ザ・グレイトバトル
-命の解放-
第5章
フォースレンジャーの本部に戻ってきた蓮斗たち。ハルキたちやヒロユキたちとの協力を認めず、蓮斗は激情をふくらませていた。
「申し訳ありません、長官。苦戦を強いられ、異世界の戦士たちに助けられることになりました・・」
悠馬が虎男に謝罪して頭を下げる。
「いや、3人が無事で何よりだ。それよりも、敵の勢力が増加の一途を辿っている。十分注意してくれ。」
虎男が冷静に彼らを励ます。
「しかし、オレたちの力が足りないです・・このままじゃ、Gフォースや他のヤツらに出し抜かれてしまいます・・・!」
蓮斗が無力さを痛感して、悔しさを見せる。
「もう私たちは、あの人たちと協力する以外にないのでしょうか・・?」
「いや、Gフォースはともかく、他の面々は次元を超えて現れた異邦人だ。地球を守る使命を帯びている我々としては、彼らに甘えるようなことはできない。」
理穂が不安を口にすると、虎男が助言を送る。
「ではどうすればいいのですか?強くなる方法を見つけなければ・・・!」
「そのことだが、これを“フォースウェポン”に使ってみてくれ。」
焦りを見せる悠馬に、虎男が3つの宝玉、フォースオーブを見せた。
「フォースウェポンに?・・ウェポンにあるくぼみに入れるのですね。」
「そうだ。それで君たちの力を引き上げることが可能だ。」
悠馬が聞いて、虎男が頷いて説明する。
「これで私たち、強くなれるのですね。あの人たちに負けないくらいに・・!」
「それは君たち次第だ。君たちがオーブをどう使っていくのかも。」
理穂が黄色のフォースオーブを手にして言いかけて、虎男が告げる。
「オレたち次第・・・やってやる・・やらなきゃ、オレたちは何も守れない・・・!」
蓮斗が赤のフォースオーブを握って、強くなる決意を強めていた。
「早速試して、本番でも使いこなせるようにするよ。」
「OK♪長官、練習に行ってきます♪」
悠馬が呼びかけて、理穂が頷いてから虎男に言いかける。
「演習場で使ってみろ。使いこなせれば、お前たちの力で地球を守れるようになる。」
虎男が呼びかけて、蓮斗たちが頷いた。
演習場に赴き、蓮斗たちはフォースレンジャーに変身してフォースウェポンを手にした。
「フォースオーブ、セット!」
彼らがフォースソード、フォースバズーカ、フォースアローにあるくぼみに赤、青、黄色のフォースオーブをセットした。すると3人のフォースウェポンにそれぞれの色の光があふれ出した。
「これが、フォースオーブの力・・・!」
「オーブの力が、僕たちに伝わってくる・・・!」
「これなら、すごい力が出せるかもしれない・・!」
蓮斗、悠馬、理穂がフォースオーブの力を実感して、戸惑いを覚える。
「コイツの威力がどれだけのものかも、確かめる・・!」
蓮斗がフォースソードを構えて意識を集中する。フォースソードの光が刀身に集まっていく。
「行くぞ!」
蓮斗がフォースソードを振りかざした。フォースソードから光の刃が放たれて、その先の地面を切り裂いた。
「ええっ!?すごい!すごい威力だよ!」
理穂が光の刃の力を目の当たりにして、驚きと感動の声を上げる。
「フォースバズーカもフォースアローも、きっと威力が上がっているはずだ・・!」
「それじゃ、今度は私たちがやるよ!」
悠馬が笑みをこぼして、理穂がフォースアローを構える。
「フォースオーブアロー!」
理穂がフォースアローから光の矢を放った。通常よりも速く鋭く飛んだ光の矢は、その先の岩場を貫通した。
「ここの岩場は他の岩と比べて強度が高い・・それをここから放って貫くとは・・・!」
光の矢の飛距離と貫通力に、悠馬は驚かされた。
「次は僕の番だ。飛び火するかもしれないから、少し離れていてほしい・・」
「あぁ。」
「分かったよ、悠馬。」
悠馬がフォースバズーカを構えて、蓮斗と理穂が離れる。
「フォースオーブバズーカ、発射!」
貫通された岩場を狙って、悠馬がフォースバズーカを発射した。威力を増した砲撃が、岩場を木っ端微塵に吹き飛ばした。
