ザ・グレイトバトル外伝

仮面ライダーフォース

第4章

 

 

 英寿が対峙している邪眼。その力に彼は追い詰められていた。
「地獄へ落ちるがいい、仮面ライダーよ・・」
「地獄に落ちるのはお前、勝つのはオレだ。」
 迫る邪眼に英寿が言い返す。英寿がマグナムシューターを連射するが、邪眼は射撃をものともせずに前進してくる。
「ぐっ!」
 邪眼の突撃を受けて、英寿が突き飛ばされて地面を転がる。
「ちょっとやそっとでは通用しないか・・ならば・・」
 立ち上がった英寿が、次の打つ手を模索する。
“Rifle.”
 彼がマグナムシューターの砲身を変形させて、ライフルモードにした。
“Charge.”
 英寿がマグナムシューターの銃身にあるレバーを引いて、エネルギーを溜める。
“Tactical shoot.”
 英寿がトリガーを引いて、マグナムシューターから光の球を発射した。邪眼が右手を振りかざして、球をはじき飛ばした。
「これさえも効かないのか・・・!」
「その程度では私に逆らうことはできん・・滅ぶがいい・・・」
 毒づく英寿に向かって、邪眼が目からビームを発射する。英寿が横に動くが、ビームを当てられて体勢を崩した。
「どうやら本気にならないと勝てないようだな・・・!」
 英寿が気を引き締めなおして、ブーストレイズバックルを手にした。
“Set.”
 彼はデザイアドライバーの左側にブーストレイズバックルをセットして、マグナムレイズバックルとともに操作する。
“Dual on.”
 英寿の下半身に赤い装甲が、上半身に白い装甲が装着された。
“Get ready for boost & magnum.Ready fight.”
 2つのレイズバックルの力を発揮する「デュアルオン」を行って、英寿は新たな姿「マグナムブーストフォーム」となった。
「さぁ、ここからがハイライトだ。」
 英寿が邪眼にマグナムシューターの銃口を向けて言い放つ。
 邪眼が目からビームを放って、英寿がスピードを上げてかわしつつマグナムシューターで迎撃する。邪眼が射撃を受けて後ずさりする。
 マグナムブーストフォームはマグナムフォームとブーストフォームの両方の能力を兼ね備えている。
「力を上げてきたか。だがその程度で勝ったつもりか・・」
 邪眼が言いかけて、英寿に向かって前進する。英寿がマグナムシューターを連射するが、邪眼はものともせずに距離を詰める。
 邪眼が右手を振りかざして、英寿はジャンプしてかわしてブーストライカーに乗った。
 英寿の駆るブーストライカーが邪眼の横をすり抜ける。邪眼が振り向いてビームを放って、英寿とブーストライカーが旋回しながらかわしていく。
 英寿は邪眼に近づいて、ブーストライカーからジャンプしてキックを繰り出した。邪眼が体勢を崩して後ろに下がる。
 その隙を突いて、英寿がマグナムシューターで連射する。邪眼が射撃を受けて、ダメージを増していく。
「さぁ、打ち上げといくか。」
“Boost time.”
 英寿が言って、マグナムレイズバックルのリボルバーを回してトリガーを引いて、さらにブーストレイズバックルのハンドルを2回回して、ブーストタイムを発動させる。
“Magnum boost.Grand victory.”
