ザ・グレイトバトル

-トゥルースピリッツ-

第2章

 

 

 様々な世界、様々な宇宙。次元や空間を隔てて、世界は無数に存在して、そっくりな宇宙や地球のある世界もある。

 パラレルワールド、平行世界とも言われている。

 その中の1つの宇宙に、ジードは飛び出した。

「ここは・・地球がある・・・」

 リクが声を上げて、ジードが周りを見回す。彼は近くに地球があるのを目撃した。

「今は地球に降りるしかない・・エネルギーが残りわずかだ・・・!」

 リクは決断を下して、ジードが地球に降りた。地上に着地したところでエネルギーが尽きて、ジードの姿が消えてリクの姿に戻った。

「早くゼロさんと合流したいけど、体力を回復しないことには・・・」

 ゼロのことを考えるも、再びジードになるには少し体を休ませなくてはならないことを、リクは自覚していた。

 そのとき、リクが地球に落下してくる影を目撃した。影は彼の近くに着地して、姿を現した。

 それはデスアーミー。ジードより先に穴に吸い込まれたデスアーミーたちのうちの5体が、リクの前に現れた。

「さっきのロボット!こんなときに・・!」

 リクが身構えて、デスアーミーたちの動きをうかがう。今の彼にジードに変身する力は残っていない。

 デスアーミーたちがリクを視認して、ビームライフルを構えた。

 そのとき、一条の光が飛びこんできて、デスアーミーの1体の頭を貫いた。撃たれたデスアーミーが倒れて爆発を起こした。

「な、何だ!?

 リクが声を上げて、光が飛んできたほうに目を向ける。彼とデスアーミーたちのいるところに向かって、1機の戦闘機が降りてきた。

 戦闘機が変形して、人型に変わった。モビルスーツ「ファルコン(エックス)」である。

「やったわ、ハル!このまま押し切るよ!」

「分かった!でもソラ、気を付けて!」

 ファルコンのパイロット、ソラ・アオイとハル・ソーマが声をかけ合う。

「また新しいロボット・・でも、あのロボたちと戦おうとしている・・・!」

 リクがファルコンが味方ではないかと判断する。デスアーミーたちがビームライフルの矛先を、彼からファルコンに移す。

 ファルコンがビームライフルを手にして動き出す。デスアーミーたちがビームライフルを発射するが、ファルコンは加速してビームをかわす。

「速い・・ビームの連続を、すごいスピードでかわしている・・!」

 ファルコンの動きにリクが驚く。ファルコンがビームライフルを発射して、デスアーミーの頭部を撃ち抜いていく。

 デスアーミーたちを攻め立てるファルコンに、リクは驚くばかりだった。

「まさかお前がこんなところにいるとはな!」

 そこへ声をかけられて、リクが振り返る。彼の前に仮面を着けた1人の男が現れた。

「マグマ星人!お前も地球に来ていたのか!?

 リクが振り返って、サーベル暴君、マグマ星人を警戒する。

「その言い方は正しくないな。“お前がこの地球に来た”というのが正解だ!」

 マグマ星人が言い放つと、右手にサーベルを装着した。

「何を言っているんだ!?お前より僕のほうが先に地球に来ているはずだ!」

 彼の言葉の意味が分からなくて、リクが言い返す。

「ならば分かりやすく言ってやろう。この地球はお前の知っている地球ではない。この宇宙、この世界そのものも!」

「宇宙も、世界もって・・もしかして、ここは・・!?

