ザ・グレイトバトル -ロストヒーローズ-

第12章

 

 

 リボンズの乗るリボーンズガンダムに立ち向かうエックスと大地を、アスナたちは見守っていた。

「大地、しっかりして!人間や怪獣、他の星の人たちと共存できる未来が、大地の夢なんでしょ!」

 アスナが声と力を振り絞って、大地たちに向かって呼びかける。

「早くこんな戦い終わらせて、私たちの世界に帰ろう!きっとみんな、心配して待ってるよ!」

「アスナ・・そうだね・・オレたちが帰らなくちゃ、オレたちの夢を実現させることはできない・・!」

 アスナに励まされて、大地が気を引き締めなおす。

「リボンズ・アルマーク、オレたちが倒すべき敵は、怪獣や宇宙人の全てじゃない!」

 大地がリボンズに向かって自分たちの意思を言い放つ。

「自分の目的のために、罪のない人や生き物が苦痛や絶望を味わわせる存在だ!」

「これは絶望ではなく希望だよ。救世主である僕が、地球を始めとした全ての世界の平和をもたらすのさ。」

 言い放つ大地に対して、リボンズが自信を見せつける。

「ウルトラマンは平和を守る正義の味方と言われている。本来なら地球の中での問題に大きく介入するわけにいかないが、救世主という名の支配者と化しているお前の考えは、地球や宇宙の平和そのものをおびやかす!」

 エックスもリボンズの考えに反発して構えを取る。

「私と大地が、お前の支配を止める!」

「これは支配ではない。救いなんだよ。」

 言い放つエックスをリボンズがあざ笑う。

「ガンダムも、ウルトラマンも仮面ライダーもスーパー戦隊も、僕によって新たな変革を受け入れるしかないんだよ。」

「そんなのはまっぴらゴメンだぜ!」

 リボンズに言い返してきたのは、大和たちとともに駆けつけたレオだった。

「オレたちはともに力を合わせて生きてるんだ!それをお前のようなヤツに、好き勝手にされてたまるか!」

「私たちはジューマンだけど、地球を守ってやらないとって思う私たちもいる!」

「そんな押し付けがましいのは、救世主なんて言わないよ!」

 大和、セラ、アムもリボンズに向かって言い放つ。

「お前のようなヤツの言いなりにされて、いいと思うヤツは誰もいない!人も動物もジューマンも!」

「ジュウオウジャーのみんな・・・!」

 タスクも言い放って、大地が戸惑いを浮かべる。

「オレたちヒーローを、なめるなよ!」

 大和が言い放つと、セラたちとともにジュウオウチェンジャーを開く。

“ジューオーキューブー!”

 ジュウオウチェンジャーのボタンを押して、巨大メカ「ジュウオウキューブ」を召喚する。

“キューブイーグルー!”

“キューブシャーーク!”

“キューブラーイオーン!”

“キューブエレファーント”

“キューブターイガー!”

“キューブゴーリラー!”

 ジュウオウキューブ「キューブイーグル」、「キューブシャーク」、「キューブライオン」、「キューブエレファント」、「キューブタイガー」、「キューブゴリラ」が現れた。

「動物合体!」

 大和たちが乗り込んだジュウオウキューブの前に、炎の四角い枠が現れる。ジュウオウキューブたちがキューブモードになって枠をくぐった。

“アーアーアアアー!”

 ジュウオウキューブが回転しながら3体ずつ組み合わせていく。

“3!2!1!”

“4!5!6!”

 キューブイーグル、シャーク、ライオンが剣「ビッグキングソード」に貫かれて展開して、エレファント、タイガー、ゴリラが展開して、それぞれ巨大ロボとなった。

“ジューオーキーングー!”

“ジューオーワーイルドー!”

