ザ・グレイトバトル
-真の強さ-
第3章
ゼットに変身するハルキと出会った陽輝たち。ハルキはGフォース本部へ案内されることになった。
「ここがGフォースっていう、あなたたちの本部なんですね。」
本部の作戦室に来たハルキが、周りを見回して戸惑いを覚える。
「君が先程現れたウルトラマンに変身していたのか。私はGフォース隊長、桜木トウジだ。」
トウジがハルキに挨拶をしてきた。
「自分はナツカワハルキって言います。ウルトラマンゼットさんと一緒に旅をしています。」
ハルキも自己紹介をして、トウジに一礼した。
「お前もハルキっていうのか!?・・何て呼べばいいんだ・・・?」
ギンがハルキに対して驚きの声を上げて、呼び方について考える。
「えっと・・“ナツカワ”でいいですよ。名字なら分かりやすいですから・・」
「そっか・・それじゃよろしくな、ナツカワ!オレは川西ギンだ!」
ハルキが苦笑いを浮かべて答えて、ギンが挨拶する。
「僕は東出イズル。」
「私は羽鳥ナツです。よろしくね、ナツカワくん。」
イズルとナツもハルキに自己紹介をした。
「防衛隊なのに、みなさん和やかな雰囲気ですね。オレのいた部隊もそうでしたよ。」
陽輝たちの雰囲気に安らぎを感じて、ハルキが自分たちのことを話す。
「オレのいたストレイジってチームも、ロボットを戦力としていたんです。といっても、ここのロボとは全然違うんですけどね・・」
「ナツカワくんの部隊のロボットはどういうものなんだ?」
ハルキの話を聞いて、陽輝が質問を投げかける。
「ストレイジにあったのはこの3体ッス。」
ハルキが自分のスマートフォンを取り出して、写真を見せた。ストレイジが使っていたロボットである。
「これが“セブンガー”、これが“ウィンダム”、そしてこれが“キングジョー・ストレイジカスタム”って言います。」
「まるで怪獣みたいなロボットだね。これらを君や他の隊員が操縦するってことか。」
ハルキがセブンガーたちを説明して、イズルが関心を寄せる。
「Gフォースの機体はモビルスーツというタイプで、ライフルとサーベル、シールドを駆使して任務をこなすのよ。」
「なるほど!まだまだオレたちの知らないことがたくさんありますね!」
ナツがGパニッシャーとフォースガンダムについて説明して、ハルキが感動する。
「そしてフォースガンダムは、ウルトラマンフォースが身に着けるフォースアーマーに変形する機能があるんだ。」
「えっ!?メカが鎧になるんですか!?」
イズルが話したことにハルキが驚く。
「でも、どうやってフォースとフォースガンダムがリンクしたんだろうか?陽輝、お前、何かしたのか?」
「フォースガンダムにはフォースアーマーになるデータは組み込まれています。オレもそれを元にいろんな形状のデータを入れてはいますが、最初からフォースと連動させるつもりでやったわけでは・・」
疑問を覚えるギンに、陽輝がフォースガンダムに組み込まれたデータについて話す。
フォースガンダムは様々な形態へ変形する機体で、他の機体と合体して能力を向上させる。フォースはその機能と連動させて、フォームアーマーを身に着けられるようになった。
(そのことはみんなには言えない・・言えばオレとフォースが一心同体になっているのを知られてしまう・・)
ナツたちのいるこの場では、陽輝はこのことを言わないことにした。
「ところで、この地球にはフォース以外にウルトラマンはいるんですか?」
ハルキが陽輝たちに他のウルトラマンについて聞いた。
「詳しくは知らない。これまで多くの戦士がこの地球に来て、我々に力を貸してくれた。分かっている共通点は、彼らの多くが別の世界から来たことだけだ・・」
「別の世界・・オレとゼットさんのように、みなさん、この世界に来たんですね・・」
トウジの答えを聞いて、陽輝が頷いた。
「その戦士だが、タイプとしては4つに分類している。君たちやフォースのような巨人、ウルトラマン。仮面で顔を隠した戦士、仮面ライダー。色別のスーツと仮面を身に着け、連携して戦うスーパー戦隊。そしてモビルスーツの中でも人型に近い形状をしているガンダムとそのパイロットだ。」