 さらに英寿がブーストレイズバックルのハンドルを回して、大きくジャンプする。彼は上空から急降下して、邪眼にキックを当てた。
「ぐおぉっ!」
 邪眼がキックによって地面に押し付けられて、絶叫を上げる。キックの衝撃で地面にキツネを思わせる形の跡が刻まれた。
「邪眼と言ったな。これでお前は終わりだ。」
 倒れた邪眼を見下ろして、英寿が告げる。
「みんなも決着を付けたはずだ。戻って他の人の戦いを見届けるか。」
「それがお前の力・・仮面ライダーの力か・・」
 彼が呟いたところで、邪眼が立ち上がった。
「まだ生きていたか・・怪人たちを束ねるだけのことはあるか。」
「これまで、何人もの仮面ライダーが現れ、数多くの怪人を倒してきた・・怪人たちの怨念が、私に仮面ライダーのことを理解させた・・」
 再び目を向けた英寿に、邪眼が仮面ライダーと怪人のことを語っていく。
「その知識を基に、私は蓄えた力を最大限に引き出せる姿を見出した・・」
 邪眼が言って、自分の体を変化させていく。彼のうごめくからだが収縮されて、より人に近い姿となった。
「変身した・・強化したというのか・・・!」
 英寿が変化した邪眼に対して、警戒を覚える。
「お前たちが大げさに叫ぶ変身や技など、我が闇の力の前では、遊びにしか過ぎぬ・・」
 邪眼が落ち着いた口調で、英寿に告げる。
「来い、仮面ライダー。私とお前の力の差を、ここで証明する・・」
「どこまでパワーアップしたか、オレが確かめる。」
 手招きをする邪眼に言い返して、英寿がマグナムシューターを構えて向かっていった。

 アナザーフォースとの対決に決着を付けて、アキトはフォースレイヤーに乗って戻ってきた。
「あれはファイズたち・・アイツらも終わったか。」
 アキトは紘汰たちを見つけて合流を果たした。
「そっちも終わったか。残るはもう1人だな。」
「あぁ。英寿のところへ向かうぞ。オレは先に行く。」
 巧が言って、アキトがフォースレイヤーを走らせて英寿のところへ向かった。
「何だかせっかちだな、アイツ・・」
「僕たちも急ごう。何かイヤな予感がするんだ・・」
 キバットがアキトに呆れて、渡が言いかける。紘汰も渡と同じく悪い予感を感じていた。

 変化した邪眼は能力が上がり、特にスピードは格段に上昇していた。
「くっ・・ここまでレベルアップしているとは・・・!」
 英寿が呼吸を乱して、邪眼の出方を伺う。
「さっきの勢いはどうした?これで終わりではないだろうな?」
 邪眼が高速で動いて、英寿の後ろに回り込んだ。振り返った英寿に、邪眼がパンチとキックを当てていく。
「ぐあっ!」
 邪眼の速く重い攻撃を受けて、英寿がダメージが増えてうめく。
「反撃しなければやられる・・・!」
 英寿が危機感を覚えて、邪眼との距離を取る。彼はデザイアドライバーを180度回転させる。
“Revolve on.”
 ギーツの上半身と下半身の装甲が1度外れて、入れ替わって装着された。英寿は上下の能力を入れ替えて、「ブーストマグナムフォーム」となった。
 近づいてきた邪眼に向けて、英寿がスピードのあるパンチを繰り出した。パンチは命中したが、邪眼は大きなダメージを受けていない。
「もはや打つ手なしか・・滅べ。」
 邪眼が拳を振りかざして、英寿の体に当てた。英寿が強い衝撃に押されて、装甲から火花を散らしながら倒れた。
「スピードもパワーも、今のヤツのほうが上なのか・・・!」
 邪眼との力の差を痛感した英寿から、ギーツへの変身が解けた。
「これで終わりだ、ギーツよ。まずお前を倒し、他の仮面ライダーも倒す。」
 邪眼が英寿にとどめを刺そうと、右手にエネルギーを集めていく。
 だが邪眼は攻撃をやめて、後ろに下がった。直後にアキトの乗るフォースレイヤーが高速で駆け抜けてきた。