 2体の合体ロボ「ジュウオウキング」と「ジュウオウワイルド」が、エックスの隣に並び立った。

「ここは力を合わせようぜ、ウルトラマン!」

「私たちの力をアイツにぶつけてやりましょう!」

 ジュウオウキングにいるレオとセラがエックスと大地に呼びかける。

「オレたちジューマンも、人間である大和とこうして一緒に戦っているんだ!」

「怪獣とだって仲良く暮らせる日が来るよ!」

 大和とともにジュウオウワイルドに乗っているタスクとアムも呼びかける。

「人間と動物、そしてジューマン、さらには他の戦隊や仮面ライダー、ウルトラマンやガンダム!オレたちの絆はどんどん大きく強く広がっていく!」

「うん!一緒に戦おう、ジュウオウジャー!」

 大和と大地が声をかけ合って、リボーンズガンダムに目を向ける。

「ジューマン・・知能のある獣人かと思ったけど、やはり動物は動物ということか・・・」

 リボンズが大和やセラたちに嘲笑を投げかける。リボーンズガンダムがビームライフルを発射して、エックス、ジュウオウキング、ジュウオウワイルドがビームをかわす。

「逃げられはしないよ、僕からはね。」

 リボンズが笑みをこぼして、リボーンズガンダムがファングを射出してエックスたちを狙う。

「うわっ!」

 ジュウオウキング、ジュウオウワイルドがファングをぶつけられて、大和たちが衝撃に襲われる。

「ジュウオウキングのスピードでもよけきれねぇ!」

「ワイルドも受け続けたら持たない!」

 レオと大和が危機感をふくらませる。

「エクシード、エーックス!」

 エックスがエクシードエックスになって、手にしたエクスラッガーでファングをはじいていく。

「甘いよ!」

 リボンズが笑みを強めて、リボーンズガンダムがエックスに飛び込んでビームサーベルを振りかざす。エックスがエクスラッガーでビームサーベルを受け止めるが、ファングの突撃を受けてダメージを受けていく。

「エックス!大地!」

「このヤロー!」

 大和が声を上げて、レオがいきり立ってジュウオウキングがキングソードを手にしてリボーンズガンダムに向かっていく。

「キングソード・ジュウオウ斬り!」

 ジュウオウキングがキングソードを振りかざすが、リボーンズガンダムがエックスから離れて素早くかわす。

「ワイルドロケットナックル!」

 ジュウオウワイルドも両腕からエネルギーのパンチを連射する。しかしリボーンズガンダムはこれもかわす。

「誰も僕に勝つことはできないというのに・・」

「エクスラッガーショット!」

 リボンズがため息をつくと、エクスラッガーを額に戻したエックスがその額から光線を放つ。しかしリボーンズガンダムはファングを集結させて、光線を防いだ。

「エクスラッガーショットを・・なんてヤツだ・・!」

 エックスがリボーンズガンダムの動きに危機感をふくらませる。

「往生際が悪いだけになるよ。君たちでは何もできはしない。僕に対しても、世界に対しても。」

「そんなことはない!オレたちは自分自身のため、そして世界に生きるみんなのために戦うんだ!」

 リボンズがさらにあざ笑うが、大和は諦めずに決意を言い放つ。

「ここは私たちの力を合わせよう!」

「よし!動物大集合だ!」

 アムの声に大和が答える。

“キューブキーリーン!”

“キューブモーグラー!”

 ジュウオウキング、ジュウオウワイルドが1度分離する。

「動物大合体!」

“イーグル!シャーク!ライオン!エレファント!タイガー!ゴリラ!キリン!モグラ!”

 大和がジュウオウチェンジャーのボタンの1から6を押す。キューブイーグルたちがジュウオウキューブウェポン「キューブキリン」、「キューブモグラ」とともに炎の四角の枠をくぐる。

“アーアーアアアー!”

“4!3!2!5!1!6!”

 6体のジュウオウキューブと2体のジュウオウキューブウェポンが合体を果たして、さらに巨大なロボとなった。

“ワイルドジューオーキーングー!”