「仮面ライダー、スーパー戦隊、ガンダム・・オレたちの知らないことが、こんなにあったとは・・!」
トウジが話を続けて、ハルキが戸惑いをふくらませてく。まだ見ぬ戦士の存在に、彼は心を躍らせていた。
「我々にとっても知らないことがまだまだ多い。今日初めて会った君たちのことも含めてね。」
「オレたちも勉強させていただきます、桜木隊長、みなさん!」
トウジの言葉を聞いて、ハルキが頭を下げた。
そのとき、Gフォース本部に警報が鳴り響いた。ナツがレーダーに近寄ってチェックする。
「大気圏を突破した物体あり!本部の近くに落下してきます!」
ナツが状況を報告して、陽輝たちが真剣な顔を浮かべる。
「詳しく調べるんだ!」
「それが・・Gフォースのデータバンクに該当あり・・ゴーカイガレオンです!」
トウジが呼びかけると、ナツがデータと照合してさらに報告した。
「何だって!?」
イズルが驚きの声を上げて、陽輝とナツが頷き合う。
「陽輝、ナツ、アキト、ガレオンの落下地点に向かってくれ。」
「了解!」
トウジの指示に答えて、陽輝たちが作戦室を飛び出した。
「オレも行かせてください!」
「分かった。」
ハルキが呼びかけて、トウジが許可する。ハルキが陽輝たちを追いかけていった。
ゴーカイガレオンが地球に来たのを、蓮斗たちも察知していた。
「以前にも現れた宇宙海賊。オレたちと同じ戦隊か・・」
Gフォースのデータを見て、蓮斗が呟く。
「司令官、オレたちも向かいます。」
「あぁ。ただし君たちと彼らは初対面だ。軽率な行動はしないように。」
悠馬が出動を進言して、仙太郎が答えた。
「私たちの他にも、戦隊というのが存在しているとは・・」
「と言っても、あたしたち以外は別の世界から来た戦隊なんだけどね。」
スーパー戦隊のことを考えるモモに、理穂が戦隊のメンバーとの出会いを思い出す。
「ゴーカイジャー・・海賊戦隊というだけあって、癖のありそうな人がそろっていそうな気がするよ・・」
新平がマーベラスたちのことを考えて、苦笑いを浮かべる。
「とにかく行ってみるぞ。何かあったかもしれないし・・」
蓮斗が呼びかけて、悠馬たちとともに出動した。
Gフォースの専用自動車「フォースレイヤー」で荒野に到着した陽輝たち。4人が着陸したゴーカイガレオンを目撃した。
「やっぱり間違いない・・ゴーカイガレオンだ・・!」
陽輝が呟いて、ナツとアキトが頷いた。
「みんな、行こう・・」
ナツが声をかけて、陽輝たちとともにゴーカイガレオンに近づいていく。ゴーカイガレオンからマーベラスたちとリク、バルキたちが出てきた。
「やっぱりマーベラスさんでしたか。お久しぶりです。」
「この地球だったか。久しぶりだな、お前ら。」
陽輝が挨拶して、マーベラスが気さくに答える。
「お前は、仮面ライダーになっていた・・・!」
ジョーがアキトを見て警戒心を抱く。アキトは彼らとも対峙したことがある。
「大丈夫です。オレたちはもうともに戦うことを決めています。」
「仮に何か企んでいたとしたら、私たちでけじめを付けます。」
陽輝とナツがアキトとの共闘と責任を口にする。
「それで、もう1人のヤツは誰だ?お前らの部隊の新入りか?」
マーベラスがハルキに目を向けて問いかける。
「はじめまして!自分はナツカワハルキといいます!ウルトラマンゼットさんと一緒に旅をしているッス!」
ハルキがマーベラスたちの前に出て挨拶をする。
「はじめまして、後輩!オレは伊狩鎧!よろしく、ハルキくん!」
鎧も前に出てきて、ハルキに手を差し伸べてきた。
「オッス!よろしくお願いします!」
ハルキが笑顔で答えて、鎧の手を取って握手を交わした。
「アイツも何だか暑苦しい感じがするわね・・」
「でも明るい方で、仲よくなれそうですね。」
ハルキを見てルカが呆れて、アイムが微笑んでいた。
「ハルキ!ハルキじゃないか!」
リクがハルキに目を向けて笑顔を見せる。
「リク先輩!あなたもこっちに来てたんですか!」
ハルキがリクとの再会を喜ぶ。
「君は?ナツカワくんの知り合い?」
「はい。僕は朝倉リク。マーベラスさんたちが攻撃されているところに遭遇したんです。」
ナツが聞いて、リクが自己紹介をする。
「攻撃された!?敵が出たんですか!?」
