ザ・グレイトバトル
-命の解放-
第14章
デーボサタンの力の前に、ハルキたちは絶体絶命のピンチを迎えていた。ハルキは意識を失い、タイガたちのダメージも大きくなっていた。
「ダメだ・・オレたちのエネルギーも・・・!」
タイガも力尽きて、グルーブとともに姿を消した。変身が解けたヒロユキたちが、デーボサタンを見上げる。
「お前たちも終わりだ。おとなしく滅びるがいい・・!」
デーボサタンがフォースロボたちを見て勝ち誇る。
「そうはいくか・・負けるわけには、いかないんだ・・・!」
蓮斗が声を振り絞って、フォースロボがデーボサタンの前に立ちはだかる。
「お前たちに何ができる。フォースロボもフォースオーブも、お前たちの力は全て私が作り出したものだ。お前たちの持てる力を全て発揮したところで、私はおろか、他の戦士ほどの力を出すこともできない。」
デーボサタンがフォースロボに目を向けてあざ笑う。
「たとえそうだとしても、今は僕たちの力だ・・・!」
「どう使うか、どうパワーアップさせるかは、あたしたち次第なんだから!」
悠馬と理穂もデーボサタンに言い放つ。2人も蓮斗も自分たちの使う力を理解して、どう使うべきなのかを考えていた。
「それでお前たちに何ができる?お前たちも他のヤツらも、この私には敵わない。ウルトラマンフォースですら、私の体に傷を1つ付けただけではないか。」
「だったらそれ以上の力を発揮すればいいだけのことだ!」
あざ笑うデーボサタンに、蓮斗が言い返す。
「そんな方法がどこにある。お前たちよりも、私のほうがお前たちの力を理解しているのだぞ。」
「それはお前が本性を表す前のことだ!」
「この戦いの中で自分たちの力を見つめ直して、改良を加えることは不可能じゃない・・!」
さらに笑い声を上げるデーボサタンに、蓮斗と悠馬が言い放つ。勇馬はフォースロボに乗ってフォースオーブを使い始めてから、フォースロボの強化を推測していた。
「そこまで言い張るなら、お前たちから木っ端微塵にしてくれる!」
デーボサタンがダークサーベルを呼び出して、フォースロボに向かっていく。
「フォースサーベル!」
フォースロボがフォースサーベルを手にして、ダークサーベルを受け止める。
「その程度で私に逆らおうとは、片腹痛いわ!」
デーボサタンがさらにダークサーベルを振りかざして、フォースロボは防戦一方となる。
「何か、いい方法を見つけなくちゃ・・・!」
「フォースが身に着けるフォースアーマーは、他の戦士のデータを得て変形していた。フォースロボも、同じようにデータを元にして力を出すことができれば・・!」
理穂が焦りをふくらませて、悠馬がコンピューターを操作して、打開策を確かめる。
「フォースやGフォースがやれたんだ・・僕たちができないことはないはずだ!」
焦りといら立ちをふくらませるあまり、悠馬が操縦パネルを叩く。
そのとき、セットされていたフォースオーブが光り輝いた。
「な、何だ・・!?」
蓮斗が悠馬たちとともにフォースオーブを見つめる。フォースオーブから放たれた光が、フォースロボから飛び出した。
“タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タトバ・タ・ト・バ!”