「完成!ワイルドジュウオウキング!」

 合体ロボ「ワイルドジュウオウキング」がリボーンズガンダムの前に降り立った。

「すごい!全部合体した!」

 エックスがワイルドジュウオウキングを見て、感動の声を上げる。

「向こうが人間とジューマンのコラボの集大成なら、こっちはエックスとサイバー怪獣のコラボの集大成だ!」

「よし!我々も行くぞ、大地!」

 大地が呼びかけてエックスが答える。エックスが元の姿に戻って、大地がエクスデバイザーを構えて、全てのサイバー怪獣のデータをロードした。

 エックスの体を新たなサイバーアーマーが包み込んだ。各部位に様々なサイバー怪獣の特徴が盛り込まれている。

「ハイブリッドアーマー!」

 エックスは全てのサイバー怪獣の能力を宿した「ハイブリッドアーマー」を装着した。彼に右手にはエクスラッガーも握られていた。

「能力の全てをまとめたか。小賢しいことを。」

 リボンズがさらにあざ笑って、リボーンズガンダムがファングを突撃させる。しかしエックスにもワイルドジュウオウキングにもはじかれる。

「何っ!?

 リボーンズガンダムの攻撃が効かないことに、リボンズが驚愕を覚える。リボーンズガンダムがビームライフルを発射しながら、ビームサーベルを手にしてエックスに振りかざす。

 しかしビームはワイルドジュウオウキングにはじかれて、ビームサーベルもエックスが振りかざしたエクスラッガーにはじき飛ばされた。

「バカな!?僕とリボーンズガンダムの力が通じないだと!?

「オレたちはお前と違って1人じゃない!種族が違っても、こうして力を合わせることができる!」

 さらに驚くリボンズに、大和が多く強くつながっている絆を感じて言い放つ。

「たとえお前でも、オレたちのこの絆を超えることも、断ち切ることもできない!」

 大地も言い放って、エックスが全身から閃光を解き放つ。ゴモラの超震動波やエレキングの電撃、ゼットンの光線など、様々な怪獣たちの力が込められた閃光である。

「ぐっ!」

 リボーンズガンダムが閃光の衝撃に襲われて、リボンズが揺さぶられてうめく。

「いっけー!」

 レオの雄叫びとともに、ワイルドジュウオウキングが飛び込んでパンチを繰り出す。動きの鈍ったリボーンズガンダムにパンチの連続が叩き込まれる。

「認めない・・こんなことで、全ての世界の救世主である僕に勝とうなど!」

 劣勢に追い込まれたことに納得できずに、リボンズがいら立ちをふくらませる。ワイルドジュウオウキングからエネルギーがあふれ出す。

「ジュウオウダイナミックストライク!」

 ワイルドジュウオウキングからキューブ型の光の球を連射する。光の球が迫ったファングをなぎ払って、リボーンズガンダムに命中していく。

「今だ、エックス、大地!」

 大和が呼びかけて大地が頷く。エックスが全身にエネルギーを集中させて振りかぶる。

「オレたちは地球やたくさんの世界の命とつながっていく!そこに支配なんてものはないんだ!」

 自分たちの夢と決意を言い放つ大地。

「そうよ!私たちは世界を飛び越えて、いろんな人と出会えた!私たちの絆は、どこまでも続いていくんだから!」

 アスナも自分たちの思いをリボンズに向けて言い放つ。

「ウルティメイトザナディウム!」

 エックスがリボーンズガンダムに向けて光線を放つ。光線の直撃を受けて、リボーンズガンダムが爆発を起こす。

「僕は救世主だ!僕にしか世界を救えないというのにー!」

 断末魔の叫びを上げるリボンズが、爆発の光の中に消えていった。

「世界を守るのも、共存や友情を実現させるのも、1人の支配者じゃない・・オレたち1人1人だ・・」

 大切なことを確かめて、大地がワイルドジュウオウキングに目を向ける。エックスに目を向けていた大和と、大地は互いに頷き合った。

 