「これなら、どんな相手にも負けはしない・・フォースオーブを付けた状態でのフォースバーストも、もっと力が上がっているはずだ・・!」
蓮斗が自信を深めて、悠馬と理穂も頷いた。
「しかしオーブを使ってのフォースバーストは、いくらここでも使えば外にまで飛び火しそうだ・・使うのは強敵相手だけだ・・」
「そうだね。それが私たちの切り札だね。」
悠馬が注意を言って、理穂が頷いた。
「僕は長官に報告をしてくる。2人は先に休んでてくれ。」
「分かった・・オレたちだけでもやれるって、他のヤツらにも見せつけてやる・・・!」
悠馬の呼びかけに答えて、蓮斗が激情をふくらませていく。
(オレは戦うぞ、杏子・・お前の仇を、オレのこの手で討つことができる・・・もうオレたちみたいな人たちを、増やしちゃいけないよな・・・)
杏子への思いと決意を心に秘めて、蓮斗は練習場を後にした。
ハルキたちとともに、コウたちと志郎、シンとルナマリアがGフォースの本部を訪れた。
「ここが、Gフォースの本部か・・」
「私たちの世界の軍とはやっぱり違うのね・・」
シンとルナマリアが本部内と機体を見て呟く。
「あなたたちの世界とこことは、モビルスーツの概念や仕組みが違うみたいですね・・」
「特にシンさんの乗っているあの機体は、フォースガンダムをはるかに超えた能力を持っているみたいです・・」
ハルキとナツがデスティニーのことを考える。
「デスティニーは動力源も強力で、戦闘に特化した性能と武装を持っている。」
シンがハルキたちにデスティニーについて説明する。
「でもあなたの乗っていたモビルスーツも、変形してデスティニーみたいな鎧になっていたけど・・」
ルナマリアがフォースガンダムに対して疑問を抱く。
「フォースガンダムはインプットされたデータを元にして、あらゆる形に変形する機能を備えているんです。」
「だけどみんな、ウルトラマンフォースのアーマーとして組み込まれるんだよな・・どうなってるんだか・・」
ハルキが説明をして、ギンが疑問符を浮かべる。
「きっとフォースとフォースガンダムがシンクロしているんだよ。あるいはフォースがフォースガンダムのデータを、合体に合うように調整しているとか・・」
「んー・・ウルトラマンならそれも不可能じゃないか・・」
イズルが推測を巡らせて、ギンが渋々納得する。
(イズルの言ったことは間違っていない。フォースがフォースガンダムとシンクロして、フォースアーマーの装着を実現させている・・)
ハルキがフォースガンダムのことを考える。しかし彼はイズルに合っていることを言おうとしなかった。
「隊員たちや或人くんたちを助けてくれてありがとうございます。コウくんたちも久しぶりだ。」
トウジが志郎と握手を交わして、コウたちにも挨拶をした。
「未だに敵の戦力は未知数です。企みの詳細もまだ分かっていません。この地球に対し、大掛かりなことを企んでいること以外は・・」
志郎がトウジに現状を告げる。
「それと、あのフォースレンジャーの3人の動向も気がかりだ。アイツら自身だけでなく、他の人まで危険にさらすことになりかねない・・」
志郎が蓮斗たちのことを気に掛ける。
「3人、家族や友人を怪人たちに殺されたと言っていた・・」
「蓮斗たちが地球を守るのは、敵討ちも含まれているってことなのか・・」
メルトとカツミも蓮斗たちのことを考える。
「オレも家族を殺され、仇をとるためにデストロンに立ち向かった。しかし今は復讐ではなく、正義のため、平和のために戦っている。復讐心を持っては、自分の大切なものを逆に傷つけることになってしまうぞ・・」
蓮斗たちの考えと行動を、志郎が危惧していた。
「しかし、敵討ちのために戦うことが間違っているとは、オレには思えません・・」
彼の考えに言い返してきたのはシンだった。
「オレも戦争に巻き込まれて家族を失いました・・家族を奪った戦争もだけど、何もできなかった自分の無力さを呪いました・・だからオレは軍に入って、こうして力を使うことができたんです・・」