光は赤い兜、黄色のガントレット、緑のレッグガードに変わって、フォースロボに装着された。
「これって・・!?」
理穂がこの変化に驚く。フォースロボは仮面ライダーオーズの力を宿した「オーズフォースロボ」となった。
「このような力を備えてはいないぞ・・ヤツらが引き出したとでもいうのか・・!?」
デーボサタンもフォースロボを目の当たりにして、驚きを覚える。
「フォースロボが変わった・・フォースロボの新しい力なのか・・・!?」
「今はこの力に賭けるしかないね・・!」
蓮斗が戸惑いを覚えて、理穂が呼びかける。
「姿を変えたところで、私には及ばん!」
デーボサタンが勝ち誇って、ダークサーベルを振りかざす。フォースロボが両手からかぎ爪「フォースロボクロー」を出して、ダークサーベルを受け止める。
フォースロボがスピードを上げて、デーボサタンの攻撃をかいくぐっていく。
「おのれ・・すばしっこいヤツめ!」
デーボサタンが稲妻を発して、フォースロボを狙う。フォースロボは加速して、飛行と跳躍で稲妻をかいくぐる。
「よーし!反撃開始だよー!」
理穂が呼びかけて、フォースロボが大きくジャンプした。
「フォースタトバキック!」
フォースロボが急降下して、デーボサタンにキックを繰り出した。キックが胴体に命中して、デーボサタンが押される。
「スピードがあってもパワーは私に遠く及ばんな・・!」
キックに耐えたデーボサタンが笑い声を上げる。
「他に技はないのか!?他の武器とか鎧とか・・!」
蓮斗が焦りを噛みしめて、悠馬とともに次の打開策を考える。
「この新しいフォースロボが誕生したんだ・・他の力も引き出せるはずだ・・!」
悠馬がさらにコンピューターを操作して、フォースロボの他の能力を探していく。
そのとき、フォースオーブから再び光が発せられた。
「この光・・また新しい力が・・!」
「フォースオーブが新しい力を発揮しているのか・・オーブに強い意思を込めれば、反応が起こるということか・・!」
理穂が笑みを浮かべて、悠馬がフォースオーブのことを理解していく。
「次の力を使ってみるぞ、みんな!」
「うん!」
蓮斗が呼びかけて、悠馬と理穂が答えた。3人がそれぞれのフォースオーブに手をかざして念じた。
すると蓮斗たちの脳裏に、1人のウルトラマンの姿が浮かび上がった。ウルトラ兄弟の1人、ウルトラマンジャックである。
フォースオーブから飛び出した光が合わさって、輪の形になってフォースロボの手元に来た。
「フォースブレスレット!」
フォースロボは光の輪「フォースブレスレット」を手にした。
「フォースブレスレットスパーク!」
フォースロボが左手を振りかざして、フォースブレスレットを投げつけた。フォースブレスレットは大量の光の刃に変わって、デーボサタンを取り囲んだ。
光の刃が一斉に動いて、デーボサタンに次々に命中していく。
「小賢しい!」
デーボサタンが衝撃波を発して、光の刃を跳ね返した。
「これも通用しないのか・・・!?」
「どこまでパワーがすごいのよ、アイツ・・!?」
時雨と瀬奈がデーボサタンの力に毒づく。
「小細工を覚えているようだが、それもできないようにしてくれる・・!」
デーボサタンが両手を前に出して、電撃のような光線を放った。
「うわっ!」
フォースロボが電撃を浴びて持ち上げられて、蓮斗たちがうめく。
「このまま木っ端微塵にしてくれる!」
デーボサタンが言い放って、右手を掲げて光の球を作り出す。
「全力には程遠いが、お前たちを消すには十分だ・・!」
デーボサタンが笑みをこぼして、フォースロボを狙う。
「他に何か手はないの!?フォースみたいにいろんな戦士の力を持つみたいな!」
「僕もそれを探しているんだけど・・また、フォースオーブに念じるしかないか・・!」
理穂が慌てて、悠馬がフォースオーブに目を向ける。
「とどめだ!暗黒球星弾!」
デーボサタンがフォースロボ目がけて、光の球を放つ。電撃に捕まっているフォースロボは、身動きが取れない。
そのとき、2つの光が飛び込んできて、デーボサタンの光の球をはじき飛ばした。
「何っ!?」
攻撃を阻まれたことに、デーボサタンが驚く。
「今のは・・!?」
蓮斗も驚いて、悠馬たちとともに光の飛んできたほうに振り向いた。その先にいたのは、2人のウルトラマンだった。
“と、父さん!”
“ジョーニアス!あなたも来ていたのですか!”