 大地たちの活躍によって、集結、結託していた邪悪な存在たちを倒すことができた。大地たちが合流して、互いの無事を確かめ合った。

「ありがとう、みんな・・みんながいなかったら、今回はどうなっていたか分からなかった・・」

「世界は違うけど、世界を守る心を持っていることは同じだからね。」

 感謝する大地に大和が気さくに答える。

「でも、戦わないで、話し合いで解決できたらよかったんですけど・・・」

「それが1番だとオレも思うけど、みんなを守るために戦うのは、全然間違っていることじゃないとも思う・・命はみんな1つずつ。失っちゃいけない大切なものだから・・」

 悩みを口にするキオに、タケルが自分の思いを口にする。

「オレたちは1人じゃない・・オレたちの世界の中だけじゃなく、いろんな世界にも・・・」

「そうだ。別の次元同士は普通なら出入りすることも見聞きすることもできないけど、こうしてつながりを持つことは不可能なことじゃない。」

 次元を超えた絆を実感して戸惑うシンに、ゼロが気さくに言いかける。

「私たちだって1人じゃないよ。レイだって艦長だって、私たちのことを見守ってくれてるはずよ・・」

 ルナマリアからも励まされて、シンが小さく頷いた。

(そうだ・・オレたちのことを見守っている・・議長や艦長、レイ・・そして、ステラ・・・)

 自分の心の支えになっていた人たちのことを思い出して、シンが安らぎを感じて微笑んだ。

「世界を飛び越えるっていうのは、ここまで来るととんでもねぇなぁ・・」

「こりゃ、クライマックスを超えたとんでもねぇクライマックスだぜ・・!」

 マーベラスとモモタロスもこの大団円に笑みをこぼしていた。

「だが、安心するのはまだ早い。戦いはまだ終わってはいない。」

 アカレンジャーが大地たちに声をかけてきた。

「今回の事件を起こしたのは、今我々が倒した者たちの誰でもない。全員首謀者によって呼び出されて、野心を付け込まれて戦いに駆り出されたのだ。」

「そしてヤツは今、オレたちの戦いの高みの見物をしている。」

 1号とアムロも事件について語っていく。

「そこにいるのは分かっている。そろそろ姿を見せたらどうだ?」

 ウルトラマンが振り向いて声をかける。大地たちもその方向に振り返る。

 そのとき、大地たちが見ている空間がゆがみ出した。そのゆがみから1人の少年が現れた。

「僕のこと、ばれちゃってたんだね。さすが歴戦の勇者たちだね。」

 少年が大地たちを見て笑みをこぼす。

「こ、子供・・!?

「ど、どういうことなんだ・・!?

 大地とタケルが少年を見て動揺を覚える。

「見た目は子供だが、知性と技術力は天才の部類に入る。彼がいた世界の中で群を抜くほどに。」

 アカレッドが少年について語っていく。

「その子は自分の世界を滅ぼして支配してしまった。かつてその世界にあったルールや考え方とともに・・」

「全て彼の思惑通りに世界が動き、滅びの道を辿っていった。彼が全てをそう仕向けたのだ・・」

 Gとゾフィーも少年のことを話していく。彼らの話を受けて、少年がさらに笑みをこぼす。

「あまりに思い通りに行きすぎて、逆につまらなかったよ。ちょっとは障害やアクシデントがないと楽しめないもんなんだね。」

「お前、自分の楽しみのために、自分の世界を滅ぼしたというのか!?

 気さくに言いかける少年に、リュウジが怒りを覚える。

「いつまでも名無しのごんべえじゃお互い困るよね。僕の名前はゴッズ。よろしくね。」

 少年、ゴッズが気さくに自己紹介をする。

「こんな子供が、今回の事件の黒幕だっていうの!?怪獣や宇宙人、怪人やメカをあれだけこの世界に呼び出したっていうの!?

