ザ・グレイトバトル -ロストヒーローズ-

第13章

 

 

 ついに現れた事件の首謀者、ゴッズ。あらゆる世界や人々の価値観や感性から逸脱しているゴッズに対して、大地たちは理屈抜きの戦いを挑もうとしていた。

「君たちの敵、か・・開き直りというか単純というか・・」

 ゴッズが大地たちに呆れ果てて、大きく肩を落とす。自信と余裕を前面に見せていた彼の顔から笑みが消えた。

「それじゃ僕も分かりやすく、ここでみんなまとめてやっつけることにするよ。」

 ゴッズが言いかけて指を鳴らした。彼の後ろの空間がゆがんで、巨大なメカが姿を現した。

「何なんだ、あのロボットは!?

「戦隊のロボにもガンダムにも見える・・!?

 ヒカルとダイゴがメカを見て驚きを覚える。

「とりあえず、ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、ガンダムとその敵たちのデータを元に作ってみたよ。これは“ゴッドハンド”とでも名付けようかな。」

 巨大メカ、ゴッドハンドのことを話していくゴッズ。

「さらに・・」

 彼が続けて言いかけると、再び空間がゆがんで2人の人型のメカが現れた。

「ライダータイプと、戦隊タイプ・・!?

「“ゴッドライダー”と“ゴッドレンジャー”。どっちも力と技、武器の扱いに優れてるよ。」

 ヒロムが声を上げて、ゴッズがゴッドライダーとゴッドレンジャーを紹介する。

「この2人の相手はライダーたちと一部の戦隊にしてもらおうかな。僕とゴッドハンドはウルトラマンとガンダムで。」

 ゴッズは言いかけてから、ゴッドハンドに乗り込んだ。

「いつまでも高みの見物ばっかりじゃつまんないからね。やられて死んじゃうかもしれない緊張感があってこそ、楽しくなるってもんだよ。まぁ、僕が負けることはないんだけどね。」

「その鼻っ柱をへし折ってやるぜ!」

 戦いを楽しもうとするゴッズに、アスカも強気に言い放つ。

「ゴッズ、お前の力、僕たちが止めてみせる!」

 ムサシも言い放って、コスモスがダイナとともに構えを取る。

「我々は地球や世界、自由と平和を守るために戦いの道を選んだ。」

「その相手の中には、悪と割り切ることのできない者もいた。深い事情を抱えている者もいた。」

「戦いを繰り返し、すれ違うばかりの者同士もいれば、分かり合えた人たちもいた。」

「我々が倒すのは、自分たちのためだけに他の人々や世界を踏みにじる存在!ゴッズ、お前のようなヤツらだ!」

 ウルトラマン、1号、アムロ、アカレンジャーがそれぞれの経験と考えを口にする。それぞれの時間、長い戦いと経験が彼らに多くのことを心と魂に刻み付けていた。

「我々の戦いもその歴史も終わることはない。」

「我々がその魂を未来に伝えていく!」

「世界中の人々が、オレたちを信じ続ける限り。」

 ゾフィー、アカレッド、Gも思いと魂を口にする。

 初代ウルトラマン、仮面ライダー1号、ゴレンジャー、アムロとガンダム。彼らを始めとした戦いと思い、魂は長い歴史を形作って今も脈々と受け継がれている。

 今を戦い、それぞれの思いのために生きる大地とエックス、タケル、大和たち、シン、キオたちにも。

「せいぜい僕を退屈させないようにね、みんな。」

 ゴッズが笑みをこぼして、ゴッドハンドを動かす。ゴッドハンドがゆっくりと浮遊して、ゴッズがエックスたちを見渡す。

「お前のようなヤツに、神様気取りはさせないぞ!」

「ウルトラマンたちよ、オレたちに力を貸してくれ!」

 ヒカルがゴッズに言い放って、ショウが彼とともに意識を集中する。ギンガビクトリーがウルトラ戦士の力を集中させる。

「ウルトラフュージョンシュート!」

 ギンガビクトリーがゴッドハンドに向けて光線を放つ。するとゴッドハンドが両腕を構えてバリアーを張って、光線を防いだ。

「何っ!?

