ザ・グレイトバトル
-真の強さ-
第11章
アスランがシンに討たれたことを知り、キラが絶望を覚える。
「アスラン・・アスランが、死んだ・・・!?」
大きな絶望に襲われて、キラが体を震わせる。
「僕たちは・・ただ戦いを止めたかっただけなのに・・・どうして、こんなことに・・・!?」
キラがシンやゼットたちに向かって、怒りの声を上げる。
「お前が勝手に決めて、勝手にオレたちを攻撃してきただろうが!その上、自分たちの犯した間違いまで、オレたちに責任転嫁するつもりか!?」
ゼロがそんなキラに怒りの言葉をぶつける。
「これはお前たちの自業自得だ・・シンたちに倒されたのなら、おとなしくあの世に戻れ・・!」
「違う・・僕もアスランも、戦いを止めたかっただけなんだ・・それなのに!」
呼びかけるゼロに、キラが怒りと悲しみをふくらませた。
そのとき、破損していたフリーダムから黒い煙のようなものがあふれ出した。
「な、何だ!?」
フリーダムに起こった異変に、ゼットが驚く。
「僕は許さない・・アスランを奪ったお前たちを!」
キラが怒りを爆発させると、煙に包まれたフリーダムが変貌を遂げた。今までのフリーダムと形状が異なる姿に。
「フリーダムが、進化した・・!?」
ハルキがフリーダムの変貌を目の当たりにして、緊張を覚える。
「僕はお前たちを倒す・・全ての戦いを終わらせるために・・・!」
キラが低い声で言って、フリーダムが煙を払って復元、進化した姿を見せた。ストライクフリーダムの発展型「アークフリーダム」となった。
フリーダムがビームサーベルを手にして、ゼットたちに飛びかかる。そのスピードはストライクフリーダムを超えていた。
「ぐあっ!」
ゼットとゼロがビームサーベルに切りつけられて、体勢を崩して落下する。振り返ったフリーダムが、レールガンを発射して2人を追撃する。
「うあぁっ!」
ゼットとゼロがダメージを増して、さらに落下していく。地球に落ちていく2人を、フリーダムが追いかけていった。
アスランを討ったシンがゼット、ゼロ、キラの戦いを気にして、ジードたちとともに空を見上げた。
「ゼットとゼロさんが落ちてくる・・フリーダムが追い詰めているのか・・!?」
オーブがゼットたちの状況を把握して、驚きを覚える。
「フリーダムの姿が変わっている・・・!?」
「まさか!?」
ジードとシンがフリーダムの姿を視認して、驚きを覚える。ゼットたちが地上に落下して、フリーダムが追いかけて降下してきた。
「あの姿・・キラが暴走したときに使っていたフリーダムだ・・・!」
「大気圏の外で乗り換えたってこと・・!?」
シンとルナマリアがフリーダムに対して驚きを隠せなくなる。
「いや・・さっきのフリーダムが突然変化して、今の姿になったんだ・・・!」
ゼットがゼロとともに立ち上がって、シンたちに言いかける。
「そんなバカな!?モビルスーツが姿かたちを変えるなんて!?フリーダムにそんな機能はないぞ!」
「アイツらを生き返らせた黒幕の仕業だろう・・キラの感情を利用して、フリーダムを強化させたんだ・・・!」
声を荒げるシンに、ゼロが推測を巡らせる。
「お前たちも僕が倒す・・僕が戦いを終わらせる・・・!」
キラがゼットたちだけでなく、シンやジードたちにも敵意を向ける。
フリーダムがビームライフルに持ち替えて、レールガンとともに発射した。射撃がゼットたちウルトラマンに直撃したが、シンは即座に反応し、インパルスの前に出ていたデスティニーがビームシールドで防いだ。
「大丈夫か、ルナ!?」
「うん・・ありがとう、シン・・!」
シンが呼びかけて、ルナマリアが戸惑いを感じながら感謝した。ゼットたちも体勢を整えて、フリーダムに視線を戻した。
「オレたちウルトラ戦士を1度に相手して追い詰めてくるとは・・ウルトラヤバいぜ・・!」
「だけど負けられない・・オレたちでアイツを止めますよ、ゼットさん!」
焦りを噛みしめるゼットに、ハルキが呼びかける。
「アイツ、いい気になりやがって!」
ギンが怒りを覚えて、彼のGパニッシャーが飛び出してビームライフルを発射してきた。キラが反応して、フリーダムが回避してビームライフルを発射した。
「危ない!」
陽輝のフォースガンダムがGパニッシャーの前に出て、盾でビームを受け止めた。しかしビームを止め切れず、フォースガンダムが爆発に襲われて落下する。
「うぐっ!」
「陽輝!」
うめく陽輝にギンが叫ぶ。フォースガンダムが立ち上がって、陽輝がフリーダムを警戒する。
「オレも変身して戦うしかない・・!」
“ダメだ!近くにギンたちがいる!ここで変身すれば、君と私のことが知られてしまう!”