「アキト・・・!」
「勝利しているどころかやられるところだったとはな・・」
 声を上げる英寿に、アキトが振り向いて呟く。
「フォース、アナザーフォースを倒したか・・」
 フォースレイヤーから降りた彼に、邪眼が声を掛ける。
「どうやらお前は、他のヤツらとは格が違うということか・・」
「私と戦うつもりなら、お前から先に始末する・・」
 呟くアキトに邪眼が忠告する。
「始末されるのはお前のほうだ。他のヤツらより強くても、オレが勝つ・・!」
 アキトが再びフォースレイヤーに乗って、邪眼に向かって走り出した。
「バイクによってスピードを上げる・・仮面ライダーというべき点か・・」
 邪眼が呟いて、アキトの動きを追う。邪眼の目はアキトを正確に捉えていた。
 アキトの操縦するフォースレイヤーが、前輪を上げて突っ込む。邪眼が上に跳んで、アキトを迎え撃つ。
「何っ!?ぐっ!」
 驚くアキトが邪眼の伸ばした手に首をつかまれて、フォースレイヤーから振り落とされる。
「フォースレイヤーの動きを見切っただと・・!?」
 邪眼に首を持ち上げられて、アキトがうめく。
「これでは私を翻弄することなど不可能・・」
 邪眼がアキトの首をつかんでいる手に力を込める。首を締め上げられて、アキトが苦痛を覚える。
「オレを、なめるな・・!」
 アキトが足を振り上げて、邪眼の手に当てた。邪眼が体勢を崩して、その隙にアキトが離れる。
 アキトが残像を伴った高速で、邪眼の周囲を回っていく。
「私にそのような小細工は通用せんぞ・・」
 呟く邪眼の後ろに回り込んだアキト。彼がフォースビームソードを振り下ろすが、切り裂いたのは邪眼の残像だった。
「残像!?アイツも使ってきた・・!?」
「アキト、後ろだ!」
 驚きをふくらませるアキトに、英寿が呼びかける。邪眼が繰り出した拳が、アキトの背中に命中した。
 アキトが前のめりに転がって、痛みで悶絶する。
「お前も我が力には遠く及ばん。まとめて地獄へ落ちるがいい・・」
 邪眼が構えを取って、アキトを追撃しようとした。
「待て!」
 そこへ紘汰が駆け付けて、無双セイバーと大橙丸を邪眼目がけて振り下ろしてきた。邪眼は素早く後ろに下がって、紘汰の攻撃をかわした。
「他のライダーも来たか・・だがムダなことだ・・」
 邪眼が手を伸ばして、紘汰の腕をつかんだ。
「うわっ!」
 紘汰が引っ張られて、邪眼に投げ飛ばされた。
「紘汰!」
 アキトが声を張り上げて、紘汰が空中で体勢を整えて着地した。
「慌てるなよ、紘汰。オレたちもいるんだからな。」
 巧も渡とともに来て、紘汰に声を掛ける。
「みんな、注意しろ!パワーもスピードもけた違いだぞ!」
 英寿が立ち上がって、紘汰たちに注意を言う。
「だったらスピードを上げて、さっさとケリをつける・・・!」
 すると巧が左腕に装着しているリストウォッチ「ファイズアクセル」から「アクセルメモリー」を取り出して、ファイズフォンにセットした。
“Complete.”
 ファイズの装甲の胸部が展開された。巧はファイズの高速形態「アクセルフォーム」となった。
“Start up.”
 巧がファイズアクセルのスイッチを押して、高速状態である「アクセルモード」を起動した。これにより通常の1000倍のスピードを発揮できるが、押し寄せる負担からこの状態を10秒以上維持できない。
 巧が残像とともにジャンプして、光の円錐を出して邪眼を狙う。
 次の瞬間、邪眼が巧の視界から消えた。高速のキックが外れて、巧が着地する。
 その直後、邪眼が高速で巧に詰め寄ってきた。邪眼が繰り出すパンチとキックを、巧は回避が間に合わずに体に受ける。
“3,2,1...Time out.Reformation.”
