ザ・グレイトバトル
-トゥルースピリッツ-
第8章
ハザードフォームの長時間の使用で脳を刺激されて、戦兎は暴走状態に陥ってしまった。マキシマムフォルムでも彼を止められず、ノゾムが激情をふくらませていた。
「シゲル、ソウマを連れてあの電車の中に入っててくれ・・アイツはオレが止める・・!」
ノゾムがソウマとシゲルに駆け寄って呼びかける。
「ノゾム、お前だけで止めるつもりか・・!?」
「あぁ・・エックスカードを使う・・・!」
シゲルが声を上げて、ノゾムがアニマルカード「エックスカード」を取り出した。
「早まるな、ノゾム!エックスのカードは、体力を大きく消耗するんだろう!?」
「そうしないとアイツの力は止められない・・あのトリガーっていうのを外すのを第一に考えてるけど、どうしても危なっかしいと思ったら、アイツをブッ倒さなくちゃならなくなる・・どっちにしても、それなりの力がないとな・・!」
呼び止めるシゲルだが、ノゾムはエックスカードを使うことをやめない。
「早く行け!巻き添え食らいたいのか!?」
「分かった!分かったから、ノゾムも気を付けてくれって!」
ノゾムに怒鳴られて、シゲルがソウマを連れて慌ててデンライナーへ走り出した。
「いい加減目を覚ませ・・でないとマジでブッ倒さなくちゃならなくなるだろうが・・!」
“エックス!”
ノゾムが戦兎に呼びかけて、エックスカードをビースドライバーにセットした。
“チャージ・エーックス!アンリミテッド・ハイパワー!ビース・エックスライダー!”
ノゾムがまとっているマックスのスーツに変化が起こる。白くなったスーツの真ん中に縦のラインが入り、マスクも「X」の形のラインが入っていた。
ノゾムはマックスの新たな姿「エックスフォルム」となった。
「今度は今までとは違うぞ・・覚悟を決めろよ・・!」
ノゾムが声と力を振り絞って、戦兎の前に立つ。戦兎が闘争本能の赴くままに前進して、ノゾムに攻撃を仕掛ける。
戦兎が繰り出したパンチを、ノゾムが手で受け止めた。彼はハザードフォームに負けない力を発揮していた。
戦兎がさらに重みのある攻撃を続けるが、ノゾムも力を込めて反撃をぶつけ合う。
「すげぇ・・オレ以外にも、ハザードトリガーを使ってる戦兎と互角に戦えるヤツがいたとは・・!」
龍我がリュウガたちと戦いながら、ノゾムの力を目の当たりにして戸惑いを覚える。
ノゾムと戦兎がパンチとキックを激しくぶつけていく。その衝撃が周囲にも伝わってきていた。
「オー!なんてハードでインパクトのあるバトルだぜー!」
ハルキがメイジたちと戦いながら、ノゾムたちを見て感動の声を上げる。
「浮かれてる場合じゃないでしょ!」
「このいかがわしいライダーたちを追い払うのが先じゃなイカー!」
ナクリが注意して、イカリが叫び声を上げる。3人はまたメイジたちに取り囲まれていた。
その間も、ノゾムと戦兎の攻防は続いていた。ノゾムはビルドドライバーにあるハザードトリガーを狙っていた。
「いい加減にしろよ・・いつまで自分を見失っているつもりだ・・・!」
ノゾムがいら立ちを込めて呼びかけるが、戦兎の頭には入っていない。
「そんなにオレたちも倒したいなんて、バカな考えを起こしているんじゃないんだろうな!?そうじゃなかったら、さっさと目を覚ませよ!」
ノゾムが不満を言い放つと、両腕にある腕輪「エックスブレス」のうち、右腕のブレスにマックスカードをセットした。
“エックスマーックス!ジェネラリーアクション!”
