ザ・グレイトバトル
-トゥルースピリッツ-
第4章
ゼロダークネスと戦うジードたち。そこへモモタロスが憑依している良太郎の運転するデンライナーが駆けつけた。
「デンライナー!良太郎も来ていたのか!」
シンがデンライナーを見下ろして声を上げる。
「みんな派手にやってるみたいだな!オレも最初からクライマックスだぜ!」
モモタロスが高らかに言い放って、デンライナーを動かすバイク「マシンデンバード」のアクセルを回す。
「いくぜ、いくぜ、いくぜー!」
良太郎がデンライナーを動かして、搭載されている武装でゼロダークネスとダークロプスゼロに砲撃を仕掛ける。
「アリの分際で小賢しいマネを・・」
ゼロダークネスが呟いて、デンライナーを攻撃しようとした。
「ゼロダークネス、お前の相手はオレだ!」
ガイがゼロダークネスに呼びかけると、オーブリングと「ウルトラフュージョンカード」を取り出した。
「ゾフィーさん!」
“ゾフィー!”
「ベリアルさん!」
“ウルトラマンベリアル!”
ガイがウルトラフュージョンカードの2枚、ゾフィーカードとベリアルカードをオーブリングにリードさせる。
「光と闇の力、お借りします!」
“フュージョンアップ!”
彼がオーブリングが高らかに掲げる。
“ウルトラマンオーブ・サンダーブレスター!”
オーブの姿が変化して赤、黒、銀の筋肉隆々の体格となった。ゾフィーとベリアルの姿と力を併せ持つ「サンダーブレスター」である。
「闇を抱いて、光となる!」
「ベリアルの力を使ってきたか・・どちらがベリアルに近いか、ここで白黒つけるとするか・・」
言い放つガイに、ゼロダークネスが笑みを浮かべながら言いかける。
「オレはベリアルさんで張り合うつもりはない・・この力を、平和を脅かすお前たちを倒すために使う!」
ガイは力に溺れることなく決意を口にして、オーブが構えを取る。
「平和のために・・情けないことを口にするとはな・・」
ゼロダークネスがあざ笑ってから、オーブに向かって飛びかかる。2人が互いの手をつかんで力比べを繰り広げる。
「僕も負けていられない・・僕だって、ウルトラマンなんだから!」
ジードがダークロプスゼロに追い詰められる中、リクが気を引き締めて、ジードライザーと2つのウルトラカプセルを手にした。「ゼロカプセル」と「ウルトラの父カプセル」である。
「ユーゴー!アイゴー!」
“ウルトラの父!ウルトラマンゼロ!”
リクがウルトラの父カプセル、ゼロカプセルを装填ナックルにセットする。
「ヒアウィゴー!」
“フュージョンライズ!”
彼がトリガーを押したジードライザーで、装填ナックルのカプセルをリードする。
「守るぜ、希望!」
ジードライザーを高らかに掲げて、トリガーを引く。
“ウルトラマンジード・マグニフィセント!”
ジードの姿が変化した。黒い腕と青い体、それを包む銀の鎧の姿に。
ゼロとウルトラの父の力を宿した「マグニフィセント」にジードは変身した。
「みんなも命懸けで戦っているんだ!僕も戦う!」
リクがいきり立って、ジードがダークロプスゼロと組み合う。今度はジードがダークロプスゼロを押していく。
ダークロプスゼロがゼロスラッガーを射出して、ジードを狙う。ジードが頭の角から電撃の鞭「メガエレクトリックホーン」を放って、ゼロスラッガーをはじく。
ジードがダークロプスゼロを押してから、緑色のエネルギーを集めた右のパンチ「メガボンバーパンチ」を繰り出す。ダークロプスゼロが体にパンチを受けて、はるか上空に突き飛ばされた。
「さすがゼロとウルトラの父の力。さすがだな・・・ダークロプス、ディメンションストームを放て・・」
ゼロダークネスが笑みをこぼして、ダークロプスゼロに命令を出す。ダークロプスゼロが胸部に搭載されている時空移動装置「ディメンションコア」を展開して、エネルギーを集中する。
「巨大なエネルギーが集まっている・・空間を歪めるほどの・・!」
「あれが放たれれば、この周辺の空間に亀裂が起こるぞ・・!」
ヒイロとブラッドがダークロプスゼロを見て声を上げる。
「そんなことはさせない!」
リクが言い放って、ジードライザーでカプセルを再びリードしてトリガーを引いた。ジードが稲妻を帯びたエネルギーを両手に集める。
“ビッグバスタウェイ!”