「オレたちは海賊だ。オレたちが気に入らねぇヤツらはゴロゴロいるからな。」
血相を変える陽輝に、マーベラスが突っ張った態度を見せる。
「2機のガンダムが、僕たちを攻撃してきたんだ。そこでリクが、ジードが来て食い止めてくれたんだ・・」
「ガンダムが・・別の世界のガンダムか・・・!」
ドンが宇宙での出来事を話して、陽輝が深刻な顔を浮かべる。
「しかもオレたち、レンジャーキーを、変身するためのアイテムを盗まれてしまったんです・・」
鎧が表情を曇らせて話を続ける。
「おい、鎧・・!」
「だって、レンジャーキーがなかったら変身できないじゃないですか!等身大の敵ならともかく、巨大な相手じゃマシンだけじゃ歯が立たないですよ・・!」
マーベラスが不満の声を上げるが、鎧が反論する。
「レンジャーキー?」
「スーパー戦隊の力が宿った鍵のことです。私たちはキーを使うことで、その戦隊の人に変身することができるのです。」
ハルキが疑問符を浮かべて、アイムがレンジャーキーについて説明する。
宇宙最大の宝を求めて地球を訪れたマーベラスたち。宝を手に入れるのに必要なものとして、彼らは宇宙に散らばっていたレンジャーキーを集めていた。
「誰が盗んだんですか?その、ガンダムのパイロットですか・・!?」
陽輝がマーベラスたちに質問を投げかける。マーベラスは不満を抱えながら、口を開いた。
「バスコ・・オレたちと同じ、宇宙最大の宝を狙ってたヤツだ・・・!」
「バスコ・・前に話してくれましたね・・でも、バスコはあなたたちが倒したって・・まさか、その人が復活したのですか・・!?」
マーベラスの答えを聞いて、陽輝が驚いを覚える。
「そうなのか、別の世界のアイツなのかは分かんないけどね・・」
「そいつにオレたちのレンジャーキーを盗まれた・・時間を止めるヤツを使ったんだろう・・」
ルカがため息まじりに言って、ジョーが状況を話す。
「バスコはレンジャーキーを使って、その戦隊を操ることができるんです。アイツがオレたちのキーを奪ったってことは、オレたちの力が低下しただけじゃなく、バスコが余計に厄介になったってことでもあるんです・・」
鎧がバスコについて説明をしていく。
「そんな!?ヒーローの力を悪用するなんて!」
「力は力だ。使い方を間違えれば、正義にも悪にもなる・・」
激情をあらわにするハルキに、ジョーが冷静に答える。
“あの人の言う通りだ。スーパー戦隊というのだけでなく、ウルトラマンの力も、使い方次第で善にも悪にもなる・・!”
ゼットがハルキの心の中で、ジョーに賛成する。
「僕たちはこのゴーカイガレオンを修理したら、バスコを捜してレンジャーキーを取り返すつもりだよ。」
「それまで、また皆様とこの地球にお世話になります。」
ドンが話を続けて、アイムが陽輝たちに一礼した。
「それは構わないですが・・あなたたちを襲った敵が、地球に来る可能性があるということですね・・」
ナツがバスコたちが襲撃しに来ることを予感する。
「そうなったらオレたちには好都合だ。そのときにバスコを地獄に叩き落とす・・!」
「オレたちも戦いますよ。この地球は、オレたちが住んでいる地球だから・・!」
笑みを浮かべるマーベラスに、陽輝が自分たちの意思を告げる。
そこへ蓮斗たちも駆けつけて、マーベラスたちに目を向けてきた。
「何だ?そいつらもお前らの仲間か?」
「はい。ただしGフォースではなく別の部隊です。」
マーベラスが蓮斗たちのことを聞いて、陽輝が答える。
「オレたちはフォースレンジャーです。あなたたちのことは陽輝たちから聞いてます。」
蓮斗が自己紹介をして、悠馬たちが彼と整列する。
「レンジャー?もしかして君たちも戦隊なの?」
「そうなりますね。スーツは色違いですし。あなたたちもそうなんですよね?」
ドンの問いに答えて、理穂が聞き返す。
「そういうこと。あたしたちの場合は戦い方も違うからね。」
「他の戦隊の中には、個別の武器を使う方々もいます。」
ルカとアイムが自分たちやスーパー戦隊について話していく。
「おーい!そろそろミーたちのことも紹介してくれよ〜!」
バルキがイカリ、ナクリとともに外に出てきて、マーベラスたちに悲鳴を上げてきた。
