ザ・グレイトバトル
-真の強さ-
第10章
手傷を負って逃走したバスコを、陽輝たちがフォースガンダム、Gパニッシャーで追いかけていた。蓮斗たちもそれぞれもフォースマシンに乗って追走していた。
「逃がさないぞ、バスコ・・追いついて、必ずオレたちの力を取り戻す・・!」
蓮斗がフォースジェットを加速させて、バスコの前に回り込んで降下した。
「しつこい性格してるねぇ。それとも、オレもここまで人気者になったってことかな?」
フォースジェットから降りてきた蓮斗を見て、バスコがため息をつく。
「オレたちの力を返してもらうぞ!」
「変身できなくても、戦うことはできるんだからね!」
悠馬と理穂も降りてきて、バスコに言い放った。
「僕たちが足手まといになってしまったら、格好がつかないね。」
「力を合わせて、私たちの力を取り戻しましょう。」
新平とモモも決意を口にする。
「いくらボロボロになっているオレでも、君たちに負けるほど落ちぶれちゃいないよ・・!」
バスコが笑みをこぼすと、怪人の姿へと変化した。
「フォースシューター!」
蓮斗たちがフォースシューターを手にして、バスコに向けて構えた。
「反動は付くが、使いこなせないことはない!」
「それでオレに勝てると思っているのかい?」
言い放つ蓮斗を嘲笑して、バスコがカリブラスターを発射した。射撃が眼前の地面に当たって、蓮斗たちが身構える。
バスコがスピードを上げて、蓮斗たちに打撃を叩き込んだ。
「ぐっ!」
蓮斗たちがダメージを負って、地面に膝をつく。彼らの後ろで立ち止まって、バスコが振り返る。
「蓮斗!」
陽輝がフォースガンダムから蓮斗たちに向かって叫ぶ。ビームライフルを構えるフォースガンダムだが、蓮斗たちを巻き添えにできず発射できない。
「時間を掛けられないから、早く倒させてもらうよ・・・!」
バスコが低い声で言うと、再び高速で突撃した。悠馬、理穂、新平、モモがバスコの打撃で突き飛ばされた。
そして蓮斗にもバスコの左の拳が叩き込まれたときだった。
「捕まえたぞ、バスコ!」
蓮斗が右手でバスコの左腕をつかんで、左手で持っていたフォースシューターを発射した。
「ぐっ!」
バスコが体に立て続けに射撃を受けて、激痛を覚えてうめく。彼がカリブレードを持った右手を振り下ろして、蓮斗の左肩を殴りつける。
それでも蓮斗は射撃をやめずに、痛みに耐えて撃ち続ける。
「オレたちの力を返してもらうまで、この手は死んでも放さないぞ・・!」
蓮斗が声を振り絞って、バスコに言い放つ。
「元々は敵討ちのために求めた力だった・・その感情を利用されたこともあった・・だが、力を求めたことそのものは後悔していない・・!」
今までの自分の戦いを思い返していく蓮斗。
ブラジラの策略で家族や親友を失い、力を求めて防衛隊に入った蓮斗たち。フォースレンジャーとなって侵略者と戦ってきたが、そこにもブラジラの陰謀が潜んでいた。
力を求めることすらブラジラの掌の上で踊らされたことに、蓮斗たちは絶望した。しかし陽輝たちの戦う姿に触発されて、蓮斗たちは再び戦う意思を持った。
「オレたちの力を、これ以上敵に利用されるわけにはいかないんだ!」
蓮斗が叫んで、フォースシューターをさらに発射した。バスコが致命傷を負って後ずさりしていく。
そのとき、バスコの体から5つの光があふれ出した。光は蓮斗たちに戻っていった。
「やった!力が戻った!」
「これでフォースレンジャーになれるはずだ!」
理穂と悠馬がフォースチェンジャーを見て喜ぶ。
「ホントにやってくれたよ、お前たち・・・!」
バスコが撃たれた体を押さえて笑みをこぼす。変身していない蓮斗たちにやられたことに、バスコは屈辱を感じていた。
「でもこれで終わらないよ・・必ず、この地球にある宇宙最大のお宝を・・・!」
「いいや、君は終わっているよ・・」
宝への執着心を増していくバスコに声がかけられた。次の瞬間、彼が体に激痛を感じて、思わず倒れた。