タイガとタイタスがそのウルトラマン、タロウとジョーニアスの登場を喜ぶ。
タロウはタイガの父で、光の国で伝説とうたわれている「ウルトラ6兄弟」の1人である。
ジョーニアスはタイタスと同じU40の出身のウルトラマンで、U40では伝説の戦士とうたわれている。
「遅くなったな、お前たち。フォースレンジャー、君たちのことは理解している!」
「今の君たちなら、我々の力を使いこなせるはずだ。本当の強さを理解した君たちならば。」
タロウとジョーニアスがタイガたちと蓮斗たちに呼びかける。タロウたちはストリウム光線、ブラニウム光線でフォースロボを助けたのだった。
「お前たちが出てきたところで、私を止められるものか。」
「オレたちも来ているぜ。」
笑みをこぼすデーボサタンに向けて声がかかった。タロウたちの他に2人、ウルトラマンが駆けつけてきた。
「オレの名はオーブ。ウルトラマンオーブだ。」
「オレはウルトラマンエックスだ。デーボサタン、お前の野望、オレたちも止めに来たぞ!」
2人のウルトラマン、オーブとエックスもデーボサタンの前に立ちはだかった。
「ゾロゾロと出てきて・・鬱陶しいハエどもが!」
デーボサタンが翼を広げて、閃光を放出する。オーブたちが動いて光をかわす。
「スペリオン光線!」
「アタッカーエックス!」
オーブが両腕を組んで光線を放って、エックスが体をX字にして炎を飛ばす。しかし2人の攻撃はデーボサタンの閃光に阻まれる。
「デーボサタンの力が大きい・・パワーアップしないとやられてしまう!」
エックスと融合「ユナイト」を果たしている青年、大空大地が呼びかける。
「分かった!行くぞ、大地!」
エックスが呼びかけて、大地が虹色の短刀「エクスラッガー」を手にした。
「エクシード、エーックス!」
大地がエクスラッガーをX字に振りかざすと、エックスの体が銀色に変わった。エックスは強化形態「エクシードエックス」となった。
「オレもいかせてもらうぞ!」
オーブに変身している青年、クレナイ・ガイも意気込んで、アイテム「オーブリング」でカード「ウルトラフュージョンカード」の1枚「オーブオリジンカード」をリードした。
“覚醒せよ、オーブオリジン!”
ガイの手元に剣「オーブカリバー」が現れた。
「オーブカリバー!」
彼がオーブカリバーのリング「カリバーホイール」を回転させてから、高らかに掲げた。オーブが初代ウルトラマンとウルトラマンティガの力を宿した「スペシウムゼペリオン」から、本来の姿「オーブオリジン」に変わった。
「銀河の光が我を呼ぶ!」
オーブがオーブカリバーを構えて言い放つ。
「エクスラッガー!」
エックスが額からエクスラッガーを手にして構えた。
「お前たちが変身したところでムダだ!」
デーボサタンがダークサーベルを構えて、オーブたちに向かっていく。
デーボサタンの振りかざすダークサーベルを、オーブとエックスがオーブカリバーとエクスラッガーで受け止めていく。
「オーブフレイムカリバー!」
オーブがオーブカリバーを地面に突き立てて、円状の炎を発してデーボサタンを取り囲んだ。
「そんな炎、私には通じんぞ!」
デーボサタンがダークサーベルの刀身に黒い炎を灯す。オーブがオーブカリバーを振りかざして炎の一閃を繰り出すが、ダークサーベルにはじき飛ばされる。
「ものすごいパワーだ・・オーブの力が通用しないなんて・・!」
「デーボサタンの中にある闇の力を弱めることができれば・・!」
焦りを噛みしめるエックスと、打開の糸口を探る大地。
「オレたちの力で、ヤツの力を弱める!」
エックスが言い放って、大地がエクスラッガーの側面のパネルを3回スライドタッチをして、ブーストスイッチを押す。
「エクシードエクスラッシュ!」
エックスがデーボサタンに向かっていって、エクスラッガーを振りかざす。デーボサタンがエクスラッガーに切られたことで、ダークゴセイパワーを削られる。
