ザ・グレイトバトル外伝

仮面ライダーフォース

第3章

 

 

 アキトは自分の世界のことを紘汰たちに話した。
「怪人だけじゃなくて、怪獣や宇宙人、メカまで・・・」
「全く・・おかしなところに来ちまったもんだ・・・」
 渡が驚きを感じて、巧がため息をつく。
「だけどオレたちは巨大な敵も相手にしてきた。どんな相手でも、完全に戦いをためらうようなことにはならないはずだ。」
 紘汰は落ち着きを払って自信を見せる。
「つまりは、オレたちの常識に囚われるな、ということか。」
 英寿が解釈して、紘汰が頷いた。
「オレの敵は、今のところ巨大ではない怪人ばかりだ。フォースの力を持ったアナザーライダーは、次こそオレが倒す・・・!」
 アキトがアナザーフォースへの怒りを感じて、右手を握りしめる。
「あの様で勝ち目があるのか?他に秘策でもあるのか?」
「オレにはまだ、ヤツとの戦いで試していない力がまだある。その中にヤツに勝つ方法が・・」
 英寿に問われて、アキトがアナザーフォースを倒す算段を練る。
「ヤツにもお前と同じ力がある。しかもさっきの戦いでは、お前よりも力が高いと見て間違いない。」
「おいおい、そんなんで次に勝てるって言えるのかよ・・」
 英寿が分析したことを伝えて、巧がため息混じりに言う。
「このフォースには無限の可能性がある。世界が無限にあり、お前たちのようなライダーや戦士がそこにいるように・・」
 アキトはフォースの可能性を考えて、フォースドライバーに目を向ける。
「アナザーライダーはあくまで、オリジナルのライダーから時間と力を盗んだまがい物・・アナザーフォースがオレを上回っているなら、オレがまだフォースの力を完全に引き出せていないということだ・・」
「すごい理屈だな・・ある意味前向きかもしれないな・・」
 勝機を見出す彼に、巧が呆れる。
「だけど今は、それに賭けるしかないかもしれないね・・」
「他の手は思い浮かばないし・・今は期待させてもらうぞ、お前の本領発揮を。」
 渡が割り切って、英寿が檄を飛ばす。
「もちろんだ。新しい力を見出して、ヤツを倒す・・・!」
 アキトは信念を貫いて、アナザーフォースへの怒りを燃やす。
 そのとき、通信機が着信して、アキトが応答した。
“アキト、無事か!?”
「隊長・・オレは大丈夫だ。敵の正体も分かってきた。これからヤツらを叩く。」
 トウジの声に答えて、アキトが報告する。
“お前のところに応援を送る。少し待っているんだ。”
「いや、今回はオレがケリを付けなければならない。この世界の為だけでなく、オレ自身のためにも。」
 トウジが応援を向かわせようとしたが、アキトは拒んだ。
“だったらせめて、これだけでも送らせてくれ。お前のために用意したものだ。”
「オレのために?」
 トウジが話を続けて、アキトが疑問符を浮かべる。
“お前の現在位置は分かっている。もうすぐ到着する。”
 トウジが告げると、1台のバイクがアキトたちの前に現れた。
「バイク・・フォースのための戦力か・・・!」
“開発部によって完成し、我々に託された戦力だ。仮面ライダーであるお前なら使いこなせるはずだ。”
 アキトがバイク「フォースレイヤー」を見て、トウジが説明する。
“せめてそれは受け取ってくれ。お前の声に反応して、自分で走ることもできる。”
「オレがコイツを使って、アンタたちの敵に回るかもしれないぞ。それにも対応しているということか。」
“君を縛るようになるが、これが最善の方法だ。悪く思わないでくれ。”
「いや、賢明な判断だ・・このバイク、遠慮なく使わせてもらうぞ。」
 トウジの言葉を聞き入れて、アキトは通信を終えてフォースレイヤーに近寄った。
「コンピューター搭載で、広範囲のレーダー探知で高速走行を可能とする。オレの各フォームにも対応している。」
 アキトがフォースレイヤーのコンピューターを操作して、その性能を確認する。
「いくらアイツが君と同じ能力を持っていても、バイクを持っているとは思えない・・」
「向こうがバイクを持ってないことが前提だけどな・・」
 渡が希望を見出すが、キバットが苦言を呈する。
「他にも決め手を持っていた方がいいな。確実にアイツを倒せる決め手を。」
「オレの持つ力の全てを使って、アナザーライダーを倒す・・・!」
 英寿が問い詰めるが、アキトは明確な答えを口にしなかった。