変身を決意する陽輝を、フォースが呼び止める。
「しかし、もうすぐみんなが活動限界を迎えてしまう・・!」
陽輝がゼットたちを心配して、焦りをふくらませる。フリーダム、ジャスティスとの戦いを経て、ゼットたちのカラータイマーが点滅を始めていた。
「ウルトラ戦士も地球も、破滅の末路を辿ることになる・・」
そのとき、テンナーが現れてゼットたちに声を掛けてきた。
「バット星人!こんなときに・・!」
オーブがテンナーの出現に毒づく。
「ついにあのお方が我々の前に現れる。お前たちは敗北と絶望を味わうことになる。」
「あのお方・・!?」
テンナーが口にした言葉に、オーブが緊張をふくらませる。
さらにゼットンとともに、もう1体の怪獣が現れた。ウルトラ星人の住む惑星「U40」を狙った「ヘラー軍団」が操っていた処刑怪獣マクダターである。
「凶暴な怪獣が出てきたみたいだ・・!」
「だが、あのお方ってヤツがまだいないぞ・・!」
ジードがマクダターを見て言いかけて、ゼロが周囲を見回す。
そのとき、ゼットたちのいる場所の空に黒い雲が現れて、広がって日の光をさえぎった。
「何、あの黒雲!?・・あんな雲が出る予報はなかったはずよ・・・!」
ナツが黒い雲を見て緊張をふくらませる。黒い雲から雷のような光が飛び込んできて、ゼットたちの眼前で爆発が起こった。
爆発で発生した煙の中から、1人の黒ずくめの宇宙人が現れた。彼は黒いマントをひるがえして、煙を振り払った。
「エンペラ星人!アイツも復活していたのか!?」
ゼットがその宇宙人、暗黒宇宙大皇帝、エンペラ星人を見て緊張をふくらませる。
「ゼットさん、あの宇宙人を知ってるんですか!?」
「あぁ・・大昔にウルトラの国を攻めてきて、ウルトラの父に返り討ちにされた、怪獣軍団の親玉だ・・メビウス兄さんとヒカリ兄さんが力を合わせてやっと勝ったほどの、超ウルトラヤバい相手だ・・!」
ハルキが聞いてきて、ゼットがエンペラ星人について説明する。
「余が再びよみがえるまでの間に、ウルトラマンも増えたようだ。お前たちの力がどれほどのものか、余が見定めてくれる。」
エンペラ星人がゼットたちに言うと、ゼットンとマクダターが前進を始めた。
「フリーダムはオレが倒す!みんなは怪獣を!」
デスティニーが前に出て、シンがゼットたちに呼びかけてきた。
「デスティニー・・シン・・僕は、お前を許さない・・・!」
キラがシンに怒りを感じて、鋭く言う。
「キラ・・あのときのように、怒りに囚われて見境を失くしたのか・・どこまでも、自分勝手な考えを持ち続けて・・・!」
シンもキラに対して静かに怒りを感じていた。
フリーダムがビームライフルとレールガンを同時に発射する。デスティニーが加速して、ビームをかいくぐる。
フリーダムがビームサーベルに持ち替えて、飛びかかって振りかざす。デスティニーもアロンダイトを振りかざして、ビームの刃を連続でぶつけ合う。
デスティニーとフリーダムが攻防を繰り返しながら、宇宙に向けて上昇していく。
「シン、私も行くわ!」
「いや、キラはオレ1人で倒す!」
加勢に向かおうとしたルナマリアを、シンが呼び止めた。デスティニーとフリーダムが大気圏を抜けて、宇宙に出た。
「ここでアンタを倒す・・何度蘇ってきても、何度でもオレが倒してやる・・!」
「シン・・・お前は僕が倒す・・僕が必ず・・・!」