 マグマ星人の話を聞いて、リクが不安を覚える。

「多次元宇宙“マルチバース”。この世界はその1つで、お前がいたのとは別の世界だ。」

「マルチバース・・つまりここは、僕が知っている地球じゃない・・パラレルワールドってヤツか・・!」

 マグマ星人の話を聞いて、リクが納得する。

「ようやく分かったか。だが分かったところで意味はない。お前はここでオレに倒されることになるのだからな!」

 マグマ星人が言い放って、サーベルを構えてリクに向かっていく。リクはまだ、ジードに変身できるまでに力が回復していない。

「待てー!」

 そこへ声がかかって、マグマ星人が足を止めた。振り向いた2人の前に、赤いマントと鉢巻を身に着けた1人の男が立っていた。

「何だ、お前は!?オレの邪魔をするなら命はないぞ!」

「そのファイト、オレが相手になってやる!」

 声をかけるマグマ星人に、男が自信を見せて呼びかける。

「身の程知らずが・・ならばお前から先に、このサーベルの餌食にしてくれる!」

 マグマ星人があざ笑って、男にサーベルの切っ先を向ける。

「ここにいるデスアーミーも倒さなければならないのでな。早くケリを付けさせてもらう!」

 男も構えを取って、マグマ星人を迎え撃つ。リクはデスアーミーとマグマ星人から離れる。

 マグマ星人が男に飛びかかって、サーベルを振りかざす。男は難なくサーベルをかわしていく。

「あの人、強い・・動きを見切って攻撃を正確にかわしている・・!」

 リクが男の動きを見て、戸惑いを覚える。男が突き出されたサーベルを体勢を低くしてかわして、マグマ星人の体に拳を叩き込んだ。

「ぐはっ!」

 マグマ星人が打撃を受けて突き飛ばされる。

「こ、このオレにこれほどの打撃を与える人間がいるとは・・貴様、何者だ!?

 男の拳を受けたダメージを感じてふらつくマグマ星人が問い詰める。

「オレはドモン・カッシュ!“ネオジャパン”のガンダムファイターだ!」

 男、ドモンが名乗って、掲げた右手を握りしめる。

「お前は人間ではないようだが、その程度ではオレには勝てはしない!」

「オレが勝てないだと!?どれだけ強かろうと、所詮は人間!」

 忠告を送るドモンに言い返すと、マグマ星人が巨大化する。

「コイツ・・!」

「このオレの力に敵いはしないのだ!」

 毒づくドモンを見下ろして、マグマ星人があざ笑う。彼が振り下ろす足を、ドモンが後ろに下がってかわす。

「何とかしないといけないのに・・このままジーッとしてても、ドーにもならないのに・・!」

 戦いたいのに何もできないことに、リクは歯がゆさを覚える。まだ彼はジードに変身することができない。

「早く逃げてください!いくらなんでも大きさが違います!」

 リクがとっさにドモンに呼びかける。しかしドモンは逃げようとしない。

「心配するな!オレはあれ以上の大きさの相手とも戦ったことがある!」

 ドモンがリクに答えて笑みを見せる。

「出ろー!ガンダーム!」

 ドモンが指を鳴らして高らかに叫ぶ。彼の後ろに1体の機体が下りてきた

 ガンダムファイター、ドモンのモビルファイター「ゴッドガンダム」である。

 ゴッドガンダムに乗り込んだドモンがファイティングスーツを身にまとう。彼の動きに連動して、ゴッドガンダムも動く。

「そんなものも持っていたか。だがさっきのようにいくか!」

 マグマ星人が言い放って、右手にサーベル、左手にかぎ爪を装備してゴッドガンダムに飛びかかる。彼が振りかざすサーベルを、ゴッドガンダムも軽々とかわしていく。

「おぅりゃー!」

 ドモンが叫んで、ゴッドガンダムが連続でパンチを繰り出す。打撃の連続がマグマ星人に叩き込まれていく。

「あの人に負けず劣らずの速さと強さだ・・パイロットと動きがシンクロしている・・!」

 リクがゴッドガンダムの戦いを見て戸惑いを感じていく。

「バカな!?そのロボも、これほどの力を出してくるのか!?