エックスブレスから音声が発する。マックスのスーツの右半分が白から赤に変わった。
再び攻撃を仕掛けてきた戦兎を、ノゾムが迎え撃つ。先ほどよりもノゾムのパワーが上がっていて、戦兎を押し返すほどになっていた。
エックスブレスにアニマルカードをセットすることで、そのカードの効果も身に着けることができる。ノゾムはマックスカードの効果も得て、さらなるパワーアップも果たしていた。
戦兎が伸ばしてきた右腕を、ノゾムが左手でつかんで止める。ノゾムが腕を振りかざして、そのまま戦兎を投げ飛ばす。
戦兎が着地してノゾムに振り返る。彼がビルドドライバーのレバーを回す。
“ガタガタゴットンズッタンズタン!Ready go!”
戦兎が右足に黒いエネルギーを集めていく。
「そこまでやろうとするなら、黙らせないといけないのかよ・・!」
ノゾムが戦兎に鋭い視線を向けてから、左腕のエックスブレスにマキシマムカードをセットした。
“エックスマキシマーム!アンリミテッドパワー!”
マックスのスーツの左側が赤に変わり、黒のラインが入った。ノゾムはマキシマムフォルムの力も身にまとって、さらにパワーを付けた。
“エックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ビースドライバーの左上のボタンを2回押して、ノゾムが構えを取る。2人がキックを繰り出そうと、同時に走り出す。
次の瞬間、突然ワイヤーが伸びてきて、ビルドドライバーからハザードトリガーをはじき飛ばした。それにより、戦兎のビルドへの変身が解けた。
ノゾムはとっさに上にジャンプして、キックのエネルギーが戦兎に及ばないようにした。
「オ、オレは・・・!?」
我に返った戦兎が周りを見回す。ハザードフォームの使用によって失われていた自我を、彼は変身が解けたことで取り戻した。
「そいつの使い過ぎで暴走していたみたいだぞ。」
さらに声がかかって、戦兎とノゾムが振り向く。彼らの前に現れたのは、それぞれ赤、青、黄色の礼服とシルクハット、アイマスクを身に着けた3人の人物たち。
「お前たちは・・お前たちもこっちに来ていたのか・・!?」
ノゾムが3人組に向かって声をかける、彼は3人のことを知っていた。
「本当におかしなことになっているな・・オレたちがいたのとは違う世界に来たし、おかしなヤツらがゴロゴロしているし・・」
「でも全員が敵ってわけじゃないみたいなのは、不幸中の幸いってヤツかな。」
3人のうちの2人、宵町透真と早見宇美花が呟く。
「そうだな。マックスもいることだしね。」
もう1人の怪盗、夜野魁利がノゾムを見て気さくに言いかける。
「まだ全然わけが分かんないけど、オレたちのここでの敵が誰なのかはハッキリしてる。」
魁利が周りを見回して言いかける。
「まずはこのおかしなライダーたちをやっつけるのが先だね。」
「オレたちだけ逃げようとしても、これだけの数じゃ逃げ切れそうもないしな。」
宇美花が声をかけて、透真が頷く。
「それじゃ行くぞ!」
魁利が呼びかけて、透真と宇美花が頷く。3人がガン型アイテム「VSチェンジャー」にアイテム「VSビーグル」をセットして、それぞれダイヤルコードとグリップを回す。
“マスカレイズ!”