互いに敵意を向け合うシンとキラ。デスティニーとフリーダムが再び突撃を仕掛けた。
シンたちを見届けてから、ゼットたちがゼットンとマクダターを迎え撃った。
「ゼットン、お前の力はそんなものではない!力を開放するのだ!」
バット星人が命令を出して、両手からエネルギーをゼットンに送り込んだ。パワー上げたゼットンの体に変化が起こった。
「あれは、ハイパーゼットン!」
「ここでパワーアップをしてくるとは・・!」
ゼロとオーブがハイパーゼットンを見て、緊迫を浮かべる。
「このままじゃゼットたちがやられてしまう!」
「みんなを援護するぞ!ビームライフル、一斉発射!」
イズルが焦りをふくらませて、ギンが指示を出す。
「待て、みんな!Gパニッシャーじゃ今のアイツには・・!」
陽輝が呼び止めるが、Gパニッシャー3機がビームライフルを同時に発射した。しかしハイパーゼットンはビームを当てられても平然としていた。
「全然効いていない!?」
攻撃が通じないことにギンが驚く。ハイパーゼットンが顔と両手にエネルギーを集めて、火球を飛ばした。
「ナツたちがやられる!」
ナツたちのピンチに、陽輝がフォースに変身することを決意した。
「フォース!」
陽輝がフォースブレスを付けている左腕を前に伸ばした。彼がフォースに変身して、右手を振りかざして火球をはじいた。
「い、今・・フォースガンダムからフォースが出てきた・・!?」
「・・ってことはもしかして、ウルトラマンフォースは、陽輝なのか・・!?」
フォースの正体が陽輝だと知って、イズルとギンが驚きを隠せなくなっていた。
「陽輝・・・」
ナツが陽輝とフォースに戸惑いを感じていた。
「オレたちのこと、みんなに知られることになってしまった・・・」
「遅かれ早かれ、知られることになっただろう・・今はエンペラ星人たちを倒し、ゼットたちやGフォースのみんなを守るのが大切だ・・!」
表情を曇らせる陽輝に、フォースが言いかける。
「この地球を守るウルトラマンか。余がお前の力を確かめるとしよう。」
エンペラ星人がフォースに注目して、自ら戦いに赴いた。
「ゼットたちを休ませることは難しいようだ・・・!」
「お気遣い感謝します・・だけどオレたちは、最後の最後まで戦いますよ!」
申し訳ない気持ちを告げるフォースに、ゼットが意気込みを見せる。
「オレが先陣を切る!みんなは援護を頼む!」
フォースが呼びかけて、エンペラ星人に向かって飛び出した。
エンペラ星人が左手を出して、ジャンプしてパンチを繰り出してきたフォースに衝撃波を放ってきた。
「うあっ!」
フォースが吹き飛ばされて、衝撃波が駆け抜けた地面で次々に爆発が起こった。
「フォース!」
「陽輝!」
倒れたフォースにゼットとナツが叫ぶ。ゼットたちが援護しようとするが、ハイパーゼットンとマクダターに行く手を阻まれた。
「オレたちはこの2匹を倒すことに集中する!」
オーブが言い放って、ゼットたちとともにハイパーゼットンを迎え撃つ。
ハイパーゼットンがテレポートを駆使して、ゼットたちを翻弄する。
「くそっ!こうなったら!」
功を焦るゼットが両腕を十字に組んだ。
「待て、ゼット!」
「ゼスティウム光線!」
ゼロが呼び止めるのを聞かずに、ゼットが光線を発射した。ハイパーゼットンが両手で光線を受け止めて吸収した。
「何っ!?」
ゼットが驚きの声を上げたところへ、ハイパーゼットンがエネルギーを返して光線を放出した。