「くっ・・そんなもので、この私を力を抑えられるものか!」
デーボサタンが力を振り絞って、エックスを吹き飛ばして遠ざける。
「止める!オレが、オレたちが止める!」
オーブが言い放って、ガイがオーブリングでオーブカリバーをリードする。
「解き放て、オーブの力!」
オーブカリバーの刀身に虹色の光が宿る。
「オーブスプリームカリバー!」
オーブが振りかざしたオーブカリバーから、虹色の光線が放たれた。
「エックス、オレたちも!」
「あぁ!」
大地の呼び声に答えて、エックスがエクスラッガーを額に戻した。大地が先程とは逆方向にエクスラッガーをスライドタッチした。
「エクスラッガーショット!」
エックスが額から光線を放つ。彼とオーブの光線を、デーボサタンが球状の光を発して受け止めた。
「それがお前たちの全力か?私にはまだまだ届かんぞ!」
「まだだ!」
あざ笑うデーボサタンに言い返したのは、タロウだった。
「ストリウム光線!」
タロウが両腕をT字に組んで、ストリウム光線を放つ。
「ブラニウム光線!」
ジョーニアスも右腕を振りかざして、ブラニウム光線を出した。さらに2つの光線が飛び込んで、デーボサタンの光の壁を押していく。
「80、私たちも行きましょう!」
「分かった、ユリアン!ダブルパワーだ!」
ユリアンと80が声を掛け合って、デーボサタンに向かって飛び上がった。
「ウルトラダブルパワー!」
80たちが手を取り合って回転して、デーボサタンに突っ込んだ。2人の突撃がデーボサタンの光の壁を打ち破った。
その直後、オーブたちの光線がデーボサタンに直撃した。
「タロウ兄さん・・後は、頼みます・・・」
80がタロウに言いかけて、ユリアンとともに姿を消した。変身が解けて、猛と涼子がヒロユキたちと合流した。
「大丈夫ですか、猛さん、涼子さん!?」
「あぁ・・今はタロウ兄さんたちを信じるしかない・・あのフォースレンジャーも・・・」
心配するヒロユキに答えて、猛がタロウたちとフォースロボに目を向けた。
「フフフフフ・・それで勝ったつもりか?私の力はまだまだ有り余っているぞ!」
デーボサタンが高らかに笑って、ダークサーベルを構えた。
「力が残っているのは、お前だけじゃない!」
蓮斗が言い放って、フォースロボがデーボサタンの前に立つ。
「お前も私に及ばない分際!今度こそ木っ端微塵にしてくれる!」
デーボサタンが言い放って、フォースロボにダークサーベルの切っ先を向ける。
「みんな、力を貸してくれ・・オレたちはアイツに負けるわけにいかない・・この世界を守るために・・・!」
蓮斗が悠馬、理穂とともにフォースオーブに手をかざして、強く念じる。フォースオーブの輝きが強まっていく。
次の瞬間、エックスの体から光があふれて、フォースロボへ移っていった。さらに空から3つの光が降りてきて、フォースロボに伝わった。
4つの光が合わさって、Xの形をした鎧とバックパックに変わった。ウルトラマンエックス、仮面ライダーX、ガンダムDX、そして怪盗戦隊ルパンレンジャーと警察戦隊パトレンジャーの両方に組しているルパンエックス=パトレンエックスの力を宿した「エックスフォースロボ」の誕生である。
「すごい・・ものすごい鎧みたいなのを身に着けたよ!」
「1人や1組だけの力じゃない・・たくさんの力が合わさっている・・フォースアーマーみたいな・・・!」
理穂と悠馬がエックスフォースロボに戸惑いを感じていく。
「何だ、あのバケモノは!?」
デーボサタンがフォースロボを見て、驚きを見せる。
「この力に賭ける・・みんなの力で、お前を倒す!」
蓮斗が言い放って、フォースロボがデーボサタンに向かって前進する。
「今度こそバラバラにしてくれる!」
デーボサタンがダークサーベルから光線を放つ。光線を受けて胴体から火花を散らすフォースロボだが、ものともせずに前進を続ける。
