ザ・グレイトバトル
-命の解放-
第4章
ヨロイ元帥たちに単身立ち向かう或人。しかし3人の敵を相手に、或人は苦戦を余儀なくされた。
「1人1人が手ごわい・・しかも1対3だからなぁ・・!」
或人が焦りを感じながら、ヨロイ元帥たちを迎え撃つ。
「諦めてオレたちの手に掛かれ、ゼロワン!」
「私たちの毒の力、思う存分味わうがよい・・!」
キノコ獣人とドクターケイトが勝ち誇って、それぞれカビと毒を含んだガスを放った。
「うわっ!」
或人が回避しようとするが、ガスに囲まれて苦痛を覚える。
「苦しむがよい、ゼロワン。他のヤツもすぐに貴様の後を追わせてやる。」
追い詰められていく或人を見て、ヨロイ元帥があざ笑う。
「ハヤソウル!」
“ハヤソウール!ビューン!”
そのとき、ガスに囲まれていた或人の姿が突然消えた、
「何っ!?」
「ヤツはどこへ行った!?」
ドクターケイトとキノコ獣人が或人を捜して、周りを見回す。
「大丈夫か?危ないところだった・・」
声を掛けられて、或人が落ち着きを取り戻す。彼のそばに6人の男女がいた。
「えっ?あなたたちは・・?」
「オレはトワ。オレが素早く助け出したんだよ。」
或人が聞くと青年の1人、トワが答える。トワがアイテム「リュウソウル」の1つ「ハヤソウル」を使ってスピードを上げて、ガスの中から或人を連れ出したのである。
「オレはコウって言うんだ!前にこの世界に来たことがあるけど、また来れてよかったよ!」
もう1人の青年、コウも或人に声を掛けてきた。コウたちは1度、ハルキたちの世界に来たことがある。彼らは再びこの世界に来て、或人のピンチに遭遇した。
「みんな、前にも次元を超えてこっちに来たことがあるのか・・!?」
青年、カナロが驚きを込めて問いかける。
「あ、そういえばカナロはこっちに来たのは、今回が初めてだったね。」
少女、アスナが前に来たことを思い出す。
「この世界を守っている防衛チームや、オレたちのように次元を超えてきた人たちに出会い、オレたちは協力して来たんだ。」
「オレたち以外の戦隊だけでなく、様々な戦士やメカも出てきたぞ。」
2人の青年、メルトとバンバも説明をしていく。
「なるほど・・別の世界か・・別の世界の女性と結ばれるのも、悪くない・・・」
「えっ?えっ・・!?」
「な、何を言ってるの、カナロ!?」
カナロが口にした言葉に、或人とアスナが動揺する。
「カナロは婚活中なんだよ。恋人を捜して、いろんな女性に声を掛けているんだよ。」
「こ、婚活・・・」
コウがカナロのことを話して、或人があ然となる。
「何者だ、貴様ら!?ただの人間ではないな!?」
ヨロイ元帥がコウたちに問い詰める。
「オレたちは“リュウソウ族”だ!」
コウが言い放ってメルト、アスナ、トワ、バンバとともにアイテム「リュウソウル」を取り出して、左腕に着けているアイテム「リュウソウチェンジャー」を掲げた。
「リュウソウチェンジ!」
コウたちがリュウソウルの顎にあるボタンを押して、「ソウルモード」から「ナイトモード」に変形して、リュウソウチェンジャーにセットした。
“ケ・ボーン!”
“ワッセイ・ワッセイ・ソウ・ソウ!ワッセイ・ワッセイ・ソレソレソレソレ!”
コウたちの周りを小さな鎧の騎士の集団が取り囲んで、勝どきを上げる。コウたちがリュウソウチェンジャーの下あごを回して、その頭部のバイザーにする。
“リュウソウクール!”
鎧の騎士たちがコウたちに取りついてスーツになって、続けてマスクが装着された。
「リュウソウチェンジ!」
カナロが銃「モサチェンジャー」を手にして、金のリュウソウルをセットした。
“ケ・ボーン!”
“ドンガラハッハ・ノッサモッサ・エッサ・ホイサ・モッサッサッサ!”
カナロの周りを金の騎士たちが取り囲む。彼がモサチェンジャーのバイザーを回してトリガーを引いた。
“リュウSO COOL!”