 アキトはフォースレイヤーのコンピューターを使って、アナザーフォースの捜索だけでなく、周辺の状態もチェックした。異変を見つけて、アナザーフォースの一味の企みを見出そうとしていた。
「どうやらヤツらは、空間を超えてこの世界に来た怪人同士で結託して、地球の環境を変えて支配しようとしているな。」
 アキトが英寿たちに振り向いて、推測を口にする。
「やれやれ・・悪いヤツらの考えることは、どいつもどこでもみんな一緒ってことか・・面倒なことだな・・」
 巧が怪人たちの企みに対して、不満を呟く。
「オレたちは異変をキャッチして、オレはここに来た。敵の本拠地を調べ終えていないが、もしも大きく計画が進んでいるなら、もっと大きな異変が起きているはずだ。」
「なるほど。確かに、今は大きな変化はないみたいだ・・」
 アキトが話を続けて、紘汰が周りの様子を見て答える。
「まずはあのアナザーライダーを倒すことに専念することだ。」
「うん。でも他に敵が残っていないとは限らない。もしかしたら、みんなを指揮している親玉ががいるかもしれない・・」
 キバットが言って、渡が用心する。
「今回戦ってきたヤツらの中で、組織の指揮が取れそうなのは、ヨロイ元帥ぐらいだ。それでも他のヤツらが動いているということは・・」
「渡さんの言う通り、ホントの親玉がいる可能性が高いですね・・・!」
 アキトが今回の戦いを思い出して、紘汰が確信を持つようになる。
「次の勝負とヤツらの出方で、その答えが分かるだろうな・・」
 巧の呟きを聞いて、アキトが頷いた。
「あのアナザーライダーが戻ってきたか・・・!」
 そのとき、紘汰が気配を感じて声を上げる。彼らの前にアナザーフォースが再び姿を現した。
「また来たか。今度は不覚は取らないぞ。」
 アキトがアナザーフォースに鋭い視線を向ける。
「次こそお前を倒し、唯一無二の鷹矢アキトとなる。誰にも邪魔はさせない。」
 アナザーフォースがアキトに言い放った。彼の背後に3人の戦士が現れた。
「あれはまさか、オレたちの・・・!?」
「アナザーライダー・・他にもこの世界にいたのか・・!」
 巧と紘汰が戦士たちを見て声を荒げる。その3人は紘汰たちの力を備えたアナザーライダー、アナザーファイズ、アナザーキバ、アナザー鎧武である。
「別の世界のアナザーライダーということか・・」
「フォースのアナザーライダーと同じように、ここにいる本物の渡たちとは別次元みたいだな。」
 アナザーライダーたちを見て、渡とキバットが呟く。
「お前たちの相手は、この3人がする。これで心置きなく1対1の対決ができる。」
 アナザーフォースが紘汰たちに言って、アキトに視線を戻す。
「望むところだ。オレの手でお前を倒す。本物の仮面ライダーフォースはオレだ。」
 アキトは笑みを見せて、アナザーフォースに近づいていく。
「どうやらオレたちは、オレたちのアナザーライダーと戦うことになるのか・・」
「あんなまがい物に、オレたちの力を好き勝手にはさせない・・!」
 巧がため息混じりに言って、紘汰がアナザー鎧武たちに向かって言い放つ。
「オレはアンタたちの誰かに加勢することになるが・・」
「お前の相手は私だ。」
 英寿が苦言を呈すると、別の声が彼に向かって投げかけられた。
 1対の巨体の怪人が、アキトたちの前に現れた。
「あれは・・!」
「邪眼・・アイツまでこの世界にいたとは・・・!」
 渡と紘汰が怪人、邪眼に対して緊張をふくらませる。
「仮面ライダー、お前たちにあるのは、破滅の末路のみ・・全ての世界は、我々が支配する・・」
 邪眼が英寿に近づいて告げる。
「これでみんな、1対1の対決ができるということか・・お前の相手はオレがする。」
「仮面ライダーであるお前を、まずは私が葬り去る・・」
 英寿が対峙の意思を見せて、邪眼が言葉を返す。
 英寿がデザイアドライバーの中心部にアイテム「コアID」の1つ「ギーツコアID」をセットした。
“Entry.”
 彼が黒いスーツと狐のような形状の仮面を身に着けた。
「変身!」
“Set.”
 英寿は指を鳴らしてから、マグナムレイズバックルをデザイアドライバーの右側にセットして、リボルバーを回してトリガーを押した。
“Magnum.Ready fight.”
 彼はさらに白い装甲を身に着けて、ギーツ・マグナムフォームへと変身した。
「こっちもキバって行くぜ!」
「あぁ!ここからが、オレたちのステージだ!」
 キバットが呼びかけて、紘汰が掛け声を上げる。
 巧がファイズフォンを手にして「555」と「ENTER」を押した。
“Standing by.”
 彼がファイズフォンを閉じて、上に高らかに上げた。
「変身!」
“Complete.”
 巧がファイズフォンをセットしたファイズドライバーから、赤い光の線が伸びた。光は黒、赤、灰色の装甲と仮面になって、彼を包み込んだ。
「行くよ、キバット!」
「あぁ!」
 渡が呼びかけて、キバットが答える。渡がつかんだキバットが彼の手にかみついた。
 渡に力が蓄えられて、腰にベルトが現れた。
「変身!」
 渡がキバットをベルトに装着して、スーツとコウモリを思わせる形状のマスクを身にまとって、キバへ変身した。
“オレンジ!ロックオン!”
 紘汰がオレンジロックシードを手にして、戦極ドライバーにセットした。
「変身!」
 彼が戦極ドライバーのカッティングブレードを下ろして、オレンジロックシードを開いた。
“オレンジアームズ!花道・オンステージ!”
 紘汰の頭に巨大なオレンジが落ちてきた。オレンジは展開して鎧武者のような装甲と仮面となって、彼に装着された。
「行くぞ、偽者のオレ・・・!」
 アキトがフォースドライバーを取り出して、装着してレバーを手に掛けた。
「変身!」
 アキトがレバーを引いて、フォースドライバーを展開した。フォースドライバーから光があふれて、彼はフォースに変身した。
 アキトがフォースレイヤーに乗って走り出す。アナザーフォースが追いかけて、2人が英寿たちから離れていく。
「本気で1対1にこだわるな、アイツ・・」
 巧がため息をついてから、アナザーファイズたちに目を向ける。
「アイツらはオレたちで止めましょう!オレたちの力を、悪いことに使わせない!」
 紘汰が言い放って、アナザー鎧武に立ち向かう。巧と渡も続いてアナザーファイズ、アナザーキバと対峙した。
「行くぞ、怪物。」
 英寿が冷静に言って、マグナムシューターを構えて邪眼に向かっていった。

