ザ・グレイトバトル

-トゥルースピリッツ-

第5章

 

 

 ビルド・ラビットタンクに変身した戦兎と、クローズとなった龍我。2人の仮面ライダーがリクたちの前に現れた。

「新しい仮面ライダー、ビルドとクローズも来てくれたか・・」

 ガイが戦兎たちを見て呟く。

「あの電車みたいなヤツはオレがやる!」

 龍我が闇のトッキュウ1号に向かって飛びかかる。彼は力を込めたパンチを繰り出して、闇のトッキュウ1号を攻め立てる。

「相変わらずの突進なんだから・・こうなったら、さっさと終わらせるしかないな・・!」

 龍我の猪突猛進に肩を落としてから、戦兎が外道シンケンレッドに目を向ける。

 シンケンマルを振りかざしてきた外道シンケンレッド。戦兎はシンケンマルをかわしながら、外道シンケンレッドにパンチを当てていく。

 パワーは戦兎のほうが上だった。しかし外道シンケンレッドはスピードを上げて、戦兎の攻撃をかわしてシンケンマルを振りかざす。

「ぐっ!」

 ビルドの装甲が切りつけられて、戦兎がうめいて突き飛ばされる。

「速いな・・だったらコレで!」

 立ち上がった戦兎が新たなフルボトル「忍者フルボトル」と「コミックフルボトル」を手にした。

“ニンジャ!”

“コミック!”

“ベストマッチ!”

 彼がビルドドライバーにある2つのフルボトルと忍者フルボトル、コミックフルボトルを交換した。

「ビルドアップ!」

 前後に現れた新たな枠の中の装甲を、戦兎が身にまとう。

“忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!イエーイ!”

 彼は紫と黄色の装甲のフォーム「ニンニンコミック」に変身した。

「侍と忍者、どっちが強いか決めようか!」

 戦兎が言いかけて、刀「4コマ忍法刀」を手にした。彼と外道シンケンレッドがそれぞれの刀を振りかざしてぶつけ合う。

“火遁の術!”

 戦兎が4コマ忍法刀の柄のトリガーを2回押す。

“火炎斬り!”

 戦兎が炎を発した4コマ忍法刀を振りかざす。外道シンケンレッドも炎を発したシンケンマルを振りかざして、激しくぶつけ合う。

「さすが侍戦隊だ。本物だったら互角だったかもな・・けど、偽者には負けることはない!」

 戦兎が笑みをこぼして、4コマ忍法刀を構える。

「勝利の法則は、決まった!」

“風遁の術!竜巻斬り!”

 戦兎がトリガーを3回引いた4コマ忍法刀を振りかざして、竜巻を巻き起こす。外道シンケンレッドが竜巻に巻き込まれて、空中に跳ね上げられる。

Ready go!”

 戦兎がラビットタンクに戻って、ビルドドライバーのレバーを回す。

“ボルテックフィニッシュ!”

 地上に落ちた外道シンケンレッドの前に、グラフの形をした滑走路が現れる。ジャンプした戦兎が、グラフの上を沿うように飛び込んでキックを繰り出した。

 シンケンマルを振りかざす外道シンケンレッドだが、戦兎のキックにシンケンマルをはじき飛ばされて、体に直撃される。

 突き飛ばされて地面を転がる外道シンケンレッド。1度立ち上がるが、力尽きて倒れて、黒い霧となって消滅した。

「すまない。おかげで助かった・・」

 ガイが戦兎に声をかけて、安心を込めた笑みを見せる。

「困っているときはお互い様ってね・・あなたもただ者じゃないのは、オレにも分かる。」

 戦兎が答えて、ガイが真剣な顔で頷いた。

 

