ザ・グレイトバトル

-トゥルースピリッツ-

第3章

 

 

 ガイとの再会を果たしたリクたち。彼らがいる地球の人々は、他の世界におけるヒーローが敵だと思っていた。

「平和を守っているみんなを悪者だと思い込ませるなんて・・!」

「そうさせている敵の正体を暴けば、みんなオレたちを信じるようになるはずだ・・!」

 シンとドモンがこの現状に対する怒りを覚える。

「それで、敵の居所や正体は分かっているのか?」

「それは分かっていない。だが敵の手口は予測が付いている。」

 ブラッドの問いかけにガイが答える。

「敵はウルトラマンたちヒーローの偽者を送り込んでいる。宇宙人が偽者に化けたり、姿かたちがそっくりのロボットを使ったりしている。」

「偽者・・ザラブ星人みたいに、ですか・・!?

 ガイの話を聞いて、リクがザラブ星人のことを思い出す。

「ザラブ星人もか・・アイツも、今回の事件の尖兵の1人かもしれないな・・」

「ウルトラマンに化けて悪さをして、本物も悪い人だと思い込ませるなんて・・・!」

 ガイが呟いて、リクが敵への怒りを感じていく。

「でも、モビルスーツまで嫌われるようにするのだったら、そこまで手の込んだことをしなくても・・」

 ルナマリアが巡らせた考えを口にする。

「ウルトラマンは地球を守る存在としてみんな戦っているけど、モビルスーツはあくまで武器や兵器。使う人によって、みんなを守る武器にもなれば、みんなを傷付ける兵器にもなる・・」

「みんなを傷付けたり利用したりするパイロットや軍、組織もいる・・オレたちの世界でも、イヤになるくらいいた・・・」

 ルナマリアに続いてシンも語りかける。戦争の辛さや怒り、悲しみを彼は強く痛感していた。

「偽者をわざわざ用意しなくても、悪く見せることが簡単なのか・・・」

 ガンダム、モビルスーツの使い方と戦争について知って、リクは辛さを覚える。

「オレたちもガンダムも同じだ。使うヤツによってどんな力かが変わってくる・・」

「ガンダムやモビルスーツが悪い存在となるのは、使う者が悪いからだ。正しい使い方をすれば、戦いを止める抑止力になる。」

 ドモンもヒイロもモビルスーツについて語る。

 モビルスーツ、ガンダムも搭乗者が動かすものでしかない。その存在自体に悪も罪もない。使う者によって悪と化してしまうのである。

「力の使い方を間違えれば悪になってしまう。それはウルトラマンも、他のヤツも同じだ。」

「使い方を間違えれば・・・ベリアルの力を持つ僕も・・・」

 ガイが言いかけて、リクが自分に宿っている悪しき力を噛みしめる。

「ベリアルって・・リク、お前は・・・!?

 シンがリクの口にした言葉を聞いて、息をのむ。

「僕は、ベリアルの遺伝子を植え付けられたウルトラマンなんです・・」

 リクがガイたちに自分のことを打ち明ける。

「ベリアル・・厄介な力をしょい込んじまったものだな・・」

 ガイがリクの心境を察して、深刻さを覚える。

「ベリアル。M78星雲・光の国のウルトラマンの中で唯一闇に染まったウルトラマン。そうだったな、ドモン?」

「あぁ。お前らから話を聞いたぐらいだけど、物騒なヤツだったってことはオレにも分かるな。」

 ヒイロとドモンがベリアルについて語る。

「オレもベリアルの闇の力が強力か、オレも身をもって味わってる・・・」

 ガイが記憶を思い返して、深刻な顔を浮かべる。

「自分の中に元々あるものを取り払うことはできない。そんなことをしようとしても、そいつはさらに強くなって自分を縛る。だからそいつも他のものも全部ひっくるめて、抱えて生きていくだけだ。」

 ガイは続けて言いかけて、握った自分の右手を見つめる。悪い部分を消し去ろうとするのではなく、抱えたまま乗り越える。その強さを彼は実感していた。

「自分にあるものを受け入れて生きていく・・自分の意思で自分の生き方を選んで、運命を受け入れる・・」

 シンもこれまでの戦いを思い返して、自分の決意を噛みしめる。

「オレは戦争で家族を失った。戦争そのものもだけど、力がなかった自分も憎んだ。だからザフトに入った・・」

「シンさん・・・」

 自分のことを語り出したシンに、リクが戸惑いを覚える。

「どうすれば敵に勝てるかは、見つけるのは難しくはない。だけど何が正しいのかを見つけるのは、簡単なことじゃない。迷いなく信じ続けられるヤツもいるけど、間違いをしたときに取り返しがつかなくなってしまう・・」