「ギンガビクトリーの力が、通じない!?

 光線が通じないことに、ヒカルとショウが驚きを覚える。

「僕が作ったゴッドハンドだからね。しかもウルトラマンたちのデータまであるんだから、君たちの力が効かないのは当然だよ。」

 ゴッズがゴッドハンドの力を語って、笑い声を上げる。

「次は僕の番だよ。ゴッドスラッシュシュート!」

 ゴッズが言い放って、ゴッドハンドが上げていた両腕を振り下ろして、光線を放つ。速く威力のある光線を受けて、ギンガビクトリーが吹き飛ばされて合体が解けてしまう。

「ヒカル!ショウ!」

 ギンガとビクトリーに向かってタロウが叫ぶ。

「よそ見をしてる場合じゃないよ、みんな。」

 ゴッズが言いかけて、ゴッドハンドが両手の指先からビームを連射してきた。ウルトラマン、ジャック、コスモスがビームを受けて突き飛ばされる。

「このっ!」

 ガロードがいきり立って、DXがゴッドハンドに向かっていく。バスターライフルを発射するDXだが、ゴッドハンドのバリアーにかき消される。

「ムダだよ。ウルトラマンもガンダムも、ゴッドハンドには敵わない。」

 ゴッズが言いかけて、ゴッドハンドが突き出した左手から衝撃波を放ってDXを吹き飛ばす。

「うわっ!」

 DXが押されてガロードがうめく。

「ガロード!このっ!」

 シンもいきり立って、デスティニーがドモンのゴッドガンダムとともにゴッドハンドに向かっていく。

「くらえ、ゴッズ!爆熱ゴッドフィンガー!」

 ドモンが叫んで、ゴッドガンダムが光り輝く右手を繰り出す。デスティニーも同時に左手を突き出して、パルマフィオキーナを放つ。

「だからムダだって。」

 ゴッズが笑みをこぼして、ゴッドハンドが両手でパルマフィオキーナとゴッドフィンガーを受け止めた。

「何っ!?

 シンとドモンが驚いて、デスティニーとゴッドガンダムがゴッドハンドに突き飛ばされる。

「シン!」

「ドモン!」

 ゼロとグレンファイヤーが叫ぶ。

「気を付けろ、みんな!ヤツが来るぞ!」

 ジャンナインが呼びかけて、ゼロたちが視線を戻す。ゴッドハンドが両腕の甲からビームの刃を出して、ゼロたちに向かってきた。

「ダブルジャンナックル!」

 ジャンボットとジャンナインが同時にパンチを飛ばす。だがゴッドハンドはビームの刃を使わずに、突撃だけでパンチをはじき返した。

「がっ!」

 その直後にゴッドハンドが振りかざした刃をぶつけられて、ジャンボットたちが叩き落される。続けてゴッドハンドがミラーナイトに刃を振りかざすが、それは鏡の力による彼の幻で、割れるように消えた。

 1度動きを止めたゴッドハンドが、背部から突起武装を射出した。

「ぐあっ!」

 武装が放ったビームが、ゴッドハンドの後ろに回り込んだミラーナイトに直撃した。

「鏡による空間の移動と歪曲。他だったらそれでうまく騙せるんだけど、僕にはみんな丸分かりだよ。」

 ゴッズが笑みを浮かべる中、ミラーナイトが落下する。鏡を使っての彼の移動を、ゴッズは見抜いていた。

「あれはファンネル!?ファンネルまで使いこなすというのか!?

「ホントに、僕たちのことを調べ尽くして、その力をものにしてるってこと!?