 一方、闇のトッキュウ1号と戦う龍我に、シゲルも立ち上がって加勢する。

「悪いがこれは試合じゃない。数で一気に押し切ることにするぞ。」

「それじゃさっさと終わらせて、話を聞かせてもらうぞ!」

 シゲルが呼びかけて、龍我が意気込みを見せる。レールスラッシャーを手にした闇のトッキュウ1号に、2人が目を向ける。

 闇のトッキュウ1号が振りかざすレールスラッシャーを、シゲルと龍我が左右に動いてかわす。レールスラッシャーの刀身が鞭のように動いて、龍我の体を縛った。

「おわっ!」

 龍我が持ち上げられて、空中で振り回される。彼がそこから地面に叩きつけられる。

「チョロチョロやってくれて!」

“ラビット。”

 シゲルがウサギのアニマルカード「ラビットカード」を手にして、ビースブレスにあるオックスカードと入れ替えた。

“スタートアップ・ラビット。”

 オックスのスーツも黒から白になて、マスクの模様もウサギを思わせる形になった。シゲルは新たな姿「ラビットフォルム」となった。

 闇のトッキュウ1号は龍我を捕まえたまま、レールスラッシャーを振りかざす。シゲルは高く速いジャンプでレールスラッシャーをかわす。

“ラビット・ロードスマッシュ。”

 シゲルがリードライバーの中心部を回転させる。両足にエネルギーを集めた彼が急降下して、闇のトッキュウ1号の背中にキックを当てた。

 闇のトッキュウ1号が怯んで、龍我がレールスラッシャーから解放される。

「大丈夫か!?

「すまねぇ、助かった!・・今までやってくれた礼をさせてもらうぞ!」

 呼びかけるシゲルに感謝して、龍我が闇のトッキュウ1号への怒りを燃やす。彼が剣「ビートクローザー」を手にして飛びかかる。

 ビートクローザーとレールスラッシャーが激しくぶつかり合う。

「オラッ!」

 龍我がビートクローザーを突き出して、闇のトッキュウ1号の体に命中させた。闇のトッキュウ1号が押されて地面を転がる。

「よっしゃ!今のオレは、負ける気がしねぇ!」

“ヒッパレー!”

 龍我が言い放って、ビートクローザーのグリップエンドを1回引いて、柄のトリガーを引いた。

“スマッシュヒット!”

 青い炎をまとったビートクローザーを振りかざす龍我。迎え撃つ闇のトッキュウ1号だが、ビートクローザーの一閃でレールスラッシャーをはじき飛ばされる。

“スペシャルチューン!”

 龍我がフルボトル「ロックフルボトル」をビートクローザーにセットした。

“ヒッパレー!”

 彼がビートクローザーのグリップエンドを3回引いて、柄のトリガーを引いた。

“メガスラッシュ!”

 龍我がビートクローザーを振りかざして、闇のトッキュウ1号を斬りつけた。闇のトッキュウ1号が力尽きて、黒い霧になって消滅した。

「やったぜ!ありがとうな、力を貸してくれて!」

 龍我が喜んでシゲルに駆け寄る。

「困ったときはお互い様ってな。連携がうまくいってよかった、よかった。」

 シゲルが気さくに答えて、龍我と手を握り合う。

「残りは2人・・手ごわいのが残ったな・・!」

 シゲルが龍我と一緒に、ウルザードとダークカブトに目を向けて毒づいた。

 

 ダークカブトのクロックアップに、ソウマは悪戦苦闘していた。

「こんなことでやられるオレじゃない・・お前たちみたいな偽者にやられるものか!」

 ソウマが感情を高ぶらせて、ダークカブトに立ち向かう。それでもダークカブトの超スピードに追い付けない。

 そこへ1人の青年が現れて、ソウマとダークカブトに目を向けた。

「またおかしな世界に来て、おかしなことが起こっているみたいだな・・」

 青年が呟いて、携帯電話「ファイズフォン」を手にした。

「乾さん、あなたも来ていたんですね。」」

 ガイが青年、(いぬい)(たくみ)を見て声を上げる。

Standing by.”