「な、何だ・・!?」
「私たち、何もしていないですよ・・・!」
蓮斗とモモがバスコの異変に声を荒げる。バスコの後ろには1人の青年が立っていた。
「何者だ、お前は!?バスコの仲間か!?」
悠馬が蓮斗たちとともに身構えて、青年に問いかける。
「私の名はマイト。全ての力を束ねる存在だ。」
青年、マイトが不敵な笑みを浮かべて名乗った。
「全ての力を束ねる?ずいぶんと大げさなことを言うヤツが出てきたもんだ・・」
彼の態度に新平が呆れた素振りを見せる。
「大げさなどではない。私以外にこの存在はいないのだから。」
「えっ!?本気でナルシストなの!?イヤな感じが〜・・」
笑みを絶やさないマイトに、理穂が気まずくなる。
「どうして出てきたのかな?・・オレは取り込み中なんだけどなぁ・・・!」
バスコが痛みに耐えながら、マイトに声を掛ける。
「いや、君は終わりだ。ゴーカイジャーにはもちろん、このフォースレンジャーにも敵わない。」
「そんなことはない・・まだまだこれからだ・・・!」
ため息まじりに言うマイトに、バスコが声を振り絞って言い返す。
「君は利用できるものは徹底的に利用する。人質も使うし、敵をうまく術中にはめることも・・スーパー戦隊の力を使うことも、仲間を切り捨てることも・・」
マイトがバスコのことを語り出す。
「だが今の君は私に利用されている。なぜなら、君やディケイド、他の者を蘇生させたのは私なのだから・・」
「何っ!?・・お前が、この戦いの元凶だったのか!?」
マイトが口にしたことに、蓮斗が驚く。
「そうだ。他の怪獣や超獣、宇宙人や怪人、パイロットを蘇らせたのもね。」
「つまり、あなたを止めれば、この戦いの拡大は止まるのですね・・!」
マイトが話を続けて、モモが納得する。
「理屈としては正解だが、それは不可能だ。なぜなら誰にも私を止められないからだ。」
マイトは余裕のある態度で話を続ける。
「私が、ただの虎の威を借る狐だと思っているのか?それなりの力を持ち合わせていなければ、手荒な飼い犬を操ることもできない。」
マイトがバスコに目を向けて、意識を傾ける。するとバスコを襲う激痛がさらに強まった。
「私の持つ能力は蘇生だけではない。蘇生させた者の命を私の意思1つで制圧することができる。このように痛みを加えることも、動きを封じることも・・」
「そうやって、命を弄ぶのか・・命を何だと思っている!?」
語りかけていくマイトに、蓮斗が怒号を放つ。
「失われた命を拾ったまでだ。それをどうしようと私の自由だ。」
「お前・・お前というヤツだ!」
バスコたちを弄ぶマイトに、蓮斗が怒りをふくらませる。
「命を駒のように扱う・・お前もブラジラやバスコと同じだ!」
「私はそいつらとは格が違う。命をも操る力を得て、やがて生ある者すらも手中に収める。それがこの私、マイトなのだ。」
悠馬も怒りをぶつけるが、マイトは自分が絶対であるという考えを変えない。
「何かを得るために何かを捨てる。それが君の信条だったな、バスコ。」
マイトがバスコを見下ろして微笑みかける。
「私の目的のために切り捨てられる最期を迎えるとは、君にとっては皮肉なことだ・・」
マイトが目を見開いた瞬間、バスコが爆発に襲われた。マイトに命を消されたバスコが消滅した。
「自分の仲間をこうも簡単に切り捨てるとは・・!」
新平がマイトを鋭く睨みつける。
「もう役目を終えたからね。飼い犬に手を噛まれる前に処分したまでだ・・」
「あなたを許すことはできそうにないです・・命をおもちゃだと思い込んでいるあなたを・・・!」
命を弄ぶマイトを、モモは倒すべき敵だと確信した。
「私の意思で戦う者は、まだまだいる。」
マイトが蓮斗たちに笑みを見せたときだった。テンナーが姿を現して、蓮斗たちの前に立ちはだかった。
「お前は、この前出てきたバット星人!」
