主である僕が導いてやらなければ、やがて自滅の道を辿ることになる。」

「お前も人間のくせに、人間の底力を何も分かっちゃいないみたいだな。間違いもするけど、それをきっかけに成長する力も持ってるんだ。地球のみんなもオレたちウルトラマンも、お前も・・!」

 あざ笑ってくるリボンズに、ガイが呼びかける。

「僕に間違いなどないよ。僕はイノベイターさえも超えた存在。僕の示すものこそ、あるべき世界なのだよ。」

「そういう考えこそが、絶対にやっちゃいけない間違いなんだよ・・!」

 さらに嘲笑するリボンズに、ガイが怒りの声を口にした。

「ならば不様な最期とともに思い知ることだな。己の愚かさを。」

「おっと!獲物の独り占めは解せんな!このギム・ギンガナムとターンエックスの力、ヤツらに存分に味わわせてくれるぞ!」

 目を見開くリボンズに、ギンガナムが口を挟む。

「そうはいくか!」

 シンが言い放って、飛び出してきたターンエックスをデスティニーが迎え撃つ。2機が右手を前に出して、エネルギーを発してぶつけ合う。

「ぬっ!」

「ぐっ!」

 エネルギーの衝突の反発で、ターンエックスとデスティニーが互いに突き飛ばされる。

「今のは、シャイニングフィンガー!?・・いや、少し違う・・!」

 ドモンがターンエックスの繰り出した攻撃に疑問を覚える。

「面白い!このターンエックスのシャイニングフィンガーと互角の力を発揮するとは!」

 ターンエックスの攻撃をパルマフィオキーナで止めたデスティニーに、ギンガナムが喜びを見せる。

「この戦い、さらに激しくなるようだ。オレも面白いと感じてきたぞ・・」

 ゼロダークネスも喜びを感じて笑みをこぼした。

「だが、闇のウルトラマンたちのことも忘れるな。」

 ゼロダークネスが言いかけると、ティガダークたちもデスティニーたちの前に出てきた。

「ヤツらとも戦わないとならないが・・!」

「かなりの体力を消費することになりそうだ・・!」

 ダイナとコスモスがティガダークたちを見て焦りを噛みしめる。ティガダークが彼らに向かって光線を放とうとした。

 そこへ炎の球が飛んできて、ティガダークが光線の発射を阻まれた。

「何だっ!?

 突然のことにハルが声を上げる。ジードたちとゼロダークネスたちが振り向いた先には、2人の巨人と2体の巨大ロボットがいた。

「ジャジャーン!ウルティメイトフォースゼロ、ただ今参上!」

 巨人の1人、グレンファイヤーが高らかに言い放つ。

「また新しくお目にかかる人たちがいますね。」

 もう1人の巨人、ミラーナイトがジードたちを見て呟く。

「あのウルトラマン、あのベリアルに似たエネルギーを備えているようだ。」

「あれがウルトラマンジード。ベリアルの遺伝子を持つウルトラマンか。」

 2体のロボ、ジャンナインとジャンボットがジードを見て呟く。

 ウルティメイトフォースゼロはゼロとミラーナイトたちで結成した防衛チームである。リク、ジードのことはゼロから聞かされていた。

「ゼロの仲間が来たか。お前たちもズタズタにしてやるぞ。」

 ゼロダークネスがミラーナイトたちを見てあざ笑う。

「そうはいくか!オレたちも日々パワーアップしてんだ!」

「お前たちの野望は、我々がいる限り実行されることはない!」

 グレンファイヤーとジャンボットがゼロダークネスに向かって言い放つ。

「誰が立ちはだかろうと、僕たちの戦いが邪魔することはできないよ。」

「我々は世界に思い知らせる。力ある我々を無力の烙印を押したことを。」

 オルバとシャギアがミラーナイトたちを見て、自信と野心を見せる。

「そんなことはさせない!」

 そこへ別の声がかかって、シャギアたちが視線を地上に向ける。地上には3人の青年が立っていた。

「生き物はみんな分かり合えることができる!共存することができるんだ!怪獣も宇宙人も!」

 青年、大空(おおぞら)大地(だいち)が呼びかける。

「自分の未来を切り開こうとせずに、みんなの未来を奪おうなんて、性格悪いぞ!」

「自分たちの力とその可能性を、思い知らせるのではなく伝えようとしろ!」

 2人の青年、礼堂(らいどう)ヒカルとショウもシャギアたちに向かって言い放つ。

「大地、ヒカル、ショウ!」

「あなたたちもこっちに来たのね!」

 シンとルナマリアが大地たちを見て声を上げる。

「片腹痛いわ、小僧!全ての生物の共存など、できるわけねえだろうぉぉ!!