「シン・・お前も両親と妹を失っていたな・・」
自分のことを語るシンに、志郎が答える。
「怒りや憎しみを持つことは決して悪いことじゃない。問題なのは、その感情に囚われて、自分を見失うことだ・・」
自分の考えを志郎やハルキたちに伝えたシン。
(彼も大切な人を失って、それで力を求めて・・だからフォースレンジャーへの共感も持って・・・)
ハルキがシンの考えと境遇に共感する。フォースもハルキと同じ気分を感じていた。
「2人の考えはどちらももっともだ。いずれにしろ、あの3人をあのような心理状態での戦いを続けさせるわけにいかない・・」
バンバが蓮斗たちのことを考えて、志郎とシンが頷いた。
「悪い事態になりそうだったら、オレも3人を止めます。」
或人が蓮斗たちに対する自分の考えを告げる。
「オレもそのつもりだ。もちろん、怪人たちの企みを阻止することも、オレたちの使命だ。」
「我々も情報を細大もらさずに集めるつもりです。大きな手掛かりが見つかればいいですが・・」
志郎が頷いて、トウジが自分とGフォースのことを告げた。
(何も、なければいいけど・・・)
ナツはこれからの戦いにおいて、不安を感じていた。
Gフォースの本部にある客室で、ヒロユキたちは男女に別れて、束の間の休息を取ることにした。ハルキたちは交代で本部とその周辺のレーダーの監視に就いていた。
ハルキとイズルが当番の時間のときだった。
「ん?南西エリア38に何か動きが・・」
イズルが声を上げて、ハルキがモニターを注視する。別の地点を映す映像に、黒い影が2つ通り過ぎるのが映った。
「侵入者・・あの鎧の男の仲間じゃ・・!?」
ハルキが警戒を強めて、席を立つ。
「現場に行って正体を確かめる!イズルは隊長たちに連絡を・・!」
「分かった!侵入者の位置も報告していくよ!」
外へ飛び出すハルキに、イズルが答えた。
ハルキは暗視ゴーグルを装着して、相手に気付かれないようにして慎重に進む。
“ハルキくん、南西エリア26に侵入者を確認・・本部に近づいてきている・・!”
イズルからの通信を聞いて、ハルキがさらに慎重になる。彼は侵入者がいる地点との距離を詰めていく。
“すぐ近くだよ・・!”
イズルがさらに呼びかけて、ハルキが耳を澄まして相手の居場所を探る。
そのとき、草むらから影が飛び出して、ハルキが人や動物とは違う人影を捉えた。彼が足元に発砲して、影が足を止めた。
「何者だ!?ここに何の用だ!?」
「ピー!見つかってしまったかー!」
ハルキが呼びかけて、影の正体、コピーオルグが驚きの声を上げる。
「何を企んでいる!?ここで話してもらうぞ!」
「このコピーオルグが、ここをムチャクチャにしてやるぞー!」
問い詰めるハルキに怪人、コピーオルグが高らかに言い放つ。
「そんなことはさせない・・お前を捕まえて、詳しく話を聞くぞ!」
ハルキが言い放って、コピーオルグに向かって発砲する。コピーオルグが銃のビームを慌ててよける。
「ピー!そう簡単にやられないよーだ!」
コピーオルグが無邪気に振る舞う。そこへコウたちが駆けつけて、コピーオルグを目撃した。
「アイツ、“マイナソー”じゃないみたいだ・・!」
「でもいいヤツでもないのも間違いないね・・!」
コウが声を荒げて、トワが言いかける。彼らがリュウソウケンとモサチェンジャーを手にして構える。
「ここはオレたちに任せてくれ!」
「ハルキは後ろに下がっていて!」
コウとアスナがハルキに呼びかける。
「分かった・・みんな、気を付けるんだぞ・・!」
ハルキが頷いて、コウたちの後ろに回った。
「リュウソウチェンジ!」
コウたちがリュウソウチェンジャーに、カナロがモサチェンジャーにリュウソウルをセットした。
“ケ・ボーン!”
“ワッセイ・ワッセイ・ソウ・ソウ!ワッセイ・ワッセイ・ソレソレソレソレ!”
“ドンガラハッハ・ノッサモッサ・エッサ・ホイサ・モッサッサッサ!”
コウたちがリュウソウチェンジャー、モサチェンジャーを操作する。
“リュウソウクール!”
“リュウSO COOL!”