「フォースレンジャー、今度はお前たちが、このテンナーの相手をすることになりそうだな。」
悠馬が声を上げて、テンナーが笑みをこぼす。
「この宇宙人だけではないぞ。」
さらに1人の男が姿を現した。
「我々もいるぞ。」
もう1人、別の男も蓮斗たちの前に立ちはだかった。
「もしかして、宇宙人の仲間!?」
理穂が男たちを見て驚きの声を上げる。
「我が名は“ゲルショッカー”のブラック将軍。」
「我が名は“デストロン”のヨロイ元帥。そして・・」
2人の男、ブラック将軍とヨロイ元帥が名乗って、マントを翻した。2人の姿が怪人へと変わった。
「オレの名はヒルカメレオン!」
「オレはザリガーナ!フォースレンジャー、Gフォース、覚悟してもらおうか!」
怪人、ヒルカメレオンとザリガーナが再び名乗りを上げた。
「また敵が増えてきたってわけか・・!」
「お前たちもマイトが生き返らせたというのか!?」
新平と悠馬がヒルカメレオンたちに向けて声を上げる。
「そういうことだ。仮面ライダーや他の者と敵対しているという共通の目的から、もめることなく従ってくれているが。」
マイトがヒルカメレオンたちについて語っていく。
「それに、Gフォースの相手をしてくれる者が、今ここに来てくれたことだし・・」
「何っ!?」
「まさか!?」
マイトの言葉を聞いて、陽輝とハルキが空を見上げた。フリーダムとジャスティスがフォースガンダムたちの前に現れた。
「あれが、フリーダムとジャスティス・・!」
「キラ・・アスラン・・・!」
ナツが緊張を覚えて、シンが目つきを鋭くする。
「シン・・ルナマリア・・・」
アスランがデスティニーとインパルスを見下ろして、深刻さを感じていく。
「僕たちが終わらせないと・・この戦いを・・・」
キラが戦いを止めるために、陽輝たちに攻撃を仕掛けようとしていた。
「ここはオレに任せてください・・陽輝さんとフォース先輩は、いざというときのために・・・!」
ハルキがリク、ガイとともに駆けつけて、陽輝に呼びかけてきた。
「しかし、あの2機のパイロットは、自分本位に戦っているとはいえ、人間だ・・迷いなく戦えるか・・・?」
陽輝がハルキに忠告をしてきた。するとハルキが思いつめていく。
「救える命があるなら救いたいッス・・しかし、あの2人は1度死んでるんですよね・・・!?」
「あぁ・・シンの話だと、2人ともシンが倒したと・・」
ハルキの問いかけに、陽輝が声を振り絞って答えた。
「だったら、迷うことはない・・アイツらを救うためにも、迷ったらいけない・・・!」
「オレも覚悟を決める・・みんなを傷付けたり支配しようとしたりするヤツには、どんな事情や理由があっても、相手がどんなヤツでも、言いなりにはならない・・!」
ハルキと陽輝が迷いを振り切り、キラたちと戦うことに集中する。
「アイツらの相手、オレもやらせてもらうぞ。」
ガイもキラたちと戦う決意を固めて、ゼロ、リクと頷き合った。
「みんな、まずはあの3人を倒す!」
「あぁ!」
「うん!」
「OK!」
「はい!」
蓮斗の呼びかけに勇馬、理穂、新平、モモが答えた。彼らがフォースチェンジャーの青のボタンを押した。
「フォースチェンジ!」
フォースチェンジャーから発した光を浴びて、彼らはフォースレンジャーに変身した。
「フォースレッド!」
「フォースブルー!」
「フォースイエロー!」
「フォースグリーン!」
「フォースピンク!」
蓮斗、悠馬、理穂、新平、モモが名乗りを上げてポーズを決めた。
「無双戦隊!」
「フォースレンジャー!」
蓮斗が声を上げて、悠馬たちと声をそろえた。
「オレたちも行くぞ、ガイ、リク、ハルキ!」
「押忍!」
ゼロが呼びかけて、ハルキが答える。ハルキがウルトラゼットライザーと3枚のウルトラメダルを手にした。
「宇宙拳法、秘伝の神業!ゼロ師匠!セブン師匠!レオ師匠!」
“Zero,Seven,Leo.”