「怪盗チェンジ!」
トリガーを引いたことでVSチェンジャーから放たれた光を浴びる魁利たち。彼らがそれぞれの色のスーツと、シルクハットの形をしたゴーグルをした仮面を身にまとった。
「ルパンレッド!」
「ルパンブルー!」
「ルパンイエロー!」
魁利、透真、宇美花が名乗りを上げる。
「怪盗戦隊!」
「ルパンレンジャー!」
魁利が声を上げて、透真たちと声をそろえた。怪盗戦隊ルパンレンジャーがノゾムたちと合流した。
「怪盗戦隊・・新しい戦隊か!」
「戦隊もライダーもどんどん増えてくねー♪」
モモタロスが驚きの声を上げて、リュウタロスが大はしゃぎする。
「予告する。アンタらのお宝、いただくぜ!」
魁利がオーディンたちを指さして言い放った。魁利、透真、宇美花が剣「ルパンソード」を手にして構えた。
そこへ龍我がリュウガのドラグセイバーに切られて突き飛ばされてきた。龍我はすぐに立ち上がって、戦兎に目を向ける。
「やっと目が覚めたか・・取り返しがつかなくなるんじゃないかってヒヤヒヤしたぞ・・」
龍我がため息まじりに、戦兎に向かって言いかける。
「ヒヤヒヤしたのはこっちだって・・何とかするなら、もう少し早くしてくれって・・」
戦兎も龍我に対してため息まじりに言いかける。するとノゾムが詰め寄ってきて、戦兎の服をつかみ上げてきた。
「お、おい・・いきなり何を・・!?」
「助けてもらっておいて、その態度は何だ!?・・礼を言うぐらいのことはしなくちゃダメだろうが・・!」
声を上げる戦兎に、ノゾムが鋭く言いかける。
「天才だろうが大統領だろうが、何をやっても許されると思うな・・思い上がるヤツをオレは許さない・・自分が犯している過ちを、オレは思い知らせる・・!」
「そうやって思い知らせたり、認めさせたりすることがいいことだって言うつもりか・・!?」
怒りを口にするノゾムに、戦兎も声を振り絞って言い返す。
「正義の味方っていうのは、見返りを求めちゃいけない・・たとえ認められなくても感謝されなくても、みんなのために戦う・・それがヒーローってヤツだ・・!」
「それはお前の解釈だ・・自分の考えが全員の考えだと思い上がるな・・!」
言いかける戦兎の言葉をはねつけて、ノゾムが彼を突き放す。
「お前は勘違いしている・・オレは別に正義のために戦っているんじゃない・・オレが許せないと思っているヤツをブッ倒すために戦っている・・・!」
ノゾムが戦兎に自分の考えを告げる。
「それに、見返りを全然求めないヤツなんていやしないだろう・・全然くだらないことでも勝手な理屈でも、何かご褒美を決めておかないとやる気がでないだろうが、何でも・・」
「そんなの、ただの自己満足じゃないか・・!」
「他のヤツに迷惑かけない自己満足なら、オレは気にしない・・自分で勝手にそう思って、それで自分だけ痛い目を見るんだからな・・だけど自分勝手で他のヤツを困らせて、平気でいるヤツをオレは許しちゃおけない・・!」
戦兎が不満を見せても、ノゾムは自分の意思を貫こうとする。反論しようとした戦兎に、ソウマが歩み寄った。
「ノゾムはガンコの中のガンコだ。ダメだとかこうすべきだって言っても、余計に聞き入れちゃくれないよ・・」
ソウマが言いかけるが、戦兎は腑に落ちない。
「それぞれ正義の形も考え方も違う。それをちゃんとした理由もなく邪険にしていいことにはならないさ。」
シゲルも歩み寄って、戦兎に言いかける。彼らに言い咎められて、戦兎がため息をつく。
「最悪だ・・みんなそろって勝手ばかりだ・・お前たちも、オレも・・」
戦兎は気持ちを切り替えて、真剣な顔に戻る。
「勝手なことを考えているのはお互い様だ・・ただそれを押し付けて、イヤな思いをさせなければいい・・」
「誰がいい思いをするのか、イヤな思いなのかはそれこそ分かんないが・・」
ノゾムと戦兎が声をかけ合って、オーディンたちとの戦いに意識を戻す。
「なんだかんだで息が合っているみたいだね。」
魁利がノゾムと戦兎を見て笑みをこぼす。
「のん気になっている場合じゃないぞ。アイツら、オレたちも狙ってきたぞ。」
透真が周りを取り囲んできたスカルライダーたちを見て言いかける。
「こんなところにいたのか、怪盗たち!」
そこへまた声がかかって、魁利たちが視線を移す。彼らの後ろに3人の警察官がいた。
警官たちが構えているのもまた、VSチェンジャーだった。
「ん!?新しいデカレンジャー・・ではないな!?」
「また別の警察の戦隊かもね。」
キンタロスが警官たちを見て疑問符を浮かべて、ウラタロスも呟く。
「仮面ライダーだけじゃなく、ロボットや巨人、宇宙人まで・・!」
「全く、何がどうなっているんだか・・」
2人の警官、陽川咲也と明神つかさが周りを見て言いかける。
「お前たちは、神奈ノゾムと霧生戦兎!」
もう1人の警官、朝加圭一郎がノゾムたちを見て声を上げる。圭一郎たちはノゾムたちとも知り合いだった。
「アンタたちも次元を超えてこの世界に来てたのか・・」
「事情はだいたい分かっている!まずは悪者ライダーたちの撃退が先ですね!」
ノゾムが言いかけて、咲也が状況を判断して声をかける。
「怪盗を逮捕したいところだけど、それは後回しにするしかないか・・!」
圭一郎も割り切って、オーディンたちとの戦いに集中する。彼と咲也、つかさがVSチェンジャーにVSビークルをセットして、グリップを下に回す。
「警察チェンジ!”