彼らがスーツとマスクを身にまとい、リュウソウジャーへの変身を果たした。
「おー!お前たちがあのリュウソウジャーか!だったらオレはこうしてやるぜー!」
コピーオルグが体のコピー機を動かす。出てきた用紙に描かれていたのは、コウたちリュウソウジャーの絵。
その絵からリュウソウジャーが飛び出してきた。しかしコウたちと違って、頭に角が追加されていた。
「えっ!?私たちの偽者!?」
「頭に角なんて生やして・・いい気がしないね・・」
アスナが驚きの声を上げて、トワが呆れる素振りを見せる。
「だが所詮は偽者。本物の力を超えることはできない。」
「その通り!本物の騎士道、見せてやる!」
バンバも言いかけて、コウが言い放ってリュウソウケンの切っ先を偽のリュウソウジャーに向けた。
「確かにコイツらは偽者だ。本物より上じゃないかもしれないが、下ってこともなーい!」
コピーオルグが高らかに言って、偽のリュウソウジャーがコウたちに向かっていく。
コウたちが迎撃に出て、偽のリュウソウジャーとリュウソウケンをぶつけ合う。カナロも偽リュウソウゴールドとモサチェンジャーの撃ち合いを繰り広げる。
「確かに互角になっちゃってるよ・・!」
「それに向こうは、コピーオルグがまだ控えている・・!」
アスナが声を荒げて、メルトがコピーオルグに目を向ける。
「アイツはオレが足止めする!」
「ハルキ!」
ハルキがコピーオルグに立ち向かって、コウが叫ぶ。ハルキが銃を発射して、コピーオルグが慌ててよけていく。
「ただの人間相手にゃ負けないぞー!」
コピーオルグが不満を見せて、自分の姿を変化させた。ハルキとそっくりの姿に。
「オレになった!?」
「いくらウソでも、自分に攻撃するのはいい気がしないだろー!」
驚きの声を上げるハルキに、コピーオルグが挑発をしてくる。
「だけどオレにはそんな後ろめたさはないよー!」
コピーオルグがあざ笑って、持っていた銃を発砲してきた。ハルキが射撃を構えて、足元を狙って発砲する。
「うわー!」
コピーオルグが慌てて射撃をかわしていく。
「直接狙えなくても、足止めぐらいは十分できる・・・!」
「よくもやったなー!けど、リュウソウジャーは苦戦中のようだねー!」
迷いを振り切っているハルキに、コピーオルグが元の姿に戻って言い放つ。コウたちは偽リュウソウジャーに互角の戦いを強いられていた。
「イズル、こっちは苦戦している・・援護を・・!」
“ハルキ、戦闘員たちも現れて、或人くんたちもそっちへ行けない・・!”
ハルキが通信で呼びかけるが、イズルが焦りを込めて答える。或人がV3に変身した志郎とともにハルキたちのところへ向かっていたが、戦闘員の軍勢に阻まれて、彼らと合流することができない。
(フォースに変身しても、フォースガンダムを呼んで乗り込んでも、この身長の相手じゃ逆に不利になる・・どうすれば・・・!?)
“すまない、ハルキ・・今の大きさのままで変身することができたなら・・・!”
策を考えるハルキに、フォースが謝罪する。
「おしまいだねー。お前もリュウソウジャーもー!」
コピーオルグが勝ち誇って、笑い声を上げる。
そのとき、ハルキとコピーオルグの間に1本の線路が現れた。その線路の上を、1列の電車が通り抜けた。
「な、何だ、この電車は・・!?」
「あ、あれは“デンライナー”・・ってことは!?」
ハルキが目を見開いて、コピーオルグが動揺する。電車「デンライナー」のドアから、1人の青年と1人の男が降りてきた。
「何とか間に合ったみたいだ。」
「はい。ここは僕たちも加勢しましょう。」
男、浅見竜也と青年、野上良太郎が声を掛け合う。
「あの、あなたたちは・・・!?」
ハルキが声を掛けると、良太郎と竜也が微笑んだ。
「ここはオレたちに任せてくれ。オレたちはお前たちの味方だ。」
竜也がハルキに告げると、右腕に着けているブレスレット「クロノチェンジャー」を掲げた。
「クロノチェンジャー!」
竜也がクロノチェンジャーのボタンを押すと、彼の体を赤いスーツと仮面が包み込んだ。
「タイムレッド!」
タイムレッドに変身した竜也が名乗りを上げる。彼は未来戦隊タイムレンジャーの1人である。
「行くよ、モモタロス・・!」
“あぁ、良太郎!
良太郎の呼びかけに声の主、モモタロスが答える。良太郎がベルト「デンオウベルト」を身に着けて赤いボタンを押すと、ベルトから特有の音が流れる。
「変身・・!」
良太郎がデンオウベルトに、手にした「ライダーパス」をかざす。
“Sword form.”