 アスナがゴッズに対して驚きの声を上げる。するとゴッズが顔から笑みを消す。

「子供だからって大人よりできることが少ないなんて決めつけは好きじゃないよ。実際、僕のいた世界で僕より優れている人なんて誰もいなかったからね。」

 ゴッズは言い返すと、再び笑みをこぼす。

「僕は幼い頃から天才だったよ。勉強もネットの作業もパズルをやるようなもんだった。そんな僕に、親も先生もいろいろ言ってきたよ。将来のこととか家のこととかね。」

 ゴッズが自分のことを大地たちに話していく。

「みんな僕より頭が悪くて弱いのに、偉そうなこと言ってきて・・親だから、先生だから、年上だから・・それで僕より上だって証明にならないのに・・」

 家族や目上の人に対して、彼が嘲笑を投げかける。

「あまりに偉そうだったんで、僕が情報操作して混乱させてやったよ。ただ痛い目にあわせても面白くないからね。」

「何だって・・!?

 ゴッズの言葉に大地が耳を疑う。彼は家族や仲間を破滅に追い込んだゴッズの言動が信じられなかった。

「ホントに愉快痛快だったよ。みんな僕の思ったように動いて自滅して。ホントにおもちゃみたいだったよ。」

「お前・・人間や命を何だと思ってるんだ!?誰にだって1つしかない、大切な命なんだぞ!」

 さらに笑うゴッズに、タケルが怒りの声を上げる。しかしゴッズは嘲笑をやめない。

「大切な命だって?誰が大切だって決めたの?命を大切にしない人なんて、どの世界にもいっぱいいるよ。」

 ゴッズが言いかけて、エックスたちを見回していく。

「眼魔やショッカーは命を弄んだり利用したりして、しかもそれを悪いと全然思わない。眼魔たちだけじゃないよ。怪獣や宇宙人、黒十字軍からデスガリアンまで、スーパー戦隊と戦ってきた勢力だって。」

 エックスたちやワイルドジュウオウキングたちを見て、ゴッズが話を続ける。

「ガンダムの世界に至ってはホントにひどいよ。連邦軍とジオン、エゥーゴ、ティターンズ、アクシズ、新連邦と宇宙革命軍、ナチュラルとコーディネイター、ユニオン、AEU、人革連、ソレスタルビーイング、イノベイター、ヴェイガン。戦争に戦争を重ねて、それこそ数えきれないくらいの命が消えているんだよ。」

 ガンダムの世界についてゴッズから聞かされて、シン、ルナマリア、キオ、アセムが苦悩を覚える。

 戦争によってシンたちは大切な人を失った。戦いに身を投じても、その最中に仲間や大切な人と争い、失ってきた。その苦しみと悲しみが、シンたちの心に沈んでいた。

「それに君たちだって命のことをとやかく言う資格なんてないよ。ガンダムの世界だけじゃない。ウルトラマンだって怪獣や他の宇宙人の命を奪ってるし、仮面ライダーもスーパー戦隊も怪人の命を奪ってる。」

 ゴッズがさらにウルトラマンたちにも指摘を送る。

「平和のためとか正義のためとか、そういうんじゃいいわけにもならないよ。向こうにも事情があったかもしれないのに。」

「コイツ、オレたちを偽善者に仕立て上げようとしているのか・・!?