金の騎士がカナロに取りついて、スーツとマスクになった。
「勇猛の騎士、リュウソウレッド!」
「英知の騎士、リュウソウブルー!」
「剛健の騎士、リュウソウピンク!」
「疾風の騎士、リュウソウグリーン!」
「威風の騎士、リュウソウブラック!」
「栄光の騎士、リュウソウゴールド!」
コウ、メルト、アスナ、トワ、バンバ、カナロがそれぞれのリュウソウケンを引き抜いて、名乗りを上げる。
「正義に仕える気高き魂!騎士竜戦隊、リュウソウジャー!」
コウたちが声をそろえてポーズを決めた。古代人「リュウソウ族」の末裔の騎士「騎士竜戦隊リュウソウジャー」である。
「オレたちの騎士道、見せてやる!」
コウがリュウソウケンの切っ先をヨロイ元帥に向けて言い放つ。
「リュウソウジャー・・お前たちもスーパー戦隊か!?」
「戦隊のヤツらも忌々しい・・私たちがまとめて始末してくれる!」
モグラ獣人とドクターケイトがコウたちに敵意を向ける。
「ならば我々も数で攻めるとするか・・出てこい!」
ヨロイ元帥の呼び声に応えて、デストロンのデルザー軍団の戦闘員、ガランダーの従者が駆けつけてきた。
「行け、お前たち!ゼロワンとリュウソウジャーを倒せ!」
「ギー!」
「ヒュー!」
ヨロイ元帥が命令して、戦闘員たちが或人たちに向かっていく。
「ありがとう、リュウソウジャーのみんな!オレもアイツらに反撃させてもらうぞ!」
或人が気を引き締めなおして、コウたちとともに戦闘員たちを迎え撃つ。
コウたちが剣「リュウソウケン」を振りかざして、戦闘員たちを切つけていく。カナロもモサチェンジャーを構えて、光の弾を発射して従者を撃っていく。
「リュウソウジャー、このオレのカビを食らえ!」
「私のケイトガスも食らいな!」
キノコ獣人とドクターケイトがコウたちに向かってガスを放つ。
「毒を広げさせはしないぞ!モサブレード!」
カナロが短剣「モサブレード」を手にして、モサチェンジャーと連結させて、「モサブレイカー」にした。
「モサブレイカー!クラヤミソウル!」
彼はモサブレイカーにリュウソウル「クラヤミソウル」をセットした。
“クラヤミソウル!クラヤミ!”
カナロがモサブレイカーのトリガーを引いて、黒い光を放った。黒い光はブラックホールになって、カビとケイトガスを吸い込んだ。
「な、何っ!?」
「私たちの毒を、そんなやり方で無力化するとは!?」
キノコ獣人とドクターケイトが驚きの声を上げる。
「今度はこっちの攻撃の番だよ!ドッシンソウル!」
アスナが言い放って、リュウソウルの1つ「ドッシンソウル」を手にして、リュウソウケンにセットした。
“ドッシンソウール!ドッシーン!”
彼女の体を鎧と拳が包み込んだ。騎士竜、パキガルーとチビガルーの力を宿した「リュウソウアーマー」である。
「おのれ、小娘め・・こうなれば力でお前たちを地獄に叩き落としてくれる!」
いら立つドクターケイトがアスナを迎え撃つ。パンチ力が大きく増したアスナの拳が、ドクターケイトの体に強く叩き込まれた。
「ドクターケイト!おのれ、リュウソウジャー・・!」
キノコ獣人がいら立ちを浮かべて、ドクターケイトに加勢しようとした。その前にコウとカナロが立ちはだかった。
「お前の相手はオレたちだ!」
コウが言い放って、リュウソウケンを振りかざす。キノコ獣人がリュウソウケンをかわすが、カナロのモサブレイカーによる射撃を当てられて怯む。
「お前たちの毒はオレたちには通じないぞ・・!」
「そしてお前たちの悪い企みは、オレたちに阻止されるんだからな!」
カナロが言い放って、或人が彼らとともに並び立った。
「ここからは本気でやらせてもらうぞ!」
或人がプログライズキー「シャイニングアサルトホッパープログライズキー」を手にして、飛電ゼロワンドライバーにセットされているライジングホッパープログライズキーと入れ替えた。
“Warning warning.This is a not test.ハイブリッドライズ!シャイニングアサルトホッパー!No chance of surviving this shot.”