「おわっ!」
光線が眼前の地面に当たって爆発して、ゼットたちが吹き飛ばされた。
「くっ!・・バカヤロー!ゼットンは光線を跳ね返すのに、無闇に撃ちやがって・・!」
「そ、そんな!?」
文句を言うゼロに、ゼットが悲鳴を上げる。テンナーも巨大化して、ハイパーゼットンの隣に来た。
「ゼットン、ウルトラ戦士にとどめを刺すのだ!」
テンナーが命令して、ハイパーゼットンがゼットたちに迫る。ゼットたちが立ち上がろうとするが、残りのエネルギーが少なくなって、カラータイマーの点滅も速くなっていた。
ハイパーゼットンがゼットたちに向かって、両手からの光線を発射した。
そこへ別の光線が3つ飛び込んできて、ハイパーゼットンの光線とぶつかってともに爆発した。
「ん!?何だ!?」
突然のことにテンナーが驚いて、ゼットたちも光線の飛んできたほうへ振り向いた。その先の空には、3人のウルトラ戦士がいた。
「あ、あなたたちは!・・ウルトラマン兄さん!ジャック兄さん!ティガ先輩!」
ゼットが3人のウルトラ戦士を見て、喜びの声を上げる。
ゼットたちを救ったのは初代ウルトラマン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンティガ。次元の異変を感知して、3人も次元を超えてこの地球に来たのである。
「遅くなってすまなかった。ここからは我々も加勢するぞ。」
ウルトラマンがゼットたちに声を掛けてきた。
「みんな、エネルギーを受け取るのだ。」
ジャックが左腕に着けている腕輪「ウルトラブレスレット」を掲げた。ブレスレットから光があふれて、ゼットたちのカラータイマーに注がれた。
ゼットたちが回復して、カラータイマーも青に戻った。
「ありがとうございます、ジャックさん!」
オーブがジャックに向けて感謝した。ウルトラマンたちも着地して、ゼットたちと合流した。
「新たにウルトラ戦士が3人も現れたか・・ならばまとめて倒すまでだ!」
テンナーがウルトラマンたちの出現に毒づく。
「ゼット、お前はフォースを援護するんだ!お前なら、フォースと力を合わせてエンペラ星人と戦えるはずだ!」
「分かりました!」
ゼロが呼びかけて、ゼットがフォースの加勢に向かった。
「バット星人、お前たちの相手は我々だ!」
「この世界も、僕たちが守ってみせる!」
ジャックがテンナーに向かって言い放って、ティガも決意を口にした。
「みなさん、協力ありがとうございます!」
「よし、行くぞ!」
ジードがお礼を言って、ウルトラマンが掛け声を上げる。彼らがテンナーたちに向かっていく。
マクダターの突撃をウルトラマンとオーブが回避する。マクダターが即座に尻尾を振りかざすが、ウルトラマンにつかまれた。
ウルトラマンはそのままマクダターを振り回して投げ飛ばした。
「このまま力押しさせてもらいます!」
オーブが言い放って、ガイがオーブリングと2枚のウルトラフュージョンカードを手にした。ベルアルのカードと宇宙警備隊隊長、ゾフィーのカードである。
「ゾフィーさん!」
“ゾフィー!”
「ベリアルさん!」
“ウルトラマンベリアル!”
ゾフィーとベリアル、2枚のカードをオーブリングにリードさせるガイ。
「光と闇の力、お借りします!」
彼がオーブリングを掲げて、ゾフィーとベリアルの力を身にまとう。
“ウルトラマンオーブ・サンダーブレスター!”