 ギンガナムが大地の意思をあざ笑って言い放つ。

「できる!僕たちの宇宙でも、人間と怪獣、カオスヘッダーとの共存が実現している!大地くんもみんなも、共存の夢を実現することができるよ!」

 コスモスがギンガナムに反論して、大地たちへ信頼を送る。

「ありがとうございます、ムサシさん!オレたちも必ず実現させてみせます!」

 大地が笑みを見せて大きく頷いた。

「大地、ユナイトだ!闇のウルトラマンを止めるぞ!」

 大地の持つデバイス「エクスデバイザー」から声が発する。エクスデバイザーの中にはウルトラマンエックスが宿っていた。

 頷いた大地がエクスデバイザーを起動する。現れた人形「スパークドールズ」を手にして、エクスデバイザーの上に乗せてリードさせた。

“ウルトラマンエックスト、ユナイトシマス。”

「エックスー!」

 音声の発するエクスデバイザーを、大地が高らかに掲げる。

“エックス、ユナイテッド。”

 エックスが大地と一体化、ユナイトを果たして巨大化した。

 ヒカルが短剣型アイテム「ギンガスパーク」を起動して、スパークドールズを呼び出してリードした。

“ウルトライブ!ウルトラマンギンガ!”

「ギンガー!」

 ギンガスパークを高らかに掲げたヒカルが、ウルトラマンギンガへと変身した。

“ウルトライブ!ウルトラマンビクトリー!”

 ショウがアイテム「ビクトリーランサー」からスパークドールズを呼び出してリードする。

「ビクトリー!」

 現れたウルトラマン、ビクトリーがショウと一体化する。エックス、ギンガ、ビクトリーもゼロダークネスたちの前に現れた。

「エックスたちも現れたか。しかし真の救世主は君たちウルトラマンではなく、この僕だよ。」

 リボンズがエックスたちを見て、さらに自身の笑みを見せる。

「ガンダムだけでなく、ウルトラマンにもエックスの名を持つ者がいるとは・・だがエックスの称号はこのターンエックスだけのものだ!」

 ギンガナムがダブルエックスとエックスを見て、高らかに言い放つ。

「そんなもののために戦っているわけじゃない!あなたたちの力、オレたちが止める!」

 大地がギンガナムの言葉を拒絶して、エックスたちが構えを取る。

「だがそれだけでオレたちを止められると思うのは滑稽というものだ。全ては力のあるオレたちが支配するのだ。」

「それは違うぞ!」

 ゼロダークネスが言いかけたところで、声が飛び込んできた。4機のモビルスーツも駆けつけてきた。

「あれはZ(ゼータ)ガンダム、ダブルオークアンタ、AGE-2AGE-FX!」

「カミーユ、刹那、アセム、キオね!」

 シンとルナマリアが機体を見て声を上げる。カミーユ・ビダンのZガンダム、刹那・F・セイエイのダブルオークアンタ、アセム・アスノのAGE-2、キオ・アスノのFXも駆けつけた。

「人の命や意思を道具にするお前たちに、人や世界を動かす資格はない!」

「争いの根源となるお前たちは、ここで駆逐する・・!」

 カミーユと刹那がゼロダークネスたちに向かって言い放つ。

「どの世界もお前たちのものじゃない!そこにいるみんなの場所だ!」

「それを壊そうとするあなたたちの力、僕たちが止めてみせる!」

 アセムとキオもそれぞれの思いを言い放つ。思いはそれぞれだが、彼らは戦いを終わらせるためにゼロダークネスたちに立ち向かおうとしていた。

「貴様は確か、戦いをやめろ、話し合えば分かり合えるとぬかした小僧か・・!」

 ギンガナムがFXを見て、キオのことを頭に入れる。

「命のやり取りをする気のない腑抜けに、小生を止めることなどできぬ!」

 キオの思いをあざ笑うギンガナム。ターンエックスが右手からビームを発射して、Zガンダムたちが動いて回避する。

「面白くなってきたな。獲物は多いほど楽しみが増えるというものだ。」

 ゼロダークネスが言いかけて、ティガダークたちに戦うよう仕向ける。ティガダークたちがジードたちに向かっていく。

「みんな行くぞ!」

 カミーユが呼びかけてリクたちが頷く。彼らは散開してゼロダークネスたちを迎え撃った。

 