「だから私たちは、戦いを続けながら自分で決めたんです。何が正しいことなのかを、経験してきたことを踏まえて・・」

 シンに続いてソラも話を続ける。

「自分の信じる道を貫くことは悪いことじゃない。だけどそのために他のヤツのことをまるで考えないのはダメだ・・」

 シンが話を続けて、思いつめた顔を浮かべた。

「誰にだって正義や戦う理由、守りたいものがある。それを無視してただ言い返すだけで、自分の力や考えを押し付けても、何の解決にもならない・・」

「敵の意思を知り、戦争の根絶のために戦う。それも理屈ではなく感情のままに・・」

 シンの話を聞いて、ヒイロが頷く。

「感情の赴くままに戦うのは、正しい生き方だ。理屈も裏表もなく、心が真っ直ぐだからな。」

「感情の赴くままに・・そうかもしれないですね。悩んだり迷ったり考えたりすることも多いですけど、最後は気持ちで答えを出した・・」

 ヒイロの言葉を聞いて、ハルが納得する。

「みなさん、すごいですね・・きちんと自分の答えを出していて・・」

 ガイたちの話を聞いて、リクが物悲しい笑みを浮かべた。

「そういうお前だって、自分の答えを出したはずだ。だから今のお前がいる。そうだろう?」

 ガイがリクの肩に軽く手を乗せて、檄を飛ばす。

「それにこれからも自分の答えを見つけるときが来る。言葉や頭だけじゃなく、拳で見出すこともある。」

 ドモンも続けてリクに言いかける。

「僕が決める、僕の答え・・・」

 リクが気持ちの整理をして、落ち着きを取り戻していく。

「ありがとうございます、みなさん。僕、これからも戦い続けます・・平和を壊す悪と・・自分自身と・・」

 微笑んで感謝するリクに、ガイたちも笑みを見せた。

「おしゃべりがすぎたようだ。そろそろ移動するぞ。」

 ヒイロが周囲に注意を向けて言いかける。

「このおかしなことを仕出かした親玉を見つけ出して、絶対に元の世界に戻ってやるぞ・・!」

 ドモンが意気込みを見せて、右の拳と左手を打ち合わせる。

「この地球の人に話を聞きたいけど、みんな僕たちのことを敵だと思い込んでいる・・簡単に話が聞けるとは思えない・・」

「自分の目で見て、原因を見つけるしかないみたいね・・」

 ハルとソラが現状を確認して、深刻さを感じていく。

「場所を変えるぞ。この辺りには何もない。」

 ブラッドが呼びかけて、リクたちが頷く。

 シンたちはそれぞれの機体に乗り込んだ。リクはデスティニーに、ガイはウィングゼロに乗った。

 

