ザ・グレイトバトル

-真の強さ- 

第12章

 

 

 最強の形態へと変身して、エンペラ星人の前に立つゼットたち。ゼットがベリアルの力と意思を宿した幻界魔剣「ベリアロク」を手にした。

「ベリアル、ここからが本当の戦いだ!力を貸してもらうぞ!」

 ハルキもベリアロクを手にして呼びかける。

「エンペラ星人か。面白いヤツが復活したものだな。」

 ベリアルの意思が宿っているベリアロクが、エンペラ星人と戦えることを喜ぶ。

「お前たちの真の力で、見事余を打ち倒してみるか。」

 エンペラ星人がゼットに向けて光線を放つ。ゼットがベリアロクを振りかざして、光線を真っ二つにした。

「オレ様もお前と同じ、ウルトラの国を狙ったことがある。簡単に勝てると思うなよ。」

「面白い。貴様の闇で余を凌駕するというのか。」

 強気な態度を見せるベリアロクに、エンペラ星人が言い返す。

「オレたちがいることを、忘れてもらっちゃ困るぜ!」

 ゼロがジードたちとともに前に出て、エンペラ星人に言い放つ。

「たとえその力が闇の力だとしても、正義や平和のために使えるはずだ!」

「強い意思、大切な人との絆が闇を乗り越える強さをもたらす!」

 オーブとジードがエンペラ星人に向かって言い放つ。

「エンペラ星人、力を合わせたオレたちに勝とうなんて、2万年早いぜ!」

 ゼロがエンペラ星人を指さして言い放つ。フォースたちも構えを取って、臨戦態勢に入る。

「ならば余も、お前たちを持てる全ての力で葬ってくれる・・!」

 エンペラ星人がゼロたちに向かって、稲妻を帯びた光線を発射した。ゼロたちが左右に動いて、光線をかわした。

「レゾリューム光線・・純粋なウルトラマンが浴びたら、体が分解されてしまう・・!」

「だが今の我々なら分解されることはない。強さを結束させている我々なら。」

 ゼロが光線を危惧するが、ウルトラマンが激を飛ばした。

「オレがあの光線を封じます!」

 オーブが呼びかけて、ガイがオーブカリバーのホイールを回転させて、火の紋章を表示した。オーブの持つオーブカリバーの刀身から、赤い炎が発した。

「オーブフレイムカリバー!」

 オーブがオーブカリバーを振りかざして炎を放って、エンペラ星人を取り囲んだ。

「キングソード!」

 ジードとリクが超絶撃王剣「キングソード」を手にした。リクが手をかざしたキングソードのクリスタルが青く輝く。

「バルカンスパークル!」

 ジードが掲げたキングソードから光の球が連射された。エンペラ星人がマントをひるがえして、光の球をはじいた。

「今だ!」

 リクがキングソードを「杖モード」から「剣モード」にして、ジャックのウルトラカプセル「ジャックカプセル」を装てんした。キングソードのクリスタルが緑色に輝く。

「ランススパーク!」

 ジードが突き出したキングソードから光線が放たれて、エンペラ星人の体に突き立てられた。

「ぐっ!」

 エンペラ星人がうめきながら、力を発揮して光線を押し返した。

「ウルティメイトゼロソード!」

 ゼロが右腕から剣「ウルティメイトゼロソード」を伸ばした。

 エンペラ星人もとっさに剣「エンペラソード」を手にした。突撃したゼロが振りかざしたウルティメイトゼロソードが、エンペラソードとぶつかり合った。

 エンペラ星人がゼロに競り負けて、彼の手からエンペラソードがはじかれた。

 その瞬間にハルキがベリアロクのトリガーを2回押した。

「デスシウムファング!」

 ゼットのベリアロクからベリアルの顔の形をした光が飛び出して、エンペラ星人に噛みついてきた。

「ぐおっ!」

 エンペラ星人がベリアルの牙に手傷を負われて後ずさりした。

「これほどの力と結束・・余をここまで追い詰めるとは・・・!」

 ゼットたちの連続攻撃の威力に毒づくエンペラ星人。

「我々の力を1つにして、エンペラ星人に送るのだ!」

「星人の闇の力を、我々の力で浄化するのだ!」

 ウルトラマンとジャックが呼びかけて、フォースたちが頷いた。

「ファイナルウルティメイトゼロ!」

 ゼロがウルティメイトイージスを射出して、弓矢の「ファイナルウルティメイトゼロモード」にして構えて、光の矢を放った。

「オーブスプリームカリバー!」

 オーブがエネルギーを集めたオーブカリバーから、虹色の光線を発射した。

“解放せよ、宇宙最強の力!”