 エックスを狙うギンガナムのターンエックス。その前にゴッドガンダムとグレンファイヤーが飛び出してきた。

「お前さっき、シャイニングフィンガーのようなものを使ってきたな!」

「貴様、なかなかの腕を持っているようだな!小生の闘争本能も沸き立つというものだ!」

 問い詰めるドモンに答えて、ギンガナムが笑みを強める。

「ならば受けてみるか!本物のシャイニングフィンガー・・いや、それを超えるゴッドフィンガーを!」

「面白い!このターンエックスを見事倒してみるか!」

 言い放つドモンに対して、ギンガナムが喜びに打ち震える。ターンエックスが迫る中、ドモンとゴッドガンダムが右手を握りしめる。

「オレのこの手が真っ赤に燃える!勝利をつかめと轟き叫ぶ!」

 ドモンが言い放つと、ゴッドガンダムの右手から炎が解き放たれた。

「ばあぁく熱!ゴッドフィンガー!」

「シャイニングフィンガー!」

 ドモンとギンガナム、ゴッドガンダムのゴッドフィンガーとターンエックスのシャイニングフィンガーがぶつかり合う。

「何っ!?

 ターンエックスがゴッドガンダムに押されて、ギンガナムが驚きを覚える。

「オレは格闘家、ガンダムファイターだ!お前の力、戦いへの飢えや渇きは分からないでもない!だが、そのために他のヤツを踏みにじるならば、オレはお前を許さん!」

「貴様の許しなど求めてなどいない!小生とターンエックスの力を誇示できればそれでよい!」

 自分の意思を口にするドモンを、ギンガナムがあざ笑う。

「この力で世界が戦乱となるならば、それこそ、我が世の春というものだ!」

 ギンガナムが野心をむき出しにして、ターンエックスがゴッドガンダムを押し返していく。

「グレンスパーク!」

 そこへグレンファイヤーが炎を身にまとって突っ込んできた。ターンエックスがグレンファイヤーの突進を受けて突き飛ばされる。

「暑苦しいのはそのしゃべり方だけにすんだな!お前のようなヤツのためにいろんなとこでドンパチされたら、嫌気がさすってんだよ!」

「小生の戦いに水を差すならば、何者であろうと容赦はせん!貴様にも引導を渡してくれるぞ、炎の異星人よ!」

 不満を言い放つグレンファイヤーに、ギンガナムが言い返す。

「こんな戦い、意味がないよ!」

 FXがエックスとともに駆けつけて、キオが呼びかけてきた。

「腑抜けの小僧がまたも腑抜けたことを・・そのような戯言、小生が打ち砕いてくれるわ!」

「あなたのような人、僕たちが必ず止めてみせる!」

 高らかに言い放つギンガナムに、キオが言い放つ。

「戦いを呼ぶあなたの力、オレたちも止める!」

「ならば封じられるか・・このターンエックスとギム・ギンガナムを!」

 大地も言い放つと、ギンガナムが目つきを鋭くする。ターンエックスが飛びかかって、エックスと組み付いた。

「小生の前でエックスを名乗るならば、受けてみるがいい!これがターンエックスの・・!」

 ギンガナムがエックスに向かって言い放つ。

「月光蝶である!」

 ターンエックスの背中から光の粒子があふれ出した。光は蝶の羽のように広がっていく。

「この光は・・!」

「これは・・エックス、離れるんだ!この光はナノマシンだ!」

 エックスが声を上げて、大地がエクスデバイザーで光を分析して呼びかける。光の粒子、ナノマシンがエックスを包んで、彼の体を蝕んでいく。

「激痛が・・このままではユナイトが維持できなくなる・・!」

 エックスが離れようとするが、ターンエックスの手を振りほどくことができない。

「エックスさん!」

 そこへキオのFXが端末「Cファンネル」を射出して、ビーム射撃と突撃でターンエックスをエックスから引き離した。

「大丈夫ですか、エックスさん、大地さん!?