オーブの体が筋肉隆々となる。彼は別形態「サンダーブレスター」となった。
マクダターが突撃して、オーブが体を張って受け止めた。オーブはそのままマクダターを持ち上げて、力強く投げ飛ばした。
地面に叩きつけられたマクダターがダメージを増して、立ち上がるもふらつく。
「オーブ、同時攻撃だ!」
「はい、ウルトラマンさん!」
ウルトラマンが呼びかけて、オーブが答える。
「ゼットシウム光輪!」
オーブが刃を発した赤黒い光の輪を出して投げつける。ウルトラマンも八つ裂き光輪「ウルトラスラッシュ」を放った。
マクダターが両手を振りかざすが、2つの光の輪で爪を傷付けられた。マクダターが怯んで後ずさりする。
「続けていくぞ!」
「はい!」
ウルトラマンがさらに指示して、オーブが頷いた。
「ゼットシウム光線!」
オーブが両腕を組んで、稲妻を帯びた光線を発射した。ウルトラマンも両腕を交差させて、光線「スペシウム光線」を出した。
マクダターが2人の光線を浴びて、爆発して消滅した。
「やりました、ウルトラマンさん!」
「我々もフォースたちの援護に向かうぞ。」
オーブとウルトラマンが声を掛け合って、フォースたちの戦いに向かった。
テンナーが放つロケット弾を、ジードとティガが駆け抜けてかいくぐっていく。
「おのれ・・ならばこれならどうだ!」
テンナーが両手から光線を発射して、ジードたちに命中させた。
「うあっ!」
ジードたちが怯んで足を止める。テンナーが再び光線を放って、2人が左右に別れて回避した。
体勢を整えたティガが両腕を振りかざすと、体の基調が赤になった。
ティガも姿や能力を変える「タイプチェンジ」が可能で、今の彼は力を主体とした「パワータイプ」となった。
テンナーが再び光線を発射する。ティガが右のパンチを繰り出して、光線をはじき飛ばした。
「おのれ、ウルトラマンティガ・・!」
テンナーがティガにいら立ちを見せる。
「ストライクブースト!」
そのとき、ジードがテンナーの横に詰め寄ってきて、炎をまとった拳を繰り出した。
「ぐおっ!」
テンナーが打撃を受けて、空中高く飛ばされた。ティガが両腕の前に熱エネルギーを集めて、炎の球「デラシウム光流」を放った。
「これで勝ったと思うな!まだゼットンと、あのお方がいる!」
断末魔を叫ぶテンナーが、炎の球を直撃されて爆発した。
「やりましたね、ティガさん!」
「うん。みんなを助けに行こう、ジード!」
喜ぶジードにティガが呼びかける。2人もフォースたちの加勢に向かった。
瞬間移動と高速移動を繰り返すハイパーゼットンに、ゼロとジャックが翻弄される。
「このスピードに追い付こうとすれば、エネルギーを消耗させられる・・!」
「攻撃を受けるのを覚悟して、一撃必殺の技を叩き込むしかない!」
ジャックとゼロハイパーゼットン打倒の方法を探る。
「ダイナ、コスモス、オレに力を貸してくれ・・!」
ゼロが左腕に装備している「ウルティメイトブレスレット」に意識を傾けた。
「ストロングコロナゼロ!」
ウルティメイトブレスレットから赤い輝きが放たれる。ゼロの体の青色が赤に変わり、赤が主体となった。
ウルティメイトブレスレットには2人のウルトラマン、ダイナとコスモスの力が宿っている。ゼロの別形態「ストロングコロナゼロ」は、ダイナの「ストロングモード」とコスモスの「コロナモード」の力を備えた攻撃力重視の姿である。
ハイパーゼットンが火の球を連射する。ゼロが火の球を当てられるが、耐えて前進する。
ハイパーゼットンが距離を詰めて、ゼロの首をつかんできた。
「来たな・・!」
ゼロが力を振り絞って、ハイパーゼットンの腕をつかんだ。ジャックがゼロと目を合わせてから、ハイパーゼットンに組み付いた。
「ウルトラダブルハリケーン!」
ゼロとジャックが同時に両手を振りかざして、ハイパーゼットンを空高く投げ飛ばした。その衝撃で竜巻が起こって、ハイパーゼットンの動きを封じていた。
「今だ、ゼロ!」
「分かった、ジャック!」
ジャックとゼロが声を掛け合って、ともにエネルギーを集めた。