 ファイズアクセルがカウントダウンをして、ファイズの装甲がアクセルフォームから元に戻った。
「コイツ・・こんなに速いのかよ・・・!?」
 邪眼の高速を痛感して、巧が毒づく。
「だったらこっちも全力を出すしかないな、みんな!」
「うん・・みんな、力を貸して・・!」
 キバットが檄を飛ばして、渡も呼びかける。
「どうやら、1対1にこだわっている場合ではないな・・・!」
「さっさと片付けて、早く元の世界に戻るぞ・・」
 アキトが声を振り絞って、巧が呼びかける。
「オレたちもいるぞ!」
 そのとき、4人の男が現れて声を掛けてきた。
「志郎さん、光太郎さん、ソウゴ、ライ!」
「みなさんも来ていたんですね!」
 紘汰と渡が4人の男、風見志郎(かざみしろう)、南光太郎(みなみこうたろう)、常盤(ときわ)ソウゴ、十時(ととき)ライを見て声を上げた。
「この世界でも目覚めていたか、邪眼・・!」
「お前の野望はオレたちが阻止する!」
 志郎と光太郎が邪眼に目を向けて言い放つ。
「オレたちもアイツを倒すために戦うぞ!」
「うん!みんなと一緒なら、いける気がする!」
 ライが意気込みを見せて、ソウゴが自信を見せる。
「あの4人ももしかして・・」
 英寿が志郎たちを見て、彼らの正体に気付く。
「変身・・ブイスリャー!とおっ!」
 志郎がポーズを取って大きくジャンプする。ベルトの風車「ダブルタイフーン」が回転して、彼は仮面ライダーV3に変身した。
「変身!」
 光太郎もポーズをとると、現れたベルト「サンライザー」から光が放射されて、黒い体の仮面ライダーへ変身した。
「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACK!RX!」
 光太郎が変身した仮面ライダーBLACK RXが名乗りを上げてポーズを決めた。
 ライが続けてベルト「クロスドライバー」とアイテム「ライダーソウル」を取り出した。
“クロスドライバー!”
 ライがクロスドライバーを装着して、ライダーソウル「クロスソウル」のスイッチを入れた。
“クロス!”
 音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。
“ライダーソウール!”
 ライは意識を集中して構えを取る。
「変身!」
 彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、中心にある「クロスタイフーン」を回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
 クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。
「全てを、オレが正す!」
 仮面ライダークロスとなったライが、邪眼を指さして言い放つ。
“ジクウドライバー!”
 ソウゴがベルト「ジクウドライバー」を装着して、右のスロットにアイテム「ライドウォッチ」の1つ「ジオウライドウォッチ」をセットした。
「変身!」
 彼がジクウドライバーの「ジクウサーキュラー」を回転させる。
“ライダーターイム!”
“カメンライダー・ジオー!”
 ソウゴが銀色の装甲と「ライダー」と読める形の複眼をしたマスクを身にまとう。彼は歴代のライダーの力を持つ仮面ライダー、ジオウに変身した。
「V3、RX、クロス、ジオウも来たか・・現代の世紀王の1人が進化したRX・・」
 邪眼がRXに対して強い因縁を感じていく。
 邪眼の正体は、暗黒結社「ゴルゴム」の創世王争いに敗れた5万年前の世紀王である。世紀王、ブラックサンに改造された光太郎は、邪眼にとって因縁の相手である。
「仮面ライダーも現代の世紀王も、この手で葬り去る・・」
「邪眼、お前たちにどの世界も支配させはしない!」
「何度蘇ってきても、お前たちはオレたちが倒す!」
 敵意を見せる邪眼に、RXとライが言い放つ。
「みんな・・オレも負けてはいられない・・・!」
 アキトが負けん気を覚えて、V3たちに加勢する。
「たとえ束になろうと、お前たちが勝利することはない・・」
 邪眼が空中に上昇して、エネルギーを集めていく。
「気を付けろ!エネルギーを放出してくるぞ!」
 V3が注意を言うと、邪眼は体に集めたエネルギーを光にして解き放った。
「おわっ!」
 光が地面に当たって爆発が起こって、アキトたちが回避して紘汰とライが声を荒げる。
「みんな、ここはオレに任せてくれ!」
 RXが前に出て、意識を集中した。彼の姿がロボットのようなライダーに変化した。
「オレは炎の王子!RX!ロボライダー!」
 RXが変身したロボライダーが名乗りを上げてポーズを決めた。
 光太郎はRXの他、別のライダーへの変身能力も持っている。その形態の1つ、ロボライダーはRX以上のパワーと耐久力を備えている。
 邪眼の光による爆発の中を、ロボライダーはものともせずに前進する。さらに彼はその炎を自身の力に変えていた。
「ボルティックシューター!」
 ロボライダーが銃「ボルティックシューター」を手にして、邪眼目がけて発射した。放たれたビームを体に受けて、邪眼が地上に落下した。
「よし!一気に畳みかける!」
 ライがチャンスだと判断して、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加えた。
“ライダースマッシュ・クロース!”
