ザ・グレイトバトル外伝

仮面ライダーフォース

第1章

 

 

ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、ガンダム。
地球や宇宙の平穏、正義と平和、それぞれの大切なものを守るために戦う存在。

それぞれの戦いを繰り広げて、それぞれの宿命と向き合う戦士。
悪と戦い、時に互いの正義をぶつけ合う。


 様々な怪獣、怪人、宇宙人の侵入や襲撃に備えて、地球防衛隊では特別チームが置かれていた。
 その名は「Gフォース」。機動兵器「モビルスーツ」を主力としていて、隊員たちもその操縦に長けた者ばかりである。
 そのメンバーとなった鷹矢(たかや)アキト。
 アキトは地球と人類を見限り、その敵に回った。しかしその戦いに敗北し、守る形で世界を正そうと考えるようになる。
 この日、アキトはGフォース隊長、桜木(さくらぎ)トウジからの指示で、単独で調査に赴いていた。
「まさかオレだけで任務を回されることになるとは・・オレが裏切らないと信じているのか・・・」
 アキトが調査をしながら、信頼を寄せられていることに疑問を感じていく。
(オレが離反しないように、向こうは細工を施している。解除しようとしても、プロテクトが複数掛かっていてすぐに気付かれる仕組みになっている・・)
 自分の力がGフォースの管理下に置かれていることを、アキトが痛感する。
(新たなる力を手にする以外にないか・・)
 世界を正すため目的を果たそうと、アキトは策を考えていた。
 アキトは山道を進んで、その奥にある洞窟の入り口の前に来た。
(この中に潜んでいる可能性が高い。同時に罠が仕掛けられている可能性も・・)
 地球で暗躍する敵に関する情報に改めて目を通して、アキトが警戒を強める。
(オレの力を、地球を狙う者に見せつけるのもいいか・・)
「ポイント712に到着。洞窟を発見。現時点ではレーダーに反応はなし。」
 アキトが通信機でGフォース本部に連絡を入れた。
“今、みんなは形態体勢に入り、そちらへ援護にいけない。下手に飛び込むことは控えるんだ。”
 トウジが応答して、アキトに指示を送る。
「みんなの手が回らないなら、ここはオレが行くべきだ。早くしないとヤツらは何かをしでかすぞ。」
“だが、いくら君でも1人では危険だ。監視に留めるんだ。”
「1人ではない。オレにそう言ってきたのはお前たちだろう。」
“どうしても行くというのか、アキト・・?”
 突入を決めているアキトに、トウジが問い詰める。
“決してムチャをするな。わずかでも危険だと判断したら、深追いせずに離脱するんだ。”
「自分と信用しているんだな・・もちろんだ。必ず生きて戻ってくる。」
 トウジの言葉に自分の意思を込めて答えるアキト。彼は通信を終えて、洞窟に視線を戻す。
(オレは生き残る・・オレ自身のためにな・・)
 心の中で言い聞かせて、アキトは洞窟の中に入っていった。