 ドモンの駆るゴッドガンダムの強さに、マグマ星人が驚きを隠せなくなる。

「だがお前がオレに勝つことはできんぞ!」

 マグマ星人が言い放つと、上空へ向けて光線を放った。するとそれぞれ黒と赤の体をした2体の怪獣が降り立った。

「仲間を呼び出してきたか!」

「行け、ブラックギラス、レッドギラス!」

 ドモンが毒づいて、マグマ星人がブラックギラス、レッドギラスに呼びかける。2体の怪獣がゴッドガンダムに迫る。

 ゴッドガンダムが拳を繰り出して、ブラックギラスたちを迎え撃つ。ブラックギラスたちが頭の角から光線を放つが、ゴッドガンダムはスピードを上げて後ろに動いてかわす。

「ギラスたちでも手を焼かされるとは・・こうなれば、ギラススピンだ!」

 マグマ星人が呼びかけると、ブラックギラスとレッドギラスが組み付いて回転を始める。高速回転する2体がゴッドガンダムに迫る。

「ぐおっ!」

 ゴッドガンダムがギラススピンにはじき飛ばされて、ドモンが衝撃にあおられてうめく。

「ゴッドガンダムを押し返すほどの回転・・やるみたいだな!」

 ドモンがブラックギラスたちを見て言いかける。

「ならば目には目を!スピンにはスピンだ!」

 ドモンが思い立って、ゴッドガンダムがビームサーベル「ゴッドスラッシュ」を手にして回転する。

「行くぞ!ゴッドスラッシュタイフーン!」

 ドモンが叫んで、ゴッドガンダムとブラックギラスたちが回転しながら激しくぶつかり合う。ゴッドガンダムは回転したまま上空へ飛ぶ。

「流派・東方(とうほう)不敗(ふはい)!超級覇王電影弾!」

 ゴッドガンダムがブラックギラスたちの真上から降下していく。ドモンの目には、ブラックギラスたちが回転していないように見えた。

 ゴッドガンダムの突撃で、ブラックギラスとレッドギラスが突き飛ばされた。ゴッドガンダムのパワーが、ギラススピンを打ち破った。

「どうやらスピンでも、お前たちはオレとゴッドガンダムには勝てないということだ・・!」

 ゴッドガンダムが振り返って、ドモンが笑みを浮かべた。

 そのとき、ゴッドガンダムの左腕に鎖が巻かれた。マグマ星人が伸ばした鎖が、ゴッドガンダムを引っ張っていく。

「油断したな!お前たち、今のうちに倒せ!」

 マグマ星人が呼びかけて、立ち上がったブラックギラスとレッドギラスがゴッドガンダムを狙う。ドモンが反撃を試みるが、ゴッドガンダムの対応が間に合わない。

 そのとき、1つの光が飛びこんできて、マグマ星人の鎖を断ち切った。

「何っ!?

 突然のことにマグマ星人が驚く。ドモンが目を見開いて、光の飛んできたほうに視線を移す。

 ゴッドガンダムたちのいる場所の上空に、新たに1機の機体が現れた。青と白に彩られていて、背中から天使を思わせる形の翼を広げていた。

「何の考えも情報もなく、感情の赴くままに行動するのは短絡的だ。」

 機体「ウィングガンダムゼロ」のパイロット、ヒイロ・ユイがドモンに声をかける。

「こんなおかしな世界に流れ着いて、じっとしていられるか!」

 ドモンは声を張り上げて、マグマ星人たちに目を向ける。

「ヤツの仲間か!これ以上ヤツらをいい気にさせてたまるか!」

 マグマ星人がいら立ちを見せて、サーベルを構える。

「オレたちを襲撃する敵と断定。排除を開始する。」

 ヒイロが冷静に呟いて、ウィングゼロが「ツインバスターライフル」を構える。

「よし・・今なら少しぐらいなら戦える・・・!」

 体力がある程度回復したと実感して、リクがジードライザーと2つのウルトラカプセルを手にした。それぞれウルトラマンヒカリ、ウルトラマンコスモスの力が宿っている。

「ユーゴー!」

 リクが装填ナックルに「ヒカリカプセル」をセットした。

「アイゴー!」

 彼はさらに「コスモスカプセル」をセットした。

「ヒアウィーゴー!」

 リクがトリガーを押したジードライザーで、装填ナックルにセットされているカプセルをスキャンする。

“フュージョンライズ!”