 ファンネルをも使うゴッドハンドに、アムロとキオも驚く。

「僕は僕のいた世界で1番だったし、他の世界のことも自由にできる。もちろんオールレンジもね。」

 ゴッズが笑みをこぼして、ゴッドハンドがファンネルを操作、展開した。

「フィン・ファンネル!」

Cファンネル!」

 アムロとキオがゴッドハンドに目を向けて、νガンダムとAGE-FXがファンネルを射出する。しかしゴッドハンドは素早く正確にファンネルによる突撃をかわす。

「そして空間認識は、君たちを大きく上回るよ。」

 ゴッズがさらに微笑んで、ゴッドハンドがファンネルを動かしてビームを発射して、νガンダムとAGE-FXに当てる。

「ぐっ!」

「うわっ!」

 アムロとキオが衝撃に襲われる。

「キオ!」

 アセムが叫んで、AGE-2がビームサーベルを手にしてゴッドハンドに向かっていく。振り下ろされたビームサーベルを、ゴッドハンドはバリアーで受け止める。

「ソルジェント光線!」

 ダイナが光線を放って、別の角度からバリアーに当てる。しかしそれでもバリアーを壊せない。

「力ずくでも僕には勝てないよ。」

 ゴッズが笑みをこぼして、ゴッドハンドが張っているバリアーを大きくする。ダイナとAGE-2がバリアーに押されて突き飛ばされる。

「あの出力と防御力のバリアーを壊すには、もっと強力な攻撃しかない!あのバリヤー、ビームや光線を跳ね返す機能はないみたいだ!」

 ガロードが思い立って、コスモスに目を向ける。

「もう1度頼む!オレにサテライトキャノンを使わせてくれ!」

「分かった!やってみよう!」

 ガロードの呼びかけにムサシが答える。

「コズミューム光線!」

 コスモスが光線を放って、DXのサテライトキャノンにエネルギーを送り込む。マイクロウェーブを充てんしたサテライトキャノンを、DXが構える。

「私も続かせてもらう!」

 ゾフィーもガロードたちに声をかけて、エネルギーを集中する。

M87光線!」

「サテライトランチャー、発射!」

 ゾフィーが全力の光線を放って、ガロードのDXも同時にサテライトキャノンを発射した。2つの光線がゴッドハンドの張っているバリアーに直撃した。

「これはさすがに防ぎきれないか。でもゴッドハンドは防ぐだけじゃないよ。」

 ゴッズが笑みをこぼして、ゴッドハンドが瞬間移動した。ゾフィーとDXの光線はゴッドハンドに当たることなく虚空に消えた。

「何でもかんでも受け止めるだけじゃ、面白くないからね。」

 言いかけるゴッズの乗るゴッドハンドが、DXとゾフィーの後ろに回り込んだ。

「何っ!?うわっ!」

 ゴッドハンドからDXとゾフィーがビームを受けて、ガロードが衝撃に襲われてうめく。

「攻撃、防御、スピード、どれも完璧でレベルが高い・・!」

「ヤツの力に打ち勝つには、我々の力の全てをぶつけるしかない!」

 大地とエックスが声をかけ合って、全身に意識を集中する。

「オレもやるぞ、エックス!」

「オレがヤツを足止めする!2人は隙を狙って技を放て!」

 ゼロと刹那が呼びかけて、ダブルオーライザーがゴッドハンドに向かっていく。

(ガンダム、ダブルオーライザー、力を貸してくれ・・!)

「トランザム!」

 刹那が集中力を高めて、ダブルオーライザーがトランザムを起動する。残像を伴う素早い動きで、ダブルオーライザーがゴッドハンドの注意を乱そうとする。

「そんなんじゃ僕を出し抜けないよ。」

 ゴッズが言いかけると、ゴッドハンドも高速になって、ダブルオーライザーに追いついてきた。

「トランザムに追いついてくるだと!?

「トランザムとは違うけど、君のトランザムを超えるスピードは出せるよ。」

 ダブルオーライザーのトランザムを上回るスピードを出すゴッズのゴッドハンドに、刹那が驚きを覚える。ゴッドハンドが振りかざしたビームの刃をGNソードで受け止めるダブルオーライザーだが、力に押されて突き飛ばされる。

(今だ、ゼロ、エックス!)