ハルキが3枚のウルトラメダルをウルトラゼットライザーにセットして、リードしていく。
「押忍!ご唱和ください、我の名を!ウルトラマン、ゼーット!」
「ウルトラマン、ゼーット!」
ゼットの掛け声とそろえて、ハルキが高らかに掲げたウルトラゼットライザーのトリガーを押した。
“Ultraman Z,Alpha edge.”
ハルキがゼットに変身して、フリーダムの前に現れた。
「ウルトラマンさん!」
“ウルトラマン!”
ガイがウルトラマンのウルトラフュージョンカードをオーブリングの中央に入れてリードする。
「ティガさん!」
“ウルトラマンティガ!”
彼が続けてウルトラマンティガのカードをオーブリングにリードさせる。
「光の力、お借りします!」
“フュージョンアップ!”
オーブリングを高く掲げたガイが、2人のウルトラマンの光に包まれる。
“ウルトラマンオーブ・スペシウムゼペリオン!”
ガイがオーブに変身して、ゼットの横に立った。
「次は僕だ!」
リクも続いてジードライザーとウルトラカプセルを手にした。
「ユーゴー!アイゴー!ヒアウィゴー!」
“ウルトラマンジード・プリミティブ!”
彼はジード・プリミティブに変身して、ゼットたちと並び立った。
「ゼロー!」
ゼロもメガネ型のアイテム「ウルトラゼロアイ」を装着して変身、巨大化した。
「あの巨人が4人も・・オレたちの敵に回って・・・!」
「どうして、戦いを仕掛けてくるんだ・・・!?」
アスランとキラがゼットたちが立ちはだかってきたことに、歯がゆさを感じていく。
「目を覚ましてください!あなたたちも地球人!戦う相手はオレたちじゃなくて、侵略を企んでいる悪者たちです!」
ハルキがキラたちに向かって呼びかける。
「でも、そのために多くの人が血を流して、悲しい思いをすることになる・・そうさせないために、僕たちは戦う・・・!」
しかしキラはハルキの言い分を聞き入れず、自分の意思を貫こうとする。
「だったら相手が違うだろ!?お前の言うイヤなことを引き起こしているのは、お前たちを蘇らせたヤツなんだからな!」
「そうだとしても、戦いを仕掛ける人たちを放っておくことはできない・・・!」
オーブも呼びかけるが、キラは聞き入れようとしない。
「アンタはいつもそうだ・・言い訳や綺麗事を並べ立てて、相手の言葉を返して力で自分の考えを押し付けるだけ・・ただ力任せなヤツよりも性質が悪い・・・」
デスティニーが前に出て、シンが憤りを込めて言いかけてきた。
「説得すれば分かってくれるヤツがいるのは分かっている・・だけど、中には説得に応じないヤツがいるんだよ・・・!」
「シン・・・」
キラたちに説得は通じないことを理解しているシンに、ルナマリアが戸惑いを覚える。
「正義感が強いのはいいことだが、それが思い込みの激しさで歪むのはよくないな・・」
「こっちの言い分をまるで聞こうとしないなら、この思いを力に込めて送るだけだ!」
ゼロとオーブがキラたちに言い放って、ゼットたちとともに構えを取った。
「戦うしかないのか・・・!」
「オレたちの手で戦いを終わらせる・・それがオレたちの戦いだ・・・!」
キラとアスランが自分に言い聞かせて、ゼットたちと戦うことを心に決めた。
ゼットとゼロがフリーダムに、オーブとジードがジャスティスに向かっていく。
キラが感覚を研ぎ澄ませて、フリーダムが2つのビームライフルを手にして射撃する。ゼットとゼロが素早く動いて、ビームをかいくぐる。
「ゼスティウムメーザー!」
「エメリウムスラッシュ!」
ゼットとゼロが額のビームランプから光線を放つ。フリーダムが加速して光線をかわして、そのまま上昇する。
ゼットたちもスピードを上げてフリーダムを追いかける。彼らは大気圏を抜けて、地球のそばの宇宙に出た。
「大気圏を突破して宇宙でも戦えるとは、大したモビルスーツだ・・!」