 ライが大きくジャンプして、エネルギーを集めた右足を前に出す。彼の足裏にあるX字から光が放たれて、邪眼を捉えた。
“フィニッシュターイム!”
 ソウゴがジクウサーキュラーを回転させて、ジクウドライバーの上のボタンを押す。
“ターイムブレーク!”
 彼がジャンプして、前に出した足の裏から「キック」の形の光を出した。
 ライとソウゴが急降下して、邪眼の体にキックを当てた。
「それで勝てると思っているのか・・」
 邪眼が再び光を放出して、ライたちを吹き飛ばした。
「お前たちも滅びるがいい・・」
 邪眼が光を集中させて、光の球となって突っ込んできた。
「うあっ!」
 ロボライダーが光の球をぶつけられて吹き飛ばされた。ロボライダーの強靭な体でも、邪眼の集約したエネルギーを止めることができない。
 元に戻った邪眼が、ロボライダー目がけて光線を放った。
 爆発に巻き込まれた瞬間、ロボライダーの体が液状化して飛び出してきた。邪眼に近づいた直後、彼は青い体のライダーの姿になった。
「バイオブレード!」
 新たなるライダー、バイオライダーが剣「バイオブレード」を手にして振りかざす。邪眼がバイオブレードに切りつけられて後ずさりする。
「貴様は・・・!」
「オレは怒りの王子!RX!バイオライダー!」
 声を上げる邪眼に、バイオライダーが名乗りを上げてポーズを決めた。
 バイオライダーはRXのもう1つの別形態で、素早さと特殊能力に長けているライダーである。最大の特徴は体を液体化できることで、小さな穴を通過したり、あらゆる物理攻撃を回避したりできる。
「それで私に勝ったつもりか・・・」
 邪眼が目からビームを出して、バイオライダーが再び液体化した。
「甘いぞ・・」
 邪眼が目から別の光線を放った。光線は液体化しているバイオライダーを絡め取った。
「何っ!?」
 バイオライダーが動きを封じ込められたことに、ライが驚きの声を上げる。
「たとえ形の変わる水でも、その全てを封じれば捕らえることは可能・・己の力の過信が、その身を滅ぼす・・」
「しまった・・こんなことで・・・!」
 邪眼が語りかけて、バイオライダーがもがいて光から抜けようとする。
「早くバイオライダーを助けないと!」
 ソウゴが声を上げて、ライとともに走り出す。しかし邪眼の放つビームとその爆発に行く手を阻まれる。
 さらに邪眼は高速で動いて、ライたちに打撃を仕掛ける。
「ぐっ!」
 ライがうめいて倒れて、ソウゴも地面を転がる。
「アイツ、スピードもとんでもないぞ・・!」
 V3が邪眼の力を痛感して毒づく。
「目には目を・・スピードにはスピードだ・・!」
“ドラーイブ!”
 ライが言いかけて、ライダーソウル「ドライブソウル」を取り出して起動した。
“ライダーソウール!”
 彼はクロスドライバーにドライブソウルをセットして、クロスドライバーの左レバーを上げてクロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ドラーイブ!”
 クロスの装甲が変化して、さらに1つのタイヤが斜めに装着された。ライは仮面ライダードライブの姿と力を宿した「ドライブフォーム」となった。
「さぁ、ひとっ走り付き合えよ!」
 ライが言い放って、一気にスピードを上げて邪眼に立ち向かう。邪眼も高速で動いて、ライと互角の攻防を繰り広げる。
「ドライブもファイズやクロックアップに負けていないか・・」
 巧がライたちの戦いを見て呟く。
 ライが邪眼と1度距離を取って出方を伺う。全速力を続ける彼は呼吸を乱していた。
「長期戦は不利になるか・・これで決めてやる・・・!」
 ライが思い立って、クロスタイフーンの右のレバーを上げて回転を加えた。
“ライダースマッシュ・ドラーイブ!”
