ザ・グレイトバトル
-トゥルースピリッツ-
第10章
ゾクレッドたちの前に現れたドギーとラッキーたち。
ツルギとドギーがホウオウブレードとディーソード・ベガを振りかざして、ゾクブルーを切りつけて突き飛ばした。
「その腕と精神力・・あなたも大きな伝説を築いてきたようですね・・!」
「伝説は自分から口にするものではない。正義のため、家族や仲間のため、大切なもののために戦い続け、その後に築かれるのが伝説だ。」
感心の言葉を口にするツルギに、ドギーが助言を送る。
「オレ様が語らなくても、オレ様の伝説が宇宙中に広まるのは目に見えていますけどね。」
ツルギは自信を見せて、ドギーとともにゾクブルーに目を向ける。
「おっと。ボクちんのことを忘れてもらっちゃ困るよ〜。」
後ずさりするゾクブルーの後ろには、ロンポーが待ち構えていた。
「おわっ!」
「ライフルモード」にしたリュウツエーダーからの射撃を受けて、ゾクブルーが突き飛ばされた。
「行きますよ、ツルギくん、ボス!」
ロンポーが呼びかけて、ツルギとドギーが頷いた。3人がゾクブルーに向かっていった。
飛行しながら「キューザウェポン」の1つ「キューショット」で射撃するラプターから、ゾクピンクが逃げていく。
「コラー!待ちなさーい!」
「待てと言われて待つバカはいないよ!」
呼び止めるラプターに言い返して、ゾクピンクがさらに走る。だがその前にアミィが姿を現して、ゾクピンクがとっさに止まった。
「止まんないなら、無理やり止めちゃうんだからね!」
ハミィがゾクピンクに強気に言い放つ。彼女はカメレオンのように姿を消して、ゾクピンクの前に回り込んだのである。
ハミィとラプターに挟み撃ちの形になって、ゾクピンクが慌てる。そこへつかさがVSチェンジャーを発砲して、ゾクピンクを射撃した。
「本当の女の力、見せてやりましょう、先輩!」
「OK!」
つかさが呼びかけてハミィが大きく頷いた。
「先輩・・私が、先輩・・・よーし!先輩がんばっちゃいますよー!」
ラプターが興奮して意気込みを見せる。
「す、すごく気合い入っているみたいだ・・」
「それじゃ改めていくわよ!」
つかさがあ然となりかけて、ハミィが呼びかける。3人がゾクピンクを取り囲んで、構えを取った。
スパーダがナイフ「キュースラッシャー」を手にして、ゾクイエローと交戦する。
「ナイフさばきなら、こっちも負けちゃいないぞ!」
ゾクイエローもナイフを手にして、スパーダを迎え撃つ。
「僕のナイフは料理をさばくためのものさ。無闇に傷つけるためのものじゃない。」
「ナイフはナイフ。切るためのもんだよ!」
気さくに言うスパーダにゾクイエローが強く言い返す。
「しかし使い方次第で、その切るためのものを守るために使うこともできる・・」
ゾクイエローのそばにスティンガーが駆けつけて、長槍「キュースピア」を振りかざす。
「くっ!」
ゾクイエローがナイフを手にしてキュースピアを受け止めるが、力負けして押される。
「元々悪として生まれた力でも、正義のために使うことは不可能ではない!」
「僕たちはこの力を、みんなを守るために使う!救世主として、ヒーローとして!」
チャンプと小太郎もゾクイエローに向かって言い放つ。スティンガーたちが構えを取って、ゾクイエローを取り囲んだ。
ゾクグリーンを追いかけるバランスとナーガ。反撃をしながら逃走するゾクグリーンの前に、咲也がVSチェンジャーを構えて立ちはだかった。
「おっと、そこまでだ!無理やり動くなら無理やり止めることになるぞ!」
咲也に行く手を阻まれて、ゾクグリーンがいら立ちを浮かべる。
「お前たちは警察なのだろう?怪盗と手を組むつもりなのか・・?」
「怪盗って言っても、僕たちは“元”怪盗だけどね♪」
ナーガが咲也に言いかけて、バランスが付け加える。
「でも今は平和を守る戦隊の一員なんですよね!?だったら真の悪と戦うために協力するのは当然のことですよ!」
咲也はバランスたちを悪者とは思わず、好意を感じていた。
「そう思ってくれると、嬉しい・・・!」
ナーガが喜びを感じて笑みをこぼした。
「それじゃ悪い戦隊に、本物の戦隊のパワーっていうのを披露しちゃうからね〜♪」
バランスが上機嫌に振る舞って、ナーガが新たなキュータマをセイザブラスターにセットした。
“ミズガメキュータマ!セイ・ザ・アタック!”