「ガルネイドバスター!」
ゼロが右手を振り上げて高熱の光線を放出した。ジャックも両腕を組んで「スペシウム光線」を放った。
身動きの取れないハイパーゼットンが2人の光線を浴びて、空の彼方で大爆発した。
「どのような強敵が現れても、打ち勝つ光は必ず存在する。大切なのは、それを見失わないことだ。」
「そのための力を、みんなが貸してくれたんだ・・ジャック、アンタやフォースたちがいてくれたことも・・」
ジャックの言葉に頷いて、ゼロがウルティメイトブレスレットに目を向けた。今の自分の強さも、多くのウルトラ戦士の協力が結集したものだと、実感していた。
「ジードたちがフォースとゼットの援護に向かっている。我々も行くぞ。」
「あぁ!」
ジャックがジードたちに続いて、ゼロも追いかけた。
エンペラ星人の放つ光線に、フォースもゼットも彼に近づくこともできないでいた。
「どうした?2人がかりで余を動かすこともできぬか?」
エンペラ星人が口調を変えずにフォースたちに言いかける。
「こうなったら、フォースアーマーを使うしかない・・!」
「だが生半可な力では返り討ちにされるだけだ・・ファーストアーマーでいこう!」
フォースが提案して、陽輝が答える。
「行くぞ、フォースガンダム・・!」
陽輝がフォースガンダムに目を向けてから、フォースブレスの画面をスライドしてマークを表示させた。
「ファーストアーマー!」
フォースガンダムが新たな形に変形して、フォースに装着された。
初代ウルトラマン、仮面ライダー1号、秘密戦隊ゴレンジャー、νガンダム。初代戦士の力が宿っている「ファーストアーマー」を、フォースは身にまとった。
エンペラ星人がフォースを狙って、左手をかざして衝撃波を放った。
「フォースファンネル!」
フォースが右手を振りかざして、光の端末「フォースファンネル」が複数出した。フォースファンネルが発したビームがつながって光の壁を形成して、エンペラ星人の衝撃波を防いだ。
フォースがフォースファンネルを飛ばして、エンペラ星人を包囲してビームを連射する。エンペラ星人がマントをひるがえして、ビームをはじき飛ばした。
「フォースキック!」
フォースがジャンプをして、エンペラ星人目がけてキックを繰り出した。エンペラ星人が右手を出して、フォースのキックを受け止めた。
「何っ!?」
驚きの声を上げるフォースに対して、エンペラ星人がそのまま衝撃波を放つ。フォースが吹き飛ばされて、地面に叩きつけられた。
「フォース!」
ハルキが叫んで、ゼットがエンペラ星人に向かっていく。フォースも立ち上がって、彼に続く。
「ファーストフォースシュート!」
「ゼスティウム光線!」
フォースとゼットが両腕を組んで、同時に光線を発射した。エンペラ星人が両手でそれぞれの光線を受け止めて、稲妻を帯びた光線で押し返した。
「ぐあっ!」
フォースとゼットが吹き飛ばされて倒れた。
「これも通用しないのか・・・だったら・・・!」
ゼットが立ち上がって、ハルキが思い立つ。だがそこへエンペラ星人が両手からの光線を放ってきた。
「ワイドブーストショット!」
そこへジードが発射した光線が飛び込んで、エンペラ星人の光線とぶつかって相殺させた。ジードがオーブたちとともに駆けつけて、フォースたちと合流した。
「大丈夫か、フォース、ゼット!?」
「はい!大丈夫ッス!」
ゼロが呼びかけて、ゼットが答える。
「ジード、スピードで攻めるぞ!」
「はい!」
ゼロの指示にジードが頷いた。
「ルナミラクルゼロ。」
ゼロの体の赤が青に変わる。彼はダイナの「ミラクルモード」とコスモスの「ルナモード」の力を宿した「ルナミラクルゼロ」となった。
リクが2つのウルトラカプセルを取り出した。ウルトラマンヒカリの「ヒカリカプセル」と、コスモスの「コスモスカプセル」である。
“ウルトラマンヒカリ!”
“ウルトラマンコスモス!”
リクがジードライザーのトリガーを押した。
“ウルトラマンジード・アクロスマッシャー!”