 地球の上空を飛行するデスティニーたち。シンはリクからさらに話を聞いていた。

「ゼロと一緒にいたのか・・?」

「はい。ゼロさんは僕のことを助けてくれました。ベリアルとも因縁がありましたし・・」

 シンが声を上げて、リクが答える。

「ゼロは空間を飛び越える能力を持っている。お前がこっちの世界に引きずり込まれる直前にゼロと一緒にいたなら、お前を捜しに追いかけてくるはずだ。」

「はい。必ずまた会えます。それまで僕ががんばらないと・・」

 ゼロのことを信じて、シンとリクが頷いた。

「シンさんたちは、他の世界の人たちとたくさん会っているんですよね・・?」

「あぁ。ヒイロと会ったのは今回が初めてだけど・・」

 問いかけるリクにシンが答える。

「オレたちの知らないいろんな世界がある。考え方も経験してきたことも違うけど、自分を貫くため、大切なものを守るために力を合わせて戦ったんだ。」

 別次元での戦いを思い出すシン。彼の話を聞いて、リクが戸惑いを感じていく。

「いつも会えるわけじゃないけど、一緒に戦った事実と記憶は消えない。」

「違う世界の人との出会い・・そこで僕は、何か答えを出せるだろうか・・・」

「自分の答えは、自分で出すしかない。誰かの言うことを丸々受け入れる選択肢もあるけど、それでも決めるのは自分だ・・」

「決めるのは、自分・・」

 シンの言葉を聞いて、リクは自分の気持ちを整理する。

「焦ることはない。オレもみんなもすぐに自分のことを決められたわけじゃない。悩んだりたくさんのことを経験したりして、答えを見つけることができたんだから・・」

 シンから励まされて、リクが微笑んで小さく頷いた。自分もガイやシンたちのようにたくさんのことを経験していくことになると、リクは思っていた。

「ところでシンさん、どこか行くあてはあるのですか・・?」

 リクがシンに疑問を投げかける。

「あてはない。ただこちらが動けば、敵は何か仕掛けてくるし、敵を追っている味方が気付けばオレたちと合流してくるはずだ。」

「そんな・・それじゃ一か八かの賭けじゃないですか・・」

「動き出さないと何も起こらないし、手がかりもつかめない・・危険のない戦いなんてないんだ・・」

「動き出さないと何も起こらない・・ジーッとしてでも、ドーにもならない・・!」

 シンの言葉を背に受けて、リクが気を引き締めなおす。

「あまり気負い過ぎなくていい。今はオレたちもいるんだからな。」

「はい、シンさん・・」

 シンが微笑んで、リクも笑みを見せて頷いた。

「シン、こっちに向かってくる熱源があるわ。」

 インパルスのルナマリアがシンたちに呼びかけてきた。

「モビルスーツか?それとも他のロボットか?」

「分からない。数は5。」

「姿を確認しないうちは判断できそうにない・・」

 シンが聞いて、ルナマリアとソラが答える。

「見えた。」

 ヒイロが近づいてくる影を視認した。

「あれは、ウルトラマン・・!?

 リクも5つの姿を目撃した。5人ともウルトラ戦士。ゾフィー、ウルトラマン、セブン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンエース。「ウルトラ5兄弟」に見えた。