ゼロワンの装甲に変化が起こり、輝かしさも加わった。或人はゼロワンの強化形態「シャイニングアサルトホッパー」となった。
「たとえ消されることになっても、オレのカビなら目くらましぐらいは・・!」
キノコ獣人が或人たちに向かって、口からカビを吐き出そうとした。その瞬間、或人が一気にスピードを上げて、キノコ獣人の左側に回り込んできた。
「何っ!?ぐおっ!」
驚くキノコ獣人が、或人が繰り出したキックを受けて、強く突き飛ばされた。
「これ以上悪いものを広げさせはしない!」
或人がキノコ獣人の前に立って、ライジングホッパープログライズキーを飛電ゼロワンドライバーに4回読み込ませた。
“メガラーイズ!”
エネルギーを集中させて、或人がジャンプしてキックを繰り出した。その瞬間、彼の分身が4人現れて、キノコ獣人に連続でキックが叩き込まれた。
「ギャアッ!」
キノコ獣人が絶叫を上げて爆発した。
「おのれ、ゼロワン、リュウソウジャー・・!」
ヨロイ元帥が或人たちへのいら立ちをふくらませていく。
「待て!」
そこへフォースレンジャーに変身した蓮斗、悠馬、理穂が駆けつけて、ヨロイ元帥たちと対峙してきた。
「貴様らがあのフォースレンジャーか!さらに敵が増えたか・・!」
「お前たちは僕たちが倒す・・1人も逃がさないぞ・・!」
危機感をふくらませるヨロイ元帥に、悠馬が言い放つ。
「おお!他のスーパー戦隊か!よし、一緒に戦おう!」
コウが喜んで蓮斗に呼びかけてきた。
「お前たちが他のスーパー戦隊ってヤツか・・お前たちの力を借りるつもりはない・・!」
蓮斗がコウたちに反発して、自分たちだけで戦おうとする。
「おい、そりゃないって!この世界を守ろうって気持ちは、オレたちも君たちも同じじゃないか!」
「だから力を合わせようって、虫のいい話を受け入れるオレたちじゃない!敵はオレたちの力で倒す!オレたちにはそれだけの力がある!」
或人が協力を呼びかけるが、蓮斗は拒絶するばかりである。
「あの人たち、人付き合い悪そうだね・・」
「というより性格悪いっしょ・・!」
蓮斗の態度にトワが呆れて、アスナが不満を浮かべる。
「これでは勝ち目がない・・引き上げるぞ!」
ヨロイ元帥が劣勢を感じて、ドクターケイトたちを引きつれて、この場を後にした。
「逃がさないぞ・・!」
蓮斗がヨロイ元帥たちを追いかけようとした。
「そうはさせんぞ!」
そこへ1体の怪人が現れて、蓮斗の行く手を阻んだ。
「オレはデストロンのサイタンク!ヨロイ元帥の元へは行かせん!」
「邪魔をするな!アイツらのアジトを暴いて、全滅させる!」
立ちはだかるサイタンクに怒鳴って、蓮斗がフォースソードを手にして振りかざす。しかしフォースソードを体に当てられても、体の硬いサイタンクは平然としていた。
「その程度の攻撃がオレに聞くと思ってるのか?」
サイタンクが笑みをこぼして、頭から蓮斗を突き飛ばした。
「おわっ!」
蓮斗が地面に強く叩きつけられて、激しく転がる。
「蓮斗!」
「あの怪人、耐久力が高い・・攻撃力を上げなければ・・・!」
理穂が蓮斗を支えて、悠馬がサイタンクを警戒する。
「フォースバスターで吹っ飛ばしてやる!オレたちの力を合わせれば、さすがに無事じゃいられないだろう!」
蓮斗がいきり立って、悠馬と理穂がフォースバズーカとフォースアローを手にした。
「フォースウェポン、合体!フォースバスター!」
蓮斗たちがフォースソード、フォースバズーカ、フォースアローを組み合わせて、フォースバスターにした。
「フォースバースト!」
蓮斗がフォースバスターを発射した。サイタンクが光線を直撃されたが、平然としていた。
「フォースバーストを耐えたなんて!?」
「それでしまいか?ならば今度はオレから行くぞ!」
理穂が驚きの声を上げて、サイタンクが足を鳴らして突っ込んできた。
「うわあっ!」
蓮斗たちがサイタンクの突進を受けて、大きく突き飛ばされた。
「フォースレンジャー!・・助けないわけにいかない・・!」
“ガンライズ!”