ジードがL字に組んだ腕から高出力の光線を放った。同時にダークロプスゼロがディメンションコアから光線を放つ。
2人の光線がぶつかり合って、激しい衝撃を巻き起こす。しかし2つのエネルギーは巨大ながら相対的で、次元を歪める効果を相殺した。
「ディメンションストームを打ち消すとは・・さすがベリアルの遺伝子を持つ者・・」
ゼロダークネスがジードを見て、さらに笑みをこぼす。
「だがオレたち相手にどこまで持つか・・」
彼が言いかけたところで、ダークロプスゼロが再びディメンションストームを放とうとした。
「4時の方向から高出力のエネルギーが接近している。直ちに回避行動を取れ・・!」
そのとき、ヒイロがウィングゼロのレーダーを見て、リクたちに呼びかける。ジードたちがとっさにその場から動く。
次の瞬間、大きな光が飛び込んできて、ダークロプスゼロに命中して木端微塵に破壊した。
「何だ、今のビームは!?・・戦艦のビーム砲か・・!?」
「違う!あれは・・!」
息をのむブラッドにシンが呼びかける。彼とルナマリア、ドモンは今のビームを撃った機体を知っていた。
「また違う世界に迷い込んじゃったけど、地球も月もあって、“サテライトシステム”もあったのは助かったかもしれない・・!」
「おかげで“Gファルコン”のエネルギーを温存できたよ。」
遠方にいるモビルスーツ「ガンダムダブルエックス」のパイロット、ガロード・ランとパーラ・シスが安心の声を口にする。今、ダブルエックスは戦闘機「Gファルコン」と合体していた。
月面の太陽光発電施設からエネルギーを供給する「サテライトシステム」。そのエネルギーを使って高い出力と威力のビームを放つ「サテライトキャノン」。
ダブルエックスにはその発展型「ツインサテライトキャノン」が装備されている。そのビームでダークロプスゼロを破壊したのである。
「これほどのビームを撃ってくるモビルスーツもいたとはな・・これだけの戦力をオレ1人で相手をするのは、簡単ではないか・・」
ゼロダークネスが言いかけて、ワイドゼロショットを放つ。
「やらせるか!」
ガイが叫んで、オーブが両腕を十字に組んで「ゼットシウム光線」を発射する。2人の光線がぶつかり合って、激しい爆発が起こる。
爆発が治まったときには、ゼロダークネスの姿は消えていた。
「逃げられたか・・!」
ガイが毒づいて、オーブがジードたちとともにダブルエックスに目を向けた。ダブルエックスがジードたちと合流した。
「久しぶりだな、みんな!初めてのヤツもいるな!」
ガロードがジードたちを見て気さくに声をかけた。
停車したデンライナーのそばで、リクたちは集まった。デンライナーの中には良太郎、イマジンのモモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、デンライナーのオーナーと乗務員のナオミの他、もう1人の青年がいた。
「ゼロ!ゼロ、デンライナーに乗っていたのか!?」
シンが青年、モロボシ・ゼロと対面して驚きの声を上げる。モロボシ・ゼロはウルトラマンゼロが地球人の姿へと変身したものだった。
「ゼロさんも来ていたんですね・・でもゼロさん、いったい何が・・!?」
リクがゼロを見て動揺を見せる。今のゼロが体調が悪いことは誰から見ても明らかだった。
「大勢の偽者のウルトラマンたちやロボットたちを1人で相手にしてて・・デンライナーが来たときにはもうヘトヘトで・・」
「何とか人間の姿になることができたけど、この状態になっちゃって・・」
ナオミとウラタロスがゼロの状態について説明する。