フォースロボが両手にX字の光を宿して、パンチを繰り出す。
「ぐおっ!」
デーボサタンが重みのある打撃を受けて、強く突き飛ばされる。エックスフォースロボはデーボサタンの力を上回っていた。
デーボサタンが翼を広げて、衝撃波を放つ。フォースロボは衝撃波に耐えて、デーボサタンに近づいていく。
「おのれ!」
デーボサタンがダークサーベルを振りかざして、フォースロボを切りつける。
「フォーススティック!」
フォースロボが棒「フォーススティック」を手にして、ダークサーベルとぶつけ合う。
「エックスフォースブレイク!」
フォースロボがフォーススティックをX字に振りかざして、ダークサーベルを叩き折った。
「すごい!あのデーボサタンを追い詰めている!」
「ちっくしょう!いいとこ持っていきやがってー!」
ゲイツがフォースロボの力に感心して、モモタロスが悔しがる。
「フォースエクスラッシュ!」
フォースロボがフォーススティックとフォースブレードを手にして、加速して同時に振りかざす。
「ぐおぉっ!」
デーボサタンが切りつけられて、絶叫を上げて地面に膝をつく。
「まさかこの私が、これほどのダメージを受けるとは・・!」
デーボサタンが傷を手で押さえて、フォースロボに脅威を感じていく。
「ならばこれはどうだ!暗黒球星弾!」
デーボサタンが巨大な光の球を作り出して、フォースロボに向かって放つ。
「“フォースサテライトキャノン”、発射準備!」
悠馬がコンピューターを操作して、背部に搭載されているビーム砲、フォースサテライトキャノンを動かした。
ガンダムXに装備されている「サテライトキャノン」と、ガンダムDXに装備されているその強化型の「ツインサテライトキャノン」。2つは月にある発電施設から容赦される「スーパーマイクロウェーブ」を受けて高出力のビームを放つが、フォースサテライトキャノンは太陽光や周囲のエネルギーを集めてチャージすることができる。
「チャージ完了!発射できるよ!」
「フォースサテライトキャノン!」
理穂がエネルギーのチャージを確認して、蓮斗がフォースサテライトキャノンを発射する。展開されたフォースサテライトキャノンの2つの砲門からビームが放たれて、光の球を押し返していく。
「うおぉぉっ!」
ビームが光の球だけでなく自分の体をも貫いてきて、デーボサタンが絶叫を上げた。
「やった!デーボサタンに決定打を与えた!」
ソウゴが勝利を感じて声を上げた。デーボサタンの体から黒いオーラが霧のようにあふれる。
「まだだ・・まだ私は倒れん・・私が、全ての世界を導くのだ・・・!」
執念を燃やすデーボサタンだが、体も霧状になって崩壊しつつあった。
「これで終わりだ!デーボサタンをやっつけたぞ!」
ギンが勝利を確信して喜ぶ。
「いや、待って!アイツの体の霧が集まっているよ!」
イズルが霧を見て緊張を覚える。霧状になったデーボサタンの体が、まだ1ヶ所に集まっていた。
「私は不滅だ・・たとえ肉体が崩壊しようとも、私はお前たちを凌駕する存在だ・・!」
デーボサタンが声を振り絞って、暗雲の広がる空に上がっていく。
「まさか、ヤツはあの雲と一体化して、この世界を押しつぶすつもりか!?」
「そんなことになったら、世界の終わりだよ!」
ハイドがデーボサタンの企みに気付いて、エリが慌てる。
「もう1度、フォースサテライトキャノンを撃つんだ!」
「ダメだ!チャージが間に合わない!撃つ前に世界中に広がってしまう!」
蓮斗が呼びかけるが、悠馬が焦りを見せる。フォースサテライトキャノンが撃てるだけのエネルギーがたまっていない。
「僕たちの変身して、フォースレンジャーを援護しよう!」
“しかし、オレたちのエネルギーはわずかしかない!変身できても、光線を1発撃てるかどうか・・!”