 ライがタイヤ型のエネルギーを放って、邪眼を包囲した。彼はタイヤの中に飛び込んで反射して、邪眼にキックを当てた。
「ライダーのキックなど、私には戯れも同然だ・・」
 邪眼が全身から光を放出して、ライを吹き飛ばした。
「くっ・・!」
 ライが地面に叩きつけられてうめく。
「クロス・・とあっ!」
 バイオライダーがエネルギーを集めたバイオブレードを振り上げて、邪眼の光を切り裂いて脱出した。
「大丈夫か、バイオライダー!?」
「はい・・心配を掛けました・・!」
 V3が駆け寄って、バイオライダーが答える。
「バイオライダーの力が封じ込められるとは・・・!」
 バイオライダーは悔しさを感じながら、RXへと戻った。
「スピードもパワーも、全てオレたちを上回っている・・だけど、オレたちは負けない!」
 ライが立ち上がって、仮面ライダーオメガのライダーソウル「オメガソウル」を取り出した。
“オメガ!”
“ライダーソウール!”
 彼がオメガソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。
“変身・ライダー!オメガー!”
 ライのまとう装甲が変化した。彼はオメガの力を宿した「オメガフォーム」へと変身を果たした。
「仮面ライダークロス!」
 ライが名乗りを上げて、邪眼に向かっていく。
「他のライダーの力を使ったところで、小細工にもならん・・」
 邪眼が全身から光を発して、ライを迎え撃つ。ライのパンチを光で防ぐ邪眼だが、パンチが光を押し込んでいく。
「オメガの力は無限の力を呼び起こす!お前のパワーがどれだけあっても、絶対に打ち負かせないことはない!」
「そのようなことで、この闇の力を破れはしない・・・!」
 オメガの力について言い放つライに、邪眼が言い返す。
「破る!破らないと世界は守れない!」
 ライが言い放って、邪眼の強まる光をパンチで押し返す。
「ここまで強くなっている邪眼が押されている・・!」
「今だ!」
 アキトが声を上げて、RXが思い立ってジャンプした。
「RXキック!」
 RXが空中回転して、両足のキックを繰り出した。キックも受けたことで、邪眼が突き飛ばされた。
「邪眼の力を打ち砕いたぞ!」
「これで終わりだ!」
 キバットが声を上げて、ライがクロスタイフーンの右のレバーを上げて回転を加えた。
“ライダースマッシュ・オメガー!”
 彼は体から光を発して、大きくジャンプする。
「クロスオメガキック!」
 ライが足に光を集めてキックを繰り出した。
「ぐっ!」
 邪眼がキックを体に受けて、体勢を崩した。
「お、おのれ・・仮面ライダー・・・!」
 邪眼が痛みに耐えて、声を振り絞る。
「今の私をも上回る戦闘力、見事だ・・だが、闇の力は私をさらに高める・・貴様たちに勝機はない・・・!」
 邪眼が周囲にある闇を自分に取り込んだ。
「コイツ、もっとパワーアップするつもりなのか!?」
 キバットが声を荒げる中、邪眼の体が漆黒になっていく。
「これが、邪眼の真の姿というのか・・!?」
 ソウゴが邪眼を見て緊張をふくらませる。邪眼の体から黒いオーラがあふれていた。
「闇がある限り、無限に力を上げられる・・お前たちは、私には勝てぬ・・・」
 邪眼が落ち着きを取り戻して、アキトたちに告げる。彼は右手を掲げて、光を放出した。
「うあっ!」
 ソウゴたちが光を受けてうめく。あきとがとっさに英寿を抱えて、彼を庇って光をぶつけられた。
「アキト・・オレを守るために・・・!」
「変身していない状態で、あんなものを食らえば確実に死ぬからな・・・!」
 戸惑いを覚える英寿に、アキトが言葉を返す。
「一応、例を言っておく・・オレもいつまでも休んでいるわけにいかないな・・・!」
 英寿が邪眼に近づいて、マグナムレイズバックルとブーストレイズバックルをデザイアドライバーにセットしなおす。
「変身!」
“Set.”
 英寿は指を鳴らしてから、マグナムレイズバックルとブーストレイズバックルのリボルバーを回してトリガーを押した。
“Dual on.”
 彼の下半身に赤い装甲が、上半身に白い装甲が装着された。
“Get ready for boost & magnum.Ready fight.”