セイザブラスターから水流が放たれて、ゾクグリーンが怯む。
「こんなもので音を上げるオレだと思うな!」
「だったらこれはどう?」
水をはねのけるゾクグリーンに告げて、バランスも他のキュータマを使った。
“イテキュータマ!セイ・ザ・アタック!”
バランスのセイザブラスターからは、大量の光の矢が放たれた。
「ぐわっ!」
ゾクグリーンが光の矢をぶつけられて悲鳴を上げる。
「痛いじゃんか!よくもやってくれたなー!」
ゾクグリーンが痛がりながら文句を叫ぶ。
「おとなしくしないと、もっと痛い目にあっちゃうよ!」
咲也がゾクグリーンに向かって警告を送る。
「へいへい、それじゃおとなしくします・・なんて言うと思ったか!」
ゾクグリーンが怒りをあらわにして、銃を2つ取り出して発砲してきた。
「わわっ!」
「アイツ、武器を隠し持っていたのか・・!」
バランスが慌てた素振りを見せて、ナーガが呟く。
「お前がその気なら、こちらも実力行使だ!」
咲也はVSチェンジャーを発砲して、ゾクグリーンと銃撃戦を繰り広げた。
ラッキーとガル、圭一郎に挟まれたゾクレッド。彼は3人を見回して敵意をふくらませる。
「そこまでだ、暴走族!」
「尻尾巻いて逃げたほうが身のためだでぇ!」
圭一郎とガルがゾクレッドに向かって言い放つ。
「このゾクレッド様に勝てると本気で思ってるのか!?なめられたもんだな!」
「大きく出たな!だけど残念だったな!相手が宇宙一ラッキーなオレだからな!」
強気を見せるゾクレッドに、ラッキーも高らかに言い放つ。
「宇宙一のラッキーヤロー、てめぇも今日が運の尽きなんだよ!」
「ラッキーもアンラッキーも関係ない!お前たちのような悪は平等に裁く!」
あざ笑うゾクレッドに圭一郎が言い放つ。ラッキーと圭一郎がそれぞれ剣「キューソード」と警棒「パトメガボー」を手にして、ゾクレッドに向かっていく。
「オレがおることを忘れちゃ困るガル!」
ガルも意気込みを見せて、爪「キュークロー」を装備する。彼とラッキー、圭一郎に対して、ゾクレッドが2本の短剣を手にして迎え撃った。
アム、みく、裕作の前に立ちはだかるネジピンク。ネジピンクが弓矢を構えて、アムたちを狙って連射する。
「たとえ何人束になっても、我々には敵わないわよ。あなたたちのことは、改めて分析しているのだから。」
ネジピンクが強気に振る舞って、アムたちをあざ笑う。
「その強気なところは敵わないかもね。自信たっぷりっていうより、自信過剰かもしれないけど。」
アムが言い返すと、ネジピンクに向かって飛びかかる。
「待って!そこにいるのは・・!」
みくがとっさに呼び止めるが、アムがパンチを繰り出した。その瞬間、アムの目の前にいたネジピンクの姿が突然消えた。
「えっ!?」
消えたネジピンクにアムが驚く。
「今のはホログラム!立体映像を使った偽者だ!」
裕作が呼びかけた直後、アムの横にネジピンクが姿を現した。
「その通りよ。」
ネジピンクは囁くように言うと、足払いをかけてアムを転ばせた。
「うっ!」
ネジピンクに頭をつかまれて持ち上げられて、アムがうめく。
「アムちゃん!」
裕作が叫んで、みくとともに飛び出す。
「メガキャプチャー!」
「シルバーブレイザー!」
みくがアンテナ型武器「メガキャプチャー」を手にして、裕作が武器「シルバーブレイザー」を「ガンモード」にして、音波とビームを放つ。ネジピンクがアムを放して、後ろに動いて音波とビームをかわす。
「大丈夫!?」
「は、はい。ありがとうございます。」
心配の声をかけるみくに、アムがお礼を言う。
「もう油断しないよ!あなたたちにもジューマンパワーを見せてやるんだから!」
アムがネジピンクに呼びかけて、意識を集中する。
「野生解放!」
アムが野生解放を行って、両手を大きくした。
「メガピンクはアイツの居場所をキャッチしてくれ。オレとアムちゃんで一気に畳み掛ける・・!」
「分かりました、メガシルバー。任せてちょうだい・・!」
裕作とみくが話し合って、ネジピンクを迎え撃つ。
「メガキャプチャー!」