「脈拍360、血圧400、体温も90度以上。普通の人間ならとても生きてはいられない状態に、彼はあるのです。」
オーナーも続けてゼロのことを語りかける。
「そのゼロを助けたのが、デンライナーのみんなと、オレたちが操縦するダブルエックスだったってわけだ。」
ガロードが言いかけて、ダブルエックスを見上げる。
「あ、自己紹介がまだだったな。オレはガロード・ランだ。」
「あたしはパーラ・シス。Gファルコンのパイロットさ。」
ガロードとパーラがリクたちに自己紹介をする。
「それと、この子はティファ・アディールだ。」
ガロードが頬を赤くしながら、デンライナーから出てきた少女、ティファを紹介した。
「違う世界に住む人たち・・でもそれぞれの力と強い意思を感じる・・」
ティファがリクたちを見て言いかける。彼女はリクたちの持つ強さや意思を感じ取っていた。
「普通の子供ではないようだ。特殊な能力が備わっているようだが・・」
ヒイロがティファを見て言いかける。彼もティファが特殊な力を備えていることに気付いていた。
「ティファは人の心を感じることができるんだ。それと予知の力もある・・」
ガロードが真剣な顔でティファの能力について話す。
「希望の力が闇に引きずり込まれていくのを感じました・・そのことを話したら、ガロードが力を貸してくれて・・」
「それで、突然現れた宇宙の穴を見つけて、入ってったら別の宇宙だったってわけ。あたしらの話が通じないばかりか、一方的に悪者扱いしてきて・・」
ティファが事情を話して、パーラがこの世界の人々への不満を口にする。
「それは誰かがそう仕向けているからでしょ?悪いエサで魚を悪くするなんて、マナー違反もいいところだよ。」
ウラタロスも肩を落としながら言いかける。
「やっぱりいい魚をいいエサで釣るのが1番だよ。君みたいないい魚をね。」
彼がパーラに歩み寄って手を差し伸べてきた。
「バカやってんじゃねぇぞ!悪い魚はおめぇのほうだろうが、悪いカメが!」
そこへモモタロスが詰め寄ってきて、ウラタロスに文句を言ってきた。
「バカなのは先輩のほうだよ。先輩のバカさ加減に勝てるのはいないんじゃないかな〜?」
「何だとー、このスケベカメー!」
からかってくるウラタロスにモモタロスが怒鳴りかかる。
「2人とも、ケンカしてる場合じゃないってー!」
良太郎が慌てて2人を止めに入る。
「おわっ!」
ところが勢い余って、良太郎が前のめりに転んでしまう。
「おい、良太郎、大丈夫か!?」
「う、うん・・エヘヘ・・」
キンタロスが心配の声をかけて、良太郎が顔を上げて照れ笑いを見せた。
「相変わらず運が悪いみたいだな、良太郎は・・」
シンが良太郎たちの様子を見て笑みをこぼす。
「とにかく、ゼロさんがあんな状態じゃ戦えないし、ムリに動かすのも危ない。しばらくここにいたほうがよさそうだ。」
ガイが言いかけて、リクたちが真剣な顔で頷いた。
ゼロの体調がよくなるまで、デンライナーを停車してその場にとどまることになったリクたち。リクと良太郎、モモタロスたちがモビルスーツたちを見て回っていた。
「前にも見たことあるけど、ガンダムっていうのはいいもんだな!」
モモタロスがモビルスーツを見回して笑みをこぼす。
「オレはあのガンダムだな。格闘技するガンダムなんて燃えてくるじゃんかー!」
彼がゴッドガンダムに目を止めて喜ぶ。
「奇遇やな、モモの字!オレもそいつが気に入った!あの強さと戦い方は泣けるで!」
キンタロスも腕組みして大きく頷いて、ゴッドガンダムを見上げる。
「僕はやっぱりあれかな♪ズドーンと撃ったりズバーッと切ったりできるからねー♪」