「ナノマシンで体が悲鳴を上げている・・キオのおかげで、ユナイトを解除しないで済んだ・・!」

 心配の声をかけるキオに、エックスが答える。

 エックスは肉体を失っていて、エクスデバイザーにデータとして宿っている。大地とユナイトすることによって実体化が可能となっている。そのため、ナノマシンによる攻撃は彼にとってより致命的になっている。

「だけど、オレたちがより強いユナイトをすれば、あのナノマシンにも打ち勝てる!」

 大地が呼びかけてエックスが頷く。彼らはターンエックスに目を向けて、意識を集中する。

 大地が新たなスパークドールズをエクスデバイザーでリードする。

“ウルトラマンエックス、パワーアップ。”

 大地の前に虹色の剣「エクスラッガー」が現れた。

「行くぞ!エクシード、エーックス!」

 大地がエックスと声を合わせて、エクスラッガーをX字に振りかざす。するとエックスの体に虹色の光が宿った。

 エックスは強化形態「エクシードエックス」に変身した。

「ものすごい力が伝わってくるぜ・・!」

「こっから反撃開始だ!」

 ドモンがエックスの力を感じて笑みを浮かべて、グレンファイヤーもターンエックスに目を向ける。

「月光蝶だか絶好調だか知らねぇが、そんなものはオレの炎で吹っ飛ばしてやるぜ!」

「他の者であろうと、このターンエックスの月光蝶を止められることはできぬ!」

 互いに高らかに言い放つグレンファイヤーとギンガナム。

「僕たちには帰る場所がある!だから、ここで死ぬわけにはいかないんだ!」

「そうだ!オレの帰りを、レインとガンダムファイターのライバルたちが待っているんだ!」

 キオとドモンがそれぞれの思いを口にする。

「レイン?まさかそいつは女の名前か!?

 ギンガナムがドモンに対して疑問を投げかける。

「そうだ!レインはオレと心を結んだ!オレはレインのことが好きだ!」

 自分のパートナー、レイン・ミカムラのことを口にするドモン。

「どうやら小生は貴様のことを過大評価していたようだ・・戦場で、恋人や女房の名を口にするのは、瀕死の兵隊が、甘ったれでいうセリフなんだよ!」

「黙れ、御大将が!たとえお前でも、オレとレインの愛を踏みにじることはできない!」

 あざ笑うギンガナムに、ドモンが感情を込めて言い返す。

「ならばこの宇宙から、貴様らを消してくれるわ!」

 ギンガナムが言い放って、ターンエックスが右手からビームを発射する。FXがファンネルを展開してビームをはじく。

「そのような端末の扱い方で、このターンエックスは止められんぞ!」

 ギンガナムが目を見開いて、ターンエックスの胴体が分離する。ターンエックスの部位がファンネルのように動いて、ビームや突撃を仕掛ける。

「エクスラッガー!」

 エックスが額に収められていたエクスラッガーを取り出して手にした。

「エクシードスラッシュ!」

 エックスがエクスラッガーを素早く振りかざして、ターンエックスのビームと胴体をはじき返した。

「おのれ!小賢しいマネを!」

 ギンガナムがいら立ちを浮かべて、ターンエックスが合体して元に戻る。

「この戦乱に貧弱なたわごとなど不要!」

「戦いを楽しむだけの男が、オレたちのファイトの意味は分かりはしない!」

 互いに言い放つギンガナムとドモン。ゴッドガンダムが両手の中にエネルギーを集めていく。

「人の恋路を邪魔するヤツは、馬に蹴られて地獄へ落ちろ!」

 怒りの声を上げるドモン。ターンエックスが背中から光の粒子を発して、ゴッドガンダムに向かっていく。

「流派・東方不敗、奥義!石破天驚拳!」

 ゴッドガンダムが両手の中の炎の球を放つ、炎の球はターンエックス、光の粒子とぶつかり合って、激しい衝撃を巻き起こす。

「年貢の納め時だぜ、御大将!オレの、オレたちの炎はそんなもんじゃ消せないぜ!」

 グレンファイヤーが全身から炎を発して、ターンエックスに突っ込んだ。

「ファイヤーダッシュ!」

 彼がターンエックスの光の粒子を、炎のパンチの連続でかき消していく。

「バカな!?ターンエックスの月光蝶が!?