ジードの体が青と銀の姿に変わった。彼はヒカリとコスモスの力を宿した「アクロスマッシャー」となった。
「ミラクルゼロスラッガー。」
ゼロがゼロスラッガーを大量に分身させて、エンペラ星人を包囲して攻め立てる。エンペラ星人が全身から黒い光を発して、ゼロスラッガーを防いでいく。
「アトモスインパクト!」
その間にジードがエネルギーを集めて、青い光線を発射した。エンペラ星人が体から出ていた黒い光を前に出して、ジードの光線を打ち破った。
「エンペラ星人・・ウルトラの父と互角に戦っただけはあるな・・!」
「だったら出し惜しみなく、全力全開でぶつかるだけです!」
ゼロがエンペラ星人の力を警戒して、ゼットが覚悟を決めた。
「エンペラ星人、これから見せるのが、オレたちの本当の強さだ!」
オーブがエンペラ星人に言い放つ。ガイが1枚のウルトラフュージョンカードを取り出した。カードに描かれているのは、オーブ本来の姿。
“覚醒せよ、オーブオリジン!”
ガイの手元に剣「オーブカリバー」が握られて、柄にあるリングが回される。
「オーブカリバー!」
ガイがオーブカリバーのトリガーを引く。オーブカリバーから彼が普段ハーモニカで奏でていた曲に似たメロディが流れ出す。
そしてオーブの姿にも変化が起こる。これまで他のウルトラマンの力を借りて戦ってきた彼が、彼自身の力と姿を発揮した。
「これが本当のオレ!ウルトラマンオーブの本当の姿!銀河の光が、我を呼ぶ!」
オーブがエンペラ星人に向けて言い放つ。彼は本当の姿「オーブオリジン」への変身を果たし、手にはオーブカリバーが握られていた。
「オレも行きます!」
リクも2つのウルトラカプセルを手にした。ベリアルカプセル、そしてウルトラの国の伝説の超人、ウルトラマンキングの力を宿した「キングカプセル」である。
「ユーゴー!アイゴー!」
リクが装填ナックルにベリアルカプセルとキングカプセルをセットした。
「ヒアウィーゴー!」
彼がトリガーを押したジードライザーで、装填ナックルにセットされているカプセルをスキャンした。
“フュージョンライズ!”
“ウルトラマンベリアル!ウルトラマンキング!我、王の名の下に!”
リクの手元に聖剣「キングソード」が現れた。彼は装填ナックルにセットされているキングカプセルをキングソードの上部にセットして、クリスタルに手をかざした。
「変えるぜ、運命!」
“ウルトラマンジード・ロイヤルメガマスター!”
ジードの姿が、神々しさを宿した金銀、紫の姿に変化した。彼はキングとベリアル、善悪両方の強大な力を宿した姿「ロイヤルメガマスター」となった。
「ウルティメイトゼロ!」
ゼロがウルティメイトブレスレットに意識を傾ける。神秘の鎧「ウルティメイトイージス」が現れて、彼の体に装着された。
「行きますよ、ゼットさん!」
「おう、ハルキ!」
ハルキが呼びかけて、ゼットが答える。
ハルキがウルトラメダルの1種「ライズウルトラメダル」を3枚取り出した。ゼロの強化形態「ゼロビヨンド」の「ゼロビヨンドライズメダル」、ジードの「ジードライズメダル」、ベリアルの進化した「ベリアル・アトロシアス」の「ベリアルアトロシアスメダル」である。
「闇をのみ込め、黄金の嵐!ゼロ師匠!ジード先輩!ベリアル!」
“Zero Beyond,Zeed,Belial
atrocious.”
ハルキが3枚のウルトラメダルをウルトラゼットライザーにセットして、リードしていく。
「押忍!ご唱和ください、我の名を!ウルトラマン、ゼーット!」
「ウルトラマン、ゼーット!」
ゼットの掛け声とそろえて、ハルキが高らかに掲げたウルトラゼットライザーのトリガーを押した。
“Ultraman Z,Delta
rise claw."
ゼットの体が赤、青、金のカラーリングとなり、上半身も鎧のような装甲が現れた。彼は最強形態「デルタライズクロー」となった。
「エンペラ星人、オレたちの全力、お前に見せてやる!」
ゼットがエンペラ星人に言い放ち、フォースたちとともに戦いを挑んだ。