 巧がファイズフォンに「555」と入力する。

「変身!」

Complete.”

 ファイズフォンをベルト「ファイズドライバー」にセットした巧。彼の体を赤い装甲が包み込んだ。

 赤い戦士「ファイズ」となった巧がダークカブトに近づいていく。

「悪いがオレはお前には負けるつもりはない・・さっさと全部終わらせて、とっとと帰らせてもらうぞ・・」

 巧は言いかけると、ダークカブトに向かっていく。しかし彼の繰り出すパンチも、ダークカブトはクロックアップで回避する。

「ぐっ!」

 ダークカブトの高速の打撃で突き飛ばされて、巧がうめく。立ち上がった彼がソウマと合流する。

「そいつはものすごく動きが速い!下手に飛び込むと返り討ちにされるぞ!」

「分かってる・・お前、スピードには自信あるか?」

 注意を呼びかけるソウマに、巧が問いかける。

「もちろんだ!・・って言いたいところだけど、アイツには全然追いつけない・・!」

「自信があるなら、とどめはお前に任せる。オレが隙を作る・・」

 ソウマの答えを聞いて、巧が呼びかける。

「隙を作るって・・アンタにアイツを止められる力があるのか!?

「やってやるさ・・10秒だけだけどな・・」

 疑問を投げかけるソウマに、巧が言いかける。巧がリストウォッチ「ファイズアクセル」から「アクセルメモリー」を引き出して、ファイズフォンにセットした。

Complete.”

 ファイズの装甲が展開して、色が銀と黒となった。ファイズの超高速フォーム「アクセルフォーム」である。

「おい、行くぞ・・よそ見すんなよ・・」

「オレに向かってそのセリフはナンセンスだぞ。」

 言いかける巧に、ソウマが笑みをこぼす。巧がファイズアクセルのスイッチを押す。

Start up.”

 構えを取った巧がダークカブトに目を向ける。2人が同時に動き出して、ソウマの視界から消えた。

 巧もアクセルフォームになったことで、ダークカブトのクロックアップと同等の超高速を行っている。しかしファイズの場合、この超高速のエネルギーを維持できるのは10秒だけで、ファイズアクセルがそのカウントダウンをしている。

 巧とダークカブトが1秒1秒の瞬間に、目にも留まらない攻防の連続を繰り広げる。その次の瞬間、巧がダークカブトの頭上へジャンプした。

 ダークカブトを取り囲むように、複数の赤い光の円錐が現れた。同じ数に姿が増えた巧が、円錐を通るように飛び込んでキック「クリムゾンスマッシュ」を繰り出した。

 回避を行おうとするダークカブトだが、全てのキックをかわすことはできず、左肩をかすめてふらついた。その一瞬に彼の動きが鈍った。

「今だ!」

“ジャッカルチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 その瞬間を見逃さずに、ビースドライバーの左上のボタンを押したソウマが、ダークカブトの周りを高速回転する。

3,2,1.Time out.Reformation.”

 アクセルフォームの活動時間が終わって、ファイズの装甲が元に戻った。その間にも、ソウマが高速回転の渦の中に飛び込んで、身動きの取れないダークカブトに連続でキックを叩き込んだ。

 渦の中でダークカブトが爆発を起こして、ソウマが渦から出てきて着地した。

「アンタもすごいスピードだな。オレもこのくらい出したいもんだ・・」

「いつも出せるわけじゃないけどな・・」

 感心するソウマに、巧が言葉を返す。

「後はアイツだけか・・」

 巧が言いかけて、ソウマとともにウルザードに目を向けた。

 

 ウルザードとの激しい攻防を続けるノゾム。しかしウルザードの強力な剣と魔法に、ノゾムは押されていた。

「くっ・・オレは倒れない・・負けてたまるかよ!」

 ノゾムが声と力を振り絞って、新しいアニマルカード「マキシマムカード」を取り出した。

“マキシマム!”