「見せるぜ、衝撃!ジード!」

“ウルトラマンヒカリ!ウルトラマンコスモス!”

 リクがジードライザーを高らかに掲げた。

“ウルトラマンジード・アクロスマッシャー!”

 リクがジードへの変身を果たす。今度のジードは青と銀の姿をしていた。

 ヒカリとコスモスの力を宿した「アクロスマッシャー」である。

「ジード!お前も変身してきたか!」

 マグマ星人がジードを見て声を上げる。

「初めて見る顔だが、お前もウルトラマンか!」

 リクが変身したジードを見て、ドモンが声を上げる。彼はウルトラマンの存在を知っていた。

「あれがウルトラマンと呼ばれる巨人。巨大なモンスターや異星人と戦う戦士か。」

 ヒイロが情報を思い返して、ウルトラマンについて口にする。

「お前もオレたちの仲間ということに間違いないか?」

「は、はい!」

 ヒイロからの質問にリクが答える。

「ならば分担して敵を倒すことを提案する。お前はモンスターに指令を出す異星人を倒せ。」

「分かりました。ありがとうございます!」

 ヒイロの指示にリクが答える。

「僕はリク。ウルトラマンジードです。」

「オレはドモン!コイツはゴッドガンダムだ!」

「ヒイロ・ユイ。この機体はゼロ。ウィングゼロだ。」

 リク、ドモン、ヒイロが名乗る。ジード、ゴッドガンダム、ウィングゼロがマグマ星人たちに振り返る。

 ジードが先行してマグマ星人に飛びかかる。アクロスマッシャーとなったジードは、スピードが飛躍的に上がっている。

「オレたちはそこの怪獣どもだ!一気に決めてやるぞ!」

「迅速な行動は効率がよくなるが・・」

 ドモンが高らかに言い放って、ヒイロが呟く。

「オレのこの手が真っ赤に燃える!勝利をつかめと轟き叫ぶ!」

 ドモンが右手を握りしめて、ゴッドガンダムの右手が赤く光る。ゴッドガンダムがレッドギラスに向かっていく。

「爆熱!ゴッドフィンガー!」

 ゴッドガンダムが炎を発した右手をレッドギラスの胴体に叩き込む。ゴッドガンダムがそのままレッドギラスを持ち上げる。

「ヒートエンド!」

 ゴッドガンダムがそのまま炎のエネルギーを放出する。レッドギラスが炎に包まれて爆発した。

「ターゲット、ロックオン。」

 ウィングゼロがツインバスターライフルを構えて、ブラックギラスに狙いを定める。ツインバスターライフルから放たれたビームが、ブラックギラスを撃ち抜いた。

 ブラックギラスが絶叫を上げて、倒れて爆発を起こした。

「ブラックギラス!レッドギラス!・・おのれ!」

 マグマ星人がいら立ちを見せて、ジードに向かってサーベルを振りかざす。しかしジードに軽々とかわされる。

 ジードが右手から光の剣「スマッシュビームブレード」を出して、マグマ星人のサーベルとぶつけ合う。

「ぐおっ!」

 マグマ星人がサーベルをはじき飛ばされて、さらに体を切りつけられてうめく。リクがジードライザーで装填ナックルにセットされているウルトラカプセルをリードした。

“アトモスインパクト!”