 英寿たちから離れて、別の荒野に移動したアキトとアナザーフォース。アキトは止めたフォースレイヤーから降りて、アナザーフォースと向き合う。
「これで完全に誰にも邪魔されないな。」
「オレとお前、どちらかが倒れるまでこの戦いは続く・・」
 アキトとアナザーフォースが声を掛け合って、構えを取る。
「それでオレに勝てると思っているのか?前にやられたのを忘れたわけではないだろう。」
「この前のオレと同じだと思わないことだ・・」
 アナザーフォースが口にした言葉に、アキトがため息混じりに言い返す。
「オレでありながら愚かなことだ・・・」
 アナザーフォースが呆れながら、アキトに向かっていく。
 アキトも走り出して、アナザーフォースとパンチとキックの攻防を繰り広げる。
「やはりお前はオレには届かない。」
 アナザーフォースが呟いて、右足を突き出してアキトを蹴り飛ばした。
「くっ・・ここで、コイツの力を試すとするか・・・!」
 着地したアキトがフォースレイヤーに乗って、アナザーフォースに向かって走り出した。
「バイクを使ってオレに挑むか。」
 アナザーフォースがアキトとフォースレイヤーを冷静に迎え撃つ。突っ込んできたフォースレイヤーを、アナザーフォースが跳び越える。
 フォースレイヤーが転回して、アキトが再びアナザーフォースに向かっていく。
「やはり小賢しい手段でしかないか・・」
 アナザーフォースがため息をついて、ジャンプで回避、迎撃しようとした。
 そのとき、アキトがアクセルを掛けて、フォースレイヤーのスピードを上げた。フォースレイヤーが高速のままジャンプして、ジャンプしたアナザーフォースに前輪を当てた。
「ぐっ!」
 アナザーフォースが突き飛ばされて、地面を転がる。フォースレイヤーが着地して、アキトが彼に振り向く。
「バイクにしてはスピードもパワーもあるようだ。」
 立ち上がったアナザーフォースが、フォースレイヤーの性能を把握する。
「だが所詮、小細工でしかない。オレには専用のバイクはないが、それを差し引いてもオレの方が上だ。」
 アナザーフォースがアキトとフォースレイヤーに向かって走り出す。
「自分からオレたちに近づいてくるか・・・!」
 アキトが呟いて、フォースレイヤーを走らせて迎え撃つ。
「スレイヤークラッシュ!」
 アキトがフォースレイヤーのコンピューターを操作した。フォースレイヤーのスピードがさらに上がって、ボディから光の粒子があふれ出した。
「アナザーフォースキック。」
 アナザーフォースが前進しながらジャンプして、フォースレイヤーに向かってキックを繰り出した。
「ぐっ!」
 アナザーフォースがフォースレイヤーに突き飛ばされて倒れた。フォースレイヤーも衝撃で揺さぶられて、アキトも投げ出された。
「フォースレイヤーでも、アイツと互角だというのか・・・!」
 アキトがフォースレイヤーを起こして毒づく。
「オレに同じ攻撃は通用しないぞ。」
 アナザーフォースがアキトに言って、構えを取る。
「オレとフォースレイヤーの力は、こんなものではない。」
 アキトが言い返して、またフォースレイヤーに乗った。
 さらにアキトはフォースドライバーのバックルの左のスイッチを押して、映像のアイコンの1つにタッチした。彼のまとう装甲が変化して、鋭い翼が現れた。
「アロンダイトコンフューズ!」
 アキトが高らかに言い放って、フォースビームソードを手にした。
「別の姿になったからといって、有利になると思っているのか?」
 アナザーフォースが呟くと、姿を変化させて能力を高めた。
「アロンダイトコンフューズにも変身したか・・!」
 アキトは呟いてから、アナザーフォースに向かって走りだず。彼だけでなく、フォースレイヤーからも残像が出ていた。
 アナザーフォースも残像を伴った高速で、アキトに攻撃を仕掛ける。しかし横にも動くアキトとフォースレイヤーに、パンチをかわされる。
「バイクがあのような動きをするとは・・・!」
 直線的でない高速を見せるフォースレイヤーに、アナザーフォースが毒づく。アキトとフォースレイヤーが彼に向かって突っ込む。
「だが空を飛ぶまでにはいかないはず・・!」
 アナザーフォースが飛翔して、アキトとフォースレイヤーを見下ろす。
「何っ!?」
 フォースレイヤーも飛び上がったのを目の当たりにして、アナザーフォースが驚く。アキトがフォースビームソードの柄を、フォースレイヤーの前方部にセットした。
「スレイヤーアロンダイト!」
 アキトがフォースレイヤーとともに高速で突き進んで、アナザーフォースに刃を突き立てた。
「ぐおっ!」
 アナザーフォースが激痛を覚えて絶叫する。彼はフォースビームソードによる貫通を避け、右に反らしていた。
 次の瞬間、アキトが右手を突き出して、アナザーフォースの体に当てた。
「フォースパルマフィオキーナ!」
 アキトがその右手から光を放出した。光がアナザーフォースの体に衝撃を与えた。
「ぐはっ!」
 アナザーフォースが絶叫を上げて、落下して倒れた。
「オレが、あのような状態のヤツに追い込まれるとは・・・!」
 ダメージを負っていることに、アナザーフォースがいら立ちを感じていく。
「オレは今はオレ1人ではない・・オレに力を貸していることも大きい、ということか・・・」
 アキトがフォースレイヤーを見て、トウジたちからの信頼と助力を得て戦えていることを実感するようになる。
「その力を世界中の人間が理解できれば、オレが世界を正す必要はなくなるが・・」
 世界に希望が残されていることを教えられて、彼は複雑な気分を感じていた。
「バイク1台で優劣が逆転するなど・・認めるわけにはいかない・・・!」
 アナザーフォースがいら立ちをふくらませて、フォースビームソードを出して手にした。
「お前はオレに倒される・・オレはお前を超えていく・・!」
 アキトがアナザーフォースに向かって自分の意思を言い放つ。彼はフォースドライバーの右のスイッチを上に上げて、レバーを閉じて引いた。
「アナザーフォースキック!」
 アナザーフォースがスピードを上げて、大きくジャンプしてキックを繰り出した。
「DZブレイカー!」
 フォースビームソードの刀身に強い光が宿り、アキトが高速で動いた。残像を伴ったアキトが次々に一閃を繰り出して、アナザーフォースのキックを迎え撃った。
「アナザーDZブレイカー!」
 アナザーフォースがフォースビームソードを振りかざして、光の刃を放ってアキトの刃を押していく。
「複数のフォースの力と技・・上回っているのはオレのほうだ!」
「それはどうかな・・・!」
 言い放つアナザーフォースに、アキトが冷静に言い返した。
「今のオレの力は、オレ1人だけのものではない・・ここにある力だけではない・・・!」
 アキトがトウジたちのことを思い出す。彼の発揮する力が高まって、アナザーフォースの力を押し返していく。
「オレの力が、歯が立たないというのか・・!?」
 アキトに敵わないことを痛感して、アナザーフォースが光の刃に全身を切り裂かれた。吹き飛ばされた彼の前に、アキトが着地した。
「オレの勝ちだ。正確にはオレたちの勝ちということになるが・・」
 アキトがトウジたちのことを思って、アナザーフォースに告げる。
「お前がオレを、完全に上回るとは・・・!」
 アナザーフォースがアキトの本当の強さを実感する。
「所詮は本物でないアナザーライダーだったが、その力は本物だった。だがお前は自分の力ばかりを使っていた。それが敗因となった・・」
「オレはオレしかいなかった・・力を貸すヤツのいるお前と違ってな・・・」
「そうか・・お前はオレでありながら、やはり全く違う生き方をしてきたんだな・・」
「それで差がつくとはな・・馬鹿げたことだ・・・」
 アキトから皮肉を言われて、アナザーフォースがため息をついた。
「1つ聞く。お前の仲間は他に誰がいる?お前たちの親玉はいるのか?」
 アキトがアナザーフォースに対して質問する。
「オレをこの世界に導いたのは、邪眼だ・・」
「邪眼・・英寿たちのところにいるな・・・!」
 アナザーフォースの答えを聞いて、アキトが毒づく。彼はフォースレイヤーに乗った。
「オレを見逃すつもりか?・・今のうちにとどめを刺さなければ、オレは今度こそお前を倒すぞ・・・!」
「お前がまたオレを倒しに来たなら、そのときにとどめを刺す。そう思え・・」
 忠告を言うアナザーフォースに言い返して、アキトはフォースレイヤーを走らせて去っていった。
「まだだ・・オレはまだ終わらないぞ・・・!」
 アナザーフォースが立ち上がって、アキトへの憎悪を大きくしていた。