リュウタロスがデスティニーを指さしてはしゃぐ。
「僕は女性が操縦するんだったら、それでいいかな。大事なのは見た目じゃなくて中身だからね。」
「お前は相変わらずそれやな。」
呟くように言いかけるウラタロスに、キンタロスが呆れる。そこで彼らが、ウィングゼロのチェックをしているヒイロを見つけた。
「よう!こんなときまでガンダムの整備ってヤツかよ!」
モモタロスが呼びかけるが、ヒイロは答えずにチェックを続けている。
「おいおい、無視すんなよ!挨拶ぐらいしろって!」
モモタロスがヒイロの態度に不満を覚える。彼がウィングゼロに近づいて、ヒイロを睨みつける。
「おい!ちっとは返事しろっての!」
モモタロスがさらに怒鳴ったところで、ヒイロが彼に目を向けた。
「おい・・」
「おっ!何だ!?やるってのか!」
ヒイロが声をかけて、モモタロスが笑みをこぼして構えを取る。
「少し黙っていてくれ・・」
ヒイロに無表情で言われて、モモタロスは言葉が出なくなってしまった。
「かなり無口でマイペースみたいだね。これはほっといたほうがよさそうだ・・」
ウラタロスがため息まじりに言って、良太郎が苦笑いを見せた。
「あの、良太郎さん・・あなたは、モモタロスたちと一心同体になって戦っているんですよね・・?」
リクが問いかけて、良太郎が頷く。
良太郎はあらゆる時間や現象による干渉を受けない「特異点」である。イマジンは過去を変えて現代や未来を壊そうとする未来の怪人で、人間と契約してその人の記憶を元に過去へ飛ぼうと企むが、特異点にはその契約による干渉も通じないのである。
「オレは派手に暴れられればそれでいいんだ!良太郎と一緒だと退屈しねぇからな!」
「僕はナオミちゃんたちがいるから退屈しないよ。」
「良太郎の強さはたまらんわ!せやからオレは力を貸すんや!」
「オレはお姉ちゃんを守りたいからね♪良太郎と一緒に戦うんだよ♪」
モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスがそれぞれ考えを口にする。
「僕も僕のやれることをやるだけだよ。僕たちの時間を守るために・・」
良太郎も自分の決心を口にする。戦う理由が違うが、彼らは一心同体となって敵と戦っているのである。
「イマジンの、怪人の力を使って、敵と戦う・・・」
リクが良太郎たちの話を聞いて、戸惑いを感じていく。
「僕も、この力でみんなを守っていかないと・・・」
「話は聞いたよ。君の中に、あのベリアルの力が宿っているんだよね・・」
改めて決意を固めるリクに、良太郎が話を聞く。
「でもその力が元々悪いものだったとしても、使い方次第でみんなを守る強さになる。僕とモモタロスたちみたいにね。」
「おめぇがベリアルの力を持ってるとしても、おめぇはおめぇってことだ!ドーンと構えてりゃいいんだよ!」
良太郎に続いてモモタロスがリクに呼びかける。彼に檄を飛ばされて、リクが笑みをこぼして頷いた。
良太郎たちとの会話を終えて、リクはゼロの様子を身に戻った。ゼロはまだ回復する様子が見られない。
「ゼロさん・・僕に、あなたを助けられる力があったなら・・・」
今のゼロを助けられるだけの能力がない自分を責めるリク。ジードは回復の能力や技を持ってはいない。
(今のオレにゼロさんのためにできるのは、ここを襲ってくる敵と戦うこと・・・)
リクは自分に言い聞かせて、込み上げてくる苦悩を振り払おうとした。彼がデンライナーから外に出たときだった。
3つの影が近づいてくるのにリクが気付いた。それは3人の宇宙人だった。
「あれは、宇宙人!」
リクが宇宙人たちを警戒して身構える。