 洞窟の中はいくつかの分かれ道はあったものの、それ以外は1本道となっていた。
(進んでいるが、何もない・・何かの罠か、それとも本当に何もないのか・・・)
 アキトが警戒を強めて、1度足を止める。
(ここまで来てもレーダーに反応がない・・奥へ行きすぎても戻れなくなる・・)
 彼は思考を巡らせて、1度洞窟を出ることを決めた。
 そのとき、アキトはかすかな足音を耳にして警戒を強めた。
「またここに入ってくる馬鹿者が現れたか。」
 そこへ1人の男が現れて、アキトが振り向いた。ジャガーの姿をした怪人で、両手がハサミとなっていた。
「お前は確か、“デストロン”のハサミジャガーか。」
 アキトは動じることなく怪人、ハサミジャガーに声を掛ける。
「ほう?オレとデストロンを知っているとはな。だが我々の姿を見てしまった以上、お前は死ぬことになる。」
 ハサミジャガーが笑みをこぼして、両手のハサミを動かしながらアキトに迫る。
「そうして何か企んで、暗躍しているということか・・だが今回は、相手が悪かったな。」
 アキトも笑みを浮かべて、ハサミジャガーに言い返す。
「えらく強気だが、その口もすぐに叩けなくなるぞ!」
 ハサミジャガーがあざ笑って、アキトを狙って右手のハサミを突き出した。アキト横に動いてハサミをかわした。
「そのセリフ、そっくりお前に返すぞ。」
「何っ!?」
 言い返すアキトに、ハサミジャガーがいら立ちを覚える。
 アキトがベルト「フォースドライバー」を取り出して、装着してレバーを手に掛けた。
「変身!」
 アキトがレバーを引いて、フォースドライバーを展開した。フォースドライバーからあふれた光が、彼を包み込んだ。
 光は赤と黒を基調としたスーツとマスクに変わった。
「そ、その姿・・お前も・・!?」
 ハサミジャガーがアキトの姿を見て驚く。
「仮面ライダーフォース。それがオレの変身するライダーの名前だ。」
 アキトが軽く手を動かしながら名乗る。彼は仮面ライダーフォースへと変身したのである。
「ライダーなら、お前の首を手土産にすれば、ヨロイ元帥様がお喜びになるぞ!」
 ハサミジャガーが期待を抱いて、笑い声を上げる。
「デストロンのヨロイ元帥もいるのか・・だったら伝えておけ。オレの邪魔をすると命はないとな。」
「コイツ、いつまでも調子に乗って!」
 警告するアキトに怒りを言い放って、ハサミジャガーが飛びかかる。アキトが素早く動いて、ハサミをかわしていく。
「シザーズ!」
 ハサミジャガーがさらにハサミを突き出す。1回ハサミに装甲を切り付けられたが、アキトはその直後に懐に飛び込んで、ハサミジャガーの顔面にパンチを当てた。
「ぐふっ!」
 ハサミジャガーが体勢を崩して、アキトはさらにパンチとキックで攻め立てる。
「シザース!」
 ハサミジャガーが反撃を仕掛けるが、逆に突き出した左手のハサミを止められた。
「オレのハサミ攻撃を止めただと!?」
「この程度のスピードでは、さっきのはまぐれ当たりだったということだ。」
 驚くハサミジャガーを、アキトが投げ飛ばして岩の壁に叩きつけた。
「ぐっ!・・おのれ、ライダー・・!」
 倒れたハサミジャガーがアキトへの憎悪をふくらませる。
「肉弾戦の次は刃物の勝負といくか。」
 アキトが呟いて、フォースドライバーのバックルの左のスイッチを押した。立体映像が現れて、彼はその中のアイコンの1つにタッチした。
 アキトのまとう装甲に変化が起こる。背中にも鋭い翼も出ていた。
「アロンダイトコンフューズ!」
 アキトが高らかに言い放って、右手の中に現れた剣「フォースビームソード」を握った。彼はデスティニーガンダムとZゼータガンダムの能力を宿した形態「アロンダイトコンフューズ」となった。
「そんな大きい剣じゃ、この中で振ることはできないぞ!」
 ハサミジャガーがフォースビームソードを見て笑みをこぼす。
「オレたちの力を甘く見るな。」
 アキトが笑みをこぼして、フォースビームソードを振りかざした。光を発した刀身は、岩の壁をすり抜けて、ハサミジャガーだけを切り裂いた。
「バカな!?・・こんなことが・・・シザーズ!」
 ハサミジャガーが絶叫を上げて、倒れて爆発した。
「1度外へ出て、ヨロイ元帥たちが出てきたところを押さえる。元帥以外にも敵がいるかもしれない。」
 アキトは警戒を解かずに、洞窟の外へ向かう。彼は洞窟の出入り口の近くまで来た。
 そのとき、轟音が響いて、岩が洞窟の出入り口を塞いだ。
