ザ・グレイトバトル

-トゥルースピリッツ-

第6章

 

 

 ライオトルーパーたちとサイコガンダムたちの大軍勢に立ち向かうノゾムたち。ノゾムたちがライオトルーパーたちを果敢に攻め立てる。

「どれだけ大人数で攻めてきても、オレたちはお前たちにはやられない!」

「全員ブッ倒して、コイツらの親玉を引きずり出してやる!」

 ノゾムと龍我が言い放って、同時にパンチを繰り出す。2人のパンチがスカルライダーとメイジを突き飛ばす。

「オレも負けてられねぇ!いくぜ、いくぜ、いくぜー!」

 良太郎に憑依しているモモタロスも意気込みを見せる。彼はソードモードのデンガッシャーを振りかざして、ライオトルーパーたちを切りつけていく。

 RXもスカルライダーを攻め立てていく。

「ぐっ!」

 そこへ銃撃が飛んできて、RXが直撃される。体から火花が散って、彼が横転する。

 RXの前に新たな仮面ライダー「G4」が現れた。

「邪悪なライダーがまた現れたか!」

 RXが声を上げて、G4に向かっていく。RXが繰り出すパンチを、G4は両腕で防いでかいくぐっていく。

「高いパワーと防御力を備えている・・ならば!」

 G4の強さを確かめたRXが意識を集中する。彼の体がRXとは異なる容姿の黒と黄色のライダーに変わった。

「オレは炎の王子!RX!ロボライダー!」

 RXから変身したロボライダーが名乗りを上げた。

 RXは2段変身能力を備えている。その1つであるロボライダーは、RX以上のパワーと耐久力を備えている。

 G4が接近してパンチを繰り出す。しかしロボライダーはパンチを受けてもものともせずに前進して、両手のパンチを突き出した。

 G4が重みのあるパンチを受けて、大きく突き飛ばされた。ふらつくG4は体勢を整えて、銃を構える。

「ボルティックシューター!」

 ロボライダーも銃「ボルティックシューター」を手にして、G4と銃撃戦を演じる。ボルティックシューターから放たれたビームが、G4を貫いた。

 G4が倒れて爆発を起こした。ロボライダーがRXへと戻って、ライオトルーパーたちに目を向ける。

 そのとき、RXの眼前の地面で爆発が起こる。彼の前に現れたのは、邪悪なオーラを発している銀色の戦士。

「あれはキュウレンジャーのヘビツカイシルバー・・いや、あれは・・!」

 RXが呟きながら警戒する。彼の前にいたのは、ヘビツカイシルバーが邪悪に染まった姿、ヘビツカイメタルである。

 ヘビツカイメタルが武器「キューウェポン」の1つである鎌「ダークキューシックル」を手にして、RXに振りかざす。RXがダークキューシックルをかわしながら、ヘビツカイメタルと攻防を繰り広げる。