或人が蓮斗たちを援護しようと駆けつけて、武器「オーソライズバスター」を手にして、「アックスモード」にしてサイタンクの前に立ちはだかった。
「ゼロワン・・オレの邪魔をしようとするのか・・!?」
「ピンチになっている人を放っておけない!たとえオレのことを邪険にしている人でも、人間じゃなくても!」
鋭く言いかけるサイタンクに、ゼロワンが自分の意思を口にする。
「じ、邪魔をするな・・コイツはオレが・・オレたちが!」
「自分たちだけで抱え込んでも、解決できることもできなくなっちゃうよ!」
声を振り絞る蓮斗に、或人が声を張り上げる。
「逆だ!オレたちが動かなければ、何もできなくなる!」
立ち上がる蓮斗が、或人の協力を拒絶する。
「何で・・何でそこまで・・オレたちの力を拒むんだ・・・!?」
蓮斗たちの頑なな態度に、或人は辛さを噛みしめていた。
「ライダーも戦隊も、オレがまとめて吹っ飛ばしてくれる!」
サイタンクが或人たちに突っ込もうと足を鳴らした。
「そうはさせんぞ!」
そこへ声がかかって、サイタンクと或人たちが振り向いた。彼らの前に1人の男が姿を現した。
「誰だ、アンタは・・!?」
「き、貴様は!?」
蓮斗が疑問符を浮かべる中、サイタンクが男を見て驚きを隠せなくなる。
「オレの名は風見志郎。仮面ライダーV3だ・・!」
「風見志郎・・貴様もこの世界に来ていたのか!?」
男、志郎が名乗りを上げて、サイタンクが驚く。
「変身・・ブイスリャー!」
志郎がポーズを取って高らかに叫ぶ。ジャンプした彼の姿が仮面ライダー、V3に変わった。
「仮面ライダー・・ライダーの先輩が来てくれたー♪」
或人がV3の登場に感動する。
「サイタンク、お前を倒し、ヨロイ元帥の企みを阻止してみせる!」
「そうはさせんぞ、V3!ここでコイツらとともにくたばるがいい!」
互いに言い放つV3とサイタンク。V3がサイタンクに詰め寄って、パンチとキックを叩き込んでいく。
「このオレが追い詰められているだと・・!?」
「フォースバーストもはねのけたアイツに、ダメージを与えている・・!」
サイタンクだけでなく、戦いを見ていた悠馬も驚きを覚える。
「力と技と正義は日に日に増している。お前には苦戦はしないぞ!」
V3が言い放って、跳躍して足を突き出した。サイタンクが蹴られて後ずさりする。
「おのれ、V3・・このオレの突進を食らえ!」
サイタンクがいら立って、V3に向かって突っ込んできた。V3はジャンプして突進をかわした。
「V3反転キック!」
V3がサイタンクの頭部にジャンプキックを当てて、再び宙へ跳んで反転してさらにキックを繰り出した。
「おあぁっ!」
胴体にもキックを受けて、サイタンクが突き飛ばされた。
「ヨ・・ヨロイ元帥・・・!」
サイタンクが断末魔を上げて、倒れて爆発した。
「すごい・・あの仮面ライダー・・あのサイを1人でやっつけたなんて・・・!」
V3の強さに理穂が戸惑いを覚える。自分の無力さを思い知らされて、蓮斗が悔しさを込めて地面に拳を叩きつけた。
シンとルナマリアが地球に降り立つ少し前だった。2体の怪獣と2人のウルトラマンが月面で戦いを始めていた。
2人のウルトラマンはロッソとブル。湊カツミ、イサミ兄弟がそれぞれ変身しているウルトラマンである。
ロッソたちが対峙しているのは、合体怪獣プラズマとマイナズマである。
「コイツらも地球を狙ってる怪獣たちだ・・ここで食い止めるぞ、イサミ!」
「分かってるよ、カツ兄!さっさと片付けて、アサヒを捜しに行かないと・・!」
カツミとイサミが声を掛け合って、ロッソとブルが構えを取る。カツミたちだけでなく、彼らの妹であるアサヒもこの宇宙に来ていたが、たどり着いたときに離れ離れになってしまったのである。