“パトライズ!警察チェンジ!”
「はっ!」
トリガーを引いたことでVSチェンジャーから放たれた光を浴びる圭一郎たち。彼らがそれぞれ赤、緑、ピンクのスーツとマスクを身にまとった。
「パトレン1号!」
「パトレン2号!」
「パトレン3号!」
圭一郎、咲也、つかさが名乗りを上げる。
「警察戦隊、パトレンジャー!」
圭一郎たちが声をそろえる。警察戦隊パトレンジャーもノゾムたちに加勢する。
「戦兎、お前もボーっとしている場合じゃないぞ。」
「あぁ・・分かっている・・!」
ソウマが呼びかけて戦兎が答える。彼がラビットタンクスパークリングをビルドドライバーにセットした。
“ラビットタンクスパークリング!Are you ready?”
「変身!」
“シュワッとはじける!ラビットタンクスパークリング!イエイ・イエーイ!”
戦兎がビルド・ラビットタンクスパーキングに変身して、龍我とともに構えを取った。
「2人だけで楽しんでるんじゃねぇよ・・」
そこへもう1人、青年が姿を現して戦兎たちに声をかけてきた。
「猿渡・・!」
「おめぇもこっちに来てたのか!?」
青年、猿渡一海に戦兎と龍我が声を上げる。
「いきなりおかしなとこに来て、どこなのか全然分かんなくて・・・」
一海が不満を感じて頭をかく。彼が視線を移して、ハルキたちが視界に入ったところで視線を止めた。
「あっ!お前たち!」
一海が詰め寄ってきて、ハルキたちが驚く。
「オレを置いて勝手に行きやがって!おかげでここまで来るのに時間がかかったじゃねぇか!」
「何言ってんだ、お前!?ユーが勝手にランナウェイしたんじゃねぇかー!」
怒鳴りかかる一海に、ハルキが不満の声を上げる。
「オレたちが親切に案内してたのに、勝手に言っちゃったのはそっちじゃなイカー!」
「そうよ!あたしたち呼んだのに止まんなかったじゃない!」
イカリとナクリも一海に不満を見せる。
一海はここに来る前にハルキたちと会っていた。他にこの世界に来た人がいるのではないかという3人についていくことにした一海だが、1人離れてハルキたちからはぐれてしまった。
「はぐれたんだな・・」
「方向音痴だな・・」
「うるせぇぞ、お前ら!」
呆れている戦兎と龍我に、一海が不満を叫ぶ。
「みんな、おしゃべりしている場合じゃないみたいだよ。」
魁利が呼びかけて、戦兎たちがオーディンたちに目を向ける。
「それじゃ、オレもやらせてもらうぞ・・!」
一海が戦意をふくらませて、スクラッシュゼリー「ロボットスクラッシュゼリー」を手にした。
“ロボットゼリー!”
一海がスクラッシュドライバーにロボットスクラッシュゼリーをセットして、レンチを倒す。
「変身!」
“つぶれる!流れる!あふれ出る!ロボットイングリス!ブウルァァァ!!!”