「侵入者を始末して、証拠隠滅も図るつもりか・・だが、オレにはムダなことだ。」
 アキトは動じることなく、フォースビームソードを構える。
「はっ!」
 アキトがフォースビームソードを突き出して、岩を打ち砕いて吹き飛ばした。その直後に彼は洞窟から出た。
「残念だったな。これでオレを押さえようとしても成功しない。」
 アキトが言いかけて、出入り口の上の崖を見上げた。崖の上には数人の怪人たちの姿があった。
「まさかこの世界に、我々の知らぬ仮面ライダーがいたとはな。」
 怪人たちを率いていたヨロイ元帥が、アキトに対して声を掛ける。
「だがたった1人で我々を相手にできると思っているのか?」
「オレの力を甘く見ているのが、お前たちの敗因となる。」
 あざ笑うヨロイ元帥に、アキトが強気に言い返す。
「いつまでも調子に乗って・・!」
「オレたちが貴様の命をもらうぞ。」
 ヨロイ元帥とともにいた怪人、怪魔ロボット、シュバリアンとウォートホッグファンガイアがアキトに迫る。
「他の組織や集団と手を組んでいるのか。」
 アキトが2人を見て冷静に考える。
「地球と人類の制圧という目的が一致したに過ぎんが・・」
「それでオレたちの戦力が増すのは確実だからな・・」
 それぞれの目的を果たそうとするシュバリアンとウォートホッグファンガイア。
「オレと敵対した時点で、その目的は果たせそうにないが。」
「その減らず口を叩けるのもこれまでだ!」
 笑みをこぼすアキトに、ヨロイ元帥が言い放つ。同時にシュバリアンたちがアキトに向かっていく。
 アキトがフォースビームソードを振りかざして、シュバリアンたちを切りつける。シュバリアンたちが体勢を崩して後ずさりする。
 シュバリアンが両手を構えて、ビームを発射する。アキトが残像を伴った高速でビームをかわしていく。
 ウォートホッグファンガイアがアキトを追って突進する。しかしアキトに素早くかわされて、シュバリアンに突撃してしまう。
「アイツら、何をやっている・・!」
 シュバリアンたちの体たらくに、ヨロイ元帥が不満を覚える。
「ムダな時間を費やしているわけにはいかない。すぐにとどめを刺させてもらうぞ。」
 アキトがフォースドライバーの右のスイッチを上に上げて、レバーを閉じて引いた。
「DZブレイカー!」
 フォースビームソードの刀身に強い光が宿り、アキトが高速で動いた。残像を伴った彼が次々に一閃を繰り出して、シュバリアンを切り裂いた。
「ク・・クライシス、万歳・・・!」
 シュバリアンが断末魔を上げて、倒れて爆発した。
「おのれ、仮面ライダー・・!」
 ウォートホッグファンガイアがいら立ち、再び突進を仕掛けた。
 アキトが再びフォースドライバーのスイッチを上げてレバーを引いた。彼が構えたフォースビームソードの刀身に、エネルギーが集まる。
「DZアロンダイト!」
 アキトがウォートホッグファンガイアを迎え撃って、フォースビームソードを突き出した。突進してきたウォートホッグファンガイアの体を、アキトは真っ二つにした。
「オレの突進に、突進で打ち勝つとは・・・!」
 ウォートホッグファンガイアが驚きを感じながら、倒れて爆発した。
「次はお前だ、元帥。オレから逃げられると思うなよ。」
 アキトがひと息ついてから、ヨロイ元帥に振り返った。
「よかろう・・このヨロイ元帥の力、貴様にも見せてやろう!」
 ヨロイ元帥がアキトに言い放って、マントを外した。それと同時に彼は怪人の姿となった。
「このヨロイ元帥の正体は、デストロンのザリガーナ!この姿で、貴様を八つ裂きにしてくれる!」
 ヨロイ元帥が変身した怪人。ザリガーナが言い放って、アキトに向かっていく。
「お前にそれができるのか?」
 アキトが問いを返して、高速でザリガーナの後ろに回り込んで、フォースビームソードを振りかざした。しかしザリガーナの背中の甲羅にはじかれた。
「ヘッヘッヘ!オレの甲羅はその程度では傷も付かんわ!」
 ザリガーナが笑い声を上げて、振り向き様に手のハサミを突き出してきた。アキトがフォースビームソードを掲げて、ハサミを防いだ。
「その剣をへし折ってくれる・・!」
「とことん甘く見ているな、オレを・・」
 互いに強気に言うザリガーナとアキト。アキトがフォースビームソードを振り下ろして、ザリガーナのハサミを切り付けた。
「ぐっ!・・おのれ、フォース・・!」
 ザリガーナが痛みを感じてうめく。
「DZブーメラン!」