 ジードが両腕を十字に組んで光線を放つ。マグマ星人が光線を受けて宙に跳ね上げられて、そのまま爆発した。

「やった・・でも、あの2体のロボットのほうがすごい・・・!」

 リクが笑みをこぼして、ジードがゴッドガンダムとウィングゼロに振り返る。彼はモビルスーツの中に部類される「ガンダム」との対面を果たした。

 

 デスアーミーの大群との光線を続けるファルコン。デスアーミーは銃撃戦では不利と判断して、ファルコンを囲むように距離を詰めてきた。

「さすがに数が多すぎだって!もうー!」

「ソラ、交代しよう!ここからは僕もやるよ!」

 不満の声を上げるソラに、ハルが呼びかける。

「分かった!お願い、ハル!操縦権、移行!」

 ソラが頷いて操縦の権利を移行して、ハルが承認する。2人のパイロットが承認し合うことで、ファルコンの操縦が切り替わるのである。

 ハルが操縦するファルコンが、ビームライフルからビームサーベルに持ち替える。棍棒を振りかざすデスアーミーを、ファルコンが素早くかわして切りつける。

「どの距離でもファルコンには敵いはしない!」

 ハルが言い放って、ファルコンがさらにデスアーミーを切りつけていく。しかしデスアーミーは信号を送って、仲間を呼び込んでいた。

「これじゃどんなに討ってもきりがない・・!」

 次から次へと現れるデスアーミーに、ハルが焦りを感じていく。ファルコンがデスアーミーに取り囲まれて、行く手を阻まれる。

 そのとき、ファルコンに迫るデスアーミーに向かって、ビームが飛び込んできた。上空から赤い光の翼を広げた1機の機体が、もう2機の機体とともに降下してきた。

「大丈夫か、ハル、ソラ!?

「シンさん!」

 赤い翼の機体「マークデスティニー」のパイロット、シン・アスカの声に、ハルが答える。

「大気圏外の宙域の敵機は撃破したわ!」

「ここにいるヤツらも殲滅するぞ。」

「はいっ!」

 機体「フォースインパルス」のパイロット、ルナマリア・ホークと「ジャッジ」のパイロット、ブラッド・J・クロノスの呼びかけに、ハルとソラが答える。

 インパルスがビームライフルを手にして、デスアーミーを狙撃していく。

 ファルコンが迫ってきたデスアーミーを、ビームサーベルで切りつけていく。

 ジャッジが2つのビームライフルを手にして、速く正確な射撃でデスアーミーの頭部を撃ち抜いていく。

 デスティニーが両腰に搭載されているビーム砲を展開して発射して、遠距離にいるデスアーミーを破壊していく。

「このまま全機叩き切る!」

 シンが言い放って、デスティニーが腰に搭載されている柄を手にして、光の刃を発する。デスティニーが巨大なビームの刃の剣「シュペール・アロンダイトビームソード」を振りかざす。