「だけど状況もわきまえずにオレたちを攻撃してくるのを、認めるわけにはいかない・・!」
ゼットとゼロがフリーダムの出方をうかがいながら呟く。
「僕がやるしかない・・僕がやらなきゃ、戦いは終わらない・・・!」
キラが声を振り絞って、フリーダムが翼から端末「ドラグーン」を8基射出した。ドラグーンがゼットたちを取り囲んで、様々な角度からビームを発射した。
ゼットとゼロがビームを当てられて怯む。
「ゼットスラッガー!」
「ゼロスラッガー!」
ゼットたちがゼットスラッガー、ゼロスラッガーを飛ばして、ドラグーンをけん制する。フリーダムが2本のビームサーベルに持ち替えて、ゼットたちに突っ込んだ。
ゼロがゼロスラッガーを手にして、フリーダムが振りかざしたビームサーベルを受け止めた。
「ゼロツインソード!」
ゼロがゼロスラッガー2本を合わせた剣「ゼロツインソード」を構えた。
再び加速するフリーダムが、ビームサーベルを振りかざす。ゼロがゼロツインソードでビームサーベルを受け止めて、その1本をはじき飛ばした。
キラが毒づいて、フリーダムがレールガンを発射して、至近距離でゼロに直撃させる。
「ぐっ!」
ゼロが爆発に巻き込まれて、体勢を崩す。
「アルファバーンキック!」
ゼットが炎をまとったキックを繰り出す。キラが反応してフリーダムが回避するが、ゼロから引き離された。
「倒すしかない・・あの2人を倒さないと、戦いを止められない・・・!」
キラが意を決して、フリーダムが全ての銃砲の発射体勢に入った。
「アイツ、一気に撃ってくる気だ!」
「こっちもやるぞ、ハルキ!」
ハルキが声を上げて、ゼットが呼びかける。ゼロがゼロツインソードをゼロスラッガーに戻して、胸部に装着してエネルギーを集める。
「ゼスティウム光線!」
「ゼロツインシュート!」
ゼットとゼロが同時に光線を発射する。フリーダムも全ての銃砲を一斉発射した。
フリーダムの砲撃は、ゼットたちの体をかすめた。しかし2人の光線を受けて、フリーダムが両腕と左足を破壊された。
「フリーダムが・・僕の剣が・・・!」
フリーダムが損傷して、キラが愕然となる。
「勝負あったな。戦いをやめて考えを改めろ!」
ゼロがゼロスラッガーを頭部に戻して、キラに警告する。
「これ以上は戦えない・・でも、諦めたら戦いが続くことになる・・・」
絶望的な状況であることを痛感するも、キラは戦いをやめようとしない。
「いい加減にしろ!何もかも自分の思い通りになると思うな!」
するとゼットがキラに向かって怒鳴ってきた。
「オレもハルキもまだまだ未熟だ・・そのために悩んだり苦しんだりしたこともあった・・」
「だけど、その経験が強くしてくれたと、オレたちは思っている!」
ゼットに続いてハルキも言い放つ。2人とも平和を守る重要性だけでなく、命の大切さ、正義の在り方を心に刻んでいた。
「そうだとしても・・僕は戦いを止めなくちゃいけないんだ・・・!」
あくまで自分の考えを貫くことをやめないキラ。考えを改めない彼に、ハルキもゼットも憤りをふくらませていた。
その頃、地上ではジードとオーブがジャスティスと攻防を繰り広げていた。
「やめろ!お前たちは踊らされている!戦いに駆り立てられているんだぞ!」
アスランがジードたちに向かって呼びかける。
「それはお前たちのほうだ。その真っ直ぐな、真っ直ぐすぎる正義感を、命ごと利用されているんだぞ。」
オーブが冷静にアスランに呼びかける。
「それはお前たちも同じだ!戦いを広げて悲しみも広げて、平和も未来も壊そうとしているんだぞ!」
「だったら戦う相手が違うよ!僕たちも君たちも、倒すべき相手は分かっているだから!」
さらに呼びかけるアスランに、ジードも言い返す。
「オレたちが戦うべき相手は、戦いを仕掛ける者たちだ・・オレたちが、戦いを手段とするお前たちを止める!」