 アキトがザリガーナに向かってフォースビームソードを投げ飛ばした。回転するフォースビームソードからビームが連射される。
「ぐおっ!」
 ザリガーナがビームを浴びてダメージを受ける。ビームが一点に集中して、彼の甲羅にも傷が付いた。
「こ、このオレの体に傷を付けるとは・・こうなれば!」
 いら立つザリガーナが甲羅を外して投げつけた。傷ついていた甲羅がバラバラに崩れた。
「甲羅崩しからの甲羅ビームだ!」
 ザリガーナが頭からビームを出して、割れた甲羅で反射させてアキトを狙う。
「やはり小賢しい技だったな。」
 アキトがフォースビームソードを振りかざして、刀身からビームを発する。両者のビームがぶつかり合って相殺する。
「バカな!?・・オレの力をも上回るだと・・!?」
 ザリガーナが驚きを隠せなくなって後ずさりする。
「これはオレが強いというよりは、お前が弱いとしか思えないな・・」
「おのれ・・おのれ、ライダー・・!」
 ため息混じりに言うアキトに、ザリガーナがいら立ちをふくらませた。
「がはっ!」
 そのとき、ザリガーナが背中から体を刃物で貫かれて、絶叫を上げた。
「確かにお前は弱い・・オレの足元にも及ばん・・・」
 彼の後ろにいた赤い体の怪人が声を掛けてきた。
「き、貴様・・このオレを手に掛けるとは・・・!」
「弱いヤツは死ぬ・・それが自然の摂理というものだ・・」
 うめくザリガーナから怪人、デェムシュが剣「シュイム」を引き抜いた。
「私は負けん・・デストロンは、不滅だ・・・!」
 ザリガーナが断末魔を口にして、前のめりに倒れて爆発した。
「あ~あ、やっつけちゃったね。ま、弱かったから別にいいけど・・」
 さらに1人、青年が現れてデェムシュの横に並んだ。
「お前、人間じゃないな・・というよりも、元人間というべきか。」
 アキトが青年、北崎(きたざき)に対して指摘する。
「もしかして、僕の正体を知っているのかな・・?」
「というよりは、お前の強い殺気で、人間じゃないと思っただけだ。」
 笑ってみせる北崎に、アキトは口調を変えずに答える。
「そんなことはどうでもいい・・僕と君でゲームをしようか・・」
 さらに笑う北崎の顔に紋様が浮かび上がった。直後に彼の体が怪人へと変わった。
 死から蘇ることで転化する人の進化「オルフェノク」。北崎はその1人、ドラゴンオルフェノクだった。
「ゲームか。面白そうだな・・オレも混ぜてもらおうか・・・!」
 デェムシュが興味を持って、北崎に声を掛けてきた。
「それじゃどっちが先にアイツをやっつけるか、競争しようか・・」
 北崎が乗って、デェムシュとともにアキトに迫る。
 デェムシュがシュイムを、北崎が右手の爪を振りかざす。アキトがフォースビームソードを掲げて、2人の攻撃を防ぐ。
 しかし北崎が続けて繰り出した爪に装甲を切られて、アキトが突き飛ばされた。
「元帥よりはやるようだな・・だがオレのほうが上だ・・・!」
 アキトが強気に言って、北崎とデェムシュを迎え撃つ。
「威勢だけはいいようだな・・・!」
「そうでないと面白くならないからね・・・」
 デェムシュがあざ笑って、北崎もさらに笑みをこぼす。
 アキトがフォースビームソードを振りかざしながら、刀身の光の刃を伸ばした。デェムシュと北崎がその刃に体を切り付けられる。
「な、何だと・・!?」
「そんな遠くからの攻撃は、よくないよね・・・」
 デェムシュが驚きの声を上げて、北崎が呟く。再び動き出した北崎の体が、巨体から細身へと変化した。
 北崎は通常の「魔人態」からスピード重視の「龍人態」となることができる。
 北崎がスピードを上げてアキトに迫る。アキトも高速で応戦して、フォースビームソードと爪が激しくぶつかり合う。
「ぐっ!」
 北崎のスピードが上回って、アキトが装甲を切り付けられて突き飛ばされた。
「DZコンフューズのスピードを上回るとは・・・!」
「別に驚くことはないよ・・だって、僕は世界一強いんだから・・」
 毒づくアキトに、北崎が自信を見せつける。
「ならばパワーを二の次にして、スピードを上げる必要があるな・・・!」
 アキトが次の手を考えて、ドライバーのバックルの左にあるスイッチを押して、その1つにタッチした。彼のまとう装甲からトゲが現れて、より鋭いものとなった。
「仮面ライダーフォース・ギルスティンガー。」
 仮面ライダーギルスとアバレキラーの力を宿した「ギルスティンガー」となったアキトが、名乗りを上げた。
「お前も姿が変わったのか・・面白そうだね・・・」
 北崎が期待を感じて笑みをこぼす。