 同じ頃、紘汰たちは自分たちの力と姿を模したアナザーライダーと戦っていた。
 巧の攻撃にアナザーファイズは追い込まれていた。
「お前じゃこの力は使いこなせないみたいだな。」
 巧がため息混じりに言って、アナザーファイズがいら立ちを見せる。
「お前には大した戦う理由がない。そんなんじゃ、やっと夢を見つけたぐらいのオレにも勝てねぇよ・・」
 巧がアナザーファイズに言って、今までの自分の生き方を振り返る。
 巧は夢と呼べるものを持っていなかった。しかしファイズの力を使うようになってからの日常や戦いの中で、彼は自分の夢を見出すことができた。
 みんなが幸せでいられるように、巧は今を生きて戦っている。
「ここは違う世界だけど、ここのみんなの幸せを守るのも悪くないよな・・」
 巧が呟いてから、マルチカメラ「ファイズショット」を右手に装備して、ファイズドライバーにあるファイズフォンの「ENTER」を押した。
“Exceed charge.”
 エネルギーを集めたパンチを繰り出す巧。アナザーファイズがパンチを受けて、宙へ跳ね上げられた。
 アナザーファイズが空中で体勢を整えて、右足にエネルギーを集める。巧がトーチライト「ファイズポインター」を右足にセットした。
“Exceed charge.”
 巧が大きくジャンプして、アナザーファイズとともに右足を出した。右足から円錐状の光が出て、互いを捉えた。
 巧とアナザーファイズが光の円錐をくぐるように突っ込んで、キックを繰り出した。2人が激しい衝突をして、衝撃を巻き起こした。
 巧がキックを押し込んで、アナザーファイズの体に叩き込んだ。地面に落ちたアナザーファイズが爆発を起こした。
「この力をふざけたことには使わせないからな・・」
 巧が呟いてから、アナザーファイズのいた場所に背を向けた。