ロボットスクラッシュゼリーの成分を身にまとい、一海は仮面ライダー、グリスに変身した。
「心火を燃やしてぶっ潰す!」
一海が言い放って構えを取る。彼が龍我とともにリュウガに向かっていった。
「オレたちもコイツらをさっさとぶっ潰すか・・!」
「面倒な作業は早く終わらせるに限る、か・・」
ノゾムが戦意を見せて、戦兎が呟く。2人がソウマ、シゲルとともにオーディンと王蛇に向かっていった。
龍我と一海を迎え撃つリュウガだが、2人を相手には押され気味になる。龍我と一海の重みのあるパンチに、リュウガが大きく突き飛ばされる。
「オレのパンチに敵うヤツはいねぇよ!」
「その大口がホントかどうか、後で確かめさせてもらおうか・・!」
自信を見せる龍我に、一海が挑発を口にする。
“Advent.”
リュウガが黒い龍「ドラグブラッカー」を呼び出す。ドラグブラッカーが口から放った黒い炎の球を、龍我と一海が左右に動いてかわす。
「物騒なマネしてきやがって・・!」
「ああいうヤツはさっさと黙らせるに限るか・・!」
龍我が毒づいて、一海が言いかける。龍我がツインブレイカーにドラゴンフルボトルとドラゴンスクラッシュゼリーをセットする。
“ツインブレイク!”
龍我が突き出したツインブレイカーから青い光の球が放たれる。ドラグブラッカーが炎を放つが、青い光の球に押されて顔に当てられて怯む。
“Final vent.”
リュウガがドラグブラッカーの上に乗って、黒い炎に乗せてキックを繰り出してきた。龍我と一海がスクラッシュドライバーのレンチを倒す。
“スクラップブレイク!”
“スクラッシュフィニッシュ!”
2人が同時にジャンプしてキックを繰り出して、リュウガとキックをぶつけ合う。
「一撃必殺!」
一海が声を張り上げて、龍我とともに力を込める。リュウガが2人のキックに押されて吹き飛ばされて、爆発を起こして消滅した。
「よっしゃ!まずは1人!」
龍我が勝ち誇って高らかに叫ぶ。しかし彼と一海の周りを、スカルライダーたちが取り囲んできた。
「大はしゃぎするのはまだ先だぞ・・!」
「そうみたいだな・・!」
一海が呼びかけて、龍我が落ち着きを取り戻す。2人はスカルライダーたちの迎撃に向かった。
エックスフォルムとなっているノゾムが、王蛇を攻め立てる。ノゾムの高まっている攻撃力に、王蛇が追い込まれていく。
“Advent.”
王蛇がヘビ「ベノスネーカー」、サイ「メタルゲラス」、エイ「エビルダイバー」を呼び出した。
「ヘビにサイにエイ・・動物をけっこう従えているな・・しかし、心を通わせてはいない・・言いなりにしているだけ・・!」
ノゾムがベノスネーカーたちを見て呟いて、王蛇に鋭い視線を向ける。
「やっぱりお前は、今ここでブッ倒すしかないな・・!」
ノゾムが怒りを口にして王蛇に向かって走り出す。
「オレが援護してやるか!」
“スタートアップ・イグアナ。”
シゲルが思い立って、イグアカートを呼び出した。シゲルが乗ったイグアカートが、メタルゲラスとぶつかり合って力比べに持ち込む。
ノゾムがベノスネーカーが吐く溶解液とエビルダイバーの突撃をかわして、王蛇に詰め寄った。彼は重いパンチを連続で叩き込んで、王蛇を突き飛ばした。
ふらつく王蛇が体勢を立て直して、ベノバイザーにアドベントカードをセットした。
“Unite.”