「ストーップ!プリーズストップ!」
宇宙人の1人、バルキー星人ハルキがリクに呼びかける。
「あたしたちは、何も悪いことはしないわ!」
「ヒーローの偽者に追われてるんじゃなイカー!」
2人の宇宙人、ナックル星人ナクリとイカルス星人イカリが事情を話す。
「ヒーローの偽者って・・また偽ウルトラマンが・・!?」
彼らの話を聞いて、リクが緊張を覚える。
「ひ〜!来たわ〜!」
ナクリが悲鳴を上げて、リクが視線を移す。彼らの前に現れたのは外道シンケンレッドと闇のトッキュウ1号、そしてもう1人の戦士だった。
「何だ、あれは!?ウルトラマンでも仮面ライダーでもないみたい・・もしかしてあれが、スーパー戦隊っていうのか・・!?」
リクがスーパー戦隊の存在をその目で確かめた。3人目の戦士、魔導騎士ウルザードが剣「ウルサーベル」を手にして構える。
「この中には入れさせない!入ろうとするなら、僕が相手になる!」
リクがゼロやデンライナーを守ろうと、ウルザードたちの前に出る。
「リク、早まるな!」
ガイが駆けつけてリクに呼びかけて、オーブリングを手にした。
そのとき、リクとガイが持っていたジードライザーとオーブリングが手元からはじかれた。
「な、何っ!?」
突然のことにリクたちが驚く。次の瞬間、彼らの前に新たに1人の黒い戦士が現れた。
「い、いつの間に!?」
「超スピードだ・・目にも留まらないスピードで、攻撃を仕掛けてきたんだ・・!」
リクが声を上げて、ガイが黒い戦士、ダークカブトの能力に気付く。
超高速能力「クロックアップ」。ダークカブトはクロックアップで目にも留まらぬ速さで飛び込んで、ジードライザーとオーブリングをはじき飛ばした。
「これはイカがな展開!2人とも変身できないじゃなイカー!」
イカリが慌てふためいて悲鳴を上げる。ウルザードがリクを狙って前進して、ウルサーベルの切っ先を向ける。
そのとき、エンジン音が響いてきて、リクとウルザードが動きを止めた。振り向いた彼らの前に現れたのは、タイガーランナーに乗ったノゾムだった。
「あれは!?」
リクとガイがノゾムを見て声を上げる。ノゾムの駆るタイガーランナーが、リクとウルザードの間に割って入ってきた。
「やっと追いついたぞ・・これ以上いい気にさせるか・・・!」
停車したタイガーランナーから降りたノゾムが、ウルザードたちに向かって怒りの声を投げかける。
「ここでまとめて、オレがブッ倒してやる・・!」
“マックス!”
言い放つノゾムが、マックスカードをビースドライバーにセットした。
「変身!」
“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”
ビースドライバーの左上のボタンを押して、ノゾムがマックスに変身した。
「新しい仮面ライダーか・・!」
ガイがノゾムを見て声を上げる。
「オレの怒りは限界突破!」
ノゾムが言い放って、ウルザードに向かっていく。ノゾムが力を込めてパンチを繰り出すが、ウルザードに盾「ジャガンシールド」に防がれる。
「ぐあっ!」
ウルサーベルに切られて、ノゾムが突き飛ばされてうめく。
「くっ・・剣の勝負でも負けるつもりはないぞ・・!」
“シャーク!”
いきり立つノゾムがビースドライバーにシャークカードをセットして、左上のボタンを手にした。
“チャージ・シャーク!シャーシャーシャーシャー・シャークソード!”
ノゾムの手にシャークソードが握られる。彼がシャークソードを振りかざして、ウルサーベルとぶつけ合う。
しかしウルザードの的確な剣さばきに、ノゾムが劣勢を強いられる。
“ガンガン・シャークガーン!”