「あ、わりぃ、忘れてた。」
「忘れてたって、失礼じゃなイカ〜!」
マーベラスがのん気に言って、イカリも悲鳴を上げる。
「この3人もゴーカイジャー・・・のわけないか・・」
「全然違う!」
蓮斗がバルキたちを見て言いかけて、マーベラス、ジョー、ルカがツッコミを入れる。
「それにしても、海賊だと聞いたから物騒かと思ったけど・・かわいい人やきれいな人もいたとは・・」
新平がルカとアイムを見て微笑みかけてきた。
「何よ、アンタ?ナルシストはゴメンだよ。」
「いや、純粋に褒めているだけなんだけどなぁ・・」
ルカが不満を見せるが、新平は笑顔を絶やさない。
「お兄さん、女性に遠慮なしに馴れ馴れしく声を掛けるのは、やめたほうがいいですよ・・」
モモも呆れて新平に注意をする。
「大丈夫だよ、モモ。僕はなりふり構わないわけじゃない。僕だって相手は選ぶさ。」
新平が気さくに答えてから、アイムに手を差し伸べてきた。
「アンタ、いい加減に・・!」
ルカが不満をふくらませて、握った右手を振りかざした。しかし新平にその腕をつかまれて、ルカがその勢いで背負い投げされた。
モモがルカを受け止めて、地面にぶつかるのが避けられた。
「大丈夫ですか・・?」
「あ、ありがとう・・でもアンタのアニキ、最低じゃない・・」
モモの心配の声にお礼に言うも、ルカが新平に対して不満をふくらませていく。
「たとえ絶世の美女でも、手を焼かされる相手だったらお断りだね。」
新平がため息をついてから、顔から笑みを消した。
「すみません。私も注意しているのですが聞かなくて・・ただ、人に暴力を振るうのはよくないと思います・・」
モモが謝りながらも、ルカの行動には注意を入れた。
「ここはどちらも自重するということで。」
「やれやれ。しょうがないわね・・」
笑顔を見せてきたモモの言うことを、ルカは仕方なく聞き入れることにした。
「あなたたちを襲ったバスコのことと、モビルスーツについて詳しく教えてください。Gフォースの本部へ。」
ナツがマーベラスたちをGフォース本部へ案内する。
「とりあえず今は・・メシだな!」
マーベラスが笑みを浮かべて食事を求める。
「僕はガレオンの修理に集中するよ。変身できない今、マシンを動かせるくらいにはしておかなくちゃ・・」
ドンがゴーカイガレオンに戻って、陽輝たちの案内でGフォース本部へ向かった。
マーベラスたちの動向を把握していたバスコも、地球に降り立っていた。
「またにぎわってきたね、マベちゃん。こっちの世界にもスーパー戦隊がいるみたいだね。」
バスコがGフォース本部のあるほうに目を向けて笑みを浮かべる。
「その力もみんな手に入れるのもよさそうだね。もしかしたら、この地球にある大いなる力のカギかもしれないし・・」
本部に向かって歩き出すバスコ。彼はフォースや蓮斗たちの存在を把握していた。
Gフォース本部のエアポートに、ゴーカイガレオンが移動した。マーベラスたちは陽輝たちや蓮斗たちとともに、本部の中に入っていった。
「久しぶりだ、ゴーカイジャーのみんな。」
トウジが挨拶して、マーベラスが笑みを見せた。
「君たちの先程の話は、我々も聞いていた。地球上とその周辺の宙域の警戒を強めている。該当する人物やメカが見つかれば、すぐに連絡が入るだろう。」
トウジがマーベラスたちへの協力を口にする。
「オレたちは必ずレンジャーキーを取り返し、今回の借りを返す。バスコとの戦いは、ホントはオレたちがやるべきことだからな・・」
「意地を張りますね。力を合わせることのすばらしさ、あなたたちだって分かっているはずなのに・・」
バスコとの対決を意識するマーベラスに、イズルが苦笑いを浮かべる。
「それで、他の戦士がこの世界に来たのは、他には聞いていないか?」
ジョーが他の戦士について問いかける。
「今回来たアンタたち以外だと、ナツカワとウルトラマンゼットだけだぞ。」
「他にも来ている人がいる可能性は否定できませんが、それに頼りきりになるわけにはいかないです。」
ギンとナツが推測を交えて答える。
「そこのところも調べています。」
「そうか・・そのうち、バスコがここに気付いてやってくる。そのときが、レンジャーキーを奪い返すチャンスだ。」