 デスアーミーたちがデスティニーの一閃を受けて、切り裂かれて爆発した。デスティニーたちの攻撃で、デスアーミーたちは全滅した。

「やった!やっと片付いた!」

 デスアーミーを撃破したことに、ソラが笑みをこぼす。ファルコン、デスティニー、インパルスが合流する。

「ありがとうございます、シンさん、ルナマリアさん、ブラッドさん。助かりました・・」

「圏外の敵機を撃墜するのに時間がかかってしまった・・遅くなって悪かった・・」

 感謝するハルにシンが謝罪を投げかける。

「でも他にもいましたよ・・敵と、他のガンダムとウルトラマンが・・」

 ソラが言いかけて、戦いを終えたジードたちに目を向けた。

「あれはドモン!ドモンのゴッドガンダムだ!」

「あの人もこの世界に来ていたのね。」

 シンとルナマリアがゴッドガンダムを見て声を上げる。2人はドモンのことを知っていた。

「でもあのウルトラマンと、もう1体のモビルスーツは初めて見るわ・・」

「同じようにこっちに飛ばされてきたみたいだけど・・ドモンと力を合わせたということは、味方と見て間違いなさそうだ・・」

 ルナマリアとシンがジードとウィングゼロを見て呟く。ドモンと力を合わせたことから、シンたちは警戒を緩めていた。

「お前たちは、別の世界のガンダムじゃないか!」

 ドモンもデスティニーたちに気付いて声を上げる。

「別の世界の仲間か?」

「ああ。アイツらにも話を聞こうぜ。」

 ヒイロが問いかけて、ドモンが笑みを浮かべて呼びかける。ジードが変身を解いて、合流したデスティニーたちとゴッドガンダムたちから、シンたちとドモンたちが降りてきた。

「やっぱシンたちだ。けどシン、ちょっと雰囲気が変わったか?」

 ドモンが再会を喜ぶが、シンを見て違和感を覚える。

「また戦いをすることになって・・そう思えるとしたら、オレが戦う理由を見つけて、戦う運命を背負ったからなのかもな・・」

 シンがドモンに答えて、これまでの自分の戦いを思い返す。

「みなさん、ここがどこなのか分かりますか?僕の知っている地球じゃないみたいなんですが・・」

 リクがシンたちに質問を投げかけてきた。

「あの宇宙人が言うには、ここはパラレルワールド・・僕たちがいるのとは違う平行世界だそうですが・・」

「この世界については、オレたちも詳しくは分からん。その通り、パラレルワールドであることぐらいしか・・」

 リクの疑問にドモンが答える。

「私たちもここに引きずり込まれて間もなく、あの大群の襲撃を受けたわ。パラレルワールドということには、すぐに気付いたけど・・」

 ルナマリアもドモンたちに事情を話す。

「他にこの世界に来た人がいるかもしれない。敵と遭遇する危険もあるけど、今は情報を集めるのを優先したほうがよさそうね・・」

「オレも同じ考えだ。状況の分析が、今の最善策だ。」

 ルナマリアからの提案にヒイロが同意する。

「そういえばそこの2人とお前に会うのは今回が初めてだったな。オレの名はドモン。ネオジャパンのガンダムファイターだ。」

 ドモンがソラとハル、リクに目を向けて自己紹介をする。

 全宇宙の覇権を駆けて、格闘家「ガンダムファイター」が各国を代表して戦う「ガンダムファイト」。ドモンはネオジャパンのガンダムファイターである。

「オレはヒイロ。こいつはウィングゼロだ。」

 ヒイロも自己紹介をして、ウィングゼロに目を向ける。

 ヒイロは武力や戦争によって混迷する地球や宇宙の中、モビルスーツに乗って任務をこなしてきた。

「オレはシン・アスカ。オレたちは“プラント”の“ザフト”に所属している。」

「私はルナマリア・ホークよ。」

「私はソラ・アオイ。」

「僕はハル・ソーマです。」

「ブラッド・J・クロノスだ。」

 シン、ルナマリア、ソラ、ハルも自己紹介をする。

 遺伝子操作が施されている人種「コーディネイター」と、遺伝子操作がされていない「ナチュラル」。人種や能力の違いが両者の対立を深めて、戦争へとつながってしまった。

 シンは戦争に巻き込まれて家族を失った。戦争と無力な自分を責めて、彼はザフトに入隊。戦いながら自分自身の答えを見出していった。

「僕は朝倉リク。ウルトラマンジードです。」

 リクもシンたちに自己紹介をする。

「みなさん、ウルトラマンのことをご存知なのですか・・?」

「あぁ。ウルトラマンも、他の戦士のことも知っている。」

 リクの質問にドモンが笑みを見せて頷く。

「エックスにオーブ、ダイナにゼロ。たくさんのウルトラマンと会ったことがあるわ。」

「ゼロさんにも会ったことがるんですか!?

 ルナマリアも話を続けると、リクが動揺を見せる。

「もしかしたら、ゼロさんもこの世界に来ているかもしれない・・・」

「そうか・・だが今回はゼロには会っていない。しかし彼は世界を渡る能力を持っているから、ここにくる可能性は否定できない。」

 ゼロのことを考えるリクに、ブラッドが言いかける。ゼロがウルティメイトイージスを身にまとって駆けつける可能性を、シンたちは考えていた。

「おいっ!あそこにいるの、ガンダムじゃないか!?