蓮斗たちの援護に行こうとするヒロユキに、タイガが注意する。
「しかしやるしかないわ。私たちの残された力を振り絞るのよ・・!」
「今のこの瞬間に命懸けでがんばる。一所懸命だ・・!」
涼子と猛がヒロユキたちに激励を送る。
「オレたち全員の力を合わせるんだ・・蓮斗たちも、みんなの力を・・!」
カツミもヒロユキのそばに来て、頷き合った。
「行きますよ、みなさん!」
「バディー・・ゴー!」
ヒロユキが掛け声を上げて、タイガたちと声をそろえた。ヒロユキ、カツミ、イサミ、アサヒ、猛、涼子がタイガ・トライストリウム、グルーブ、80、ユリアンに変身した。
“ハルキ、目を覚ますんだ!ハルキ!”
フォースの呼び声を聞いて、ハルキが意識を取り戻す。
(フォース・・戦いは?・・みんなは・・!?)
“まだ続いている・・デーボサタンが世界を覆い尽くそうとしている・・!”
ハルキが問いかけて、フォースが現状を話す。ハルキも霧状になったデーボサタンを目の当たりにした。
「ハルキくん、応答して!目を覚まして!」
ハルキの耳にナツの呼び声が入ってきた。
「ナツ・・オレは大丈夫だ・・まだ、戦える・・・!」
「ハルキくん・・よかった・・・!」
ハルキが答えて、ナツが安心する。
(フォース、もう1度力を貸してくれ・・!)
“もちろんだ、ハルキ・・!”
ハルキの声にフォースが答えた。
「フォース!」
ハルキがフォースブレスを高らかに掲げて、フォースに変身した。
「Dフォースアーマー!」
フォースはフォースガンダムが変形したDフォースアーマーを身にまとった。
「光線で広がりを防ぐんだ!」
タロウが呼びかけて、ジョーニアスたちとともに光線を放って、デーボサタンを食い止める。
「サクシウム光線!」
「グルービング光線!」
「トライスクワットブラスター!」
80、グルーブ、タイガも光線を放つ。ユリアンも自身のエネルギーを放射して、タイガたちを支える。
「Dフォースアロンダイト!」
フォースが光の剣を手にして、エネルギーを集中させる。
「Dフォースシュート!」
フォースが光の剣を前に出して、光線を放った。彼とタイガたちの光線が、黒い霧を食い止める。
「みんな・・あたしたちを援護しようとして・・・!」
「これならチャージが間に合う・・・!」
理穂が戸惑いを感じて、悠馬が笑みをこぼす。フォースたちがデーボサタンを食い止めている間に、フォースサテライトキャノンのチャージが完了した。
「フォースサテライトキャノン、チャージ完了!」
悠馬が呼びかけて、蓮斗が頷いた。
「フォースサテライトキャノン、発射!」
フォースロボがフォースサテライトキャノンからビームを発射した。広がりを押さえられている黒い霧を、ビームがのみ込んだ。
「そんなバカな・・あらゆる力を手に入れた、この私がー!」
閃光の中で絶叫を上げて、デーボサタンが消滅した。暗雲も貫通して開かれて、日の光差す青空が戻ってきた。
「消えた・・ダークゴセイパワーも、他の邪悪なエネルギーも・・」
ゴセイナイトが周囲の気配を探って、デーボサタン、ブラジラの消滅を確認した。
「か・・勝ったのか?・・オレたちが勝った・・・」
蓮斗が青空を見つめて、戸惑いを感じていく。
「あたしたちが、この地球を・・この世界を守ったの・・・!?」
「しかも、僕たちとフォースロボがそれを決めた・・・!」
理穂も悠馬も自分たちの手で戦いを終わらせたことに、動揺をふくらませていた。
「そうだ。君たちがこの世界に平和をもたらしたんだ。」
「そしてオレたちは、お前たちを全力で援護したんだ。」