「面白さを感じる余裕もここまでだ・・・!」
 アキトが言い返して、一気にスピードを上げた。それは前以上のものになっていた。
 北崎も高速で応戦する。しかしアキトの高速に翻弄されて、打撃を受けていく。
「僕が追いつけない・・そんなこと・・・!」
 北崎がいら立ちを覚えて、再び魔人態になった。力でねじ伏せようとした彼だが、アキトのスピードを捉えることができない。
「この僕が・・僕が負けることはない!」
 怒号を放つ北崎が、力任せに爪を振りかざす。しかしアキトには全く当たらない。
「さっきの高速を上回るこの速さ。その姿では追いつけるはずもない。」
 アキトが冷静に言って、さらに高速で動く。彼は装甲のトゲを伸ばして、北崎を切り付けていく。
「僕が・・僕が1番強いんだよ!」
 怒りをふくらませる北崎が、稲妻のような光を放出する。彼の周囲全体に放たれた光だが、アキトはそのわずかな隙間をかいくぐっていた。
「それでもオレには遅いくらいだ・・・!」
 アキトが鋭く言って、刃を振りかざして北崎を切り付けて突き飛ばした。
「こ、こんな・・こんな・・・!」
 倒れた北崎が悔しさをあらわにする。アキトが足を止めてひと息つく。
「お前たちの他に仲間はいるのか?・・と聞いても、お前のような性格のヤツはまともに答えないだろうな・・」
 アキトが北崎に問いかけて、ため息をつく。
「許さない・・お前は必ず倒す!」
「そうか・・ならばここでとどめだ・・!」
 北崎が憎悪をむき出しにして、アキトがフォースドライバーのスイッチに手を伸ばした。
 そのとき、アキトと北崎のいる場所にビームが飛び込んできた。ビームによる爆発に、2人が巻き込まれた。
「オレこそが最強だ・・貴様たち下等な生き物ではない・・・!」
 デェムシュがアキトたちをあざ笑う。彼は北崎も一緒に始末しようとしていた。
「アイツ、オレが止まったところを狙ってきたか・・・!」
 毒づくアキトがビームと爆発を受けて吹き飛ばされる。
「くそっ!とにかく全てに当てるつもりで攻撃している・・!」
 デェムシュの無差別な攻撃を痛感するアキト。反撃に出ようとする彼だが、デェムシュの雨のように降り注ぐビームに行く手を阻まれる。
「全部まとめて葬れば、速く動いても逃げきれまい!」
 デェムシュがアキトを見下ろしてあざ笑う。爆発の煙から出てきたアキトが、呼吸を乱していく。
「お前の命はオレが終わらせてやる!光栄に思うのだな!」
 デェムシュがシュイムを掲げて、アキトにとどめを刺そうとした。
「そううまくはいかないぞ。」
 そこへ声がかかって、デェムシュが振り向いた。彼の前に1人の青年が現れた。
「また下等な種族が現れたか・・!」
 デェムシュが青年にも嘲笑を向ける。
「自分が強いこと自体は悪いことではない。だがそれを絶対だと思っているなら、そこがお前の限界であり最期だ。」
 青年が彼に対してため息混じりに言い返す。
「身の程知らずが・・あのライダーを始末してから、貴様もこの手で葬ってやるぞ・・・!」
「そのどちらも叶うことはない。お前はオレに倒されることになるのだから・・」
 笑みをこぼすデェムシュに、青年が態度を変えずに言い返す。彼がベルト「デザイアドライバー」を取り出して装着した。
「貴様、もしや・・!?」
「そういえば名前を言っていなかったな。オレの名は浮世英寿(うきよえいす)だ。」
 驚きを覚えるデェムシュに青年、英寿が名乗る。
 英寿がデザイアドライバーの中心部にアイテム「コアID」の1つ「ギーツコアID」をセットした。
“Entry.”
 彼の体を黒いスーツと狐のような形状の仮面が包んだ。
「変身!」
“Set.”
 英寿は指を鳴らしてから、バックル「レイズバックル」の1つ「マグナムレイズバックル」をデザイアドライバーの右側にセットして、リボルバーを回してトリガーを押した。
“Magnum.”
 彼の体をさらに白い装甲が覆った。
“Ready fight.”
 英寿は仮面ライダーギーツ、その形態の1つである「マグナムフォーム」となった。
「さぁ、ここからがハイライトだ。」
 英寿がデェムシュに向けて言いかける。
「見たことのない仮面ライダー・・新しいライダーか・・!」
 立ち上がったアキトが、英寿を見て呟く。
「アイツはオレに任せろ。お前はそいつの相手だ。」
 英寿がアキトに目を向けて指示を送る。
「生意気なヤツだが、オレもそうしたほうがいいと思うな・・」