みくがメガキャプチャーから音波を出して、ネジピンクの居場所を探る。
「そんなことで、私を捉えられると思っているの・・!?」
姿を消してメガキャプチャーからの音波もかいくぐるネジピンクが、アムたちに向かって歩を進めていく。彼女の攻撃が3人に届くと判断できる範囲まで縮まった。
次の瞬間、アムが振り返って爪を振りかざしてきた。
「ぐっ!」
構えた弓を爪で叩かれて、ネジピンクがうめく。アムはネジピンクの居場所を察知していた。
「なぜ、私の位置が!?・・メガピンクのセンサーも避けていたはず・・!」
「野生の勘っていうのかな?まぁ足音はかすかだったけど聞こえてたよ。」
驚くネジピンクにアムが語りかける。近付いてきたネジピンクの足音を、アムが聞き分けたのである。
「さすがジュウオウタイガーだね。普通の人間にはできない裏技だね。」
裕作がアムの能力を見て感心する。
「私たちも負けてられないね。」
「そうだな・・よし!やってやるぞ!」
みくに呼びかけられて、裕作が意気込みを見せる。2人もアムに加勢して、ネジピンクに立ち向かった。
宇美花のVSチェンジャー、セラの「銃モード」にした「ジュウオウバスター」、千里のパチンコ型武器「メガスリング」による射撃を、ネジイエローがかいくぐっていく。
「その程度の射撃が、私に当たると思って?」
ネジイエローが宇美花たちをあざ笑う。
「本当の射撃というのは、こういうことを言うのよ!」
ネジイエローがエネルギーの球を作り出して、両手を前に出して放つ。
「キャッ!」
エネルギー弾が地面に当たって爆発して、宇美花たちが宙に跳ね上げられる。爆発によって砂煙が舞って、視界がさえぎられる。
「セラちゃん、ルパンイエロー、どこなの!?」
千里が宇美花とセラを捜して、周りを見回す。
(ムダよ、メガイエロー。あなたたちの動きは手に取るように分かるのよ。)
ネジイエローが心の中で微笑んで、自らの姿を変えた。宇美花とセラも周りを見回して合流を考えていた。
「ルパンイエロー!」
煙をかき分けた宇美花の前に千里が姿を現した。
「メガイエロー、セラさん見つかりましたか!?」
「まだだよ・・この煙じゃ見つけるのは大変かも・・!」
宇美花が声をかけて、千里が答える。
「早く見つけないと・・1人のところを狙われたら大変だよ・・!」
宇美花が呟きながらセラを捜す。千里も周りを見回しながら、メガスリングを手にした。
「私みたいにね・・!」
そのとき、宇美花が後ろにVSチェンジャーを発射して、千里が構えていたメガスリングに命中させた。怯んだメガイエローは千里ではなく、彼女に化けたネジイエローだった。
「なぜ、私のことが分かった!?・・見破ったとでもいうの・・!?」
正体を現したネジイエローが疑問を投げかける。
「女の勘ってヤツかな?本物のメガイエローと感じが違った気がしたから・・」
宇美花がネジイエローに振り返って、気さくに答える。
「これでも怪盗だよ、私たち。簡単に鵜呑みにはしないんだから。」
笑みをこぼす宇美花に、ネジイエローがいら立ちを見せる。砂煙が弱まって、セラも千里も視界を取り戻す。
「ちょっと不意を食らったけど、もう同じ痛い目は見ないよ!」
「私たちの成長とチームワークの前じゃ、もうあなたたちに勝ち目はないわよ!」
セラと千里がネジイエローに向かって言い放つ。
「あなたたち・・全員まとめて私が地獄へ叩き落としてやるわ!」
ネジイエローがいら立ちを見せて、「ネジスリング」を構えた。
瞬とネジブルーがそれぞれ斧「メガトマホーク」と「ネジトマホーク」を振りかざしてぶつけ合う。そこへ透真とレオが飛びかかって、ネジブルーを攻め立てる。
「今のオレたちはお前たちとかつて戦ったときよりもパワーアップしている。メガブルー、たとえ他のヤツと協力しても、オレたちには勝てはしないぞ。」
ネジブルーが勝ち誇って、瞬たちをあざ笑う。
「お前たち、相変わらずオレたちを甘く見過ぎだぞ。パワーアップしているのは、オレたちにも言えるんだぞ。」
瞬がネジブルーに落ち着きを見せて言い返す。