「うあっ!」

 RXがダークキューシックルに切りつけられて突き飛ばされる。その瞬間、彼はヘビツカイメタルに対して違和感を感じた。

「魂がない・・もしも邪悪な力に操られて封じ込められているとしても、魂は感じるはず・・・!」

 RXはこのヘビツカイメタルが、本物のヘビツカイシルバーでないことに気付いた。

「コイツも何者かによって呼び出された偽者の戦士か・・!」

 ためらいを振り切ったRXが、また新たな姿に変わった。青と銀の体をしたライダーの姿に。

「オレは怒りの王子!RX!バイオ、ライダー!」

 RXから変身したバイオライダーが名乗りを上げる。

 ヘビツカイメタルがダークキューシックルを振りかざして、黒い光の刃を放つ。バイオライダーがジャンプして、光の刃をかわす。

 着地した瞬間、バイオライダーが動きを止められる。ヘビツカイメタルが思念を送って、彼の動きを止めていた。

 ヘビツカイメタルがダークキューシックルを振りかざして、黒い光の刃を放つ。

 そのとき、バイオライダーの体が液体になって、ヘビツカイメタルの思念の束縛から抜け出して、光の刃もかわした。液体はヘビツカイメタルを取り巻いて突撃していく。

 バイオライダーの体には液体分子が含まれていて、液化することで様々な場所への侵入が可能で、あらゆる物理攻撃もかいくぐることもできる。

 液化したバイオライダーの突撃に押されて、ヘビツカイメタルが倒れる。彼の目の前でバイオライダーが元に戻る。

「バイオブレード!」

 バイオライダーが剣「バイオブレード」を手にして構える。

「ギャラクシー!」

 ヘビツカイメタルが腕に装着している「セイザーブラスター」にセットされている「ダークキュータマ」を2回手前に倒す。ダークキューシックルの刃に黒い光が集まっていく。

 バイオライダーのバイオブレードにも光が宿る。ヘビツカイメタルがダークキューシックルを十字に振りかざして、光の刃を放つ。

 バイオライダーがジャンプして、光の刃をかわす。彼が着地したと同時に、バイオブレードを振り上げてヘビツカイメタルを切りつけた。

 一閃を受けたヘビツカイメタルが、倒れながら消滅した。

「光太郎さんの強さ、さすがだ!」

 バイオライダーから戻ったRXを見て、戦兎が声を上げる。

「だけどあれだけの大人数だと、さすがに気が滅入るもんだな。」

 シゲルが戦兎に近づいて、気まずい素振りを見せる。

「弱音を吐くんだったら、1人でも多くやっつけてよね。」

「愚痴の1つも吐かないとやってられないって感じになるって・・」

 注意を告げる戦兎に、シゲルが気のない素振りを続けた。

「ぐっ!」

 ノゾムと龍我がメイジたちに突き飛ばされて、地面に倒れる。

「アイツら・・たくさんで攻めてきても、オレは倒れないぞ!」

 ノゾムが怒りの声を上げて、1枚のアニマルカードを取り出した。

“マキシマム!”

 彼がアニマルカード「マキシマムカード」をビースドライバーにセットして、左上のボタンを押した。

“チャージ・マキシマーム!マックス・マキシ・マキシマーム!ビース・マキシマムライダー!”

 マックスのスーツの模様とマスクの形状が、マックスフォルムよりも刺々しいものとなった。ノゾムはマックスの強化形態「マキシマムフォルム」となった。

 ノゾムがメイジたちが放った電撃の魔法をかいくぐって、パンチとキックを叩き込んでいく。

「さっきよりもパワーもスピードもアップしてるぞ・・!」

 龍我もメイジたちと戦いながら、ノゾムの強さに感心する。

「よし。それじゃオレも!」

 意気込んだ戦兎が缶「ラビットタンクスパークリング」を取り出して、プルタブを引いてビルドドライバーにセットした。

“ラビットタンクスパークリング!”

 彼がビルドドライバーのレバーを回すと、新たなビルドの装甲と枠が現れた。

Are you ready?

「ビルドアップ!」

“シュワッとはじける!ラビットタンクスパークリング!イエイ・イエーイ!”

 装甲を身にまとった戦兎が、ビルドの強化形態「ラビットタンクスパークリング」に変身した。

「さぁ、実験はここからだ!」

 戦兎がスカルライダーたちに立ち向かって、スピードのあるパンチを繰り出す。スカルライダーたちが戦兎に攻め立てられて突き飛ばされる。

 スカルライダーたちが戦兎に向かってジャンプのキックを繰り出してきた。

Ready go!

 戦兎もビルドドライバーのレバーを回して、ジャンプして迎え撃つ。

“スパークリングフィニッシュ!”

 エネルギーを集めた右足のキックを繰り出す戦兎。スカルライダーたちがキックのぶつけ合いに押されて吹き飛ばされた。

 数多くのライオトルーパー、スカルライダー、明治たちを倒してきたノゾムたち。しかしライオトルーパーたちはまだまだいた。

 

 一方、デスティニーたちはサイコガンダム、デストロイたちとの攻防を繰り広げていた。サイコガンダムたちが放つビームを、デスティニーたちがかいくぐる。

「相変わらずとんでもない破壊力だ!しかも手当たり次第に撃ってきて!」

「だがどれも巨体であるために動きも攻撃も直線的だ。撃破自体は問題はない。」

 パーラが焦りを口にして、ヒイロが冷静に告げる。

「全ての機体は遠隔操作されていて、コックピットには誰もいない・・攻撃をためらう必要はない・・!」

「このような機体、存在させてはならない・・悲劇は、繰り返させない・・!」

 ブラッドが言いかけて、シンが意識を集中する。

 そのとき、シンの中で何かがはじけた。彼の感覚が研ぎ澄まされて、身体能力が高まった。

 シンの操縦するデスティニーの動きもさらに機敏かつ正確になる。デスティニーがビームソードをビームサーベルほどの刀身にして振りかざして、デストロイの胴体を切りつけていく。