彼の体を赤い装甲と仮面が包み込んだ。
「オレ、参上!」
良太郎が高らかにポーズを決めた。今の彼には怪人、イマジンの1人、モモタロスが憑依していた。
「久しぶりに大暴れできるぜ!いっとくがオレに前振りはねぇ!最初からクライマックスだぜ!」
モモタロスが高らかに言い放って、武器「デンガッシャー」を剣型の「ソードモード」にして構えた。
「いくぜ、いくぜ、いくぜー!」
モモタロスがコピーオルグに飛びかかって、デンガッシャーを振りかざしていく。
「お前の中に入ってるの、分かってるぞー!お前も鬼なのに、オレに襲い掛かるなんてー!」
「おい、コラ!誰が鬼だ、誰がー!」
文句を言うコピーオルグに、モモタロスが怒鳴りかかる。
イマジンは人の心にある想像から姿かたちを持つ。モモタロスが得たイメージは桃太郎の鬼なのだが、彼は鬼呼ばわりされるのを嫌っている。
「まぁ、おめぇが何だろうが、オレには関係ねぇ!派手に暴れられればそれでいいんだよ!」
モモタロスが言い放って、デンガッシャーを振りかざす。コピーオルグが切りつけられて悲鳴を上げる。
「イテテテテ・・こうなったら、お前の姿と力をコピーしてやるー!」
痛がるコピーオルグが変身して、電王・ソードフォームそっくりになった。
「オレ、さんじょーってなー!」
コピーオルグがモモタロスの決めポーズを真似る。
「コラー!オレのマネすんなー!」
モモタロスが怒りを爆発させて、地団太を踏む。
「くらえー!」
コピーオルグが飛びかかって、新たに持ったデンガッシャーを振りかざしてきた。
「アイタッ!」
モモタロスが胴体を切りつけられて痛がる。
「ヤロー、やってくれたなー!」
モモタロスが怒鳴り声を上げて、コピーオルグを迎え撃つ。2人がデンガッシャーを連続でぶつけ合っていく。
一方、竜也がコウたちに合流して加勢に入った。
「ダブルベクター!」
竜也が長剣「スパークベクター」と短剣「アローベクター」を手にして、偽リュウソウレッドと偽リュウソウブラックを切りつけて引き離した。
「大丈夫か、君たち!?」
「はい!ありがとうございます!」
竜也が声を掛けて、コウがお礼を言う。
「オレが隙を作るから、みんながとどめを刺すんだ!」
「はい!」
竜也が指示を出して、メルトが答えた。
竜也がスピードを上げて偽リュウソウジャーに立ち向かい、スパークベクターとアローベクターを振りかざして切りつけていく。
「ベクターエンド・ビート3!」
竜也がジャンプして、スパークベクターを上から下へ、アローベクターを左から右へ振りかざす。偽リュウソウジャーが彼の斬撃を受けて、ダメージを負って倒れる。
「今だ、みんな!」
竜也が呼びかけてコウ、アスナ、バンバがリュウソウル「ツヨソウル」を、メルト、トワ、カナロがハヤソウルを手にした。
“ツヨソウール!オラオラー!”
“ハヤソウール!ビューン!”
“いただきモッサ!”
彼らがリュウソウケンとモサブレードにリュウソウルをセットする。
“リュウ・ソウ・ソウ・ソウ!この感じー!ツヨソウー!”
“ハヤソウー!”
コウたちがリュウソウケンのレバーを押し込んでいくと、彼らの体に鎧「リュウソウアーマー」が装着された。
“ソレ・ソレ・ソレ・ソレ!その調子ー!剣ボーン!オラオラー!”
“ビューン!”
コウたちがさらにリュウソウケンを操作して、刀身にエネルギーを集めていく。
“来る・来る・来・!来る!どんと来る!モッサドーン!”
カナロがモサブレードのレバーを動かして、トリガーを引く。モサブレードの刀身にも光が宿る。
コウたちがリュウソウケンとモサブレードを振りかざして、光の刃を放つ。偽リュウソウジャーたちが光の刃に体を切り裂かれて、爆発して消滅した。
「やっぱり本物が偽者に負けるわけないよね。」
「この勝利は、仲間と騎士竜の力があればこそだ。」
自信を見せるトワに、バンバが結束の力を実感する。
「それに、あの人も力を貸してくれたしね。」
コウが言いかけて、竜也に振り向いて互いに頷き合った。
果敢に攻めるモモタロスだが、コピーオルグに動きを読まれて、攻撃を防がれていた。
「くっそー・・モノマネヤローのくせしやがってー・・!」
“何をもたついているの、先輩?”