「その上オレたちもいる。勝てやしないのはおめぇのほうだぞ!」
レオもネジブルーの前に出て、高らかに言い放つ。
「ほら!おめぇも気合い入れろ!」
レオはさらに透真にも目を向けて呼びかける。
「暑苦しい人だ・・そういうノリはあまり好きじゃない・・」
透真はため息をついてから、ネジブルーに目を向けた。
「オレたちにはやらなければならないことがある・・たとえ誰だろうと、邪魔してくるヤツがいるなら倒すだけだ・・!」
「そのために怪盗をして、悪者になるとでもいうのか。結局お前たちも、自分の目的のために他のものを奪い取っている悪ではないか。」
自分たちの信念を貫こうとする透真を、ネジブルーがあざ笑う。この態度が透真の感情を逆撫でする。
「オレたちは失ったものを取り戻す・・そのために怪盗になった・・自分の目的のために他の人の大切なものを壊して平気な顔をしているお前たちとは違う・・!」
透真は自分たちの考えを口にして、ネジブルーの言葉を否定した。
「お前たちにも譲れないものがあるみたいだな。」
その遠真に瞬が声をかけてきた。
「だけどお前たちもいつか、新しい大切なものを見つけるときが必ず来るはずだ。」
「あなた・・・」
瞬からの言葉を聞いて、透真が戸惑いを覚える。
「最悪、自分が守ろうとした人から嫌われる可能性がないとはいえない。それでも絶望せずに、立ち向かうときには立ち向かおうとすることだ。」
瞬が透真にさらに助言を送る。。
「オレたちジューマンも、地球の人間とつながることができた!人間同士が分かり合えねぇこと、あるわけねぇ!」
レオも続けて透真に呼びかける。レオも瞬も絆、友情の強さを理解していた。
「オレたちのしていることも、いつかみんなに分かってもらえるかもしれないのか・・・」
自分の目的とそれを果たす怪盗と戦いが、いつかみんなに認めてもらえるときが来るのではないかと考えて、透真は戸惑いをふくらませていた。
「たわけたことを・・お前たちはここでオレたちに葬られることに変わりはない!」
ネジブルーがさらに透真たちをあざ笑う。
「オレたちはオレたちの目的を果たす・・お前などに邪魔されている時間はないんだ・・・!」
「偽者ヤロー、オレたちを、なめるなよ!」
透真とレオがネジブルーに向かって言い放つ。2人と瞬がネジブルーに向かって走り出した。
耕一郎とネジブラックが組み合って、力比べを演じる。耕一郎に加勢しようと、タスクと操も飛びかかる。
「力任せの攻撃など、オレには通用せんぞ・・!」
ネジブラックが笑みをこぼすと、耕一郎を投げ飛ばしてタスクたちにぶつける。
「ぐっ・・!」
タスクと操が耕一郎を受け止めて、踏みとどまる。
「大丈夫ですか!?」
「あぁ・・すまない、2人に迷惑をかけてしまって・・」
タスクが声をかけて、耕一郎が頷く。
「フン。動物も戦隊も、群れなければ何もできないようだな。」
ネジブラックがタスクたちをあざ笑う。
「しかしオレは違う。1人でも貴様たちを葬れるだけの力と非情さを兼ね備えている。1人では何もできぬ貴様たちとは違うのだ。」
「1人では何もできない・・・そうだ・・オレは、大和たちやジューマンがいなかったら、何もできない・・・」
ネジブラックが強気に言うと、操が弱気になる。
「オレに、みんなと力を合わせる資格はない・・・」
「操!・・またこんなときにお前は・・・!」
落ち込んで体育座りをする操に、タスクが呆れて頭に手を当てる。
「そこまで思いつめることはないぞ、操くん!」
耕一郎が操の肩に手を乗せて呼びかけてきた。
「1人1人の強さには限界がある。1人で何でも解決できることも限られている。でもみんなと力を合わせれば、できないこともできるようになる。」
「メガブラック・・・!」
耕一郎からの励ましを受けて、操が顔を上げる。
「友情、絆の強さ、そのすばらしさは君たちも十分分かっているはずだ。」
「絆の強さ・・オレたちの中にも・・・!」
耕一郎の言葉で、操が立ち直って立ち上がる。
「オレもやれる・・オレもみんなと一緒なら、どんなことも乗り越えられる!」