 リクがキングソードにキングカプセルを装てんして、ジードライザーでリードして3回手でかざした。

「ロイヤルエンド!」

 ジードが杖モードにしたキングソードと左腕を十字に組んで、光線を発射した。

「デスシウムスラッシュ!」

 ハルキがベリアロクのトリガーを3回押す。ゼットがベリアロクにエネルギーを集めて、振りかざして光の刃を飛ばした。

「ファーストフォースシュート!」

 フォースも両腕を組んで光線を発射した。ウルトラマンとジャックもスペシウム光線を、ティガもゼペリオン光線を発射した。

「ぐおぉっ!」

 エンペラ星人がフォースたちの光線の集中砲火を浴びて、絶叫を上げた。

「ウルトラの戦士・・力と結束を高め、またも余を超えたか・・・」

 フォースたちの力の鷹さを痛感するエンペラ星人。フォースたちの力を受けて、エンペラ星人の抱える闇の力が弱まっていく。

「ウルトラ戦士・・お前たちは・・宇宙の希望の光だ・・・」

 フォースたちの強さの意味を理解して、エンペラ星人は光の粒子となって消えていった。

「やった・・エンペラ星人に勝つことができた・・・!」

 ジードが勝利を喜んで、ゼットが頷いた。

「いや、まだだ。デスティニーの戦いが残っている。」

 ジャックが言いかけて、シンとキラが戦っている宇宙を見上げた。

「シン・・・」

 シンを気に掛けて、ルナマリアが戸惑いを感じていた。

 

 大気圏のそばで激闘を繰り広げるシンとキラ。デスティニーとフリーダムが激突の連続で、互いに損傷を被っていた。

「シン・・お前たちがいなければ、アスランもみんなも無事でいられた・・幸せでいられた・・・!」

「ふざけるな!・・みんなの幸せを壊してきたのはアンタたちだ・・!」

 恨みの言葉を口にするキラに、シンが反発する。

「アンタたちのように、何もかも自分の思い通りになると思い上がっている敵と戦い続ける・・それが、オレがオレの意思で背負った運命だ・・・!」

 シンが揺るぎない意思を示して、デスティニーがアロンダイトを構えた。

「僕はお前たちを倒す・・お前たちがいなければ、戦いも悲しみもなくなる・・・!」

 キラが憎悪に駆られて、フリーダムがドラグーンを射出する。包囲するドラグーンからのビームを、デスティニーが素早くかいくぐる。

 詰め寄ってきたデスティニーに、フリーダムが右足のビームブレイドを振りかざしてきた。デスティニーがアロンダイトを掲げて、ビームブレイドを防いだ。

 フリーダムはさらに左足のビームブレイドを振りかざしてきた。デスティニーも右足のビームブレイドを振り上げて、フリーダムを引き離した。

 次の瞬間、フリーダムがデスティニーに向かって、全ての銃砲を展開して一斉に発射した。デスティニーがアロンダイトを構えて、ビームの飛ぶ真正面に突っ込んだ。

 フリーダムのビームで損傷するデスティニーだが、突撃をやめずに突き進んでいく。

「その攻撃はもう通じない・・!」

 キラがデスティニーの動きを読んで、デスティニーが突き出したアロンダイトを紙一重でかわした。

 フリーダムがビームサーベルの1本を右手で持って、デスティニーに向かって振りかざした。シンが反応し、デスティニーが左腕からビームシールドを発して、ビームサーベルを受け止めた。

 フリーダムが左手で持っているビームライフルで、アロンダイトを持つデスティニーの右手を押さえた。

(胴体からのビームを撃つつもりか!?