「よし!オレも負けてられるか!」

 ドモンも意気込んで、右手を強く握りしめる。ゴッドガンダムも握りしめた右手から炎が発せられる。

「ばぁぁく熱!ゴッドフィンガー!」

 ドモンが叫んで、ゴッドガンダムがサイコガンダムの1体の頭を右手でつかむ。右手の炎の熱量で頭部が爆発を起こして、サイコガンダムが倒れる。

 ヒイロが狙いを定めて、ウィングゼロがツインバスターライフルを発射する。放たれたビームがサイコガンダムとデストロイの胴体を撃ち抜いた。

 次々に倒されていくサイコガンダムとデストロイ。しかしサイコガンダムたちは続々と姿を現していく。

「これじゃキリがないよ!私たちの体力が持たなくなる!」

 ソラが危機感を感じて、打開の糸口を探る。

「オレたちに任せろ!一気に片づける!」

「サテライトキャノンで一気に吹っ飛ばすんだな!」

 ガロードが呼びかけて、ドモンが笑みを浮かべて頷く。ダブルエックスがツインサテライトキャノンを展開して、デスティニーたちがサイコガンダムたちの注意を引き付ける。

「みんな、今だ!」

 パーラが呼びかけて、デスティニーたちがサイコガンダムたちから離れる。

「行けー!」

 ガロードが叫んで、ダブルエックスがツインサテライトキャノンを発射する。巨大なビームがサイコガンダムとデストロイの大半を吹き飛ばした。

「これで敵機の戦力を一気に減らすことができた。」

「本当にとんでもない威力だ・・戦艦の陽電子砲でも敵わないよ・・!」

 ヒイロが状況を確かめて、ハルがツインサテライトキャノンの威力に驚く。サイコガンダムたちの数は一気に減った。

「このまま一気に畳み掛ければ・・!」

 ソラが勢いに乗って、ファルコンが追撃しようとした。

 そのとき、地面から数本の触手が飛び出してきた。ハルがとっさに反応して、触手の突撃をかわす。

「な、何、あれ!?

 突然のことにソラが声を上げる。触手の先にはガンダムタイプの顔が付いていた

「あれは、まさか!?

 ドモンがその触手を見て驚きを覚える。ゴッドガンダムたちの前に、地面から出てきた巨大な機体が現れた。

「デビルガンダム!アイツも復活していたのか!?

 ドモンが機体「デビルガンダム」を見て声を上げる。触手はデビルガンダムから伸びている「ガンダムヘッド」だった。

「ドモンさん、あのバケモノ知っているんですか!?

「あぁ!アイツはデビルガンダム!進化と再生と増殖を繰り返すガンダムだ!」

 ハルが声を上げて、ドモンがデビルガンダムのことを話す。

 本来の名は「アルティメットガンダム」。環境の再生を目的とした自律稼働の機体だったが、地球に来たときに暴走を起こして、破壊と支配の権化と化してしまった。

「デストロイたちを動かしているのはそのデビルガンダムのようだ。」

 ブラッドがデビルガンダムたちに関する状況を推測する。

「しかしデビルガンダムは生体ユニットがいなければ長時間活動することはできない!今も中に誰かいるのか!?

 ドモンがデビルガンダムの胴体を注視する。中に誰かがいるのではないかと、彼は考えていた。

「あの機体に何者かが乗っている。」

「何だとっ!?

 ヒイロがデビルガンダムの中を確かめて、ドモンが声を上げる。

「人間でありながら気付くとは大したものだ。」

 そこへ声がかかって、シンたちが視線を移す。デスティニーたちの前に現れたのは、ゼロダークネスだった。

「アイツ・・!」

「やはり誰かが乗ってるのか・・誰が乗ってるんだ!?