 英寿はブーストマグナムフォームとなって、アキトたちに再び加勢する。
「数を揃えても、その程度では私には及ばん・・」
 邪眼が言いかけて、全身から発する光を強める。
「だったらマジにならないといけないみたいだな・・」
 巧が言いかけて、アイテム「ファイズブラスター」を取り出してコンソールボードに「555」と入力した。
“Standing by.”
 彼がファイズフォンをファイズドライバーから外して、ファイズブラスターにセットした。
“Awakening.”
 ファイズの装甲やスーツの赤色が増した。巧はファイズの最強形態「ブラスターフォーム」に変身した。
「タツロット!」
 渡の呼び声を聞いて魔皇竜、タツロットが駆け付けた。
「さぁ、行きますよ。」
 タツロットが渡の左腕に装着された。するとキバの装甲にあった鎖が断ち切られて、金色の装甲となった。
 渡はキバの本来の姿であり、最強形態でもある「エンペラーフォーム」となった。
「オレも行くぞ!」
“カチドキ!”
 紘汰も言い放って、ロックシード「カチドキロックシード」を取り出した。
“ロックオン!”
 カチドキロックシードを起動して、彼が戦極ドライバーにセットしてカッティングブレードを倒した。
“カチドキアームズ!いざ出陣!エイエイオー!”
 紘汰の体をオレンジの鎧が包み込んだ。彼は鎧武の強化形態「カチドキアームズ」となった。
“フルーツバスケット!”
 さらに紘汰は続けて極ロックシードを戦極ドライバーにセットして、カチドキロックシードと接続する。
“ロックオープン!”
 彼が極ロックシードを回して、カチドキロックシードとともに展開した。
“極アームズ!大・大・大・大・大将軍!”
 カチドキアームズがはじけ飛んで、銀色の装甲が現れた。紘汰は鎧武の最強形態「極アームズ」になった。
「オレも全力で行くよ!」
“グランドジオウ!”
 ソウゴも続けてライドウォッチ「グランドジオウライドウォッチ」を取り出して、ジクウドライバーの左のスロットにセットしてジクウサーキュラーを回転させた。
“グランドタイーム!”
“クウガ!アギト!龍騎!ファイズ!ブレイード!響鬼!カブト!電王!キバ!ディケーイド!ダブル!オーズ!フォーゼ!ウィザード!鎧武!ドラーイブ!ゴースト!エグゼイド!ビ・ル・ドー!祝え!仮面ライダー・グ・ラ・ン・ド・ジオー!”
 ジオウの装甲とマスクが金色に輝く。その装甲には、クウガからジオウまでの仮面ライダー20人のレリーフが備わっていた。
 ソウゴはジオウの最強形態「グランドジオウ」への変身を果たした。
「勝負だ、邪眼!」
“カメン!”
 ライが怒りをあらわにして、新たなライダーソウル「カメンソウル」を取り出した。
“ライダーソウール!”
 彼はカメンソウルをクロスドライバーにセットした。
「超変身!」
 ライがクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“超変身・カメーン!”
 クロスの装甲とマスクが、緑と赤の横のラインの入ったものになった。ライはクロスの強化形態「カメンフォーム」となった。
“オール!”
 ライは続けてもう1つのライダーソウル「オールソウル」を手にして、スイッチを入れてクロスカリバーの左のスロットにセットした。
“オールパワー!オールクロス!オールライダー!”
 オールソウルが反応して、音声を発した。カメンフォームの緑と赤の横のラインに金のラインが加わり、装甲から神々しい輝きが発せられた。
 ライはクロスの最強形態「オールフォーム」となった。
「みんな、最強の姿になったのか・・!」
 アキトがライたちを見て声を上げる。
「オレのフォースの力は、あくまでフォームチェンジの域を出ない・・あのような最強の姿というわけではない・・・」
 彼は力を求めて、悔しさのあまりに手を握りしめる。
「あそこまでレベルの高いフォームがないのはオレも同じだ。だがそれで逃げたり他人任せにしたりはしない・・」
 英寿は冷静に言って、今の自分の力を把握しつつ邪眼と戦おうとしていた。
「そうだな・・オレはそんな甘えに飽きていたはずだ・・・!」
 励まされたアキトが動揺を振り払う。彼も邪眼を倒すことに集中していった。

 

 

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