「よかった。心強い味方ですよ・・」

「違う・・あれはウルトラマンさんたちじゃない!」

 リクが安心を浮かべたところで、ガイが声を上げる。姿はウルトラマンたちとそっくりだが、体にプロテクターが付けられている。

「ウルトラマンたちの偽者だ!みんな、散開だ!」

 シンが呼びかけて、デスティニーたちが別れて動く。偽者のウルトラマンとジャックが両腕を十字に組んで、「スペシウム光線」を撃ってきた。

 デスティニーたちが光線を回避するが、偽ウルトラマンたちが追走していく。

「各個に迎撃したほうがいいわ!」

「私たちはルナマリアさんを援護します!」

 ルナマリアとソラが呼びかける。インパルスとファルコンが偽セブンを迎え撃つ。

 デスティニーが偽ゾフィーを、ジャッジが偽ウルトラマンを、ゴッドガンダムが偽ジャックを、ウィングゼロが偽エースを迎撃する。

 デスティニーがビームライフルとビーム砲を発射するが、偽ゾフィーはスピードとバリアでかいくぐる。

 ジャッジがビームライフルを連射するが、偽ウルトラマンも正確に回避する。

 偽ジャックが上空から降下して繰り出したキックを、ゴッドガンダムがパンチを繰り出してぶつけ合う。攻撃が相殺されて、ゴッドガンダムと偽ジャックが突き飛ばされる。

「コイツ、できる・・本物でないのに・・!」

 偽ジャックの力を実感して、ドモンが毒づく。

 偽エースが放つ様々な形の光の刃を、ウィングゼロが加速してかわす。続けてウィングゼロがツインバスターライフルを発射するが、偽エースも素早くかわす。

「偽者とはいえエースさん・・スピードも技もキレがいい・・!」

 偽エースの動きを見て、ガイが毒づく。デスティニーたちと偽ウルトラ兄弟の戦いは拮抗していた。

「僕も戦いまず!僕も加勢すれば・・!」

「ダメだ!まだ他に敵がいるかもしれない!」

 ジードに変身しようとしたリクを、シンが呼び止める。

「ここもいろんな世界の人たちが引きずり込まれている・・味方だけじゃなく、敵もたくさんいる・・オレたちが消耗した所を狙ってくる卑怯なヤツも・・!」

「でも、これじゃシンさんたちが・・・!」

「オレたちはこのくらいのことで負けたりはしない・・もっと厳しい戦いを、オレは続けているんだ・・!」

 心配するリクにシンが強い意思を告げる。過信や慢心ではない、自信を超えた確信を彼らが持っているのを、リクは感じ取った。

「そう・・私たちは悲劇を終わらせるために戦う・・!」

「私たちはそうするって決めたんだから!」

 ルナマリアとソラが自分の決意を口にする。インパルスとファルコンが時間差でビームライフルを発射して、偽セブンを追い込んでいく。

 偽セブンがアイスラッガーを放って、インパルスとファルコンが左右に動いてかわす。アイスラッガーは軌道を変えて、ファルコンに再び向かっていく。

「ソラ!」

「うんっ!」

 ハルとソラが声をかけ合って、ファルコンの操縦を代わる。ハルの駆るファルコンが2本のビームサーベルを手にして、アイスラッガーをはじく。

 偽セブンが両腕をL字に組んで、光線「ワイドショット」を放つ。ファルコンがワイドショットをかわして、偽セブンに向かっていく。

 そのとき、インパルスがビームライフルを発射して、偽セブンがとっさに額のビームランプから「エメリウム光線」を放つ。2つのビームがぶつかり合って相殺される。

 次の瞬間、飛び込んできたファルコンがビームサーベルを振りかざした。体を斬られた偽セブンが落下して、空中で爆発した。

「やった!ウルトラマンの偽者をやっつけたよ!」

「援護ありがとうございます、ルナマリアさん!」

 ソラが喜んで、ハルがお礼を口にする。ルナマリアが頷いてから、デスティニーたちの戦いに目を向けた。

 

 接近戦を狙ってくる偽ウルトラマンに対して、ジャッジは銃撃戦に徹していく。

「近づいてくるならそこを狙い撃ちするだけだ。」

 ブラッドが冷静に戦況を見極める。ジャッジがレールガンを発射して、偽ウルトラマンに命中させていく。

 偽ウルトラマンが射撃を脱出して、スペシウム光線を放つ。ジャッジは光線をかわして、偽ウルトラマンに詰め寄ってレールガンを構えた。

「関わった時間は少ないが、オレにも分かる。本物の強さはその程度ではない。」

 ブラッドが言いかけて、ジャッジのレールガンから放たれたゼロ距離のビームが、偽ウルトラマンを吹き飛ばした。偽ウルトラマンが電気発しながら爆発を起こした。

「どのような状況も潜り抜ける強さを持っていると、オレにも分かる。」

 ブラッドは冷静に呟いてから、デスティニーたちの戦いに目を向けた。

 

 ゴッドガンダムと偽ジャックの激闘。激しいパンチとキックのぶつかり合いが、周囲を揺るがす。

「さすがウルトラマン、光の国の巨人ってヤツだ!オレの拳と魂を振るわせてくれる!」

 ドモンが強さを実感して笑みをこぼす。

「だがやはりお前は偽者!お前からは熱さを、心と魂を感じない!」

 ドモンが言い放って、ゴッドガンダムが偽ジャックに向かっていく。

 偽ジャックが左腕に装備している万能武器「ウルトラブレスレット」を外して投げつける。光の刃となったウルトラブレスレットを、ゴッドガンダムはゴッドスラッシュを手にしてはじく。

「見せてやる!本物の強さを、武闘家の魂を!」

 ドモンが意識を集中して、ゴッドスラッシュにエネルギーが集まって炎を発する。

「爆熱・ゴッドスラッシュ!」

 ゴッドガンダムがゴッドスラッシュを振りかざして、炎の一閃を放つ。偽ジャックがウルトラブレスレットを変形させた盾「ウルトラディフェンダー」で防ごうとしたが、止め切れずに体ごと切りつけられた。

 偽ジャックが力尽きて、落下しながら爆発した。

「これが本物のファイターの魂、本物のファイトだ!」

 ドモンが言いかけて、両手を強く握りしめた。

 

 様々な光線を仕掛ける偽エースだが、ヒイロは技の効果を的確に見抜いて、ウィングゼロが正確にかわしていく。

「お前は技に頼りすぎて、敵を追い込むように使い切れていない。技の数をそろえただけでは意味はない。」

 ヒイロが冷静に告げて、ウィングゼロがツインバスターライフルを構えてエネルギーを集める。

「ターゲット、ロックオン。」

 狙いを偽エースに定めて、ウィングゼロがツインバスターライフルを発射する。偽エースが振りかぶった両腕をL字にして「メタリウム光線」を放つが、ウィングゼロのビームに押された。

 偽エースが大きなビームに包まれて、爆発して光の中に消えていった。

「なかなかやるな、お前。正確な操縦だ。」

 ガイがヒイロの腕前とウィングゼロの性能に感心する。

「敵の排除を確認。改めて状況を分析する。」

 ヒイロが周囲に目を向けて、戦況を確かめていた。

 