ロッソがプラズマに、ブルがマイナズマに立ち向かう。ロッソとブルがそれぞれパワーとスピードに重点を置いた攻撃を仕掛けて、プラズマたちを追い込んでいく。
プラズマとマイナズマが合流すると、背中合わせに合わさって、パワーをアップさせた。
「うわっ!」
「おわっ!」
プラズマたちが角から発した電磁ビームを受けて、ブルとロッソが突き飛ばされる。
「パワーが一気に上がったぞ・・!」
「まるで合体したロボットみたいだ!」
カツミとイサミがプラズマたちの力に脅威を覚える。プラズマたちがさらにビームを放って、ロッソとブルが左右に動いてかわす。
「向こうが力で来るなら、こっちは技だ!」
イサミがカツミに向かって呼びかけたときだった。プラズマたちのビームの集中砲火に、ロッソが巻き込まれた。
「カツ兄!」
怯んだロッソにイサミが叫ぶ。イサミがメダル「ルーブクリスタル」を手にするが、ロッソの援護に間に合わない。
そこへ光線が飛び込んで、ビームを防いでロッソを守った。
「今のは・・!」
「遅くなりました、カツ兄、イサ兄!」
動揺を覚えるカツミに向かって声がかかった。ロッソとブルの間に降り立ったのは、1人のウルトラマンの少女だった。
「アサヒ!無事だったんだな!」
「ホントに心配したんだぞ・・!」
カツミとイサミがアサヒの無事に安心を覚える。ロッソのピンチを救ったのは、アサヒが変身しているウルトラウーマン、グリージョだった。
「助かったよ、アサヒ・・ここからは兄ちゃんたちの反撃開始だ!」
カツミがアサヒに感謝して、ロッソとブルが合流した。カツミとイサミがそれぞれルーブクリスタル「ビクトリークリスタル」と「ティガクリスタル」をアイテム「ルーブジャイロ」にセットした。
「まとうは土!琥珀の大地!」
“ウルトラマンビクトリー!”
「まとうは風!紫電の疾風!」
“ウルトラマンティガ!”
2人がルーブジャイロのグリップを引く。
“ウルトラマンロッソ・グランド!”
“ウルトラマンブル・ウインド!”
ロッソの体の赤が黄金色に、ブルの体の青が紫に変わった。2人はそれぞれ「グランド」、「ウインド」に形態を変えた。
ブルがスピードを上げて、プラズマとマイナズマを跳び越えて反対側へ回った。
「ストームフォース!」
ブルが竜巻を放って、プラズマたちを閉じ込めた。プラズマたちがビームを放って、竜巻を打ち破ろうとする。
カツミが武器「ルーブスラッガーロッソ」を手にして、ルーブクリスタル「エックスクリスタル」をセットした。
「ザナディウムソニック!」
ロッソがルーブスラッガーロッソを振りかざして、X字の光の刃を放つ。竜巻を打ち破った直後に光の刃を受けて、プラズマとマイナズマが爆発を起こした。
「やったぞ、カツ兄、アサヒ!僕たち兄弟の勝利だ!」
「あぁ!アサヒ、助かったよ!」
「エヘヘ♪カツ兄とイサ兄の力になれてよかったです♪」
ロッソ、ブル、グリージョが合流してカツミ、イサミ、アサヒが声を掛け合う。
「でもこの宇宙・・私たちの宇宙と地球とは違うみたいですね・・」
「そうか。アサヒはこっちに来たのは初めてだったな。」
アサヒが地球を見つめて、カツミが笑みをこぼす。
「平行世界。パラレルワールドとも言われてて、オレたちのいる地球とは別の次元にある地球なんだ。」
イサミが自分たちのいる宇宙について説明する。彼とカツミは以前にもこの宇宙に来たことがあった。
「この宇宙にもウルトラマンがいるんだ。他にも防衛チームがいて、しかもウルトラマン以外にも悪者と戦う人たちもいたな。」
「ウルトラマン以外の?どういうことなのですか?」
カツミの話を聞いて、アサヒが疑問符を浮かべる。
「仮面ライダーというバイク乗りに、スーパー戦隊という色違いの服を着たチーム、ガンダムというロボットを使うパイロットもいたなぁ。」