 アキトが渋々聞き入れて、ゆっくりと立ち上がった北崎に目を向ける。
「お前・・調子に乗るなよ・・・!」
 北崎が鋭く言って、アキトに向かっていく。
「しぶといな。だが邪魔をされなければ、お前に確実にとどめを刺せる。」
「僕が・・僕が最強なんだよ!」
 呟くアキトに北崎が飛びかかる。
 アキトがフォースドライバーの右のスイッチを上に上げて、レバーを1度閉じて引いた。彼の体から稲妻のようなエネルギーが取り巻く。
「ギルスティンガーブレイク!」
 アキトが周り蹴りを繰り出して、北崎の体に命中させた。
「があぁっ!」
 北崎が絶叫を上げて、仰向けに倒れた。
「僕は負けない・・負けるはずがないんだよ・・・!」
 負けを認めないまま、北崎は体が崩壊して消滅した。
「こっちはケリがついたが・・あのギーツというヤツは・・・」
 アキトがひと息ついてから、英寿に目を向けた。
「そんなに死に急ぎたいなら、すぐにオレが始末してやるぞ!」
 デェムシュが英寿に飛びかかって、シュイムを振りかざす。英寿はデェムシュの動きを見切って、正確にかわしていく。
 英寿が銃「マグナムシューター40X」を手にして、デェムシュを狙って連射する。デェムシュが回避が間に合わずに射撃を体に受ける。
「オレがよけきれない・・しかも、これほどの痛みを与えるなど・・!」
 デェムシュが苦痛と同時に、追い詰められていることへの驚きを感じた。
「これで勝ったと思うな・・オレの力はこんなものではない・・・!」
 デェムシュが言い放って、シュイムから電撃を放出した。英寿は電撃と爆発の合間を縫って、デェムシュに近づいていく。
 するとデェムシュがシュイムを振りかざして、光の刃を飛ばした。英寿が刃を当てられて押し返される。
「ハハハハハ!これで近づくことはできまい!」
 デェムシュが高笑いを上げて、シュイムを振って連続で光の刃を飛ばす。英寿が後退して刃をかわしていく。
「オレが最強なのだ!貴様たち下等種族など、オレの足元にも及ばん!」
「そのおごりがお前の1番の欠点だ。」
 勝ち誇るデェムシュに、英寿が冷静に言い返す。
“Rifle.”
 英寿がマグナムシューターの砲身を変形させて、速射と連射に特化した「ハンドガンモード」から遠距離型の「ライフルモード」に変えた。彼は離れた位置からマグナムシューターを構えて、デェムシュを狙って発射した。
「ぐっ!」
 射撃が体に命中して、デェムシュがうめく。
「おのれ・・こしゃくなマネを・・・!」
 デェムシュが痛みを押しのけて、英寿に向かって前進する。
「しぶといな。だが、最強という過去の栄光は、いつかは崩れるものだ。最強に溺れるおごりとともに。」
 英寿がデェムシュに対して、ため息混じりに告げる。
“Charge.”
 彼がマグナムシューターの銃身にあるレバーを引いて、エネルギーを溜める。
“Tactical shoot.”
 英寿がトリガーを引いて、マグナムシューターから光の球を発射した。
「ぐふっ!」
 デェムシュが光の球をぶつけられて、シュイムをはじかれた。
“Hand gun.”
 英寿がマグナムシューターをハンドガンモードに戻して、デェムシュに向かっていく。
「お前はもう最強ではない。最後に勝つのはオレだ。」
“Bullet charge.”
 告げる英寿がマグナムシューターのレバーを引いて、エネルギーを溜める。走り出した彼がマグナムシューターを発射して、デェムシュに連射を命中した。
「バカな!?・・このオレが、あんな下等な存在に・・・!」
 絶叫を上げるデェムシュが倒れて爆発を起こした。
「これでひと区切りついたか・・」
 英寿がひと息ついて、ギーツへの変身を解いてアキトに目を向けた。アキトもフォースへの変身を解いた。
「お前は何者だ?お前もこの世界の人間か?それとも、別の世界から来たのか?」
 アキトが落ち着いて英寿に質問する。
「確かにここはオレの知っている場所じゃない。オレが戦ったヤツらも、初めて会ったヤツらだ。」
 英寿も冷静にアキトに答えていく。
「どうやら、これまでいたのとは違う世界のようだ・・詳しく話を聞かせてもらえるか?」
「あぁ・・代わりにお前のことも聞いておきたい。今起こっている事件の手掛かりがあるかもしれない。」
 英寿に聞かれて、アキトが話を聞く。2人の仮面ライダーが世界の壁を超えて出会った。

 

 

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