 刹那がゼロとエックスに目を向ける。ゼロがウルティメイトイージスを、エックスがエクスラッガーを構える。

「ファイナルウルティメイトゼロ!」

「ウルティメイトザナディウム!」

 ゼロが光の矢を、エックスが高出力の光線を放つ。

「ゴッドビックバン。」

 ゴッズが笑みを消して、ゴッドハンドが胸部から閃光を放ってきた。閃光はゼロとエックスの光をかき消した。

「なっ!?

 驚きの声を上げるエックスとゼロが、閃光をぶつけられて吹き飛ばされる。ダメージが大きくなった2人の体からウルティメイトイージスとハイブリッドアーマーが消えて、カラータイマーも点滅を始めた。

「大地・・大丈夫か・・!?

「エックス・・オレは大丈夫だ・・でも、オレたちの力まで押し返してしまうなんて・・・!」

 エックスの呼びかけに大地が答える。彼らはゴッドハンドの力を痛感して、危機感をふくらませていた。

 

 ゴッドライダーの力も並外れたものだった。タケルたちもゴッドライダーを前にして悪戦苦闘を強いられていた。

「純粋な力が高いだけじゃない・・オレたちのデータも盛り込まれている・・・!」

「オレたちの動きが読まれて、攻撃を当てられない・・・!」

 マコトとタケルがゴッドライダーの強さに焦りを感じていく。

 ゴッドライダーにもゴッズが打ち込んだライダーたちのデータが宿っている。そのデータを元に、ゴッドライダーはタケルたちの動きを見切って、的確に攻防を行っていた。

「これぐらいじゃなくちゃ、やりがいがねぇってもんだぜ!」

 モモタロスが自信を込めた笑みをこぼして、携帯電話「ケータロス」を手にする。

Momo,ura,kin,ryu.Climax form.”

 ケータロスのボタンを押して、デンオウベルトにセットするモモタロス。彼が電王の最強形態「クライマックスフォーム」となった。

「てんこ盛りでもオレたちのほうが先輩だぜ、ゴースト!」

「相手は自分の力しか信じていないです!オレたちは力を合わせて戦いましょう!」

 強気に言いかけるモモタロスに、タケルが決意を持って頷いた。

「オレたちの力、存分に思い知らせてやるぞ!いくぜ、いくぜ、いくぜー!」

 モモタロスがソードモードのデンガッシャーを手にして、ゴッドライダーに向かっていく。

「行くぞ、タケル!あのようなヤツの思い通りにさせるわけにいかない!」

「うんっ!」

 マコトが呼びかけてタケルが頷く。2人もモモタロスに続いて、ゴッドライダーに向かっていく。

 ZO、翔一、映司が同時にジャンプからのキックを繰り出す。しかしゴッドライダーが振りかざした左手とその衝撃に、3人が押し返される。

 そこへモモタロスが飛び込んで、デンガッシャーを振りかざす。しかしゴッドライダーに軽々とかわされる。

「このヤロー!」

 モモタロスがさらにデンガッシャーを振りかざす。彼がデンガッシャーの刀身をゴッドライダーに向けて飛ばす。

 ゴッドライダーが右腕を振りかざして、デンガッシャーの刀身をはじき返した。

“レッツゴー!ゼンインシューゴー!メガオメガフォーメーション!”

“ダイカイガン!スペクター!オメガドライブ!”

 タケルとマコトが同時に飛び上がって、ゴッドライダーにキックを繰り出す。ゴッドライダーも右手にエネルギーを集めて、パンチを繰り出す。

「うあっ!」

 ゴッドライダーパンチに押し切られて、タケル、マコト、モモタロスも吹き飛ばされる。

「オレたちの力を合わせても通じない・・!」

「だが、何とかしなければ・・オレたちだけでなく、あらゆる世界が・・・!」

 ゴッドライダーの力を痛感しながらも、タケルとマコトが力を振り絞って立ち上がる。彼らを倒そうとゴッドライダーが歩を進めてきた。

 