 フリーダムがカリドゥスを発射しようとしていることに気付くシン。デスティニーがビーム砲を展開して発射。フリーダムのカリドゥスからのビームとぶつかり合った。

 デスティニーとフリーダムが爆発に巻き込まれて引き離される。

「まだ決着はつかないということか・・ルナたちと合流するのは、少し後になりそうか・・・!」

 長期戦になり、フォースたちと合流するのは先だと痛感するシン。

「だが、フリーダムだけは・・キラだけはオレが倒す・・必ず!」

 キラを討つ決意を固めているシン。デスティニーがアロンダイトを構えて、フリーダムに近づいていく。

 そのとき、デスティニーとフリーダムのレーダーが巨大なエネルギーの接近を感知した。

「これは・・!?

 シンがそのエネルギーに対して警戒を強める。デスティニーとフリーダムが後ろに下がると、巨大なビームが2機の間を飛び込んできた。

「強力なビーム砲・・誰だ!?

 シンがビームの飛んできたほうに目を向ける。デスティニーたちの前に、2機のモビルスーツが現れた。

「ここでガンダムが戦っていたとはね、兄さん。」

「しかもどちらもダメージが大きい。倒すのは造作もない。」

 2機の機体のパイロットたちがデスティニーたちを見て笑みをこぼす。

 シャギア・フロストとオルバ・フロスト。「ガンダムヴァサーゴ」、「ガンダムアシュタロン」を駆る兄弟である。

「アイツらも復活していたのか!こんなときに・・!」

 シャギアたちの出現にシンが毒づく。

「シンは僕が討つ・・邪魔をするなら、その人も倒す・・・!」

 キラがシャギアたちにも敵意を向ける。フリーダムがドラグーンを射出するが、ヴァサーゴとアシュタロンが左右に動いてビームをかわす。

「せっかくの武器も、動きが鈍っているぞ。」

「相当激しい戦いをしてきたみたいだね。もう1体のほうも。」

 シャギアとオルバがフリーダムをあざ笑ってから、デスティニーに目を向ける。

「あまりのんびりとしたい気分でもないから、一気に決めよう、兄さん。」

「あぁ・・行け、Gビット!」

 オルバの提案を聞いて、シャギアが呼びかける。無人モビルスーツ「Gビット」が10体現れた。

「数を揃えてきて・・とことんオレを倒すつもりでいるのか・・!」

 徹底的に攻めてくるシャギアたちに、シンが毒づく。Gビットたちがデスティニーとフリーダムに向かっていく。

 そこへ光線が飛び込んで、Gビットの行く手を阻んだ。

「な、何だ!?