 そこへ数人の男女がやってきて、デスティニーたちを見て指さしてきた。

「ガンダム・・こんなところまで来るなんて!」

 男女が目つきを鋭くすると、地面にある石を拾って、デスティニーたちに向かって投げつけてきた。

「おいっ!いきなり何をするんだ!?

 シンが男女に向かって声を上げる。

「ガンダムをやっつけろ!ヤツらは悪魔だ!」

「アイツらがいると、地球が危なくなるんだ!」

 男女がさらに怒鳴って、石を投げつける。

「やめろ!危ないだろうが!」

「そこにいるのはガンダムのパイロットみたいだぞ!やっつけろ!」

 怒鳴るドモンにも、男女が不満とともに石をぶつけてくる。

「ちょっと!どういうことなのか説明して!」

 ソラが呼びかけるが、男女は答えようとせず、石を投げ続ける。

 そのとき、ヒイロが拳銃を取り出して、男女の眼前の地面に向かって発砲した。男女が手を止めて息をのむ。

「最初は威嚇だ。すぐに引き下がらなければ・・お前たちを、殺す・・」

 ヒイロが低い声で警告する。男女が恐怖して後ずさりする。彼らはいら立ちを噛みしめながら、リクたちの前から逃げていった。

「おい・・いくらなんでもやりすぎだぞ・・」

 ドモンがヒイロのやり方に文句を言う。

「あれはただの威嚇だ。本気で撃つつもりはない。仮に彼らが脅しに屈することなく向かってきたとしてもだ。」

 ヒイロは表情を変えずに自分の考えを口にする。

「でも、みんなどうして僕たちを?・・この世界じゃ、モビルスーツは悪者扱いなのでしょうか・・?」

「そんな!?私たち、この世界に来たばっかりなのに!」

 ハルが疑問を感じて、ソラが不満を口にする。

「私たち以外にもモビルスーツが来ている。それがこの地球を攻撃しているんじゃ・・」

「モビルスーツで悪さを働かせて、他のモビルスーツやパイロットたちも悪いと思い込ませるなんて・・!」

 ルナマリアが推測を巡らせて、ソラが怒りを覚える。

「それがおそらく、今回の不可思議な出来事を引き起こした元凶・・」

 ブラッドが言いかけて、ヒイロが小さく頷いた。

「いや、悪者扱いされているのは、ガンダムだけじゃない。」

 そこへ声がかかって、リクたちが振り返る。彼らの前に1人の男が現れた。

「あなたはガイさん!」

 ルナマリアが男、クレナイ・ガイを見て声を上げる。

「あぁ。みんなもこっちに引きずり込まれちまったみたいだな・・初めて見るヤツもいるな。」

 ガイがドモンとヒイロに目を向ける。

「オレの名はクレナイ・ガイ。またの名を、ウルトラマンオーブだ。」

 ガイがドモンたちに自己紹介をする。

「ガイさん、お久しぶりです!」

「リク、お前もこっちに来ていたか。」

 リクが挨拶して、ガイが返事する。

「2人のウルトラマンが出会ったね。」

「でもガイさんたちの力に甘えてばかりになるのはよくない。僕たちも頑張らないと・・」

 ソラとハルが2人を見て、気を引き締める。

「それで、この世界で何が起こっているんだ?」

 ドモンがガイに現状を聞く。

「あぁ・・この地球では、他では正義の味方と見なされている者が、強く敵視されている。ウルトラマン、ガンダム、そして仮面ライダーとスーパー戦隊も・・」

 ガイが語りかけた話に、リクたちは緊張をふくらませていた。彼らは次元を超えた大事件に巻き込まれることになった。

 

 

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