ノゾムがシャークソードの柄にあったスイッチを切り替えて、「ガンモード」にした。彼は柄にある引き金を引いて、シャークソードの切っ先からビームを放つ。
ウルザードがとっさにウルサーベルとジャガンシールドで、ビームを防ぐ。
「い、今のうちに・・!」
ノゾムとウルザードが戦っている間に、リクがジードライザーを拾おうとした。しかし彼の前にダークカブトが立ちふさがった。
「リク!」
ガイがリクを助けようとするが、闇のトッキュウ1号の妨害を受ける。
「こ、これじゃみんなやられてしまうわー!」
「こうなったらミーの出番・・!」
ナクリが悲鳴を上げて、ハルキが加勢しようとした。だが外道シンケンレッドが立ちはだかって、ハルキが動揺する。
「・・にはまだ早いみたいだ〜・・!」
「それはイカンぞ〜・・!」
尻込みするハルキに、イカリがツッコミを入れる。彼らに向かって外道シンケンレッドが、シンケンマルを構えて迫る。
そこへ新たなエンジン音が響いてきた。ソウマとウルフルスロットル、シゲルとイグアカートも駆けつけた。
「ノゾムのヤツ、もう戦っているぞ・・!」
「他のヤツも危ないな。オレたちも行くぞ・・!」
ソウマがノゾムを見て呆れて、シゲルが呼びかける
“フォックス!”
“オックス。”
ソウマがビースドライバーにフォックスカードをセットして、シゲルがビースブレスにオックスカードをセットしてリードライバーにかざす。
「変身!」
“チャージ・フォーックス!ソニックフォックス!ソリッドフォックス!ビース・ハイスピード!”
“スタートアップ・オックス。”
ソウマとシゲルがフォックスとオックスに変身した。
「オレの強さは疾風迅雷!」
「オレの力は天下無敵!」
2人が言い放って、ウルフルスロットルとイグアカートを走らせる。2台が割って入って、外道シンケンレッドと闇のトッキュウ1号が遠ざけられる。
「大丈夫か、アンタ!?」
「あぁ!すまない!」
シゲルが呼びかけて、ガイが笑みを見せて答える。
「ま、また新しい仮面ライダーじゃなイカー!」
そばでウルフルスロットルを止めたソウマに、イカリが声を上げる。
「ビースターじゃないみたいだけど、人間じゃないのも確かだな・・」
ソウマがハルキたちを見て、警戒を向ける。
「ミ、ミーはもう侵略も悪いこともしない!」
「ただひっそりと暮らしていたいだけなのよ!でもいきなりこの世界に引きずり込まれちゃって!」
ハルキとナクリが慌てながら事情を話す。ソウマがため息をついてから、近づいてきたダークカブトに目を向ける。
「お前たちを倒すのは簡単だからな。まずはアイツからだ!」
ソウマがダークカブトに攻撃を仕掛けることを決める。
「気を付けて!そのライダー、ものすごくスピードが速いよ!」
ジードライザーを拾ったリクが、ソウマに注意を呼びかける。
「心配はいらない。スピードにオレに敵うヤツはいない!」
ソウマが自信を見せて、ダークカブトに向かっていく。
“Clock up.”
ダークカブトがクロックアップを発動させて、ソウマが繰り出したパンチをかわした。
「何っ!?」
ダークカブトを見失い、ソウマが驚いて周りを見回す。次の瞬間、彼が強い衝撃を受けて、宙に跳ね上げられる。
クロックアップのスピードに、ソウマもついていけない。高速で動いているダークカブトには、周囲の動きはスローに見えていた。
「オレが、こんなに振り回されるなんて・・!」
地面に膝をついたソウマが、ダークカブトのスピードに毒づく。
「だけど、このまま尻尾巻いて逃げるのもかっこ悪いよな!」
ソウマが立ち上がって、アニマルカードの1枚「ジャッカルカード」を取り出した。
“ジャッカル!”
彼がビースドライバーにセットされているフォックスカードとジャッカルカードを入れ替える。
“チャージ・ジャッカール!ジャックスピード・ジャックソウル・ジャックジャックジャッカル!”