ナツの言葉に頷いて、マーベラスがバスコとの対決に臨む。
「それで、あの3人の宇宙人は信用できるのか・・?」
トウジがバルキたちに目を向けて、不信感を見せる。
「ミーたちは悪いことはしねぇ!悪いことを企む宇宙人から逃げてきたんだー!」
バルキが慌てて身の潔白を訴える。
「何でお前たちが狙われたんだ?裏切り者ってだけか?」
「それもあるが、狙いはコイツだ・・!」
蓮斗が問いかけて、バルキが抱えていた1匹の生物を彼らに見せた。
「うわぁ♪かわいい♪ちょっと獰猛そうだけど♪」
理穂がその生物を見て目を輝かせる。
「ミーの星であるバルキー星の海獣、サメクジラだ!名前はジョリーだ!」
バルキが生物、ジョリーを紹介する。
「このくらいの大きさならペットにできそうッスね・・でもこれが何で狙われるんですか?」
ハルキがジョリーを見つめて首をかしげる。
「サメクジラはこのくらいのときはかわいいもんだけど、育って怪獣の大きさになれば、頭と顔の角が武器の生物兵器になるのよ。」
「だからコイツを狙う宇宙人が多くて、ホントにイカンな〜・・」
ナクリが説明を続けて、イカリがため息まじりに言う。
「だったらさっさと成長させて戦わせたらどうなの?」
「そんなムチャ言うなよ!」
ルカが不満を言うと、バルキが文句を言い返す。
「勝手に暴れたり暴走したりしないだろうな?」
「ノー、ノー!そんなことミーがさせないって!」
トウジが問い詰めて、バルキが大きく頷いた。
「それで、君たち自身は戦えるのか?」
「それはもちろんよ。戦いがイヤでしばらく戦ってはいなかったけどね・・」
トウジがさらに質問して、ナクリが答える。
「今、我々が対処すべき明確な敵は、バスコと2機のモビルスーツだ。これらに関連した敵や黒幕がいる可能性もある。みんな、十分注意してくれ。」
「了解!」
トウジが指示を出して、陽輝たちが敬礼して答えた。
そのとき、Gフォース本部に警報が鳴り響いた。ナツがレーダーに近寄って確認をする。
「熱源3つが大気圏を突破してこちらに向かっています!タイプはモビルスーツです!」
「モビルスーツ・・パイロットがいるのか・・!?」
ナツが報告して、イズルが緊張を覚える。
「熱源は3つだけ・・中に人や生き物はいません・・!」
「オートでモビルスーツが動かされているのか・・!?」
ナツがさらに報告して、悠馬が機体について推測する。
「Gフォース、出動!呼びかけても応じず、進攻を続けるなら迎撃する!」
「了解!」
トウジが指示を出して、陽輝たちが出撃した。
「君たちはどうするつもりだ?」
「自分も行きます。反応がないと仰ってましたが、万が一にも人がいたら救出します。」
トウジに問われて、ハルキが正直に考えを告げる。
「僕もそのつもりです。ハルキ、行こう。」
「はい、リク先輩!」
リクが同意して、ハルキとともに外へ向かった。
「まだバスコが来てるかどうかはハッキリしてねぇんだろ?だったらオレたちはのんびりさせてもらうぞ。」
マーベラスがやる気のない素振りを見せて、ジョーたちと頷き合う。
「分かった。引き続きバスコたちを捜索していく。」
トウジが答えて、陽輝たちの動向を見届けた。
フォースガンダム、Gパニッシャーに乗って発進した陽輝たち。ハルキはフォースガンダムに、リクはアキトのGパニッシャーに乗っていた。
蓮斗たちもフォースマシンに乗って現場に向かっていた。新平はフォースドリスに、モモはフォースタンクに乗っていた。
「新平とモモちゃんのフォースマシンも、調整がもうすぐ完了するよ。試運転せずにいきなり実践になりそうだけど・・」
「そこは戦いながら慣れていけばいいだけだ。一緒に戦えるだけでもありがたいもんだよ。」
悠馬がフォースマシンのことを話して、新平が自信を見せる。
「みんな、あれが地球に来た3機の機体ではないでしょうか?」
モモが3機の機体を目撃して指さした。機体「ハンブラビ」がフォースガンダムたちに近づいていく。
「こちらはGフォース!そこの機体、応答してください!」
ナツがハンブラビたちに向かって通信回線を開いた。しかしハンブラビからの応答がない。