「仮面ライダー、スーパー戦隊、ガンダム・・私も会ってみたいです!」
イサミの説明を聞いて、アサヒが興味を持つ。
「とりあえず地球に行って、ハルキたちに会いに行こう。他のヤツも、オレたちみたいにこっちに来てるかもしれないぞ。」
カツミが呼びかけて、イサミとアサヒが頷いた。ロッソ、ブル、グリージョが地球へと飛び立った。
地上に降り立ったGパニッシャー、デスティニー、インパルス。ナツたちとシンたちがコックピットから出て、対面を果たす。
「お前たちが、あの機体のパイロットなのか・・!?」
「あぁ・・その機体も、モビルスーツみたいだけど・・・」
ギンの問いかけに答えて、シンがGパニッシャーに目を向ける。
「それにあのウルトラマンに合体している機体も、見たことがないわ・・」
「どうやら、オレたちはまた、別の世界に来てしまったみたいだな・・」
ルナマリアがフォースと合体しているフォースガンダムに目を向けて、シンが自分たちの体験したことを思い返す。2人は以前にも次元を超えて世界を渡ったことがあった。
フォースがフォースガンダムと分離して、タイガとともにこの場を後にした。変身を解いたハルキが、着地したフォースガンダムから降りてきた。
「あなたたちは、あの2機に乗っていた・・」
ハルキが声を掛けて、シンが小さく頷いた。
「2人も僕と同じように、別の世界から来たみたいですね・・」
ヒロユキも戻ってきて、シンたちに声を掛けてきた。
「お互い、詳しい話をする必要があるわね・・」
「案内します。僕たちGフォースの本部に。」
イズルがシンたちを本部に案内しようとする。
「待ってくれー!」
「僕たちも連れてってくれー!」
そこへカツミとイサミがアサヒとともに駆けつけて、ハルキたちに呼びかけてきた。
「カツミさん、イサミさん!あなたたち、またこっちに来ていたんですね!」
ナツがカツミたちとの再会を喜ぶ。
「またこっちに来ちゃったみたいです。次元に穴が開いて、また何かあるんじゃないかって思って・・」
イサミが気さくな笑みを浮かべて、事情を話す。
「えっと・・その子は誰ですか?」
「はじめまして。私、カツ兄とイサ兄の妹の、湊アサヒといいます。」
ナツが問いかけて、アサヒが自己紹介をする。
「2人の妹・・もしかして、彼女も・・」
「はい。ウルトラ戦士です。ウルトラウーマングリージョ。」
ハルキも聞くと、アサヒが笑みをこぼして答えた。
「えっ!?それじゃ3人とも、ウルトラマンなんですか!?」
「あぁ。まぁな。」
ヒロユキが驚きを覚えて、カツミが笑みをこぼす。ヒロユキがタイガスパークを着けた腕を見せて、タイガ、タイタス、フーマの姿が現れた。
「ウ、ウルトラマンが3人!?」
「どういう仕組みなんだ、これは!?」
カツミとイサミがタイガたちとタイガスパークを見て、驚きを見せる。
「詳しい話は後です・・まだ仲間がいて、怪人たちと戦っています・・!」
「えっ!?」
ヒロユキが或人のことを話して、ナツたちが緊張を覚える。
「或人くんのところへ急いだ方がよさそうだな・・!」
ハルキが言いかけて、ナツたちとともに或人たちのところへ向かった。
コウたちとV3の活躍に、或人と蓮斗たちは助けられた。しかし蓮斗は或人たちに対して、目つきを鋭くしていた。
「V3、何が起こっているか、分かりますか?」
メルトがV3に話を聞く。
「オレも怪人や宇宙人たちの動向をうかがっている。これはデストロンだけでなく、複数の組織が結託している。」
「ということは、他の種族の怪人や宇宙人もまだまだいるってことですね?」
バンバも話に加わって、V3が頷いた。
「ただ力を合わせているだけだとは思えない。首謀者がいるはずだ。」
「そいつを見つければ、敵の連携を崩せるわけですね。」
推測を告げるV3に、トワが納得する。