 突然のことに驚くオルバ。Gビットの進攻を妨害したのは、4人のウルトラマンだった。

「あなたたちは・・!」

「遅くなってすまない。ここからは我々も加勢する。」

 戸惑いを覚えるシンに、ウルトラマンの1人、ゾフィーが声を掛けてきた。ゾフィーは宇宙警備隊の隊長で、ウルトラ兄弟の長男である。

「あのモビルスーツの相手は僕たちがします。」

「お前はフリーダムとの決着に専念しろ!」

 2人のウルトラマン、メビウスとヒカリも呼びかけて、ヴァサーゴたちに目を向ける。

「ミラクルリアライズ。」

 もう1人のウルトラマン、コスモスが光線を発して、損傷したデスティニーを復元させた。

「ありがとう!これでオレとデスティニーは戦えるぞ!」

 シンがコスモスたちに感謝して、フリーダムに視線を戻す。

「ちょっと待った!オレたちがいることも忘れるなよ!」

 そのとき、シンに向けてさらに声が掛かった。デスティニーのそばに1機のモビルスーツが近づいた。

「ガンダムDX(ダブルエックス)・・ガロードか!」

 シンがその機体、DXを見て声を上げる。

「オレたちもこの世界に来て・・そしたら丁度メビウスたちに会えて、一緒に動いてたってわけだ!」

 DXのパイロット、ガロード・ランが気さくな態度で事情を話す。

「私もいるよ、シン・・ルナマリアも一緒だね・・」

 ガロードのそばにいる少女、ティファ・アディールも声を掛けてきた。

「あたしがいることも忘れてもらっちゃ困るよ!」

 もう1人の少女、パーラ・シスもシンに呼びかけてきた。

 今のダブルエックスは戦闘機「Gファルコン」との合体をしている。パーラはそのGファルコンに搭乗している。

「地球の方でも大変なことが起こっているみたいだ!急ぐぞ、シン!」

「ガロード・・あぁ・・!」

 ガロードに呼びかけられて、シンが頷いた。キラと1対1で対決して決着を付けたかったシンだが、地球のためにその考えを振り払った。

「ツインサテライトキャノンの準備に入る!その間、時間を稼いで!」

 パーラが呼びかけて、DXがエネルギー砲「ツインサテライトキャノン」の発射体勢に入る。

「全て倒す・・シンも、他の敵も・・・!」

 キラがメビウスたちにも敵意を向ける。

「ウルトラ戦士というヤツか・・僕たちの世界には邪魔な存在だね・・」

「全てを葬り去る。それがオレたちの戦いだ。」

 オルバとシャギアがメビウスたちも敵と認識する。Gビットたちがメビウスたちに向かっていく。

「ガンダム以外は全て無人だ。遠慮はいらない。」

「そしてあの2機も復活させられた命だ。」

 ゾフィーとヒカリがヴァサーゴたちを見て判断をする。

「コスモス!力を貸してくれ!」

「分かった。フルムーンレクト!」

 ガロードが呼びかけて、コスモスが右手をかざして、ダブルエックスに光を送る。光を受けたブルエックスが、ツインサテライトキャノンにエネルギーを集めていく。

 その間にシンのデスティニーが、再びキラのフリーダムとの攻防を繰り広げる。

「何人出てきても、僕は敵を全て滅ぼす・・・!」

「何度出てきても、オレはアンタを倒す!」

 キラが憎悪を、シンが意思を言い放つ。デスティニーのアロンダイトとフリーダムの2本のビームサーベルが、激しくぶつかり合う。

「シン、そこをどいてくれ!」

 そこへガロードが呼びかけて、シンがDXに目を向けた。DXはツインサテライトキャノンの発射準備を終えていた。

「行かせない・・!」

 キラが目つきを鋭くして、フリーダムがドラグーンを射出してデスティニーを包囲する。

「離れた途端に集中砲火を浴びせるつもりか・・・ガロード、オレが合図したら撃て!」

 打開の糸口を探るシンが、ガロードに呼びかけた。

「だけど、シンが巻き込まれちまうぞ!」

「心配するな!今のデスティニーのスピードなら抜け出せる!合図したら撃つんだ!」

 心配するガロードにシンが呼びかける。

「・・分かった、シン!いつでも撃てるからな!」

 ガロードが頷いて、フリーダムに狙いを定めた。

「よし・・今だ、撃て!」

 シンが掛け声を上げて、デスティニーがフリーダムから離れた。キラがこれを見逃さず、フリーダムがドラグーンを操作してデスティニーを狙い撃ちした。

「ガロード、あなたに力を・・」

「ツインサテライトキャノン、発射!」

 ティファがDXに意識を傾けて、ガロードがツインサテライトキャノンを発射した。強力な閃光が放たれて、フリーダムに向かっていく。

 フリーダムが後ろに下がって閃光から離れて、全ての銃砲を展開してデスティニーに向けて発射する。

(キラ・・よけた先を読んで攻撃を・・!)

 回避を先読みされたことに毒づくシン。ドラグーンとフリーダムの射撃、砲撃、サテライトキャノンの閃光を全てかわし切るのは、デスティニーでも不可能の状態だった。

 そのとき、デスティニーを光が包み込んで守った。戸惑いを覚えるシンだが、回避に集中して、デスティニーが閃光から抜け出した。

「ぐっ!」

 サテライトキャノンの閃光でフリーダムが左腕と左足を破壊されて、キラがうめく。

「今のはデスティニーの能力じゃない・・何が・・!?

 突然のことにキラもガロードたちも、シンも驚きを感じていた。

 デスティニーを守った光は、2種の端末「フィンファンネル」と「Cファンネル」によるものだった。駆けつけた2機のモビルスーツ、νガンダムと「ガンダムAGE-FX」がデスティニーを守ったのである。