 彼はビースドライバーにセットされているシャークカードを、マキシマムカードと入れ替える。

“チャージ・マキシマーム!マックス・マキシ・マキシマーム!ビース・マキシマムライダー!”

 マックスのスーツの模様とマスクの形状が、マックスフォルムよりも刺々しいものとなった。ノゾムはマックスの強化形態「マキシマムフォルム」となった。

「今度はいい気にはならせないぞ!」

 ノゾムが言い放って、ウルザードに向かっていく。ウルザードがジャガンシールドを掲げるが、ノゾムが繰り出したパンチを防ぎきれずに押される。

 ノゾムがさらにパンチを繰り出して、ウルザードを攻め立てる。マキシマムフォルムとなった彼の強さは、格段に上がっていた。

 ウルザードがウルサーベルを振りかざして、炎を発する。

「ぐっ!」

 ノゾムが炎に押されて地面を転がる。倒れた彼にウルザードがウルサーベルを構えて迫る。

 そのとき、1人の男が飛び込んできて、ウルザードにキックを当てた。押されたウルザードが、ノゾムとともに男に振り向いた。

「正義の心をねじ曲げようとするとは・・お前たちの企みは、必ず阻止してみせる!」

「アンタは、光太郎さん!アンタもこっちに来てたのか!」

 言い放つ男、(みなみ)光太郎(こうたろう)にノゾムが声を上げる。2人は以前に会ったことがある。

「事態はだいたい把握している!オレも戦う!」

 光太郎がノゾムに呼びかけて、意識を集中する。

「変身!」

 ポーズを取った彼が、黒いボディと真っ赤な目をした戦士へと変わった。

「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACKRX!」

 光太郎が変身した仮面ライダーBLACK RXが名乗りを上げてポーズを決めた。

「行くぞ、ノゾムくん!」

「あぁっ!」

 RXとノゾムが声をかけ合う。2人が同時にジャンプして、ウルザードに向かっていく。

 ノゾムとRXの繰り出すパンチとキックの連続に、ウルザードは防御で手一杯となる。ウルザードがとっさにウルサーベルを振りかざすが、ノゾムたちにジャンプでかわされる。

“マキシマムチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 着地したノゾムがビースドライバーの左上のボタンを2回押した。彼の両足にエネルギーが集まっていく。

RXキック!」

 ノゾムがRXと同時にジャンプして、両足のキックを繰り出した。2人のキックがジャガンシールドに命中して、ウルザードの手元からはじき飛ばした。

「リボルケイン」

 RXがベルト「サンライザー」から剣状スティック「リボルケイン」を引き出した。

 ウルザードが炎をまとったウルサーベルを振りかざして、リボルケインとぶつけ合う。RXはウルサーベルをはねのけて、リボルケインをウルザードに突き刺した。

 リボルケインに体を貫かれて、ウルザードが力尽きてウルサーベルを手から放す。RXがリボルケインを引き抜くと、ウルザードが倒れて爆発を起こした。

「やった・・やっと片が付いたか・・」

 ノゾムがひと息ついて、RXと戦兎たち、リクたちに目を向けた。

“スリービースト。”

“シャットダウン。”

 彼らが変身を解いて、互いに目を向け合う。

「みなさん、それぞれの世界から次元を超えて、この世界に来たみたいですね・・」

 リクが声をかけて、ノゾムたちが頷いた。

「みんな、大丈夫か!?

 シンたちが駆けつけて、リクたちと合流した。

「くー!オレのかっこいい活躍が〜!」

 モモタロスが自分が戦えなかったことを嘆いて、頭を抱える。

「それよりもみんなから話を聞かないとな。」

 ドモンがノゾムたちに目を向けて言いかける。リクたちはデンライナーへ向かうことにした。

 

「それじゃ、あなたたちも仮面ライダーなのですか!?