 一方、大和たちはゴッドレンジャーと戦っていた。彼らもゴッドレンジャーの正確な戦い方に追い詰められていた。

「僕たちの動きが筒抜けになっている・・アイツに読まれているのか・・!」

「このままじゃ私たちやられちゃうよ〜・・!」

 焦りを口にするタスクと、不安を見せるアム。

「諦めんな、お前ら!」

 そこへダイゴがイアンたち、ヒロムたちとともに駆けつけて、大和たちに声をかけてきた。

「オレたちは戦隊だ!世界を脅かすヤツらがいるなら、体を張って全力で世界を守り抜く!それがオレたちだ!」

「アイツがオレたちの進む先にいるなら、ブッ倒すだけだ!」

「誰が襲いかかってきても、オレたちは世界を守る!みんなの幸せを、壊させたりしない!」

 ダイゴに続いてマーベラスとヒロムも意思を言い放つ。どのような逆境に立たされても、彼らの意思は揺るがない。

「そうだ・・オレたちも戦隊・・動物戦隊ジュウオウジャーだ!みんなが諦めてないのに、オレたちが先に諦めるわけにはいかない!」

 奮い立った大和が強い意思を示す。

「そうだ!諦めない意思と正義の心、そして守るという決意が、地球と宇宙、世界を平和へと導くのだ!」

「自由と平和を守るために戦い続ける!それはスーパー戦隊だけでなく、仮面ライダー、ウルトラマン、ガンダム、あらゆる世界の戦士たちも同じだ!」

 ドギーとアカレンジャーも大和たちに激励を投げかける。大和たちが頷いて、ゴッドレンジャーに目を向ける。

「オレたちヒーローは、大切なものを守るために戦う!そしてオレたちのこの思いは、この先に生まれるヒーローたちに伝わっていく!ゴッズ、オレたちを、なめるなよ!」

 大和がゴッドレンジャーに向かって言い放つ。諦めない彼らにゴッドレンジャーが立ちはだかった。

 

「ダブルライダーキック!」

Xキック!」

 1号、2号、Xライダーがライダーキックを繰り出す。ゴッドライダーもジャンプしてのキック「ゴッドライダーキック」で迎え撃つ。

「ぐあっ!」

 1号たちがゴッドライダーに押し返されて突き飛ばされる。倒れるもすぐに立ち上がる彼らと、タケルたちが合流した。

「負けるわけにはいかない・・あのような者に世界を自由にされないために・・!」

「はい!ここからが正念場!・・命、燃やすぜ!」

 1号の決意を聞いて、タケルも気を引き締めなおす。彼らと大和たち、ゴッドライダーとゴッドレンジャーが合流した。

 そのとき、タケルたちのそばの空間にゆがみが起こった。新たな敵が現れたのではないかと、タケルたちが警戒を強める。

 空間のゆがみから現れたのは、1人の青年と2人の仮面ライダーだった。

「アラン!」

 マコトが青年、アランを見て声を上げた。

「アランもこの世界に来ていたんだね!」

「あぁ。状況はこの2人から聞いている。遅れてすまない・・」

 タケルも声をかけて、アランが答える。

 アランは眼魔の世界の住人で、人間の世界を争いのない世界にすることを目的としてきた。眼魔の世界が争いのない完全な世界だと思っていたが、空や風などの自然に触れたりと人間の世界のすばらしさを実感して、家族や仲間からの励ましを受けて、彼は変えるべきなのは眼魔の世界のほうだと認識するようになった。

「よかったよ、仲間と合流することができて・・」

 ライダーの1人がタケル、マコト、アランを見て笑みをこぼす。彼がもう1人の黒のライダーとともに、ゴッドライダーに振り向いた。

「仮面ライダーオメガ!」

「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACKRX!」

 2人の仮面ライダー、吉川(よしかわ)光輝(こうき)=オメガ、(みなみ)光太郎(こうたろう)RXが名乗りを上げた。

「タケル、マコト、オレたちの力を、君たちが今こそ使うときだ!」

 映司がタケルたちに呼びかける。すると彼らの手元に新たな眼魂が飛んできた。

「これは!・・分かりました!」

 タケルが答えて、マコトとともにそれぞれ1つの眼魂を手にして、ゴーストドライバーにセットした。

「みなさん、オレたちに力を!」

“カイガン・ウィザード!ユビワノマホウ!サイゴノキボウ!”