「応答してください!ここから先はGフォースの管轄になります!」
ナツが続けてハンブラビたちに呼びかける。するとハンブラビたちが背面にあるビームライフルを発射してきた。
「危ない!」
陽輝たちが反応して、フォースガンダムたちがビームを回避する。
「やめろ!オレたちは戦うつもりはない!」
陽輝も呼びかけるが、ハンブラビは攻撃をやめない。
「仕方がない!攻撃開始だ!」
ギンがいら立ちを噛みしめて、陽輝たちに指示を送る。
ハンブラビ3機が散開して、フォースガンダムが中央の1機を、Gパニッシャーが2機をそれぞれ迎え撃つ。
フォースガンダムたちがビームライフルを手にして、ハンブラビたちを狙って射撃する。ハンブラビがビームを素早くかわして、モビルアーマーからモビルスーツに変形した。
ハンブラビの1機がワイヤーを射出して、フォースガンダムの右腕に巻きつけた。
「うあっ!」
ワイヤーから電撃が放たれてフォースガンダムを襲い、陽輝とハルキが苦痛を覚える。
「陽輝!ナツカワくん!」
ナツが叫んで、Gパニッシャーがビームライフルを構える。しかし他のハンブラビが立ちはだかる。
陽輝が電撃に耐えて、フォースガンダムが左手でビームサーベルを手にして、ワイヤーを切って脱した。
「大丈夫か、ナツカワ!?」
「平気ッス!オレとゼットさんも行きます・・!」
陽輝の心配の声に答えて、ハルキがゼットになって戦うことを決意する。
「だけど変身には時間制限がある!まだオレたちが絶体絶命になったわけじゃない!」
“隼の言う通りだ、ハルキ!まだ変身は待った方がいい!”
陽輝に続いてゼットもハルキを呼び止めてきた。
「オレたちを信じてくれ・・どうしても敵わないと判断したら、オレもフォースになる・・!」
「分かりました・・・ストレイジのロボットがいれば、自分も戦えるのに・・・!」
陽輝の言葉を聞き入れるも、ハルキは彼らを援護できない無力さを感じて、悔しさを浮かべた。
「まずは武器や手足を撃って、おとなしくさせよう・・!」
「うまくいけばいいが、最悪仕留めなくちゃいけなくなるな・・!」
イズルの提案に、ギンが不安を感じながら答える。
「中にパイロットがいないと分かっているというのに・・」
「念のためだよ。詳しく調査もしたいって思っているのかもしれない・・」
アキトがため息をついて、リクが陽輝たちの考えを汲み取る。
「それならオレたちが加勢する!フォースマシンでお前たちを援護する!」
蓮斗が呼びかけてきて、陽輝たちがフォースジェットたちに目を向けた。
「みんな、変身するぞ!」
悠馬が呼びかけて、蓮斗たちが頷いた。彼らがフォースチェンジャーの青のボタンを押した。
「フォースチェンジ!」
フォースチェンジャーから発した光を浴びて、蓮斗たちがフォースレンジャーに変身した。
フォースジェットが加速して、ハンブラビの1機を追っていく。
「フォースショット!」
フォースジェットがビームを発射するが、ハンブラビが素早く回避する。
「本当にスピードがある・・!」
「でもけん制だけでもできればチャンスはある・・!」
新平が毒づくが、悠馬はハンブラビの動きを注視していた。
「包囲すれば逃げられない!1機ずつ止めるぞ!」
「了解!」
ギンが呼びかけて、ナツたちが答えた。フォースガンダムとフォースマシンが2機のハンブラビの注意を引き付けて、Gパニッシャーが残りの1機を取り囲み、ビームライフルを構えた。
回避がままならなくなったハンブラビが、Gパニッシャーが放ったビームを当てられて、体勢を崩した。
「よし!このまま取り押さえて、コックピットを確かめるぞ!」
ギンが勝機を見出して、彼のGパニッシャーがビームサーベルを手にして、ハンブラビに向かっていった。
そのとき、空から一条の光が飛び込んで、ビームサーベルを持つGパニッシャーの腕が撃ち抜かれた。
「何っ!?」
突然Gパニッシャーが負傷して、ギンが驚きの声を上げる。彼と陽輝たちが光の飛んできた空を見上げる。
上空から2機の機体が降下してきた。ビームはそのうちの1機が放ったものだった。
「あれは!」
リクはその機体を見て目を見開いた。その2機はフリーダムとジャスティスだった。