「どこまでいってもそうなのか!?・・アンタも、キラも・・・!」
自分の意思を貫こうとするアスランに対して、シンが怒りを噛みしめてきた。
「自分たちの言い分は正しくて、自分たちと違う考えは全部間違っていると思い込んでいる・・そんなの、正義なんて呼べはしない!」
「そうやってお前は、自分を認めないものをすべて排除するつもりなのか!?」
怒りをぶつけるシンだが、アスランが彼を非難する。
「自分の置かれている立場をちゃんと見て、アスラン!」
インパルスもジャスティスの前に出てきて、ルナマリアも呼びかけてきた。
「もうあなたたちは死んでいる・・私たちもここにいるみんなも、平和のために、戦いを止めるために戦っているのよ・・!」
「だから、戦いを仕掛けるヤツに、アンタたちが利用されるわけにはいかないんだ!」
ルナマリアとシンが自分たちの戦う理由と決意を言い放つ。
シンたちも自分たちで決めた確固たる決意を持っていた。別の世界に来てもその決意は変わらないと、2人は確信していた。
「そこまでの決意になっているのか・・もう何を言っても、お前たちの心は変わらないのか・・・!?」
アスランがシンたちに対して、歯がゆさを感じていく。
「オレが止めるしかない・・この力で、オレはお前たちを止める!」
感情を高ぶらせたアスランの中で何かがはじけた。彼が感覚を研ぎ澄まして、ジャスティスがビームサーベルを2本手にした。
「どうしてもやるしかないのか・・・!」
戦いをやめないアスランに、ジードが毒づく。ジャスティスが飛び出して、ジードたちに向けてビームサーベルを振りかざす。
ジードたちが回避する中、デスティニーがスラッシュエッジを手にして、ビームの刃を発してビームサーベルを受け止めた。
ジャスティスが即座に、ビームブレイドを発した右足を振りかざした。デスティニーもビームブレイドを発した右足を出して、ぶつけ合い相殺した。
「なっ!?」
攻撃を止められたことに驚くアスラン。デスティニーの蹴りに押されて、ジャスティスが突き飛ばされた。
「やはり以前のデスティニーとは違う・・性能も武装も、前より強力になっている・・・!」
デスティニーの力を痛感して、アスランが毒づく。デスティニーがスラッシュエッジを戻して、アロンダイトを手にした。
「ならばなおさら、あれほどの力を間違った形で使わせるわけにはいかない・・!」
アスランが意思を強くして、ジャスティスがビームサーベル2本を連結させた。
「シンさん、オレたちも戦います!」
ジードがシンたちに呼びかけて、腕を十字に組んでエネルギーを集めた。
「レッキングバースト!」
ジードが放った光線を、ジャスティスが高速で飛んでかわす。ジャスティスが距離を詰めて、ジード目がけてビームサーベルを振りかざした。
「うっ!」
ジードが左腕にビームサーベルを当てられて、苦痛を覚える。
「ジード、大丈夫か!?」
「は、はい・・傷は大したことはないです・・!」
オーブが呼びかけて、ジードが左腕を右手で押さえながら答える。
「アイツのパワーの高さは、スピードに乗せた攻撃力がもたらしているものだ。ならばオレたちもスピードを上げるだけだ・・!」
オーブがジャスティスの強さを確かめて、ジードが頷いた。
リクが2つのウルトラカプセル「セブンカプセル」と「レオカプセル」を取り出した。
「ユーゴー!」
リクが装填ナックルにセブンカプセルをセットする。
「アイゴー!」
続けて彼は装填ナックルにレオカプセルをセットする。
「ヒアウィーゴー!」
リクがトリガーを押したジードライザーで、装填ナックルにセットされているカプセルをスキャンする。
“フュージョンライズ!”
「燃やすぜ、勇気!」
“ウルトラセブン!ウルトラマンレオ!”
リクがジードライザーを高らかに掲げた。
“ウルトラマンジード・ソリッドバーニング!”