 シンがゼロダークネスに鋭い視線を向けて、ドモンがさらに声を上げる。

「偽ウルトラマンたちを開発したサロメ星人の1人を、そのデビルガンダムに乗せているのだ。」

 ゼロダークネスがデビルガンダムに目を向けて笑みをこぼす。

「お前・・自分の仲間を利用するなんて!」

 ガロードがゼロダークネスに対して怒りを覚える。

「頭脳や科学力だけでなく、肉体も有効活用しているのだ。これはむしろ賛美されること。彼女も感謝していることだろう。」

「ふざけるな!自分の目的のために仲間も犠牲にするなんて!」

 あざ笑うゼロダークネスに、シンも怒りをあらわにする。

「お前の思い通りにはさせない!星人を中から引きずり出して、デビルガンダムを止める!」

 ドモンが言い放って、ゴッドガンダムが構えを取る。

「こっちのほうが数は多いんだ!」

「ゼロさんの偽者は、私たちが倒す!」

 ハルとソラがゼロダークネスに向かって言い放つ。

「フン。お前たちなどオレが直接手を下すまでもない。それにお前たちの相手はデビルガンダムたちだけではない。」

 ゼロダークネスが言いかけて視線を移す。デスティニーたちの前に、黒い体のウルトラマン2人が現れた。

「また、ウルトラマンの偽者!?でもさっきのとは感じが違う・・!」

 ルナマリアが黒いウルトラマンたちを見て声を上げる。今度の偽ウルトラマンたちは先ほどのものと違い、容姿は本物に近かったが、体の色は黒く目も赤く染まっていた。

「ウルトラマンダークとウルトラセブンダーク。闇に染まったウルトラマンだ。この2人は本物の2人が闇に染まったわけではないから安心しろ。」

 ゼロダークネスが闇のウルトラマン、ウルトラマンダークとウルトラセブンダークについて語る。

「ウルトラマンの力と心をここまで弄ぶなんて・・許せない!」

 ゼロダークネスたちのやり方にシンたちだけでなく、地上で戦いを見守っていたリクも怒りを覚える。

「落ち着け、リク!感情に囚われると、力を大きく消耗してしまうぞ!」

 ガイが呼び止めるが、リクは聞かずにジードライザーを手にした。

「ユーゴー!アイゴー!」

 リクが装填ナックルにウルトラマンカプセルとベリアルカプセルをセットする。

「ヒアウィゴー!」

“フュージョンライズ!”

 彼がトリガーを押したジードライザーで、装填ナックルのカプセルをリードする。

“ウルトラマンジード・プリミティブ!”

 彼はジード・プリミティブに変身して、ゼロダークネスたちの前に現れた。

「お前たちは、僕が倒す!」

「フン。お前たち、ジードを倒せ。」

 飛びかかるジードをダークとセブンダークが迎え撃つ。ジードが力任せに攻撃を仕掛けるが、ダークたちに軽々とかわされてしまう。

「ダメだ!攻撃が空回りになってる!これじゃすぐに体力がなくなるぞ!」

 パーラがジードの戦い方を見て声を上げる。

「オレがリクを援護する!みんなはデビルガンダムを頼む!」

「オレも行く!ここは任せた!」

 シンとブラッドが呼びかけて、デスティニーとジャッジがジードの援護に向かう。

「デビルガンダムの、オレたちの悲劇はオレたちが終わらせる!」

「中にいるのは、利用されたとはいえ敵の一員。このまま敵機の撃破を行う。」

 ドモンが言い放って、ヒイロがデビルガンダムの撃破を考える。

「ですが、助けられるなら助け出したほうが・・!」

「そうしたいところだけど、撃破を狙って戦わないと、こっちがやられることになるわ・・!」

 ハルが言いかけるが、ルナマリアも苦渋の決断を下していた。ハルもソラも迷いを振り切って、デビルガンダム打倒に集中する。

「お前たちはガンダムヘッドを引き付けて破壊してくれ!オレが本体に突っ込む!」

「分かった!任せたぜ、ドモン!」

 ドモンが呼びかけてガロードが答える。

「あぁ!血路なら、オレが切り開いてやる!」

 ドモンが意気込みを見せて、ゴッドガンダムがデビルガンダムに向かって突っ込んだ。

 ゴッドガンダムに向かっていくガンダムヘッドを、インパルスたちがビームライフル、ツインバスターライフルで撃って引き離す。

「こっちよ!全部撃墜してやるんだから!」

「よそ見をしてると、あっという間にやられちまうぞ!」

 ルナマリアとガロードが呼びかけて、インパルスとダブルエックスがビームサーベル、ハイパービームソードを手にしてガンダムヘッドを引き付ける。

「注意を引き付けるなら、このファルコンが適任よ!」

 ソラが言い放って、ハルからファルコンの操縦権を受け取る。ファルコンが加速しながら、ビームライフルを手にしてガンダムヘッドを銃撃していった。

 

 リクが怒りを爆発させて、ジードがダークたちを攻め立てる。しかしリクが冷静さを失っていて、ジードの攻撃はダークたちを外れていた。

「どうしてなんだ・・どうして当たらない・・!?