 デスティニーと偽ゾフィーの攻防。威力のある光線を放つ偽ゾフィーだが、デスティニーは残像を伴った高速でかいくぐっていた。

「オレは負けない!偽者の力に負けはしない!」

 シンが言い放って、ビームソードを手にして構える。

 偽ゾフィーがエネルギーを集中して「M87光線」を発射した。デスティニーは光線をかわして、ビームソードを振り下ろした。

 偽ゾフィーが切りつけられて怯む。デスティニーがビームソードを振り上げて、さらに偽ゾフィーを切り裂いた。

 偽ゾフィーが落下して、力尽きて爆発した。

「やった・・これでウルトラ兄弟の偽者は全員倒したな・・」

 シンがひと息ついてから、周りを見回す。

「すごい・・ガンダムで、ウルトラ兄弟に勝ってしまうなんて・・・!」

 シンたちとデスティニーたちの力に、リクが戸惑いを覚える。

「敵が何者なのかはまだ分からないな・・ルナたちと合流して、また移動を・・」

 シンが考えを巡らせながら言いかけた。

 そのとき、デスティニーのレーダーが、新たに接近してくる熱源を捉えた。

「また何か来るのか・・!?

「敵なのか、味方なのか・・・!?

 シンとリクが警戒を強める。デスティニーに向かって赤い光の玉が飛んできた。

「ゼ、ゼロさん・・違う!あれは・・!」

 リクが目を凝らして、光の玉の正体に気付く。

 光の玉から現れた巨人はゼロに似ていた。しかしそれは彼を模したロボット、ダークロプスゼロだった。

「ダークロプスゼロ・・アイツも出てきたのか!?

 シンがダークロプスゼロを見て毒づく。

「そいつもウルトラマンの偽者だろ!?オレがブッ飛ばしてやるぜ!」

 ドモンが自信を込めた笑みを浮かべて、ゴッドガンダムがダークロプスゼロに向かっていく。

「気を付けて!今度はさっきの偽者とは違うわ!」

 ルナマリアがとっさに呼びかけるが、ゴッドガンダムは止まらずにパンチを繰り出した。ダークロプスゼロは左手を掲げて、ゴッドガンダムのパンチを受け止めた。

「何っ!?

 攻撃を止められたことに驚くドモン。ゴッドガンダムがパンチを押し込もうとするが、ダークロプスゼロは平然としている。

「オレのパンチが、効かない・・!?

 ドモンが毒づいて、ダークロプスゼロがゴッドガンダムの右手を振り払う。とっさに後ろに下がるゴッドガンダムに向かって、ダークロプスゼロがゼロスラッガーを投げつける。

「ここは一斉にかかったほうが・・!」

「待って!またこっちに来る反応が!」

 言いかけたハルにソラが呼びかける。レーダーがさらに3つの反応を捉えていた。

「あれは・・ダークロプスが2人・・もう1人はダークロプスとは違う・・!」

 ブラッドが駆けつけた影を見て言いかける。2人はダークロプスゼロだったが、もう1人は彼らよりもゼロに近い姿をしていた。

「あの姿・・ゼロさんから聞いたことがある・・・ゼロさんがベリアルに乗っ取られた、ゼロダークネス・・・!」

 リクが闇の巨人、ゼロダークネスを見て緊張をふくらませる。

 ゼロはかつてベリアルに体を乗っ取られたことがある。その漆黒の姿がゼロダークネスである。

「ウルトラ5兄弟に勝つとはさすがだ・・だが、本当の地獄はこれからだ・・」

 ゼロダークネスがデスティニーたちを見て笑みをこぼす。

 他の2人のダークロプスゼロもゼロスラッガーを放つ。デスティニーたちがビームソードやビームサーベルを手にして、ゼロスラッガーをはじく。

 そこへゼロダークネスが右手をかざして、稲妻を帯びた赤い光を放ってきた。

「ぐあっ!」

 デスティニーたちが光に押されて、シンたちがうめく。

「お前も闇の力に屈したことがあったな・・まずはお前からだ、デスティニー・・」

 ゼロダークネスがデスティニーに狙いを定める。

「お前たちが世界をおかしくするっていうなら、オレはお前たちを倒す!」

 シンが言い放って、デスティニーがビームソードを構える。ゼロダークネスが右腕を振りかざして、赤い光の刃を放つ。

「ぐっ!」

 ビームソードと赤い刃がぶつかり合って、デスティニーが突き飛ばされてシンがうめく。

「シン!」

 デスティニーが地上に倒れて、ルナマリアが叫ぶ。

「呆気ないが、これで終わりにする・・他のヤツも後を追わせてやるから安心するんだな・・」

 ゼロダークネスが笑みをこぼして、両腕にエネルギーを集めていく。

「このままじゃやられてしまう!」

 リクが思い立って、ジードライザーとウルトラカプセルを手にした。

「ユーゴー!アイゴー!ヒアウィゴー!」

“ウルトラマンジード・プリミティブ!”