ベノスネーカーたちモンスター3体が融合して、合体モンスター「ジェノサイダー」となった。
「ぐっ!」
ジェノサイダーが頭を振り上げて、突き飛ばされるノゾムとシゲルがうめく。2人はすぐに体勢を整えて着地する。
「合体してパワーがさらにアップしたな!」
シゲルがジェノサイダーの力に毒づく。
「関係ない・・オレたちにふざけたマネをしてくるなら、この手でブッ倒す!」
ノゾムが怒りを叫んで、ビースドライバーの左上のボタンを2回押す。
“エックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ビースドライバーとエックスブレスから光があふれて、ノゾムの両足に集まっていく。
“Final vent.”
王蛇がベノバイザーにアドベントカードをセットすると、ジェノサイダーの腹部にブラックホールのような渦が現れて、ノゾムを吸い込もうとする。
「そんなもので、オレをどうにかできると思うな!」
ノゾムが怒号を放って、ブラックホールの吸引力に耐える。そこへ王蛇が飛び込んできて、彼に向かってキックを繰り出してきた。
ノゾムがとっさに横に動いて、王蛇のキックをかわす。直後にノゾムが跳んで、両足のキックを王蛇に叩き込んだ。
ノゾムがそのまま王蛇を押し込んで、ジェノサイダーにぶつけた。王蛇とジェノサイダーがキックのエネルギーに巻き込まれて、爆発を起こした。
「エックスのカード・・とんでもないパワーだけど、負担もそれだけ大きいはず・・!」
シゲルがノゾムの体の心配をする。エックスフォルムはノゾムに力の上昇だけでなく、体力の消耗ももたらしていた。
再び変身して、ソウマとともにオーディンに立ち向かう戦兎。しかしオーディンの高い戦闘力と瞬間移動、ゴルドフェニックスの援護に戦兎とソウマは悪戦苦闘していた。
「本当に厄介な能力ばかりそろえているな・・!」
戦兎がオーディンたちの強さに毒づく。
「他にもベストマッチがあるんだろう!?・・それでどうにか・・!」
「そう考えたけど、いい手があっても力不足で押し切られることになる・・!」
ソウマが呼びかけるが、戦兎はどれも決定打に欠けると判断していた。
「いくらスピードに自信があるオレでも、ワープがあいてじゃな・・!」
ソウマも考えを巡らせるが、打開の策を見出すことができない。そのとき、ゴルドフェニックスが2人に向かって炎を放ってきた。
“アーイ!バッチリミナー・・!”
そこへ黒とオレンジのパーカーの姿かたちをした幽霊が飛び込んできて、炎をはじいて戦兎たちを守った。2人が振り返った先には、1人の青年が立っていた。
「あなたは、タケルさん・・!」
戦兎が青年、天空寺タケルに声をかける。
「みんな、遅くなってゴメン・・ここからはオレも戦うよ!」
タケルが戦兎たちに声をかけて、オーディンに目を向けた。
「変身!」
タケルがベルト「ゴーストドライバー」の右のレバーを引いて押す。
“カイガン・オレ!レッツゴー!カクゴ!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!”
幽霊「パーカーゴースト」を身にまとって、タケルがパーカーを羽織った仮面ライダー、ゴーストに変身した。
「命、燃やすぜ!」
タケルが言い放って、オーディンと対峙する。
「待ってくださいよ、タケルさん!」
そこへもう1人の青年がやってきて、タケルに声をかけてきた。
「この宝生永夢もやらせてもらいますよ!」
青年、永夢が意気込みを見せて、ゲームカセット型アイテム「ライダーガシャット」を手にした。
“マイティアクションX!”
ライダーガシャット「マイティアクションX」を起動して、永夢が構える。
「変身!」
彼が装着しているベルト「ゲーマドライバー」のスロットに、ガシャットをセットする。
“ガシャット!レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・ワッチャネーム!アイムアカメンライダー!”
永夢の体を装甲が包み込んだ。ただしその姿は戦士としてはあまりにも間の抜けたものだった。
「相変わらず、最初はその姿なんだね・・」
タケルが永夢を見て苦笑いをこぼす。戦兎たちも永夢を見てあ然となった。
「見かけで判断するのはよくないですよ!これから、これから!」
永夢が意気込みを見せて、ゲーマドライバーのレバーを右に開いた。
「大変身!」
“ガッシャーン!レベルアップ!マイティジャンプ・マイティキック・マイティマイティアクションX!”