 ノゾムたちの話を聞いて、リクが驚きの声を上げる。

「能力も状況も戦う理由も違うけどな。ま、それは他のみんなにも言えることだけど。」

「ウルトラマンにガンダム・・初めて聞くことが多くて頭がこんがらがりそうだぞ・・!」

 シゲルと龍我も他の世界のことを聞かされて、情報の整理がつかなくなっていた。

「それで、この世界では仮面ライダーやウルトラマンが悪者として見られている・・」

「そう思い込ませているヤツがいて、そいつがヒーローの偽者を送り込んでいる。そういうことか・・」

 戦兎とソウマが現状を把握する。

「つまり、その親玉を倒せば丸く収まるってことだな・・」

 巧が呟くように言って、ため息をつく。

「でもどこにいるのか、どんな人物なのか・・・」

「お前たちも、情報はつかんでいないのか?」

 リクが思考を巡らせて、ブラッドが問いかける。戦兎たちもソウマたちも首を横に振る。

「この世界のヤツらは何か知っているんじゃないのか・・?」

「そうしようとしたけど、悪者扱いされて厄介払いされてしまった・・オレたちの話を全然聞こうとしなかった・・」

「そいつらは悪いことをしてるわけじゃねぇ・・だから力ずくで聞く気にはなれなかった・・」

 ノゾムが問いかけて、戦兎と龍我が深刻さを込めて答えた。

「オレは無理やりを認めない・・だからオレは無理やり何かをしたり聞いたりはしない・・」

 ノゾムが自分の考えを口にする。

「だけど、もしもオレにムチャクチャを押し付けてくるヤツがいるなら、誰だろうと容赦しない・・ムチャクチャに押しつぶされたら、オレはオレでなくなる・・」

「そんなやり方も十分ムチャクチャだと思うぞ・・」

 自分を貫こうとするノゾムに、ガイが肩を落とす。

「オレは身勝手な連中とは違う!アイツらのために他のヤツがイヤな思いをしていることを、オレが分からせる!」

「そんなのは、正義の味方のすることじゃない。」

 いら立ちで体を震わせるノゾムに、戦兎が言い返してきた。

「ヒーローは見返りを求めちゃいけない・・ただ平和や命、大切なものを守るために戦うんだ。」

「見返りを求めちゃいけないって勝手に決めるな・・そんなのは人の考え方じゃない・・!」

 戦兎が投げかけた注意を、ノゾムがはねつける。

「もしもホントにそういうものだとしても、オレはオレの戦いをする・・ヒーローになっているつもりも、正義のために戦っているわけでもない・・!」

「ノゾム・・お前も相当の分からず屋だってことなのか・・最悪だ・・・」

 ノゾムの強情さを目の当たりにして、戦兎が気まずくなって肩を落とす。

「そういう感情は必ず誰かを傷付ける・・命を奪うかもしれない・・!」

「関係ないヤツの命を奪うのは、オレもやりたくない・・だけどオレの敵は、命も心も弄んで、それを全然悪いと思ってない連中だ・・!」

 苦言を呈する戦兎だが、ノゾムは自分の考えを変えない。

「悪さや戦いを止めればそれで十分だ!わざわざ命を奪う必要は・・!」

「ただ止めただけじゃ、身勝手な連中は反省しない!どんなに言われてもどんなにやられても反省しないなら、もうブッ倒すしかない!」

 さらに注意を呼びかける戦兎だが、それでもノゾムは敵への敵意を消さない。

「ノゾムのほうが正論だな。」

 そこへヒイロが口を挟んで、2人に言いかけてきた。

「戦いとは命を賭けるもの。戦場に出てくる者全員に言えることだ。戦いたくない、命を賭けられないのなら戦いをするべきではない。」

「それじゃ誰かが死んでもいいっていうのか・・!?