いら立つモモタロスに向けて声がかかった。
“先輩だけやるなんてズルいよ。そろそろ交代してくれなきゃ。”
「ケッ!おめぇに言われたくねぇよ!」
呼びかけてくる声に不満を言いながら、モモタロスはデンオウベルトの青いボタンを押して、ライダーパスをかざした。
“Rod form.”
電王の装甲が分離して、違う形に組み替えられて装着された。同時にモモタロスに代わって、もう1人のイマジン、ウラタロスが良太郎に憑依した。
「お前、僕に釣られてみる?」
ウラタロスがコピーオルグに向かって言い放つ。電王はもう1つの姿「ロッドフォーム」となっていた。
「釣り方を変えれば、魚も動揺してくるものだよ。」
「コロコロ姿を変えちゃってー!でもこっちも変わればいいんだよねー!」
笑みをこぼすウラタロスに、コピーオルグが高らかに言い放つ。彼の姿もソードフォームからロッドフォームに変わった。
「ちょっと・・僕のモノマネまでするつもりかい・・!?」
「これがこのオレのコピー能力さー!何にでも化けられるんだよー!」
不満を覚えるウラタロスに、コピーオルグが笑い声を上げる。
「でも、人の釣竿で同じ釣り方ができるとは限らないよ。特に僕の釣り方は、お前にはできないよ・・!」
ウラタロスがデンガッシャーを棒型の「ロッドモード」に組み替えて、振りかざして糸を伸ばす。コピーオルグが糸に巻きつかれるが、ロッドモードのデンガッシャーを振りかざして、糸を引っ張る。
ウラタロスがさらに糸を伸ばすことで、コピーオルグの引っ張りを乱した。そこからデンガッシャーを振りかざして、コピーオルグを宙に放って、地面に叩きつけた。
「言ったはずだよ。僕の釣り方はお前にはできないって。」
「こ、このー・・!」
悠然とした態度を見せるウラタロスに、コピーオルグが不満を感じながら立ち上がる。
「それじゃ、3枚に下ろすとするか。」
“Full charge.”
ウラタロスは呟いてから、ライダーパスをデンオウベルトにかざして、エネルギーを集中させる。彼がデンガッシャーを投げつけて、コピーオルグに命中させて動きを封じる。
「う、動けない・・・!」
もがくコピーオルグの姿が元に戻った。ウラタロスがジャンプをして、キックを繰り出した。
「あぎゃー!」
コピーオルグが蹴り飛ばされて、激しく地面を転がった。
「コ、コピー用紙は大切にねー・・!」
コピーオルグが力尽きて爆発を起こした。
「大した獲物じゃなかったね。」
ウラタロスが呟いてから、電王への変身を解いた。同時に良太郎の体からウラタロスが離れた。
「ありがとうございます!オレたちを助けてくれて・・!」
ハルキが良太郎に近づいて感謝をした。
「みんなが無事でよかったよ・・向こうも終ったみたいだね。」
良太郎が答えて、コウたちと竜也に目を向けた。
「まだ危険な事態になる前に、みんなと合流できてよかった・・」
「危険な事態?」
竜也が口にした言葉に、ハルキが疑問を覚える。
「みんなー!」
そこへヒロユキが或人、志郎、ナツ、イズルとともに駆けつけて、ハルキたちに声を掛けてきた。或人たちは戦闘員たちを撃退して、ここへたどり着くことができた。
「みんな、無事だったか・・!」
「すまない・・数が多くて時間がかかってしまった・・もう片付いてしまったみたいだな・・」
コウが喜んで、或人が苦笑いを浮かべて答えた。
「久しぶりです、志郎さん。あなたも来ていたんですね。」
「あぁ。力を貸してくれてありがとう、良太郎くん。」
良太郎と志郎が声を掛け合って微笑んだ。
「オレたちも状況は把握しています。それもとんでもない事実も・・」
「もしや、敵の首謀者を知っているのか・・!?」
竜也が話を切り出して、志郎が緊張を覚える。
「その人物は・・」
竜也が答えようとしたときだった。突然、Gフォースの基地の敷地内で爆発が起こった。
「な、何だ!?」
ハルキがヒロユキたちとともに爆発のしたほうに振り向いた、声を荒げる。爆発の炎の中から1つの影が現れた。
「お、お前は・・!?」
ハルキたちがその影の正体に目を疑った。それはフォースレッド、蓮斗だった。