 自分の攻撃が通用しなくて、疑問をふくらませていくリク。そこから生じる焦りも、彼の冷静さを奪っていた。

「どうした?そんな戦いではコイツらには勝てないぞ?」

 ゼロダークネスがジードを見下ろしてあざ笑う。

 セブンダークがアイスラッガーを放って、ジードが回避する。そこへダークがスペシウム光線を放って、ジードが当てられて怯む。

「負けられない・・ウルトラマンを、ヒーローを利用するアイツらを・・!」

 ゼロダークネスたちへの怒りをたぎらせるリク。しかしそれはジードのエネルギーの消耗を加速化させることになった。

“レッキングバースト!”

 ジードが両腕を十字に交差して光線を放つ。しかしダークとセブンダークに軽々とかわされる。

「拍子抜けだな・・お前たち、もういい。ジードを始末しろ。」

 ゼロダークネスが呼びかけて、ダークとセブンダークがジードに向けて光線を放とうとした。

 そこへジャッジがデスティニーとともに駆けつけて、レールガンを発射する。ダークたちがジードから離れて、ビームをかわす。

「シンさん、ブラッドさん・・!」

「リク、落ち着け・・敵はお前の怒りを誘って、冷静さを奪ってエネルギーを大きく消費させることを狙っている・・!」

 声を上げるリクを、ブラッドがなだめようとする。

「オレたちがあの2人の相手をする!隙を作るから、そこを狙って攻撃するんだ!」

 シンもリクに向かって呼びかける。

「でも、それだとシンさんたちが・・!」

「オレたちにも力がある・・大切なものを守るための力が・・!」

 声を上げるリクにシンが檄を飛ばす。

「使い方を間違えれば、守るための強さも破壊の力になってしまう・・そのことを忘れるな!」

 シンからの言葉を受けて、リクが戸惑いを覚える。シンからの激励でリクは落ち着きを取り戻していく。

「デスティニーたちも来たか。だが何匹束になろうとムダなこと。」

 ゼロダークネスがデスティニーたちを見下ろしてあざ笑う。

 ダークが八つ裂き光輪「ウルトラスラッシュ」を放って、ジャッジがビームライフルではじいていく。

 セブンダークの放つエメリウム光線をかわして、デスティニーがビーム砲を放つ。セブンダークもビームをかわして、アイスラッガーを放つ。

「ウルトラマンの力、オレたちもある程度熟知している!」

 シンが言い放って、デスティニーがビームブーメランを手にして投げる。ビームブーメランとアイスラッガーがぶつかり合って、それぞれの手元に戻る。

 デスティニーがビームソードを手にして、セブンダークに向かっていく。セブンダークが再びアイスラッガーを放つが、デスティニーが振りかざしたビームソードにはじかれる。

 セブンダークがとっさに光線「ワイドショット」を放つ。デスティニーは残像を伴った高速でかわして、セブンダークにビームソードを振りかざした。

 切りつけられたセブンダークが力尽きて、地上に落下していった。

「倒し切れていないか・・今はリクの援護を・・!」

 シンはセブンダークへの追撃をせずに、デスティニーがジードの援護に向かった。

 

 ダークが放つ光線技の連続を、ジャッジは的確に回避していく。ジャッジがビームライフルを連射して、ダークの動きを狭めていく。

「リク、今だ!闇のウルトラマンを撃て!」

 ブラッドがリクに呼びかけて、ジャッジがダークに向かってレールガンを発射した。ダークがビームを受けて体勢を崩した。

“レッキングバースト!”