「間に合ってよかった。みんなとうまく合流することができた。」

「ここからは僕たちも協力します!」

 νガンダムのパイロット、アムロ・レイとAGE-FXのパイロット、キオ・アスノがシンたちに声を掛けてきた。

「アムロさん、キオ、助かったよ!」

 シンがアムロたちに感謝をした。デスティニーたちの前に、損傷しているフリーダムが近づいてくる。

「待て!そんな状態で戦っても死ぬだけだぞ!」

「もうやめよう!僕たちが戦う必要はないよ!」

 アムロとキオがキラに向かって呼びかける。

「全ての敵を倒して、戦いを終わらせる・・邪魔するなら、君たちも・・・!」

 キラは彼らの言葉を聞かず、攻撃を続けようとする。

「アイツはもう、敵を滅ぼすことしか考えていない・・オレが、アイツを討つ・・!」

 シンが顔を横に振って、アムロたちに呼びかける。

「でも・・!」

「キオ、よすんだ。キラは完全に憎悪に囚われていて、シンも覚悟を決めている・・・」

 キオが説得を続けようとするが、アムロに制止される。

「お前は1人だ・・自分以外の全てを敵だと思っている・・そんなお前に、オレは負けるわけにはいかないんだ!」

 シンが言い放って、デスティニーがアロンダイトを構えて突っ込んだ。デスティニーが突き出したアロンダイトが、フリーダムの胴体を貫いた。

「シン・・・お前だけでも・・僕が・・・!」

 キラがフリーダムを動かして、デスティニーを至近距離から撃とうとした。

「キラ!」

 シンが叫んで、デスティニーがアロンダイトを振り上げた。直後にフリーダムが射撃するが、ビームはデスティニーから外れた。

「僕は死なない・・世界にある戦いを全て終わらせるまでは・・・!」

 激しい憎悪と自分の考えを貫こうとしたまま、キラはフリーダムの爆発に巻き込まれて消えた。

「オレは戦う・・キラや、平和を脅かす敵と戦っていく・・それが、オレ自身で背負うと決めた運命だ・・・!」

 シンが自分の揺るぎない決意を口にして、自分の胸に手を当てた。

「シン、それが君の見つけた決意なんだな。誰に言われたわけでもない、自分の意思で背負った運命・・」

 シンの心境を悟って、アムロが小さく頷いた。シンも戦いの中で様々な経験をして、自分だけの確固たる決意を固めたことを、アムロは理解していた。

「メビウスたちの援護に向かおう。もう決着が付いているかもしれないが・・」

「あぁ!フロスト兄弟の戦いを終わらせなくちゃな!」

 シンが落ち着きを取り戻してから呼びかけて、ガロードが頷いた。デスティニーたちがシャギアたちと戦っているメビウスたちの加勢に向かった。

 