“カイガン・オーズ!メダルウバッタ!タカ・トラ・バッタ!”

 タケルとマコトがウィザード、オーズの力を宿した「ウィザード魂」、「オーズ魂」に変身した。彼らは仮面ライダーの力と魂を宿した「ライダーゴースト眼魂」を使った。

「すごい!あの2人もゴーカイチェンジできるんスねー!」

 鎧がタケルたちの変身を見て感動の声を上げる。

「オレたちの生き様、見せてやる!」

「さぁ、ショータイムだ!」

 タケルとマコトが言い放って、向かってきたゴッドライダーを迎え撃つ。タケルが魔法の炎を宿した手足を振りかざして、ゴッドライダーに当てていく。

「オレも続かせてもらう・・」

 アランも言いかけて、ブレスレット「メガウルオウダー」を装着して起動する。

“スタンバイ。ローディング。”

 彼はメガウルオウダーに「ネクロムゴースト眼魂」をセットした。

「変身。」

“テンガン・ネクロム・メガウルオウド。”

 メガウルオウダーの滴下ユニットのスイッチを押して、アランが仮面ライダー「ネクロム」に変身した。

「ゴッズと言ったな・・オレたちの、心の叫びを聞け・・!」

 アランが言いかけて駆け出して、タケルとマコトに加勢する。彼が繰り出したパンチを受けて、ゴッドライダーが突き飛ばされる。

 タケルとマコトが剣「ウィザーソードガン」とメダジャリバーを手にして、五度ライダーに突き立てた。

“ダイカイガン!ウィザード!オメガドライブ!”

“オーズ!オメガドライブ!”

 2人が同時にジャンプして、ライダーキック「ストライクウィザード」と「タトバキック」を繰り出した。ゴッドライダーが2人のキックを受けて押されるが、踏みとどまって耐える。

「次行くよ、マコト兄ちゃん!」

「あぁっ!」

 タケルの呼びかけにマコトが答える。2人が新たな眼魂「鎧武(がいむ)ゴースト眼魂」と「フォーゼゴースト眼魂」を手にして、ゴーストドライバーにセットした。

“カイガン・ガイム!オレンジ・バナナ・ソンナバカナ!”

“カイガン・フォーゼ!スイッチオシタ!ウチュウキター!”

 2人が「鎧武魂」、「フォーゼ魂」への変身を果たした。

「宇宙キター!」

 マコトが高らかに叫び声を上げる。

「ここからは、オレたちのステージだ!」

「タイマン張らせてもらうぞ!」

 タケルとマコトが言い放つと、ゴッドライダーに向かっていく。

Rocket.”

 マコトが右腕に「ロケットモジュール」を装備して、ゴッドライダーに突っ込む。ロケットによる加速で、ゴッドライダーが上空に跳ね上げられる。

RXキック!」

 RXがジャンプして、両足のキックをゴッドライダーに当てた。突き飛ばされたゴッドライダーだが、空中で体勢を整えて着地した。

「リボルケイン!」

 RXがベルト「サンライザー」から剣状スティック「リボルケイン」を引き抜いた。タケルも2本の刀「無双セイバー」と「大橙丸」を手にして向かっていく。

 タケルとRXが繰り出す斬撃。ゴッドライダーが回避を行うが間に合わなくなり、2人が突き出した刃に突き飛ばされる。

“ダイカイガン!ガイム!オメガドライブ!”

“フォーゼ!オメガドライブ!”

 タケルが右足にドリルユニットを装備したマコトと同時にキックを繰り出す。再び突き飛ばされたゴッドライダーが地面に叩き落とされる。

「しぶといヤツだ!ならばこれで!」

 マコトが言いかけて、タケルとともにまた新たなライダーゴースト眼魂を手にして、ゴーストドライバーにセットした。

“カイガン・ドライブ!ケイカン・セイギカン・タイヤコウカン!”