操が意気込みを見せて、ネジブラックに目を向ける。
「ものすごいやる気になったな・・!」
「操はすごく落ち込みやすいけど、励まされるとものすごくやる気を出すんです・・少々面倒なところですが・・」
耕一郎があ然となって、タスクが操のことを話す。
「ムダなあがきを・・そこまで倒されたいというなら、望みどおりにしてやろう・・!」
ネジブラックがため息をついてから、操たちへの敵意を見せる。
「ネジブラック、お前に教えてやる!お前とオレたちじゃレベルが違うことを!」
「チームワークを考えず1人で戦おうとするお前たちに、僕たちを倒すことはできない!」
操とタスクがネジブラックに向かって言い放つ。
「本当の戦隊というものを、お前たちに教えてやる!」
耕一郎も言い放って、タスクたちとネジブラックに向かっていった。
魁利、大和、健太と激しい攻防を繰り広げるネジレッド。魁利たちと距離を取ったところで、ネジレッドが笑みをこぼした。
「人間は愚かな存在だ。無知で無力で、我々に利用される以外の価値がない。」
ネジレッドが語りかけて、大和に目を向ける。
「ジュウオウイーグル、お前たちが戦ったデスガリアンは、地球人をゲームの駒にしていた。その考えは正しかったということだ。」
「何が正しいものか・・命はおもちゃじゃない!命懸けの戦いは遊びじゃないんだ!」
あざ笑ってくるネジレッドに、大和が怒りの声を上げる。
「みんな一所懸命に生きているんだ!地球やそれぞれの場所で!それを踏みにじることは、誰にも許されない!」
「お前たち悪者どものゲームなんて、速攻でゲームオーバーにしてやるよ!」
大和に続いて健太も高らかに言い放つ。
「命を踏みにじるヤツを許さない・・オレだって、みんなの命を取り戻すために・・・!」
大和たちの強い意思に心を動かされて、魁利は戸惑いを感じていた。
「オレたちだって、命懸けで怪盗やってんだ!アンタたちのやるくだらないゲームに付き合うつもりはない!」
魁利も続けて言い放って、ネジレッドにVSチェンジャーを向けた。
「いいだろう。この私がお前たちに引導を渡してやる。メガレッド、ジュウオウイーグル、そしてルパンレッド、地獄で己の愚かさを後悔するのだな!」
ネジレッドがさらにあざ笑って、剣「ネジセイバー」を手にして飛びかかった。
「ドリルセイバー!」
健太がドリル型の剣「ドリルスナイパー」を手にして、ネジレッドのネジセイバーを受け止めた。大和がジュウオウバスターを「剣モード」にして振り下ろして、ネジレッドが後ろに動いてかわす。
そこへ魁利がVSチェンジャーを発砲して、ネジレッドを射撃した。
「赤同士のチームワークも悪くないかもね。」
魁利が気さくに言いかけて、大和と健太が頷いた。3人がネジレッドに対して畳み掛ける。
「おわあっ!」
ゾクレッドたち、ネジブラックたちが圭一郎たちに突き飛ばされて、ネジレッドのそばに転がってきた。
「このまま一気に決めるぞ!」
「了解!」
圭一郎が呼びかけて、咲也とつかさが答えた。
「ここでもオイラの出番だぜーい♪」
そこへ1体のアイテム「VSビークル」が圭一郎たちの前に飛んできた。VSビークルの1つ、グッドストライカー。通称、グッティである。
「お前もこの世界に来ていたのか!?」
「世界も次元も関係ないぜー!グッド来るとこにゃ、オイラはどこへでも駆けつけるんだよー!」
つかさが驚きの声を上げて、グッティが気さくに答える。
「今はヤツらの悪事を止めるのが先決だ!」
圭一郎が呼びかけて、グッティをVSチェンジャーにセットした。
“突撃用意!1号・2号・3号・一致団結!”
圭一郎、咲也、つかさが合体して、1人の戦士「パトレンU号」となった。
「何ーっ!?あの3人、合体しちまったぞー!」
モモタロスがパトレンU号を見て驚く。
「先輩・・先輩や僕たちだって、良太郎といつも合体しているようなものでしょ。」
「そんな驚くことやあらへん。」
ウラタロスとキンタロスが言いかけて、モモタロスが言葉を詰まらせた。
“イチゲキストライク!”