 ヒイロが投げかける言葉に、戦兎が問い詰める。

「戦いを止めさえすれば、みんな助かる!わざわざ倒す必要はない!」

「敵を倒さずに、戦いが止まると思っているのか?」

 呼びかける戦兎にヒイロが問いかける。

「お前の本当の敵は怪人でも悪者でもない。綺麗事をいいわけにして戦いから逃げているお前自身だ。」

「それでも、誰かが死ぬよりはずっといい・・!」

 忠告をするヒイロに対して、戦兎が声を振り絞る。

「お前よりも、お前の仲間のほうがまだ戦う覚悟がある。感情で行動することは正しい生き方だ。裏表のない生き方だからだ。」

 ヒイロが戦兎から龍我に視線を移す。龍我のほうが感情的であることを、ヒイロは察していた。

「ま、あんまり理屈っぽくのはいい気はしないな、オレも。今まで散々感情任せに生きてきたが、それを悪いとは思っちゃいない・・」

 ドモンが今までの自分の生き方を振り返って笑みをこぼす。

「ファイターや戦士として戦う以上、言葉だけじゃなく、拳で語り合うときが来る。魂をぶつけ合い、心を通わせることで見えてくること、分かり合えることもある。」

「戦って戦いを止めるのは矛盾していることかもしれない。それでもオレはその道を選び、その罪と運命を背負うことを決めた。オレ自身で・・」

 シンも続けて自分の意思を告げた。

「世界も状況も、考え方も感じ方も違う。どういう生き方や戦い方をしているのかも違う。戦う理由や大切なもの、正義の形もな。それを自分の考えでねじ曲げることは誰にもできない。たとえ神様でもな。」

 ガイが戦兎に言いかけて笑みをこぼす。

「お前の生き方はお前だけのものだ。ただ他のヤツにも同じことが言えるのだけは、忘れないようにな。」

「オレの生き方は、オレだけのもの・・」

「僕の生き方は、僕だけのもの・・」

 ガイの言葉に戦兎だけでなく、リクも戸惑いを感じていた。

 それぞれの生き方、それぞれの戦いを経て、それぞれ答えを見出してきた。強くなった決意は簡単に覆るものではない。

 リクは自分だけの生き方、自分だけの答えを見つけられると信じていた。

 

 再びゼロの様子を見に行ったリクと良太郎。ゼロはだんだんと落ち着きを取り戻しつつあるものの、体調は万全には程遠い状態だった。

(ゼロさん・・ゼロさんにも、ゼロさんの生き方や戦い方、答えがあるのですね・・)

 リクが心の中でゼロのことを考える。

(僕も僕の答えを見つけます・・ゼロさんと違う道を進むことになるとしても・・)