フォックスのスーツが黒と茶色に変わった。ソウマは「ジャッカルフォルム」へと変身した。
「これで少しは張り合えるか!」
ソウマが笑みをこぼして、ダークカブトに向かっていく。以前よりもスピードの上がったソウマだが、それでもダークカブトのクロックアップには追いつけない。
「ソウマ!」
シゲルが声を上げて、ソウマを援護しようとする。しかし闇のトッキュウ1号に行く手を阻まれる。
「これじゃ人数的にも戦力的にも不利か・・!」
シゲルが危機感を覚えて焦りをふくらませていく。
「こうなったらジードになって、一気に終わらせるしか・・!」
リクが危機を打開をしようと、ジードライザーを構えた。
「ちょっと待った!」
そこへ声がかかって、リクたちとダークカブトたちが振り向く。彼らの前に2人の青年が現れた。
「あの3人は“スマッシュ”じゃないみてぇだ・・仮面ライダーもオレたちとは違う・・!」
青年の1人、万丈龍我がハルキたちやダークカブトを見て驚きを見せる。
「どうやらここは、オレたちがいたのとは違う世界、いわゆるパラレルワールドってヤツだな。」
もう1人の青年、桐生戦兎が言いかける。
「パ、パラ・・パラソルワールド!?」
「バカ。パラレルワールドだ・・平行世界ともいって、次元を隔ててたくさんの世界が存在しているって話だ。」
龍我が疑問符を浮かべて、戦兎が呆れながら答える。
「ここはオレたちの世界とは違う世界。ここにいる人やライダーたちもこの世界の住人じゃないだろう。」
戦兎が状況を確かめながら考えを巡らせていく。
「あれはマックス・・ノゾムじゃないか!」
戦兎がノゾムを見て声を上げる。2人は知り合いの仲で、再会を果たすこととなった。
「お前は戦兎・・もう1人は初めて見るけど・・」
ノゾムが戦兎と龍我を見て呟く。
「となると、ノゾムたちが戦っているアイツらは、オレたちの敵ってことになるな。」
「そうと分かれば話は早ぇ!さっさとブッ倒しちまおうぜ!」
ダークカブトたちを見て判断する戦兎と、意気込みを見せて自分の拳を打ち合わせる龍我。
「情報交換をしたいけど、それは後回しだな。さぁ、実験を始めようか。」
戦兎が言いかけると、ボトル「フルボトル」を2種類取り出した。彼は2つのフルボトル、赤い「ラビットフルボトル」と青い「タンクフルボトル」を振る。
“ラビット。”
“タンク。”
“ベストマッチ!”
戦兎が2本のフルボトルをベルト「ビルドドライバー」にセットする。彼はドライバーの右側にあるレバーを回して、フルボトルの成分を混ぜていく。
“Are you ready?”
戦兎の前後にプラモデルのランナーのような枠が現れた。
「変身!」
構えを取った彼の体を、枠内の装甲が合わさるように包み込んだ。
“鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!”
半分が青、半分が赤の装甲をした戦士へと変身した戦兎。彼はフルボトルの力を振るう仮面ライダー、ビルドとなった。
「よし!オレも負けてらんねぇ!」
龍我が飛行してきた小さなドラゴン「クローズドラゴン」を手にした。
“ウェイクアップ!”
龍我はクローズドラゴンをガジェット状態へと変えて、フルボトル「ドラゴンフルボトル」をセットする。
“クローズドラゴン!”
彼は装着しているビルドドライバーにクローズドラゴンをセットして、右側にあるレバーを回す。
“Are you ready?”
彼の前後にも枠が現れた。
「変身!」
“Wake up burning!Get Cross-Z dragon!Yeah!”
枠内の装甲に包まれて、龍我は仮面ライダー、クローズへと変身した。
「新しいライダーが2人現れたぞ・・!」
シゲルが戦兎たちを見て声を上げる。戦兎と龍我がダークカブトたちの前に立ちはだかった。