タロウとタイガが蓮斗たちに頷いて、声を掛けた。
「オレたちを信じたのか・・自分たちだけで戦おうとしたオレたちを・・・!」
蓮斗が動揺をふくらませて、フォースたちを見渡していく。
「君たちもオレたちも1人じゃないし、自分たちだけってこともないよ。誰一人諦めなかったから、この世界も、そこに住むたくさんの命も守ることができたんだ。」
アラタが蓮斗たちに向けて、大切なことを語る。
「アンタたち・・オレたちは、アンタたちを憎んで信じなかったのに・・・」
アラタたちに疑念や憎しみをぶつけたことを、蓮斗が気にする。悠馬も理穂もアラタたちに対して複雑な気分を抱えていた。
「あなたたちも私たちも、人の心を持ってる。」
「悩んだり苦しんだり、何を信じたらいいか分かんなくなるときもある。」
「でも体と心を鍛えたり、仲間や家族と力を合わせていくことで、あたしたちの絆も強くなる。」
「オレたちも君たちも強い心を持っている。優しさも本当の強さも切り捨てたブラジラとは違う。」
エリ、アグリ、モネ、ハイドも蓮斗たちに思いを伝えていく。
「オレたちは分かり合える・・オレたちはまだまだ失敗することもあるけど、君たちとも仲良くなりたい・・」
アラタが蓮斗たちに告げてから、エリたちとともにグランドハイパーゴセイグレートから降りた。
「蓮斗、理穂・・・」
悠馬が蓮斗たちに目を向けて、考えを確かめる。
「あたしは仲よくなってもいいと思うよ。どうしても許せないなら、その気持ちを言葉で伝えればいいわけだし・・」
理穂が正直な気持ちを口にする。
「言葉で伝える・・最初はそれでもいいのかもな・・」
蓮斗も心を許して、アラタたちを認めることにした。彼らもフォースロボから出て、アラタたちの前に降り立った。
「オレも君たちも、大切なものを守るために一所懸命になる。それが何かは人それぞれだけど、守りたいという気持ちはみんな同じだよ。」
「だから諦めない・・諦めなければ、必ず何とかなると信じて・・・」
語っていくアラタに、蓮斗が答える。彼がアラタに微笑んで手を差し伸べてきた。
「ありがとう・・これからは、平和と命を守る仲間だね。」
アラタが感謝して、蓮斗と握手を交わした。
「しかしこの世界はオレたちの世界であって、お前たちの世界とは違う。違う世界の人に甘えるわけにはいかない。」
「やれやれ。考えは分かり合っても、強情なとこは変わってないな・・」
自分たちの意思を貫く蓮斗に、アグリが苦笑をこぼす。
「でもその気持ちは大切だ。世界は、そこに住む人たち自身が守るのが1番だ。」
「護星天使だけじゃなく、ウルトラマンや他の人の力も、頼り切りになってはいけないのは同じだ。」
ハイドに続いて、80も蓮斗たちに声をかけてきた。
「我々ウルトラマンは、たった1人で地球を守ってきたわけではない。所属した防衛チームと力を合わせたことも少なくない。」
「そして自分たちの住む地球を、地球人である自分たちの手で守ろうと、ウルトラマンの力を借りることなく戦ったこともあった。」
80に続いてジョーニアスも語っていく。
ともに力を合わせるだけでなく、自らの力で立ち向かう。両方を心に刻むことで、本当の強さが得られる。
蓮斗たちが大切なことを自覚していると、ジョーニアスたちもアラタたちも確信していた。
「この星に住む人間として力を尽くす。その上でみんなと力を合わせる。それが大切なことよ。」
「力を尽くすことと、力を合わせること・・・」
ユリアンも励ましを送って、理穂が戸惑いをふくらませていく。