 渡とアナザーキバも激しい激闘を繰り広げていた。
「オレたちの力を使っているが、オレたちのほうが上だな!」
「うん・・完全にキバの力を使いこなしているわけじゃない・・」
 キバットと渡がアナザーキバの力を確かめる。
「このまま決めるぞ、渡!」
「うん、キバット・・!」
 キバットが呼びかけて、渡が頷いた。キバットがアイテム「フエッスル」の1つ「ウェイクアップフエッスル」を口にして吹いた。
「ウェイクアップ!」
 キバットの叫び声とともに、周囲が月夜に包まれた。渡が右足を振り上げて、そのまま大きくジャンプした。
 アナザーキバもジャンプして、渡を狙って右足を振り上げた。2人が同時に足を振り下ろして、互いの体に命中させた。
 渡がアナザーキバを押し込んで、落下の勢いで地面に叩きつけた。その瞬間に地面に紋章が刻まれた。
 決定打を受けたアナザーキバが、力尽きて動かなくなった。
「どうだ!偽者が本物に勝てるわけがないんだ!」
 キバットがアナザーキバに対して勝ち誇る。
「この力は僕たちだけのものじゃない。父さんと母さんから受け継いだ力と魂なんだ・・」
 渡が握った自分の右手を見つめて、自分を支えてくれた人たちのことを思い出していく。
「そして僕たちの魂は、未来へと受け継がれていく・・」
「そのときまで、オレたちが全力で戦っていこうな、渡!」
 渡が自分たちのやるべきことを口にして、キバットが励ます。渡は頷いて、紘汰たちのところに向かった。