パトレンU号が構えたVSチェンジャーからビームが放たれた。ゾクレッドたちが左右に動くが、ゾクピンクが逃げ遅れてビームを直撃された。
「あ、あたしが・・こんなところでやられるなんて・・・!」
ゾクピンクが絶叫を上げて、倒れて爆発した。パトレンU号の合体が解除されて、元の3人に戻った。
「ゾクピンク!・・おのれ、パトレンジャー!」
ゾクグリーンが叫んで、圭一郎たちを睨みつける。
「おっと!お前の相手はオレたちだ!」
そこへラッキーが呼びかけて、ゾクグリーンが振り向いた。ラッキーたちがセイザブラスターにセットされているキュータマを手前に2回倒して、ロンポーがリュウツエーダーの口を開閉して、ツルギがホウオウブレードを1度ホウオウシールドに収めてからトリガーを引いた。
“ギャラクシー!”
セイザブラスター、リュウツエーダーにエネルギーが集まり、抜刀したホウオウブレードの刀身に炎が灯った。
「オールスタークラッシュ!」
ラッキーたちがそれぞれエネルギーを発射して、ゾクグリーンに命中させた。
「おのれ、キュウレンジャー・・おのれ、スーパー戦隊・・・!」
声を振り絞るゾクグリーンだが、決定打を受けたことで倒れて爆発を起こした。
「ゾクグリーンまで・・このままでは・・!」
ゾクブルーが仲間2人がやられたことに焦りを見せる。
「うろたえるな!スーパー戦隊が何人いようと、我々に敵ではない!」
ネジレッドが呼びかけて、ネジブラックたちと頷く。彼らがエネルギーを集めて、電撃の球を作り出す。
「必殺!邪電エネルギーアタック!」
ネジレッドたちが一斉に電撃の球を放つ。
「うあっ!」
次々に爆発が起こって、魁利たちが宙に跳ね上げられる。倒れた彼らを見下ろして、ネジレッドたち、ゾクレッドたちが笑みをこぼす。
「切り札は最後に残しておけ、ということだな。」
「我々がお前たちを、ここでまとめて根絶やしにしてくれる。」
ネジブルーとネジレッドが勝利を確信する。彼らネジレンジャーが再び電撃の球を放とうとする。
「いかん!このままではみんなが・・!」
ドギーが魁利たちの危機を痛感する。ディーソードベガを構える彼だが、ネジレッドの攻撃に間に合わない。
そのとき、ネジレッドたちの体から火花が散って、彼らの攻撃が止められた。
「今のは銃撃・・!」
ドギーが振り向いて、魁利たちが立ち上がる。彼らの視線の先に、6人の男女がいた。
「いきなり黒いヤツを撃ったが・・」
「気にすんな。アイツらは気に入らなかったし。」
青年、ジョー・ギブケンが言いかけて、もう1人の青年、マーベラスが笑みを浮かべる。
「黒が目立っていい感じしないじゃん。あ、でもそれ、黒いヒーローに失礼かも。」
少女、ルカ・ミルフィが気さくに振る舞る。
「思い出しましたー!アイツら、暴走戦隊ゾクレンジャーと邪電戦隊ネジレンジャーですー!」
青年、伊狩鎧がネジレッドたちを指さして叫ぶ。
「カーレンジャーとメガレンジャーと戦った悪の戦隊です!倒されたはずなのに、また復活してくるとはー!」
「それじゃなおさら遠慮する必要はないってわけだね。」
鎧の説明を聞いて青年、ドン・ドッコイヤーが納得する。
「ま、どっちにしろ、デカマスターやジュウオウジャーたちの敵に回っているなら・・」
「力の限りぶっ潰す・・それだけだ!」
ジョーとマーベラスがネジレットたちに向かって言い放つ、彼らが携帯電話「モバイレーツ」、「ゴーカイセルラー」を手にして、鍵「レンジャーキー」をセットした。
「ゴーカイチェンジ!」
“ゴーーカイジャー!”