「君たちも、自分たちの世界を守っていける。諦めることなく、自分たちの強さを信じ、力を合わせていく限り。」
タロウが蓮斗たちとハルキたちの信頼を実感して、信頼を寄せていた。
「オレたちはオレたちの力で戦っていく・・もちろん、みんなとともに戦えるときがまた来たら、よろしく・・」
蓮斗が自分たちの決意を口にしながらも、アラタたちに心を開いていた。
そのとき、ブライ、直人、トリン、ナダの体から光があふれ出した。
「別れのときが来たようだ・・」
「デーボサタン、いや、ブラジラの力が消えたことで、私たちの仮の命も消えようとしている・・」
ブライとトリンがゲキたちに別れを告げる。
「こうなることは分かっていたし、覚悟はできていた・・しかしどうしても、別れは辛い・・」
「オレもだ・・だがオレはゲキ、お前たちの戦いを、これからも見守っていくぞ・・」
ゲキとブライが正直な思いを口にした。ゲキがブライの体に触れて、ドラゴンアーマーと獣奏剣を受け取った。
「兄さん、オレたちはこれからも、地球の命を守るために戦う。そして志を同じくする者たちを、正しく導いていくよ。」
「ゲキ、ゴウシ、ダン、ボーイ、メイ、君たちやみんなのこと、オレたちは信じているぞ。」
決意を口にするゲキに、ブライが信頼を送って頷いた。ドラゴンレンジャーへの変身を解いたブライが、ゲキたちの前から消えていった。
「浅見、オレはもう死んだ身だ。だがオレの生き方を貫いたことを後悔してはいない。」
「分かっている。お前はそういうヤツだったな・・」
直人が声を掛けて、竜也が頷いた。直人が変身を解いて、ブイコマンダーを外して、地面に置いた。
「オレの力、オレの魂はこの世に残す・・ただで消えはしないぞ・・・」
「どこまで行っても、お前は突っ走るんだな・・だけどオレは分かっているぞ。お前にだって、守りたいものがあったって・・」
直人の貫いている意思を、竜也は悟っていた。
「お前らのように甘くはない・・そういうのは、オレのガラじゃない・・・」
竜也に吐き捨てた直人の姿が消えた。
(直人、オレは生きていくぞ。この時代を・・お前の意思や、みんなの思いを受け止めて・・)
直人や仲間たちのことを気に掛けて、竜也は改めて決意を固めた。
「君たちやみんなのブレイブ、健在であるばかりかさらに磨きがかかっていることを確かめることができて、とても嬉しく思っている・・」
トリンがダイゴたちに目を向けて、みんなを称賛する。
「私はこれからも見守っているぞ。みんなの強きブレイブを・・!」
トリンがダイゴたちに信頼を送って、指を鳴らした。その瞬間に、彼の姿がダイゴたちの前から消えた。
「見ていてくれ、トリン・・オレたちの・・みんなのブレイブは、悪いヤツらには止められないぜ!」
ダイゴがトリンの意思を受け止めて、高らかに決意を口にした。イアンたちもダイゴと同じ気持ちを分かち合っていた。
「オレもずっとお前らと一緒にいたかったけど、ここまでのようやな・・」
ナダもコウたちに告げて、ガイソーグへの変身を解いた。
「ナダ・・・」
「そんな辛気臭い顔すんなや。オレは消えるけど、オレの魂はここにあるからな・・」
動揺を浮かべるコウに気さくに言って、ナダが彼が装備しているマックスリュウソウチェンジャーに軽く手を当てた。
「それじゃあな、みんな。へこたれたら、承知せぇへんで・・」
ナダが笑顔で檄を飛ばすと、コウたちの前から姿を消した。
(見ててくれ、ナダ。オレたちの騎士道を。みんなのそれぞれの生き方を・・)
コウが心の中でナダに呼びかけて、メルトたちとともに決意を新たにした。