彼のまとうエグゼイドの装甲がはじけ飛んで、新たな姿のライダーが現れた。
永夢が変身した仮面ライダー、エグゼイド。最初に変身したのが「レベル1」で、次に「レベル2」へと段階的に変身したのである。
「オレは仮面ライダーエグゼイド!ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」
永夢が名乗りを上げて、強気に言い放つ。ゴーストとエグゼイド、2人の仮面ライダーが戦兎たちの加勢に現れた。
「気を付けろ!アイツ、かなり人間離れしているぞ!」
ソウマが呼びかけた瞬間、オーディンが瞬間移動で永夢たちの後ろに回り込んだ。
「おわっ!」
振り返った永夢とタケルが、オーディンが発した衝撃波で突き飛ばされる。
「永夢さん!タケルさん!」
地面を転がる永夢たちに、戦兎が叫ぶ。立ち上がった2人がオーディンに視線を戻す。
「瞬間移動・・さすがに厄介だ・・!」
「オレが先に仕掛けます!タケルさんは移動先を狙ってください!」
毒づくタケルに永夢が呼びかけて、オーディンに向かっていく。
“ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!”
再びゴーストドライバーのレバーを引いて押すタケルの足に、エネルギーが集まっていく。永夢がパンチを繰り出すと、オーディンは彼の前から姿を消して、タケルのそばに移動した。
「そこだ!」
その瞬間にタケルが振り返って、オーディンへキックを繰り出した。オーディンはゴルドバイザーを掲げてキックを受け止めた。
「うっ!」
オーディンの力に押し返されて、タケルが突き飛ばされる。
「タケルさん!」
永夢が叫んで、ゲーマドライバーの左側にある「キメワザスロットホルダー」にマイティアクションXガシャットを移して、上のボタンを押した。
“キメワザ!マイティ・クリティカルストライク!”
永夢がジャンプして、オーディンに向かってキックを繰り出す。しかしオーディンの前に割って入ったゴルドフェニックスの炎に押し返される。
「うわっ!」
永夢が激しく地面を転がってうめく。オーディンとゴルドフェニックスの驚異の力に、永夢もタケルも苦戦を強いられる。
「くっ!・・これでもダメだっていうのか!?」
「無敵の強さにもほどがあるな・・!」
ソウマと戦兎がオーディンに毒づく。
「無敵だったら、オレに任せてくれ!」
永夢が戦兎たちに自信を見せる。彼が新たなライダーガシャット「マキシマムマイティXガシャット」を手にした。
“マキシマムマイティX!マキシマムガシャット!”
永夢がマキシマムマイティXガシャットをゲーマドライバーにセットして、レバーを展開した。
“レベルマーックス!最大級のパワフルボディ!ダリラガーン!ダコスバーン!・・”
彼はマキシマムマイティXガシャットの上部スイッチを押す。
「マキシマム大変身!」
“マキシマムパワー・エーックス!”
永夢の前に巨大アーマー「マキシマムゲーマ」が現れた。彼はジャンプしてマキシマムゲーマの中に入って装着する。
永夢は新たなる姿「マキシマムゲーマー・レベル99」となった。
「さらにそこから!」
永夢が続けてライダーガシャット「ハイパームテキガシャット」を手にした。
“ハイパームテキ!ドッキーング!”
彼がハイパームテキガシャットをゲーマドライバーの中央上部にセットする。
「ハイパー大変身!」
“バッカーン!ムーテーキー!輝けー・流星のごーとーくー・黄金の最強ゲーマー!ハイパームテキーエグゼーイド!”
永夢がハイパームテキガシャットの上のスイッチを押して、ガシャットを展開する。するとエグゼイドの姿が金色に彩られたものへと変化した。
永夢はエグゼイドの無敵形態「ムテキゲーマー」に変身した。