 語り続けていくゴッズに、タスクが疑いの目を向ける。

「偽善者そのものだよ、君たちは。正義のためだとか平和のためだとか言っといて、結局は自分たちが正しいと言い張ってるだけだよ。」

「そんなことはない!オレたちは星に生きる人や動物、世界を守るために戦っているんだ!」

 笑みをこぼすゴッズに大和も言い放つ。しかしゴッズは彼の言葉をあざ笑う。

「それで、やってきた相手を殺していいことにはならないよ。結局君たちは、自己中心的に戦って自分を押し付けてるだけなんだよ。」

「それは違う!オレたちは命を弄んだり、目的のためなら関係ないものを犠牲したりする敵だから戦うんだ!」

 ゴッズが口にする言葉に、タケルが言い返す。するとゴッズがタケルの言葉をあざ笑う。

「結局君たちも、自分たちの勝手な解釈で戦ってるわけだね。」

「ここまで、オレたちのことを自分勝手だって決めつけたいっていうのか・・!?

 戦士たちの言動に対して嘲笑するばかりのゴッズに、大地が困惑をふくらませていく。

「あのゴッズという少年は、人間でありながら人間の価値観が通じないようだ・・!」

 エックスがゴッズのことを考えて、大地に言いかける。

「地球でも人種や住んでいる場所によって、考え方や価値観や文化などの違いが生じてくる。地球と他の星となれば、その違いがより大きくなる。だがゴッズは、その違いがあまりにも大きすぎる・・!」

「世界や次元が違うってだけじゃないのか・・!?

「彼はどの世界においても、他の人と考え方も価値観も全く違う・・正義や平和といった、誰もが思う共通の正しさを正しいものと思っていない・・・!」

 エックスからゴッズの考え方と認識の異質性を聞かされて、大地は言葉を失う。

 世界や人々が認識している共通の正義やルール。誰が考えても正しいことを、ゴッズは正しいと思わず、従おうとしていない。

「怪獣や宇宙人、怪人も僕の思い通りにやってきて動いてくれたよ。あのヤプールやベリアル、リボンズも僕の思った通りに動いたんだからね。」

「やはりお前がこの事件を引き起こしたのか!?オレたちまでここに呼び出して、戦わせて・・!」

 笑顔を見せるゴッズに、アムロが危機感をふくらませる。

「どうして・・どうしてこんなことを!?

 映司がゴッズに対して、怒りを込めて疑問を投げかける。

「それは遊びだよ。ゲームだよ。僕が楽しむためにやったことだよ。こうでもしないとつまんなくなってたとこだったからね。」

「何が遊びだ・・何がゲームだ・・お前の仕組んだことのために、どれだけの人や星が犠牲になると思っているんだ!?

 笑いながら言いかけるゴッズに、ヒロムが怒りの声を上げる。

「そんなの知ったことじゃないよ。犠牲とか死人とか気にしてたら、楽しめるものも楽しめないよ。」

「あくまで自分が楽しむためだけに行動するというのか・・!?