 シャギア、オルバが指揮するGビットを、メビウスたちが迎え撃つ。コスモスが青い体のルナモードから、赤い体のコロナモードになった。

 Gビットがビームライフルを一斉に発射する。メビウスたちが左右に動いてビームをかわした。

「ブレージングウェーブ!」

 コスモスが両腕にエネルギーを集めて、両手を前に出して炎の波動を放つ。炎がGビット数機を包んで破壊した。

 ゾフィーも続けて両腕をL字に組んで光線を放って、残りのGビットを破壊した。

「Gビットが全滅させられたか・・ウルトラ戦士が・・!」

 シャギアがオルバとともに、メビウスたちへの憎悪をふくらませる。ヴァサーゴとアシュタロンの前に、メビウスとヒカリが近づいた。

「2人とも、破壊行為をやめるんだ!あなたたちのやっているのは、全てを滅ぼすことにしかならない!」

「全てを滅ぼす・・僕たちの目的はまさにそれだよ。」

 メビウスが説得を試みると、オルバが鼻で笑ってきた。

「オレたちは世界を左右するほどの力を持ちながら、世界によってその価値を否定された・・だから全てを滅ぼし、世界への復讐とするのだ・・!」

「復讐をしたところで、お前たちに待っているのは破滅の未来だ。復讐の空しさを、オレも知っている。だからこそ、オレもお前たちを止めなければならないのだ・・!」

 シャギアも世界への憎悪を口にすると、ヒカリも制止を呼びかけてきた。

「そんな空しさなど、僕たちが受けてきた屈辱に比べたら些細なものだよ・・」

「オレたちのこの屈辱、お前たちも味わってもらうぞ・・!」

 過去の屈辱を思い返すオルバと、メビウスたちにも敵意を向けるシャギア。

「やむを得ない・・ならば、オレたちはお前たちと戦う!」

「僕たちは君たちのように絶望したりしない・・最後まで諦めず、不可能を可能にする・・それがウルトラマン・・そして、人間だ!」

 ヒカリが覚悟を、メビウスが決意を言い放つ。2人は希望と平和のために、シャギアたちと戦おうとする。

「面白い。ウルトラ戦士をも倒せることを、僕たちは証明できるのだから・・」

「既にその準備はできている・・!」

 オルバとシャギアが不敵な笑みを浮かべる。ヴァサーゴとアシュタロンはビーム砲「サテライトランチャー」のチャージを終えていた。

「メビウス、同時攻撃だ!」

「分かった、ヒカリ!」

 ヒカリが呼びかけて、メビウスが頷いた。

「サテライトランチャー、発射!」

 ヴァサーゴたちがサテライトランチャーを発射した。メビウスとヒカリが光線「メビュームシュート」と「ナイトクロスシュート」を発射して、サテライトランチャーのビームとぶつけ合った。

「たとえ別の星の人だろうと、オレたちを止めることはできない!」

「お前たちも僕たちの憎しみに焼かれて消え失せろ!」

 シャギアとオルバが怒号を放って、ヴァサーゴたちのビームが威力を上げていく。

「憎しみだけでは安息は訪れない!本当の強さにあるのは、大切なものとの絆と、守りたいという意思だ!」

「あなたたちが背を向けた無限の未来を、僕たちは守る!」

 ヒカリとメビウスが言い放って、光線に力を込めた。光線とビームが相殺されて、爆発と衝撃をもたらした。

「サテライトランチャーが止められただと!?

 ヴァサーゴたちが衝撃に耐えて、シャギアがうめく。

「メビウス、今だ!」

「はい!」

 ヒカリが呼びかけて、メビウスが頷いた。2人が腕から光の剣「ナイトビームブレード」、「メビュームブレード」を発した。

「来る・・危ない、兄さん!」

 オルバが叫んで、アシュタロンがヴァサーゴを横に突き飛ばした。メビウスとヒカリが繰り出した一閃が、アシュタロンを切りつけた。

「オルバ!」

 致命傷を負ったアシュタロンに向かって、シャギアが叫ぶ。

「兄さん・・・僕の・・分まで・・・」

 オルバが声を振り絞って、シャギアのほうへ手を伸ばす。その直後にアシュタロンが爆発を起こした。

「オルバ!・・おのれ、ウルトラ戦士!」

 シャギアがさらに怒りをふくらませて、ヴァサーゴがメビウスたちに向かって加速してビームを連射した。

 メビウスが全身から炎を発して、強化形態「バーニングブレイブ」となった。彼から出ている炎が、ヴァサーゴのビームをはじいた。

「これが僕たちの、絆の炎だ!」

 メビウスが炎を集めて、炎の球「メビュームバースト」にして放った。ヴァサーゴが回避しきれずに炎の球を浴びて包まれた。

「これで勝ったと思うな・・たとえ死んでも、オレたちはこの恨みを・・・!」

 断末魔を口にして、シャギアがヴァサーゴの爆発に巻き込まれた。

「終わった・・できることなら、戦うことなく分かり合えたらよかった・・・」

 勝利したメビウスだが、シャギアたちを手に掛けたことを気に病んでいた。

「地球人もそれ以外の星の者も同じだ。命、平和を重んじる者もいれば、破壊や支配を目的とする者もいる。オレたちは悪しき考えを持つ者から、命と平和を守るために戦う。力だけでなく、言葉も・・」

 ヒカリが励まして、メビウスが小さく頷いた。

 平和を脅かす敵が牙を向けたなら、みんなを守るために立ち向かう。それが自分たちの使命であり願いであると、メビウスたちは自覚していた。

「ここも決着が付いたみたいだな・・」

 そこへデスティニーたちが来て、シンが声を掛けてきた。

「地球でも戦いが続いている。黒幕も姿を現しているはずだ・・」

「みんな、行くぞ。この世界も、我々の手で守るのだ。」

 シンに続けてゾフィーが呼びかけた。彼らは地球に振り返って、地上に降りていった。

 

 束の間の休息を取ってから、アキトたちは飛羽真たちのところへ向かった。彼らは飛羽真たちがヒルカメレオン、ザリガーナと戦っていた。

「仮面ライダーフォースたちも来たか。」

 マイトがアキトたちを見て笑みをこぼす。

「お前がこの騒ぎの黒幕ってヤツか・・!?