 ジードがダークに向かってレッキングバーストを放つ。ダークもとっさにスペシウム光線を放って、光線をぶつけ合う。

「僕は負けるわけにはいかない!お前たちの企みを打ち砕く!」

 リクが激情をふくらませて、ジードが光線に力を込める。エネルギーの消費により、ジードのカラータイマーが点滅を始める。

「落ち着け、リク!これ以上力を使えば、危険が及ぶ!」

 ブラッドがリクに向かって呼びかける。

「そろそろオレも体を動かすか。」

 ゼロダークネスが笑みをこぼして、ジャッジに向かっていく。彼が赤い光の球を放ってきたことにブラッドが気付いて、ジャッジが回避する。

「くっ・・これではリクの援護に回れない・・!」

 ゼロダークネスに行く手を阻まれて、ブラッドが毒づく。ゼロダークネスはジャッジではなく、近づいてきていたデスティニーに向かって光の球を放った。

 接近を気付かれてシンが毒づいて、デスティニーが横に動いて光の球をかわす。

「シン、リクの援護を!コイツはオレが食い止める!」

 ブラッドがシンに向かって呼びかける。

「お前たちの自由にはオレがさせないぞ。」

 ゼロダークネスが手からそれぞれ光の球を放つ。デスティニーとジャッジがスピードを上げてかわすが、光の球は動きを変えて2機を追跡する。

「ホーミング・・こんな手の込んだことまで・・!」

 ブラッドがうめいて、ジャッジがデスティニーとともにビームライフルを発射して、光の球を狙撃して破壊した。

 一方、ジードが力を振り絞って、ダークの光線を押し切った。ジードの光線が左肩に当たって、ダークが落下した。

「や、やった・・!」

 ジードが体力を消耗して、リクも呼吸を乱していた。

「大丈夫か・・!?

 そこへオーブ・スペシウムゼペリオンがやってきて、ジードと合流した。

「ここは終わりました・・シンさんと一緒に、ゼロさんの偽者を・・!」

 リクが言いかけて、デスティニーたちのところへ向かおうとした。

 そのとき、オーブが突然スペリオン光線を放って、ジードの背中に当ててきた。

「うあっ!」

 ジードがダメージを受けて、リクがうめく。ジードが体勢を整えて、オーブに振り返る。

「ガイさん、何をするんですか!?・・なぜ、僕に攻撃を・・!?

 リクが動揺しながらオーブに問い詰める。

「違う・・お前は、オーブの偽者・・!」

 リクが眼前にいるオーブの正体に気付いて息をのむ。するとオーブが突然笑い声を上げた。

「フッフッフ・・コイツも完璧に化けたつもりだったが・・まぁ、こんなマネをすればおかしいと思わないほうがおかしいか・・」

 オーブが不気味な笑い声を上げながら正体を現した。偽オーブの正体はフェイだった。

「お前は・・・!」

「気を抜いたところで手痛い目に合う。なかなかの精神的ダメージだな・・」

 うめくリクをフェイがあざ笑う。

「お前たち・・どこまでもウルトラマンを、ヒーローを弄んで・・・許せない!」

 さらなり怒りをたぎらせるリクだが、ジードのエネルギーはわずかとなり、カラータイマーの点滅も早まっていた。

「よくやったぞ、フェイ。後は仕上げをするだけだ。」

 ゼロダークネスがデスティニーたちと戦いながら、フェイに言いかける。

「2人の闇のウルトラマン、ジードの中に入れ!」

 ゼロダークネスが呼びかけると、地上に落ちていたダークとセブンダークが黒い霧へと変わる。リクがとっさにかわそうとするが、体力がわずかのジードの動きが鈍り、霧に取り込まれた。

「うあっ!」

 黒い霧がジードの体に入り込んでいく。リクも霧に犯されて苦痛を感じてうめく。

「リク!」

「貴様、リクに・・ジードに何をした!?

 シンが声を上げて、ブラッドがゼロダークネスを問い詰める。

「2人の闇のウルトラマンの闇が、ジードの体に侵入している。闇はジードの中にあるベリアルの力を活性化させる。」

「何だとっ!?

 ゼロダークネスが語りかけて、シンが驚きの声を上げる。

「ジードは真の闇のウルトラマンとなり、ベリアルのような凶悪性を発揮する。これまで行動を共にしてきたお前たちにも、見境なしに攻撃してくるだろう。」

「ふざけるな!リクがそんなことにはならない!」

 笑みをこぼすゼロダークネスに、シンが怒りの声を上げる。

「ならば見るがいい。闇の力に目覚めたジードの姿を。」

 ゼロダークネスがジードに目を向ける。黒い霧を身に宿したジードが、デスティニーたちに目を向けた。

「リク、しっかりしろ!そんな闇、吹き飛ばすんだ!」

 シンが呼びかけると、ジードが両腕を十字に組んで、黒い光線を発射してきた。デスティニーとジャッジは素早く動いて、光線をかわした。

「バカな・・!?

「リク、闇の力に取り込まれてしまったというのか・・!?

 漆黒の変貌を遂げたジードに、シンもブラッドも驚きを隠せなくなる。ジードは闇の力に囚われて、破壊騒動に駆られていた。

 

 

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