「まずはヨロイ元帥たちの居所を見つけることだ。ヤツが首謀者でなくても、手がかりは見つけられるだろう。」
「分かりました。力を合わせて頑張りましょう!」
V3の言葉に頷いて、コウが彼に手を差し伸べた。V3も彼の手を取って握手を交わした。
「或人くん、無事か!?」
そこへヒロユキがハルキたちとともに駆けつけて、或人たちに声を掛けた。
「あぁ。リュウソウジャーとV3、フォースレンジャーに助けられたんだ。」
「そうだったんですか・・ありがとうございます!」
或人の説明を聞いて、ヒロユキがV3たちに感謝した。
「コウ、君たちも来ていたのか・・!」
ハルキがコウたちを見て戸惑いを覚える。コウたち、或人、V3、蓮斗たちが変身を解いた。
「久しぶりだ、ハルキ、カツミ、イサミ!」
「コウ、みんなも元気でよかった!」
コウとカツミが再会を喜んで、握手をした。
「オレたちGフォースとフォースレンジャー以外は、みんな別の世界から来た人たちですね。」
「そうなるな。他にも我々と同じようにこちらに来て、悪の企みを阻止しようと行動している者たちがいるかもしれない。」
ナツが声を掛けて、志郎が答える。
「怪人たちの企みを阻止できる力の持ち主が1人でも多いのは心強い。オレももちろん戦うが、君たちも力を貸してほしい。」
「もちろんです!一緒に事件を解決しましょう!」
志郎の言葉にヒロユキが答える。ハルキたちも志郎の考えに賛同していた。
「オレたちはオレたちで戦う・・馴れ合うつもりはない・・・!」
しかし蓮斗はハルキたちとの協力を拒んできた。
「オレたちは自力で戦えるだけの力を身に着けた・・他のヤツの力を借りるつもりはない・・・!」
「あなたたち、まだそんなことを・・!」
頑なな蓮斗の態度に、アスナが不満をあらわにする。
「お前たちが何者で、何のために戦うのかは知らない。しかし自分たちだけで戦い抜けると思ったら大間違いだぞ。」
志郎が真剣な顔で蓮斗に言いかける。
「オレも1人で戦いを続けてきた。しかし誰の力も借りなかったわけではない。オレのこの力は、仮面ライダー1号、2号、2人の先輩によってもたらされたものだ。そしてオレを支え、時に鍛えてくれたおやっさん、ともにデストロンを倒すために戦った仲間、ライダーマンもいた。」
志郎がデストロンとの戦いの日々を思い返していた。
「たとえ孤独の戦いに身を置いても、自分たちだけで全てを乗り切れる者はいないのだぞ。」
「その仲間が、僕たちの家族や親友を守ってくれなかった人たちも含まれるのですか・・!?」
檄を飛ばす志郎に反論したのは、悠馬だった。
「私たちは大切な人を殺されたの・・その悪者が巨大ロボが追い払ったのは、その後だった・・・」
理穂が自分たちの過去をハルキたちに打ち明けた。
「だからオレたちは信じない・・他のヤツの力を・・オレが信じられるのは、同じように傷ついた仲間だけだ・・・!」
自分たちの意思を貫こうとして、ハルキたちとの共闘を拒む蓮斗。
「何もできなかったあのときとは違う・・オレたちも、敵を倒せる力があるんだ・・この力で、オレたちで敵を倒すんだ!」
「思い上がるな!お前たちだけで倒せるほど、敵の戦力は甘くはない!」
感情をあらわにする蓮斗に、志郎が怒鳴り声を上げた。
「甘さとかの問題じゃない!オレたちがやらなくちゃ、平和は戻らないんだ!」
それでも自分たちの考えを変えず、蓮斗は悠馬、理穂とともにハルキたちの前から去っていった。
「アイツら、自分たちだけで戦いを乗り越えようって考えなのかよ・・・!?」
ギンが蓮斗たちの態度にいら立って、両手を強く握りしめる。
(オレと同じだ・・3人は、大事な人を失っている・・・)
ハルキが自分と同じ境遇の蓮斗たちに、心を動かされていた。
(ハルキくん・・・)
彼の様子を見て、ナツも深刻さを感じていた。