 ゴッズに対してアセムも憤りを感じていく。

「そうだよ。僕は僕が楽しむためにやってるんだよ。今回だっていろんな世界の人たちが入り乱れて、十分楽しめたよ。」

「ふざけるな!生き物はおもちゃでもゲームの駒でもない!」

 喜ぶゴッズに大和が怒りの叫びを上げる。

「おもちゃだよ。だってみんな、僕よりも知能も力も劣るんだから、僕のおもちゃになるしか価値はないよ。僕がうまく使ってるんだから、むしろ感謝してほしいくらいだよ。」

「このヤロー・・デスガリアン以上にふざけたヤツだぜ!」

「とても改心しそうにないし、このままアイツを放っておいたら、どれだけの世界がムチャクチャにされるか!」

 あざ笑ってくるゴッズに、レオもセラも怒りと危機感を感じていく。

「やめようよ、こういうの!こんなことしても、お互い辛くなるだけだよ!」

「僕は辛くならないよ。だって僕が楽しむためにやってるんだからね。」

 キオが呼び止めるが、ゴッズはそれでも考えを変えようとしない。

「あの人格・・あらゆる世界を危機におとしいれかねない・・!」

「その黒く染まったエゴが、世界を壊していくのか・・!」

 ゾフィーとカミーユがゴッズに対して危機感と憤りをふくらませていく。

「自分たちと考えとかが違うから、僕は悪者か。ホントに自己中心的な考えだね。ま、お互い人のこと言えないけどね。」

 ゴッズがからかってさらに笑みをこぼす。彼は自分の考えややっていることを全く悪びれていない。

「グリーザやダークサンダーエナジーそのものに悪意はなかった・・悪意のある黒幕はいないはずだったのに・・・!」

 大地がゴッズの言動に絶望を痛感していく。彼の言葉を聞いて、ゴッズがさらに笑みをこぼす。

「悪意のある黒幕がいないのはきっとホントだよ。だって、君たちが想像している最悪の悪者っていうのは、自分のやってることに悪意があるとか悪気があるとか、わずかも思っちゃいないんだからね。」

「自分に悪意があるとは思っていない・・確かにその通りかもしれない・・・!」

「我々はこれまで数々の犯罪者を見てきた。その中でも凶悪な部類は、まさにそれが当てはまる・・!」

 ゴッズの言葉を受けて、1号とドギーが記憶を巡らせて言いかける。

「しかしゴッズは、我々が出会った犯罪者を大きく上回る凶悪を宿している!ヤツにあるのは、高すぎる力と知恵から生じた自己陶酔だ!」

 ドギーがDソードベガを構えて、ゴッズに注意を向ける。

「だから、何が正義で何が悪か、それはどうやって決まってるの?もしかしたら、僕が正義で君たちが悪かもしれないじゃない。」

 あくまで大地たちを嘲笑していくゴッズ。

「説教なんて聞かないよ。僕より弱くて頭が悪い人たちに、僕にどうこういう資格なんてないんだからね。」

「おめぇの言う屁理屈なんて知ったことじゃねぇな!」

 ゴッズの言葉をはねつけたのはマーベラスだった。

「オレたちはスーパー戦隊であるが、海賊でもある。おめぇが正義や悪を語っても、おめぇがオレたちに何を言おうと、オレたちのやることは何も変わらねぇ・・!」

「アンタのかわいくない話なんて、耳障りなだけなんだから。」

 マーベラスに続いてルカもゴッズに言い放つ。

「気に入らないヤツぶっ潰す・・それは誰が相手でも同じことだ・・!」

「今からでもおとなしくおかえりいただくことをお勧めします。」

 ジョーとアイムもゴッズに言いかける。するとゴッズが肩を落としてため息をついてきた。

「海賊だから自由にやるっていうのかい?ホントに好き勝手でお笑い草だよ。」

「今のうちにそうやってヘラヘラ笑っとけ!これから笑いたくても笑えなくなるんだからよ!」

 からかってくるゴッズに、今度はモモタロスが声をかけてきた。

「おめぇの話なんかよく分かんねぇし、オレも知ったこっちゃねぇ!オレはコイツらみてぇに海賊じゃねぇが、好きに暴れさせてもらうぜ!」

「ハハハ・・海賊の次は鬼か。とことん僕を笑わせてくれるじゃない。」

「誰が鬼だ、誰が!」

 笑ってくるゴッズにモモタロスが文句を言う。

「ま、そういうことだ。お前なんて2万年どころじゃない。お前がこれから何もかも思い通りにするなんて、絶対に永遠にありえないぜ!」

 ゼロもゴッズに向けて言い放つ。

「何度も言うことになるが、また言っとくぜ・・オレたちは最初から最後までクライマックスだぜ!」

 モモタロスがデンガッシャーをゴッズに向けて、高らかに言い放つ。

「ここは理屈抜きだ!オレたちは正義の味方とか戦いを終わらせる人とかの前に、お前の敵だ!」

「お前に全ての世界を好きにさせないために、オレたちはお前を倒す!」

 シンと大地もゴッズに言い放つ。大地たちは理屈抜きでゴッズに立ち向かおうとしていた。

 

 

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