ジードの体が赤が強調されたものとなる。彼はパワーと防御力に優れた姿「ソリッドバーニング」となった。
「オレも行かせてもらうぞ!」
ガイが言い放って、ゼロとウルトラマンジャック、2枚のウルトラフュージョンカードを取り出した。
「ジャックさん!」
“ウルトラマンジャック!”
「ゼロさん!」
“ウルトラマンゼロ!”
ガイがウルトラマンジャックとゼロのカードをオーブリングにリードさせる。
「キレのいいヤツ、頼みます!」
“フュージョンアップ!”
彼がジャックとゼロの姿と力を宿す。
“ウルトラマンオーブ・ハリケーンスラッシュ!”
オーブが青い姿へと変わる。彼はスピード重視の姿「ハリケーンスラッシュ」になった。
「光を超えて、闇を斬る!」
オーブが腕組みをして言い放って、ジードが彼の隣に来た。
「姿が変わった・・!?」
「2人ともスピード重視の姿になったのね・・!」
アスランが驚き、ルナマリアがジードたちの打つ手を把握する。
「オーブスラッガー!」
「ジードスラッガー!」
オーブとジードがブーメラン「オーブスラッガー」と「ジードスラッガー」を飛ばす。ジャスティスがビームサーベル、ビームブレイドを駆使して、オーブスラッガーとジードスラッガーをはじく。
「オーブスラッガーランス!」
オーブがオーブスラッガーを槍「オーブスラッガーランス」に変えて手にした。彼が突き出すオーブスラッガーランスを、ジャスティスがビームサーベルとビームシールドで防いでいく。
「ブーストスラッガーパンチ!」
ジードがジードスラッガーを右腕に装着して、ジャスティス目がけて拳を繰り出した。ジャスティスがビームシールドで防ごうとするが突き破られ、左腕を傷付けられる。
アスランが毒づき、ジャスティスがビームサーベルを構えてジードたちに突っ込む。
「ストライクブースト!」
ジードが炎をまとった拳を繰り出して、ジャスティスが回転させるビームサーベルにぶつけた。ジャスティスが競り負けて、ビームサーベルをはじかれた。
そこへオーブがオーブスラッガーランスを出して、ジャスティスの胴体に突き立てた。オーブが続けてオーブスラッガーランスのレバーを2回引いた。
「ビッグバンスラスト!」
オーブがオーブスラッガーランスからエネルギーを送り込む。
「ぐっ!」
ジャスティスが爆発に襲われて吹き飛ばされて、アスランがうめく。
「アスラン・・オレがアンタたちを止める・・何度蘇ってきても、何度でも倒す!」
デスティニーがジャスティスの前に出てきて、シンが声を振り絞るように言い放つ。
「シン・・お前はどうしても、悲しみを広げる戦いを続けるのか・・・!?」
アスランがシンの考えに対して、憤りを噛みしめる。
「悲しみを広げているのは、アンタたちのほうだ!何度でも、その目を覚まさせてやる!」
シンが怒りをふくらませて、デスティニーがアロンダイトを構えて飛びかかる。デスティニーの突撃とアロンダイトの一閃を、ジャスティスが紙一重でかわした。
ジャスティスが背部に搭載していた「ファトゥム-01」を射出した。シンは即座に反応して、デスティニーがアロンダイトを振り下ろしてファトゥムを真っ二つにした。
「目を覚ませ、アスラン・・アンタの偽物の正義さえも、敵に利用されている・・・!」
シンが悲しみが込められた怒りを秘めて、デスティニーがアロンダイトを振り上げた。アロンダイトの一閃が、ジャスティスを両断した。
「シン・・・オレも、キラも・・戦いを終わらせるために・・・」
火花を散らすコックピットの中で、アスランがシンに向けて声を振り絞る。彼を巻き込んで、ジャスティスが爆発を起こした。
(アンタはいつも、自分で勝手に答えを決めてきてしまった・・今回も、自分たちが正義だと思い込んで、現実が見えなくなっていた・・・)
アスランの過ちについて呟くシン。彼はアスランを手に掛けたことをやるべきことだと言い聞かせて、迷いを振り切っていた。