 ギンガナムが驚きの声を上げた直後、ゴッドガンダムの炎の球がグレンファイヤーのパンチに押されて、ターンエックスの胴体にめり込んだ。

「おのおれえー!」

 絶叫を上げるギンガナムが、爆発するターンエックスとともに消滅した。

「あの人、心から戦いに酔っていた・・だから、こうしないと止められなかった・・・」

 ギンガナムを手にかけたことを気に病むキオ。

「それはオレも気にしている・・できることなら、あの人も助けたかったけど・・・」

「彼を放っておけば、世界に被害が広がることになる・・正しいこととは言えないが、こうするしかなかったと私も思う・・・」

 キオを励ます大地に、エックスも告げた。

「オレたちは殺し合いをしたいわけではないが、戦いをする以上、全ての命を失わせないようにするのは限りなく不可能に近い・・」

「こりゃ割り切るしかない・・いい気はしないがな・・」

 ドモンとグレンファイヤーもキオに言いかける。腑に落ちないながらも、キオは小さく頷いた。

(でも、誰も死なないようにしてみせる・・必ず・・!)

 キオは心の中でふくらませていた。自分が見出した答えとそれに対する思いを。

 

 ティガダーク、イーヴィルティガの光線の同時攻撃を、ウィングゼロとミラーナイトはかいくぐっていく。

「闇のウルトラマン、ここで排除する。」

 ヒイロがティガダークたちを見て呟く。そこへファルコンが駆けつけて、ウィングゼロたちと合流した。

「私たちだってやれますよ!」

「ここも協力して、悪いウルトラマンや平和を壊す敵と戦いましょう!」

 ソラとハルが意気込みを見せて、ヒイロとミラーナイトに呼びかける。

「協力するというのは僕も賛成だ。力を合わせて闇を払いましょう。」

 ミラーナイトも頷いて、ヒイロに呼びかけた。

「了解。ここは連携して敵の排除を遂行する。」

 ヒイロが頷いて、ティガダークたちに目を向けた。

「僕たちが2人に注意を引き付けます!その間に一気にとどめを!」

 ハルが呼びかけて、ファルコンがティガダークたちに向かっていく。手にしたビームサーベルを振りかざすファルコンだが、ティガダークたちは軽々とかわす。

 ティガダークとイーヴィルティガが同時に光の手裏剣「ハンドスラッシュ」を発射してきた。

「くっ!」

 ハルが反応して、ファルコンがスピードを上げて手裏剣をかわす。

「ハル、私に任せて!ここはビーム戦で!」

「分かった、ソラ!任せるよ!」

 ソラが呼びかけてハルが操縦権を彼女に渡す。ファルコンがビームライフルに持ち替えて、ティガダークたちをけん制する。

 その間にウィングゼロがツインバスターライフルを構えて、エネルギーを集中する。しかしイーヴィルティガがウィングゼロに気付く。

 イーヴィルティガが両腕を交差させて、ウィングゼロに向かって光線を放った。光線はウィングゼロに命中したように見えた。

 次の瞬間、ウィングゼロの姿が割れた。そこにあったのはウィングゼロを映した鏡だった。

「僕は鏡の騎士、ミラーナイト。鏡の扱いには慣れているのだ。」

 ミラーナイトがイーヴィルティガに向かって言いかける。鏡は彼が作り出したものだった。

 そこへファルコンがビームライフルを発射して、ウィングゼロに注意が向いていたティガダークたちに命中させた。

「ターゲット、ロックオン。」

 ヒイロがティガダークとイーヴィルティガを見定めて、ウィングゼロの標準も2人に定まった。

 ツインバスターライフルからビームが放たれた。ティガダークたちが光線を放つが、エネルギーを集中させているビームに押される。

 ティガダークたちがビームに包まれて、その光の中に消えていった。

「やった!闇のウルトラマンを倒した!」

「でも隙を作ったのはミラーナイトだったけどね・・・!」