「そういうことになるな。お前たちの相手は、私がしよう。あまりじっとしていると、体がなまってしまう。」

 宝路が問いかけて、マイトが彼らに近づいていく。

「何か別の姿に変身する気か?」

「その必要はない。お前たちなどこのままで十分。」

 アキトが構えを取ると、マイトが強気な態度を見せる。マイトが右手をかざして、光を放出する。

「うわっ!」

 光が眼前で爆発して、アキトたちが吹き飛ばされる。

「アキト!ぐっ!」

 飛羽真がアキトたちに向かって叫ぶが、ザリガーナが振りかざしたハサミに装甲を切りつけられる。

「貴様らの相手はオレたちだ!」

「もっとも、全ての力を費やしても、オレたちに敵いはしない!」

 ヒルカメレオンとザリガーナが飛羽真たちの前に立ちはだかる。

「いつまでも調子に乗るなよ。ド派手になってきたってもんだ。」

 ザリガーナたちの前にマーベラスが出てきて、強気な態度を見せる。

「そのような態度がいつまで続くか。」

 ヒルカメレオンが告げると、1機の巨大な兵器が現れた。加勢独立国家「ヴェイガン」のモビルスーツ「ヴェイガンギア」と無人モビルスーツ「シド」が融合した「ヴェイガンギア・シド」である。

「ふえ〜!まだあんなのがいたなんて〜!」

 ドンが頭を抱えて、ジョーたちが身構える。

「こうなったらマシンで戦うしかありません!」

 鎧が呼びかけて、ゴーカイセルラーを手にした。そのとき、ヴェイガンギアが全身からビームを一斉に発射しようとした。

 そこへ光線が飛び込んで、ヴェイガンギアがビームを出すタイミングを外した。

「今の攻撃は・・!?

 ジョーがビームの飛んできたほうに目を向けた。彼らの前に現れたのは、赤い体の巨人だった。

「あれはセブン・・ウルトラセブンさんですよー!」

 鎧が巨人、ウルトラセブンを見て感動の声を上げる。

 セブンはウルトラ兄弟の1人で、ゼロの父親である。頭部にあるナイフ「アイスラッガー」の操作を始めとしたウルトラ念力に長けている。

「君たちと合流することができた。」

 セブンが飛羽真たちに声を掛けると、左手をゆっくりと下ろした。手の上には1人の青年が乗っていた。

「ありがとう、セブンさーん!いやぁ、ここが別世界の地球かぁ♪」

 青年がセブンの手から降りて、手を振ってお礼を言った。彼は周りを見回して、感動を覚える。

「あーっ!もしかして、スーパー戦隊の人ですか!?はじめまして♪オレ、五色田(ごしきた)介人(かいと)っていいます♪」

 青年、介人が喜びを振りまきながら、マーベラスたちに自己紹介をする。

「あなたも別の世界からいらしたのですか?」

「はい♪」

 アイムが質問して、介人が笑顔で答えた。

「こっちは今、取り込み中よ。邪魔だから早くどっか行ってよね。」

 ルカが不満げな素振りで介人に呼びかける。

「いえ!ここからはオレも戦いますよ!」

「えっ!?ということは君も・・!?

 意気込みを見せる介人に、鎧が戸惑いを覚える。

“ギアトリンガー!”

 介人が銃「ギアトリンガー」とアイテム「センタイギア」を取り出した。

「チェンジ全開!」

 彼がセンタイギアをセットしたギアトリンガーのハンドルを回す。

“45バーン!”

 介人がギアトリンガーのトリガーを引いた。

“ババン・ババン・ババン・ババン・ババババーン!ゼーンカイザー!”

 ギアトリンガーからセンタイギアの形の光が放たれた。介人がその光を浴びて、白のスーツとマスクとマント、金の装甲を身にまとった。

「えーっ!?君も戦隊の1人!?

 充瑠が介人を見て驚きの声を上げる。

「秘密のパワー、ゼンカイザー!」

 介人が名乗りを上げてポーズを決めた。彼は「機界戦隊ゼンカイジャー」の1人、ゼンカイザーだった。

 

 

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