 改めて決意を胸に秘めるリク。たとえベリアルの血が流れていても、正義と平和のために戦うことができることを教えられたと、リクは思っていた。

「はーい♪またまた診察の時間ですよー♪」

 そこへナオミがやってきて、リクたちに声をかけてきた。

「あ、はい、お願いします・・」

 リクがナオミに答えて外へ向かう。彼が外へ出たところで、ナオミがゼロに目を向ける。

 ナオミは注射器を取り出して、ゼロの腕に打とうとした。

「何を打とうとしているんだ?」

 そこへ声がかかって、ナオミが手を止めた。彼女の前に現れたのはガイだった。

「何って、お薬ですけど〜?」

 ナオミがガイに振り向いて、苦笑いを見せて答える。

「そのお薬ってのは・・命を奪う毒薬のことか?」

 ガイからの指摘にナオミが目を見開く。彼女がとっさに注射器をゼロに打とうとするが、足を振りかざしたガイに妨害される。

 手元から落とした注射器が割れて、ナオミがたまらず外へ飛び出した。その彼女の前に良太郎とガロードが立ちはだかった。

「あなた、ナオミさんじゃないね!」

「オレたちに化けの皮をはがされる前に、自分から正体を見せたらどうだ?」

 良太郎とガロードが偽ナオミに呼びかける。リクたち、ノゾムたち、シンたちも駆けつけてきた。

「まさかこうも簡単に気付かれるとはね・・!」

 偽ナオミが不気味な笑みを浮かべると、リクたちに正体を現した。

「ババルウ星人、お前の仕業か・・!」

 ガイがババルウ星人を見て声を上げる。

「オレはババルウ星人フェイ。お前たちの息の根、順番に止めてやるぞ・・」

 宇宙人、フェイがリクたちに敵意を向ける。

「お前だけで何ができる!?これだけいるオレたち相手じゃ、逃げることもできないぞ!」

「それはどうかな?そのセリフ、そっくり返してやるぞ!」

 言い放つソウマにフェイが笑みをこぼす。次の瞬間、リクたちの周りを仮面ライダーたちが大勢現れた。

「おいおいおい・・大勢出てきたぞ・・!」

「ライオトルーパーにスカルライダー、メイジ・・量産型の仮面ライダーたちが出てくるなんて・・!」

 ソウマが声を開けて、ウラタロスが苦笑をこぼす。

「いきなりこんなに出てくるなんて聞いてねぇぞ!きたねぇマネしやがって!」

 龍我が不満の声を上げて身構える。

「これだけの数を相手にするのはムチャだ!ここはガンダムに乗って追っ払ってやる!」

 ガロードが声を上げて、ダブルエックスへ向かっていく。シンたちもそれぞれの機体に乗り込もうとした。

 そのとき、突然地鳴りが起こってシンたちが揺さぶられた。

「な、何っ!?

「あ、あれ!」

 ルナマリアが声を上げて、ソラが指さす。巨大な機体が続々と地上に降下してきた。

「あれは、デストロイにサイコガンダム・・あれだけの数が・・!」

 ハルが機体「デストロイ」と「サイコガンダム」を見て息をのむ。

「これではライダーたちの迎撃には回れない・・ライダーたちにもデストロイたちにも生命反応はない。外から遠隔操作されているようだ・・」

 ブラッドが状況を分析してリクたちに伝える。

「ライダーの中身もロボのパイロットも生き物じゃねぇってことだな!それなら遠慮はいらねぇな!」

「オレたちにふざけたマネをしてくるなら、誰だろうと容赦しないぞ!」

 龍我とノゾムが言い放って、ライオトルーパーたちを迎え撃つ。

「デカブツはオレたちに任せてくれ!ライダーたちは頼む!」

「ゼロやデンライナーに危害が及んではいけない!できる限り遠ざけてくれ!」

 ドモンと光太郎が呼びかけ合う。シンたちがそれぞれの機体に乗り込んだ。

「シン・アスカ、デスティニー、行きます!」

「ルナマリア・ホーク、インパルス、行くわよ!」

「ソラ・アオイ・・」

「ハル・ソーマ・・」

「ファルコン、出ます!」

「ブラッド・J・クロノス、ジャッジ、発進する!」

 デスティニー、インパルス、ファルコン、ジャッジが発進する。

「行くぞ、ゴッドガンダム!」

「ゼロ、オレを導いてくれ・・」

「ガンダムダブルエックス、行くぜ!」

 ゴッドガンダム、ウィングゼロ、ダブルエックスも動き出す。

Standing by.”

“マックス!”

“フォックス!”

“オックス。”

“ラビット!タンク!ベストマッチ!”

“クローズドラゴン!”

Are you ready?”

「変身!」

Complete.”

Sword form.

“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”

“チャージ・フォーックス!ソニックフォックス!ソリッドフォックス!ビース・ハイスピード!”

“スタートアップ・オックス。”

“鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!”

Wake up burning!Get Cross-Z dragon!Yeah!”

 光太郎、巧、良太郎、ノゾム、ソウマ、シゲル、戦兎、龍我もライダーへの変身を果たす。彼らもライオトルーパーたちを迎え撃とうとしていた。

 

 

 

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