 彼はジード・プリミティブに変身して、ゼロダークネスの前に立ちはだかった。

「出てきたか、ジード・・だがその姿でオレを止められるかな・・?」

 ゼロダークネスがあざ笑って、ジードとデスティニーに向かって、両腕をL字に組んでの光線を放った。

“レッキングバースト!”

 ジードも光線を出して迎え撃つが、ゼロダークネスの光線に押されていく。

「リク、離れろ!」

 シンが呼びかけて、デスティニーとジードがとっさに横に動く。ゼロダークネスの光線が地上に当たって、地面を大きくえぐる。

「な・・何で威力だ・・・!」

 ゼロダークネスの光線の破壊力に、ドモンが息をのむ。

「あれじゃジードがやられる!オレも行くしかない!」

 ガイがジードを助けようとして、オーブリングを掲げた。

“ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオン!”

 彼はオーブ・「ペシウムゼペリオン」となって、ジードと合流した。

「ムチャをするな!アイツはとんでもない邪悪な力を持っているぞ!」

「は、はいっ!」

 ガイが呼びかけて、リクが答える。ゼロダークネスが笑みを浮かべる中、ダークロプスゼロたちが飛びかかる。

「今度は僕たちが、みなさんを守ってみせます!」

 リクが言い放って、ジードとオーブがダークロプスゼロたちを迎え撃つ。

 オーブがダークロプスゼロの1体と交戦して、互角の戦いを繰り広げる。だがジードはダークロプスゼロの力と頑丈な体に押されていく。

「私たちでリクを、ジードを援護しよう!」

「うんっ!」

 ソラが呼びかけて、ハルがファルコンを駆る。ダークロプスゼロの1人が、加速するファルコンの振りかざすビームサーベルをかわしていく。

「ソラ、ハル、私たちがいることも忘れないで!」

 ルナマリアが呼びかけて、インパルスもビームライフルを発射する。ダークロプスゼロが手をかざしてビームを防ぐ。

 その間にヒイロがダークロプスゼロに狙いを定めて、ウィングゼロがツインバスターライフルを構える。

「お前たち、すぐに離れろ・・!」

 ヒイロが呼びかけて、ウィングゼロがツインバスターライフルを発射する。同時にインパルス、ファルコンが離れて、ダークロプスゼロの1人が鋭いビームに体を貫かれて爆発した。

「なかなかやるな、ガンダムのヤツらも、オーブも・・」

 ゼロダークネスが笑みをこぼすと、ダークロプスゼロと戦っているオーブに目を向ける。

「まずはお前から始末するぞ、オーブ・・」

 ゼロダークネスがオーブに向かって再びワイドゼロショットを放つ。オーブがとっさにかわして、外れた光線がダークロプスゼロの1人に命中した破壊した。

「アイツ、仲間を攻撃するなんて・・!」

 ゼロダークネスの戦い方に、リクが怒りを覚える。

「オレ以外のヤツは全員、オレの駒に過ぎないんだよ・・」

 ゼロダークネスは悪びれる様子もなく笑みをこぼしていた。

「次は外さないぞ・・さっきのダークロプスのように、木端微塵に吹き飛ばしてやるぞ・・」

 ゼロダークネスがオーブに再び狙いを定める。

「お前のような、仲間を傷付けて平気でいるヤツを許してはおかないぞ!」

 ガイがゼロダークネスに向かって怒りの声を上げた。

「ちょっと待ったー!」

 そこへ声がかかって、ジードたちとゼロダークネスたちが振り向く。彼らのいる場所の地上を、1列の電車が線路を形成しながら走ってきた。

「オレ、参上!」

 電車「デンライナー」の運転席から、少年、野上(のがみ)良太郎(りょうたろう)に憑依している怪人「イマジン」の1人、モモタロスが高らかに言い放つ。電王(でんおう)・「ソードフォーム」となっている彼が、デンライナーで駆けつけた。

 

 

 

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