 紘汰とアナザー鎧武が2種の刀「無双セイバー」と「大橙丸(だいだいまる)」を振りかざしてぶつけ合っていた。
「それでもオレの力と時間を盗んだ存在なのか?ライダーの力を甘く見るな!」
 うめくアナザー鎧武に向かって、紘汰が感情を込めて言い放つ。
 紘汰がスピードを上げて、無双セイバーと大橙丸を振りかざす。アナザー鎧武が迎え撃つが、対処が間に合わずに切り付けられていく。
「これで決めてやる!」
 紘汰が戦極ドライバーのカッティングブレードを1回倒した。
“オレンジスカッシュ!”
 オレンジ色のエネルギーを足に集めた紘汰が、ジャンプしてキックを繰り出した。アナザー鎧武もジャンプして、キックをぶつけ合う。
「ぐっ!」
 紘汰とアナザー鎧武がキックの反動で押される。紘汰が無双セイバーに大橙丸と柄同士で組み合わせて「ナギナタモード」にした。
 紘汰はオレンジロックシードをセットした無双セイバーを振りかざす。アナザー鎧武がオレンジ型のエネルギーに包まれて、動きを封じられる。
 紘汰は落下しながら、無双セイバーでアナザー鎧武を切り裂いた。アナザー鎧武が絶叫を上げて爆発して、紘汰が着地した。
「この力は、生半可な覚悟で手を出しちゃいけない、禁断の果実なんだ・・」
 ロックシードの元となっている「ヘルヘイムの実」が、人間を大きく変貌させる。その強大な力とリスクを理解して、紘汰は呟いた。
「ヘルヘイムの悲劇は、オレたちで終わりにする・・」
 ヘルヘイムの森の「はじまりの男」として、紘汰は自分に課せられた宿命をこれからも背負い続けると、改めて決意した。
「ケリがついたみたいだな。」
 巧が渡とともに戻ってきて、紘汰に声を掛けてきた。
「後はアキトと英寿かな。」
「2人のところへ行きましょう。」
 渡も言って、紘汰が英寿のところへ向かう。
「早く片付けて、元の世界に戻りたいぜ・・」
 巧は愚痴をこぼして、渡、紘汰についていった。

 邪眼と1対1の対決をしていた英寿だが、邪眼の発揮するパワーに押されていた。
「他の怪人やアナザーライダーを上回るパワー・・ここまでとは・・・!」
「これが長い時間をかけて蓄え高めてきた私の力だ・・」
 毒づく英寿に邪眼が告げる。
「新たな仮面ライダーよ、まずはお前から葬ってくれる。」
「そうはいかない・・お前の歴史は、ここで終わる・・」
 迫る邪眼に英寿が言い返す。彼は呼吸を整えてから、マグナムシューターを構えた。

 

 

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