 ハルが喜ぶ中、ソラがミラーナイトを見て笑みをこぼす。

「ですがあなた方の協力がなければ、私が鏡を作る時間もなかったはずです。ありがとう、2人とも。」

 ミラーナイトがソラたちに感謝して、小さく頷いた。

「まだ戦闘は続いている。他の者の援護に向かう。」

 ヒイロがソラたちに告げて、他の戦闘に目を向けた。

 そのとき、赤黒い光線が飛んできて、ヒイロが気付く。ウィングゼロが回避して、ミラーナイトが両腕を振りかざして光線をはじいた。

 ファルコンたちの前に現れたのは、ミラーナイトとそっくりな巨人。ただし目は漆黒に彩られていた。

「これは私だ・・かつて闇に侵されたかつての私・・・!」

 かつてベリアルに闇の力を注がれて心を閉ざしてしまったときの自分。目の前に現れたのがその姿とそっくりであることに、ミラーナイトは気付いた。

「これも闇の戦士として現れたのか・・しかし今の私に、心を閉ざすほどの闇はない!」

 昔の自分を思い出すミラーナイトだが、今の彼は闇のミラーナイト、ミラーダークを乗り越えていた。

 ミラーダークが全身から黒いエネルギーを霧のように発する。ミラーナイトも意識を集中して、両腕にエネルギーを集める。

「シルバークロス!」

 ミラーダークが放った光線を、ミラーナイトが十字の光で迎え撃つ。2人の力が押し合い拮抗する。

「私だって・・私たちだってやれるんだから!」

 ソラが言い放って、ファルコンがスピードを上げてミラーダークの横に回り込む。ファルコンが2つのビームライフルを連射する。

 ミラーダークがビームを体に受けて、体勢を崩した。その隙にミラーナイトが光に力を込めた。

 ミラーダークが光の十字に貫通されて、鏡が割れるように崩壊した。

「お別れです・・私の心の闇よ・・・」

 過去との決着を着けたことを呟いて、ミラーナイトはファルコンとウィングゼロを見て頷いた。

 

 偽ダイナに立ち向かうダイナとギンガ。偽ギンガの放つ光線を、ダイナとギンガが手を振りかざしてはじく。

「お前はあのときの偽者じゃないな。完全な闇の存在だ・・!」

 自分のこれまでの戦いを思い出して、ダイナが呟く。

「だったら遠慮しなくていいってことですね!」

 ギンガがダイナの隣に並んで、ヒカルが笑みを浮かべる。

「お前の力も頼りにさせてもらうぜ、後輩!」

「任せてください、先輩!」

 アスカとヒカルが声を変え合って、ダイナとギンガが握り拳を軽く当てた。

「さぁ行くぞ!本当の戦いは、ここからだぜ!」

 ダイナが意気込みを見せて、偽ダイナに向かっていく。偽ダイナが繰り出すパンチをかわして、ダイナがパンチを当てていく。

 ダイナの猛攻を受けて、偽ダイナが怯む。

「ギンガファイヤーボール!」

 ギンガが火の球を連続で発射して、偽ダイナに命中していく。

「よし!一気に決めるぞ!」

「はいっ!」

 アスカが呼びかけて、ヒカルが答える。偽ダイナが腕を十字に組んで、光線を放つ。

「ソルジェント光線!」

「ギンガクロスシュート!」

 ダイナとギンガも両腕を組んで光線を放つ。2人の光線が合わさって、偽ダイナの光線を押し込んだ。

 偽ダイナが光線を直撃されて、宇宙の彼方に飛ばされて爆発した。

「やった!偽者をやっつけたぜ!」

「これがオレの、オレたちのチームプレイだ!」

 ヒカルとアスカが喜びを口にして、ギンガとダイナが再び握り拳を合わせた。

「この勢いでみんなの援護に行きますよ!」

「あぁ!お前も気を付けろよ!」

 ヒカルの呼びかけにダイナが答える。2人は仲間たちの援護に向かった。

 

 

第13章へ

 

その他の小説に戻る

 

TOPに戻る

inserted by FC2 system