“カイガン・ダブル!フタリデヒトリ・ガイアメモリ!”

 タケルとマコトが「ドライブ魂」、「(ダブル)魂」に変身した。

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

「ひとっ走り付き合えよ!」

 マコトとタケルがゴッドライダーに向けて言い放つ。

「仮面ライダーの魂を継承していく・・タケルもマコトも今、その魂を宿している・・・」

 アランがタケルたちを見て呟く。すると1号と2号がアランに駆け寄ってきた。

「君にも魂の継承のかけ橋を担う1人だ。」

「君も答えを見つけて、これから戦う運命に身を投じる者たちに、君の思いと魂を伝えていってくれ。」

 1号と2号の励ましの言葉を受けて、アランが戸惑いを覚える。

「私はまだ答えをぼんやりとしか見つけてはいないが・・あの空、あの風・・あの世界を守るために、私は戦う・・!」

 決意を口にしたアランが、ゴッドライダーに向かっていく。

 タケルとマコトがスピードを上げて、ゴッドライダーを翻弄する。そこへアランが飛び込んで、パンチを叩き込んでゴッドライダーを突き飛ばした。

「行くよ!」

“ダイカイガン!ドライブ!オメガドライブ!”

“ダブル!オメガドライブ!”

 タケルが声を上げて、マコトとともに高速でゴッドライダーに飛び込む。

 タケルがタイヤ型のエネルギーを発してゴッドライダーを包囲して、そのエネルギーを壁にして方向転換して、連続でキックを当てる。

 さらにマコトが緑の疾風を身にまとって飛翔してのキックを繰り出して、ゴッドライダーを突き飛ばした。

 追い込まれたゴッドライダーが、1台のバイク「ゴッドチェイサー」を呼び出して乗り込んだ。

 ゴッドライダーの動かすゴッドチェイサーの走行に、タケルとマコトが突き飛ばされて翻弄される。

「やはり仮面ライダーのデータを備えているだけのことはある、か・・!」

「力と速さを兼ね備えたあのバイクを軽々と乗りこなしている・・!」

 マコトとタケルがゴッドライダーとゴッドチェイサーの強さを痛感する。

「それならオレたちの力を集めるんだ!」

 そこへ光輝が駆けつけて、タケルたちに呼びかけてきた。

「君たちも数多くの戦いや苦難を乗り越えて、答えを見出そうとしている!君たちにもオレの、オメガの力が使えるはずだ!」

「オメガ・・分かりました!」

 光輝の呼びかけにタケルが答える。

「メガフラッシャー!」

 光輝がベルト「オメガドライバー」から光を放つ。集まった光に向けて、タケルが目の形の紋章を手で描く。

 紋章からオメガの姿かたちをしたパーカーゴーストが現れた。「オメガゴースト」が入ったタケルのゴーストドライバーから、「オメガゴースト眼魂」が出てきた。

「ありがとうございます、オメガ!」

 タケルが光輝に感謝して、オメガゴースト眼魂をゴーストドライバーにセットした。

“カイガン・オメガ!セイギノチカラ!タマシイノオメガ!”

 タケルがオメガの力を宿した「オメガ魂」に変身した。

「仮面ライダーゴースト!」

 タケルが光輝と同じポーズを取って名乗りを上げた。

「体が勝手に動く、というヤツか・・オレも、悪魔と相乗りさせてもらう・・!」

 マコトも言いかけて、黒い眼魂「ダークライダーゴースト眼魂」を手にして、ゴーストドライバーにセットした。

“カイガン・ダークライダー!ヤミノチカラ!ワルイヤツラ!”

 彼が黒い姿「ダークライダー魂」への変身を果たした。だがダークライダーの邪悪な魂が、マコトの心に押し寄せてくる。

「オレは耐えてみせる・・お前たちの邪悪な力を・・!」

 マコトが意思を強く持って、ダークライダーの邪悪な力を制御した。彼もタケルとともにゴッドライダーに向かっていった。

 

 

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