モバイレーツ、ゴーカイセルラーから音声が発すると同時に、マーベラスの体をそれぞれの色のスーツとマスクが包み込んだ。海賊を思わせるデザインのスーツである。
「ゴーカイレッド。」
「ゴーカイブルー。」
「ゴーカイイエロー!」
「ゴーカイグリーン!」
「ゴーカイピンク。」
「ゴーーカイ、シルバー!」
マーベラス、ジョー、ルカ、ドン、アイム、鎧が名乗りを上げる。
「海賊戦隊!」
「ゴーカイジャー!」
マーベラスが声を上げて、ジョーたちが声をそろえた。海賊戦隊ゴーカイジャーも、魁利たちの前に現れた。
「海賊戦隊!?まだ悪の戦隊がいたのか!?」
圭一郎がマーベラスたちを見て声を上げる。彼は怪盗である魁利たちと同様、海賊であるマーベラスたちも悪だと認識していた。
「ゴーカイジャーも現れたか。だがヤツらが加わったところで、我々の勝利は揺るがな・・!」
「オレたちもいるぜ!」
強気な態度を崩さないネジレッドに向かって、また声がかかった。また新たに6人の男女が現れた。
「またおかしな世界に来たと思ったら、今度の相手は悪の戦隊か。」
青年、イアン・ヨークランドが落ち着いた態度で答える。
「悪の戦隊。イヤな雰囲気も灰汁のように出てますなぁ。」
「相変わらずだな、ノッさんは。」
男、有働ノブハルがのん気にダジャレを口にして、青年、立風館ソウジが言いかける。
「アイツらは戦隊じゃねぇ!いくら戦隊だと言い張っても、戦隊のブレイブまでマネすることはできねぇんだ!」
青年、桐生ダイゴがネジレッドたちを見て言い放つ。
「そうね、キング!私たちや戦隊、ヒーローはこうでなくっちゃ!」
「英雄の名をかたる不届き者は、我々がここで成敗いたす!」
少女、アミィ結月がダイゴに言いかけて、青年、空蝉丸もネジレッドたちに向かって言い放つ。
「みんな、オレたちも続くぞ!」
ダイゴが呼びかけて、イアンたちが頷く。彼らが乾電池「獣電池」と銃「ガブリボルバー」を手にして、空蝉丸が腕輪「ガブリチェンジャー」を構えた。
ダイゴ、イアン、ノブハル、ソウジ、アミィが獣電池をガブリボルバーにセットして、空蝉丸もガブリチェンジャーに獣電池をセットする。
“ガブリンチョ!”
“ガブティ〜ラ!”
“パラ〜サガン!”
“ステゴォッチ!”
“ザクトール!”
“ドリケェ〜ラ!”
“プテラゴーードン!”
ガブリボルバーとガブリチェンジャーから音声が発する。
「いざ、尋常に!」
「キョウリュウチェンジ!」
空蝉丸が掛け声を上げて、ダイゴたちとそろえる。ダイゴたちがサンバのような、空蝉丸が歌舞伎のような踊りを舞う。
「ファイヤー!」
ガブリボルバーとガブリチェンジャーから、装てんされた充電池に込められている恐竜の魂「キョウリュウスピリット」が放たれる。キョウリュウスピリットを浴びたダイゴたちが、恐竜を思わせるデザインのスーツとヘルメットを身にまとった。
「聞いて驚け!牙の勇者、キョウリュウレッド!はっ!」
「弾丸の勇者、キョウリュウブラック!フッ!」
「鎧の勇者、キョウリュウブルー!よいしょ!」
「斬撃の勇者、キョウリュウグリーン!はっ!」
「角の勇者、キョウリュウピンク!うふっ♪」
「雷鳴の勇者、キョウリュウゴールド、見参!」
ダイゴ、イアン、ノブハル、ソウジ、アミィ、空蝉丸が名乗りを上げてポーズを決める。
「史上最強のブレイブ!」
「獣電戦隊!」
「キョウリュウジャー!」
ダイゴが声を上げて、イアンたちが声をそろえた。獣電戦隊キョウリュウジャーも駆けつけて、マーベラスたちと並び立った。
「また会ったな、お前ら。」
「オレたちが力を合わせりゃ、できないことはないってことだ、先輩!」
マーベラスが笑みを見せて、ダイゴが活気よく言いかける。彼らが改めてネジレッドたちに目を向けた。
「天怒りて悪を斬る!」
「荒・れ・る・ぜ〜・・止めてみな!」
「派手に行くぜ!」
空蝉丸、ダイゴ、マーベラスが高らかに言い放つ。彼らがネジレッドたちに向かっていった。